『カスJK沙都子と梨花vs完全なるクズ教師────最後の授業。』
二日後。
英語の時間。
沙都子「これさ、うちらの出席率上げるために、わざとゴミ教師入れた説あるくね?」
梨花「陰謀論」
チャイム。
先公「……はい起立。礼。座れ」
先公「今日は英単語三つで――」
一瞬、黒板を見る。
先公「……つか、もう、どうでもいいや」
周り「え?」
先公、黒板にでっかく『自習(笑)』。
教壇にどっかり座る。
モンエナを開ける音だけが響く。
先公、鼻歌。
♪ オレンジレンジ。
先公「もう知〜らね」
スマホ操作。
ニコニコ動画。
音量、最大。広告スキップ失敗。
先公「ぶははははwww」
先公「うわ、野獣先輩wwwwwww」
先公「存在が罰ゲームだろwwwwいきすぎいいwwwww」
笑いながら机バンバン。
モンエナこぼす。拭かない。
教師、完全に壊れる。
先公「はぁ……」
先公「人生おもんなw」
先公「バカ高校ってゴミすぎて、ちょっとはネタになるかと思ったけど」
先公「ストレスしかねぇわww」
教室、静まる。
女子A「……え」
男子B「なっさん、学校やめんの……?」
女子C「死んじゃうの……?」
男子D「直美ネキ……」
空気が急に“本気の心配”に変わる。
沙都子「え、今日で最終回?」
梨花「さすがに葬式は行くかも」
放課後。
軽自動車に乗りこむ直美先生に2組全員が集まる。
先公「は?」
示し合わせたわけでもないのに、全員自主的だった。
男子A「先生ぇーーーーー!!!」
女子A「もうマジでやめないでって!!!(号泣)」
先公「金八かよ……」
涙する生徒達。
生徒代表の手にはレジ袋が。
その中には小銭、計3012円。カンパらしい。
男子A「あんたがいなくなったら俺たちどうすりゃいいんだよ!!」
男子B「なっさんのお陰で英語好きになれたのに……」
沙都子「つか責任でしょ普通に!!」
沙都子「途中で投げるとか一番よくないやつじゃん!!」
沙都子「人生途中下車すんなって!!」
梨花「捕まってもいいからずっと担任でいてよ!!」
梨花「なっさんいない学校とか意味わかんないし!!」
梨花「ほら!!なんか言えってバカ!!」
先公「……」
生徒達の思いは本物だった。
思わず天を仰ぐ直美先生。
その瞳にはもう、授業中に見せた外道の濁りはない。
清々しいほどの純粋な目。教師としての誇りが灯ったいい顔だった。
まるで、この青空の様に……。
先公「……最後に、いいか」
女子A「みんな静かに!」
男子A「尊師……」
全員、息を呑む。
誰かが鼻をすする。
誰かが目を伏せる。
伝説の教師、最後の授業が始まった。
教師「お前ら全員さ」
教師「どうせ何やっても人生うまくいかないから」
周り、ざわ…
涙目。
教師「不摂生しまくって、三十手前で死ぬのが一番コスパいいと思うよ」
教師「アニメとかでこの世は絶望しかないって言われてるけどさ、」
教師「努力しなくても、そこそこの幸せ来るのが人生だから」
教師「飯食えて、スマホ見れて、文句言えて」
教師「それで満足できるなら」
教師「もう真の意味での勝ち組だよ」
教師「知らんけど」
誰か、嗚咽。
誰かがカメラを回す。
キャプション『神回。人生の授業』
教師「今日で私はグッバイ。お前らも人生グッバイ」
教師「教師生活悔いはないけど残るものもなかったな」
一拍。
教師「じゃあな」
全員「先生ぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
三浦直美(29)。
教師人生7年。
彼女と過ごした1年弱の期間は、誰も忘れない──。
終
最終更新:2026年01月12日 18:09