リック・ドム RICK DOM |
登場作品 |
機動戦士ガンダム |
型式番号 |
MS-09R |
全高 |
18.6m |
重量 |
43.8t |
所属 |
ジオン公国軍 |
搭乗者 |
バタシャム ドズル・ザビ アナベル・ガトー シャア・アズナブル(小説版) ジオン兵 |
武装 |
胸部拡散ビーム砲 120mmザク・マシンガン ヒート・サーベル 360mmジャイアント・バズ ビーム・バズーカ |
【設定】
ジオン公国軍の宇宙用MS。
ドムの脚部の熱核ホバーをスラスターに変更した宇宙戦仕様。
ゲルググの量産体制の遅れから、急ピッチで進められた。
とはいえ既に正式採用されている機体の仕様変更機のため整備性、信頼性に優れており、コンペティションで
高機動型ザクIIに勝利し宇宙におけるジオン軍の主力機となった。
本機をベースに
リック・ドムIIやドワスなどが開発され、ドワスをアクシズで改修した「ドワス改」をベースに
ガザ系の技術なども応用してアナハイムのグラナダ工場のジオン系開発チームによってエゥーゴ用機体
リック・ディアスが開発された。
【武装】
胸部拡散ビーム砲
左胸部に内蔵されたビーム砲。攻撃力は無く、威嚇や幻惑用とされる。
要は単なる目眩し用だが、効果的なタイミングだった事もあってあのアムロをも一瞬怯ませる事に成功させている。
元々はビーム兵器を稼働させるための経路だったが、充分な出力を得られなかったため変更されたらしい。
120mmザク・マシンガン
ヒート・サーベル
背部に背負う白兵戦用武装。白熱化によって敵を溶断する。消耗が激しく使い捨てらしい。
他のヒート系よろしくビーム・サーベルとも渡り合える。
360mmジャイアント・バズ
360mm口径のロケット弾を発射する装弾数10発のバズーカ。
一年戦争で使用されたMS用携行装備としては最大級の火力とされる。
ビーム・バズーカ
大型MA開発企業のMIP社製の携行火器。
バズーカそのものにジェネレーターを内蔵しているため
ムサイ級軽巡洋艦のビーム砲に匹敵する攻撃力を持つが、ジオン軍は連邦軍よりエネルギーCAP技術に遅れを取っている事もあり、取り回しに難のある大型武器となっている。
また、ア・バオア・クーでジェネレーターの強化改修を受けたリック・ドムRS型での運用が前提となっており、通常のMSでは暴発事故が多発したという。
【原作における活躍】
サイド6宙域にて、コンスコンが指揮するチベと
ムサイから12機が発進し、サイド6から出向した
ホワイトベースを襲撃。
TV版では
ホワイトベース隊の巧みな連携(なお、この時のアムロの撃墜スコアは9機)に、劇場版ではニュータイプへ覚醒しつつあるアムロの
ガンダムに「3分も経たずに全滅した」。
TV版では更に続きがあり、国際問題になる事を懸念した
シャアからの停戦の呼びかけもあり、一度体勢を立て直して6機のリック・ドムが出撃するが、またしても全滅してしまった。つまりTV版ではリック・ドムは合計18機撃破された事になる。
この戦いは劇中でテレビ中継されており酸素欠乏症になったテム・レイ(例の回路を渡した後である)と
ララァ・スン(「白いモビルスーツが勝つわ」)も見ており、とても印象の残る場面である。
この際のリック・ドムのパイロット達も「嘘だ…まさかこんな!」「まるでこっちの動きを読んでるようだ」「おわっ、待て、待てよ!」と
ガンダムの異常な反応の速さに対応できずに怯えていた。
ちなみにこの戦闘は後にサイド6側がジオン軍に抗議の声明を出した事が
ポケ戦で明らかになっている。
その後はジオン公国宇宙軍の主力として最後まで登場した。
また、小説版では
ゲルググも
ジオングも登場しないので、
シャアの搭乗機として赤いリック・ドムが登場する。このリック・ドムはRS型でビーム・バズーカを装備している。
更に一部媒体では、
アナベル・ガトーが要塞ソロモンから撤退する友軍の殿のために本機で出撃し追撃する連邦艦隊と交戦、たった一機で艦隊を壊滅に追いやり「ソロモンの悪夢」と恐れられるようになったとされている。
【搭乗者】
バタシャム
CV:政宗一成
ザンジバルに所属するシャア・アズナブルの部下。階級は中尉。
エルメスの護衛で部下を率いて出撃するが、
エルメスの圧倒的な能力を前に護衛任務を放棄して後退。
帰還後、シャアに咎められるもベテラン兵として自身の意見を堂々と言い切ってみせた。
エルメスが撃破される戦闘でザンジバルが壊滅した際、帰還が確認できたのはシャアのみのため、彼はこの時に戦死したと思われる。
劇場版には未登場。
【原作名台詞】
- 「エルメスのビットが? ま、まるでベテランパイロットじゃないか。あれが初めて戦いをする女のやることなのか?」
- エルメス、ひいてはララァの圧倒的なニュータイプ能力に驚愕。その後、エルメスの後ろに退がるという護衛にあるまじき行動を取る。
- 「我々はニュータイプの能力というものを初めて見せられたのです。あれ程の力ならばララァ少尉はお一人でも戦闘小隊の一つぐらいあっという間に沈められます。その事実を知った時、我々は馬鹿馬鹿しくなったのであります。ララァ少尉ほどのパイロットが現れたなら、我々凡俗などは…」
- シャアに任務を放棄した事を咎められた際に。確かにこの時のエルメスはリック・ドムが不要な程に戦果を上げていた。
- 実はこの時点でニュータイプとオールドタイプの能力差からくる確執や、ニュータイプはパイロット適性に優れており、それ故に戦争の道具に利用される事を示唆しているとも取れる。
【関連人物】
コンスコン
CV:永井一郎(TV版)、加藤治(劇場版)、渡部猛(特別版)
パイロットという訳ではないが、ある意味では上記の場面を語るうえでは欠かせない人物。
ドズル・ザビ中将の腹心の部下の一人で、階級は少将。
シャアに対して対抗心を燃やしている。
そのシャアに嫌味をぶつけたうえで
ホワイトベースを仕留めてみせると豪語したが、彼に待ち受けていたのはあまりにも理不尽な現実だった。
配下のリック・ドム12機を瞬く間に失い、一度撤退。その後再度攻撃するも、再びMS隊も同伴していた
ムサイ2隻も失い、最後の意地で特攻を仕掛けるも突撃して来た
ガンダムに座乗艦チベ級を撃沈され戦死した。
上記の戦闘は2度にまたがって描写されたが、劇場版では一回の戦闘に統合され、
ガンダムの脅威を目の当たりにしながら同じ結末を辿る事となった。
この場面のせいで当時はよく「(部下に威張り散らす)無能な上司」と揶揄され、アニメ誌にも掲載されていたほどだったが、当時の新鋭機リック・ドムを12機も任されていた事と階級を鑑みると、相手が悪すぎただけでコンスコンも決して無能という訳ではない。
ちなみにこの場面、後のSEED DESTINYでも
オマージュされている。
【原作名台詞】
- 「ドズル中将の下にいたと思えば今度はキシリア少将の配下に。自分をみっともないと思わんのか? 木馬は何度取り逃がしたのだ? 全く、私の手際を見せてやる、よく見ておくのだな」
- 事実とはいえ、幾度もホワイトベースに敗北を重ね、左遷された挙句所属が変わり復帰していたシャアにこれでもかと悪態をつく。そして「私はお前のように失敗しない」とばかりにホワイトベース撃破を宣言するのだが…
- 「奴はなぜマスクを外さんのだ?」
- シャアが仮面を付けているのに疑問を持つ。事情を知らない部下からは「火傷を隠しているらしい」と説明されている。
- 実は劇中でシャアの仮面に疑問を抱いたのはコンスコンだけだったりする。
- 「ぜ、全滅? 12機のリック・ドムが全滅? 3分もたたずにか? き、傷ついた戦艦1隻にリック・ドムが12機も? ば、化け物か…!?」
- ホワイトベース隊、特にニュータイプに覚醒しつつあったアムロのガンダムに瞬く間に配下のMS隊が全滅させられ戦慄する。「化け物」はかつてのシャアもガンダムの性能に対して評していたが、皮肉にもコンスコンも自身が見下していたシャアと同じ発言をするのだった。
- 「は、話にならん! も、木馬1隻にこ、こ、こんなに梃子摺って、シャ、シャアが見てるんだぞ! シャアが! 特攻せよ、このチベを木馬の土手っ腹にぶつけい!!」
- 再度攻撃を仕掛けるも、またしてもMS隊は壊滅。この戦闘が中継されていた事やシャアに大口を叩いた事もあり進退窮まったコンスコンは特攻を指示するが…
【VS.シリーズにおける活躍】
連邦VSジオンシリーズ
コスト225の機体として登場。
基本的にはドムとほぼ同じ
エゥーゴVSティターンズシリーズ
EXVS.FB
ゲルググ(ガトー機)のアシストとして登場。ガトーのセリフからカリウスが搭乗している模様。
FORCE
僚機専用機として登場。ドムとの性能差は不明。
GVS.
ストライカーとCPU機として登場。
CPU機の性能はドムのコンパチといった形。EXVSのCPU版ドムと同様でジャイアントバズ、砂埃ダウンのヒートサーベル、回転移動を使ってくるが、目晦ましのメガ粒子砲は使用してこない。
【その他の活躍】
機動戦士ガンダム U.C.ENGAGE
アムロ・シャアモードでは、1stの作画を再現したアニメーションにてシャアが運用試験及び模擬戦のために赤いリック・ドムに搭乗。4機のザクを戦闘不能にする。
性能は確かだったが細かい挙動が苦手で動きが重いと指摘され、シャアは「これで
ガンダムに勝つのは想像できない」と苦言を呈しており、シャアとの相性は悪かったようだ。
ガンダムビルドダイバーズ
フォース「
鉄仮面ズ」のメンバーの一人で
ケツアゴシャアのコスプレをしたダイバーの機体としてシャア専用リック・ドムが登場。
特に見せ場もなく
ゴールドスモーと共に瞬殺された。
焼きたて!!ジャぱん
週刊少年サンデーに連載されていた、橋口たかし原作の料理漫画。
アニメ製作はガンダムシリーズと同じサンライズ。
アニメオリジナル回において、黒い三連星によく似た3人組のパン職人が、主人公・東和馬のパンを食べた時のリアクションで
颯爽たるシャア風のBGMと共に登場。
ちなみに、3人組の内の
オルテガ似の人は原作TV版で
ドズル役だった郷里大輔氏が担当という徹底ぶりである。
なんと宇宙でパン職人の
微妙にシーマに似ている梓川雪乃が駆る
ノーベルガンダムと戦い、ノーベルに踏み台にされたり、ハリセンで一刀両断された。
まるで違うアニメになっていたために
「(注)この番組は焼きたて!!ジャぱんです」というテロップが表示されていた。
後に銀魂でも
似たような事をやっていた。
ジオン少女物語
ガンダムエース創刊号に掲載されていた介錯氏による短編漫画。
ここではコンスコン率いるリック・ドムのパイロットは全員女性というハーレム状態設定になっている。
その一人フィーアはコンスコンが資金提供している孤児院出身で、彼の事を「足長おじさま」と呼んで慕っている。どう見ても短足だが
しかし、運命には逆らえず最後は原作アニメ通りアムロのガンダムによって雑に全滅させられた。
ジオン側が主役でメインキャラクターが美少女という共通点がある「
機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy」発表時にこの作品を思い出したファンもいたとか。
最終更新:2025年03月08日 13:28