今日7月7日は私とつかさの21歳の誕生日。
家族や恋人と甘く楽しい時間を過ごすのが一般的……なんだけど、
「あ~~、やっと終わった……って日付け変わっちゃってるよ」
ようやく仕上げたレポートを前に溜め息を1つ。
本当なら昨日は実家に戻り家族揃って誕生日を祝ってくれるはずだったのだけど、課題のレポートがなかなか終わらずに帰りそびれてしまい今に至る訳。
家族や恋人と甘く楽しい時間を過ごすのが一般的……なんだけど、
「あ~~、やっと終わった……って日付け変わっちゃってるよ」
ようやく仕上げたレポートを前に溜め息を1つ。
本当なら昨日は実家に戻り家族揃って誕生日を祝ってくれるはずだったのだけど、課題のレポートがなかなか終わらずに帰りそびれてしまい今に至る訳。
大学2年の夏から1人暮らしを始めてそろそろ1年が経ち、この生活には大分慣れたものの、こんな日に1人というのはやはり寂しいものがある。
ふとそんな思いに駆られると、携帯からメール着信を知らせるメロディが流れてきた。あいつが勝手に登録したアニソンだ。
「こんな時間に誰だろ?」
液晶を見ると意外な事につかさからのものだった。
高校を卒業しても相変わらず夜に弱いはずの双子の妹が一生懸命眠気と戦いながら携帯を操作する様を思い浮かべると、思わず苦笑してしまう。
内容は簡単なもので、明日と言うか今日の夜に料理を作りに来てくれるとの事。
それと、いつものメンバーがお祝いに来ると書かれていた。
メールを読み終わると真っ先に思い浮かんだのはあいつの事だった。
ふとそんな思いに駆られると、携帯からメール着信を知らせるメロディが流れてきた。あいつが勝手に登録したアニソンだ。
「こんな時間に誰だろ?」
液晶を見ると意外な事につかさからのものだった。
高校を卒業しても相変わらず夜に弱いはずの双子の妹が一生懸命眠気と戦いながら携帯を操作する様を思い浮かべると、思わず苦笑してしまう。
内容は簡単なもので、明日と言うか今日の夜に料理を作りに来てくれるとの事。
それと、いつものメンバーがお祝いに来ると書かれていた。
メールを読み終わると真っ先に思い浮かんだのはあいつの事だった。
あいつとは高校3年の時から恋人として付き合うようになっていた。
告白したのは私から。
藤桜祭の最終日、後夜祭の最中に屋上に呼び出したんだっけ。
校庭の真ん中でキャンプファイヤーが焚かれ、使い終わった道具とかをそこに投げ入れては歓声が上がったり、フォークダンスやステージイベントで盛り上がるのを見下ろしながら。
たった一言「好き」と言うと、いつもの眠たげな表情はどこかに消えて、満面の笑顔で
「私もだよ、かがみ」
そう言って抱きつくと、初めてのキスを奪っていった……
告白したのは私から。
藤桜祭の最終日、後夜祭の最中に屋上に呼び出したんだっけ。
校庭の真ん中でキャンプファイヤーが焚かれ、使い終わった道具とかをそこに投げ入れては歓声が上がったり、フォークダンスやステージイベントで盛り上がるのを見下ろしながら。
たった一言「好き」と言うと、いつもの眠たげな表情はどこかに消えて、満面の笑顔で
「私もだよ、かがみ」
そう言って抱きつくと、初めてのキスを奪っていった……
それからは何もかもが変わって見えた。
学校でのいつも通り他愛もないおしゃべり、受験勉強の合間を縫ってしたデート、そして一緒にすごした夜……
どれもが大切な思い出で、輝く宝物だった。
つかさやみゆき、お互いの親も既に公認の仲になったけど、お互いの家にお泊りセットが常備してあるのはある意味すごいんじゃないかと思う。
高校を卒業して進路は変わってしまったけれど、2人の関係は変わらず続いていった。
だが、それも初めの1年だけだった。
学校でのいつも通り他愛もないおしゃべり、受験勉強の合間を縫ってしたデート、そして一緒にすごした夜……
どれもが大切な思い出で、輝く宝物だった。
つかさやみゆき、お互いの親も既に公認の仲になったけど、お互いの家にお泊りセットが常備してあるのはある意味すごいんじゃないかと思う。
高校を卒業して進路は変わってしまったけれど、2人の関係は変わらず続いていった。
だが、それも初めの1年だけだった。
大学に入学した最初の1年は授業もそれ程難しいものでもなく自宅からでも通えたが、2年になり専門科目が増えるとだんだんと状況は変わっていく。
専門的な資料は自力で揃えるには多過ぎて学校の図書館や資料室に頼るしかなく、そこを利用していると家に帰る頃には10時を回る事は当たり前で、自宅での勉強に当てる時間がほとんどなくなってしまうのだ。
そこで一念発起して親に相談すると、多少難色を示したものの最終的には私の1人暮らしを認めてくれた。
それが2年の前期試験が終わった頃で、そこから約2ヶ月は勉強と家事を覚えるのに必死だった。
掃除と洗濯はどうにかなったものの料理だけはなかなか覚えられず、お母さんとつかさにみっちり仕込まれて、やっと人並みに出来るようになったのは夏休みも1週間を残す頃だったっけ。
そんな訳で1年の頃はそれなりに顔を合わせていたあいつも、2年になるとなかなか会う事が出来なくなり、1人暮らしを始めてからは指折り数えるくらいに減ってしまった。
それでも顔を合わせた時はいっぱいおしゃべりをしたり遊んだり、時間や距離では私達の繋がりが切れる事はなかった。
専門的な資料は自力で揃えるには多過ぎて学校の図書館や資料室に頼るしかなく、そこを利用していると家に帰る頃には10時を回る事は当たり前で、自宅での勉強に当てる時間がほとんどなくなってしまうのだ。
そこで一念発起して親に相談すると、多少難色を示したものの最終的には私の1人暮らしを認めてくれた。
それが2年の前期試験が終わった頃で、そこから約2ヶ月は勉強と家事を覚えるのに必死だった。
掃除と洗濯はどうにかなったものの料理だけはなかなか覚えられず、お母さんとつかさにみっちり仕込まれて、やっと人並みに出来るようになったのは夏休みも1週間を残す頃だったっけ。
そんな訳で1年の頃はそれなりに顔を合わせていたあいつも、2年になるとなかなか会う事が出来なくなり、1人暮らしを始めてからは指折り数えるくらいに減ってしまった。
それでも顔を合わせた時はいっぱいおしゃべりをしたり遊んだり、時間や距離では私達の繋がりが切れる事はなかった。
「そっか、あいつも来るんだ……」
会えなくなっても目を瞑ればすぐに思い出せる、眠たげな顔や私の名を呼ぶ声、楽しげな笑顔。
そんな事を思い出しながら今日は午前中の授業はなかったことを確認すると、私はベットに身を投げてゆっくりと眠りに落ちていった。
会えなくなっても目を瞑ればすぐに思い出せる、眠たげな顔や私の名を呼ぶ声、楽しげな笑顔。
そんな事を思い出しながら今日は午前中の授業はなかったことを確認すると、私はベットに身を投げてゆっくりと眠りに落ちていった。
目が覚めて、簡単な昼食を取ってから大学へ向かう。
今日は試験前の最後の講義が2つで、片方は試験代わりのレポートを提出してしまえばそれで終わりだ。
通学途中でつかさに今日の事で電話すると、私より先に部屋に着けるらしく、準備して待っていてくれるから私は何もしなくていいとの事だ。
折角なので好意に甘える事を伝えて電話を切ってから、つかさ自身も誕生日なのに、とふと思い出し、我ながら人恋しかったのかな?とか苦笑してしまう。
今日は試験前の最後の講義が2つで、片方は試験代わりのレポートを提出してしまえばそれで終わりだ。
通学途中でつかさに今日の事で電話すると、私より先に部屋に着けるらしく、準備して待っていてくれるから私は何もしなくていいとの事だ。
折角なので好意に甘える事を伝えて電話を切ってから、つかさ自身も誕生日なのに、とふと思い出し、我ながら人恋しかったのかな?とか苦笑してしまう。
講義が終わると友人達が試験前の最後の遊びだと誘ってきたが、丁寧に断ると部屋へと急いで戻る。
ドアを前にして深呼吸を1つすると、自分の部屋なのにゆっくりと扉を開け、久しく使っていなかった言葉を口にする。
「ただいま~!」
するとキッチンから「はーい」と久しぶりに聞く、一番聞きたかった声が聞こえてきた。
続いて見慣れない服を着た少女が出てきて、
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「……」
「あ、あれ? どったの、かがみん?」
「何だよその格好?! よりにもよって何でメイド服なんだよ!」
目の前にはメイド服に身を包んだ少女が「やっちゃった?」という表情で立っていた。
「いやぁ、バイト先から借りてきたんだよ。『恋人の誕生日をお祝いしたい』って言ったら一発だったね」
ぐっと親指を立ててウィンクを1つ。
「さてさてかがみんや。久しぶりの再会で言う事はないのかね?」
「……そういうあんたはどうなのよ?」
多分真っ赤になっている顔を見られないようそっぽを向いてると、頬に手を添えられて正面を向かせられる。そこには見慣れた猫のようなニヤケ顔があり、
「私からでいいの? それならお言葉に甘えて……ちゅっ」
抱き締められて、唇が重ねられた。
びっくりする私などお構いなしに抱き締める腕に力が込められ、舌が私の唇を割って入ってきて……
数秒? 数分? 解放されてぼうっとする私に優しい笑顔を向けると囁くようにこう言ってくれた。
「お帰り、かがみ。ずっと会いたかった」
「ただいま、こなた。私も会いたかったよ」
ドアを前にして深呼吸を1つすると、自分の部屋なのにゆっくりと扉を開け、久しく使っていなかった言葉を口にする。
「ただいま~!」
するとキッチンから「はーい」と久しぶりに聞く、一番聞きたかった声が聞こえてきた。
続いて見慣れない服を着た少女が出てきて、
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「……」
「あ、あれ? どったの、かがみん?」
「何だよその格好?! よりにもよって何でメイド服なんだよ!」
目の前にはメイド服に身を包んだ少女が「やっちゃった?」という表情で立っていた。
「いやぁ、バイト先から借りてきたんだよ。『恋人の誕生日をお祝いしたい』って言ったら一発だったね」
ぐっと親指を立ててウィンクを1つ。
「さてさてかがみんや。久しぶりの再会で言う事はないのかね?」
「……そういうあんたはどうなのよ?」
多分真っ赤になっている顔を見られないようそっぽを向いてると、頬に手を添えられて正面を向かせられる。そこには見慣れた猫のようなニヤケ顔があり、
「私からでいいの? それならお言葉に甘えて……ちゅっ」
抱き締められて、唇が重ねられた。
びっくりする私などお構いなしに抱き締める腕に力が込められ、舌が私の唇を割って入ってきて……
数秒? 数分? 解放されてぼうっとする私に優しい笑顔を向けると囁くようにこう言ってくれた。
「お帰り、かがみ。ずっと会いたかった」
「ただいま、こなた。私も会いたかったよ」
つかさとみゆきの姿がない事に気づいたのは着替える直前だった。
こなたに聞くと、どうやら2人の時間を作る為の方便だったらしい。
確かにこなたから2人っきりで、なんて言われたら気恥ずかしさが勝ってつかさ達を呼んでしまいそうな自分が容易に想像出来てしまった。
着替えを済ませた私を待っていたのは普通に思い浮かべるようなお祝いの料理じゃなく、いつも家で食べていたような料理が並んでいた。
正直言ってこういうのをずっと食べたいと思っていた私は心底嬉しそうな表情をしていたのだろう。
「かがみ。そんな顔してくれるのは嬉しいけど、よだれ垂らさなくてもいいって」
「えっ! うそ?!」
「うん、嘘」
「なっ、こなたっ!」
「ひっかかったね、かがみんや。でもそんなに喜んでくれると本当に嬉しいよ」
「もう。馬鹿な事言ってないで食べましょ。おなかペコペコよ」
「はいはい。いっぱい作ったから、たんと召し上がれ」
「いっぱいって……どんだけ作ったんだ?」
「んー……4、5人分?」
「作り過ぎだ!」
「え~、でもかがみなら2人前くらいは余裕っしょ?」
「それはあんたの腕次第ね」
「2人前食べるのは否定しないんだ?」
「……うっさい。早く食べるわよ」
懐かしいやり取りに思わず涙が出そうになった。誤魔化すように「いただきます」と言って箸をつける。
「ん、美味しいじゃない! 流石にずっと家事やってただけはあるわね」
「いやいや、それほどでも」
「この煮付けなんか本当に美味しいわよ。私好みの味付けだし」
「こっちの漬物はどう? 色々試してみたんだけど」
「どれどれ……うん、いいわね。本当に何でも出来るのね、こなた」
こなたに聞くと、どうやら2人の時間を作る為の方便だったらしい。
確かにこなたから2人っきりで、なんて言われたら気恥ずかしさが勝ってつかさ達を呼んでしまいそうな自分が容易に想像出来てしまった。
着替えを済ませた私を待っていたのは普通に思い浮かべるようなお祝いの料理じゃなく、いつも家で食べていたような料理が並んでいた。
正直言ってこういうのをずっと食べたいと思っていた私は心底嬉しそうな表情をしていたのだろう。
「かがみ。そんな顔してくれるのは嬉しいけど、よだれ垂らさなくてもいいって」
「えっ! うそ?!」
「うん、嘘」
「なっ、こなたっ!」
「ひっかかったね、かがみんや。でもそんなに喜んでくれると本当に嬉しいよ」
「もう。馬鹿な事言ってないで食べましょ。おなかペコペコよ」
「はいはい。いっぱい作ったから、たんと召し上がれ」
「いっぱいって……どんだけ作ったんだ?」
「んー……4、5人分?」
「作り過ぎだ!」
「え~、でもかがみなら2人前くらいは余裕っしょ?」
「それはあんたの腕次第ね」
「2人前食べるのは否定しないんだ?」
「……うっさい。早く食べるわよ」
懐かしいやり取りに思わず涙が出そうになった。誤魔化すように「いただきます」と言って箸をつける。
「ん、美味しいじゃない! 流石にずっと家事やってただけはあるわね」
「いやいや、それほどでも」
「この煮付けなんか本当に美味しいわよ。私好みの味付けだし」
「こっちの漬物はどう? 色々試してみたんだけど」
「どれどれ……うん、いいわね。本当に何でも出来るのね、こなた」
こなたの料理はどれも美味しくて、どこか懐かしい味で。
気がつけば本当に2人前以上食べてしまったのは自分でも驚きだった。
こなたは終始楽しげな顔をしていて、食べ終わった今は鼻歌交じりに洗い物をしている。
その背中に向けて、ふと湧いた疑問を投げかけてみる。
「ねぇこなた」
「んー、なに~?」
「美味しかったんだけど、なんか懐かしい味だったのよね」
「そりゃそうでしょ」
「は?」
洗い物を終えて、お茶を淹れて持ってくるこなたの顔を見る。
「だっておばさんとつかさに習ってる最中だもん、『柊家の味』。さすがに同じ味はまだ出せないけどね」
「……はい?」
「ところでかがみ。住み込みのメイドさんなんて欲しくない?」
「めい、ど?」
こなたの話についていけない。何の話をしてるんだ?
「いや、だから。掃除に洗濯、料理に寂しい時の話し相手。勉強の手伝いは無理だけど、夜のおあい、おっと」
こなたの顔がみるみる赤くなっていく。しばらく俯いていたかと思うと、勢いよく顔を上げて、
「あーもう! だからっ、一緒に住んでいいか、って聞いてるの!」
あぁ、なるほど。メイドってこなたのことか。で、住み込みってのはここで一緒に……
「はぁっ?! ちょ、待て待て! どっからそんな話が出てくるんだ?!」
「だって……かがみってば去年の夏から1人暮らし始めたでしょ? 勉強とかも忙しそうだったし、たまに会えても1日だけとか」
「う……それは、そうだけど」
「寂しかったんだよ? でも、だからって我が侭言ってかがみを困らせるのはやだし、去年はまだうちにゆーちゃんがいたし。だから我慢してたけど」
「けど?」
「会って話をしたり、つかさの話を聞いてたら1人暮らしは大変なんだなって。ご飯もレトルトとかコンビニばっかでしょ、最近」
「……見たんだ。まぁ料理したんなら当然か」
「そんなんで体壊したらやだよ? そんな風にあれこれ考えてたら、つかさがこんな事言ったんだよ。『だったらこなちゃんが一緒に住んで、お姉ちゃんのご飯とか作ってあげたら?』なんてさ」
「あの子らしいと言えばらしいのかしらね」
「で、折角だから柊家の味も覚えたらって言ってくれて、ね」
「おじさんは何て言ってるの?」
「私の好きにすればいいって。ただし後悔だけはするなって言ってくれた。普段はあんなだけど、ちょっと見直しちゃったよ」
「そう……」
「それで、どーかな?」
……最初から答えなんて決まってる。
「ダメって言うなら諦めるよ。さっきも言ったけど、迷惑掛けるのは嫌だからね」
寂しかったのは私も同じ。ただ、会ったら甘えてしまいそうだったから。だから勉強を口実に距離を置いてただけ。
「……ダメ、みたいだね。でも私達、恋人でいられる、よね?」
そんな泣きそうな顔をしないで。
「ばか……誰がダメなんて言ったのよ」
「え?」
「こんな可愛いメイドなら大歓迎よ!」
言葉じゃ足りない。だから行動で示す事にした。
「もう離さないからね!」
抱き締めて、唇を奪う。帰って来た時にされたように舌を絡め合わせて、こなたの味を余す事無く堪能する。
こなたも応えるように舌を動かしてくる。
唇を離すと、こなたを抱き上げてそのままベットへ向かい……
数ヶ月振りに触れ合うこなたの体は何よりの誕生日プレゼントだった……
気がつけば本当に2人前以上食べてしまったのは自分でも驚きだった。
こなたは終始楽しげな顔をしていて、食べ終わった今は鼻歌交じりに洗い物をしている。
その背中に向けて、ふと湧いた疑問を投げかけてみる。
「ねぇこなた」
「んー、なに~?」
「美味しかったんだけど、なんか懐かしい味だったのよね」
「そりゃそうでしょ」
「は?」
洗い物を終えて、お茶を淹れて持ってくるこなたの顔を見る。
「だっておばさんとつかさに習ってる最中だもん、『柊家の味』。さすがに同じ味はまだ出せないけどね」
「……はい?」
「ところでかがみ。住み込みのメイドさんなんて欲しくない?」
「めい、ど?」
こなたの話についていけない。何の話をしてるんだ?
「いや、だから。掃除に洗濯、料理に寂しい時の話し相手。勉強の手伝いは無理だけど、夜のおあい、おっと」
こなたの顔がみるみる赤くなっていく。しばらく俯いていたかと思うと、勢いよく顔を上げて、
「あーもう! だからっ、一緒に住んでいいか、って聞いてるの!」
あぁ、なるほど。メイドってこなたのことか。で、住み込みってのはここで一緒に……
「はぁっ?! ちょ、待て待て! どっからそんな話が出てくるんだ?!」
「だって……かがみってば去年の夏から1人暮らし始めたでしょ? 勉強とかも忙しそうだったし、たまに会えても1日だけとか」
「う……それは、そうだけど」
「寂しかったんだよ? でも、だからって我が侭言ってかがみを困らせるのはやだし、去年はまだうちにゆーちゃんがいたし。だから我慢してたけど」
「けど?」
「会って話をしたり、つかさの話を聞いてたら1人暮らしは大変なんだなって。ご飯もレトルトとかコンビニばっかでしょ、最近」
「……見たんだ。まぁ料理したんなら当然か」
「そんなんで体壊したらやだよ? そんな風にあれこれ考えてたら、つかさがこんな事言ったんだよ。『だったらこなちゃんが一緒に住んで、お姉ちゃんのご飯とか作ってあげたら?』なんてさ」
「あの子らしいと言えばらしいのかしらね」
「で、折角だから柊家の味も覚えたらって言ってくれて、ね」
「おじさんは何て言ってるの?」
「私の好きにすればいいって。ただし後悔だけはするなって言ってくれた。普段はあんなだけど、ちょっと見直しちゃったよ」
「そう……」
「それで、どーかな?」
……最初から答えなんて決まってる。
「ダメって言うなら諦めるよ。さっきも言ったけど、迷惑掛けるのは嫌だからね」
寂しかったのは私も同じ。ただ、会ったら甘えてしまいそうだったから。だから勉強を口実に距離を置いてただけ。
「……ダメ、みたいだね。でも私達、恋人でいられる、よね?」
そんな泣きそうな顔をしないで。
「ばか……誰がダメなんて言ったのよ」
「え?」
「こんな可愛いメイドなら大歓迎よ!」
言葉じゃ足りない。だから行動で示す事にした。
「もう離さないからね!」
抱き締めて、唇を奪う。帰って来た時にされたように舌を絡め合わせて、こなたの味を余す事無く堪能する。
こなたも応えるように舌を動かしてくる。
唇を離すと、こなたを抱き上げてそのままベットへ向かい……
数ヶ月振りに触れ合うこなたの体は何よりの誕生日プレゼントだった……
「かがみんのケダモノ~……」
「ごめん」
「こんなになるまでするなんて、もしかして欲求不満?」
「……言うな。自分でも呆れてるんだから」
数時間後……ベットの中で腕枕をしながら、こなたの恨めしげな視線を浴びる私がいた。
「まぁ私もして欲しかったし、気持ち良かったからいいけどね~」
恥ずかしげもなく言うこなたの髪を指で梳いてやると、心地良さげに目を細めて。
その様子にまた体の芯が熱を持ち始めるのを堪えながら、ゆっくりと体を起こしてキッチンへ向かいミネラルウォーターを取り出す。
戻るとこなたがどこかへ電話を掛けるところで、2つのグラスに注いでいると電話が繋がったらしく、こなたが話し始めた。
「どうも、こんばんわ。はい、おっけーです。はい、はい。はーい、分かりましたー。え? いますよ、代わりますね……かがみー、電話だよー」
「は? 誰と話してたのよ。 はい、代わりました」
『よかったわねぇ、家事の頼れる人が一緒に住んでくれる事になって』
「え? ちょっと、この声……お母さん?」
『なかなか連絡がなかったから心配してたのよ? でもこれで一安心ね。こなたちゃんが一緒なら私もお父さんもかがみの事を任せてもいいって思っていたのだし』
「えーっと、どういう事かしら?」
『こなたちゃんがね、かがみの事が心配だから一緒に住みたいって言ってきてね。まぁ半分以上は寂しかったのでしょうけれど』
クスクスと笑う声が受話器越しに聞こえてくる。
『あなたもこなたちゃんが一緒で嬉しいでしょう?』
「そりゃ、まぁ……ってそうじゃなくて! 何で私の知らないところで話が進んでるのよ!」
『あら。こういう誕生日プレゼントは嫌だったかしら?』
「……いつから計画してたのよ?」
振り向いてこなたを見ると、ベットにうつ伏せに転がって子供のように足をパタパタさせながら、あのネコ口でニヤニヤとこちらを見てる。
『今年の4月くらいかしらね。言い出したのはこなたちゃんよ。そうしたらいのり達も乗り気でね。みんなで家の事を色々教えてあげたのよ』
「あー、そうですか」
『そうそう、週末はちゃんと戻ってくるのよ? こなたちゃんが中心だけど、書類とか書くものがあるから』
「分かったから。ちゃんと帰るから、もう切っていい?」
『あら、ごめんなさいね。じゃあこなたちゃんにもよろしくね』
通話を切る直前に受話器の向こうから「お楽しみ中ごめんねー」とか聞こえたが、聞こえなかった事にしておく。
「と言う訳で、両家の家族公認なんで。これからよろしくね、かがみん♪」
そんなこなたを無視しつつカバンから手帳を取り出すと予定を確認する。うん、明日は講義も試験もなしだ。
「あれー? どったの、かがみ? なんかしゃべろーよ?」
どこか怯えた様に後ずさりするが、すぐに壁にぶつかってしまうこなたにゆっくりと近づいて、
「実は明日は休みなのよね、私」
「そ、そうなんだ。でも、それがどーしたのかな? あと顔近いよ? それになんか目が獲物を狙う獣みたい……」
「そーね。明日の事は気にしなくていい訳よ。つまり……」
「つまり?」
「いただきます」
「召し上がれ、って! ちょ、まって。まださっき、の、落ち着いてなくて! んっ、かが、みぃ……」
「ごめん」
「こんなになるまでするなんて、もしかして欲求不満?」
「……言うな。自分でも呆れてるんだから」
数時間後……ベットの中で腕枕をしながら、こなたの恨めしげな視線を浴びる私がいた。
「まぁ私もして欲しかったし、気持ち良かったからいいけどね~」
恥ずかしげもなく言うこなたの髪を指で梳いてやると、心地良さげに目を細めて。
その様子にまた体の芯が熱を持ち始めるのを堪えながら、ゆっくりと体を起こしてキッチンへ向かいミネラルウォーターを取り出す。
戻るとこなたがどこかへ電話を掛けるところで、2つのグラスに注いでいると電話が繋がったらしく、こなたが話し始めた。
「どうも、こんばんわ。はい、おっけーです。はい、はい。はーい、分かりましたー。え? いますよ、代わりますね……かがみー、電話だよー」
「は? 誰と話してたのよ。 はい、代わりました」
『よかったわねぇ、家事の頼れる人が一緒に住んでくれる事になって』
「え? ちょっと、この声……お母さん?」
『なかなか連絡がなかったから心配してたのよ? でもこれで一安心ね。こなたちゃんが一緒なら私もお父さんもかがみの事を任せてもいいって思っていたのだし』
「えーっと、どういう事かしら?」
『こなたちゃんがね、かがみの事が心配だから一緒に住みたいって言ってきてね。まぁ半分以上は寂しかったのでしょうけれど』
クスクスと笑う声が受話器越しに聞こえてくる。
『あなたもこなたちゃんが一緒で嬉しいでしょう?』
「そりゃ、まぁ……ってそうじゃなくて! 何で私の知らないところで話が進んでるのよ!」
『あら。こういう誕生日プレゼントは嫌だったかしら?』
「……いつから計画してたのよ?」
振り向いてこなたを見ると、ベットにうつ伏せに転がって子供のように足をパタパタさせながら、あのネコ口でニヤニヤとこちらを見てる。
『今年の4月くらいかしらね。言い出したのはこなたちゃんよ。そうしたらいのり達も乗り気でね。みんなで家の事を色々教えてあげたのよ』
「あー、そうですか」
『そうそう、週末はちゃんと戻ってくるのよ? こなたちゃんが中心だけど、書類とか書くものがあるから』
「分かったから。ちゃんと帰るから、もう切っていい?」
『あら、ごめんなさいね。じゃあこなたちゃんにもよろしくね』
通話を切る直前に受話器の向こうから「お楽しみ中ごめんねー」とか聞こえたが、聞こえなかった事にしておく。
「と言う訳で、両家の家族公認なんで。これからよろしくね、かがみん♪」
そんなこなたを無視しつつカバンから手帳を取り出すと予定を確認する。うん、明日は講義も試験もなしだ。
「あれー? どったの、かがみ? なんかしゃべろーよ?」
どこか怯えた様に後ずさりするが、すぐに壁にぶつかってしまうこなたにゆっくりと近づいて、
「実は明日は休みなのよね、私」
「そ、そうなんだ。でも、それがどーしたのかな? あと顔近いよ? それになんか目が獲物を狙う獣みたい……」
「そーね。明日の事は気にしなくていい訳よ。つまり……」
「つまり?」
「いただきます」
「召し上がれ、って! ちょ、まって。まださっき、の、落ち着いてなくて! んっ、かが、みぃ……」
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- Just problem 海老天〜!出来る限りのたまさぶろう〜!してもいいでしょう〜! -- ワンブリッジ (2009-01-03 03:45:04)
- ↓では
テトドドイーンドインドイーン!! -- 古泉 (2009-01-03 02:36:32) - かがみの心が僕にマッガーレ -- 名無しさん (2008-07-08 07:13:34)
- なんという……
かがみんケダモノについてkwsk書いてくだしあ>< -- 名無しさん (2008-07-07 12:42:36) - こなたヵヮ。゚+.(・∀・)゚+.゚ィィ!! -- まじかる☆あんばー (2008-07-07 11:28:23)
- こなた変わってなさすぎモエタwwww -- 名無しさん (2008-07-07 08:10:17)
- このこなた可愛いwww -- 名無しさん (2008-07-07 07:38:34)