※注意:以下に記載されている記事は読者個々人による独自の考察によるものであり、公式の情報ではありません。
なお、この問題が明確に提議されたのはブログの感想欄に投稿されたリンク先
8月8日23時57分のコメントであり、この方の計算によると(前述、およびリンク先の
09月21日8時1分のコメント)によると、新惑星での打ち上げ能力はH-ⅡA/Bで低軌道に対して1.7t程度となるとの事。これは地球での打ち上げ重量である15t~19t(低軌道)と比較して
10分の1前後の大幅な減少である。
これの裏付けとして、ペイロード1.7tをH-ⅡBで打ち上げたと仮定した時のΔVの計算を以下に示す。
①新惑星での第一宇宙速度
新惑星の半径は、外周(10万Km)÷π÷2より、15,195km。重力加速度は地球と変わらず9.8m/s^2である。
これを第一宇宙速度を求める式、v=√g×R(g:重力加速度、R=惑星の半径)に代入すると
v=√15,915×10^3×9.8より、12,488m/s。
以上より第一宇宙速度はおよそ12.5km/sとなる。(地球の第一宇宙速度は7.9km/s)
②H-ⅡBで低軌道に投入可能なペイロード
全質量:202 +(76.5×4)+ 20 + 3.2 + 1.7 = 532.9(t)
SRB燃焼終了時質量:142.2 + 42.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 209.8(t)
ΔV = 9.8m/s^2 * 307.3 * ln(532.9 / 209.8) = 2807.3(m/s)
SRB分離後質量:142.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 167.1
MECO時質量:24.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 49.1
ΔV = 9.8m/s^2 * 440 * ln(167.1 / 49.1) = 5281(m/s)
1段目/フェアリング分離後質量:20 + 1.7 = 21.7
SECO時質量:3.4 + 1.7 = 5.1
ΔV = 9.8m/s^2 * 448 * ln(21.7 / 5.1) = 6357.6(m/s)
2807.3 + 5281 + 6357.6 = 14445.9(m/s)
なぜ第一宇宙速度の12.5km/sに対して約14.5km/sも?、と思われるでしょうが、第一宇宙速度はあくまで“これを越えると人工衛星になる”という最低限のラインであるため、ある程度速く打ち上げないと軌道投入してすぐに大気圏突入してしまう。
実際の(地球での)打ち上げの場合でも第一宇宙速度である7.9km/sよりも2km/s程速く軌道投入されている。
作中で言及されている強化型H-ⅡBについて
- 書籍版で示唆された新型ロケット(強化型H-ⅡB)については登場予定時期が中央暦1642年頃(=西暦2018年)であるため、現在開発中で西暦2020年実用化予定のH3ロケットとは別のロケットである。