はじめに
このページは「車の選び方がよく分からないよ!!」という方を中心に、性能表の見方や各パラメーターの特徴を解説するページとなります。
マシンのパワー
このwikiでは「ps」と表記されている部分、つまり馬力のこと。平たく表現すれば、この数値が高いほど車体を力強く前進させ、より高速での巡航を可能とする。一方で、パワーがあればあるほど有利というわけではなく、より大きな力がタイヤにかかってしまうため制御は困難になりがちだったり、そもそもパワーに対してマシン本体がついていかずパワーを生かしきれない場合もある。無理にパワーの高いマシンに乗ろうとするよりは、自分に合ったパワーのマシンで走ったほうが良いだろう。
また、マシンにはパワーバンドと呼ばれるものがある。これはエンジンをどのくらい回した時に一番パワーを出せるかというもので、その領域をいかに使い続けられるかが速く走る秘訣となる。
また、マシンにはパワーバンドと呼ばれるものがある。これはエンジンをどのくらい回した時に一番パワーを出せるかというもので、その領域をいかに使い続けられるかが速く走る秘訣となる。
車体重量
車体の重さを示す単位そのもの。重量のあるボディは安定感に富む一方で加速や(このゲームには関係ないが)燃料、タイヤの消耗に不利になりがち。一方で軽量なボディは加速、コーナリングや消耗面でより優位に立てるがその分安定感を損なってしまうこともある。実車においてはあえて重量を増やすことでタイヤを使い切ることを目標としたマシンも存在し、一概に軽量であることだけが正義とは言い切れない。
また、同じ重量であっても前後重量配分の違いによって車の挙動は変わるため、そこはやはり好みといったところだろうか。
また、同じ重量であっても前後重量配分の違いによって車の挙動は変わるため、そこはやはり好みといったところだろうか。
パワー・ウェイト・レシオ
先ほどの車体重量を出力で割った値のこと。同じ力をかけた時であれば、重いものよりも軽いものの方が動かしやすいはずだ。この数値は、そういったものを指標化している。マシンほど不安定になりがちで、またパワフルなほど制御が難しくなるということを総合すれば必ずしも値が小さい方が速いとは言い切れないものの、基本的には数値が小さい方が高性能と考えて差し支えない。
駆動方式
マシンのどのタイヤを動かしてエンジンのパワーを路面に伝えるかを表したもの。以下の種類があり、特徴はそれぞれ次のとおり。
FF/フロントエンジン・フロントドライブ
車体の前方にエンジンを搭載し、前輪を駆動する方式。プロペラシャフトなどのパーツを削減できるためより低コスト、軽量に仕上げることができ、車内空間を広く取れるためいわゆるお買い物カーなどに広く使われる方式である。フロントに重量物が集中する都合上直進安定性が高く、また車体を引っ張るような状態のため姿勢が乱れてもアクセルを踏み込むことで安定させることができる。その一方で先述のフロントヘビーな傾向はアンダーステアを誘発しやすく、焦ってアクセルを戻してしまうと今度はエンジンブレーキが駆動輪、つまり前輪にかかって一気に内側に切り込んでしまう「タックイン」が発生してしまう。また、フロントの負荷が大きいため長丁場のレースになると前輪を消耗しやすく、耐久レースにはあまり向かない(*1)(が、このゲームでは関係ない)。アンダーステアを打ち消しながらタックインをうまく活用して走ることが、速さに直結する。安定性の高さを鑑みれば、初心者でもとっつきやすい駆動方式と言える。
FR/フロントエンジン・リヤドライブ
車体前方にエンジンを搭載し、後輪を駆動する方式。かつての大半の乗用車やスポーツカーによく見られる方式である。なんと言っても前輪を操舵、後輪を加減速という役割分担をさせられることによるバランスの良さが自慢。重量物も前後に配置できるため、前後重量配を理想的な50:50に近づけやすいことも美点。一方でプロペラシャフトを通す都合上室内空間をやや犠牲にしなければならず、この機構がエネルギーロスにもつながるため乗用車の主流はFFに取って代わられてしまった(が、このゲームでは関係ない)。さらに、他の駆動方式と比べると駆動輪の後輪に荷重がかかりにくい構造なため、リヤの荷重を比較的簡単に失ってオーバーステアを誘発しやすい。きちんとグリップをさせるには相応の腕が必要である。一方、このデメリットはオーバーステアを制御することでドリフト走行に持ち込めるとも言い換えられ、慣れればパワースライドからブレーキングドリフト、慣性ドリフトまで自由自在。従ってFR車はグリップもドリフトもマルチにこなせる練習台にうってつけの駆動方式であるとも言える。
MR/ミッドシップエンジン・リヤドライブ
車体の前後車軸の間にエンジンを配置する方式。重量物であるエンジンを車体中央近くに配置できるためバランスが安定し、慣性モーメントを小さくできることで回頭性は極めて高くなる。またフロントにエンジンがないためより車体のスタイリングを低くでき空力特性の向上も見込めるという良いことずくめの駆動方式に見える。しかし、フロントに重量物がない分荷重は不足気味になりある程度の荷重移動ができないと速くは走れない他、一度バランスを失うと立て直す余裕もなく制御不能に陥りやすい。さらに走行風を受けにくいためエンジンがオーバーヒートしやすいと言った弱点も抱えている(が、このゲームでは関係ない)。それでもなお限界の高いキレのあるコーナリングは特にサーキットで有効であり、多くのレーシングカーが採用する駆動方式でもある。選ばれし上級者だけが速く走ることを許された駆動方式と言えるだろう。
RR/リヤエンジン・リヤドライブ
車体最後方にエンジンを搭載し、後輪を駆動する方式。バスなどでは多く採用されているが、現在の市販車ではポルシェくらいしか採用していない。重量物が後方に集中することで駆動輪である後輪に荷重がかかりやすく、加速性能は非常に良好。ブレーキング時も後方から押し出されるように荷重が移動するため全輪にバランスよくブレーキを効かせることができる。またFFと同じ理由で車内空間を広く取ることができるため、特に戦後の大衆車ではよく採用されていた(が、このゲームでは関係ない)。フロントに重量物がないため前輪のグリップ力は失われがちで、加速時の制御性は良いとは言えない。また、ブレーキをかけると後輪駆動の宿命かオーバーステアに陥りやすく、一度オーバーステアが発生するとリヤにかかる強い遠心力によって一気に車体を持っていかれるため、特にコーナーでは細心の注意を払う必要がある。とはいえ、二輪駆動に限って言えば高い加速性能というメリットがあるため、使いこなしてみるのも非常に面白いだろう。
4WD/4輪駆動(4ホイール・ドライブ)
その名の通り4輪全てを駆動させる方式。タイヤが5輪以上の場合でも4つのタイヤを駆動させていれば4WDとなるため、AWD/全輪駆動という言い方も存在する。FF、FR、MR、RRのどの方式であっても四輪駆動にすることは可能。またコイツの先代は「前後に1基ずつエンジン載せてそれぞれで前輪と後輪を駆動すれば四駆じゃね?」という小学生みたいなバカ丸出しの発想の四輪駆動なので、自由度はかなり高い。要は4つのタイヤが動いていれば良いだけである。全てのタイヤが地面にパワーを伝えるため、より効率よくマシンを走らせることができる。最大の武器はなんといってもその効率の高さからくる加速性能の良さと安定感の高さ。ハイパワーになるにつれて、その力を余すことなく伝えるために四輪駆動が重宝されるのである。一方で部品点数が多くコストが嵩みがちになったり、重量と抵抗の大きさから燃費などは不利となる(が、このゲームでは関係ない)。特に雨やグラベルといった路面状況の悪い場面では四輪で余すことなくパワーを伝えられる四輪駆動は他の追随を許さず、ラリーにおいてはもはや四輪駆動が常識とすらなっている。ゲームでも安定感は健在なため、初心者から上級者までおすすめできる駆動方式である。
過給機
エンジンは内燃機関、つまり燃焼のエネルギーを動力に変換する機械である。ではよりパワーを出すために、つまりエンジン内でガソリンをより燃焼させるにはどうすれば良いか?その答えの一つが「多くの空気を送り込む」ことである。過給機はエンジンに空気を送り込むために取り付けられるパーツであり、その有無や過給方法によって分類されている。主な種類は以下の通り。
NA/自然吸気(Natural aspiration)
その名の通り、何も取り付けずにエンジンに普通に入ってくる空気のみを活用する方法。ノンターボとも呼ばれる。過給機やその補器類が一切不要なため、部品点数を削減できより低コストなエンジンに設計できる。また、過給機を使用する場合と比べ排気効率を高めることができ、より高回転なエンジンにすることも可能。その他、エンジンのレスポンスにも優れ乗りやすいのもメリット。一方で空気の流入量が自然に入ってくる分のみである以上は高出力化が難しく、過給機付きの車と同じパワーを実現するには、より大きなエンジンにするしかない。燃焼の質を高める過給機付きエンジンに対しては量で対抗する宿命となってしまっている。そのため、ノンターボのエンジンのマシンに過給機を取り付ける、いわゆるボルトオンの改造も比較的メジャーなチューニングメニューとなっている。
スーパーチャージャー
エンジンのクランクシャフトなどから動力を取り出し、コンプレッサーを回転させて空気を送り込む方法。エンジンの回転でそのまま空気を送り込めるため、低回転域からでも十分な空気を供給でき非常に素直な特性を得られる。一方でエンジンからパワーを取り出す都合上、高回転までエンジンを回すとエネルギーの損失が大きくなり、高回転域では思っているほどのパワーは絞り出すことができない。
ターボチャージャー
エンジンの排気ガスを利用してタービンを回し、空気を送り込む方法。排気の利用で済むためエンジンからのパワー損失は発生しない。このため特に高回転域でのパワーを稼ぐことができるが、タービンが十分に回るまではパワーを得られない、いわゆるターボラグが弊害として発生する。このターボラグが大きいことを「ドッカンターボ」と呼び、いきなりパワーが盛り上がるため制御難易度が上がる。よりピークパワーの高いエンジンを目指す場合にはさらに大容量のものに交換したり、ターボそのものを増やしたりといった方法で高出力化を図ることができる。
ツインチャージャー
「特性はリニアだが高回転域に弱い」スーパーチャージャーと、「ピークパワーは目を見張るものがあるがラグが大きい」ターボチャージャーを見たある人は言いました。
『これ、合体させたら素直な特性でめっちゃパワー出るんじゃね?』
ということで、非常に安直な発想ではあるが両方搭載してお互いの欠点を補い合おうという考え方。低回転域ではスーパーチャージャーを動かしてターボラグ知らずの安定した吹け上がりを実現し、高回転域ではターボを使うことで爆発的なパワーを獲得する…ただの理想論にしか聞こえないものの、現実ではデルタS4やマーチスーパーターボなどで実用化されており、かなり有効なシステムであることが窺える。一方で2基の過給機を搭載するため重量が嵩みやすく、さらにエンジンレイアウトが複雑化、それに伴うコストの大幅な増加といったデメリットも抱えており、一筋縄ではいかないシステムでもあるようだ。
エンジン形式
車のエンジンはピストンとシリンダーを複数並べており、その並び方によってさまざまな特性を獲得する。主な形式は以下の通り。
直列エンジン
その名の通り、シリンダーを1列に並べるもの。構造が簡単で軽量、多くの車で採用されている。一方で気筒数がそのままエンジンの長さに比例するため、多気筒化のためにはどうしてもエンジンルームを大きく取る必要があり、またその影響でクランクシャフトの剛性も確保しづらい。一般に流通するエンジンは直列6気筒程度までだが、最大で直列14気筒まで製作された記録がある。
V型エンジン
シリンダーを交互に配置し、正面から見るとV型に並んでいるように見える形式。それぞれのシリンダー列をバンク、シリンダー列間の角度をバンク角と呼ぶ。シリンダーを2列に並べることでエンジンの全長を短くコンパクトに設計でき、特に6気筒以上の多気筒エンジンではより小さく高出力にできることでV型を採用することが多い。
水平対向エンジン
フラットエンジン、ボクサーエンジンとも。シリンダーを水平に並べると左右のピストンが対称に動き、その様子がボクサーがグローブを打ち合わせる様子に見えることからこの名前がついた。左右シリンダーで1組となるため、必ず偶数気筒エンジンとなる。実用面では低振動で低重心化を図ることができ、より高い運動性能や快適な居住性を実現できる。その反面、エンジンが複雑になりがちなため整備面では不利になりやすい。市販車ではスバルとポルシェが有名。なお、フェラーリの水平対向エンジンは厳密にはボクサーエンジンとは異なり、バンク角が180度のV型エンジンである(シリンダー配置が水平なため、水平対向エンジンと呼ぶこと自体は間違いではない(*2))。
ロータリーエンジン
ドイツのF.ヴァンケルによって発明されたエンジン。開発者の名をとってヴァンケル・エンジンとも呼ばれ、特にマツダ(当時の東洋工業)がその製造で有名。ルーローの三角形と呼ばれる形のローター(通称おにぎり)がハウジング内を回転し、中心を貫くエキセントリックシャフトを介して動力を取り出す。エンジンの小型化が容易で、回転運動をそのまま取り出せるため低振動なのもメリット。しかし、特に低回転では熱効率の悪さにより燃費、レスポンスが悪いデメリットがある。特殊なエンジンではあるが、その独特なフィーリングを求めるファンも多い。
最後に
このページにはマシンの特性についてさまざまなことを書いたが、あくまでこれは一般論である。例えばWRBとLD5では同じ四輪駆動ながらアンダーステア傾向とオーバーステア傾向で全く性格が異なり、たとえこのページの理屈を理解して車を買っても思い通りに走らせることができないこともある。車選びは好みでもある。自分のドライビング・フィールに合ったマシン、さらに言えば自分が一番気に入ったマシンで走ることが長く続けるコツである。
マシンの挙動は購入前でも試乗して体験することができる。自分の走りの癖がある程度分かってきたら、その癖に沿ったマシンを選べるはずだ。自分の好きなマシンでよいN3Rallyライフを送ってもらえることを願ってやまない。
マシンの挙動は購入前でも試乗して体験することができる。自分の走りの癖がある程度分かってきたら、その癖に沿ったマシンを選べるはずだ。自分の好きなマシンでよいN3Rallyライフを送ってもらえることを願ってやまない。