デリル・メルダ


概要

 デリル・メルダ(ロフィルナ語:derir melda.意味:独立した名画)は、星間機構によって開発された。二対の恒星間通信端末。初期N.B.N.Sの実証試験において使われていたものを一人のツォルマリア人将校(ルドラス・エルク)が持ち出し、イドゥニア世界へと流れていった。その後、キューズトレーターによる検閲が強まる中、デリル・メルダは世代を超えて受け継がれ、最終的にはイェルバーニ王国の首都パッションベルムの博物館に寄贈された歴史を持つ。この2つの通信機は不屈の精神を表す自由の象徴となって久しく、イェルバーニ文化の復興に欠かせない歴史の教訓として伝えられている。

歴史

 宇宙新暦850年当時、試験段階の産物として保管されていた2つの端末をルドラス・エルクが持ち出した。当初、キューズトレーターによる承認のもとで貸し出された携帯端末はツォルマリアとイドゥニアを結ぶ最新の通信手段となることが期待されており、星間機構による選別強化に用いられる手筈であった。しかし、そうした計画を良しとしないルドラスは端末に細工を施し、バラバラに分解した上でイドゥニア各地に秘匿させたのである。そのような行いは間もなくキューズトレーターの知るところとなり、ルドラスは処分対象として追われる身となった。915年、生産性なき貧困層への粛清が始まると、貧しくも自由な生活を好んだ遊牧民の多くが粛清対象となり、イドゥニア世界における星間機構の圧政は厳しさを増した。ルドラス率いる独立派がツォルマリア本国との対立を深める中、同調した市民が占領軍へのデモを決行。活動家の多くが拘束、連行され、アルゼヌーク星系における3番恒星圏、第2惑星インテファーラにおける鉱山労働を課されたのである。この段階に至って分解された通信機の行方は特定されておらず、頑強な抵抗を続ける各地のレジスタンスによって人から人へと巧妙に流れていった。

 ツォルマリア人を含む多くの市民がインテファーラに連行される中、イドゥニアに残った側の一人アルバス・ヴィ・レミソルトがイドゥニアとインテファーラの同時蜂起を計画。963年にヴァンス・フリートン(オリジナル)が二対の通信機を組み上げ、その片方を親友のイェルバーニ・ヴィ・モルザンバーレ(後の初代イェルバーニ国王)に渡してインテファーラに向かわせた。しかし、その情報は間もなく星間機構特務作戦軍の知るところとなり、968年、計画に加担した夥しい数の市民が虐殺される結果となった。モルザンバーレの端末は再び人から人へと流れていき、以後、イドゥニアにおける抵抗のシンボルとして多くの組織の連携に役立てられたのである。一方のインテファーラ側では独立派が武力蜂起を成功させ、イェルバーニ王国が成立。対する星間機構はインテファーラのクリーチャーによる自然消滅に期待し、その惑星を放棄した。二対の通信端末は何世代にも渡って秘匿され、後の支配国による検閲をも回避した。多くの祈りを内包する2つの端末は、やがてデリル・メルダ(独立した名画)と呼ばれるようになり、不屈の精神を表す自由の象徴として大切に受け継がれた。

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最終更新:2023年03月09日 05:45