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第08回トーナメント・アフター

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orisuta

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【ここではないどこかの平行世界線】



頬を掠める風が少し冷たくなってきた12月。
帰宅につく学生でごった返した校門前。
『新房硝子』もまた家路に付く所であった。

友達A「あ!ガラスのハートちゃん!また明日?♪」
友達B「またねー!バイバーイ!」

硝子「もー!またそれー?強いガラスだってあるんだよー?またねー♪」

硝子は友達の冗談に頬を膨らまし怒ったフリをした後、左腕でバイバイとジェスチャーし歩き出した。
あの楽しかった夏の思い出以来、硝子は明るく元気に過ごせる様になった。
以前の人見知りやナイーヴな硝子の姿はもうどこにも無かった。
そう、あのハワイへの一人旅。
勇気を出して行った一人旅でのあの出来事、
そしてあの金髪碧眼の可愛い友だちが出来た事によって。

家に着くと1枚の手紙が机の上に置いてあった。
差出人は寿=ガブリエラ=コジョカル。
硝子はカバンを投げ捨てペーパーナイフで丁寧に封筒を開ける。
その顔は初めてオモチャを買って貰った子供の様でもあり
また恋する少女の様でもあった。
可愛いレースの模様がプリントされた便箋が出てくる。
しかし白紙であり仄かに柑橘系の匂いがした。
 
 
 




「クリスタル・ピースっ」

硝子は小さく呟く。
するとスタンドは硝子に覆い被る様に姿を現した。

硝子「ふふ。わかってるよ!クリスタル・ピース。虫眼鏡で便箋を」

夕方のあまり強くない日光をクリスタル・ピースで作った
高純度のレンズで丁寧に焼いていく。
所謂「炙り出し」である。
すると真っ白だった便箋に可愛い文字が姿を現した。

『こんにちわ・ガラスちゃん!ガブリエラです!
そっちはもうさむいの?
あ!そうだ!ガブリエラね、またイルカさん見にいったよ!
でもハワイでいっしょに見たイルカさんよりげんきなかったかもー?
なんでかなー?
ガラスちゃんはげんきですか?
ガブリエラはまたロコモコたべたいです。
バナナボートものりたい?
でも一ばんしたいのはガラスちゃんとデート?
またガラスちゃんのキレイなキラキラしたスタンドもみたいー!
あの時ガラスちゃんがたすけてくれなきゃー
ガブリエラしんじゃってたかもー。
だからガブリエラにはガラスちゃんはずっと王子さまです?
またテガミかくねー!
そつぎょうしたらまたハワイいこ?」

支離滅裂で無茶苦茶な文法。
そして平仮名だらけのその内容に硝子はキュンとする。
ああ、ガブリエラちゃんだなーと。
あのハワイでの数日間、ガブリエラと過ごした数日間で私は強くなれた。
偶然空港で知り合った金髪碧眼の御嬢様。
ちょっと抜けてて子供みたいで表情のコロコロ変わるお姫様。
思い出すだけで抱き締めたい気持ちでいっぱいになる。
硝子は頬を染めながら、そっと大事に手紙を引き出しにしまう。

硝子「さて!バイト行こう!ハワイの為に!」

硝子はお気に入りのマフラーを首にかけ部屋を後にした。




───Fin





???「それが作られた記憶でも、それを証明出来ない限りは
それが真実でありそれが本当なんだよ」




使用させていただいたスタンド


No.6130
【スタンド名】 クリスタル・ピース
【本体】 新房 硝子(シンボウ ショウコ)
【能力】 微細なガラスを操作する









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