ダブルスポイラー~ジョジョ×東方ロワイヤル

吹きすさぶ風を身に受け、漫画家岸辺露伴は歩く。
目指すは猫の隠れ里、そしてそこにいるであろう邪仙、霍青娥。
協力者であった文とジョニィの二人と別れてひた進む。

元々は三人で、さらわれてしまった宇佐見蓮子の救出と、霍青娥という危険人物の排除をするはずだったのだが、
突如現れたチルノという水色の髪の少女から、危険人物に襲われている友人を助けて欲しいと言う要請が舞い込み、
結果的に露伴の進言によって二手に別れて行動することとなった。
露伴にとってはこちらのほうが好都合であり、むしろ舞い込んだトラブルを好機と捉えていた。
それは自身をコケにした邪仙への、単独でのリベンジチャンスであるからだ。
露伴は自分が誰かを小馬鹿にするのは構わないが、逆に馬鹿にされることは絶対に許さない。
ましてそれは自身のミスによって起こってしまったことなのだ。
絶対に自分の力で雪辱を果たさなければならない。
文とジョニィの前では出来る限り冷静を装っていたが、内心には激情が昂ぶり続けている。
それに元より露伴は青娥のように軽薄で気まぐれな輩は大嫌いなのだ。
好奇心にかまけて他人を振り回す様など虫酸が走る。
かくして露伴は、汚されたプライドと溜まった鬱憤を晴らすため、
いかにして邪仙を屈服させるか考えを巡らせて歩き続ける。

しばらく歩いて行くと、風景は見晴らしのいい平原へと変化した。
敵を見つけやすいが、逆に見つけられもしやすい環境。
先手を取られる愚を避けるため、身をかがめ慎重に歩きながら周囲を探索する。

「さて、どこに行ったか……おそらくここではすぐ先程大きな戦いがあったはずだ。
 となれば霍青娥もそこにいた何者かと接触しているはず……
 ム、何だあれは」

露伴が遠方に目を向けると、その先には廃屋のようなものがいくつか建っていた。
しかし一軒だけ何か様子が普通ではない。直ぐ様様子を調べるため、廃屋に近づきつつ適当な距離で止まり、
大きめの石に身を隠して観察を始めた。

(あれは……霧か。何故か一軒の廃屋の周辺だけ霧が立ち込めているぞ……
 おまけにただの霧じゃない。あれは極低温の環境だけで確認される氷霧に近しいものじゃないのか?
 おかしい……この気温で発生するはずがない。それにあの廃屋一軒にだけ発生してる時点で異常だ……)

現在の気温は体感で春先程度。そして湿度も霧が発生する程ではない。
明らかなる不自然だ。そして更に観察を続けると、新たな発見があった。

(ん?霧の流れに指向性があるな……霧の廃屋だけに気を取られていたが、
 確かに発生源が存在する。霧に包まれた廃屋の斜向かいから霧は流れている。
 となると――)

――スタンドか。
超常現象といえば導き出される答えは一つ。勿論風を操る天狗の文のような特殊能力者の例外はあるが、
スタンド被害の経験が多い露伴はスタンドの仕業だと結論づけた。

(能力は、霧を操作する能力か?しかしそうすると、何故決定力のない霧を仕掛けている……?
 持久戦に持ち込んで疲弊させて叩く?いや脱出されれば元も子もない。 
 だとするとまだ何か奥の手があるのかもしれないな……ムッ!)

観察しながらしばらく考察していると、状況に変化があった。男が一人、斜向かいの小屋から慎重に出てきた。
その隣には人型のビジョン。やはりスタンド使い。
おそらく霧のスタンド使いだろう。その男は霧の廃屋に近づき、窓から屋内を確認している。
突然こうして出てきたということは、何かあったのだろう。

そして確認が済んだかと思うと、突如霧がまるで最初から無かったかのようにピタリと止み、
男は乱暴な所作で廃屋へと入っていった。
これで霧のスタンド使いがあの男であることはほぼ確定。
しかし一体何があったのかと露伴がまた観察を続けていると、
少しして男は廃屋から出てきて、ふと何かに気づいたように南の方向へと歩き出していった。

露伴は男が見えなくなったのを確認すると、岩陰から出て、廃屋の集落へと近づいていく。
果たして何があったのかを調べるために。

「……こりゃ酷いな」

廃屋は、温度こそ周囲と大差ない程度まで戻っていたが、
未だ霧の影響として各所が凍っていた。
屋内にもいくつかその痕と思われるものが確認できる。
しかし中はもぬけの殻。誰も居ない。
中に誰かいたのであれば脱出をしたはずだが、露伴が見ていた限り誰も廃屋から出てきてはいない。
床が掘られた痕跡もなし、壁の何処かが壊されている様子もない。
あの霧のスタンド使いは最初から誰も居ない廃屋に向かって一人相撲をしていたのだろうか。

「いや、そうか……中にいたものも『スタンド使い』という可能性があった。
 それならば合点がいく。あの男はまんまと一杯食わされてご立腹ってところだったのかな?」

あの男の動きから見るに、確かに男は中に人間がいることを確信していた。
実際いたのだろう。しかし中にいた者の何らかの能力により男に気づかれること無く脱出をした。
そう考えるのが自然だ。

しかしだとしても、結果的に露伴にとってこの攻防戦は何の意味も持たない。
霍青娥を発見できず、数十分とはいえいたずらに時間を消費してしまった。
急いで廃屋の風景をスケッチにまとめると、男が歩いて行った方向と同じ南に、露伴はまた歩き出した。
理由として、男の足取りは何か確信めいたものがある動きだった。
つまり行く先には何か、もしくは誰かがいるはずと、そう露伴は考えた。
それが霍青娥であることを願いながら、露伴はまた慎重に歩を進めていくのであった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

露伴が丁度廃屋の調査をしていた時、姫海棠はたてはろくでもない目にあっていた。
便利な能力を与えられ、特ダネを手に入れ、歓喜冷めぬまま記事を書き発刊。
そして小休止として一旦栄養補給を済ませ、
更なる特ダネを求めていざ進まんとした時だった。突然の襲撃。
はたてとしては屈辱的なことに、接近されたことに気付くことさえ出来なかった。
襲撃者は前述の、露伴が霧のスタンド使いと仮称していた男――ウェス・ブルーマリン。
銃をつきつけ一方的な主張を繰り広げるその男には、一切の甘えだとか妥協といったものは感じられない。
ただただ深い『憎悪』と『執念』だけを感じる怨霊のような男だった。
肉体より精神に比重を置く妖怪としての本能が、はたてに警鐘を鳴らしていた。
この男は危険だと。
生命の危険を感じたはたては一か八かで逃れるべく逃げの一手を打ったが、無意味だった。
男はスタンド使い。それも生半可な能力ではない。
スコールと突風を操られ、一瞬でまた捕まった。

翼を踏みにじられ、今度こそ一巻の終わりと思ったが、意外なことを男から告げられた。
協力をしろとの『命令』。提案などではない。
男はメールを受信できるツールを持っており、はたての刊行するメールマガジンを知っていた。
故にそこに利用価値を見出したらしい。
協力の内容は、男はネタ作り、つまり事件を提供する。
そしてその代わりはたては参加者の情報を男に提供する、という内容だ。
拒否権がない上、はたて自身有益に思うところがあったので承諾した。
そして承諾するやいなや男はすぐに何処かへと歩き去っていった。

と、そんな内容のろくでもない目。
スクープのことを考えることで自らを奮い立たせ、男への苛立ちを忘れようとしたが、
どうも落ち着けば落ち着いてくるほど苛立ってくる。

「あーもうムカつく~~!!人間のくせに何よっ!」

石ころを蹴飛ばす。と同時に風が吹いてきた。

「……って寒っ……そういえばアイツのせいで全身びしょ濡れだったんだ……
 くそ~絶対事が済んだらぶんのめしてやるんだから!
 でもその前にとりあえず服乾かさなくちゃ……
 こんなくだらないことで体力消耗してる場合じゃないし」

シャツを摘んで浮かす。ぴったり張り付いていて気持ち悪い。
何より春先程度の気候とはいえ、全身が濡れていれば結構寒い。
服を乾かすための火を起こすべく、薪を探す。
ちなみに火により例え煙が発生しても、天狗であるはたてならば風を少し操るだけでどうにでもなる。

とりあえず辺りを見回すが、すぐには見つからない。
しばらくして、ようやく一本目の薪を見つけ、手に取り顔を上げた時であった。
男と、目が合った。
先ほどのウェスではない。ヘアバンドをした若い男。
今度こそ先手を打たれるものかと身構えた時であった。

「ヘブンズ・ドアー!」

「な……えっ」

男は目にも留まらぬ速さで空に線を描き、帽子をかぶったコミック漫画のキャラクターのようなビジョンが浮かび上がる。
それを見た瞬間、はたては一瞬で本へと変化し、何が起きたかも理解できずに崩れ落ちた。

「この命令を書くのも三度目だが、『30分意識を失う』と書き込んだ。
 文の時のこともあるからな。先手必勝といかせてもらったよ。
 ……どれどれ、時間が惜しいし早速読ませて頂こう。果たして『シロ』か『クロ』か」

男――岸辺露伴は、周囲を警戒しながらも嬉々として本となったはたてのページに手をかける。
霧のスタンド使い、ウェスを追い歩いた所、全身ずぶ濡れの少女が突っ立っていたので迷わずスタンド攻撃した。
という所で少々ひとでなしな行為だが、状況が状況だけに仕方ない。
それに、露伴はここに来るまでに荒れ果てた大地と3人の惨たらしい死体を発見した。
死因と推察されるものから考えればこの少女は犯人でないかもしれないが、目撃者や関係者である可能性は十分ある。
霍青娥や先程のスタンド使いの行方も知っているかもしれない。
話すか話さないか不確かな口頭による問答よりも、
他人の体験を自らのリアルに変えるヘブンズ・ドアーの方が確実であった。

だが懸念事項もある。スタンド使用による疲労だ。体力は休憩により多少回復したとはいえ、心もとない。
マジックポーションはあくまで緊急時の最終手段なので、基本的には節約を心がけなければならない。
それ故とりあえず必要最低限の命令だけ書き込み、急ぎはたてを読み始めた。


「えーなになに。名前は『姫海棠はたて』ねぇ……変な名前だ。そして『種族』……やはりコイツも『鴉天狗』か……。
 羽は任意で出し入れ出来るのか今は確認できないが、見た目の感じがなんとなく文と似ていたからな……
 しかも新聞記者であることも同様。そういえば文からの幻想郷住人の情報の中にいたな……
 確か、同族の三流新聞記者とか言ってたかな。
 しかしここまで文と似通ってくるとなーんか嫌な予感がするが、ゲーム開始後のスタンスはどうだ?」

露伴は文の時のことを思い出しながら、はたてのページをなれた手つきで一気に捲る。
少し惜しみながらも何百年分かのページを飛ばすと、目的であるゲーム開始後のページに辿り着いた。
この後にもページがそれなりに残っているので、ゲーム開始後に多くの体験をしているらしい。

『大スクープだ!!!』
『90人によるルール無用の殺し合いなんて願ったり叶ったりの刺激的なネタ!』
『自らの足で現場に赴き、取材する』
『このゲームを徹底的に『取材』する! 』

(…………なんだコイツは……文以上に正気じゃないぞ。初っ端からここまで吹っ切れているとは……
しかし、頭の中身は文より少なそうだ)

露伴の嫌な予感は予想を上回る形で的中した。文以上にプッツンした新聞記者だ。
この時点でこの先に希望的内容が書かれていないことが予期される。

(とにかく続きを読むか……)




『参加者を煽るのもいいかも』
『事件は盛大な方がいいネタになる』




(…………)




『死なないように立ちまわる』
『文々。新聞のスポイラー(対抗新聞)として、出し抜く程の記事を書くッ!』
『でも文には死んでほしくない』
『記事を書かずに、死ねるか!』

(文とはライバル関係のようだな。ライバルってのはいまいちぼくにはよく解らないが、
 良い関係のようだ。コイツ、根は悪くないヤツなのなのかもしれないな……)

ライバルを思うところや、生きがいに燃えるその思考からは、多少の純粋さが垣間見られた。
もっとも純粋だからといって何をしてもいいわけではない。
そして次のページには、大きな変化があった。

『銃声が聞こえてきた』
『念写してみたら写ってる写ってる!』
『二人の男が睨み合って対峙している』

ページには鋭い眼光で睨み合う二人の男の写真が載っている。

(念写だと……?ジョセフ・ジョースターのハーミット・パープルのような能力か?)

急ぎ曲げて栞を作っておいたページまで戻り確認すると、記述があった。

『念写をする程度の能力――カメラにキーワードを打ち込むと、それにちなんだ写真が見つかる能力――』

(カメラにキーワードを打ち込むってのはイマイチ理解できないが、
 やはり似たような能力か。便利だが、他人の体験を想像で後追いするだけの下らん能力だな)

そう断定すると、また直近のページまで戻り読むのを再開する。

『現場に急行。おっ!これはこれは……!』
『殺人事件勃発!』
『念写で写しだされた男の一人が射殺死体になっていた』
『こうしちゃいられない、私も取材頑張ろうっと』

(既に、殺人事件を取材していたか……やはり文とは違うな)

次の写真は3発の銃創を受けた男の死体の写真だ。
はたては、殺人事件は記事にしたくないというスタンスの文とは対照的だ。
どんなネタであろうとセンセーショナルでインパクトがあればそれでいいというスタンス。
そのスタンスからはポリシーなど無い浅薄さと未熟さが透けて見えてくる。
机上で考えたような、正しいように見えて実際は単純で青い考え方だ。
文の時に感じた奇妙な親近感とは全く別物の、憤りのようなものを感じながらそれでも読み続ける。

『白黒魔法使いの叫び声が聞こえてきた所、念写したらバッチリ!
 弾幕と入道使いらしき女の放ったパンチのクロス・カウンター!
 ツイてるわ!』
『現場急行!今度は現場の写真!』
『二人とも頭をぶつけて気絶してるだけね』
『殴り合いの理由は……うわぁ……要修正』
『事実は小説よりも奇なり、やっぱり現場って面白い』

今度は女同士の殴り合いの現場。少女の発射する光弾とスタンド使いの女のパンチのクロス・カウンター。
そして現場に駆けつけたはたては二人に対して何をするでもなくひたすら取材を続けている。
一通り撮影を終えれば二人をベッドに寝かせはしたが、それも善意からくる行動ではなく、
早く目覚めさせネタを提供してくれることを期待しての行動だ。
最早わざわざ反応するまでもない自分本位な方針。しかしそこから続く記述には興味を引くものが在った。

(花菓子念報メールマガジン……ねぇ……)

記述に書いてあるのは花菓子念報メールマガジンについてだ。
はたては携帯をいじる際、ちょっとした操作ミスから見知らぬアドレスが複数登録されている事に気づいた。
疑問に思ったが、直ぐ様そのアドレスが他の参加者の支給品ではないかと推察し、
それを利用してメールという形で、新聞を発刊出来るのではないかと考えついたのだ。
どうやらはたての持っている『カメラ』は露伴の知る携帯電話のようで、露伴の知るそれより多機能な代物のらしく、
メールを送れるだけでなく写真も撮ることや念写もでき、更にメールに写真を添付して送ることが出来るらしい。
露伴はこの発想自体は素直に感心した。
そして記事を一気に書き上げ登録されている全てのアドレスに対して送信し、
記念すべき第一号を発刊した。

(なるほどねぇ……FAXやコピーの進歩にも驚いたものだったが、こういった技術も存在するのか。
これは意外と使えるかもしれんな)

露伴は思案しながらページを捲る。
はたては発刊後もなおカメラをいじくり、自身の能力の制限を把握していた。
露伴のヘブンズ・ドアーの制限同様、能力使用に疲労が伴うほか、距離も自身から1エリア分の距離まで。
疲労の大きさは対象との距離に比例するらしい。

そして把握した直後、気絶していたスタンド使いの方の女が目覚める。
はたては直ぐ様インタビューを試みた。
はたてはまず名前を尋ねているが、その名は露伴にとって多少の驚きがあった。

(空条……徐倫か)

露伴の知る、最強のスタンド使い・空条承太郎と同姓。自身の推察では同じジョースター家の一員と仮定していたが、
写真に映るその姿から半ば確信が得られた。所々、承太郎と似ている。
先ほどの話し合いで考えたように、参加者はがそれぞれバラバラの時間軸から集められているならば、
おそらく1999年より未来の、承太郎の娘だろう。

その後徐倫は逆にはたてにいくつもの質問をしてきたようで、はたては

『人が話をしている時は話し終えるまで話しかけちゃいけないって寺子屋で習わなかったのかしら!』
『インタビューするのは私、されるのはあなたなの!』

と少し不機嫌になっている。
だが徐倫がはたての行動の真意を訊いてきたことで一瞬で上機嫌に戻り、
一言『取材よ!』と受け応えている。

まともに考えて、徐倫が東方仗助や空条承太郎と同じタイプの人間であれば、
はたての続いて答えた『ゲームの参加者への突撃インタビュー!』という言葉は悪い冗談としか受け取らないだろうし、
まして殺人事件の記事を『記念すべき第一号』などと言って見せたり、

『やっぱりこーゆう過激な殺人事件は、記事のネタとしても面白そうじゃないかなーって?』

などとのたまえば、
正義の怒りを燃やすに決まっている。
案の定、徐倫はスタンドではたてを攻撃。戦闘が勃発する。
はたての記憶に映るビジョンを見ると承太郎と同じ近距離パワータイプのスタンドのようだ。
しかしはたてはそれを鴉天狗特有のスピードであしらい、
有利になるや尊大な態度に変わって高説を垂れる。
ヘブンズ・ドアーの内容からも、はたてが煽動行為やこの殺し合いの取材に、
一切の躊躇や良心の呵責を感じていないことが読み取れる。
はたては自分自身の行為が悪だと気づいていない。

だが、こうして戦闘中にいい気になっていれば必然足をすくわれる。
先ほどの殺人現場で回収し腰に隠し持っていた拳銃を、
徐倫のスタンド能力(恐らく体を糸のように変化させ、それを自由自在に操れる能力だろう)によって奪われ形勢逆転。
殴り飛ばされる。このまま再起不能かと思われたが、しかしはたてはしたたかだった。
徐倫と少女が気絶している間にくすねていた支給品、

スタンドDISC『ムーディー・ブルース』の能力――過去の出来事をリプレイすることが出来る能力――

を発動し、先ほど殴りかかってきた徐倫の攻撃をリプレイさせることで油断を誘い、鋭い蹴りの一撃をやり返した。
そして直ぐ様退路を確保し、足早に逃げ去る。
文もそうであったが、鴉天狗という種族は高慢で尊大だが、それ相応の実力があり頭も切れる、
非情にめんどくさい種族のようだ。はたても多分にもれず、慢心は多いが機転は利くらしい。
もっとも、相手の性質を見極められずこうして争いの発展してしまっている時点で未熟なのだが。

だがそれでも逃げ延びることは出来た。
そして、ここからの内容が、露伴にとってもっとも衝撃的な内容だった。

『えっ何!?電話!?』
『ど、読者……かな?と、とにかくでなくちゃ』
『この声、荒木ッ!?』

「荒木だとッ!」

思わず、露伴は声に出して叫んでしまった。
しかし例えこれが露伴でなかったとしてもこの反応は当然だろう。

超ビッグネーム。この殺し合いの主催の片割れの名が、突然出てきたのだから。

「これは……姫海棠はたて、コイツ、思った以上に貴重な体験をしているようだな……」

参加者多しといえど、ゲーム開始後に主催と接触した参加者などそうはいないはず。
強力な情報アドバンテージを前に、自然とページを捲る手に力が入る。
露伴は、意を決して内容を精読した。 
会話の内容の事実を要約すると、

  • はたての携帯に登録されていたアドレスの中には主催者のアドレスもあり、
 メールマガジンは主催者にも届いていた。

  • 主催者ははたてのメールマガジンを気に入ったらしく、より書かれることを望んでいる。

  • そして援助を申し出てきた。理由は『ただ楽しみたい』。それにははたての記事がベストであるから。

  • 援助内容は、放送直前になる毎に情報の書かれたリストを送ることと、
 はたての携帯に隠された機能があるという助言だった。

以上の内容だった。

はたては主催者の援助とその内容に懐疑的であったが、
通話直後、恐らく死亡時間、死亡場所、そしてその場にいた者の名前と思われるものが列記されたリストがメールで
送られてきたことで、真意はともかく援助は事実であると認識した。
そして確かに、主催曰くはたての懸念を解消できる代物、
隠された機能――アプリ「アンダー・ワールド」は存在した。
その機能は念写補助。
具体的には過去の現象を念写する機能であり、現在から4時間前までの現象を念写する事ができるらしい。
一応代償として霊力消費量とやらが増加するらしいが、それでも破格の機能、そして優遇だ。
まるで最初からはたてが念写で状況をかき乱すことを想定していたような周到ぶりに、露伴は憤る。


そしてはたては当然、荒木の提案に乗った。
完全なる利害の一致に、断る理由などどこにもないのだろう。
はたてはリストを確認し、その中で知った名である死亡者と殺人者の名を発見すると、
大スクープの匂いを感じ取り、迷うこと無く猫の隠れ里へと前進した。

この時点でようやく露伴が現在いる猫の隠れ里と話がつながった。
既に十数分読み続け、予想以上に長く濃密な体験に露伴は重い疲労を感じるが、
疲労ごときで止まるわけにはいかぬほど重要な体験ばかり故、露伴はマジックポーションの使用も念頭に入れながら、
またページを捲った。 

そしてページを捲るやいなや、真っ先にでかでかと書かれた

『大ッッッッッスクープだわッッ!!!!!!!!』

の文字に露伴は面を喰らう。

どうやら猫の隠れ里の先ほどの殺人現場にて、『アンダー・ワールド』を駆使することによってスクープを得たらしい。
書かれていることによれば、現場には4名参加者がいた。
内3名は死亡し、1名は生存。そしてただ一人生き残ったその参加者は、幻想郷の賢者と呼ばれる八雲紫。
確かにスキャンダラスな状況だ。しかも『アンダー・ワールド』の念写によって、
『魂魄妖夢』と『星熊勇儀』を殺害したのは八雲紫であるという確証も得られた。
はたては余程嬉しかったのか、1ページまるまる興奮と喜びの感情で埋め尽くされていた。
そこまでは、まだよかった。だがそこからは露伴にとって度し難い内容だった。

「姫海棠はたて……タブーを犯したな」

小さく、つぶやく。露伴は元よりはたてにまともな報道は期待していなかったが、一縷の期待も枯れ果てた。
はたては、捏造というタブーを犯した。
過去をリプレイするスタンド『ムーディー・ブルース』の能力を悪用し、
八雲紫が殺していないはずの『ズィー・ズィー』という男の死まで八雲紫に仕業に仕立て上げ報道したのだ。
『八雲紫、隠れ里で皆殺しッ!?』などという低俗な見出しまで付けて。
憶測と推察だけで記事を書くにとどまらず、
過程をすっ飛ばして得られた念写という結果を更に歪曲し、発信した。
露伴は芸術追求の為、時には他人を巻き込むことをもいとわないが、リアリティを汚すことだけは絶対にしない。
漫画と新聞というコンテンツの違いはあれど、何よりもリアリティを重視する露伴にとって、
はたての行為は許せるものではなかった。

はたてはその後、先ほど露伴が遠巻きに観察した霧のスタンド使い
(ウェス・ブルーマリンと名乗ったらしい)
と遭遇し、逃げようとするも強風と豪雨の妨害を受け墜落し踏みつけられ、
殺人によるネタ作りをする代わりに情報の提供をしろ、という一方的な協力関係を結ばされる憂き目にあっていたが、
それでも露伴の溜飲は下がらなかった。

だが苛立ちにかまけて冷静さを欠くほど露伴は短気ではない。
先ほどの男について、見逃すべきでない情報がいくつかある。
まず男のスタンド。これは霧を操る能力以外にも、雨や風も操れるようだ。
霧、風、雨、と来れば、単純に考えて気象を操る能力だろう。
露伴の知るスタンド能力の中でも、群を抜いて優秀な能力だ。
規模や威力も、凍てついた小屋や鴉天狗を飛行不能に追いやる様を見れば十分なものがある。
そしてさらに問題なのは、その強力なスタンド使いが殺し合いに乗ったキレた殺人鬼だということだ。
はたての記憶から読み取っただけでもその異常性が見て取れる。
主催者を相手取る前に、大きな障害になるだろう。

次に男の正体。男は興味深いことをはたてに言いつけている。

『空条徐倫』『エンリコ・プッチ』『フー・ファイターズ』

この3人を見つけたならば手を出さずすぐ連絡をしろと。
コイツらは自身の手で決着をつけると。
つまりこの3人と何かしらの因縁があるということだ。
文とジョニィと話した際、名簿には何らかの縁があるものが、並べて書かれていると推定したが、
名簿のその3人の近い位置に『ウェザー・リポート(ウェス・ブルーマリン)』という名がある所から、この説はほぼ確定する。

そしてこの二つの情報を整理すると、ウェス・ブルーマリンは優勝狙いの無差別殺人鬼であり、
3名の参加者と因縁を持っている、ということだ。
恐ろしい相手だが先んじてその存在や能力を知ることが出来たのは幸運だった。

以上で、露伴ははたてがゲーム開始後からヘブンズ・ドアーによって本にされるまでの記憶を読み終えた。
随分と長かったので、重力が何倍にもなったかのような重い疲労を感じるが、得られた収穫の大きさから比べれば問題ない。
それに露伴は、ここからまた更に疲労を重くする行動を取ろうとしていた。
故に迷うこと無くマジックポーションの入った紙に手をかける。
が、その時。

ピロロロロッ! ピロロロロッ!

「ッッ!?」

突如として鳴り響く電子音。
露伴は驚愕しつつもすぐに臨戦態勢に入り、周囲を警戒した。
よく耳を澄ますと、音の発生源は近い。
そう、姫海棠はたての携帯電話から電子音は鳴っていた。
この状況ではたてに電話をかけてくる者で予想されるのは、
便宜上はたてと協力関係にあるウェス・ブルーマリンか、
援助者である主催者・荒木飛呂彦だ。
どちらが出たとしても対応は不可能に近いので、出るかどうかを露伴は逡巡する。
しかし出ないのも不自然だし、相手がウェスであれば不審に感じて戻ってきてしまうかもしれない。
同時に、はたてに仕掛けた30分意識を失うという命令のタイムリミットも既に残り半分を切っている。
故に、早く決断しなければならない。

露伴は意を決して、電話の応答ボタンをプッシュした。
一旦無言で出方を窺う。

「もしもーし。あれ?ちゃんと出てますよねぇ?露 伴 先 生 ?」

(くっ!この声、荒木飛呂彦ッ!もしや僕の行動は全て筒抜けなのか?)

電話の相手は荒木飛呂彦だった。しかも応答した人間がはたてでなく、露伴であることに気づいている。
盗聴、盗撮、位置測位のいずれか、もしくはその全てがされている可能性がある。
一瞬動揺したが、覚られる訳にはいかない。冷静に、向こうの狙いがなんであるかを見極めなければならない。

「フンッ、何が露伴先生だ馴れ馴れしい。
 ……どうやら全てお見通しってところかい?荒木飛呂彦。
 まさかこんなに早く君と話すことになるとは思わなかったよ」

露伴は本心からそう告げる。

「ふふ、知ってることは知っているだけで、知らないことは知りませんよ。
 ただ、もしかしたら露伴先生が、僕達にとって不都合なことをしてしまうかもと危惧しただけです。
 僕としても、主催者が干渉しすぎるのはあまり面白くないと思っていますしね」

荒木は声色を変えず、淡々と話す。ただ会話の内容から露伴は大体の狙いを察することが出来た。

「不都合なことだって?中々面白いジョークじゃないか。君達にとっては僕の能力そのものが不都合なくせに」

ヘブンズ・ドアー。いくつかの制限が付いているとはいえ、人の行動を意のままに出来るその能力は十分な脅威だ。
元から主催者にはマークされていたのだろう。

「そう、確かにそうなんですがね……時に露伴先生。貴方は今姫海棠はたてと同位置にいますが、
 これから彼女に何をするつもりでしたか?今はそこが問題なのです……。
 返答によっては……」

荒木は少し声を低くして言葉を詰まらせた。どうやら姫海棠はたての扱いが問題らしい。

「返答によっては殺すのか?もしそうだとしたらそいつは随分な話だ」

露伴は言われるより速く最悪の可能性から聞く。

「いやいやいや、まさかそんなつまらないことするわけ無いじゃないですか。
 それに返答に問題がなければなーんにもしませんから。
 で、どうなんです?ちなみに嘘をついちゃいけませんよ。
 嘘は分かっちゃいますから」

冗談とも本気ともつかない語調で荒木は語る。どちらにせよ信用してはならないが、
はたてが目を覚ますタイムリミットが近いのでこれ以上会話を長引かせるわけにもいかない。
露伴は素直に全てを話す。

「読心術でも使えるっていうのかい?……まあ時間も無いし正直に言うさ。
 はっきり言うと、僕はヘブンズ・ドアーではたてを奴隷にして、
 花菓子念報とやらを僕好みのリアリティある読んでもらえる新聞にするつもりだった。
 君達がコイツをやけに優遇してくれるお陰で色々便利だしな。
 これで満足か?満足したなら電話を切らせてもらうぞ」

偽らざる本音だ。念写能力に加えてムーディー・ブルースのスタンドがあれば、
情報戦において圧倒的優位に立つことが出来る。それに露伴がはたてにムカついていたのも大きな理由だ。
そして全てを言い終わると同時に通話終了をほのめかす。
勿論これで終われるとは思っていない。

「そうですか……あっ、ちなみに電話を切らないほうがいいですよ。
 切ったら死にます」

「……やっぱり脅すんじゃないか。まあ大体理由は察せるが一応聞いてやる。
 何が目的だ」

予想通りの反応だった。そしてその理由も当然予想出来る。
そもそもはたての記憶を読んだ際、荒木の意図など既に分かっているのだから。

「目的って言うほどのことじゃないんですがね。僕達とっては今の花菓子念報がいいのです。
 僕達が彼女に期待しているのは正義感あふれる真面目な報道じゃなくて、
 いっそ清々しいほどに下衆で煽情的な、捏造とゴシップの塊のような報道なのです。
 あと、彼女の今の能力を正しいことに利用されたら、真面目な参加者に不公平ですしねぇ」

「どうせそんな理由だろうと思った。ようはコイツの煽動行為で争いが激化することを望んでいるんだろう?
 それと真面目な参加者ってのは『乗った』奴らのことか。まったく公平過ぎて泣けてくるね。
 それで、僕にどうしろと?このまますごすご何もせず回れ右して、
 『生きているからラッキーだ!』とでも言えばいいのか?」

露伴にとってここまでは想定内。ここからが問題だ。
果たして荒木が何を言ってくるか。

「いやーそこなんですがね、姫海棠はたてに命令を書きこむのをやめて欲しいのも確かなんですが、
 さっき行った通り、主催者が参加者間のやりとりに干渉しすぎるのは良くないとも思っています。
 それに一人の参加者に肩入れしすぎるのはフェアじゃないし、ゲームの公平性を疑われることですからね。
 そこで、不公平にならないよう露伴先生に提案します。
 願いを一つ、叶えてあげますので、姫海棠はたてに何もしないことを『納得』して頂けませんか?
 詭弁だとは思いますが、露伴先生自身がその条件を飲めば、
 『強制』ではなく『同意』による平和的解決ということに出来るので。
 あ、勿論叶えられる範囲内で、ですよ」

荒木が提案してきたことは、露伴の想像よりずっと平和的なものだった。
はたてに関する記憶を抹消して放逐するとか、ヘブンズ・ドアーに新たな制限を課されるとか、
そんなことを想像していただけに、若干の拍子抜けを感じる。
むしろ逆に、願いを叶えるという実益あるおまけまでついているので、メリットのほうが大きい。
だが。

「ふーん……じゃあ叶えられる願いの回数を増やせとか、今すぐゲームを中止して元の場所へ帰せとか、
 そういうのはだめだってことか。それで、その条件を飲めば僕の命を助けてくれる、と」

露伴は、誰も居ない虚空を睨みつけ、静かに言う。

「ええそうです。約束を違えたりはしないので安心してください。ギブアンドテイクです。
 さあ、願いを……まあ……

そして。


だが断る、と貴方は言うでしょうねぇ……」
「だが断る……ハッ!?」

露伴は自身の好きな事である『自分で強いと思っているやつに「NO」と断る』通りに要求を拒否しようとした。
それは露伴自身のポリシーのようなものでもあったし、大上段からにやけ声の一方的な話に鬱憤が溜まっていたし、
なにより乗ったかのように見せかけて断った時、どのような反応をするか期待していたからだ。
しかし、見抜かれていた。まるで最初からそうだと分かっていたように。

「やっぱり。驚かなくてもいいですよ。
 先生は僕のことを知らないでしょうが、僕は先生のことをよーーく知っているので。
 こんな上からの一方的な交渉じゃあ先生はうんと言わないでしょう」

(コイツ……まさか僕のヘブンズ・ドアーと同じような能力でも持っているのか……?
 それとも本当に読心能力でもあるのかもしれない……クソッどうする……
 屈辱だが、条件を飲むしかないのか……!?)

ゲーム開始前の説明の時からそうであったが、この荒木飛呂彦という男は得体が知れない。
横にいた大田もそういった意味では同じなのだが、特に荒木には形容しがたい奇妙な雰囲気を感じる。
まるで全てを知っているかのような余裕のある態度が、その奇妙さを助長し不気味ですらある。
露伴が生きてきた20年の中で、このようなタイプの人間はまるで見たことがない。
絶望するにはまだ早いが、対処の活路は見えない。
だがしかし、今はとにかく自分の処遇がどう転ぶかが肝要だ。
露伴は余計な怯懦を振り払い、率直に自身の処遇を訊いた。

「当然だろう。で、条件を飲まなければどうする気だ?」

「露伴先生には『消えて』いただきます……と言いたいところですが、僕達としてはそれじゃつまらない。
 先生にはもっと活躍して欲しいのです。
 ですので言い方を変えます。これは交渉ではなく僕達からのお願いです。
 願い1つを対価に、今はまだ姫海棠はたてに手を出さないでください。お願いします」

答えは意外、先ほどと変わらぬ平和的内容。そしてお願いという言い回しまでしてきた。
開幕早々逆らう少女を爆殺するという所業を見せつけてきた人間と同一人物とは思えぬほど甘い。
つい今しがた言っていた、干渉し過ぎたくないとかフェアがどうとかいう話は本心らしい。
ようはゲームの進行自体はまっとうまともに進んでいって欲しいのだろう。
ただ『面白くなりそうなこと』の方が優先順位がずっと高いようだが。

(ここで断れば本当に命は無いだろうな……だが、安易にコイツの言う通りになっていいのか?岸辺露伴。
 結局それじゃあ命惜しさに主催者に屈したってことじゃないか……
 屈さずこの場を切り抜けなければ青娥の時の屈辱の二の舞いだ。
 考えろ……僕自身が納得してこの場を切り抜ける方法を……)

露伴は思考する。ここで安易な願いを言って事なきを得た所で、主催者には永遠に勝てないだろうし、
なにより露伴のプライドがそれを許さない。妥協は敗北主義の考えだ。故に最適解を見つけ出さなければならない。
最適解には必須条件が二つある。
まず一つ目、それははたてを上回る力を得ることだ。
当初考えていたのははたてを従属させることだが、これは最早直接的には不可能だ。
荒木はその点において一切妥協する姿勢を見せない。
露伴は自分の溜飲を下げるためと、その利便性の高さ故はたてを従属させようとした。
なのでその代替、もしくは上位互換となるような力を得ること、それが必須だ。
だがそれの枷となるのは、荒木がそんな願いを認めるか、だ。
はたてに一方的な援助をしていて公平性を語る二枚舌だが、
その基準の根底は面白いかどうかという単純なものだ。
だから結果的に面白みが薄れてしまうと判断されれば、その願いは却下されてしまうだろう。
つまり二つ目の必須条件として、荒木が面白いと思うものでなければならない。
以上二つが条件だ。その条件を満たす願いが浮かばなければ露伴は精神的に敗北し、
そしてその敗北は弱さに繋がり、やがて荒木や青娥を倒す以前に破滅を迎えるだろう。
そうならない為にも、露伴は最適解を模索する。

(『はたて』、『花菓子念報』、『願い』、『荒木』、『面白さ』か……
 ようは情報通信や情報伝達が出来て、はたての俗悪コンテンツを上回る面白みがあるものだ……
 面白み……そうか!最も僕好みで納得出来る手段があるじゃないか!)

露伴はこの短い時間でなんとか答えに辿り着いた。荒木が乗るかどうかという懸念は消しきれないが、
露伴にとっては考える限りもっとも素晴らしい答えだ。
後はなんとか荒木をその気にさせるのみ。

「そうまでして姫海棠はたてに拘るのか理解できないが、分かった、願いを聞いてやるよ。
 僕としては命を賭けてまではたてに拘る気はサラサラないしね」

「よかった、それじゃ早速願いを……」

「ただし条件がある。僕が君に願いを叶えてもらったとして、後からその願いにケチをつけないこと、だ。
 それを認めてくれるならば僕は納得する。勿論安っぽい口約束じゃないぞ。キチンと誓ってもらう」

例えこの場で願いが叶えど、今回の介入のようなことが起これば無意味だ。
なので露伴は念を入れて条件を提示した。荒木の公平性へのこだわりも鑑み、誓いという言葉も入れて。

「そうですか……まあ願いの内容を聞いてみないことには明言出来ませんが、問題なければその条件を飲みましょう。
 それで、どんな願いでしょうか」

帰ってきた荒木の返答は当り障りのないものだったが、とにかく願いを言うしかない。
露伴は満を持して、堂々と願いを言う。

「そうか、その言葉決して忘れるなよ。じゃあ言うぞ……僕の願いは――

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

所変わって、アルコールとお香のような香りが漂う、仄暗い部屋に男が二人。
露伴の願いを叶えた荒木は電話を切り、自分の相方である大田と会話をしていた。

「ンフフ、まあ面白いとは思いますが、本当にあの願いを叶えちゃって良かったんですか?荒木先生?」

大田はグラスに入った酒を手で弄びながら、痩せた顔に笑顔を浮かべて訊く。
その声色、態度からは本気で心配しているような素振りは見えない。

「流石に、ちょっと緩すぎたかもしれないね。あの岸辺露伴が僕の言葉に折れたんだから、絶対なにかする気だろうし。
 でも何より彼の願いを聞いたその時、面白い!って思ってしまったんだ。それに僕もマンガ家だしねぇ……。
 ま、面倒を防ぐためにこっちからもいくつか条件を付けさせてもらったし、多分大丈夫だよ」

荒木はモニターを見つめながら淡々と言う。

「僕としても、僕のところのはたてと荒木先生のところの露伴先生が対抗するのは、実に混沌としていて、
 この世界らしくて、お酒が美味しくなりそうなので楽しみなんですがね。
 まあ楽しくなるだけなって足元を救われないよう、気をつけませんと」

そう言うと、大田は手に持ったグラスを一気に傾けて、中身のビールをうまそうに飲み干した。

「そうだね……まあ今はともかく楽しくなることを期待して眺めようじゃないか。
 しかし、君にとってお酒が美味しいのはいつものことだろう?」

「ンフフ、確かにそうなんですが、『朝酒は後を引く』という言葉がある通り、
 時、場所、状況でお酒の味は変わるものなんですよ。結局いつ呑んでも美味しいんですけどね。
 さて、じゃあ荒木先生の言う通り、会場に思いを馳せて幻視でもしましょうか。
 でもその前に新しいお酒を」

大田はそう言い、新しい酒を探しに置き場所に向かった。
ゲーム開始時から呑み通しだが、その足取りは確かだ。
荒木はそんな大田を苦笑しながら見ていたが、すぐにモニターに向き直り、
凄みのある不敵な笑みを浮かべた。

「さてと、これでもっと楽しくなりそうだな。頑張ってくれよ、姫海棠はたて、岸辺露伴」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「ふう~~~……」

電話が終わった露伴は、ゆっくりと深呼吸をしながら携帯を元あった場所に置き直す。
そしてストレッチをしつつ、これからのことを考え始めた。

そう、露伴は願いを認められた。

『僕の願いは、この岸辺露伴に漫画を描かせろ、だ』

という願いを。それだけ聞けばどうということはないマンガ家らしい願いだが、
その願いには、勿論意図があった。
まず願いの内容を仔細に言えば、『はたてのメールマガジンのように、漫画をメールで配信出来るようにしろ』
というものだ。
画像を添付してメールを送る技術があるならば、それは新聞形式以外にも、
つまり漫画の配信にも使えるのではないかと露伴は気づいた。
そして全ての支給品の出元である主催者なら、その手段を与えることも可能であろうと睨んだ。
情報を発信する者を従えるのではなく、自分自身が情報を発信する側になればいいと露伴は考えたのだ。
それにそうすれば、自分の漫画の力で真っ向からはたての新聞モドキを叩き潰すことも出来るとも。
マンガと新聞とではそのコンテンツの持つ力、意味は異なるが、読んでもらうという一点においては同様だ。
より読ませる力があるものがこの場では強い影響力を持つ。
結果的にその願いは『通信機器』、『マンガ道具一式』を同時に望むという大きな願いであったが、
荒木はその願いを面白がり、前記二つの道具だけでなく『モバイルスキャナー』という、
紙媒体のマンガを取り込むことでメールで送信可能な形式に変化させられる道具まで与えてきた。
曰く写真ではマンガの魅力を十分に映し出すことは難しいと思ったから、だそうだ。
まさに至れり尽くせりだが、何もなしに済むほど甘くはなく、当然条件付きだ。
その条件は、今あったことやはたてが煽動行為や捏造報道を行っているという事実を発信してはならない。
マンガ以外の紙や文章を発信することもNG。ゲームの進行を著しく妨げる行為も駄目。
という三つの条件だ。露伴は三点目の条件だけ曖昧だったので文句を言ったが、
余程悪質な行為でなければ許容範囲なのでそれで納得して欲しいと言われ、仕方なく折れた。

以上が、岸辺露伴の願いの結果とその全容だ。露伴は望む願いを叶えおおせたが、
この願いを活かすことが出来なければ勝利ではない。
故に、これからどうするかが肝心だ。
しかし今露伴が考えていたのは、願いをどう活用するかのことではない。
それ以前に直近の別問題があった。

後数分もせず目を覚ます、姫海棠はたてをどうするかだ。

出会って早々ヘブンズ・ドアーで失神させてしまった以上、
何も知らない初対面な風を装っても無駄だろう。
かと言って考えなしにそのまま話そうとしても、敵とみなして襲いかかってくるかもしれない。
逃げるのも、既に文の存在により鴉天狗の敏捷を知っている露伴からすれば論外だ。
なので、いかにしてはたてを面倒を起こさず対処するか、それが露伴の目下の悩みだ。
先ほどから考え通しで、スタンド使用の疲労も合いまりいよいよ体が休憩を欲しているが、
ここが正念場。出来る限りマジックポーションを節約するためにも、自然回復で凌ぎたい。

「ふーむどうするかな……荒木との駆け引きに構いっきりでそこの所をすっかり失念していた。
 大体コイツのリアクションとその対処は想像がつくがね」

ヘブンズ・ドアーでその体験を読んだので、露伴ははたての性格を粗方理解している。
問題はどう切り込んでいくだが、その突破口もある程度見当がついていた。
あとはうまくはたてを考えている通りに誘導できるかだ。
加減を間違えれば即、面倒なことになるが、他の方法を考えている時間もない。

「う……うーん……あ、あれ?私……何でこんな所で……?」

そうこうしているうちに、はたてが目を覚ました。

「えーっと……あー!そうだ!変な男にいきなり襲われて、体が本みたいになって、それで……
 ハッ!あの男は……って後ろにいるぅ!?」

はたては見事なまでに動転していた。さしもの優秀な鴉天狗の頭脳も、
理解不能の体験に巻き込まれれば陰るものらしい。

「やあ」

「やあじゃないわよっ!あんた一体何者!?私に何をしたの!?事と次第によっては酷いわよ!」

はたては熱り立ち次々と怒鳴り立て臨戦態勢だ。対する露伴は猛牛を相手取る闘牛士のように、
飄々と応対する。

「まあまあ、落ち着けよ。質問の答えはひとつずつだ。まず僕の名前は岸辺露伴。マンガ家だ。
 そして君に何をしたかというと……まあそれはどうでもいい。重要な事じゃない」

「重要に決まってるでしょうが!あんたフザケてるの?人をおちょくってるんだったらぶっ飛ばすわよ!」

露伴の不誠実な回答にはたては怒りを更に煽られ、拳を突きつけて威嚇する。
今にも殴りかかりそうな勢いだ。

「まあ待てよ。僕は君と闘うつもりはない。うーん、僕が君にしたことか……
 ま、簡単にいえば僕の能力なんだが、どんな能力かは教えられない。
 君だってこんな状況で他人に安々と自分の能力を教えないだろう?
 ただ何もしていないことだけは保証するよ。そんなことよりも、
 僕はある手段によって君の花菓子念報とやらの存在を知ってね……」

「おっ!何をしたのか曖昧にされたままなのはアレだけど、読者ね!
 それでそれで?どうだった私の記事?」

話題に自分の新聞が出た途端、はたては急に怒りを好奇心に変えた。
余程承認欲求が強いらしい。
露伴もそんなはたての気質を考えた上での話題のすり替えだ。

「感想かい?一言で言うなら『最低』ってところかな」

そして、酷評。
折角話題をすり替えて怒りを逸らしたのに、露伴は褒めるだとか嘘の感想をいうだとか穏便な事は一切せず、
ただ思ったままはたてに酷評を告げた。

「なっ……そう……あんたもそーいうくだらない正義感とか安っぽい感情で物事を考えるタイプなのね」

はたては興奮から一転、今度は一気に冷め、露伴を睨みつける。
空条徐倫が花菓子念報を読み、怒りの炎を燃やして殴りかかってきたように、
目の前の男は自分と波長の一切合わないタイプだと気付き、
乱れた感情が急速に冷えきっていく。

「いやそうじゃない。単純に僕は読み物として、コンテンツとして、
 つまらない低劣なものだと思っているのさ。そこに正義感という補正は無い。
 君の新聞は全く読んでもらえるものになっていない」

だが更に露伴は追い打ちをかける。
ともすれば自殺行為でしか無い煽りだ。

「あんたいったい何が言いたいわけ!?闘うつもりはないとか言ってるけど手の込んだ自殺志願者か何か?
 人様の新聞をボロクソに言って……!
 そんなに死にたいならすぐに楽にしてあげるわよ……!」

はたては最早いつ攻撃してもおかしくないほどの殺意を露伴に向ける。
意図の見えない言動に苛立ちは臨界間際だ。
能力の未知さが懸念事項だが、はたては自分の速さなら勝てると踏んでいる。
しかし、いざ攻撃せんとはたてが構えたその時、露伴は静かにつぶやいた。

「僕のマンガと君の新聞で勝負しないか?」と。

露伴が唐突に投げかけてきた言葉は、はたてにとってまたも理解不能で判断に困る、
意図不明のものだった。いきなりこの男は何を言い出すのかと、
頭のなかでクエスチョンマークが乱舞している。

「あ、あんたいきなり何を言っているの……?もしかして気でも触れてるの?
 勝負?」

「いいや、正気さ。大真面目。まあ何が言いたいかというと」

露伴ははたてに真っ直ぐ向き直り告げる。

「僕は君の新聞を認めない。僕がマンガ家としてなにより大事にするのは、
 作者自身のリアリティだ。
 どんな奇妙なことも、現実味を帯びた正確な描写で描かれることで、
 いっそ生理的な嫌悪を覚えるほどに感情を動かされる。
 リアリティこそが作品に命を吹き込むエネルギーであり、リアリティこそがエンターテイメントなのさ。
 マンガだろうが新聞だろうがリアリティがなければ僕は真に人に読んでもらえないと思っている。
 しかし、君の新聞からは一切リアリティを感じない。
 いかにも人が興味を引くようなセンセーショナルなネタばかりだが、
 人が読むのはそのネタ、浅瀬の部分だけさ。決して君の書いた新聞だから読むわけじゃない。
 想像や捏造によって手の加えられた紛い物に、人はゴシップ以上の価値を見出さない。
 倫理も信念も魂もない、上っ面だけの三流新聞以下のものだね。
 だが、君はそれを認めはしないだろう。今書いているその花菓子念報こそが、今の君にとっての最高なのだから」

「それで、何が言いたいのよ……!」

露伴は持論と、正直な感想を粛々と言い続ける。
次々と露伴に否定され、はたては悔しさから目を伏せ拳を強く握りしめるが、威勢は失わなず、
強く真意を問う。

「僕が君のスポイラー(対抗コンテンツ)になって勝負してやるって言うのさ」

「はあっ!?」

スポイラー、それこそが露伴の真意だ。直接的に花菓子念報を潰すわけでもなく、
はたてに命令を書き込むわけでもなく、真っ向から勝負する。
それが露伴の考えたはたてへの対処であり、自身が花菓子念報とはたてに感じた憤りを公正に晴らす手段だ。
露伴がはたての性格を鑑みて導き出した答えは、その高い好奇心と対抗心を刺激するというやり方だった。

「僕はさっき行った通りマンガ家だ。
 それに運良く支給品によって、描いたマンガを君のメールマガジンのように、
 発信することが出来る。つまり僕はマンガで、君は新聞で、競うわけさ。
 勝敗を明確に判断する材料は無いが、作品の反応で大方分かるだろう。
 君も自分の作品に自信があるだろう?まさか得体も知れないこの僕に負ける気はしないよなぁ……?
 さてどうする。この勝負、受けて立つかい?」

露伴はニヤニヤと笑いながら間延びした声ではたてを煽る。
誰がどう聞いても挑発しているようにしか聞こえないし、実際挑発だ。
ヘブンズ・ドアーで攻撃したことを忘れさせ、ついでにはたてを勝負の土俵に引きずり込む。


「受けて……受けてやるわよ!人の新聞をボロクソにけなしたこと絶対後悔させてやるわ!
 今まで以上に最強になった私の花菓子念報にびびって後悔しても遅いんだからね!」

そしてはたては乗った。見え透いた挑発であることも、話題そらしだとも気づいていたが、
それ以上に露伴の物言いに我慢ならなかった。
はたてはもとより負けず嫌いの気質と上昇志向の気質を併せ持っており、
勝負と聞けば受けて立たずに入られない。
それに、作品に受けたそしりは暴力でなく作品で見返さなければならないとも思っている。
露伴の見立て通りだった。

「そうかそうか。分かった勝負成立だな。僕もこれから頑張るとしよう。
 君の新聞も……まあ少しは楽しみにしているよ……お互い頑張ろうじゃないか、フフ……」

「私もあんたのリアリティがどうだとかいうのは作品を読んで判断してやるわよ!
 口だけじゃないってことちゃんと証明して見せてよね!
 天狗はマンガにも詳しいんだから!」

互いに言葉を掛け合い、これで戦いの火蓋は切って落とされた。
あとは言葉でなく互いの作品によって語られるだろう。

「じゃあ僕はこれで失礼する。ネタ探しもしなくちゃならないし、行く場所があるんでね。
 君も勝負の前にくだらないことで命を落とさないように。それじゃ」

そう言い露伴ははたてに背を向けた。

「あんたも精々気をつけることね。もし何も出来ずに死んだら大笑いしてあげるわ!」

はたても露伴の背に言葉を投げかける。
露伴は手だけをヒラヒラと振って返事をし、そのまま歩いて行った。

「ハァ~……行っちゃった。結局一体何だったのよアイツ。
 人間のくせして全然物怖じしないし生意気だし得体も知れないし。
 おまけに口車に乗せられて変なことになっちゃった……
 結局何されたのかも分からずじまいだし……」

はたては座り込み、肩をがっくり落として嘆く。
終始露伴のペースに乗せられて、情報も引き出せなかった。
ウェスといい露伴と言いこの会場にはろくな人間がいないのかもしれない。

「でも!勝負となったら負けないよ!
 絶対に私の花菓子念報の素晴らしさを分からせてやるんだから!
 今に見てなさい!気合入れていくわよー!」

はたては顔を上げて拳を前に突き出して気合を入れる。
くよくよしていても仕方ない。今はただとにかく取材あるのみだ。
アプリもリストもスタンドも協力者も依然変わらずあり、はたてに吹く神風は未だ止んでいない。

(ウェスも、露伴とか言う奴も、私が必ず打ち倒してやるんだから……
 私はこれで間違っていない、間違っていないはずなのよ……
 スポンサー(主催者)だってそれを望んでるんだから……)

しかし実ははたては露伴の言うことに少しだけ気づいていた。
文のスポイラーになり、彼女の取材スタイルに学んだはずなのに、
今現場にいるとはいえ、自分がやっていることは結局後追いではないのかと。
文に宣言したような『人間が記事まで読むような新聞』を書けていないのではないのかと。
それでもはたては止まらない、いや止まれない。
最早この取材スタイルから後戻りはできないのだ。
決意を新たにし、はたては立ち上がった。

「って寒っ……」

そして自分の服が未だ濡れていたことを思い出し、またのそのそと薪を集め始めるのだった。
今の花菓子念報を文が読んだらどう思うのかな、などと考えながら。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

一方露伴はゆっくりと、考え事をしながら歩いていた。
はたての問題がうまく終わったので、いよいよ何を描くかを思案する。
ちなみに当座目指しているのは、猫の隠れ里の見晴らしのいい場所だ。
霍青娥が発見できなかった以上、むやみに歩きまわるより一度ジョニィと文と合流した方がいいと露伴は判断した。
待つ間に同時に休憩とネタを考えられるので丁度いい。

(しかし……短い時間の間に随分色々なことがあったな……
 康一くんに出会ってスタンドのことを知った時ような衝撃の連続だ。
 だがそれがいい。創作意欲がふつふつと湧いてくる。
 なによりマンガが描けるようになったってのは大きな収穫だ。
 この体験をマンガに活かせないのは惜しい話だからな。
 荒木もはたても青娥も関係ない、僕は僕自身の体験による読んでもらえるマンガを描くだけさ……
 ま、そのついでに全員必ず叩き潰してやるよ。
 さて、まずどんなネタで描くか……フフ……)

露伴は抑えきれない笑みを手で覆いながら歩いて行く。
読んでもらうためだけにマンガを描く露伴だ、こうしてマンガを描けるようになったことの喜びはなにより大きい。
常軌を逸したこの世界でもやることは変わらない。
岸辺露伴は自身のマンガを読んでもらうため、動く。

【D-2 猫の隠れ里前/朝】

【岸部露伴@第4部 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:疲労(大)、体力消耗(小)、背中に唾液での溶解痕あり
[装備]:マジックポーション×2、高性能タブレットPC、マンガ道具一式、モバイルスキャナー
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:情報を集めての主催者の打倒
1:ジョニィと文を待ちながらマンガのネタを考える。
2:はたてのスポイラー(対抗コンテンツ)として勝負してやる。
3:主催者(特に荒木)に警戒。
4:霍青娥を探しだして、倒し蓮子を救出する
5:射命丸に奇妙な共感
6:ウェス・ブルーマリンを警戒
[備考]
※参戦時期は吉良吉影を一度取り逃がした後です。
※ヘブンズ・ドアーは相手を本にしている時の持続力が低下し、命令の書き込みにより多くのスタンドパワーを使用するようになっています。
※文、ジョニィから呼び出された場所と時代、および参加者の情報を得ています。
※支給品(現実)の有無は後にお任せします。
※射命丸文の洗脳が解けている事にはまだ気付いていません。しかしいつ違和感を覚えてもおかしくない状況ではあります。
※参加者は幻想郷の者とジョースター家に縁のある者で構成されていると考えています。
※ヘブンズ・ドアーでゲーム開始後のはたての記憶を読みました。
※主催者によってマンガをメールで発信出来る支給品を与えられました。
 操作は簡単に聞いています。

【D-2 猫の隠れ里 広場/朝】

【姫海棠はたて@東方 その他(ダブルスポイラー)】
[状態]:体力消耗(小)、霊力消費(中)、腹部打撲(中)、全身ずぶ濡れ
[装備]:姫海棠はたてのカメラ@ダブルスポイラー、スタンドDISC「ムーディー・ブルース」@ジョジョ第5部
[道具]:花果子念報@ダブルスポイラー、ダブルデリンジャーの予備弾薬(7発)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:『ゲーム』を徹底取材し、文々。新聞を出し抜く程の新聞記事を執筆する。
1:記事のネタを掴むべく奔走する。
2:とりあえず服を乾かす。
3:掴んだネタはメールマガジンとして『姫海棠はたてのカメラ』に登録されたアドレスに無差別に配信する。
4:岸辺露伴のスポイラー(対抗コンテンツ)として勝負し、目にもの見せてやる。
5:ウェスを利用し、事件をどんどん取材する。
6:使えそうな参加者は扇動。それで争いが起これば美味しいネタになる。
7:死なないように上手く立ち回る。生き残れなきゃ記事は書けない。
[備考]
※参戦時期はダブルスポイラー以降です。
※制限により、念写の射程は1エリア分(はたての現在位置から1km前後)となっています。
 念写を行うことで霊力を消費し、被写体との距離が遠ければ遠い程消費量が大きくなります。
 また、自身の念写に課せられた制限に気付きました。
※ムーディー・ブルースの制限は今のところ不明です。
※リストには第一次放送までの死亡者、近くにいた参加者、場所と時間が一通り書かれています。
 次回のリスト受信は第二次放送直前です。
※花果子念報マガジン第3誌『隠れ里の事件』を発刊しました。
※はたてが今後どこへ向かうかは、次の書き手さんにお任せします。

○支給品説明

『高性能タブレットPC』
主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その一。
その性能は東方紅魔郷から東方輝針城まで遊ぶことが可能な程高性能。
色々なアプリを実行することが可能だが、どの程度か不明な範囲で制限がかけられている。
もちろんメール機能は使用可能。電話機能も付いており、主催者が直接コールすることも可能。
この会場に存在する全てのメール受信可能な機器のアドレスも入っている。
おまけで大容量モバイルバッテリー付き。

『漫画道具一式』
主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その二。
露伴が望むマンガ道具全てが揃っている。

『モバイルスキャナー』
主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その三。
絵や文章の書かれた紙を取り込むことでそれをデータ化することが出来る。
持ち運び可能で、対応した機器に繋げればそのデータを送ることが可能、同時に充電もされる。
性能も高く、短時間で取り込めて画質も十分。ただし画像を綺麗に取り込むのに少しコツがいる。
説明書付き。

109:回天伝説 ~True Executioner? 02 投下順 111:リンノスケ・ザ・ギャンブラー
109:回天伝説 ~True Executioner? 02 時系列順 111:リンノスケ・ザ・ギャンブラー
097:進むべき道 岸部露伴 122:岸辺露伴は動かない ~エピソード『東方幻想賛歌』
095:薄氷のdisaster 姫海棠はたて 118:紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ―
085:第一回放送 荒木飛呂彦 143:Lucky Strike
078:禁写「過去を写す携帯」 太田順也 143:Lucky Strike

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最終更新:2016年06月20日 02:07