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みずたまりのほとり(ゆたか視点・エピローグ)

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匿名ユーザー

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教室を出てから、とても長い時間を過ごしたように感じましたが、
まだ教室を出たときと同じ、6時間目の授業中でした。

「教室、戻ろうか」

「うん」

私とみなみちゃんは教室に向かって歩き出しました。

「…今まで見たことないみなみちゃん、いっぱい見ちゃった」

今まで知らなかったみなみちゃんの魅力を、いっぱい知ることができました。
そのきっかけは、授業中におもらししちゃったこと。
そう考えると…おもらしって案外いいものかも、ってちょっとだけ思えてきて…
さすがにそれはない、と思い直しました…。

「……呆れた、よね」

「…え?」

「おもらししそうになったり…泣いたり…思い出すだけで恥ずかしい…」

みなみちゃんは自嘲するようにため息をつきました…。

「そんなことないよっ!
 おもらししそうだった時のみなみちゃん、ずるいって思うぐらいかわいかった!
 震えてた体も、切ない表情も、私を見つめてた瞳も、何もかも全部!
 だから、あのとき……」

…私の言葉は、そこでいきなり途切れました。
『このままおもらしするの見たい、ってちょっとだけ思っちゃった』なんて、
いくらなんでも言えません…。

「…とにかく、みっともなくなんかなかった!呆れるなんてとんでもないよ!」」

「………」

みなみちゃんは真っ赤になってしまいました…。

「泣いてる時だって、すごく綺麗だった!
 私みたいにわーわー泣くんじゃなくて、自制を失ってなくて、静かで、大人で…、
 涙を拭いてあげるのも忘れて、涙が止まるまで黙って見惚れちゃった…。
 涙も宝石みたいにきらきら輝いてて…流れ落ちて本当に宝石に変わってるって
 半分ぐらい本気でそう思っちゃった…。
 綺麗な人は泣いたって綺麗で…それどころか流した涙まで綺麗なんだなぁ…って
 羨ましくなっちゃった…」

「………………」

私が感じたことをありのまま伝えれば伝えるほど、
みなみちゃんはどんどん恥ずかしそうになって…。
教室に着く頃には、今にも頭から蒸気を吹いて倒れてしまいそうでした…。

教室のドアを開けると…。
みんながみなみちゃんを一目見るなり、気の毒そうに話し始めました。

「生脚になってる…ってことは…」

「いや、タイツは朝からはいてなかったよ」

「でも、この表情は…」

「うん、それに目も…」

「苦しくて涙出たとかのレベルじゃない…思いっきり泣いた後…」

「だめだったんだね…」

「あの状態じゃしょうがないよな…」

「むしろ、あの状態まで耐えた上に少しでも歩けたことがすごいよ…」

みんなが口々にそんな事を言いました。

「……?」

みなみちゃんと私は、教室の入口に立ったままで顔を見合わせました。
みんなの言っている意味が分かりません。
みなみちゃんにも分からないようです。

「あちゃー…その様子だと間に合わんかったようやな」

状況を悟るきっかけになったのは、黒井先生の言葉でした。

「え…」

「まー、気ぃ落とすな。おもらしなんて大した失敗やないって。
 泣くだけ泣いたんやろ?もう忘れーな」

おしっこが限界寸前の状態で教室を出ていったみなみちゃん。
そして…戻ってきたみなみちゃんの、真っ赤に泣き腫らした目。
今にも倒れてしまいそうなほどの恥ずかしさを湛えた表情。

みなみちゃんは、間に合わずにおもらしして泣いてしまった。

他の人から見たら、そう誤解されても仕方ない状況だったのです…。

「え、え、ちょっと…」

慌ててみなみちゃんを見ると…、
苦笑しながら、『まあ、別にいいや』という感じでため息をついています。
誤解を解く気はないようです…。

「ち、違うよ!」

そんなの、だめだよ!
誤解、絶対に解かなきゃ…!

「泣いたのはそんな理由じゃないよ!
 みなみちゃん、おもらしなんかしてない!」

どうしよう…どうやったらおもらししてないって証明できるの…?

…そうだ。
私がおもらししたときはスカートがびちょびちょになっちゃった。だから…。

「ほら、スカートだって全然濡れてない!」

私は、みなみちゃんのスカートを掴んでみんなに示しました。

「ほら、横も!後ろも!こっち側も!」

私はみなみちゃんの体を90度ずつ回転させて、
スカートがどこも濡れてない事をみんなにはっきりと示しました。

「…ね!濡れてなかったでしょ?」

みんなを見回しましたが…納得したようには見えませんでした。
後になって考えれば、私の突然の行動に驚いてそれどころじゃなかったのでしょう。
でも、納得した様子が見えないことに私はもっと焦ってしまって…。

…どうして?
どうしてみんな納得してくれないの?

……分かった!

私のときにスカートがびちょびちょになったのは、椅子に座ったままもらしたからで、
そうじゃない状態でもらしたら、スカートが濡れるとは限らない。
だから、スカートが濡れてなくたって中のパンツはびちょびちょなんじゃないかって
疑ってるんだ!

だったら、こうすれば!

「ほら、スカートの中だって濡れてない…!」

ばさっ。

私は、みなみちゃんのスカートを思いっきりまくり上げました。
みなみちゃんは、少しももらしてないって、確認したって言ってました。
だから、これで完全に証明できるはず…。

「………」

…気が付くと、教室の中が凍り付いていました。

「あ……」

自分がしたことの意味に気付いて…私はみなみちゃんのスカートを離しました。

…でも、遅すぎました。

凍り付いた教室の中で、誰かが、ある色の名前をつぶやきました。
私は夢中だったので見てなくて、断定はできないけど…、
状況からして、それはみなみちゃんのパンツの色を描写したもの。
つまり、みんなにばっちり見えてしまったということ…。

しゅー………ぼん。

みなみちゃんの頭から蒸気が出て…。

……ぱたっ。

みなみちゃんは、気を失ってしまいました…。

「きゃあああ!みなみちゃあああん!」

パニックになる私。さらに…。

たぱたぱたぱ…。

教室の中から、何か流れ落ちる音がし始めて…、

「うわー、こっちもやばい!」

「血が!血が止まんないぞー!」

すでにパニックだった私には、誰に何が起きたのか分かりませんでしたが…
それが起きたのは、明らかに私が今したことが原因です…。

あああぁぁぁ、私、どうしたらいいの……?

(おわり)















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