『カスJK沙都子と梨花と名も無き天才絵師①』
平日の昼。
制服のまま、路地。
手書きのボードと似顔絵職人。
「似顔絵やってます」
沙都子「ね、描いて」
「萌えタッチにしたら開示だからね」
梨花「私も」
友達A「それな」
友達B「それな。絵しか取り柄なさそうだしw」
似顔絵屋、少しだけ笑って椅子を出す。
描き始める。
似顔絵屋「じゃあ、順番にいきますね」
誰も返事しない。
全員スマホ。
似顔絵屋「今日は学校お休みですか?」
無視。
似顔絵屋「天気いいですよね」
無視。
沙都子(画面見たまま)
「ミセスの大森くん、不登校だったらしいよ」
梨花「あんたと同じじゃん」
友達A「大森くんかわいそう」
「優しくしてあげたい」
友達B「え、つかサトっち不登校だったの?」
「きも」
沙都子(半笑い)
「このバカ女の言うこと信じるとか、えぐ」
数分後。
友達A「まだ?」
友達B「ChatGPTのほうが早くない?」
似顔絵屋「……できました」
紙を差し出す。
四人、覗き込む。
……。
上手い。
線が整っている。
バランスがいい。
つまり、
無難。
沙都子「……あー」
梨花「うん……」
沙都子「なんか」
「思ってたのと違う」
梨花「安全だね」
「めっちゃ」
友達A「量産型」
友達B「クラスに一人はいそう」
沙都子「正直さ」
「これ、家に置けない」
似顔絵屋(軽く)
「じゃあ、記念写真用に——」
梨花(被せ気味に)
「口、くさ」
似顔絵屋「……」
友達A「悪口じゃなくて事実ね」
友達B「うん、感想」
沙都子「破るのはさすがに感じ悪いから」
「写真だけ撮ろ」
完成した似顔絵と、
似顔絵屋の指先。
シャッター。
キャプション
「#街角アート #微妙 #才能ってなに」
帰り道。
梨花「まあ」
「下手ではないよね」
沙都子「うん」
「でも上手いだけ」
友達A「一番いらないやつ」
友達B「それ」
四人、笑う。
終
最終更新:2025年12月24日 22:17