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術式学(古典ヘウェカ語:atoq afu qiy、侯式ヴァンジェ語:hrand shlunfoot、市民ヴァンジェ語:hàng shûn fuōt/読式法)とは、現象魔法の解析手法の一つ。


概要

 現象魔法は理論面においては非常に精緻な方向性を持っているが、一方でこれらは実際の魔法行使において現実的な考え方にはならないと考えられている。
 このような考え方のもとで、実際の魔法行使において、術式と呼ばれる実行法式に基づく、カテゴリ的整理と実用的な理論を構築する目的で構築されてきたのが「術式学」である。
 術式学には、多くの解釈方法の中でそれぞれがお互いを尊重し独立した形で発展してきた「古典術式学」と市民的な理解を促進するために統一的かつ近代的な術式の成立を目指した「近代術式学」が存在し、両者はそれぞれ独立した発展を行っており、相互に刺激を与えあっているとされる。

古典術式学

 現象魔法の発動機序は複数の厳密で精緻な方向性を持っているものの、実際の魔法行使においてはこの理論性は素朴な利用のためには役に立たないと考えられた。現象魔法の初期において、それが記録され、理論として実際の現象と結びついた形で説明されたものが古典的な術式学の端緒となっており、またこの術式学の破綻が将来的な魔法理論研究に繋がったことから現代においても古典術式学は術式学の基礎として重要視されている。

古典術式学の基礎

 古典術式学は時代や地域によって多様な書き方が見られるが、以下の共通点が存在する。

  • 「術式」による整理
 古典術式学は、術式学の基礎として「術式」の概念を提示し、それに基づく魔法の整理を行う。
 術式とは、魔法の実行形式のことであり、分かりやすく言うなら現代魔法理論における補助属性(外装)に相当する。
 術式学では、この術式を中心に「どのような術式が、魔法の実際の発現においてどのように影響を及ぼすのか」を記述し、理論化する。

  • 抽象よりも具体を重視する
 古典術式学は、存在しないものに対して忌避する傾向が非常に強い。
 理論上存在するものとして定義することで説明が上手くいくような概念さえも拒否する傾向があるのは、術式学が「理論よりも、実際の魔法発動における利益を重視するもの」であるからとされている。
 これらは一種古典術式学の美学とも言えるもので、現代に至るまでラヴァンジェ文化圏では尊重されてきた。

  • 派閥を持ち、お互いに排他的であるが、尊重する
 古典術式学は、前者の通り、実利的な学問であるので、統一的な理論の成立に対して逆に懐疑的になっているとされる。
 故に、時代や地方のなかで多くの派閥が生まれ、その説明の癖に関しても多様なものが存在している。
 本来であれば、派閥が生まれるとそれらは相互に打ち消し合う競争作用が働くものの、古典術式学の理念を持ち合わせる者であれば逆にここに生まれた解釈の多様性を尊重し、統一的に説明できないことが存在しているのではないかと一旦の思考停止を行うことが古典術式学における特徴と言えるとされている。

現代の術式学

基幹魔法技術

 基幹魔法技術は主にナツィアーロによって継承されてきた術式学である。それぞれの文化圏で一般的に使われる魔法の術式学であり、ナショナリズムにも繋がっている。
名称 名称 概要
ラヴァンジェ 現象魔法(フェノマジック) 主観を中心的な観点とし、現実と本質の関係に介入することによって魔法を発動する。
アヴェアヘル 属性魔法(アトリビュート) 魔法石と呼ばれるものに共鳴する呪文を用いた魔法であり、活性化した属性が現実に影響を与える。
アマ・サペーレ 論理魔法(ロジマジック)
錬金術(アルケミア)
物質に対応する魔術的な技術を発展しており、物質の合成や適用などによる魔術を得意とする。
レディン 構成魔法(コンポジット) 基礎的な魔法を複合化・構成化して高度化し、それに魔道具やポーションを補助的に用いて輻輳化することで複雑化された魔術。
ヘルヴァイエ 討伐魔法(チャサード) 魔族と呼称される害獣を駆除するために発展した魔法技術、倫理や道徳を前提とする社会システムに直結している。
コレーロナ 制度魔法(ノルマル) 教育に関する整理が高度な魔法技術。
ヘルーテオ 術式魔法(システマティコ) 古典術式学の末裔であり、設置式魔法の発展に富む。
ジェネス 粒子魔法(パーティクリー) 科学と魔法の混交により生まれた新たな魔法学。

一般術式学

 一般術式学は、特定の文化圏に共通しない術式学の類型であり、実践の傾向を構造主義的に普遍化することが目的である。以下の分類がある。

  • 一般術式学
    • 神秘論……宗教的背景を持った魔術的実践論
    • 呪文論……呪文にまつわる議論
最終更新:2024年10月16日 00:46