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月夜の死闘

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orisuta

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「……いい天気!」

眩い陽射しが木漏れ日を生み、木の下を歩く若者たちを照らし出す。

「溝呂木自然公園」
豊かな自然と歴史的な遺産に恵まれた、その広大な地はしばしば学生たちの校外学習に使われている。
そして、今日もまた複数の学校の生徒たちがこの地を訪れていた。

「アユム?・! はやくはやく!!」

「ちょっと待って、今行く!」

友人に呼ばれ、林の中を駆ける少女『安西歩』
彼女もこの地を訪れた学生の一人、そして……

これから起こる闘いの参加者の一人である。

そう……『スタンド使いは引かれ合う』宿命故に……
 
 
 




「2とジョーカーのダブルに、8切りで……上がり!」

「またお前が大富豪かよ?・」

夜のコテージ。
アユム含め男女3人ずつの計6人がジャージ姿で床に座り込み、トランプを囲んでいた。
いつの時代も学生のすることは同じ。
男女一緒の部屋で夜更かし。
トランプ、そして……

「ねぇねぇ、知ってる……?」

……怪談である。

「最近、この公園に出るらしいよ……」

「出るって……幽霊……?」

「いやいや、もっと怖いヤツ……」

怖がる茶髪の女子、ミホの様子を楽しむようににやつきながらメガネをかけた男、タクヤは話を続ける。
 
 
 




「俺のおじさんがここの管理してる人の知り合いなんだけどさ、最近この森に奇妙な動物の死骸がよく落ちてるんだってさ……」

「奇妙な死骸……?」

「ああ、ウサギや小鳥ならまだ分かる。でも、鹿や猪みたいな大きな動物も……みんな首を切られてたんだってさ。まるで、何か大きな獣が鋭い爪で切り落としたみたいに……」

「首が……!?」

「ああ、犯人は分かっている。月明かりが支配する真夜中……そいつは動き出す。巨大な体に似合わぬ素早い身のこなしで森の中の獣を狩る怪物……狼男……!」

「やだ、怖い……」
怖がりながらもどこか楽しげにフミはアユムへ抱きつく。

「面白いじゃん! みんなで狼男探しにいこうぜ!」

「いいねぇ?・、アキラ、行こうか!」

怖がる女子を見てはしゃぐ男子2人。

「ケン、お前も行くだろ?」

「……ああ、まぁ行ってみてもいいんじゃね?」

「よっしゃ! 喧嘩最強のケンが一緒なら怖いもんなしだろ!!」

「女子も行こうぜ!」

ノリノリのタクヤとアキラに連れられて皆、コテージの外へと出た。
懐中電灯を持ったケンを先頭に、林の中を歩いていく。

真夜中の森林をはしゃぎながら歩く一同。
アユムはそんな光景を心から喜んでいた。

「お゛めぇーの席ね゛ぇーがら!!」

友人であるフミの一言がアユムの学校生活を一変させた。
始めは些細な冗談だったのかもしれない……
しかし、皆が皆がそれを冗談だと受け取ったわけでもなかった。
「ノリが悪い」と取られ、エスカレートしていったいじめ。
そんな中、突然目覚めたスタンドをアユムは運命を変えるための力と考えた。
その力を使い、どんな非情な手段を用いても運命を変えてみせる。
そう頑なに思い込むことでしか、アユムは前に進めなかった。

そんなアユムの覚悟を大きく変えた一つの出会い。
それはとあるトーナメントの対戦相手。

「もし非情な闘いを続けたかったら、いいよ……俺の背後を襲っても」

「俺は君の本心を信じる……」

(あの人、今ごろどうしてるんだろう……?)

彼の言葉を胸にアユムはクラスメートと真摯に向き合った。
そのおかげで今のアユムの状況があるといっても過言ではない。

「ん……?」

「ケン、どうした?」

「……何かいる」

がさがさと周囲の木々が揺れる。

「ちょっとケン、脅かすなよ。冗談キツイって……」

「冗談じゃねえ、来るぞ!!」

ケンがそう言った瞬間、彼らの目の前に赤い影が飛び出してきた。

茜色の体毛に被われた肉体。
月の光を反射して煌めく黄金の眼。
手足、口から飛び出す鋭く堅剛な爪牙。

「……狼男」
アユムは思わず呟いた。


「「キャァァァ!!」」

「「ウワァァァ!!」」

突然現れた怪物に驚き、悲鳴を上げる面々。

(みんなにも見えてるってことは……スタンドじゃない? それとも……)

「アンザイ……」

狼男の正体を探るアユムにケンが話しかけてくる。

「見た感じお前が一番まともだな。あいつら連れて先に行け」

「そんな、無理だよ! いくら喧嘩強いからって、あれは別もの! 普通の人が手に負える相手じゃない!」

そうアユムが言ったのと、狼男が殴り飛ばされたのはほぼ同時だった。
グローブを嵌めた異形の存在が、その右拳を真っ直ぐと狼男へと振り抜いていた。

「ス……スタンド?」

「なんだ、アンザイもスタンド使いかよ。だったら話は早えー。ここは任せてささと先に行け……」

「……ありがとう」
アユムは軽く頭を下げると皆を引っ張っていく。

狼男もそれを追おうとするが、その眼前にケンが立ち塞がる。

「おっと……お前の相手は俺だよ」
ケンは己の精神の分身を傍らに、狼男へと高らかに叫ぶ。

「俺は南雲 拳(ナグモケン)……とりあえず殴らせろや!」

ケンのスタンド『キス・ザ・スカイ』は電光石火のスピードで狼男へと殴りかかる。
風を切り裂くかのような鋭い一撃。

……しかし、狼男には当たらない。

「何?」
確実に捉えたと思った一撃をかわされ、戸惑うケン。

「スタンド使いか……やっと骨のある相手と戦えそうだな」

「お前、何なんだよ? スタンドにしちゃみんなにも見えてたのがおかしいんだよなぁ?・」

「知る必要はない……お前に残された権利はただ一つ……」

言葉とともに狼男はケンの視界から掻き消える。

「それは死だ……」

狼男の拳はケンの腹部を貫いていた。
 
 
 




狼男の鋭い爪がケンの腹部を貫いていた。

「な……に……」

(こいつの動き、見えなかった……)

狼男の超スピードに困惑するケン。
爪を引き抜かれると思わず地に膝をついてしまう。

(それに……最初に一発ぶん殴ったってのに、傷一つなくピンピンしてやがる……だと!?)

「その体では満足には動けまい。とどめだ」

狼男はケンの首を切り落とすべく、爪を真横一文字に振るう。
鋭い爪の刃先がケンの首に迫るその瞬間……ケンの姿は消え失せた。
 
 
 




「……!?」

立場逆転。
ほんの数秒前にケンが感じていた困惑と同じ感情が狼男を襲う。

「……どこに行った!?」
状況を把握できずに周囲を見渡す狼男。

「こっちだよ!!」
声がしたと同時に、狼男の眼前に姿を見せるケン。

「スカァ!」
自らのスタンド、キス・ザ・スカイの拳を真っ直ぐ狼男の顔面に叩き込む。

「グハァッ!」
血へどを吐き、後ろへ吹き飛ぶ狼男。

ケンは地に膝をついた姿勢のまま、瞬時に狼男との距離を詰める。

「スカァ!」
狼男の眼前に詰め寄った瞬間にケンは拳を叩き込む。
同じく後ろに吹き飛ぶ狼男だが、ケンは即座にその距離を詰める。

「スカスカスカスカスカスカスカタンがァ!」

キス・ザ・スカイの瞬間移動能力を生かしたラッシュ。
逃れようのない拳の連打が狼男の全身を粉々に打ち砕いた。

「俺は殴るって決めたら……殴るんだよ……」

腹部から滲み出る血を押さえ、息も絶え絶えに語るケン。

「……なかなかやるな」
満身創痍の狼男は静かにそう呟いた。

「なんだよ、ボロボロのくせに随分と余裕綽々じゃねえか?」

「当然だ……」
月の光を浴びた狼男の身体中から別の輝きが溢れる。
それは全身を包み込む圧倒的スタンドパワー!!

「……俺は不死身だからな」
折れた牙、砕けた爪、吹き出す血液などはすでに見あたらなかった。
それは一瞬のこと、だか確かに狼男の身体は全快していた。

「さぁ、闘いを続けようか……」
 
 
 




アユムはひたすらに駆けた。
月夜の森林を一人で。

恐怖に震える友人たちはコテージに押し込んできた。

アユムは思う。
あの狼男は間違いなくスタンドによるものである。
友人たちにも見えていたことから、あの狼男そのものがスタンドというわけではないのだろうが……

(相手の手の内が分からない以上、戦力は少しでも多い方がいい……)

いくら腕に自信があろうとも、未知の相手とのタイマンは厳しいものだ。
アユムは身をもってその厳しさを知っている。

「……ナグモくん!?」

闘いの地に戻ってきたアユムが目にしたのは、無傷の狼男と、血へどを吐いて倒れ込むケンの姿だった。

「……バカやろ……なんで戻ってきた……?」

「闘うために決まってるでしょ!」

アユムはケンの前に立ち、狼男を睨み付ける。

「いくわよ、クローサー・ユー・ゲット!!」

アユムの隣に、手錠を持ち、テンガロンハットを被った女性が姿を現す。

「お前もスタンド使いか……面白い!」

狼男はそう言うとアユムとの距離を一瞬で詰める。

「速い!?」

狼男の鋭い爪がアユムの首筋を捉えた。
 
 
 




キィン!

爪がアユムの首に炸裂した瞬間、甲高い金属音が森に響いた。

「……何?」
不自然な手応えと未だ切り落とされないアユムの首に戸惑う狼男。

「隙あり!」
それを好機とアユムは狼男にラッシュを叩き込む。

クローサー・ユー・ゲットのスピードを生かした軽快なラッシュが狼男の胴体に深く食い込む。

「ぶっ飛べ、狼男!」
そして、渾身の右ストレートが狼男の顔面を打ち砕いた。

「……これだけ殴り飛ばせば大丈夫でしょ」
アユムは笑顔でケンに話しかける。

「アンザイ……無理だ……逃げろ……」

「……え?」

アユムは恐る恐る自分が先ほどまでラッシュを叩き込んでいた方向に目をやった。

……そこには余裕の笑みを浮かべた、無傷の狼男がいた。

「……ヤツの能力は俺らのスタンドを遥かに超えたパワーとスピード、そして……どんな傷も一瞬で治す回復力……」

ケンはふらつきながらも立ち上がり、アユムの肩に手を回す。

「殴り合ってるだけじゃ絶対に勝てない……一旦逃げるぞ……アンザイ!」

ケンはアユムを抱えたまま、能力を行使する。
一瞬で変わる景色に戸惑うアユム。

「ナグモくんのスタンドの能力って……瞬間移動?」

「あぁ、能力圏内の生き物の目の前に移動する能力だ。森にはいろんな生き物がいるからな。移動し放題だぜ」

「でも……あの狼男には通じなかった?」

「あぁ……あの野郎、どれだけ逃げてもあのスピードですぐに追い付いてきやがる……」

「だとしたら、今のうちに何か策を練らないと……」

アユムは考える。
自分の能力、ナグモの能力、狼男の能力……

(ひとつだけ有効な策があるけど……手数が足りない。それにナグモくんのコンディションじゃ無理はさせられない……)
 
 
 




「……相談は終わったか?」

突如として聞こえてきた声にアユムとケンは素直に動揺した。

(嘘でしょ……もう追いつかれたの?)


「能力的に、厄介なのは……まず女から」

狼男の鋭い爪がこれまで以上の力強さでアユムの胴体に迫る。

「アンザイ!?」

ケンも疲労困憊。
咄嗟に対応して連続瞬間移動できるだけの余裕はなかった。

アユムも突然の敵襲に頭を切り替えることができるほど冷静ではなかった。
ただ呆然と自分の腹部に迫る爪を見ていた。
狼男のこのパワー……自分の能力では耐えられないかもしれない。
アユムは己の敗北を無意識に感じていた。

バキィッ!!

鈍い音が響き、アユムの耳を打った。

傷みはない。

苦しみもない。

死とはこんなものかとアユムは納得しかけた。

「……え?」

しかし、すぐにそれが大いなる誤解であることにアユムは気づいた。
そもそもアユムの胴体に狼男の爪など刺さってはいなかったのだ。

アユムと狼男の間に割って入るように伸びた黒い腕。
筋骨隆々とし、鎖や錠前の絡み付いた漆黒の棒が狼男の爪を正面から殴り砕いていた。

アユムはこの腕を知っているッ!
破壊と解放を兼ね備えた優しくて強い力の持ち主をッ!!

「……ミチトくん?」

月明かりを浴びて、3人目の学生が戦場に訪れた。
 
 
 




「……大丈夫?」
3人目の学生、相羽道人(アイバミチト)はアユムの隣に並ぶと、優しく語りかけた。

「ミチトくん……なんでここに……?」

「説明はあとで。今はあのスタンド使いを倒さないと……」

「貴様もスタンド使いか。おもしろい……」
狼男は一瞬でブレイク・フリーに折られた爪を再生すると、再び目にも止まらぬスピードで迫りくる。

「しかたない。最初から飛ばすか……」
ブレイク・フリーは己の拳を空高く掲げ、力を込める。

「キャストオフ!!」
その拳を自ら腹部に叩き込むと、ブレイク・フリーの全身にヒビが走り、文字通り”一皮”剥けた。

「はぁ!」
一皮剥けて、一回り小さくなったブレイク・フリー。
狼男と変わらぬ超スピードで勢いよく飛び出した。

「これが本来の……いや、限界を越えたスピードだ!!」

狼男の爪の乱舞とブレイク・フリーの豪快なラッシュが正面からぶつかり合う。
常人には認識できない凄まじいスピードで応酬される力と力のぶつかり合い……

「正面だけじゃらちがあかん……」
狼男は疲労したミチトの隙を突き、その跳躍力で高く飛び上がる。
そして、宙で前転し、その勢いで斬りかかる。

「……ズームパンチ!」
それを許すミチトではない。
射程距離外まで飛び上がったかと思われた狼男まで届く一撃。
長く伸びた腕を生かした重たい拳を顔面に叩きつけるカウンター。

「やるな、小僧……」

「そちらこそ、狼男さん……」

お互いに分かっている。
これは単なる肉弾戦ではない。
心と心、精神と精神のぶつかり合い。
引いたら負ける……スタンドバトルとはそういうものだと。

砕ける爪、飛び散る血潮……
パワースピードともに互角だが、再生能力で瞬時に傷を癒せる分、狼男の方が徐々にその勢いを増していく。
 
 
 




「なかなかやるが……これで終わりだ!」
狼男は両手を広げると、身体の中心を軸にコマのように回転を始める。
その勢いは、これまで見せてきた超スピードに勝るとも劣らない……
誰の目にも止まらぬ圧倒的高速回転!!

「秘技……獣刃舞!!」

「ぐ……!」
狼男の高速回転に相対するミチトの身体に、無数の切り傷が刻まれていく。

「そうか……鋭い爪と、高速回転によって生まれた真空……かまいたち。2つの刃が同時に……」

目にも止まらぬ高速の刃の乱舞、それが「秘技獣刃舞」

「確かに……確かに凄い技だ。俺には手のうちようもない……」

「諦めたか、小僧……?」

狼男はとどめを刺すべく、ミチトへと迫る。

「いや……それでも俺”たち”の勝ちだ!」

「クローサー・ユー・ゲット!」
アユムは新たに生成した手錠を掲げる。

「時間稼ぎはこんな感じで大丈夫?」

「十分よ、ミチトくん!!」

「ふ……その手錠を用意する時間を小僧が稼いだだと? それがどうした? 貴様等に高速回転する俺の動きを見切ってその手錠を嵌めることなどできるわけが……!?」
狼男が油断したのもつかの間、彼の目の前に姿を現したのは一人の少年。

「忘れてんじゃねぇよ……てめぇがどんな素早い動きをしようが、どれだけ俺がボロボロになろうが……てめぇの”目の前”に行くことはわけねぇんだぞ、このスカタンがぁ!!」

「バカな……死ぬ気か……!?」
キス・ザ・スカイの瞬間移動能力によって急激に接近したケン。
だが、それは自ら最大出力の獣刃舞に飛び込むことを意味する。

「うおぉぉぉぉ!!」
それでもケンは止まらない。
血反吐を吐きながらも、手錠を狼男の手首に嵌める。
 
 
 




「くそ、何だ! 何の性質を俺に付与した!!」

「まぁ……おとなしく吹っ飛べや、狼さん……?」
ケンは懐から取り出したマッチを擦った。

「や……!?」

ドゴォォォォン!!

森林に鳴り響く爆音。
立ち昇る黒煙を月明かりが優しく照らした。

「勝負ありね……」
燃え上がる狼男の立ち位置を見て、アユムは呟いた。
以前、トーナメントでもアユムが用いた戦術、”ガソリン”の性質を付与した手錠による一撃必殺。
公園の管理塔まで行けば、車からガソリンなどいくらでも手に入る。
しかし、ミチト抜きのアユムたちに、狼男の攻撃をかいくぐってガソリンを取りにいく余裕はなかった。

「助かったわ、ありがとうミチトくん」

「え、えぇっとそれはいいんだけど……なんか俺が思ってた以上にやりすぎな気じゃない?……というか、あの男の子は大丈夫なの?」

「あぁ、ナグモくんなら大丈夫!」

「俺はここにいるぜ」
その言葉とともにケンはミチトの目の前に姿を現す。

「瞬間移動が俺の売りだからな……」

「なるほど……」

この作戦の欠点、点火役がどのようにして狼男に接近するか。
また、爆発に巻き込まれずに逃げるか。
キス・ザ・スカイの瞬間移動能力はその両者を解決するにはうってつけだったのだ。


「それにしても、あんなにボロボロだったのに綺麗に治るもんだね」
ミチトは皆の負傷がきれいさっぱり回復したことに驚いた。

「紙の性質を付加させた身体ならスティックのりで十分治せるってのは経験済だからな」
そう語るはケン。
クローサー・ユー・ゲットの能力で皆の身体を一時的に紙にすることで、彼らは治療を終えていた。
 
 
 




「それで、なんでミチトくんがここに? 偶然ってわけじゃないんでしょ?」

「うーん、校外学習の場所がここに決まったのはさすがに偶然だと思うんだけど……」
そういいながらミチトは懐から一通の手紙を取り出した。

「それは!?」
「そいつは!?」
アユムとケンは見覚えのある手紙の形式に驚く。

「あぁ、招待状ではないよ。トーナメントの運営からの依頼書。トーナメントが生んだはぐれものを優勝者に倒して欲しいみたいな内容だよ……」

「トーナメントのはぐれもの?」

「うん、あの狼男、”ナイトウイッシュ”っていうスタンド使いらしいけど、彼もトーナメントの出場者だったらしいんだ……」

それはかつて行われた戦い。
ゾディアック vs ナイトウィッシュ 
伝説の殺し屋G・Tことゾディアックがその力でナイトウィッシュを打ち破った。
腹を突き破られ、川に落とされたナイトウィッシュ。
一時は運営側もナイトウィッシュの死亡による敗北と判定した。

……しかし、ナイトウィッシュは死んでなどいなかった。
彼の特筆すべき能力に”再生能力”がある。
しかも、試合当日はその能力が最も強く発揮される満月の晩……
あの程度の負傷で彼が命を落としているはずがなかった。
敗北したナイトウィッシュは己の野性の勘を取り戻すため、森林の中で動物を相手にしていた。

「……それに気づいた運営が俺に依頼を寄越したってとこかな?」 

ミチトが説明を終えたと同時に、夜は明け、朝日が昇り始めた。

「……綺麗」
朝日に照らし出された自然公園の木々を見て、アユムは素直に呟いた。

「なんだか散々な校外学習になっちゃったけど……またいつかみんなでここに来たいね」

学生3人は昇りゆく朝日を静かに見つめていた。





【チーム学生連合 vs ナイトウィッシュ】

STAGE:雑木林

  勝者……チーム学生連合/安斎歩、南雲拳、相羽道人  





……グルルルゥ

獣の咆哮は 消えることなく、未だ森に響いていた。




出演トーナメントキャラ


No.6332
【スタンド名】 ナイトウィッシュ
【本体】 尾上 功(オガミ コウ)
【能力】 本体と融合して真の狼男となる

No.4951
【スタンド名】 キス・ザ・スカイ
【本体】 南雲 拳(ナグモ ケン)
【能力】 50m以内にいる生物に急接近する

No.4698
【スタンド名】 クローサー・ユー・ゲット
【本体】 安西 歩(アンザイ アユム)
【能力】 「性質」を手錠および手錠をかけたものに付与させる

No.5002
【スタンド名】 ブレイク・フリー
【本体】 相羽 道人(アイバ ミチト)
【能力】 触れたものの「束縛」を解放させる









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