オクタヴィアの隠れ家。
知る者は『モノリス』の構成員を除きいないはずの空間にその少女は立っていた。
知る者は『モノリス』の構成員を除きいないはずの空間にその少女は立っていた。
「あらあら見たところあなた、巫力はないわね。単なる迷子かそれとも…………」
惚れ薬を手に持ち、少しでも攻撃する素振を見せたのならすぐに落とすつもりのオクタヴィアに対し、その巫女ですらなき少女は話しかけてきた。
「ここは『モノリス』のオクタヴィアさんの研究所であってる?私はあなた達の味方。つまりは同志、そして『養分』。その『養分』の分際からちょっとした提案があるだけ」
「……なんのつもりかしら?」
「……なんのつもりかしら?」
オクタヴィアは惚れ薬を手から離さず、簡単には警戒を解かない。
しかしながら、
しかしながら、
「養分」。
『モノリス』の構成員の間で密かに使われている巫女以外の人間を指す用語を自ら称した少女に興味が湧いた。
言っていることが本当ならば、巫女と一般人では身体能力に大きな差がある。
よっていつでもオトせるとここは判断し、話の続きを聞くことを選択した。
言っていることが本当ならば、巫女と一般人では身体能力に大きな差がある。
よっていつでもオトせるとここは判断し、話の続きを聞くことを選択した。
「簡単に言うと『モノリス』の悲願のための研究を手伝いたい。だけど普通に真正面から組織に入ろうとしても血の気の多い巫女が窓口だった場合、味方でないイコール何をしてもいい相手と思われて殺される。それは困る」
「ならなぜ妾がその窓口に選ばれたのかしら?妾以外にも落ち着いた性格の子はいるにはいるでしょう?」
「あなたは私と同じ研究者。この前読んだヴァニリアの記事に載っていたわ」
「ならなぜ妾がその窓口に選ばれたのかしら?妾以外にも落ち着いた性格の子はいるにはいるでしょう?」
「あなたは私と同じ研究者。この前読んだヴァニリアの記事に載っていたわ」
その言葉に嫌なものを思い出したのか唇を噛み締めるオクタヴィア。
この前進入してきて資料の何から何まで撮っていったやつの名前だからだ。
この前進入してきて資料の何から何まで撮っていったやつの名前だからだ。
「内容がきちんと悲願を『モノリス』の願いを叶えようとしてる人間のそれだった。あれは『嘘』は書かない。だからオクタヴィアさんなら、門前払いや話を聞かずに初手殺しはないと思った」
「ええ、実際に貴方の目論見通りになっているものね。仮に謝姉妹達のような手合いだったらこうもいかないわ」
「それは何より。話を本題に戻すけれど、私の研究をモノリスに使ってほしい。強制的な神との契約解除、つまり最後の巫女以外の巫女を『養分』にする。貴方の精神を操る惚れ薬と合わせれば……これ以上言わなくても理解できるはず」
「ええ、実際に貴方の目論見通りになっているものね。仮に謝姉妹達のような手合いだったらこうもいかないわ」
「それは何より。話を本題に戻すけれど、私の研究をモノリスに使ってほしい。強制的な神との契約解除、つまり最後の巫女以外の巫女を『養分』にする。貴方の精神を操る惚れ薬と合わせれば……これ以上言わなくても理解できるはず」
少女から掲示された内容を咀嚼、吟味する。
少しばかり考えた末、『モノリス』の研究者は至った結論を述べた。
少しばかり考えた末、『モノリス』の研究者は至った結論を述べた。
「信仰量が増えるわね。使える信仰は人間だけだと限界はあるけれど、巫女も『養分』として加算できるならば信仰量の上限は上がる。ええすごくいいわ」
理想の成就には数多の困難が立ちはだかるというのに、オクタヴィアは「実現したら」と言う想像だけで恍惚を浮かべた笑みを見せた。
彼女の反応に満足したように少女も釣られて口角を上げる。
自分のセールストークに手応えを感じている様子であった。
彼女の反応に満足したように少女も釣られて口角を上げる。
自分のセールストークに手応えを感じている様子であった。
「理解してくれた?なら私を『モノリス』に入れて」
「ええ上と交渉してみるわ。幹部で交渉を試みるとしたら……、ギネヴィアかしら?貴方の有用性は理解できるはずだもの。それとまた隠れ家を変えないと駄目ね。貴方に見つかったのなら他の巫女にも見つかるもしくは、見つかっていると考えるほうが自然だもの」
「ありがとう。そういえば名乗るのを忘れてた。私はジャネット。ジャネット・クローバー」
「ジャネットね。よろしく頼むわ」
「ええ上と交渉してみるわ。幹部で交渉を試みるとしたら……、ギネヴィアかしら?貴方の有用性は理解できるはずだもの。それとまた隠れ家を変えないと駄目ね。貴方に見つかったのなら他の巫女にも見つかるもしくは、見つかっていると考えるほうが自然だもの」
「ありがとう。そういえば名乗るのを忘れてた。私はジャネット。ジャネット・クローバー」
「ジャネットね。よろしく頼むわ」
オクタヴィアは惚れ薬を懐にしまい、新たなる同胞となるであろう少女と握手を交わした。
その後、交渉が成立し無事ジャネットが『モノリス』に正式加入したのは別の話である。