ラヴァンジェ諸侯連合体 > ナツィアーロ

ナツィアーロ(共立エスペラント:Naciaro、候式ヴァンジェ語:tsaanzhjan duuntfoont、市民ヴァンジェ語:tsiān zhiãn dūt fuōt/明地術法)とは、ラヴァンジェにおける社会集団のカテゴリの一つ。


概要

 ナツィアーロはラヴァンジェ諸侯連合体を構成する複数の民族集団の上位集合の更に上位に位置する社会集団カテゴリーである。
 元々は「魔法の文明」を意味する明地術法というヴァンジェ語の表現に由来するが、冗長な候式ヴァンジェ語に代わって転移者星間戦争以降は「多数の民族集団」を意味する共立エスペラント語の表現――つまり、ナツィアーロと口語では言い表されるのが一般的となっている。
 ナツィアーロは、現世語で言えば「地球人」「火星人」「水星人」くらいに大雑把な分類と考えて良いが、原義に遡ると分かるように魔法文明の差異に着目している。例えば、ラヴァンジェは現象魔法を、アマ・サペーレは錬金術を魔法文明の基盤とする違いがある。

一覧

名称 基幹魔法技術 全人口に対する比率 総人口
ラヴァンジェ 現象魔法(フェノマジック) 38%(第1位) 約114億人
アヴェアヘル 属性魔法(アトリビュート) 22%(第2位) 約66億人
アマ・サペーレ 論理魔法(ロジマジック)
錬金術(アルケミア)
10%(第3位) 約30億人
レディン 構成魔法(コンポジット) 9%(第4位) 約27億人
ヘルヴァイエ 討伐魔法(チャサード) 8%(第5位) 約24億人
コレーロナ 制度魔法(ノルマル) 6%(第6位) 約18億人
ヘルーテオ 術式魔法(システマティコ) 4%(第7位) 約12億人
ジェネス 粒子魔法(パーティクリー) 3%(第8位) 約9億人

ラヴァンジェ

突如として現れた「泉」とともに広がった「泉域」によって文明は崩壊した。
通信手段などは失われなかったが、街々は「泉域」によって分断される。
少年・少女たちは「泉域」に立ち入っていく「シーカー」として働いている。
何故なら、思春期までの少年・少女は「泉域」による影響が少ないからである。
彼・彼女らはパーティーを組んで、「泉域」へと入ってゆくと共に日常を過ごしてゆく。


――泉域の街 プロローグ
基幹魔法技術現象魔法(フェノマジック)
帰属民族:(民族的)ラヴァンジェ人

 最終戦争の後の生き残りでありながら、それまで特定されてこなかった種族であった。アマ・サペーレ系の影響を非常に強く受けているが、人間の見た目に反して非常に強靭な肉体を持っており、貧相な体に見えても通常の人類の1.5倍ほどの強靭さを見せる。このため、泉域の中でもある程度の猶予がもたらされたことによって、泉域の中で文明・文化を形成する主体となった。
 限界的な状況で、人それぞれの役目を大切としたことから、身分の責任を重視する文化があり、身分を持っているだけでふんぞり返りがちなヘルーテオ種族とは対立しがち。

アヴェアヘル

ウォラシュ オプ(治癒せよ)

その瞬間、テアの傷口からスイカの種でも吹くように銃弾が飛び出した。みるみるうちに出血は止まり、彼女は俯きながらフラフラと立ち上がる。その姿に李もその部下たちも大した脅威を感じては居なかったが、銃口は彼女の方に向けていた。

「なるほど、アーティファクト持ちか……」

李はその顔をニヤけさせる。異世界人をいたぶるのは彼にとっては嗜好の一つだった。しかし、そんな一瞬の隙が、彼らに最期をあっけなく迎えさせた。

フェミル(フェミルよ)アヴェハヘラン(私の祝福に従い) エハル(下されよ)……!」
「何訳のわから――あッ」
それは目に見えない風の刃であった。一瞬にして複数の刃が的確にマフィア達の首を狙った。真っ二つにしたわけではない。それでは余計な力が要る。軽量的に、効率的にケリをつけるために頸動脈を狙ったのである。そうして、マフィア達は首を押さえながら、赤い轍を引きずって地面を這うことになった。


――言葉が通じない異世界ケモミミ美少女が送られてきたので困っている 017 死にそうになりながら告白したので困っている
基幹魔法技術属性魔法(アトリビュート)
帰属民族:ヘウェカ人、アフ・アグリム人など

 人間によく似た種族の他、獣人や魔族など多様な外見と特徴を持っている者が多い。体内の魔法石やアーティファクトに基づく属性魔法(元素魔法)の担い手であり、最も多様性のある種族だが、一方で偏見を受け市民階級の中でも下流から中流を締めていることが多い(アヴェアヘル種族ヘウェカ民族のスウェンドヴァンドであるルピルのユン・アッシュロータもヴラッドの出である)。

アマ・サペーレ

「正しい分量で調合をしてほしいんです。まず、そっちにある龍酸にレイブレスを加えてから、そっちの冷却器で冷やして竜粉を晶析させるところからですね」
「倒れそう……」

専門用語の羅列にルアは顔面蒼白という様子だった。分からない用語ばかりで俺もなんだか心配になってくる。
そんな二人を前にしてイーファは澄んだ声で続ける。

「大丈夫です、手順は教えますからそのとおりやってもらえれば失敗はしないはずです」


――翻訳魔法はしゅーりょーしました。 第8話 仕事場にて
基幹魔法技術論理魔法(ロジマジック)錬金術(アルケミア)

 人間の形をしている者が多い。彼らの学問への熱狂は論理魔法学の発展の基礎となり、後に主要種族となるラヴァンジェにも強い影響を与えている。エクリテュール貴族評議会は、現在のラヴァンジェ諸侯連合体結成の参考にもなったとされている。

レディン

「これは実話であり、元老院記録、冒険者の分析、関係者の証言を元に構成しています」

―― 異世界転生したけど日本語が通じた - 第19話 シリアスは致命的他動詞す!!!!!!!!
基幹魔法技術構成魔法(コンポジット)

 魔術の構成化に長けた民族であり、魔法の道具や補助具、ポーションなどの技術が長けている。他の民族と比べると魔術自体の技術や能力の向上に力を割いているわけではなく、彼らの殆どの魔法は他の魔法文明の初級魔法に過ぎない。しかし、これらの基盤的魔法を複数に構成したり、道具化や補助的に用いて輻輳化することによって複雑な魔法文明を構成してきた。
 今や、レディンの魔法技術は現代魔法の基盤技術の一つにもなっている。

ヘルヴァイエ

「ギルドが仲介するクエストには、適正経験値を積んだ冒険者を当てるためにランクが存在するんです。新入りの方しか取得できないDクラスを除けば、C、B、A、S、SS、SSSの六種類はお仕事を取れる方が経験値で決まっていて、Cクラスから500ずつ上がっていくんです。Sクラスは1500から2000経験値の人向けですね」
「なんか込み入った話だな。一言で言えばどういうことだ」
「クラス適正を満たす経験値をタクミさんが持っているかどうかが分からない以上、行くべきではないということです」


――異世界に転移したら、どうやら高位魔術の素質があるようなのでどうせなら世界最強の魔術師を目指してみる。 第3話 クラスにシルヴァドラゴンってなんなんだ?
基幹魔法技術討伐魔法(チャサード)

 ヘルヴァイエの魔法技術は、その特殊な状況に対応するために発達してきた。魔族と呼称される人類を加害する害獣を駆除するために魔法技術が発達しており、魔法技術は正規化され、コミュニティ維持のシステム(ギルドやパーティー制度)などに直結するようになっていた。
 現代における禁術などの魔法倫理に関してはヘルヴァイエが培ってきた魔法社会制度の考えが色濃く影響しているとされている。

コレーロナ

「俺は昔、序列五十二位の出来損ないだった。新人戦で貴族の出しゃばり野郎が自分を見せつけるためだけに下級生の前で俺を倒し、あいつは尊敬され、俺はロクでなし扱いさ。それで、俺は気づいたんだよォ。力こそパワー、力こそルールだとなァ!!」

――魔法で世界1なんて、俺には関係のない話だ。 第7話  旧序列五十二位
基幹魔法技術制度魔法(ノルマル)

 高度な魔法技術を有し、青少年への教育を重視する傾向がある。アマ・サペーレの影響があったのではないかと考えられているが、史料となる古い文献が失われており、詳細は分かっていない。
身分の洗練を重視する文化があり、平時は身分の上下に服するが、時が来れば下剋上も当然の権利であるというくらいの実力社会を形成している。ラヴァンジェ内ではもっとも急進派と見られることもあり、それに伴う偏見も強い。

ヘルーテオ

 対空術式(アイゼンバリエーレ)は敵目標を補足すると自動で迎撃を開始する。海上から飛んでくる砲弾もこれらによって基本的には迎撃される。このため、アルヴァンの上では幾つもの火球が生まれては消えていっていた。火球の正体は迎撃された砲弾なのである。アルヴァンの上空に侵入した竜騎士たちは対空術式(アイゼンバリエーレ)の迎撃を受けて木っ端微塵になったり、竜もろとも街中に突っ込んでいった。

――ルシタリア騎行記 第六話 アルヴァン攻防戦Ⅱ
基幹魔法技術術式魔法(システマティコ)

 古典魔法文明を成立させ、高度な古典術式学を構成した。これにより、設置式魔法の発展に富んでいる。身分の上下関係に拘る文化を持ち、身分の責任に拘るラヴァンジェとはしばしば対立しがちで、「無礼者が」だの「不敬だぞ」と良く言っているイメージが付きまとう。

ジェネス

「超能力者って言っても――」
存在理由(レゾンデイト)を持っている少年少女達は今になっては有名な超能力者集団だろうが、と言いかけたところに端島が言う。
「おっと間違えないで欲しいが、ここで言ってるのは一端のジェネシスとは格が異なる。ともかく、燐君。君にはその素質がある。ネイムレスをぶっ殺したいのであれば――おっと。」


―― lwfl03 Afzarfrirga  八ヶ崎燐と端島和俊の会話より
基幹魔法技術粒子魔法(パーティクリー)

 他の種族とは違い素朴な科学技術によって自らの文明を発達させてきたが、魔法技術の発展によってその固有の科学文化は失われつつある。ラヴァンジェ種族などは、その技術の学際的発展とセトルラームとのコネクションによる同盟強化を訴えているが、如何せん身分が低いものが多いためにヘルーテオの抵抗に遭っているのが現状である。
 簡単に言うと、彼らの常識は現世の我々に近いと言って良い。ただし、それに魔法技術が入り込んだものではあるが。
最終更新:2025年02月23日 17:44