【淤加美(おかみ)】
「淤迦美」「於可美」「於箇美」「意加美」とも字はあてられている。「龗」という漢字でもあらわされており、や「蛇龗」とも書かれている。水に宿る蛇の姿をした妖怪・神であり、太古の昔からその存在は語り伝えられている。
足を持った蛇のような体をしているとされ、水を臭く濁らせることも出来る。
土に関する存在が「
土蜘蛛」たちであるのに対し、水に関する存在が「淤加美」たちであると言える。蛇体で示される似た存在には「袁呂智」(おろち)があるが、こちらは「峰の霊」という意味である。「おかみ」の語義は「大駆水」を示すとも言われているが、精確には分かっていない。
【闇淤加美(くらおかみ)】
「闇龗」とも書かれる。火之迦具土神が斬られた際に飛び散った血液から生じたとされる神々のうちのひとつとして神話に登場している。「くら」は深い谷を示す。
大国主と淤加美たち
大国主尊の先祖や子孫にあたる神々のなかにも淤迦美神(オカミノカミ)がおり、古くから明確に伝えられて来た存在のひとつであることがわかる。
風土記での淤加美
『豊後国風土記』では球覃(くたみ)郷の泉に淤加美(於箇美)たちがおり、それに由来した臭泉(くさいずみ)が地名の由来だと記されている。
夜刀神(やとのかみ)についても蛇体である点から、淤加美だともされる事もある。
【淤加美たちのその後】
時代が進むに従って、
竜・竜神と同体であると考えられるようになり、淤加美そのものへの言及は薄れて行ったと見られている。契沖『万葉代匠記』でも「おかみは地竜なるべし」とあり、やはり竜であると対比している。
なお、淤加美たちが大国主尊の祖先や子孫たちと繋がる点から言えば、大国主尊の孫にあたる建御名方(タケミナカタ)は広大な諏訪湖にゆかりがある神であると共に、名に「水潟」(ミナカタ)という言葉を含み、水と深い繋がりがある。
最終更新:2023年11月05日 21:48