悲しき道 ◆OmtW54r7Tc



冴島鋼牙、一条薫、村雨良の3人は、東に進路を進めていた。
殺し合いを止めるために先を急ぐ彼らであったが、その前にやらなければならないことがあった。

「さやかという子は、こっちの方へ逃げていったのか?」
「ああ」

一条の問いに、良が肯定する。
そう、彼らは五代雄介を刺殺した張本人、美樹さやかの後を追っているのだ。
五代は死ぬその間際まで、さやかの身を案じていた。
そんな彼の意志に応えないわけにはいかない。
それに、下手に放っておけばまた溝呂木に利用されてしまう可能性がある。

そうして歩を進めていると…


「良!」


目の前に現れたのは、良の同行者であった良牙、そしてさやかと一緒にいた少女とアヒルだった。




「五代が死んだ、だと……!?」

良から聞かされたその話に、良牙は驚きと呆然が入り混じった表情となった。
それほど長い間一緒にいたわけではないとはいえ、彼の人柄の良さは十分に感じることができた。
自分のせいで溝呂木を見失ったときも、責めるどころか励ましてきた。
そんな五代が死んだ。
自分が道に迷ってはぐれていた間に。

「くそ…俺は……俺ってやつは!くそおおおおおおおお!!」

悔しさをぶつけるように地面を殴りつける良牙。
仮に自分がそばにいたとして、五代の死を回避できていたかは分からない。
だが、彼が大変な状況にあった時に、その場にいることすら出来なかったのだ。
そんな後悔が、良牙の心を責め立てていた。


「良牙、お前が責任を感じる必要は…」
「分かってる!だが…」
「…俺は、奴のそばにいたにもかかわらず、死なせてしまったんだ」
「!」

そう、あの時と同じだ。
あの時も、自分の目の前でミカゲは死んだ。
もう、あんなことは二度と繰り返させないと心に誓ったはずなのにだ。

「本当に責められるべきは…この俺だ」
「良……」

悔しさをかみしめた様子の良に、良牙は言葉を返すことができなかった。



「そうか、美樹さやかは死んでしまったのか」
「はい……」

鋼牙の言葉に、つぼみは俯きながら答える。

「五代、すまない…」

つぼみの話を聞き、悔しげな表情で一条は既に遠くへ旅立ってしまった五代に詫びる。
結局、彼の願いをかなえることは出来なかったのだ。

「あの…すみませんでした」

そんな一条に、つぼみは謝った。
自分があの時さやかを止めることができていれば、さやかも五代も死なずに済んだかもしれない。

「いや、君が謝る必要はない」

しかし、そんなつぼみの謝罪に一条は気丈な態度でそう答えた。
確かに美樹さやかの件は残念だが、殺し合いはまだ終わっていない。
警察官として、五代の親友として、いつまでも落ち込んでいる場合ではなかった。


「(五代やさやかという少女の無念を晴らすためにも…こんなところで立ち止まっている暇などないからな)」



ひとまず彼ら5人は、情報交換をするべく、自己紹介をすることになった。
まず鋼牙と一条が名乗り、続けて村雨があいまいな口調で自分の名を名乗る。
だが、彼が名を名乗ったことで、いきなり波紋が巻き起こる事となった。

「村雨良…一文字さんの仲間ですか!?」

つぼみがそう言った瞬間、良はつぼみにつかみかかっていた。

「一文字隼人…奴を知っているのか!?」
「あ、あの、その……」
「お、おい!落ち着け良!」

良牙の制止により、良は激情を抑えつつつぼみを解放する。
そして、再び問うた。

「…奴に、会ったのか?」
「は、はい」
「どこで会った?」
「村の方で別れました。でも、バイクで移動してるはずなので今行っても出会えないと思います」
「…そうか」

チッと悔しそうに舌打ちをする良。
その様子を不思議に思ったつぼみが、良に尋ねる。

「あの…一文字さんは仲間なんじゃ」
「奴が仲間だと…ふざけるな!俺はあいつに…ミカゲを殺されたんだ!」
「え?ミカゲって…」
「俺は奴らを…大切なものを奪っていくカメンライダーを許しはしない!」


その後、良の悶着があったものの、名簿に名前のないムースというアヒルの存在が軽く疑問視された以外には特に問題なく自己紹介が続いた。
ちなみにその名前を聞いたつぼみがムースの眼鏡を取り出し、良牙がかけさせようとしたものの、眼鏡を近づけた瞬間アヒルこと志葉丈瑠が暴れだしたため、結局眼鏡は良牙のデイバックへ戻された。

「きっと、アヒルさんの姿だと人間サイズの眼鏡は刺激が強いんですよ」

つぼみのその一言で、良牙は「なるほどな」と納得した。


自己紹介が終わった後は、情報交換となった。
冗長なので省くが、簡単に説明すると自身の素性、知り合いおよび殺し合いの場で出会った人物の情報、起こった出来事についてだ。
他にも、鋼牙の首輪に関する考察やつぼみが一文字から聞いた参加者間の時間軸の違いについても語られた。
つぼみが出会ったまどかについては、良達を襲った怪人と同一人物で、マミについては溝呂木の擬態ではないかということになった。


「(この良牙という男…早乙女乱馬やあのパンスト男の知り合いだったのか)」

自分を抱く少年を見上げるのはアヒルの姿となった丈瑠。
彼は、情報交換の話には参加していないが、良牙の語る情報により、彼が乱馬やパンスト太郎の知り合いであること、そして自分がアヒルの姿になってしまった原因を知った。
もし自分のこの身体が本当に呪泉郷の水によるもので、お湯をかけて元に戻るのだとしたら。

「(その時…俺はこいつにどんな顔で向き合えばいい?)」

パンスト太郎を殺してしまった罪悪感が、丈瑠を苦悩させた。


各々が提供した情報に基づき、今後の行動方針が決まった。
その結果、彼らは三手に分かれることになった。

まず、冴島鋼牙は一人で村に向かうことになった。
理由は、つぼみが語った暗黒騎士キバの存在だ。
一条やつぼみなどが一人では危険だと諭し、彼自身も保護対象である彼らと離れることに抵抗はあるようだったが、彼としてはバラゴとの戦いに他人を巻き込む気はなく、譲らなかった。

次に、良牙と一条は呪泉郷へ。
良牙はもちろんあかねを探すためであり、一条はその道案内だ。

最後につぼみと良。
もともと市街地で一文字と合流の約束をしていたつぼみに、良が同行することになったのだ。



「それじゃあ俺はいくぞ」
「待ってください!」

足早に立ち去ろうとした鋼牙を、つぼみが呼び止める。
前述のように、彼は一人で村に向かう。
魔戒騎士としての戦いに他人を巻き込みたくないというのももちろんあるのだが、他のメンバーと目的地が合わなかったというのも原因の一つだ。
一文字打倒を目指す良は市街地へ向かいたがっており、つぼみも彼と一文字の対立を避けるために同行。(もちろん一文字との約束も理由の一つだが)
良牙はあかねを探すため呪泉郷へ向かうことを急いでおり、方向音痴の彼を導くために必然的に一条が同行することになる。
そんなわけで、彼は一人で村へと向かうことになったのだ。

「なんだ?」
「その、差し出がましいことだとは思うのですが…そのバラゴって人を説得することは出来ないんですか?」
「無理だ」

つぼみの問いに、あっさりと無理だと断定する鋼牙。

「で、でも!元々は冴島さんと同じで、魔戒騎士で、人間だったんでしょう!?だったら…」
「奴は暗黒騎士となったその瞬間から、魔戒騎士としての誇りと人間の心を失った。説得など不可能だ」

そういうと鋼牙はつぼみに背を向けて村へ向かって歩き出す。
が、ふと何かに気付いたように立ち止まり、ふりむいてつぼみに尋ねた。

「そういえば、時間軸のずれについてだが…確かなのか?」
「は、はい!一文字さんの話では…」
「そうか」

それだけ聞くと、再び鋼牙は村へ向けて歩き出した。

「(零…ここにいるお前は、俺のザルバ…親友なのか?それとも…)」

【1日目/昼前】
【D-5/森】


【冴島鋼牙@牙狼─GARO─】
[状態]:健康
[装備]:魔戒剣、魔導火のライター
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:護りし者としての使命を果たす
1:首輪とホラーに対し、疑問を抱く。
2:加頭を倒し、殺し合いを終わらせ、生還する
3:村へ向かい、バラゴを倒す
4:零ともできれば合流したい
5:未確認生命体であろうと人間として守る
6:相羽タカヤに会った時は、彼にシンヤのことを伝える
[備考]
※参戦時期は最終回後(SP、劇場版などを経験しているかは不明)。
※魔導輪ザルバは没収されています。他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。
※ズ・ゴオマ・グとゴ・ガドル・バの人間態と怪人態の外見を知りました。
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。
※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。
※首輪には、参加者を弱体化させる制限をかける仕組みがあると知りました。
 また、首輪にはモラックスか或いはそれに類似したホラーが憑依しているのではないかと考えています


鋼牙が去り、4人と1羽も行動を開始する。
二手に分かれる予定の彼らだったが、その前に冴島邸で着替えを探し、ムース(※丈瑠です)を人間に戻そうという話になり、そこまでは共に行動しようという事になったのだ。
ちなみに一応家主の鋼牙に屋敷の物色許可をもらっている。
目的地を聞いたアヒルが少し顔を曇らせたのだが、気づいた者はいなかった。

さて、ところで先ほどまでの情報交換だが、一人嘘をついているものがいた。


「(村雨さん…ごめんなさい)」


嘘をついていたのは、花咲つぼみ。
彼女は、一文字とバラゴの戦いに三影がいて、一文字に殺されたことを伏せていた。
そのことを話してしまうと、彼の悲しみが余計に深くなり、また憎しみを増大させることになると思ったからだ。

おそらくこの彼は、一文字が知るより過去の、BADANに属していたころの村雨良なのだろう。
しかし例えそうだとしても、つぼみには良が悪人とは思えなかった。
三影という、たぶん友達だった人の死に、あれだけ怒りを見せることができる優しい人なのだから。
だからこそ彼女、花咲つぼみは願う。


「(村雨さん、どうか憎しみにとらわれないでください。復讐のために戦うなんて、きっと悲しすぎるから……)」

【D-5/森】

【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意
[装備]:プリキュアの種&ココロパフューム
[道具]:支給品一式×3、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、さやかのランダム支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いはさせない!
0:アヒルさんを人間に戻すため冴島邸へ向かう
1:仲間を捜す、当面はD-5辺りを中心に探してみる。
2:南東へ進む、18時までに一文字たちと市街地で合流する
[備考]
※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み
 そのためフレプリ勢と面識があります
※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。
※サラマンダー男爵が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。
※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。
※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。


【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:負傷(右肩に切り傷、左胸から右わき腹までの深い切り傷、左前腕貫通、胸部破損、いずれも回復中)、疲労(大)
[装備]:電磁ナイフ、衝撃集中爆弾、十字手裏剣、虚像投影装置、煙幕発射装置
[道具]:支給品一式、生命の苔@らんま1/2、ランダム支給品0~2個
[思考]
基本:カメンライダーを倒す。主催の言葉に従い殺し合いに乗るつもりは無い。
0:アヒルを人間に戻すため冴島邸に向かう
1:つぼみと共に18時に市街地で一文字と出会い、倒す
2:『守る』……か。
3:エターナルを倒す。
4:特訓……か。
5:ミカゲや本郷の死に対する『悲しみ』
[備考]
※参戦時期は第二部第四話冒頭(バダンから脱走中)です。
※衝撃集中爆弾と十字手裏剣は体内で精製されます。
※能力制限は一瞬しかゼクロスキックが出来ない状態と、治癒能力の低下です(後の書き手によって、加わる可能性はあります)。
※本人は制限ではなく、調整不足のせいだと思っています。
※名簿を確認しました。三影についてはBADANが再生させたものと考えている一方、共に戦う事は出来ないと考えています。


【響良牙@らんま1/2】
[状態]:全身にダメージ(小)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(中)、五代の死に対する悲しみと後悔
[装備]:なし
[道具]:水とお湯の入ったポット1つずつ(お湯変身2回分消費)、秘伝ディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ@仮面ライダーW、支給品一式、ムースの眼鏡@らんま1/2
[思考]
基本:天道あかねを守る
0:ムースを人間の姿に戻すために冴島邸へ向かう
1:天道あかねとの合流
2:1のために呪泉郷に向かう
3:ついでに乱馬を探す
[備考]
※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。
※良牙のランダム支給品は2つで、秘伝ディスクとガイアメモリでした。
 なお、秘伝ディスク、ガイアメモリの詳細は次以降の書き手にお任せします。
 支給品に関する説明書が入ってる可能性もありますが、良牙はそこまで詳しく荷物を調べてはいません。
※シャンプーが既に死亡したと知りました。
※シャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」
 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。


【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:両手完全破壊、ダメージ(大)、疲労(極大)、ガイアメモリによる精神汚染(中)、アヒル化、絶望、全裸、体が痛い(良牙が過剰に強い力で抱えている為)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:?????
0:もうどうして良いのかわからない。
1:源太に対して合わせる顔が無い……
2:良牙にどんな顔で向き合えばいいのか……
3、冴島邸でシンヤと出会うことに不安
[備考]
※参戦時期は、第四十六、四十七幕での十臓との戦闘中です
※鴨子溺泉の水を浴びた事でアヒルに変身する体質になりました。良牙の話を聞き大体そのことに気づきました
※しばらくつぼみと行動していたため、つぼみとさやかの行動については粗方見届けています。それにより、自分の行動に対する後ろめたさも強まっています。


【一条薫@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康
[装備]:滝和也のライダースーツ
[道具]:支給品一式×2、ランダム支給品2~5(一条分1~2確認済み、五代分1~3未確認)、警察手帳、コートと背広、アークル
[思考]
基本:民間人の保護
0:警察として、人々を守る
1:アヒルを人間の姿に戻すため冴島邸へ向かう
2:良牙と共に呪泉郷へと向かう
3:魔戒騎士である鋼牙の力にはある程度頼る
4:他に保護するべき人間を捜す
5:未確認生命体に警戒
※参戦時期は少なくともゴ・ガドル・バの死亡後です
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。
※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。
※アークルはほぼ完全な状態であるため、五代のようにこれを使用して変身することはできるかもしれません。


【6人の共通認識】
  • 丈瑠を除いた5人で情報交換を行いました
  • それにより、5人の知り合いや出会った人物についての情報が共有されました
 ただし、一文字とバラゴの戦闘に三影が参加していたことはつぼみ以外知りません
  • また、鋼牙の首輪に関する考察や参加者の時間軸の差異などについて情報が共有されました
  • つぼみが出会ったまどかは良達を襲ったサイクロン・ドーパントと同一人物で、マミは溝呂木が擬態した姿ではないかと考えています


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最終更新:2013年12月28日 08:31