時間軸の中に人間に知覚されるような2つの点を近接して置くと、2点間の時間に長さを感じるようになるが、その「長さ」をいくつか順次並べたもの。
楽曲全体に渡り安定して繰り返される構造化された時間的パターンである。
有音と無音、音量の強弱、さらに各々の時間配分といった構成要素を複雑に組み合わせた結果、感受可能な組合せとして表現される。
無音が果たす役割は重要でリズムの根幹と言え、有音と無音の関係は人の呼吸に近く、両方の組合せがあって初めて成り立つ。
重要な拍を際立たせる繊細な表現法が多数存在し、楽曲のスタイルや形式によって制約を受ける。
拍が2という単純なリズムもあるし、拍が32という複雑なものもあり、拍にしても1と扱うか、1/2と感じるか、1/32とするかなど様々である。
音楽においては、音の開始点が知覚されやすいので、時間軸における点を主として音の開始点で示す。
音の開始点から次の音の開始点までの長さを、順次いくつか並べたものが、音楽におけるリズムである。
人の耳は音の開始には敏感だが、音の終了にはあまり注意を払わない傾向がある。
(音が残響することによって音の終了がはっきりと作り得ないことや、人間の聴覚に残像効果があることによる)
この傾向は、物を叩いたときの音のような、音が次第に弱くなっていくような音について顕著である。
音の開始は時間軸の点を示すが、音の終了によって点を示すことは困難である。
一般には、リズムを「音の長さを順次並べたもの」と定義することができる。
「音の長さ」とは、実際の音の長さではなく、概念上の音の長さ(次の音が出るまでの長さ)のことである。
音の開始点の時間間隔だけでなく、音の強さや音が実際に終了するまでの時間によって、リズム感が異なることがある。
等しい間隔で打たれる基本的なリズムを拍節と言い、その1つ1つの時間単位を拍という。
一般に、拍は人間の歩行の一歩一歩に擬せられる。
拍は実際に常に音によって示されなければならないわけでなく、しばしば概念化して音で示されなくても拍を感じることができる。
拍の周期の長短による、音楽の速度のこと。
拍に重軽が生じ、原則としてそれが一定のパターンで周期的に繰り返されること。
西洋音楽や多くの民族音楽では、リズムは拍子の上に作られる。
拍を結合したり、拍を等分したり、等分した拍をさらに結合したりして、リズムを作成する。
拍子のないリズムも存在し、自由リズムと呼ぶ。
西洋音楽では、拍子とは、拍の連なり(拍節)において拍に重軽が生じた時に、1つの重である拍(強拍)とそれに後続する1つないしいくつかの軽である拍(弱拍)の集まりが(原則として)周期的に繰り返され、強拍から次の強拍までで1つのまとまりを感ずること。
1つの強拍に連なる拍の数によって、2拍子、3拍子、4拍子などと呼ぶ。
1つの拍を示す音価を添えて、4分の2拍子、2分の3拍子と呼ぶ。
楽譜では、五線の下半分に音価、上半分に拍数を書く。
楽譜上では、1つの拍を示す音価が付点音符の場合、便宜上本来の拍子と異なる数字を書き記すことがある。
2分の2拍子を、4分の4拍子と書くことがある。
西洋音楽における、拍の長さ、すなわち拍節の速さのこと。
一般に速度記号で表され、速度を示す言葉(速度標語)またはメトロノーム記号で表される。
メトロノームは、1分間における拍の数によってテンポを刻む機械である。
メトロノーム記号は、1分間における拍の数でテンポを表す。
例えば、1分間に60拍ならばM.M.=60のように表し、単位にBPM(Beats Per Minute)が使用される場合も同じ意味である。
=60のようにその音価を示す音符を明記することも多く、拍の音価にかかわらず、示された音価の刻む速さを示す。
打点であり、基本の単位として聞こえる基準のこと。
曲から基本的な時間の単位を取り出したものであり、以下の意味で用いられる。
①基本的な時間の単位の始まり、つまり時間の中のある1点(足が床を踏むほんの一瞬の点)
②1つ目の足踏みから2つ目の足踏みが完了するまでの時間
③ポピュラー音楽では、各ビートの連なり全体
多くの音楽は、緊張したビート(強拍)と弛緩したビート(弱拍)との組織で特徴付けられており、拍子記号とテンポとを示す部分がある。
「ビート」という用語は、拍子記号においては分母を参照することが多い。
(例えば、3/4拍子と書いてあれば、ビートは4で、すなわち四分音符である)
拍の基準がビートの基準より速いものは拍の基準が分割(複合拍子)されており、拍の基準がビートの基準より遅いものは拍の基準はビートの基準の倍数となっている。
ハイパーメーター(一般的には1小節を1拍として数えるときの1小節)の1つの単位のこと。
1小節が1つのビートとなるハイパーメジャーとなる。
音楽において、ある音(または休止)に与えられた楽譜上の時間の長さのこと。
(例えば、楽譜に二分音符が示されているならば、その二分音符の音の長さ(=二分音符分)が、その二分音符の音価である)
音価は、その音符または休符が支配する時間を示すものであり、その符の開始点から次の符の開始点までがその符の音価である。
人間の耳は音の開始には敏感であるが、音の終了にはあまり注意を払わない傾向があり、特に物を叩く時のような音がだんだん弱くなっていくような音においてその傾向は顕著である。
音を音価の途中で始めることはなくても音価の途中でやめることはよくある。
(スタッカートは音を音価の途中でやめることを明示する記号であり、音が持続しない打楽器や撥弦楽器では実際の音がどこで終わったのか明確でないこともある)
楽譜上における符が拍に対する相対的な長さを示す以上、音価も拍の長さ(テンポが)が変われば、それに伴って同じ音価も長くなったり短くなったりする。
人間が定量記譜上において知覚することにできるリズムは、「一拍の等分(ヘンリー・カウエル)」、「一拍の等倍(オリヴィエ・メシアン)」、「一拍単位の基準値の変更(エリオット・カーター)」の三つを組み合わせることしか出来ない。
最終更新:2009年08月23日 23:52