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マキラス・ルカナ=アルヴェンスト

マキラス・ルカナ=アルヴェンスト
作:PixAI
生年月日 共立公暦984年11月3日(通常齢
年齢 16歳
出生地 ロフィルナ王国
民族 ロフィルナ人
所属 ユピトル学園主権連合体(亡命後)
リンベルーク・アカデミア
遊理部
職業 学生
渾名 スノータワー
怪人No.46号


概要

 マキラス・ルカナ=アルヴェンストは、リンベルーク・アカデミア所属の学生である。
異能スノータワーの発現体であり、課外組織遊理部に怪人No.46号の名で加わっている。

自己紹介

 えっ、俺の話ですか。マキラス・ルカナ=アルヴェンストです、はい。名前だけは長いんですけど、中身はそのへんの学生と同じですよ。目標を訊かれたら、毎日同じ時間に起きて、同じ席で授業を受けて、同じ時間に寝る。それだけです。地味だと笑われますけど、俺はそれが手に入らない場所で育ったので、地味というのは俺にとってご褒美みたいなものなんです。得意なことは、教室でいちばん目立たない椅子を初日に見つけることでしょうか。掃除当番の割り振りとか、席替えのくじの引き方も、なるべく波風が立たない側を選びます。困るのはですね、こう、その努力が毎回どこかで裏返るんですよ。静かにしていたら静かな奴として面白がられて、変な部の名簿に俺の名前が入っていて、気がついたら番号まで振られているという。あの番号、部の中では実績を積んだ者に回る印らしいんです。認められたのは嬉しいですよ、正直。ただ、番号で呼ばれるたびに人の輪の中心へ引っ張り出されるので、嬉しさと逃げたさが同時に来て、返事のしかたに毎回困っています。あ、それと、俺が驚くと周りに白いのが積み上がります。近づかないでもらえると助かります。俺のせいで壁に穴が空いたら、また弁償の書類を書く羽目になるので。

来歴

 マキラスの前半生は、ロフィルナ王国の内戦の推移に沿って動いている。父はラグニア軍閥に地位を持つ人物で、息子には指揮官としての将来が用意されていた。当の本人は幼い時分から砲声に体を縮める質で、父の描いた見取り図から早々に外れていく。父が反政府側の人物として名指しされた段階で、家族の全員が国軍の追及の対象へ変わった。彼へ向けられたのは兵士たちによる嫌がらせと暴行であり、腐敗した地元警察は、そこに架空の性的な醜聞を書き加えた。住民の嘲笑が日常へ入り込み、狂信的な戦闘集団は素っ裸に剥いた彼を木へ吊るした。他の難民とともに、中油海の泥へ沈められる段取りが整いつつあった時点で、セトルラーム共立連邦の特別治安維持部隊が現場へ踏み込み、銃撃戦の末に彼は救出された。救出後の彼が選んだのは、故郷へ戻る道を捨てる方向だった。連邦の兵に亡命の申請を訴え、最終的にユピトルの名を自分から挙げた。学生としての籍を得た彼は、教科書へ向かう日々で身の安全を買い直そうとした。その平穏を崩したのがスーラ・ヴィ・レクサーニで、彼女に目をつけられた時点から、彼の学籍は課外活動の記録で埋まっていった。「マキラスに真の安寧は訪れるのだろうか……?」

人物

 繊細な感性と教室での無害な佇まいが、マキラスの外側を作っている。彼は場の空気を読み取ることへ神経を割き、波風の立ちそうな話題からは早めに身を引く。ところが内側には他者と共有しづらい思考の筋道が畳まれており、それが表へ出た瞬間、周囲は同じ人物の言葉として受け取ることへ手間取る。家庭では優等生の型を守る振る舞いを求められ続け、抑圧の量が一定を越えた頃から、彼の中で静かな反抗の芯が育った。理不尽な暴力や権威を前にした彼は、自分の予想を裏切る大胆さで動くことがある。平穏への執着が、マキラスの行動原理の根にある。彼が望むのは静寂と単調さで、それが脅かされる兆しへは過剰な感度を示し、時に突拍子もない手段で状況を打開しようとする。故郷での記憶が二度と同じ場所へ戻らないという願望を彼へ植えつけたが、平穏を追う速度が上がるほど不安定な場面へ吸い寄せられ、望んだ日常からは距離が開いていく。思考の運びは理屈立っているのに、極限へ押し込まれると合理性を手放して感情へ舵を切る。自己の平和が破られる瞬間の彼は制御を失った恐慌へ入り、その状態が異能の発現の引き金になる。目立つことを嫌う彼は制御の努力を積み重ねているものの、成果の出ない期間が続いており、目立ちたくないのに目立つ羽目になる矛盾を抱え込んでいる。遊理部での日々が、マキラスの立ち位置を少しずつ変えていった。破天荒な面々の行動に巻き込まれる形で非日常へ引きずり込まれた当初の彼は困惑の側にいたが、やがて自分の非常識さが周囲に受け入れられ、独自の視点が重宝されていることに気づく。平穏を求める気持ちは根強く残っており、彼は逃走の算段を練りながらも波乱の中心へ引き戻される。普段の彼は冷静な立ち振る舞いを心がけつつ、内心では状況を悲観的に捉える癖を抱えており、俺の人生はいつになったら安定するんだ、と嘆く場面が周期的に訪れる。部内での彼は理性的な位置を保ちながら仲間へ振り回されており、その柔軟さが彼を欠かせない一員として定着させた。部員たちは彼がいない場に物足りなさを覚えるらしく、本人の望む以上に呼び出しの声がかかる。

戦闘能力

 交戦の場に立ったマキラスは、戦闘向きに見えない外見から入って、極限状態での適応力を示す型の戦い手である。平穏を強く求める彼は争いを避ける方向へ動くものの、追い詰められる度合いが深まると、静寂を手にするためならあらゆる手段を採る思考へ切り替わる。この切り替えの後の彼は普段の穏やかさから離れた過激さで動き、徹底した戦術を組み上げる。敵の意表を突く奇策を好み、手元の限られた資源を使い切る才覚を持ち合わせている。装備の選び方にも、マキラスの実利的な姿勢が出ている。物理的な武器への好みは薄いまま、彼が携えるのは防寒用のマフラーと簡易な護身具で、小型のスタンロッドを外套の内側へ挿している。交戦の最中には異能の生成物を素材として扱い、その場で急ごしらえの得物や遮蔽を組み立てる。彼が組む遮蔽は視線を切る高さへ優先して積まれ、退路の方向だけは開けたまま残される。自ら戦いを挑む頻度は低いのに、平穏を乱された局面で彼の本性が引き出される仕組みになっており、静かなる脅威としての性質が交戦記録へ現れる。彼の真の強みは極限状態での柔軟な思考力と、手段を問わず目的へ届こうとする覚悟にあり、常識人としての外面の内へ収まった異質な感性が、戦場でも仲間の一目を引いている。

 異能スノータワーは、マキラス本人が最も警戒する現象である。強い感情の高まりが引き金となり、白い雪状の物質が瞬時に積み上がって塔状の構造物を成す。この物質は氷や雪と組成を隔てており、成長の速度が目で追える範囲を越え、物理的な衝撃を受け止める盾として働くほか、敵の進路を塞ぐ障害物にもなる。見た目は脆いのに分子構造が特殊で、破壊を試みると破断面から再生が始まるため、除去の手が尽きやすい。防御的な現象に見えて、成長の仕方によっては破壊力へ転じる。塔が積み上がるほど内部の圧力が高まり、一定の値へ達した瞬間に一気へ崩れて、周囲へ広範囲の被害を及ぼす。閉所での威力はさらに上がり、空間の全体が白い塔で埋まる事態も起きるため、目撃者は雪崩に匹敵する恐怖を口にする。彼は発動そのものを避けたいと考えているのに、危機の場面で無意識の生成が起きる例が頻発している。交戦中の精神の状態が、マキラスの動きの質を決める。通常時の彼は争いを嫌い、平穏を優先するあまり周囲へ迎合する態度を取るが、戦闘状態へ入ると内側の非常識さが露わになり、意外なまでの胆力を見せる。静寂を得る目的の前では周囲の倫理観を勘定から落とし、自ら囮となって敵を欺く手を選ぶこともある。危険な地形へ飛び込んで奇襲を仕掛ける行為も、相手の心理を突く搦め手も、彼の中では必要な手順として割り切られている。極限状態での判断力に優れ、感情が振り切れた彼は異様な集中力へ入り、控えめな性格が一変して冷徹さを帯びた静寂の狂気に包まれる。この状態の彼は敵味方の区別を落とし、平穏を乱すものの全てを排除しようとする無意識の衝動へ駆られるため、仲間の側にも警戒を生む。

人間関係

 マキラスの交友の範囲は遊理部の名簿へほぼ重なり、部外の学生との接点は授業の班分けの期間で切れる。

 遊理部の活動のうち、マキラスが最も体力を削られる相手として挙がるのが、部長である。抜き打ちの召集を受けた彼は、行き先を聞き出す前に非常口の位置を頭へ入れ、上着の内側へ携帯食を押し込む支度から取りかかる。部長の思いつきは着想から実行までの間隔が短いため、彼の役目は火の回った後の収拾へ寄っていく。それでも彼が同行を続ける理由は単純で、名簿へ勝手に名前を載せた側へ言い返す機会を、毎回どこかで探しているからである。抗議の口上は道中で組み立てられるものの、到着の時点で部長は別の遊びへ移っており、披露の機会は先送りへ回る。競技場からの帰り道では、負けて機嫌の傾いた部長へ氷嚢を差し出す役が彼へ回る。機嫌の直った部長が次の思いつきを口にし始めるまでのわずかな間を、彼は貴重な静けさとして数えている。彼の手帳の後ろのページには、使い道を失った抗議文が日付つきで書き溜められている。

 夜の校舎を歩く副部長を連れ戻す仕事が、マキラスの日課の一つに組み込まれている。刃物を携えた散歩の気配を彼は足音の間隔から嗅ぎ分け、鉢合わせの前に廊下の角で待ち構える手順を決めている。声のかけ方にも工夫があり、彼は収集品の話題を避けて修理待ちの品を持ち出し、部室へ戻る口実を副部長の側へ渡してから並んで歩き出す。段取りが効くのは、壊れた道具を前にした副部長の関心が収集品から離れる性質を、彼が早い段階で掴んだからである。取り上げる荒っぽい手を彼は避けており、刃を布へ巻いてから預かる作法は副部長の側から教わった。感謝の言葉を毎回受け取る彼の返事は歯切れの悪いもので、当番の交替を他の部員へ持ちかける場面も増えた。副部長のほうは彼の疲れを察して距離を置こうとするものの、翌週の夜には、同じ廊下の角で二人の足音が重なった。

 同じ収拾役へ回る機会の多い留学生とは、マキラスは共同作業の相手として付き合っている。騒ぎが起きた場面では彼が退路を押さえ、留学生が原因のほうへ声を飛ばす分担が、いつのまにか固まった。彼が手を焼くのは観察眼の鋭さで、靴底の泥から前夜の下見の行き先まで読み当てられ、黙って組んだ逃走の算段が事前に露見する。差し入れの菓子も悩みの種であり、骨の形へ焼き上がった品を受け取った彼は、味の良さを認めながらも手を伸ばすまでに長い時間を要する。手作りの守り袋を渡された折には、中身の素材を聞き出した彼が礼を述べ、鞄の底へ収めた袋はそのまま定位置へ落ち着いた。騒ぎの後始末では報告書の下書きを留学生が引き受け、彼が退路の図面を添える手順が定着した。静けさの好みが二人で重なるため、部室の隅で無言のまま本を読む時間が、週の終わりの習慣へ変わった。

 マキラスが班長と顔を合わせる場面では、昼食代の在り処を確かめる動作が先に入る。小銭の消える速度から手口を覚えた彼は、昼食代を靴の中敷きの下へ移す習慣を身につけた。賭けへの誘いを受けた彼の断り方は一定で、頭の中で鳴り始める警告音の話題を持ち出し、班長の側から誘いを引っ込めさせる形へ運ぶ。下位の学生を追い詰めていた頃の話を彼は聞き知っており、顔を合わせた当初は会話の間合いを広く取っていた。距離が縮んだきっかけは撤退の判断が二人で揃った一件で、逃げ足の速さを互いに認めた後、彼は退路の設計を班長へ相談する回数を増やした。通院の付き添いを頼まれた折の彼は、待合室の椅子を出口の近くへ選び、雑誌をめくりながら順番を待つ。薬の話題を彼は避けており、班長の側も彼の前で賭けの誘いを控える線が、いつのまにか引かれた。

 年長の転移者に対するマキラスの態度は、部内で最も丁寧なものとして通っている。軍装の男が説教を始めると彼は姿勢を正して聞き終え、話の筋のうち退避の判断に関わる部分だけを記憶へ残す。二人の話が噛み合うのは物騒な場面の切り抜け方についてで、拳で押し通る側の答えと、隠れて数を数える側の答えが並べられ、決着を見ないまま議題が翌週へ繰り越される。年長者の側は彼の逃走癖を叱りながらも、退路の図面を毎回受け取っていく。彼が困るのは冗談の扱いで、生真面目な語り口で放たれる笑いどころの見えない話に、相槌の打ち方を決めきれずにいる。玄関先の猫を殴った顛末を聞かされた折の彼は、弁償の書類の書式を思い出して先に一枚を用意した。用意した紙が実際に使われたかどうかは、兵一郎の口からは語られていない。

 騒々しさの質が部長と重なるのに、マキラスが最も距離を測りかねているのが、芸術専攻の留学生である。彼女の作品の設置に付き合わされた彼は、廃材の運搬と見張りを引き受け、警備の巡回の周期を読んで合図を送る役へ収まった。声量の大きさは彼の苦手とするところで、歌の披露が始まると耳の位置を機材から遠ざけ、壁際の椅子へ移る。それでも彼が最後まで居残るのは、彼女の楽曲の題材が権力の腐敗へ向いており、書類の日付の食い違いへ神経を尖らせる彼の癖と、憤りの方向が揃うからである。ガラクタを拾い集める彼女へ、彼は雪状の物質の残骸を差し出したことがあり、素材として扱えるかどうかの検分は数日で終わった。撤収の速さについては彼女の側が彼を評価しており、逃げ足の指南を頼まれる回数が増えている。呼び名の据わりは悪く、彼女が番号で彼を呼ぶたび、彼の返事は一拍遅れる。

 マキラスが本気で声を荒らげる相手は、王国南部の英雄ただ一人であり、他の相手へ向ける丁寧さがそこでは消える。指揮官の器を息子へ期待した父の見立ては早い段階で外れ、砲声に身を縮める子を家の恥として遇する日々が続いた。家ごとに継がれる刃の受け取りを彼は断り続けており、紋様の追加を待つ装甲は、生家の壁へ掛けられたままである。追及の手が家族へ及んだ時期、父は自分の立場を守る算段を先に立てており、木へ吊るされた子の行方を確かめる手順は、職能集団への召集が済むまで後へ回された。救出の後でマキラスの手元へ届いた書状は、帰還を勧める文面から始まり、逃げた事実への詰問で締められていた。父の筆致が勧めから詰問へ移る境目に息子の安否を問う一行が置かれていなかったことへ、彼の声は初めて荒れた。書状を掴んだ彼の手からは白い粒が噴き出し、机の上が塔に埋まって紙ごと押し潰された。学園の面談で家族の話題が出るたび、彼は名を伏せて旧居の地名だけを答え、続きを問われた場合は席の位置を直して黙る。

語録

「すみません、いいですか。俺は平和に、何事もなく過ごしたいだけなんです……」
 哀愁に満ちた人生の微笑みを浮かべながら。きみ、高校生だよね?

「没個性で何が悪い!当たり障りなく過ごすことの何がいけないと言うんだァー!」
 怒りのあまり無意識にスノータワーを大量生成し、大学施設ごと豪快に破壊、後に厳重注意を受ける。

「おお、神よ……これ以上、俺にどのような試練を乗り越えろというのですか?」
 日々の波乱を嘆きつつ、諦観の中にかすかな希望を滲ませている。

「そっち!?やめとけよおおお」「殺されるぞ!あんた」
――『株式会社デスクリスマス特命16課~惨劇のHappythought~』(202412)
 対峙中の悪い奴に。邪な計画の一環としてロフィルナ王国への高跳びを宣言されたことに対して。

「静かな場所を探して三年目です。今のところ、いちばん静かだったのは病院のベッドの上でした」
 新入部員の歓迎会にて、静寂の定義を問われた際の返答。場が静まり返り、本人は成功したと受け取った。

「俺、番号で呼ばれる人生を選んだ記憶がないんですけど、誰か契約書を見せてくれませんか」
 番号入りの部内表彰を受け取った直後。表彰状は自室の壁へ貼られている。

「逃げ道は三つ用意しました。ええ、俺の分だけです。すみません、そこは正直に言っておきます」
 作戦会議の席で経路図を配りながら。図面の余白には他の部員の分も書き込まれていた。

「壁が白くなったら、それは俺が限度まで来た合図です。合図が出る前に、話を切り上げてくださいよ」
 部室での長時間の議論の最中に。壁の一部はすでに白く変色していた。

「弁償の書類、もう書式を覚えました。氏名の欄から書き始めると早いですよ」
 新しく異能を発現させた後輩へ、記入の手順を教えながら。

「怖くないふりは得意になりました。膝は正直なので、机の下へ隠しています」
 危険な依頼の打診を受けた席で。膝の震えは打診の説明が終わるまで続いた。

「俺の願いは慎ましいでしょう。朝ごはんを食べて、授業を受けて、誰にも見つからずに寝るだけです」
 進路面談での回答。担当教員は用紙の希望欄を空白のまま提出した。

エピソード

  • 入学の初日に教室でいちばん目立たない席を確保しようとして、彼は柱の陰の一列を選んだ。ところが窓側の光が届かない位置だったため、担任は暗さを気にして席替えを行い、彼の新しい席は教壇の真正面へ移った。以後、指名される回数が学年で最も多い生徒として記録が残っている。
  • 遊理部の名簿へ勝手に登録された当日、彼は退部届を書いて部室の扉の下から差し入れた。翌朝、扉には受理の判が押された用紙の代わりに、怪人No.46号の名札が貼られていた。名札は現在も彼の机の縁へ残っており、剥がした跡が二箇所ある。
  • 学園の食堂で列に割り込まれた彼は、声を上げる代わりに息を止めて数を数え始めた。三十を数えたところで指先から白い粒が噴き出し、配膳台がまるごと塔に包まれた。割り込んだ生徒は謝罪し、彼はその日の昼食を弁償書類の記入に費やしている。
  • 寮の相部屋で就寝時刻を守るよう頼み続けて聞き入れられなかった彼は、深夜に室内の空調へ雑誌を挟んで温度を下げた。寒さで目を覚ました同居人は、翌週から消灯の時間を守るようになった。空調の修理費については彼が半額を負担している。
  • スーラ・ヴィ・レクサーニに連れ出された廃倉庫での夜、彼は非常口の位置を先に確認して、そこへ荷袋を積んで座り込んだ。騒動の最中に天井が落ちた際、無傷で外へ出たのは彼と、彼の荷袋を枕にしていた部員の一名だけだった。以後、彼の隣は部内で人気の座席になった。
  • 学年末の避難訓練で、彼は教員の指示より早く校庭へ出て点呼の位置に立っていた。訓練の想定が地下への退避だと判明した後も彼は動かず、結果として想定外の行動を取った生徒として報告書へ名前が載った。報告書の備考欄には、退路の選定は的確と書き添えられている。

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最終更新:2026年08月04日 20:24