『カスJK沙都子と梨花の牧場ものがたり②』
【♪BGM】
夕方。
梨花「……ただいまー」
父「おう──」
父「……は?」
母「……え?」
玄関。
梨花の横には、当然のように羊一匹。
沈黙、三秒。
父「ちょっと待て。何を連れてきた」
母「まさか……その羊……」
梨花「……うん」
父「“うん”じゃないだろ……?」
母「どういうつもりなの!?説明して!!」
梨花「だから……牧場で、なんかめっちゃ懐かれて……」
父「懐かれたから連れて帰ってきたのか!?」
母「犬や猫でも大変なのに、羊よ!?羊って何食べるか知ってるの!?」
梨花「そのへんの草でしょ?知らんけど」
母「その“そのへん”がどれだけ必要だと思ってるの!?」
父「第一、ここはマンションだぞ!鳴き声どうする!匂いどうする!近所どうする!」
梨花「あーもううっさいうっさい!!」
梨花「……私だって好きで連れてきたわけじゃないしッ!!」
梨花さま、とうとうブチギレ。
お気持ち表明フェーズ突入。
梨花「向こうが勝手に懐いてきただけだし!!つか牧場もニコニコで売り付けてきたし!!なんで私が怒られなきゃいけないんだよ!!学校のせいじゃん??!」
父「開き直るな!」
母「命なんだよ!?ぬいぐるみじゃないの!」
梨花「知ってるし!!!だからって置いてくるのも無理だろ!!!」
父「……言い訳ばっかりだな」
梨花「じゃあ何!?私が悪いの!?懐かれた私が全部悪いの!?」
母「もう……なんでこんな子になったの…………。もう嫌……」
梨花「だからなんで私ばっか責められんのつってるよね!!!話聞けやこのバカ共が!!!!」
母「……」
父「……今、なんて言った?」
梨花「……」
ピリピリ。
空気が一気に張り詰める。
そのとき。
──ガチャ
雉子「……え?……羊?」
父「あ!」
梨花「き、雉子……」
母「……雉子ちゃん、部屋に戻─」
雉子「うわ……かわい〜〜!!」
羊「めー」
父、母、梨花「え?」
雉子「もふもふ……生きてるぬいぐるみ……!」
雉子「これペット?ねえペットだよね?!」
雉子「~~~!大好き…………」
羊「めーめー」
すりすり。
顔を見合わせる三人。
脱力したような、それとも和んだような。
三人揃ったため息と同時に、空気がゆっくり溶けていった。
梨花「……ま、いいじゃん。ね?」
父「……ったく、責任はお前だからな?」
母「……ちゃんと面倒見るなら、だけどね。……フフ!」
古手家に、新しい家族が増えました。
命名→『バカひつじ』
終
最終更新:2026年01月25日 16:55