概要
第3世代量子戦闘爆撃機エリッツ・トラソルティーア(T-3)は、対空戦闘から惑星深部への精密爆撃、長期偵察までを単機で一貫して担うよう設計された、マルチロール機である。推進系は
量子バブルレーン炉が生成する異相線エネルギーを、慣性・重力制御エンジン「パルディス・コア」がフェムト秒単位で制御し、無給油飛行と大気圏内外を問わない高機動力を両立させている。防御システムは三層構造の
ディメンション・シールドデフレクターを根幹に据え、
量子流体装甲と自己修復ナノコーティングが損傷を瞬時に再生する能力を実現している。ステルス機能は光学変色コーティングと異空間バブルステルスを複合応用し、可視・赤外・電磁の各帯域における検知回避性能を飛躍的に高められている。戦術AI「アリス・コア」は自動航法と有人操縦の切り替えを瞬時に行うとともに、過剰Gや慣性変動を予測補正し、非常時にはフェイルセーフ回路を起動して乗員の安全脱出を果たす。標準武装として軽
フルイド・バブルレーザー2門と
マルチロック量子誘導ミサイル4基を装備し、高精度の多目標同時制圧を提供する火力を搭載している。第四世代ルーゼリック・ワープ航法による短距離ワープ機能は、奇襲や迅速退避といった戦術選択肢を根本から拡張した。さらに国際ライセンス契約に基づいて量産技術と整備プロトコルが共有され、複数勢力間の共同運用基盤を築き上げた。
設計思想
〈エリッツ・トラソルティーア〉は、単機による空間戦術の統合遂行を目的として設計された。従来の任務分化型運用原則を否定し、戦術単位そのものを再定義する構造が採用されている。設計の背景には、空間戦力における分散・遅延・冗長性の排除という明確な戦略的意図がある。量子技術・次元制御・AI統合によって、即応性と自己完結性を最大化する方針が貫かれている。戦域は惑星圏から軌道上空、さらには恒星系空間の境界領域まで拡張されており、本機はその全域に対応する戦術ノードとして構築された。航空機・宇宙艦・偵察機・電子戦機などの任務特化型プラットフォームを、単機で統合・代替することが可能である。設計原則は三つに集約される。第一に「空間即応性」。重力圏内外、磁気圏、次元干渉領域など、あらゆる環境で即時展開・離脱が可能であること。第二に「戦術自己完結性」。索敵・交戦・防御・移動・情報処理の全機能を単機で完結できること。第三に「戦域非依存性」。基地・艦隊・通信網に依存せず、単独で戦域支配を維持できること。これらの原則に基づき、機体構造・推進系・制御系・戦術AIはすべてモジュール化・非同期化されている。各要素は独立かつ動的に再構成可能であり、任務環境に応じた即時適応が可能となっている。
量子ビルド・ネットワークとの連携により、戦域内外の情報・戦術資源をリアルタイムで取得・再編成する能力を持つ。これにより、指令依存型運用を排除し、戦術判断の自律性が確保されている。本機は、高性能機体という枠を超え、空間戦術の単位再定義、戦力構造の非依存化、任務遂行の自己完結化という三層の戦略目標を達成するための統合体として位置づけられる。
運用
〈エリッツ・トラソルティーア〉は、戦術航空群、軌道防衛隊、深宙偵察部隊、宇宙艦隊直轄戦力など、複数の戦力枠に配備されており、戦域構造と任務目的に応じて運用形態が大きく変化する。宇宙空母搭載型の運用では、通常3〜6機編成の戦術飛行隊として展開され、艦隊防衛・宙域制圧・迎撃支援などに投入される。艦隊随伴型の運用では、艦載機としての即応性と、戦術AIによる自律展開能力が併用され、指令系統との同期・分離を任務状況に応じて切り替える。地上基地配備型では、戦術航空群の一部として編隊運用され、制空・防空・地上支援任務に投入されるほか、戦域間移動による即応展開にも対応する。深宙領域では、偵察・索敵・戦術中継・奇襲展開などを目的とした単機または双機編成が主流となるが、特定任務では多機編成による非同期展開・多軸制圧が採用される。編隊構成は固定ではなく、戦術AIによる動的再編成が可能であり、任務中に構成変更・役割分担の再定義が行われる。戦域によっては、艦載機としての運用と、独立戦術ノードとしての運用が併存し、戦力構造の柔軟性が最大限に活用される。各勢力間では、運用プロトコルの差異を吸収するための戦術AI調整と戦域情報同期が実施されており、共同運用下でも戦術互換性が維持される。これにより、空間戦力の即時展開・戦力融通・任務適応が可能となり、従来の集中型戦力運用とは異なる分散・統合両対応型の戦術構造が確立されている。
安保同盟共通規格型
T-3Rは、同盟軍における空母艦艇搭載機としての標準仕様を満たすのみならず、空間戦力構造全体の制度的統合を前提とした設計思想に基づく基盤機体として位置づけられている。単一の戦術機としての性能や互換性に加え、艦隊戦力の編成・展開・再構成において、戦術ノードとしての機能を果たすよう構造化されており、各艦艇の戦術管制系、索敵網、補給系統、整備ユニットとの同期を通じて、艦隊単位の戦力運用を支える中枢要素として機能する。T-3Rの配備は、個別任務への対応能力を確保するだけでなく、同盟軍全体の戦術演算系における標準化を推進する役割を担っており、戦術AIの通信仕様、任務プロファイルの切替手順、索敵情報の共有形式、補給ラインの接続プロトコルなど、各種運用インターフェースの統一を通じて、艦隊間の戦力融通と戦術展開の即応性を保証する。この標準化は、単なる技術的互換性の確保にとどまらず、同盟軍の戦術体系そのものの再構成を促進する制度的基盤として機能しており、T-3Rの設計仕様は、艦隊戦術演算系の階層構造、通信暗号の同期規格、索敵情報の配信優先度、補給資材の配分アルゴリズムにまで影響を及ぼしている。
各艦隊の戦術管制中枢は、T-3Rの通信プロトコルを基準として再設計されており、目標指定の同期、任務切替の即時反映、索敵情報の共有処理は、艦隊全体の戦術判断を統一するための演算基盤としてT-3Rが組み込まれていることを示している。この構造は、戦術機単体の性能を超えた戦力構造的役割を制度的に付与するものであり、T-3Rは同盟軍の空間戦力構成における戦術的整合性と技術的互換性を維持するための中核的支柱として機能している。さらに、T-3Rの標準化は、供出艦隊間の戦力再編成における障壁を排除するだけでなく、戦術演算資源の再配分、索敵網の再構築、補給資材の再編成を可能にする構造的柔軟性を提供しており、同盟軍の戦力運用における冗長性と再展開能力を制度的に保証する要素となっている。この柔軟性は、戦術AIの階層同期、艦隊間通信の暗号化再構成、整備ユニットの自律調整機能などと連動しており、T-3Rを中心とした戦力構造の再編は、単なる機体の供給ではなく、戦術体系全体の再構築を伴う戦略的措置として位置づけられている。結果として、T-3Rは空母艦艇との連携を前提とした空間戦力の制度的統合を実現するための基盤機体であると同時に、同盟軍の戦術的柔軟性と構造的安定性を両立させるための設計的回答でもある。
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最終更新:2025年08月10日 22:23