自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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第一章 

第一話「召喚」

海は青い、いや蒼い(何処が違う?)。
そう、あたご型護衛艦3番艦“たかお”の艦橋でいまさらながら思った。
しかし、時によって見え方は違う。
初めて艦に乗ったときは、時化ていても輝いていた。
嫁が出産のときは、快晴でも台風の中にいるようだった。
そして、今――――嫁から娘の家出を聞かされたときには、夜の海よりも濃い青だった。
「副長?」
後ろを見ると、航海長の三日月信義(みかづき のぶよし)がいた。彼は、防衛大学の同期だ。
「何かあったのですか?」不安そうな顔をして言う。
「いや、娘が家出したらしくて……」
「それは大変ですね……たしか、18歳でしたね、浅葱ちゃん」
「ああ……」
「大丈夫ですか?」また不安そうな顔をして言う。
「全然大丈夫ではない……」
「今から、休暇申請取ったら……」
「……いや、いい」
「……」
「……」
「それにしても、この時間帯に霧なんてめずらしいですね」話題を変えるため彼が言う。
「ああ……そうだな」
気づかったが、さっきから霧が出ている。
今の自分には、雪でできた壁に見える。
そして、「たかお」は、私「深海真一」と深い霧へ入る……

これが、私、そして「たかお」の物語の始まりとなる。


最初に異変に気づいたのは、CICだった。
近くを航行していた、漁船がレーダー上から消えたのだ。
それと同時にGPSや、スパーバードなどの通信設備が使用不能となった。
しかし、この程度ならまだ自分たちの頭は理解できる。
だが、外が夜になるのは無理だ。
何故なら、時計は全て3時23分を指している。午前ではない、午後だ。
全ての時計が故障したと思いたいが、いくら何でも腕時計を含めた、たかおにある全ての、軽く200を越える時計が故障したというのは、考えがたい。
それだけでなく、“たかお”は千葉が見えるところを航行していたが、ここからは見えない。
海には、伊豆大島程度の小さな島が20kmほど後方に見えるだけだ。
さらに、天文学に関して詳しい航海士から、星の配置がまったく違うという事も聞いている。
一人なら間違いだと思えるが、三人もいると間違いとは思えない。
実際、天文学関係の本を片手に調べたらまったく違った。
「何が何だかわかりません……」
砲雷長の伊吹隼人(いぶき はやと)がCICでぼやく。私だってそう思う。
「ひょっとして、メアリー・セレスト号みたいな幽霊船になったのでは……知っています?ポルトガル沖で……」三日月が怪談話を始める。
「オカルト自重しろ」
私が、すかさず手で彼の口を塞ぐ。
彼は怪談話が好きだ。そして得意だ。それは、雪女を通常の三倍の恐ろしくできるほどだ。
これを聞いたものは、寝る前にトイレに行かないと絶対に失禁する。絶対に。
「こんな時にそれはマジで止めてくれ」
船務長の赤松義郎(あかまつ よしろう)も彼を止める。
「了解であります」
不機嫌そうに人間クーラー(三日月の事)が言う。
「で……四人とも考えるべきことは考えたか?」
ここでようやく艦長の葛西博正(かさい ひろまさ)が口を開く。
何も考えていない私は黙る。


「ひょっとして、俺たち戦国自衛隊?」そう、“本中毒”伊吹が冗談めかして言う。
勘弁してくれ……。最後は負けるんだぞ……。
「ふざけるな!!お前本当の本当に防衛大学を卒業したのか? 」“長硬度頭”赤松がキレて言う。
「したに決まってるだろ!!それとも、卒業式のことを覚えてないのか!? 同期だろ!! 」伊吹もキレた。
「確認のためだ!! それと、俺はお前を同期だなんて思った事はない!! 」赤松が伊吹の胸倉をつかんで言う。
「ちょっと、二人とも止めてください!! 」
CICの紅一点。射撃員の西条霞(さいじょう かすみ)が止める。
しかし、防大以来の、犬猿の仲の、二人が止めるわけなく、ついには物の投げあいとなる。
そして流れ弾が私と西条に当たる。
「いい加減にしろ!! 」
私と彼女が叫ぶ。さらに、彼女は握ったこぶしをイスに叩きつける。
イスがボキッと壊れる。やりすぎだ、ハゼ(西条の通称。英語のhaze[もや、かすみの意味]から来ている)
ようやく二人が止まる。
「ああ、解った。ご苦労だった。いや、船務長と砲雷長がいつものあれをやっていただけだ。なに、西条一尉がキレて今は止まってるさ」
気がついたら、艦長が誰かと連絡を取っている。
「さて……一つ解った事がある。どうやら、ここにも人はいるらしい。ガレアス船が接近中だ」
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