ヤオヨロズ株式会社(やおよろずかぶしきがいしゃ)は、かつて存在した日本のアニメーション制作会社。代表取締役は寺井禎浩。
基本情報 |
業種 |
情報・通信業 |
代表者 |
寺井禎浩(代表清算人) |
本店所在地 |
東京都港区東麻布3丁目10番3号 マルベリービル3階 |
創業 |
2013年8月 |
解散日 |
2020年3月31日 |
関連性 |
『けものフレンズ』(テレビアニメ)および『ケムリクサ』(テレビアニメ)を制作 |
組織基本情報テンプレート |
概要
東京都港区に本社を置く芸能事務所「株式会社ジャストプロ」のアニメーション事業部であり、主要株主にジャストプロ、つばさエンターテインメントの名前が存在した。
2012年、石ダテコー太郎(当時は「石館光太郎」名義)と福原慶匡が共同でアニメ制作の企画を立ち上げた際、福原と知己であった寺井禎浩がプロデューサーとして資金調達することとなり、2013年2月から『直球表題ロボットアニメ』が放送された。同作のその制作は、寺井の経営するジャストプロと福原の経営するつばさプロダクションが携わっていたが、制作の名義は「ザルゴザール」となっていた。
社内の沿革によると2013年8月、ジャストプロ内にアニメスタジオ「ヤオヨロズ」が設立された。*1しかし、同年10月から放送された『てさぐれ!部活もの』、および2014年1月から放送された第2期『てさぐれ!部活もの あんこーる』では、劇中のクレジットに「ヤオヨロズ」の名前は見られない。「ヤオヨロズ」の名前が制作としてクレジットされるのは、2014年7月から放送された『みならいディーバ(※生アニメ)』となっている。
設立当初は石ダテが過去作『gdgd妖精's』で試験的に採用していたMikuMikuDanceを全面的に採用することによる、低予算かつ短期スケジュールでのアニメーション制作を目玉にしていた。なお、当時のキャッチコピーは某牛丼チェーンをもじった「早い、安い、上手い」だった。
2017年の『けものフレンズ』の制作で知名度を上げたが、2020年3月31日に開催された
株主総会の決議により解散した。
社名の由来について
「ヤオヨロズ」という名前になった理由について、2019年5月18日に石ダテコー太郎が自身のツイッターにて「あらゆるものに魂が宿る・日本の神様たち、ってイメージ」として自身がヤオヨロズと名付けたことを語っている。
そういえば「ヤオヨロズ」って名前付けたの僕なんですよね… あらゆるものに魂が宿る・日本の神様たち、ってイメージでアニメルックCGの会社にぴったりかな?と思ったのですが、もろもろ神話のような話になっていることも大変興味深いです😝
午後2:18 · 2019年5月18日·Twitter for iPhone
しかし、2022年7月12日にビジネスSNS・Wantedlyに掲載された福原への
インタビューでは社名にヤオヨロズと名付けた由来が語られているが、石ダテの名前がこの
インタビューでは挙がっておらず、石ダテが語ったエピソードとの食い違いが起きている。
社名には、元々のメイン事業であるアニメ関連のキーワードを入れたいなと思いAnime(アニメ)ついて調べたところ、語源であるAnimaにはラテン語で命や魂をあらわし、全てのものに命を宿らせるという”八百万の神々”に通じる意があると知りました。もう一つ、「アニメという日本を代表するカルチャーを表すために日本語にしたい」というこだわりがあったので、それらを掛け合わせて、八百万の読み仮名である”ヤオヨロズ”に行き着きました。
ヤオヨロズボイスラボ
ヤオヨロズ付属の声優・俳優養成機関として「ヤオヨロズボイスラボ」という養成所が設置されていた。
所長は声優・音響監督である長崎行男。
長崎行男 @Kameari_Kanata
「けものフレンズ」のプロデューサー福原慶匡さんのお誘いを受け、この度、声優養成機関ヤオヨロズボイスラボの所長をお引き受けすることになりました。
ラボですので、従来の「教える×教わる」という関係ではなく、一緒に「声優という人生」を研究出来ればと思っています。
ご興味のある方は是非❣️
8millionの福原慶匡 @fukuhara_ystd
アニメに出たい声優になりたい方募集‼️
ラブライブ!、KING OF PRISM等の音響監督長崎行男さんが所長を務める、声優養成機関ヤオヨロズボイスラボ。無料特待生募集オーディションを開催します、奮ってご応募ください
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午後7:01 · 2018年2月15日·Twitter for iPhone
午後10:39 · 2018年2月15日·Twitter for iPhone
2017年6月、ヤオヨロズボイスラボにて『けものフレンズ』への出演を約束した「けものフレンズ声優オーディション」を開催したが、のちに「ヤオヨロズオーディション」と名を改めた。現在でもその理由は明らかになっていない。KFP擁護派からは「勝手に『けものフレンズ』のネームバリューを利用した」として批判されている。
2020年3月末のヤオヨロズ解散に伴って「ボイスラボトーキョー」と改称したものの、現在公式サイトに掲載されているオーディション応募用紙の名義は「ヤオヨロズボイスラボ」のままとなっている。
たつきとの関係
2017年の福原の
インタビューでは、ヤオヨロズについて「たつきが不自由なく製作活動を行える会社がコンセプト」と紹介されている。なお、直接の設立の理由は、上記の通り石ダテと福原がアニメ制作の企画を立ち上げたためであるが、現在ではほとんど言及されない。
『直球表題ロボットアニメ』のクレジットにはたつきの名前はないため、「ザルゴザール」の時点ではたつきは制作に携わっていなかったことが確認できる。たつきのヤオヨロズにおける初参加作品は『てさぐれ!部活もの』であり、2015年7月放送の第3期『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』までアニメーション監督*2を担当している。
なお、『みならいディーバ(※生アニメ)』のクレジットにはたつきの名前は見られない。
また、福原の
インタビューによればたつきは社員ではなく、「作品契約」という立場であったことが語られている。
解散
2020年3月31日、
株主総会の決議によりヤオヨロズは解散した。映像ソフトが高い売り上げを記録したとされる『
ケムリクサ』や、たつきを有するネームバリューとブランドイメージを持っていたにも関わらず、突然の解散告知がなされたことで、けものフレンズ界隈は大きな衝撃を受けた。
翌4月1日、福原は自身のTwitterアカウントで「ヤオヨロズを新法人8millionに統合します」とツイートした。
福原慶匡の2020年4月1日のツイートその1
(魚拓)
福原慶匡の2020年4月1日のツイートその2
(魚拓)
大多数のたつきファンはこの福原の報告に安堵し、KFPアンチは「解散」に注目するKFP擁護派に対して「解散ではなく発展的統合である」と反論した。しかし、解散の事実は官報に記載されたもの*3であり、ヤオヨロズと8millionは全く別の企業となっている。また、8millionの業務内容には「アニメーション企画・制作」があるものの、2022年現在、同社が企画・制作したアニメ作品は存在しない。また、8million公式サイトの「メンバー」にはたつきの名前が見られないため、現在の8million・福原とたつきの関係は不明となっている。
なお、たつきはヤオヨロズの解散について一切言及せず、現在でも沈黙を貫いている。
解散理由の推測
ヤオヨロズには『てさぐれ!部活もの』以来築き上げてきたブランドイメージが存在し、『
ケムリクサ』では映像ソフトがかなりの売上を記録していた。それにもかかわらず突然解散したため、けものフレンズ界隈では解散理由について以下のような説が挙げられている。
8millionへの集約化説
福原の説明の通り、これまで分かれていたヤオヨロズなどの諸企業の業務を8millionへ集約するために「移管」しただけであるとする説。なお、KFPアンチはこの説を根拠に「解散ではない」と主張している。
KFP擁護派からは「ヤオヨロズのネームバリューを捨てるのはあまりにも惜しい」と考えられており、現在もアニメ制作の報告がない8millionの現状から、この説を疑問視している。また、官報に掲載されている「解散」の事実を頑なに否定するKFPアンチを批判している。
ネームロンダリング説
たつき監督降板事件以降、ヤオヨロズには高評価だけではなくマイナスイメージも付きまとっており、それらを払拭するために改称したとする説。
資金不足説
Blu-ray Disc『
ケムリクサ』は、他作品と比較して単価が非常に安い点が特徴の一つであった。低価格設定となった理由は不明だが、このような販売形態で利益を黒字化するためには商品を大量に売る必要が生じる。これらを踏まえて、『
ケムリクサ』等の映像ソフトの販売数では今後の運営資金を賄えなかったのではないかとする説。この説を補強するものとして、Blu-ray Disc『
ケムリクサ』の梱包を外部に委託せずに福原とたつきを含むirodoriで梱包していたなど、通常の企業では考えられないようなことが行われていた点も挙げられる。
また、これらをBlu-ray Disc『
ケムリクサ』自社買い論に結びつけ、自社買いの結果資金不足に陥ったと考える者もいる。
アニメ制作から撤退及びヤオヨロズブランドの抹消説
代表取締役である寺井が、『けものフレンズ』及び『
ケムリクサ』で発生したトラブルを重大視して、これからジャストプロとしてアニメ制作は行わないとしてヤオヨロズブランドそのものを抹消させた説。
この理由として、以下の点が挙げられる。
ヤオヨロズと後継の8millionは親会社であるジャストプロと住所が同じであり、会社が解散または休業しても、機材や人材の物理的な移動は起こらず書類手続きのみで済んでしまうため、わざわざ解散させるメリットが薄い。
ヤオヨロズ同様に8millionに業務が統合されたエスターセブンは、解散ではなく合併*4扱いであるものの、エスターセブンの法人番号はまだ存在しており、ジャストプロと同一の住所となっている。
ヤオヨロズの代表取締役は寺井であり、解散公告および代表清算人も寺井となっている。福原がヤオヨロズの解散を決めたという根拠がどこにもなく、会社内での地位や公的資料を考えるに、寺井がヤオヨロズの解散を決定したことになる。
福原は「ヤオヨロズの顔」として頻繁に
インタビューを受け、今後のヤオヨロズの未来について各種媒体で多くを語っていた。ヤオヨロズの解散はこれまでの発言の説得力を低下させてしまうことになってしまう。休眠会社としてヤオヨロズの名を残す道がありながらも、その選択をしなかったことも不可解である。
これらから、「ヤオヨロズを解散させること自体に何らかの象徴的な意味が含まれている」と考える者もおり、ヤオヨロズ解散は「寺井が主導し、福原の仕事の権限を縮小させるために解散を決断した」という説が一部で提唱されている。この説に付随して、「たつき監督降板騒動はジャストプロにさしたる利益を与えず、続けて『
ケムリクサ』の商標拒絶問題により今後の利益が見込まれなくなったことから、これ以上のアニメ制作を続けるのは困難だと寺井が判断したのではないのか」という見方がある。
実際に、8millionでは2022年現在、アニメ制作の業務は全く見られず、芸能人関係のオンラインサロンの運営がメインとなっている。
外部リンク
ヤオヨロズ ※現在は8millionの公式サイトとなっている
ヤオヨロズ(@yaoyorozuanime) - Twitter
最終更新:2023年06月24日 14:18