「みなみちゃん、さっきの授業のここなんだけど…」
前の授業で分からないところがあったので、
休み時間、いつものようにみなみちゃんに教えてもらいに行きました。
休み時間、いつものようにみなみちゃんに教えてもらいに行きました。
「ここ…どうしてhaveが主語より前に来るの?」
「Neverが文頭に来ると、倒置が起きて…」
「ここがtheじゃだめなのはどうして?」
「There is構文は不特定の物がある時しか使わない…だからここはaじゃないと…」
今回は分からないところが多くて、ようやく終わった頃には、
もう次の授業のチャイムが鳴っていました。
もう次の授業のチャイムが鳴っていました。
「ごめんね。みなみちゃんの休み時間潰しちゃって…」
「別に謝らなくてもいい…」
みなみちゃんは微笑みました。
みなみちゃん、いつも本当にありがとう。
みなみちゃん、いつも本当にありがとう。
席に戻って、次の授業の準備をして、先生が来て…しまった、と思いました。
今の休み時間に、お手洗いに行きたかったのです。
みなみちゃんに分からないところを聞いてからでも時間はあると思って、
後回しにしたのですが…失敗でした。
今の休み時間に、お手洗いに行きたかったのです。
みなみちゃんに分からないところを聞いてからでも時間はあると思って、
後回しにしたのですが…失敗でした。
我慢…できるよね。
後回しでいいと思ったぐらいだし、あと一時間ぐらい…。
後回しでいいと思ったぐらいだし、あと一時間ぐらい…。
………
今はお手洗いに行けない…。
そのことを意識すればするほど、おしっこしたいって気持ちが強まります…。
そのことを意識すればするほど、おしっこしたいって気持ちが強まります…。
授業、半分ぐらい終わったかな…。
時計を見たら…まだ10分しか経っていませんでした。
………
あれから…だいぶ経ったよね。
おしっこ…さっきよりずっとしたくなってる…。
おしっこ…さっきよりずっとしたくなってる…。
時計を見たら…まだ15分ぐらいでした。
………
いくらなんでも…もう終わりに近いはずだよね…。
おしっこ…本当に辛くなってる…かなりの時間が経ったはず…。
おしっこ…本当に辛くなってる…かなりの時間が経ったはず…。
時計を見たら…まだ15分と20分の間でした。
…無理です。
こんな調子じゃ、授業が終わるまでなんて我慢できません。
先生に言って、トイレに行かせてもらうしかありません。
こんな調子じゃ、授業が終わるまでなんて我慢できません。
先生に言って、トイレに行かせてもらうしかありません。
でも…恥ずかしいから、本当に我慢できなくなってから言おう…。
………
もうちょっと…我慢できる…。
………
たぶん…もうちょっと…我慢できると思う…。
………
もうちょっと…我慢できるんじゃないかな…。
………
…そろそろ…言おうかな…。
じょわぁ。
「!!」
不意に…小さな解放感と共に、あったかい感覚がスカートの中に広がり始めました。
もれてる!
だめ!出ちゃだめ!止まって!
だめ!出ちゃだめ!止まって!
………。
…止まった…みたい。
でも…。
椅子の下まではこぼれなかったけど、スカートまで濡れちゃった。
もう動けない…。動いたら濡れたスカートが見られちゃう…。
椅子の下まではこぼれなかったけど、スカートまで濡れちゃった。
もう動けない…。動いたら濡れたスカートが見られちゃう…。
残ったおしっこも…もうもれちゃう。
なんで?おかしいよ。少し出ちゃった分、楽になってもいいのに…。
これ以上もれたら、椅子からこぼれてみんなにばれちゃう…。
なんで?おかしいよ。少し出ちゃった分、楽になってもいいのに…。
これ以上もれたら、椅子からこぼれてみんなにばれちゃう…。
ばか!私のばか…!
休み時間、どうして先にお手洗いに行かなかったの?
どうしてもっと早く先生に言わなかったの?
休み時間、どうして先にお手洗いに行かなかったの?
どうしてもっと早く先生に言わなかったの?
…がたっ。
「!」
みなみちゃんが立ち上がりました。
「先生…小早川さんの具合が悪そうです。保健室に連れて行きます」
「!?」
みなみちゃんが、私の様子がおかしいのに気付いたのです。
先生はすぐに許可して…みなみちゃんが近づいてきました。
先生はすぐに許可して…みなみちゃんが近づいてきました。
「行こう。ゆたか」
「だめ…行けない…」
「無理しちゃだめ」
「だめなの…動けないの…」
動いたら…おしっこで濡れたスカートが見えちゃうよ…。
「歩けないほど辛いの?だったら抱っこしてあげる…だからとにかく…」
「だめなんだよぉ…」
見られちゃうんだよぉ…おしっこが…。
みなみちゃんは、構わず手を伸ばしてきました…。
「やめて!動いたら…!」
おしっこが…おしっこが…!
心の中で空しく『おしっこが』と叫び続けるうちに、
とうとうみなみちゃんの手が触れて…頭の中が弾けました。
とうとうみなみちゃんの手が触れて…頭の中が弾けました。
「おしっこがぁ!」
心の中の叫びが、本当の叫びになって飛び出して…
さっきと同じ、解放感とあったかい感覚が広がって…
もう…止まりませんでした。
さっきと同じ、解放感とあったかい感覚が広がって…
もう…止まりませんでした。
椅子の下からぱちゃぱちゃ水が弾ける音がし始めて、
教室中がパニックになりました。
教室中がパニックになりました。
「……うわあああんっ!」
私は、机に突っ伏して泣き出しました…。
………
何も考えられなくて、赤ちゃんに戻ったみたいに泣き続けていると…。
「保健室…行こう。着替えなきゃ、風邪ひいちゃう…」
みなみちゃんの声で少しだけ考える力が戻って、
濡れたところが冷たくて気持ち悪いことに気付きました。
それに、今の自分が晒し者みたいになっていることにも…。
濡れたところが冷たくて気持ち悪いことに気付きました。
それに、今の自分が晒し者みたいになっていることにも…。
ここから離れよう。みなみちゃんの言う通り、保健室に行こう…。
私は立ち上がりました。
みんなの視線を感じて、頭の中ががんがんしました。
見ないで…私なんか…。
みなみちゃんが、私に手を伸ばしました。
触らないで…私なんか…!
私は、みなみちゃんの手を払いのけて、教室から駆け出しました。
びちょびちょのスカートから、おしっこの雫が落ちてるのを感じて…。
走りながら涙がどんどん出てきて…。
頭の中ががんがんして、どんどん気が遠くなって…。
…何とか保健室に着いて、ノックもしないで中に飛び込みました。
走りながら涙がどんどん出てきて…。
頭の中ががんがんして、どんどん気が遠くなって…。
…何とか保健室に着いて、ノックもしないで中に飛び込みました。
「小早川さん!?」
びっくりしているふゆき先生に泣きながら抱きついて…。
「ひっく…えぐっ…せんせい…」
「は、はい。どうしました?」
「おしっこ……もらしました……」
最後の力でそれだけ言って…力が抜けて、何も分からなくなりました…。
………………
…気がつくと、保健室のベッドに寝ていました。
…あれ?冷たくない。
さっきまで、スカートもその中もびちょびちょで冷たかったのに…。
さっきまで、スカートもその中もびちょびちょで冷たかったのに…。
夢だったのかな?
具合が悪くなって保健室で寝てて、悪い夢を見ちゃっただけかな?
具合が悪くなって保健室で寝てて、悪い夢を見ちゃっただけかな?
そんな希望が一瞬、心をよぎりました。
でも、手で触ってみると…スカートがなくなってて、
下は体育のハーフパンツになっていました。
ハーフパンツの中には…何もありませんでした。
下は体育のハーフパンツになっていました。
ハーフパンツの中には…何もありませんでした。
「ゆーちゃん、気が付いた?」
こなたお姉ちゃんが、ベッドの横に座っていました。
私が気を失っている間に、ふゆき先生が呼んできてくれたのでしょう。
私が気を失っている間に、ふゆき先生が呼んできてくれたのでしょう。
「心配ないよ。濡れちゃったものはふゆき先生が洗ってくれてるから」
…お姉ちゃんは、優しくそう言いました。
教室でおもらしして、泣きながら走ってきて…
ふゆき先生の前で気を失って…
気を失っている間に着替えさせてもらって…
ふゆき先生の前で気を失って…
気を失っている間に着替えさせてもらって…
…みんな、本当に起きたのです。
「……うぅ……」
また涙が出てきました…。
「ゆめじゃ…なかった…」
「ゆーちゃん、そんなに落ち込むことじゃないよ」
「もう…だめだよ…」
「そんな大したことじゃないって。私だって某ゲームで…」
「ひとりにして!」
「…う、うん」
私のわがままを聞いてくれて、お姉ちゃんはカーテンの向こうに出て行きました。
カーテンが閉じられましたが、向こう側の様子は音で分かりました。
カーテンが閉じられましたが、向こう側の様子は音で分かりました。
………
しばらくして…少し落ち着いて涙が止まった頃。
ノックの音が聞こえて、誰かが保健室に入ってきました。
ノックの音が聞こえて、誰かが保健室に入ってきました。
「ゆたかの鞄…持ってきました」
みなみちゃんが、私の鞄を持ってきてくれたのです。
「おー、ありがと。ちょうど取りに行こうと思ってたとこだよ」
お姉ちゃんが鞄を受け取ってくれたようです。
「ん?くんくん…
みなみちゃん、後始末もしてくれたんだ…ほんとありがとね」
みなみちゃん、後始末もしてくれたんだ…ほんとありがとね」
「!!」
もらしたおしっこをそのままにしてきたから…
みなみちゃんがその後始末をすることになったのです。
みなみちゃんがその後始末をすることになったのです。
私のおしっこを雑巾で拭き取ってるみなみちゃん。
『きたないなぁ…おしっこくさいなぁ』って、ため息をつくみなみちゃん。
『こんなにいっぱいしちゃって…』って呆れてるみなみちゃん。
『きたないなぁ…おしっこくさいなぁ』って、ため息をつくみなみちゃん。
『こんなにいっぱいしちゃって…』って呆れてるみなみちゃん。
そんな映像が次々に頭に浮かんできました。
「ゆたかは…?」
「とりあえず着替えて…ベッドで休んでます」
「会っても…大丈夫でしょうか」
「そうですね。少し興奮していますけど、岩崎さんなら…」
みなみちゃんがこっちに来る気配がします…。
やだ…恥ずかしくてみなみちゃんの顔なんか見られない…!
「来ないで!」
気がつくと、叫んでいました…。
「帰って!みなみちゃんの顔、見たくない!」
みなみちゃんがこっちに来るのをやめた気配がして…
お姉ちゃんが何か言って…
やがて、みなみちゃんが出て行ったのが分かりました。
足音だけで…元気がないことが分かりました。
お姉ちゃんが何か言って…
やがて、みなみちゃんが出て行ったのが分かりました。
足音だけで…元気がないことが分かりました。
みなみちゃん…ごめんなさい…。
今さら遅すぎるその言葉は、またあふれてきた涙で声になりませんでした。
さらにしばらくして、ふゆき先生が乾いたスカートとパンツを返してくれて、
元の服装に戻ると、家まで帰れそうなぐらい気分が落ち着きました。
ふゆき先生にお礼を言って、お姉ちゃんと一緒に帰り道につきました。
外に出ると、もう暗くなっていました。
元の服装に戻ると、家まで帰れそうなぐらい気分が落ち着きました。
ふゆき先生にお礼を言って、お姉ちゃんと一緒に帰り道につきました。
外に出ると、もう暗くなっていました。
「…くしゅん」
帰り道、くしゃみが何回も出ました。
「ゆーちゃん、もしかして風邪かな」
「うん…少し熱っぽいかも…そんなにひどくはないと思う」
みなみちゃんが心配した通り、濡れたままでしばらくいたせいで
風邪をひいてしまったのかもしれません。
でも、お姉ちゃんに言ったのは本当で、そんなにひどいとは感じませんでした。
一晩寝たら治ってしまいそうな、その程度でした。
風邪をひいてしまったのかもしれません。
でも、お姉ちゃんに言ったのは本当で、そんなにひどいとは感じませんでした。
一晩寝たら治ってしまいそうな、その程度でした。
途中で悪化することもなく、無事に家に着けました。
そうじろうおじさんは帰りが遅かった理由などを一切聞いてきませんでした。
お姉ちゃんがすでに、事情は伝えてくれていたのでしょう。
そうじろうおじさんは帰りが遅かった理由などを一切聞いてきませんでした。
お姉ちゃんがすでに、事情は伝えてくれていたのでしょう。
夕食が終わると…すぐに部屋に戻ってベッドに入りました。
何もしたくありませんでした。
体がおしっこで濡れてたことを思い出しても、
お風呂に入る気力すら湧きませんでした。
何もしたくありませんでした。
体がおしっこで濡れてたことを思い出しても、
お風呂に入る気力すら湧きませんでした。
……………
いつの間にか、教室の自分の席にいました。
「おもらし女」
「きたない」
「出て行け」
みんなが私に聞こえるように呟きました。
紙くずとかを投げつけてくる人もいました。
泣きそうなのをこらえていると…。
紙くずとかを投げつけてくる人もいました。
泣きそうなのをこらえていると…。
「小早川さん」
田村さんが笑顔でスケッチブックを持ってやってきました。
「イラスト描いてみたんだ。見てくれる?」
笑顔で接してくれることが嬉しくて、私も少し元気になりました。
「…うん」
田村さんはスケッチブックを開いて見せてくれました。
…そこに描かれていたのは、おもらしして泣いている私でした。
「どう?あの時の小早川さん、かわいいなーと思って描いてみたんだ。
あと、小早川さんをモデルにしたおもらし漫画も描いてるとこ。
岩崎さんをモデルにしたキャラにおもらしパンツ取り替えてもらったりするよ。
完成したらネットでも公開する予定だよ。うふふふ…」
あと、小早川さんをモデルにしたおもらし漫画も描いてるとこ。
岩崎さんをモデルにしたキャラにおもらしパンツ取り替えてもらったりするよ。
完成したらネットでも公開する予定だよ。うふふふ…」
「…わあああんっ!」
私は泣き出して、廊下に飛び出しました。
廊下にも人がいっぱいいました。
「どこ行くの?またもらして保健室に行くの?」
「うわー、きたない」
「学校来ないでほしいよね」
もう……やだ。
「もういいよぉ!わかったよぉ!かえるよぉ!もうこないよぉ!」
私は叫んで、みんなの笑い声の中を駆け出しました。
靴も替えないで、昇降口から外に飛び出そうとして…
靴も替えないで、昇降口から外に飛び出そうとして…
「ゆたか」
みなみちゃんの声が聞こえました。
振り向くと、みなみちゃんが一人で立っていました。
振り向くと、みなみちゃんが一人で立っていました。
そういえば…教室の中にも、廊下の人の中にも、みなみちゃんはいませんでした。
みなみちゃんは…みなみちゃんだけは、私を見捨てないでくれてるのかも…。
みなみちゃんは…みなみちゃんだけは、私を見捨てないでくれてるのかも…。
「みなみちゃんっ…!」
私はみなみちゃんに飛びつきました。
でも…みなみちゃんはすっと体をかわして…私は勢い余って床に倒れました。
でも…みなみちゃんはすっと体をかわして…私は勢い余って床に倒れました。
「近付かないで…おしっこくさくなっちゃう」
みなみちゃんはそう言って、背を向けてそそくさと離れていきました。
私は…一人ぼっち。
私は…一人ぼっち。
「いやあああああ!」
がばっ!
叫びながら飛び起きたら…私の部屋のベッドの中でした。
…夢で飛び起きちゃうことって、本当にあるんですね。
…夢で飛び起きちゃうことって、本当にあるんですね。
…そんなささやかな驚きは、すぐに去って…。
明日から学校でみんなにいじめられる。
みなみちゃんももう私のこと嫌いになって、本当に一人ぼっち。
みなみちゃんももう私のこと嫌いになって、本当に一人ぼっち。
夢で見た、そんな未来がのしかかってきて…。
「……ひっく…ひっく…ぐすっ…」
私はベッドの中でまた泣き出しました…。
(…何を泣いてるの?
おもらししちゃう子なんて、みんなに嫌われて当たり前だよ)
おもらししちゃう子なんて、みんなに嫌われて当たり前だよ)
他に誰もいないのに、誰かが冷たく私に告げました。
それは、私の中の『私』の声でした。
それは、私の中の『私』の声でした。
「ひっく…わかってる…わかってるよ…。
だけど…ぐすっ…みなみちゃんまで…」
だけど…ぐすっ…みなみちゃんまで…」
(みなみちゃんはお母さんじゃないんだよ?愛想尽かして当たり前だよ。
ううん。お母さんでも愛想尽かしちゃうんじゃないかな?
高校生にもなって、教室でおしっこだよ?もらしちゃったんだよ?
ぱちゃぱちゃすごい音立てて、大きな水たまり作っちゃって…)
ううん。お母さんでも愛想尽かしちゃうんじゃないかな?
高校生にもなって、教室でおしっこだよ?もらしちゃったんだよ?
ぱちゃぱちゃすごい音立てて、大きな水たまり作っちゃって…)
「いや…やめて…」
私は耳を塞ぎました。
(おまけに、もらしたおしっこ、その場に残して逃げちゃって。
赤ちゃんと同じだね。これからはおむつして学校に行ったら?
それで濡れたら今日みたいに泣きながら保健室に行って、
ふゆき先生に取り替えてもらえば?)
赤ちゃんと同じだね。これからはおむつして学校に行ったら?
それで濡れたら今日みたいに泣きながら保健室に行って、
ふゆき先生に取り替えてもらえば?)
『私』は容赦なく言葉を続けます…。
内側からの声だから…耳を塞いでも無駄だったのです。
内側からの声だから…耳を塞いでも無駄だったのです。
「…ぐす…ひっく…どうして…どうしてそんなこというの?
わたし…えぐ…おもらししたくて…ひくっ…したんじゃないよ…」
わたし…えぐ…おもらししたくて…ひくっ…したんじゃないよ…」
(もらしたくなかったんなら、休み時間に行っとけばよかったでしょ?
ううん、授業中だって、もらしちゃう前に先生に言えば行けたよ?
もれちゃうって正直に言えば、行っちゃだめとは言われなかったはずだよ?)
ううん、授業中だって、もらしちゃう前に先生に言えば行けたよ?
もれちゃうって正直に言えば、行っちゃだめとは言われなかったはずだよ?)
「はずかしかったんだよぉ…」
(へー、トイレ行きたいって言うの、おもらしするより恥ずかしかったんだ?)
「…もうやだ…いわないで…」
(本当に赤ちゃんと同じだね。
おしっこって言えなくて、そのままもらして泣くだけだもんね。
ほんとに高校生?ちっちゃいし、幼稚園から迷い込んだだけなんじゃない?
あ、幼稚園の子に失礼だね。幼稚園の子でもおしっこぐらい言えるもんね)
おしっこって言えなくて、そのままもらして泣くだけだもんね。
ほんとに高校生?ちっちゃいし、幼稚園から迷い込んだだけなんじゃない?
あ、幼稚園の子に失礼だね。幼稚園の子でもおしっこぐらい言えるもんね)
「やだ!やだってば!やめて!」
(明日学校に行ったら、みんな何て言うのかな?
夢の中みたいに、『きたない』とか『おしっこくさい』とか嫌がるかな?
『おしっこって言えない赤ちゃんが迷い込んでるよ』って笑うかな…?)
夢の中みたいに、『きたない』とか『おしっこくさい』とか嫌がるかな?
『おしっこって言えない赤ちゃんが迷い込んでるよ』って笑うかな…?)
こんこん、こんこん。
『私』が、からかうように私の頭を小突き始めました。
こんこんっていうのが、本当の音みたいに頭に響いてきました…。
こんこんっていうのが、本当の音みたいに頭に響いてきました…。
「やめて!たたかないで!」
こんこん!こんこんこん!
音が強くなりました。
(いい音するね。きっと頭の中、空っぽなんだね。
これじゃおしっこコントロールできないのもしょうがないかな…)
これじゃおしっこコントロールできないのもしょうがないかな…)
「やあぁ!やだ!やだああぁ!やめて!やめてってばぁ!!」
「…ゆーちゃん!ゆーちゃんっ…!」
「え…」
今…音に混じって…お姉ちゃんの声が…。
「ゆーちゃん!入るね!」
ばたん!
誰かがドアを開けて入ってきて、明かりをつけました。
明かりをつけたのは…お姉ちゃんでした。
明かりをつけたのは…お姉ちゃんでした。
「…おねえ…ちゃん…」
私は、涙をぽろぽろ落としながら
お姉ちゃんを見つめることしかできませんでした…。
お姉ちゃんを見つめることしかできませんでした…。
「えっと…」
お姉ちゃんは辺りを見回して部屋に私しかいないのを知ると、
少し安心した様子で私のベッドに腰掛けました。
少し安心した様子で私のベッドに腰掛けました。
「ほー…よかった。お父さんがついにやらかしたかと…」
お姉ちゃんは、大げさにため息をついてそう言いました。
冗談で和ませようとしてくれたのでしょう。
半分ぐらいは本気で言ったように聞こえたのは、たぶん気のせい…。
冗談で和ませようとしてくれたのでしょう。
半分ぐらいは本気で言ったように聞こえたのは、たぶん気のせい…。
涙をパジャマの袖で拭って、深呼吸をして…ようやく気付きました。
さっきの小突かれてるような音は、お姉ちゃんがドアをノックする音だったのです。
お姉ちゃんは、私が泣き叫ぶのを聞いて飛び起きてきたのに違いありません。
さっきの小突かれてるような音は、お姉ちゃんがドアをノックする音だったのです。
お姉ちゃんは、私が泣き叫ぶのを聞いて飛び起きてきたのに違いありません。
「ごめんね…おこし…ちゃって…」
ちゃんと謝ろうとしたのに、まともに声が出ませんでした。
「いやいや。今ので起こされたわけじゃないよ。
ネトゲやってて、ちょっと飲み物取ってこようって出てきたとこ」
ネトゲやってて、ちょっと飲み物取ってこようって出てきたとこ」
言われてみると、お姉ちゃんはパジャマじゃなく部屋着でしたし、
目もぱっちり開いていて、たった今起こされたという様子ではありませんでした。
目もぱっちり開いていて、たった今起こされたという様子ではありませんでした。
「それより…どうしたの?」
お姉ちゃんが聞いてきました。
「………」
…言えませんでした。
心の中の『私』と話して、気が付いたら泣き叫んでた…なんて。
心の中の『私』と話して、気が付いたら泣き叫んでた…なんて。
「…夢。怖い夢…見ちゃって…寝ぼけてただけ」
「そう…何か温かいものでも飲む?落ち着くから…」
「ううん…もう落ち着いた…寝るよ」
「ほんとに大丈夫?もうちょっと一緒にいてもいいんだよ?
なんなら添い寝してあげてもいいし…」
なんなら添い寝してあげてもいいし…」
「い、いいよ…本当にもう大丈夫だから」
「そう…じゃあ戻るけど、私はもう少し起きてるから。
不安になったら、遠慮しないで呼ぶなり来るなりしていいよ」
不安になったら、遠慮しないで呼ぶなり来るなりしていいよ」
「うん…ありがとう」
お姉ちゃんは戻っていきました。
私は念のためお手洗いに行ってきてから、またベッドに横になりました。
お姉ちゃんと話したことで少し心が安定したみたいで、
その夜はもう『私』は何も言ってきませんでした。
私は念のためお手洗いに行ってきてから、またベッドに横になりました。
お姉ちゃんと話したことで少し心が安定したみたいで、
その夜はもう『私』は何も言ってきませんでした。