

2-1 「罪人」
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背景:
神など存在しない。
吐く息が一日中白いままの地下牢で、子供の手首ほどもある重鎖に繋がれながら、君は思った。
生まれてこれまで、幸運には恵まれた事など無なかった。
「親」などいないも同然だった。
「仲間」は足手まといか、裏切りの代名詞だ。
半島で少しは名を知られた地下組織「パナケアの矢」の戦闘部隊隊長に登りつめたのも、全て自分ひとりの力だ。
今まで殺した人数は、時代が100年前ならミッドガルドの「千旗長」に十分なれる。
自分ほど努力をした人間は少ないだろう。
それなのに、組織の誰かの裏切りで、自分はこんな場所にいる。
理不尽なことだ。
裁判の結果は死刑だろうが、死を覚悟する瞬間は飽きるほど越えてきた。
死は、遥か過去に恐怖の対象ではなくなっていた。
ただ自分を裏切った本人に、千倍の後悔と絶望をあたえてやれないまま死ぬのは悔しかった。
幸運に見放された間抜けな人生だ。
要するに「神」など存在しないという事だ。
「顔を上げろ」
いつのまにか、牢の前に立っていた神父服の人影が、鉄格子を挟んで立っていた。
高圧的な態度だが、声はまだ若い。
「『パナケアの矢』が、第三教区で活動を再開したとの報告が入った。既に前回の事件と類似した被害が出ている。今後、私と行動を共にし、事件の解決に協力するならば、恩赦として二十年の減刑が与えられる。無論、これは強制ではない。貴公には選択の権利が与えられている。」
若者が纏った黒い外套の隙間から、鈍い銀光を放つ‘異端審問印’が見えた。
‘法王庁は捕らえた「罪人」に利用価値があると判断した際、その罪の内容に関わらず『有効利用』することがある’そんな噂を思い出した。
どうやら絶望とも思えていた「復讐のチャンス」が、天敵ともいえる異端審問官から与えられたようだ。
礼として、協力する振りをして、この青二才に世間の厳しさ、というやつを教えてやるのも面白いかもしれない。
君はゆっくりと立ち上がりながら答えた。
「分かった。引き受けよう」
君は生まれて初めて、「神」に「幸運」を感謝した。
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■ 解説:
あなたは、かつて罪を犯し、現在は投獄されている身でありながらも、その類稀なる戦闘能力や専門知識を法王庁に評価され、異端審問官の異端狩りに同行する‘罪人’です。
異端審問官への同行は、「刑期の軽減」という形で反映されます。
異端審問官がその使命が困難だと思われる場合、‘協力者’を任命する事ができます(「異端狩り」を伝達する司祭やが、「適任」と思われる‘協力者’をリストアップしてくる場合が多いようです)。
たとえ牢に繋がれている在任であても、‘協力者’となった人間は、その特殊な知識や技術で異端審問官をサポートする義務があります。
アーキタイプの「罪人」はその特殊な能力(戦闘能力、専門知識等)を買われて、懲役の削減と引き換えに「法王庁の犬」として異端審問官と行動を供にします。
その際の「罪人の拘束程度」は「異端審問官のPC」とGMの三人で話し合って決めてください。
また、法王庁にとって罪人は「使い潰しの効く捨て駒」と捉えている場合が多く、深入りしすぎた場合に、は任務終了後「処理」が待っているかも知れません。
罪人をプレイする場合は、「いかなる理由で罪人となったのか?」を考えるだけでプレイパターンが広がります。
恩人を助けるために無実の罪を被り、身代わりになったのでしょうか?
「異端者」が君に関わり合いがある人物であったため捕らえられたのでしょうか?
これらの点を意識しながら、最終的にいかなる形であれ「罪を償う」のが、罪人の進む道なのかも知れません。
※能力値の選択
罪人を選択した場合は、「戦士系」「盗賊系」「錬金術師」「アーティファクト使い」の4タイプから選択してください。
戦士系:
能力値「敏捷」「体力」7以上
技能「白兵武器」「射撃武器」を問わず、一種を上級、二種を中級で取得している。
※
拘束例:聖バロスの鎖
コマンドワードにより着脱可能な手錠型アーティファクト。拘束時は対象者の能力値に制限が加えられる。
錬金術師系:
「知力」「精神」7以上。
技能「錬金術」を任煮の元素系を上級で取得している。
※ 拘束例:舌禍の首飾り
着装者の錬金術練成を阻害する特殊金属で構成された首輪型アーティファクト。
拘束時は「技能:錬金術」が二階級制限される(例:中級→無級、上級→初級)