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  • 寝ぼけ署長05眼の中の砂

harukaze_lab @ ウィキ

寝ぼけ署長05眼の中の砂

最終更新:2019年11月01日 05:58

harukaze_lab

- view
管理者のみ編集可
寝ぼけ署長
眼の中の砂
山本周五郎

-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)憐《あわ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)五|棟《むね》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]
-------------------------------------------------------

[#6字下げ]一[#「一」は中見出し]

 罪を犯した人間に対してわが寝ぼけ署長がどんなに深い同情と憐《あわ》れみを持っていたかということはもう度《たび》たび話しました。危うく罪に落ちようとする者を救った例も多いし、既に犯した者をもできる限り法の縛《いまし》めから解き放し、更生の途《みち》を立ててやった数も少なくありません。勿論《もちろん》、中には署長のちからに及ばないことがあって送局するより仕方のない場合があります。そういうときの署長の哀《かな》しげな諦めの悪いようすは忘れられません、彼を送局し犯罪者の烙印《らくいん》を捺《お》すことが自分の責任であると感ずるかのように、数日は訳もなくしょげかえって溜息《ためいき》ばかりついているという風でした。いつか殺人の罪で挙げられた男がありました、どう贔屓《ひいき》めにみても同情する余地のない事件で、ひと調べするとすぐ送ってしまったのですが、そのときでさえ署長は憂欝に黙りこくって部屋に閉じこもり、卓子に肱をついて両手で頭を支えながら、まるで良心の呵責《かしゃく》に耐えぬ人のように潔い溜息をつくのでした。私はそのときごく低い声で署長がこう呟《つぶや》くのを聞きました。
 ――神よ宥《ゆる》したまえ、かれらはその為《な》すところを知らざるが故《ゆえ》に。
 聖書にでもある文句ですか、私は知りませんが、人間の法律は赦《ゆる》すことができない、だが神よあなたは宥してやって下さい、恐らくそういう気持の祈りだったでしょう。私は聞いていて思わず頭を垂れずにいられませんでした。別のときは次のような詩の断片を書いて見せて呉れたことがあります。もう名は忘れましたが英国の画家で詩人だという人のものだそうです。
 Where Mercy, Love, and Pity dwell
 There God is dwelling too.
 慈悲と愛と憐愍《れんびん》の在《あ》るところ神もまた在りという、頭を垂れながら私はその詩句を思いだして、これこそ署長の気持を最もよく表わす言葉ではないかと思うのでした。然《しか》し全部が全部そんな風だったとは云えません。稀《まれ》には心《しん》そこ怒って容赦のない方法を執ることもありました。尤《もっと》もそれが独特な遣《や》り方なので、我われから見ると寧《むし》ろ手ぬるく感ずるほうが多かったものですが、……さよう、あの鬼徳の事件などはその代表的なものでしょう。然しまず珈琲《コーヒー》でも淹れ替えてからに致しましょうか。
 花が終って若葉にかかる鬱陶しい季節のことでした。公園の下に「茶仙」という大きな料亭のあるのを御存じですか、旧城趾の一部をとりいれたもので、蘚苔《せんたい》や歯朶《しだ》類の密生した岩蔭から湧《わ》き出る水をひいた池があり、暗いほど鬱蒼《うっそう》と蔽《おお》い繁った古い樹立《こだち》など、自然のまま余り作らない二干坪ほどの庭の中に、五|棟《むね》の建物が渡り廊下でつながっています。今では鉱泉など設けて繁昌するそうですが、その頃は宴会が主で平常は閑散なもので、半日くらいは暢《のん》びりと手足を伸ばしにゆけたものです。私はよく署長に伴《つ》れられてそこへゆきました。尤《もっと》も飲み食いは二の次で、頭や躯《からだ》を休めるのが目的だったようです。二品か三品の料理で少量の酒か麦酒《ビール》を飲むと、あとは寝ころんだり私と下手《へた》な将棋《しょうぎ》を指したりして暮すという風でしたから、……その日も食事のあとブランデイを取って、それを舐《な》めながら将棋を始めました。私もむろん下手ですが署長のは、それに輪をかけたうえ長考で、角道を通すなり考えこむというほうです。然も例のとおり考えてるのか眠ってるのかわからないというやつですから、勝負など念頭に置いたら、こっちがまいってしまいます。そこでただお相手に駒《こま》を動かすという程度に止めて、私は私で好きなことを考えるといった風でした。
 一番にたいてい二時間はかかる将棋がちょうど中盤になりかかったところで、署長は交換した角を打つのに考えこんでいました。傾きかけた晩春の午後の光りを浴びて、庭の樹々は燻《いぶ》しをかけたようなそれぞれの嫩葉《わかば》の色を、さびた古代錦《こだいにしき》かなんぞのようにしっとりと浮き出させています。こんなにも嫩葉の色は美しく多種多様なものかと、私は殆んどびっくりして眺《なが》めていましたが、ふと渡り廊下に人の足音がして、隣りの部屋へ誰かはいって来るのを聞きつけました。……女中でも用を訊《き》きに来たのだろう、そう思っていますと、そっちの部屋でひそひそと話し声がし始めたのです。
「これこないだ話した薬や」こう男の声が云いました、しゃがれたような、そのくせ妙に細いきいきいした声です、「一週間ぶんはいったる、朝飯まえに一服、夜寝る前に一服、一日に二度ずつ服《の》むねんと、ええか一日二度やで」
「あたし厭《いや》です」こんどは女の声でした、泣きそうな、そして恐怖に身を縮めているという風な声でした、「よく考えてみたんですけど、あたしとても、とてもそんな恐ろしい事はできません」
「今になってそんなこと云うたかてあかんがな、県会の選挙は迫っとるし、もし政心会のやつらにでもこんなこと嗅ぎつけられてみ、それこそなにもかもわややないか、おまえかて今の若さで子持ちになることあれへんやろ、子が欲しいやったら先へいってからでもできるがな、わからんこと云わんと、これ服んでさっぱりし、ほしたらあの帯と着物を買《こ》うたるがな、文ちゃん」

[#6字下げ]二[#「二」は中見出し]

 これがあなた方でしたら、有触れた情事の一齣《ひとこま》を聞いたというだけで、さしたる興味も感じないでしょうけれど、私たちはこうした場合どうしても職業意識に駆られ易《やす》いものです。署長はそれをなにより嫌っていましたから、私もできるだけ聞かないように努めるのですが、隣室のひそひそ話くらい耳につくものはありません。そのうちに女は泣きだしました。そして結局は男の云うことを承諾したのでしょう。二人は間もなく廊下へ出て去ってゆきました。
 署長は眼をつむって、いい心持そうにすうすう鼻息を立てています。私はブランデイを杯に注《つ》いで飲みました。いまの男の卑しげな声や言葉つきが頭にこびりついているようでやりきれなかったのです。純然たる関西弁でもない、どこかそらをつかうような狡猾《こうかつ》な響きのある言葉でした。私の知人でT……という洋画家がいます。秋日会の会員で相当知られてもいるし、画はうす汚《ぎた》ない妙なものですがよく売れるので有名でした。彼は湘南地方の生れにも拘《かかわ》らず巧みに関西弁をつかうのですが、それが「商売上のこつだ」というのでした。「標準語でやると画なんか売りにくいが、関西弁でやればすらすらとゆくし、必要となれば相当ぼろいこともできる」こう云っていました。厭なやつだと思いましたが、隣室の男の言葉がそれと同じような感じで、私の印象につよくのこったのでした。
 それから半月ほど経った或る日のことです。官舎から署へ出勤すると、本署の門前に十人ばかり貧しい恰好をした男女が待っていて、署長を見るなりわっと取巻いて口ぐちになにやら訴え始めました。みんながいっぺんに饒舌《しゃべ》るので訳がわかりません。私は大声に制止して、「話があるなら代表を出して云うがいい」と云いました。
「それみろ、だから俺がこういうことには総代というものが要《い》ると云ったんだ」四十ばかりの車力《しゃりき》風の男がこう云って前へ出ました、「へえごめん下さいまし、わっし達は栄久町の五十軒長屋の者でございますが、今朝《けさ》っからわっし共の長屋へぶち毀《こわ》しがやって来ましたんで、どうか警察の旦那《だんな》のおちからですぐに停《と》めて頂きたいんでございます」
「長屋へぶち毀しが来たって」署長はちょっと鼻でも痒《かゆ》いような顔をしました、「だがそれはいったいどういう訳なんだね」
「訳はまあ色いろございますが、先にそのぶち毀しのほうを停めて頂きたいんで、へえ、それでないとわっし共は今夜っから野宿しなけりゃあなりません、どうかひとつすぐにお願い申したいんで」
「では誰か遣《や》ろう、然し、まず通して呉れないか」
 かれらは道を明けました。署長は保安課の者を二人呼び、かれらと一緒にいって事情を調べて来るように命じました。……毎朝きまりの事務を終って一時間ばかりすると、保安課の刑事の一人が帰って、報告にきました。事情というのは簡単でした、栄久町の地続きに住んでいる八巻徳兵衛《やまきとくべえ》という金融業者が、五十軒長屋の土地を買い取り、三月まえに長屋の者へ立退《たちの》きを申渡した。然し期限が来ても立退くようすがないので、強制的にいま長屋を毀し始めているとこういう話でした。
「八巻というのは県会議員の候補者に立っているあの八巻氏かね」
「そうです、例の鬼徳という綽名《あだな》のある」
「そんな蔭口はいかんね」
「然しずいぶんあくどい事をしているらしいです、人事相談係へ泣き込んで来た者も相当ありますが、調停などには決して譲歩した例《ためし》がありません、なにしろ八巻徳兵衛ではわからなくとも鬼徳といえば知らない者がないくらいですから」
「ああいう職業は誇張して反感をもたれるものだ、そして世間の評というやつは無責任だからね、そういう眼で人を見ることは慎まなくてはいかん、だがそれで長屋の事はどういう風にして来たんだ」
「折井君が八巻氏に交渉すると云って残りました」
「折井君じゃ無理だったな」
 署長は独《ひと》り言《ごと》のようにそう呟きました。果してそのとおり、折井刑事はそれから一時間程して帰りましたが、長屋の者五人と八巻徳兵衛氏が一緒でした。署長はかれらに会いました。……長屋の五人は今朝みた顔で、例の車力風の男が主として口を利《き》きました。八巻氏は五十五六だったでしょう、固肥《かたぶと》りの猪首《いくび》で、手足の太短いずんぐりした躯に、頬肉《ほおにく》の瘤《こぶ》のように盛上った、眉の際立って濃い口の大きい、なにやら露骨な感じのする顔です。それから話すとき口いっぱいに、金歯の見えるところや、眼つきのすばしこい動き方などに、冷酷と狡猾とがあからさまに表われていました。実際あんなに典型的に不愉快な風貌《ふうぼう》というものも珍しいでしょう、然もその細い厭なきいきいとした話し声ときたらまったく忘れられないものでした。

[#6字下げ]三[#「三」は中見出し]

「わたくし八巻でございます」椅子へ掛けるなり八巻氏は取入るような薄笑いを浮べながら署長にこう話しかけました、「お噂《うわさ》は兼がね承っておりました、ぜひいちどお眼にかかって御高説を拝聴しようと思いながら、つい機会を得ませんで残念しておりました、どうぞ今後ともひとつ」
「君その窓を明けて呉れないか」署長は相手の言葉を遮《さえぎ》って私にこう命じました、よほど癇《かん》に障《さわ》ったのでしょう、こんな不作法なまねは署長には例の少ないことです、それからしずかに八巻氏へ会釈を返しました、「……失礼しました、で、用件にかかりましょうか、多忙なものですからなるべく簡単にお願いします」
「ええもう事件はごく明瞭なものでございます」八巻氏は能弁に始めました、「御存じかと思いますがわたくしの邸《やしき》は五年ほどまえに建築したものでございまして、敷地も二百坪ばかりございますが、これは新村さん、御存じでしょうな、あの資産家の新村正吾さん、あの方の地所なんでして、わたくし非常に気にいったものですからぜひ譲って頂きたいとこう思うんですが、どうしても手放して下さらない、もちろん新村さんとしましてはあのとおりの大資産家ですから」
「失礼ですが、どうか話を簡単にして下さい」
「承知しました、ごく簡単に、つまり、そういう訳でわたくしの邸の地続きに百五十坪ばかり土地を買いました、御存じのとおりあそこには五十軒長屋と呼ばれる貧民窟《ひんみんくつ》がございます、もう立腐れ同様のひどい建物ですし、泥溝《どぶ》は溢《あふ》れ放題、ぼろを着たでき物だらけの子供たちはうじゃうじやいるし、喧嘩《けんか》と酔っぱらいと不道徳の巣のようなものです、ああいうものは社会が」
「もういちどお願いします、どうか用件だけにして下さい、用件だけに」
「然《しか》しこれはかなり重要な点なのですがな、わたくしがあの土地を買収して邸を拡《ひろ》げるに就いては、あのような不潔な地区を取払って幾分でも市の風紀粛正のために資そうという、いや宜《よろ》しい、わかっております」八巻氏は署長の眉が険しく顰《しか》むのを見て慌《あわ》てて首を振りました、「では当面の問題に限って申上げましょう、そういう訳で土地を買収したのが一月二十日のことです、それからすぐ長屋の持主、川口幾三という者ですが、それを介して長屋の三十四世帯に立退き料を渡し、三カ月を切って移転するという契約を取交《とりか》わしたのでございます、その期日は五日まえに過ぎているのですが、長屋の人間は言を左右にして立退きませんので」
「立退き料の残りを払わないからですよ貴方《あなた》」と例の車力風の男、彼は木村熊造という名でしたが、ひどくせきこんで署長にこう訴えました、「いくらわっし達が貧民窟の人間だからって貴方、一軒あたり二円五十銭という立退き料はあんまりでさ、山吹町で立退きがあったときなんぞは五人家族で二十円、三人でも十五円は貰ってるんですからな」
「いやわしの手からは一世帯に就いて三円八十銭ずつ出してあるんだ」八巻氏は彼に向ってこう云いました、「その差額は家主の川口が取得したもので、それはなんども云ってあるじゃないか、契約はすでに書類になって厳存しているんで、法律上いかなる異議も挿《さ》しはさむ余地はないんだ」
「だっておまえさん、一軒あたり五円ずつ追加するという相談には考えて置くと約束しなすったでしょうが」
「それは考慮するとは云ったさ、然し考慮の結果その必要を認めなければ、すでに完了した契約を実行するのに些《いささ》かも拘束される理由はないんだ」
「それはおまえさんのほうの理屈だ」長屋の者の中から一人の老人がそう云った、「酔っぱらいがどうのぼろを着た子供がどうのと云わっしゃるが、貧民窟に住んでたって人間は人間ですぜ、わっし共はしがねえ暮しだ、ああいう乞食《こじき》小屋のような処《ところ》でもあればこそ親子が雨つゆを凌《しの》ぐことができる、あそこを追っ立てられたら今日が日どこへ寝る処もありゃあしません、それを貧民窟はうす汚《ぎた》なくて悪い者の巣だとか、人間らしい人間はいねえようなことを云って、むりむたいにぶち毀《こわ》しを」
「爺《じい》さんもういいよ」署長が、しずかにこう制しました、それから例のように眼をつむって、ほっと溜息《ためいき》をついてから続けました。
「だいたい話はよくわかりました、そこで八巻さんにお訊《たず》ねしますが、貴方は長屋をそのままにして置くお積りはございませんか、もしそうして遣《や》るお積りがあれば、彼等はひじょうに助かると思いますがね」
「おまへんな」八巻氏は言下にこう答えました、「こっちゃに邸を拡げる必要もありますし、市の風紀上の意味からしましても、あんな不潔な地域は取払わなあきまへん」
 私は八巻氏が急に関西弁を使いはじめたとき、思わずどきりとして署長の顔を見ました。聞いた声です。紛れもなく「茶仙」の隣り部屋で聞いた声なんです。署長は……気がつかないのでしょうか、相変らずじっと眼をつむったままでした。
「ではどうでしょう、彼等が住居をみつけるまで、立退きを延期してやって頂けないでしょうか」

[#6字下げ]四[#「四」は中見出し]

「いやそのために三カ月まえから期限付で立退きを通告しておりますので、またここで延期してみても同じことでっしゃろ、どうせ約束などの守れる連中やおまへんし」
「もう一つお伺いします、彼等に立退き料を追加してやって頂けないでしょうか、一世帯に二円五十銭というのは少し安いように思われますが、どうでしょう」
「せっかくですが契約が済んで期限も経過したことですよって、今さらそんな面倒なこと考えとうおまへんな、それに幾ら遣ったかてみな飲んでしまう連中やさかい、心配するだけむだやと思いまんね、金を遣れば遣るだけ悪い習慣をつけるようなものですよってな」
「ぜんたいとして、譲歩の余地はないという訳ですね」
「それで異議があるなら法律に訴えるがええやろと思いますな、日本は法治国ですよって、法律がきっと正しい裁きをして呉れまっしゃろ」
「よくわかりました」署長は眼をあけて八巻氏を見ました、「それではもうお話の必要もありませんからどうぞお引取り下さい、長屋の人たちにはこちらでよく話すことに致します」
 八巻氏はまた追従笑《ついしょうわら》いをしながら、いちどゆっくり「御高説を拝聴したい」などと云って、せかせかとひとり先に去ってゆきました。……署長は暫く眼を伏せたまま黙っていました。それからやがて謝罪でもするような顔つきで五人を眺《なが》め、低い声でこう云いました。
「お聞きのとおりだ、私のちからではこれ以上の事はできない、でそこで改めて相談だがね、警察の寮を明けるから、当分そこへはいって我慢して貰えないだろうか」
「寮を明けて下さるんですって」
「三十なん世帯とか云ったね、少し狭いかも知れないが、当分の辛抱だから、それで我慢して貰いたいんだ、半年もすればまた元のような住居を心配するがね」
 五人は顔を見合せました。彼等にすれば渡りに舟でしょうが、あまりうますぎるので却《かえ》って途惑いをしたようです。然し今夜の寝場所に困っているんですから問題はありません。
「それは本当でしょうか」と、さっきの老人が云うのをきっかけに、五人は代る代るぜひそうして貰いたいと頼むのでした。
「それでよかったら帰って引越しの支度をしたまえ、寮のほうもすぐ明けて待っているから」
「有難うございます、おかげさまで八十七人が野宿せずに済みます」熊造がこう云って額を卓子へごつんとぶっつけました、「早く帰ってみんなに安心させてやりますですから、ではまた後ほど……」
 よかったよかったと、甦《よみがえ》ったように元気になって五人も去ってゆきました。署長はすぐ係りの者を呼んで、寮にいる者を署の道場へ移すように命じました。非番呼集をして荷物を運び、掃除を入念にして置くようにというのです。係りは困惑しました。
「然し署長、それは規則に触れはしないでしょうか」
「規則というものは守るより用いることのほうが大切なんだ、責任は僕がもつよ、君は云われたとおりにして呉れればいい、すぐ頼む」
 係りの者が出てゆくと、署長は明けてある窓へいってながいこと外を見ていました。その逞《たくま》しい肩のあたりに、抑《おさ》えても抑えきれない忿《いか》りの姿勢が表われているようにみえます。そうして殆んど五分間もじっと立っていたのち、署長は呻《うめ》くような調子でこう去いました。
「眼裡《がんり》の砂、耳裡の土という言葉がある、誰でも眼の中へはいった砂や、耳に填《つ》まった泥はそのままにはして置けない、どうしたってすぐ取り除かずにはいられない、……そうだろう」こう云って振返り、私の顔を恐ろしい眼で睨《にら》みつけました、「法律の最も大きい欠点の一つは悪用を拒否する原則のないことだ、法律の知識の有る者は、知識の無い者を好むままに操縦する、法治国だからどうのということをよく聞くが、人間がこういう言を口にするのは人情をふみにじる時にきまっている、悪用だ、然も法律は彼に味方せざるを得ない、……君はたぶんまた中学生のようなことを云うと思うだろう、結構だ、なんとでも思いたまえ、然し中学生は自分の利益のために公憤を偽りはしないぜ、でかけるんだ、支度をしたまえ」
「今日は午後から分署会議がある筈《はず》ですが」
「そんなものは犬に食わせろ、延期だ」
 寝ぼけどころか、まるでだだっ子です。私は慌《あわ》てて主任に分署会議の延期を知らせ、署長のあとから駆けだす始末でした。……自動車で、まずいった先は栄久町でした。そこではさかんに毀されている長屋の中から、男も女も土埃《つちぼこり》をかぶって、貧しい荷物を運び出したり車へ積んだりしています。署長はそっちへ歩み寄りながら、取毀しの指図《さしず》をしている男に「おい君」と呼びかけました。
「あのとおり引越しを始めてるじゃないか、毀すのを少し待ってやりたまえ」
「なんだって」ゴルフ・パンツを穿《は》いて太い桜の杖《つえ》を持った相手の男は、なにをこいつがというようにこっちを見ました。署長は背広ですからちょっとわからなかったのでしょう。然し側にいる官服の私を見て、さすがに職業柄すぐ察したとみえ急いで冠《かぶ》っていた鳥打帽を脱ぎました。

[#6字下げ]五[#「五」は中見出し]

「話はもうついているんだ、あんまりあこぎなまねをするもんじゃない」署長は露骨に不愉快な表情でこう続けました、「それより手が揃《そろ》ってるなら引越しの手伝いでもしてやるがいい、そのほうが物事が早く片付く訳じゃないか」
 云い終るとすぐ踵《きびす》を返して、長屋の横から裏へまわり、八巻氏のいわゆる「邸《やしき》」なるものを見ました。五寸釘《ごすんくぎ》を逆さに植えた高い板塀《いたべい》をめぐらせた中に、葉の赤ちゃけたひょろ長い檜葉《ひば》の梢が見え、まわってゆくと「八巻家勝手口」という木戸があって、その脇《わき》に大きく「悪犬あり警戒せられたし」と書いた板が打付けてあります。署長はくるっと背を向けて引返しました。
「俗悪と劣等の典型だ」自動車に乗ってから署長はこう呟《つぶや》きました、「哀れむべき人間だ……」
 そして眼をつむって考えこむのでした。車は次に公園下の「茶仙」に着けられました。私は署長がなにを考えてそこへ来たかおぼろげに推察し、ちょっと胸の躍《おど》るのを禁じ得ませんでした。いつも来る部屋へ通ると果して署長は案内して来た女将《おかみ》に「お文さんという女中がいるかね」と訊《き》きました。
「ええいることはいますけれど」
「ちょっと会いたいんだが、ここへよこして貰えないかね」
「さあ」女将は困ったという顔をしました、「あの子は他のお客さまには出さない約束で預かっているものですから……」
「仕方がない、では署長として会わせて貰おう」
「なにか、あの子が間違いでも……」
「会ってみなければわからない、とにかくここへ呼んで呉れたまえ」
 女将はすぐ一人の若い女中を伴《つ》れて来ました。年は二十そこそこでしょう。病後のように悪い血色をしていますが、まだ娘むすめした躯《からだ》つきで固く結んでいる唇の両端にぽつんと笑窪《えくぼ》の出る、寂しげな、けれどあどけない顔だちです。署長は女将が去ってからも暫くなにも云わず、ながいこと眼をつむってじっとしていました。娘は段だん不安そうなようすを示し始め、膝《ひざ》の上で頻《しき》りに両手の指を解いたり絡《から》めたりしながら、脅やかされた鳩のような眼で、ときどき署長の顔をぬすみ視《み》していました。
「君は夢を見ないかね」やがて署長は低い声でこう云いました、「……見る筈だと思うがね」
「さあ……」娘は困惑したような顔で、すばやくちらと私のほうを見ました、「夢って云いますと、どういうことなんでしょうか」
「夢だよ、赤ん坊の夢だよ」
「…………」
「まだこんな小さな、ようやくかたちの出来かかったばかりの、赤ん坊の夢だ」
 突然きゃっというような、鋭い悲鳴をあげた娘は、両手で耳を塞《ふさ》ぎながらそこへ俯伏《うつぶ》せに倒れ、「嘘です、嘘です、私じゃありません」と絶叫しました。
「私は知りません、厭《いや》だと云いました、そんな恐ろしい怖《こわ》いことはできません、私は決して致しません、したのはあの人です、あの人が、あの人が無理にしたんです、あの人が」
 神経症の発作《ほっさ》のように支離滅裂で、然も明らかに告白の意味をもった叫びでした。そしてあとは身を震わせながら泣くばかりです。署長は黙って、眼をつむったまま娘の鎮《しず》まるのを待っていました。弱い者に対して誰よりも深い同情と憐《あわ》れみをもつ署長が、そのときどんなに辛《つら》い気持でいるかはお察しがつくでしょう。私はかたく閉じた署長の眼のふちに、涙が溢《あふ》れていたのを忘れることができません。
「さあお立ち、いっしょにゆくんだ」娘の泣き声が低くなるのを待って、署長はやさしくこう云いました、「汚れたものは早く洗わなくちゃあいけない、洗ってきれいになるんだ、私はお文さんの味方だよ」
 娘は覚悟をきめたという風に、泣きじゃくりをしながら立ちました。……身のまわりの物をあとから署へ届けるように、そして娘を拘引したことは厳秘にするように、署長はかたく女将に云い置いて自動車に乗りました。外はいつか小雨になっていました。署長は憂鬱そうな眼で窓から空を見やり、「引越しはまだ終らないだろうな」と呟きました。
 車が大通りへ出たときです。機械に故障でも起こったのでしょうか、本署とは反対の方向へ向って狂気のように疾走し始めました。私は身を乗出して「どうしたんだ」と訊きました。運転手は振返って叫びました。
「じっとしていろ、邪魔をすると車をぶっつけて共死にだぞ」
 私は声が喉《のど》に詰りました。振返ったのは運転手ではない、上衣《うわぎ》と帽子は同じですが人間がまるで違っているんです。私は署長を見ました。署長は眉も動かさずに前方を見まもっています。自動車は踊り上ったり横にスリップしたりしながら、小雨の街を矢のように、郊外へ向って走り続けました。

[#6字下げ]六[#「六」は中見出し]

 この運転席にいる見知らぬ人間がなに者でなにを企《たくら》んでいるのか、私にはもちろんすぐに見当がつきました。云うまでもなく八巻氏の手先に違いない、「茶仙」で私たちが娘を調べていたとき、おそらく八巻氏が来合せてその事を知り、先まわりをして私たちの誘拐《ゆうかい》を計ったに相違ない、私はそう思いました。氏にすればお文が検挙されることは堕胎教唆《だたいきょうさ》の発覚するもとですから、非常手段に訴えても妨害しようとするのは当然でしょう。そうとすれば我われはどうなるか、相手は我利我欲でかたまった、冷酷な、「鬼徳」という綽名《あだな》さえもった人間です。殊によれば生命の危険も考えなければなりません。正直のところ私は腋《わき》の下に冷汗の流れるのを感じました。……なにかこの危機を※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]《のが》れる方法はないだろうか、私は救いを求めるように幾たびも署長を見ますが、相変らず署長は前方を見つめたまま眼も動かしません。車は既に市街を出て畑と雑木林の続く県道をまっしぐらに北へ向って走っていました。そしてあの中野川の長い鉄橋にかかろうとした時、とつぜん車は急停車したのです。乱暴きわまる急停車で烈しい軌《きし》りと共に車はスリップして、危うく道路から堤の下へ転《ころ》げ落ちそうになりました。
「二人だけ下りろ」運転席にいた男はこう叫びながら、拳銃《けんじゅう》でもはいっているのでしょう、右手をポケットに入れて突き出しました、「女を残して二人だけ下りるんだ、邪魔をすると射つぞ」
「下りるよ」署長はこう云ってゆっくりと腰をあげました、「ただひと言だけ訊きたいんだが……」
「なにも云うな、早くしろ」
 私はこのとき初めてその男をよく見ることができました。年は二十七八でしょうか、痩せた神経質そうな顔で、血走った少し茶色な眼を大きく瞠《みひら》き、白くなった薄手の唇を小刻みに震わしています。異常な昂奮《こうふん》……そうです。計画的な悪事などできる相貌《そうぼう》ではない、ごく小心な人間が異常に昂奮している、そういう感じなんです。――こいつゆけるぞ、私はそう思ったので、署長が下りるとたん、娘の躯を抱きあげて前へまわし、射撃に備えながらどなりました。
「署長たのみます」
 運転席の男はあっと叫び、右手を入れたポケットを突出しながら中腰になりました。然し娘が盾《たて》になっているので即座に射つ勇気がない、同時に署長が運転席の扉を明けてとび込みました。
「五郎さんやめて」
 娘のひき裂けるような叫びと、耳を殴《なぐ》られるような銃声とがいっしょに起こり、塵除《ちりよ》け硝子《ガラス》が飛びました。ほんの五秒ばかりの格闘です、署長は若者を座席の隅へがっしり押えつけ、拳銃をもぎ取りながら、「捕縄《ほじょう》をよこせ」と私に云いました。私は捕縄なんぞ持って歩いたことがありません。帯革《おびかわ》でも外《はず》そうかと思いましたが、それより先に若者がこう哀願しました。
「もう手向いはしません、どうか縛るのは勘弁して下さい、おとなしくします」
「この車の運転手はどうした」
「茶仙で飲んでいます」
「共謀者が待伏せしているようなことはないか」
「そんな者はいません、誓います」
 そう云う若者のようすをじっと見ていた署長はやがて頷《うなず》くと共に自分が運転席に坐ってハンドルを握りました。……それから本署へ着くまで、娘も若者も泣き続けていました。さっき娘が「五郎さん」と叫んだことや、そうやって二人で声を忍んで泣いているようすを見ますと、彼等の関係は初めに私の推察したのとは違っているらしい、この若者は八巻氏の手先ではなく、寧《むし》ろお文と直接につながりをもつ人間のようだ。そう思いながら、私はひきいれられるように彼等の泣く声を聞いていました。
 署へ着くとすぐ茶仙へ電話を掛けました。運転手はまだそこで車の帰るのを待っていましたから、本署へ取りに来るようにと知らせてやり、かたがた若者との関係を訊ねましたが、これは若者の云うとおりまったく無関係だということがわかりました。……二人を別べつの保護室に入れ、その日はそのまま訊問もせずに官舎へ帰りました。夕食のあと、私は命ぜられて寮のようすを見にゆきましたが、降りだした雨のために却《かえ》って引越しは手早く済んだようすで、もうすっかり片付いた部屋部屋に、賑《にぎ》やかな夕餉《ゆうげ》のざわめきが聞えていました。官舎へ戻ると署長は留守でした。散歩をして来ると云って出たそうですが、帰ったのは十二時に近いじぶんでした。
「魚市場ですか」私がそう訊きますと、
「うん?……ああ、そんなものだ」署長はこう云ってゆっくり首を振りました、例の張子の虎のような具合にです、「生れて始めて、借金というものをして来たよ、ばかな話さ」
「なにかそんな御入用があるんですか」
 署長はもう答えないで、黙って寝室へ去ってしまいました。
 明くる日、署長はまず若者を呼んで調べましたが、事件は私たちの予想とはかなり違った内容のものでした。若者の名は八巻五郎といい、徳兵衛氏のひとり息子で、お文の相手は実はその五郎君だったのです。

[#6字下げ]七[#「七」は中見出し]

「この世の中のどんな人間よりも、私は私の父を憎みます」
 こう云って語りだした五郎君の話を要約してみましょう。徳兵衛氏が今日の資産を積むに至った経歴は省きます。いわゆる高利貸という存在の典型的なもので、その貪欲《どんよく》と冷酷と卑劣とには同情の余地もなし口にするのも不愉快ですから、……八巻氏は店のほうには使用人を置かず、(人を信じない性格から)妻と五郎君を雇い人と同様に使って来ました。妻君は良人《おっと》に似て欲の深いうえに吝嗇《りんしょく》で、職業上の或る面では寧《むし》ろ八巻氏に輪をかけた腕をもっていたそうです。こういう両親の中に生れながら、五郎君はごく温和な優しい性質でした。親が親なので幼い頃から友達がなく、独《ひと》りで野山へいっては松杉の苗だの花の咲く草などを採り庭の隅に植えて育てるのが唯一の楽しみでした。迷い犬や捨てられた猫の仔《こ》などを見るとそのままにできず、そっと物置の中へ入れて自分の食事を分けて飼ったりする。もちろんみつかれば容赦なく抛《ほう》りだされてしまうし自分もひどく折襤《せっかん》されるんですが、やっぱりそんな犬や猫を見ると拾って来ずにはいられなかったそうです。……五郎君は中学校へあがりたかった。然し高等科さえもやって貰えず六年を卒業するとそのまま店の仕事に使われました。色いろな事をやらされましたが、その中の一つだけを挙げましょう。それはなかなか借金を払って呉れない家へいって「泣く」ことでした。多い中には鬼徳夫妻でも手を焼くような借手がいます。そういう家へ遣《や》られるのです。そして、「お金を呉れなければ、帰っても家へ入れて貰えません、御飯も喰《た》べさせて貰えないんです、お願いします、どうか少しでもいいからお金を下さい、お願いします」と云って、しまいには土間へ坐って、額を土につけて「泣く」んだそうです。できるだけ大きな声をあげて、哀《かな》しげに、……もちろんこれはすべて両親に教えられた芝居なんです。
「君は本当にそれをやったんだね」署長はそこまで聞くと、こう云って大きく眼を瞠《みは》りました、卓子の上で握り合せた拳《こぶし》が震えていました、「十三や十四の年で、本当に君はそんなことを……」
「やったんです、そして私は思いだすたびに、恥ずかしくて死にそうです、子供ごころにもどんなに辛いことだったか、貴方《あなた》がたに御想像がつくでしょうか」
 傷つける魂、私は息苦しいほどの義憤を感じながら、心のなかでふと呟きました。五郎君の言葉は虐《しいた》げられ傷ついた魂の告白のように思えたからです。だがもうたくさんです。話を急ぎましょう。……不断の精神的圧迫と不良な栄養とで、五郎君は極めて虚弱な青年に育ちました。兵役《へいえき》は丙の免除だったそうです。その頃にお文が八巻家へ女中に来ました。彼女はごく貧しい日雇取の娘で、八人きょうだいの三女ですが、二十円という金の代りに年期十年の約束だそうで、来たときの年は十三、気だてのやさしくて明るい、はきはきとなんにでも役に立つ少女だったと云います。三年ほど経つうちに、五郎君と彼女とは仄《ほの》かな愛情を感じ始め、やがてそれが恋に進みました。そういう家庭のことですから、二人だけで話す機会などはもちろん、そっと眼をかよわせるにさえ両親を恐れなければならない、まるで苔《こけ》の花のようにかなしく恵まれない恋だったのです。抑《おさ》えられた熱は、抑える力の大きいほど強烈になるものです。二人の情熱は或る偶然の機会に恵まれたとき、いっぺんに燃えるところまで燃えてしまいました。……たったいちどでした。けれども彼女はその結果を身内に受取ったのです。三カ月めに母親が発見したときの騒ぎは話すまでもないでしょう。八巻氏は金融関係で交渉のある「茶仙」の女将に彼女を預けました。そして毎日のように通って来ては堕胎を強要したのです。
「お文の妊娠がみつかったとき、私は家をとびだしました、そして吾妻自動車商会へ運転助手にはいったのです、昨日の運転手とはそのときから口を利《き》くようになったのですが、そうやって吾妻タクシーで働きながら、私はお文を伴《つ》れだして一緒に逃げようと思っていました、然し一度だけ茶仙の女将に頼んで話をしたきり、それからは逢うことさえできません、気の小さい私は色いろと考えて絶望的になってゆきました、唯いちど逢ったとき、お文は父の強要で堕胎したこと、その罪の怖《おそ》ろしさと、闇へ葬った子のいとしさのために、もう生きているのも厭《いや》になったと云っていました、私はお文の言葉をしんけんに考えるようになり、やがて二人で死のうと決心しました」
「拳銃はそのため持っていたのだね」
「家を出るときそっと持出したのです、そのときはそんな事に使おうとは思わなかったのですが」五郎君はのめるように頭を垂れました、「……昨日あの茶仙へいって、立ち話でもいいからと頼みました、すると警察から調べに来ているというのです、私はこれが最後だと思いました、それで……」

[#6字下げ]八[#「八」は中見出し]

 五郎君を保護室へさげて、こんどはお文を呼びました。これは堕胎の方法と時日と、胎児の処置を調書に取るのが主で、八巻氏の強要した点、薬品の効果がないため氏が老助産婦を伴れて来て施術した点など、特に精細に書き留められました。……終ったのはもう午《ひる》すぎでしたが、署長は食事をしようともせず、不味《まず》そうに茶を啜《すす》っただけで立ち上りました。
「君は捜査係の者と協力して、この婆さん助産婦というやつを捜し出して呉れ、できる限り早く、……うっかりすると先廻りをされるぞ、……僕は二時間ばかりでかけて来る」
 こう云って署長の出ていったあと、私は捜査係長と相談してすぐ命ぜられた手配をしました。……その助産婦がみつかって、署へ連れて来られたのは三日後のことでした。「八巻さんから人工流産の要ありという内科医の証明書を見せて頼まれた」と案外すらすら事実を承認しました。内科医の名も覚えていず証明書も保管していません。もちろん違法ということを知ってやった仕事です。署長はこれも調書を取っただけで帰してやりました。
「調べられたことは内証だよ婆さん」署長はこう念を押しました、「もしおまえさんが饒舌《しゃべ》って誰かに知れでもすると、おもて沙汰《ざた》にしなければならなくなるからな、決して他人に饒舌るんじゃないよ」
 こうして切札は揃《そろ》いました。いよいよ八巻氏に手を打つ番です、さて署長はどんな方法をとるだろうか、私はぞくぞくするような気持でそれを待っていました。然しなにことも起こらないのです。なにごとも、……五郎君とお文の二人は六日めに署を出され、そのまま私たちの前には現われませんてした。八巻氏は間もなく行われた県会議員の選挙に当選して、華ばなしく県の政界へ乗り出しました。そしてなにことも無かったかのように、平穏無事に時日が経ってゆきました。
「大山《たいざん》鳴動して鼠一匹いでずか」私は唯こう云ってみました。少しばかり中《ちゅう》っ腹《ぱら》になっていたわけです。
「なんだいそれは」署長は私の顔を眠たそうな眼で見ました、「大山なんか、どこでも鳴動しやしないじゃないか」
「八巻氏はもう旺《さか》んに利権あさりを始めているそうですよ」私はわざと知らん顔をしてそう云いました、「適者生存はやっぱり鉄則とみえますね」
「そんなものだろうね」
 署長はそれっきり眼をつむってしまいました。……夏が去り秋になりました。十月にはいって間もない或る日、警察の寮にいた長屋の人たちの引越しがあり、一日じゅうわっわという騒ぎでした。どういうわけか彼らの喜び方は度外《どはず》れにみえましたが、それよりも六カ月のあいだ道場で寝起きをしていた警官たちの喜びのほうが大きかったでしょう。こっちはその夜「復寮祝い」というのを盛大にやったものです。
 そういう騒ぎのあった翌々日の朝、八巻氏が面会を求めて来ました。署長は待たせて置けと云って、一時間ばかり事務を執り、片付くと記者室にいた新聞記者を五人とも署長室へ呼びました。……こんな例はめったにないことです。なにか重大事件の発表があると思ったのでしょう。記者たちはみんな緊張した顔つきで、はいって来るなり手に手に鉛筆と紙を取上げるのでした。
「当市の或る処《ところ》で、妊娠四カ月の胎児の死躰《したい》が発掘された」署長はこう云いだしました、「凡《およ》そ七カ月前のものと推定される、殆んど腐っているが、不熟練な手で鉗子《かんし》を使った痕《あと》が遺《のこ》っている、明瞭な堕胎事件だ、これから実地検証に行くから来たまえ、然し、……いま人に面会を求められているので、その客と用談が済むまで待って貰う、いや、遠慮はいらない、みんなここにいていいよ、客は新しい県会艤員の八巻氏だから」
 そして八巻氏を通すように云いました。……半年まえに比べて氏はいっそう肉が付き、猪首《いくび》を緊《し》めつけるカラーが苦しそうにみえました。氏は昂奮《こうふん》というより激昂《げっこう》に赧《あか》くなった顔で、集まっている記者たちをじろりと見ました。
「わたくしは貴方とだけお話をしたいのですが」氏は威厳を示すように胸を張ったものです。
「これはみな当市の新聞記者諸君ですよ」署長はにこにことこう答えました、「そういう風に仰《おっ》しゃると彼等はこう考えるかも知れません、錚々《そうそう》たる新県議が、警察署長と秘密の用談をする、なにかそこに……」
「結構です、記者諸君なら結構です」八巻氏は慌《あわ》てて頷きました、「寧《むし》ろ公明な批判をして貰うために好都合なくらいです」
「ではお話を伺いましょう」
「わたくしは視察公務のために二十日ほど旅行をしておりました、県の産業に関する重要な視察です」氏は言葉の効果をたしかめるように、すばやく人々の顔に眼を走らせました、「そして今朝一番で帰ったのですが、留守中にわたくしの居住権に対する重大な侵害が行われていた、居住権の侵害と個人的侮辱です」
「それだけではわかりません、どうか具体的に仰しゃって下さい」
「寧ろ現場を見て頂かないと、おわかりにならんでしょう、お願いします、いっしょに来てごらんになって下さい、車が待たせてありますから」

[#6字下げ]九[#「九」は中見出し]

「お聞きのとおりだ、諸君」署長は記者たちに向ってこう云いました、「どうせさっきの実地検証の件もある、よかったら一緒にでかけないか」
 そしてみんな揃《そろ》って署を出ました。……待ちに待った時が来た。署長のいわゆる「仕上げ」が始まるぞ、私はこう思って、ひそかに快心の呻《うめ》きをあげたものでした。
 二台の自動車はまっすぐに八巻氏の「邸《やしき》」へ着けられました。氏は私たちをその前庭へ案内して呉れましたが、そこに見いだした光景ほど珍妙な、人をくったものを私は曾《かつ》て覚えません。……むやみに石や石燈籠《いしどうろう》を置き並べた、成金《なりきん》趣味の、俗悪きわまる、然し恐ろしく凝った庭を半分にぶった切って、そこへ乞食《こじき》小屋のような貧乏長屋が建っているのです。こちらがけばけばしい成金趣味を誇っているだけに、その思いきって汚《きた》ならしい建物の与える効果は満点でした。満艦飾のようにおしめや股引《ももひき》や下穿《したば》きなどを干し並べた下を、八巻氏のいわゆる「できものだらけのがき共」が騒ぎまわり、それに神さん達の遠慮会釈のない喚《わめ》き声が加わって、なんともはや壮観な光景を示しているのです。私はそのとき署長がにやっと微笑して、「うん、なかなか宜《よろ》しい」と独《ひと》り言《ごと》を呟《つぶや》くのを聞きました。記者たちはげらげら笑ったり、手を拍《う》って歓声をあげたりしました。
「こいつあいい、近来の傑作だ」
「すばらしい写真記事になるぜ、すぐ電話で写真班を呼ぼう」
「やめて下さい諸君」八巻氏はまっ赤になって叫びました、「これは笑い事じゃありません、どうかまじめに見て下さい、こういう不法な事が諸君の眼前に行われているのです、これは八巻個人の居住権の侵害であると同時に、県会に議席を持つ公人に対しての侮辱です、その点を公平に観察して貰いましょう」
「わかりました」署長は穏やかに頷《うなず》いて云いました、「たしかに、これは、その、なんと云ったらいいか、その……」
 ここでわっと記者たちが笑いだしました。
「笑うのはいかん諸君」署長は舌ったるい調子で制止しました、「これは、まじめな問題だ、事実は多少、ふまじめだけれども」ここでまた高笑いです、「どうもあの長屋を、いきなりあそこへおっ建てるなんて、幾ぶん人を愚弄《ぐろう》しているようですな、八巻さん、……然しまたどうして貴方《あなた》は、黙っていらしったんですか」
「暴力です、法の蹂躙《じゅうりん》です、この土地を買った人間が、わたくしの留守ちゅう家人が拒むのを無視してやった仕事です」
「相手はどういう人間ですか」
「真田という弁維士が代理人で、相手は初めから交渉に出て来ないのです」
「ふむ、……では一つ、その弁護士を伴《つ》れて午後にでも一緒に署へ来て頂きましょうか、こんなふまじめな出来事は、私としても見過しにはなりませんから」
「承知しました、ぜひ宜しくお願いします」
「それにしてもまた」
 こう云って、署長が長屋のほうへ振返ったときです。本署の捜査係長と刑事が二人、検事局の人を三人案内してこっちへやって来ました。……記者たちがいち早くみつけて知らせますと、署長は不審そうに刑事を呼びました。
「どうしたんだ、こんな処《ところ》へなにをしに来たんだ」
「例の実地検証です」と係長が答えながら近寄って来ました、「このすぐ向うですから」
「なんだって、現場はここだったのかい」署長はこう云って八巻氏に振返りました、「私はちょっと失礼します、捜査上の用ができましたので、午後には署でお待ちしていますから」
「はあ、然し……」八巻氏は急におちつかぬようになりました、「ここになにか、犯罪事件でもあったのですか」
「ええまあ、そんなものです」署長はもう歩きだしていました、「来たまえ諸君、僕はうっかりしていたが現場はここだそうだ、ああ御苦労さまです」
 検事たちにこう挨拶《あいさつ》をして、署長は捜査係の者と先に歩きだしました。……私は八巻氏がどうするかと見ていました。氏はみんなの後から不安そうについて来ます。一行は庭を横切って、例の長屋の北端にある空地《あきち》へ出ました。そこは雑草が疎《まば》らに生《は》えて、ひねこびた柿の木が四五本あるきりの、日もよく当らない湿っぽい処です。そして柿の木の間に一カ所、一斗|樽《だる》の入るくらいの穴が掘ってありました。
「ここです」刑事の一人がその穴を指さして云いました、「ここに埋まっていたんです」
「はあ、見取り図だけとって、すぐ署へ運びました」
 検事と捜査係の問答を聞きながら、私はそっと八巻氏を見ました。氏は人々のうしろに立っていました。まるで顔色がありません。下唇をだらりと垂れ、虚《うつ》ろになった眼をとびだしそうに瞠《みひら》き、両手の指を揉《も》みしだいています。そして、氏の額から横鬢《よこびん》へかけて、膏汗《あぶらあせ》がたらたらと流れるのが見えました、私は人間の顔に、こんなに鮮《あざ》やかに「恐怖」の表情が現われたのを見たことがありません。氏は卒倒するだろうとさえ思ったくらいです。
「あの長屋を建てたのが発見の端緒だったんだそうです」署長は八巻氏など眼にも入らぬというようすで、検事の一人にこう語りながら歩き始めました、「考えると厭《いや》な気持になりますな、いったいこの地面の下に、どれだけの多くの犯罪が、日の眼をみずに隠されていることでしょうか、どれだけ……」

[#6字下げ]十[#「十」は中見出し]

 恐らく八巻氏は署へは来まい、私はそう考えていました。あれだけの打撃をうけてへたばらない人間があるとは思えませんでしたから、だが氏はやって来ました。真田虎市という市でも著名な弁護士と一緒に、午後二時ちょっと前に平然と署長室へ現われたのです。
「お待ちしていました、どうぞ」こう云って署長は二人を椅子に招じました、「勝手ですが急を要する事ができたものですから、用件をなるべく簡単にお願いします、どうぞお楽に」
「私も多忙ですから」
 真田氏はこう答えながら、早くもそこへ書類を取出しました、「手っ取りばやくお話を致しましょう、八巻さんのほうの事情はお聞きになったと思います、私は私の依頼された件に就《つ》いて申上げます」
 こう云って真田氏の話しだしたところに依《よ》ると、今から六カ月まえ、或る人が八巻邸の敷地の一部を新村氏から譲り受けたので、そこへ家を建てるから、八巻氏に庭の取払いを請求して呉れ、という依頼をうけた。そこで数回にわたって八巻氏に交渉した結果、権利金として三千円払う契約ができた。その契約は八巻氏が不在のため氏の妻女と取交《とりか》わしたものである。ところが後になって、八巻氏が権利金に不服をとなえ一万円以下では承知できないと云いだした。契約書を見せると、「これは妻がやった事で、日本では女には法律的責任がない」と突っぱねられた。
「私も依頼者に事情を話しまして、五千円まで権利金を増加したのです」真田氏は契約書というのを披《ひろ》げながら続けました、「然し八巻さんは、どうしても承知なさらない、私としては依頼者への責任もあり、そういつまで延期もできないものですから、請求されるままに建築を実行したのです」
「ははあ」署長はゆっくり頷きました、「そういう訳だとすると、八巻さん、貴方の仰《おっ》しゃったこととは少し違って来ますな」
「然し貴方」八巻氏は急《せ》っこみました、「あの庭を造るには莫大《ばくだい》な費用が掛っているんです、それを取払うのに三千や五千ということはない、世間で聞いて下さい、そんな値は絶対にありませんよ」
「宜しい、そんな値はないとしましょう」署長は大きく頷いて云いました、「そして、そんな値で契約はしないということに、……然しそうすると、奥さんが問題になりますな」
「家内に問題……と云いますと」
「女だから契約に就いて法律的責任がないとしても、契約書に捺印《なついん》した私印盗用という、罪が起こって来るわけでしょう」
「然しそれは、それはもちろん」
「ぬけ道がありますか」署長はにやっと顔を崩しました、「たしかに、法律ほど不完全なものはありません、ひとつ考えてみるんですな、貴方らしいうまいぬけ道を、……だが私として、この契約書を承認するか、または私印盗用を採上げるか、この二つ以外に方法はないと申上げる他はありません」
「よくわかりました」八巻氏は手を震わしながら椅子を立ちました、「もうなにも申しますまい、だが五道はん、わたくしはこのままでは済ましはしまへんで、私は県会に席のある人間や、県会に訴えても埒《らち》を明かしてみせまっせ、真田はんも依頼人にそ云っとくなはれ、八巻は鬼徳と綽名《あだな》を取った人間や、甘くみたら痛いめにあわんならんとな、ごめんやす」
 例の取って付けたような卑しい関西弁で、こう云いながら出てゆこうとする八巻氏を、署長がしずかに呼止めました。
「八巻さん、残念ですが貴方をお帰しする訳にはいきませんよ」
「なんででっか」八巻氏は振向きました。
「失敬ですが、貴方には堕胎教唆と、死躰《したい》遺棄の嫌疑がかかっています、お気のどくですが身柄を拘束させて貰いますから」
「ば、ばかな、ばかなことを」
「これを児て下さい」署長は卓子の抽出《ひきだし》から三通の書類をそこへ取出しました、「五郎君とお文さん、貴方が頼んだ産婆《さんば》、この三人の供述書です、胎児の死躰も出ています、……これにもぬけ道がおありですか」
 だっという大きな音といっしょに、八巻氏はそこへ倒れてしまいました。
×××
 真田氏が帰り、八巻氏が留置所へ連れ去られてから、署長は深い溜息《ためいき》と共に椅子の背へ凭《もた》れかかりました。私はそのがっかりしたような顔を見ながら、真田弁護士の云う依頼人が誰かということを初めて発見したのです。いつかの夜「生れて初めて借金をしたよ」と云ったあの言葉、そしてあの長屋を建てたこと、弁護士がついに依頼人の名を云わなかったことなど、すべてが寝ぼけ署長ご自身だという証明のようなものです。
「眼中の砂が取れましたね、署長」私はこう云いました、「然しずいぶん署長には高価についたようじゃありませんか」
「……やり過ぎたと思わないで呉れ」署長は低い声でこう云いました、「あの庭へ、あの長屋をおっ建てた、ばかばかしい風景が、こんどの事件のせめてもの救いだよ」
「もう一つ救いがある筈《はず》です、五郎君とお文さんはどうしているんですか」
「あああの若夫婦か」署長の眼はきらっと明るく光りました、「そうだ、あれがもう一つおれの気持を救って呉れる、五郎君はね、いま東京で警視庁の運転手をやってるよ、夫婦円満にね……こないだ来た手紙では、お文さんはおめでただそうだ」



底本:「山本周五郎全集第四巻 寝ぼけ署長・火の杯」新潮社
   1984(昭和59)年1月25日 発行
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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