『「悪魔」というのを本で調べたが、いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ……』
岩明均『寄生獣』より
◆
「ウオェェェェ……!!」
緑髪と長耳が特徴の、まるで絵物語から抜け出したかのような美少女が、街中の地面に四つん這いになりながら嘔吐している。
その少女を、これまた美しい大人の女性が真横で見下ろしている。
しかしこの二人もまた殺し合いのルールに則り、見た目はおろか年齢も肉体とは大きく異なる。
その少女を、これまた美しい大人の女性が真横で見下ろしている。
しかしこの二人もまた殺し合いのルールに則り、見た目はおろか年齢も肉体とは大きく異なる。
まず今ここで嘔吐している少女の精神の名前は廣井きくり。
新宿のとあるライブハウスで活動するインディーズバンド、SICK HACKのリーダーにしてベーシストである。
天才ベーシストを自称しそれにふさわしい腕前はあるものの、重度のアルコール中毒であり、ほぼ常に酔っぱらっているダメ人間だ。
新宿のとあるライブハウスで活動するインディーズバンド、SICK HACKのリーダーにしてベーシストである。
天才ベーシストを自称しそれにふさわしい腕前はあるものの、重度のアルコール中毒であり、ほぼ常に酔っぱらっているダメ人間だ。
とはいえ、元からアル中だったわけではない。
昔は陰キャだった彼女は自分を変える為にバンドを始めたものの、緊張を紛らわせようとアルコールに頼ったのが始まりだ。
もっとも今ではそれが常態化し、更に言うなら漠然と抱えている将来への不安を忘れるために常に酔っぱらっているのだが。
昔は陰キャだった彼女は自分を変える為にバンドを始めたものの、緊張を紛らわせようとアルコールに頼ったのが始まりだ。
もっとも今ではそれが常態化し、更に言うなら漠然と抱えている将来への不安を忘れるために常に酔っぱらっているのだが。
そんな彼女がこの殺し合いで最初に行ったことは、酒を探すことだ。
元々不安から逃げる為に酒を飲んでいる彼女にとって、この殺し合いはあまりにも過激すぎる。
その為咄嗟にデイパックを漁り酒を探し、幸か不幸か支給品の中にあったので、彼女は迷うことなく口を付けた。
元々不安から逃げる為に酒を飲んでいる彼女にとって、この殺し合いはあまりにも過激すぎる。
その為咄嗟にデイパックを漁り酒を探し、幸か不幸か支給品の中にあったので、彼女は迷うことなく口を付けた。
だが彼女がいくら逃避しようとこの殺し合いは現実で、きくりの体は別人と入れ替わっている。
元々どれほど酒に強かろうと、体が変わればそれも変わる。
元々どれほど酒に強かろうと、体が変わればそれも変わる。
きくりの体は今、とある世界のエルフの少女で弓使いの凄腕冒険者となっていた。
しかし、その少女はワインの数杯で酔っぱらってしまう程度には酒に弱く、更に言うなら口を付けた酒もとんでもない代物だった。
その酒の名は『PaB式ウーロン茶』という、名前こそ茶なものの、その実ウォッカ:9、ウイスキー:1をブレンドした凄まじいカクテル、と呼ぶのも躊躇われる何かだった。
そんなものを酒に弱い少女が飲めばどうなるか。
当然、吐く。
しかし、その少女はワインの数杯で酔っぱらってしまう程度には酒に弱く、更に言うなら口を付けた酒もとんでもない代物だった。
その酒の名は『PaB式ウーロン茶』という、名前こそ茶なものの、その実ウォッカ:9、ウイスキー:1をブレンドした凄まじいカクテル、と呼ぶのも躊躇われる何かだった。
そんなものを酒に弱い少女が飲めばどうなるか。
当然、吐く。
「……そこの彼女、おみずとってー」
「自分のデイパックから取ってください」
「自分のデイパックから取ってください」
そんなきくりに対し、横にいる女性は塩対応だった。
誰かに襲われたり、あるいは病気とかならいざ知らず、こんな極限状況で勝手に酒を飲んで酔っ払った相手を介抱する気にはならなかった。
一方、この対応にきくりは悲しむ。
誰かに襲われたり、あるいは病気とかならいざ知らず、こんな極限状況で勝手に酒を飲んで酔っ払った相手を介抱する気にはならなかった。
一方、この対応にきくりは悲しむ。
「うぅ~ひどい~
ぼっちちゃんは初対面でも介抱してくれたのに~!」
「その人随分と人がいいですね。
……でもお姉も同じことしそう」
ぼっちちゃんは初対面でも介抱してくれたのに~!」
「その人随分と人がいいですね。
……でもお姉も同じことしそう」
きくりの話を聞き、思わず身内を思い出した女性は自身のデイパックから水を取り出し、渡す。
その水をきくりはゴクゴクと飲むのだった。
その水をきくりはゴクゴクと飲むのだった。
この女性の精神の名前は吉田良子。
実は人以外の存在、魔族も住む町、多魔市に暮らす、魔族の父と人間の母を持つ小学生である。
心優しい姉を慕い、参謀として力になりたいと願う純粋な少女だ。
実は人以外の存在、魔族も住む町、多魔市に暮らす、魔族の父と人間の母を持つ小学生である。
心優しい姉を慕い、参謀として力になりたいと願う純粋な少女だ。
そんな彼女は今、大人の女性の体を得ていた。
体の本来の持ち主の名前は高垣楓。とある世界でアイドルを務める25歳の女性だ。
この楓に対し、良子は少々残念に思っていた。
体の本来の持ち主の名前は高垣楓。とある世界でアイドルを務める25歳の女性だ。
この楓に対し、良子は少々残念に思っていた。
もしこの殺し合いに良だけじゃなく、あのお姉が参加していたらとても心配。
お姉は優しく人に騙されやすい側面があるので、下手をするとすぐ死んでしまうかもしれないからだ。
なので自分が傍にいれば少しはフォローできるかもしれない。
だがもしこの体が、良が知っている魔法少女みたいに強い体ならもっと力になれるのに。
お姉は優しく人に騙されやすい側面があるので、下手をするとすぐ死んでしまうかもしれないからだ。
なので自分が傍にいれば少しはフォローできるかもしれない。
だがもしこの体が、良が知っている魔法少女みたいに強い体ならもっと力になれるのに。
そう考えながら良子がきくりを介抱していると、少し離れた所から足音が聞こえてきた。
思わずきくりを連れて隠れようとする良子だが、それより早く足音の主は二人の前に姿を現した。
思わずきくりを連れて隠れようとする良子だが、それより早く足音の主は二人の前に姿を現した。
足音の主は、少女だった。
片手剣を持ち、頭には特徴的な兜、そして背中にはマント。
まるでお姉の好きなゲームの勇者みたい、と良子は感じた。
片手剣を持ち、頭には特徴的な兜、そして背中にはマント。
まるでお姉の好きなゲームの勇者みたい、と良子は感じた。
その勇者が迫って来る。
剣を携えたまま、淡々と。
とても友好的には見えない。
剣を携えたまま、淡々と。
とても友好的には見えない。
思わずきくりを連れて逃げ出そうとする良子だが、勇者は見た目からは想像もできない程素早い動きで二人に追いつく。
酔っ払いを連れていたからだろうか。否、万全であったとしてもこの勇者から逃げ出すのは不可能だったに違いない。
そう思わせるほどの早さだった。
酔っ払いを連れていたからだろうか。否、万全であったとしてもこの勇者から逃げ出すのは不可能だったに違いない。
そう思わせるほどの早さだった。
そして追いついた勇者は持っている剣を二人に向けて振るう。
その剣もまた早く、このままでは到底二人とも避けられないだろう。
その剣もまた早く、このままでは到底二人とも避けられないだろう。
「危ないっ!!」
だがきくりはここで良子を突き飛ばした。
これは見ず知らずの自分を介抱してくれた恩義か、はたまた何も考えていない咄嗟の行動か。
ともかく、彼女はこの瞬間の犠牲者を一人減らした。
これは見ず知らずの自分を介抱してくれた恩義か、はたまた何も考えていない咄嗟の行動か。
ともかく、彼女はこの瞬間の犠牲者を一人減らした。
【廣井きくり@ぼっち・ざ・ろっく!(身体:妖精弓主@ゴブリンスレイヤー) 死亡】
「……っ!!」
目の前で人が死亡する光景にショックを受ける良子。
しかし、それに囚われている暇など彼女には本来存在しない。
なぜなら、きくりを手に掛けた当人は返り血を浴びつつも、何一つ表情を変えることなくもう一度剣を振るおうとしていたからだ。
だが、彼女の命運はここではまだ尽きない。
しかし、それに囚われている暇など彼女には本来存在しない。
なぜなら、きくりを手に掛けた当人は返り血を浴びつつも、何一つ表情を変えることなくもう一度剣を振るおうとしていたからだ。
だが、彼女の命運はここではまだ尽きない。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
空を裂く叫びが辺りに響き、まるで魔法少女のような服装をした、本来の良子と同年代であろう少女が両手に斧を持ち、勇者の凶行を止めるべく突撃してきた。
◆
「こんな、殺し合いなんて……」
時は少し遡り、会場の街中で一人小学生くらいの少女が動揺していた。
しかし体は少女でも精神は男なので彼と称すが、彼の名前は天之河光輝。
容姿端麗で文武両道。性格も正義感が強く、善意に溢れた、一見完璧超人に見える高校二年生だ。
しかし体は少女でも精神は男なので彼と称すが、彼の名前は天之河光輝。
容姿端麗で文武両道。性格も正義感が強く、善意に溢れた、一見完璧超人に見える高校二年生だ。
光輝は突然の殺し合いに酷く動揺していた。
これは単純に異常な状況に動揺しているだけでなく、彼のアイデンティにもかかわる問題だ。
彼は人の善意を信じている。
だから、例えば人が何か悪事を働いていたとしても何か理由があると考え、また謝罪すれば割とあっさり許してしまうところがある。
これは単純に異常な状況に動揺しているだけでなく、彼のアイデンティにもかかわる問題だ。
彼は人の善意を信じている。
だから、例えば人が何か悪事を働いていたとしても何か理由があると考え、また謝罪すれば割とあっさり許してしまうところがある。
故に、こんな邪悪なデスゲームを悪びれもなく開催できる存在がいることに光輝は動揺し、驚愕を隠せないのだ。
しかし彼はここで、ある可能性に思い至る。
しかし彼はここで、ある可能性に思い至る。
「まさか、魔人族の仕業なのか……!?」
それは、主催者が人ならざる者の仕業であるということ。
人間でないのなら、人でなしの所業も当然にこなせるだろう、と光輝は思った。
人間でないのなら、人でなしの所業も当然にこなせるだろう、と光輝は思った。
魔人族とは、光輝がいずれ戦わなければならない存在である。
そもそも彼はこの殺し合いに呼ばれる少し前、現代日本の住人でありながらクラスメイトとたまたま近くにいた社会科教師と共にファンタジーな異世界『トータス』に召喚された。
そこでは人間族と魔人族が長きにわたって戦争をしているが、最近魔物を操る魔法を手に入れ強化された魔人族に対抗すべく、人間族の神エヒトが強力な力を持たせ光輝達を召喚したのだ。
光輝はそこで魔人族と戦うことを承諾。
仲間と共に魔人族を撃ち滅ぼし、元の世界へ帰る為に戦うことを決意したのだった。
そもそも彼はこの殺し合いに呼ばれる少し前、現代日本の住人でありながらクラスメイトとたまたま近くにいた社会科教師と共にファンタジーな異世界『トータス』に召喚された。
そこでは人間族と魔人族が長きにわたって戦争をしているが、最近魔物を操る魔法を手に入れ強化された魔人族に対抗すべく、人間族の神エヒトが強力な力を持たせ光輝達を召喚したのだ。
光輝はそこで魔人族と戦うことを承諾。
仲間と共に魔人族を撃ち滅ぼし、元の世界へ帰る為に戦うことを決意したのだった。
もしこれが魔人族の仕業なら、最初に自分を殺すのではないか、という疑問は浮かばなくもなかった。
しかしそれよりも仲間や何も関係ない人々が巻き込まれているのでは、という懸念が湧き、結果光輝は深く考えず思考を次の段階に進める。
しかしそれよりも仲間や何も関係ない人々が巻き込まれているのでは、という懸念が湧き、結果光輝は深く考えず思考を次の段階に進める。
「そうだ、支給品……」
慌ててデイパックを検める光輝。すると最初に出てきたのはスマホだった。
もしや外に連絡できるのでは、と考え試しに110番してみるが、通じない。
期待は薄かったがやはりだめだったか、と思いスマホを仕舞おうとするが、ハラリとスマホにくっついていた説明書きが地面に落ちる。
そこには、このスマホはただの連絡機器ではなく、この体を勇者に変身させるものであることと、その方法も書かれていた。
もしや外に連絡できるのでは、と考え試しに110番してみるが、通じない。
期待は薄かったがやはりだめだったか、と思いスマホを仕舞おうとするが、ハラリとスマホにくっついていた説明書きが地面に落ちる。
そこには、このスマホはただの連絡機器ではなく、この体を勇者に変身させるものであることと、その方法も書かれていた。
それを見てどこか皮肉を感じる光輝。
なぜなら彼がトータスに来て得た力もまた、勇者だからだ。
勇者を別の勇者の体に移す意味が、彼には分からなかった。
なぜなら彼がトータスに来て得た力もまた、勇者だからだ。
勇者を別の勇者の体に移す意味が、彼には分からなかった。
だが変身することで強くなると判断した光輝は、一度変身してみることにした。
スマホのアプリを起動し、変身と書かれたアイコンをタップする。
すると、彼の姿はただの女子小学生から、まるで変身ヒロインのようなコスチュームへと変貌した。
更に、手にはさっきまで持っていなかった二丁の大きな斧がある。
スマホのアプリを起動し、変身と書かれたアイコンをタップする。
すると、彼の姿はただの女子小学生から、まるで変身ヒロインのようなコスチュームへと変貌した。
更に、手にはさっきまで持っていなかった二丁の大きな斧がある。
こんな得体のしれない、現代科学を超越した現象が現代地球にある物体で実現可能なことに、どこか違和を感じる光輝。
異世界召喚を経験しているので多少のファンタジーには耐性があるものの、それが現代のアイテムでもたらされることにはどうにも変な感じがするのだ。
異世界召喚を経験しているので多少のファンタジーには耐性があるものの、それが現代のアイテムでもたらされることにはどうにも変な感じがするのだ。
「ん?」
しかしその直後、光輝は気配を感じ、そちらの方を見る。
すると、一瞬だけだが人影が見えたような気がした。
すると、一瞬だけだが人影が見えたような気がした。
すぐに声を出して呼びかけようかと考えるも、気のせいかもしれないし、気のせいじゃなかったとしてもこの状況なら大声で呼びかけられたら怖がってしまうかもしれない。
そこでまずは人影が本当にあるかを確かめようと考え、探すことにした。
幸い、人影自体は見間違いでも何でもなかったのか、すぐに他の参加者を発見することができた。
そこでまずは人影が本当にあるかを確かめようと考え、探すことにした。
幸い、人影自体は見間違いでも何でもなかったのか、すぐに他の参加者を発見することができた。
血濡れの剣を振るおうとする血まみれの少女と、今まさに斬られかかっている女性、良子の姿を。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
それを見た光輝の行動はあまりにも早かった。
怒り叫びながら突貫し、二丁ある斧のうち右手にある方を少女に向けて投げつける。
怒り叫びながら突貫し、二丁ある斧のうち右手にある方を少女に向けて投げつける。
「おっと」
投げられた斧は少女が跳躍することであっさり躱されるが、光輝は斧に追いつくと即座に拾いあげつつ、斬られかかった良子を背に庇いつつこう告げた。
「逃げてください!」
「……え?」
「早く!!」
「は、はい!」
「……え?」
「早く!!」
「は、はい!」
光輝の言葉に一瞬戸惑うも、彼の強い口調に頷き逃げ出す良子。
それを少女は特に追うことも無く、ただ光輝を見つめていた。
そこに執着はない。ただ目の前にいる方から殺して、逃げたほうは後でいいや、という機械的な処理をしているようにしか見えない。
意思を感じない。感情が読み取れない。
彼には、目の前の相手が人間だと思えなかった。
それを少女は特に追うことも無く、ただ光輝を見つめていた。
そこに執着はない。ただ目の前にいる方から殺して、逃げたほうは後でいいや、という機械的な処理をしているようにしか見えない。
意思を感じない。感情が読み取れない。
彼には、目の前の相手が人間だと思えなかった。
(そうか。こいつは”怪物„なんだ)
普通に考えて、こんないきなり連れてこられた殺し合いに乗る人がいるわけがない。
もし乗っている参加者がいるとするなら、それは人間ではないとしか思えない。
だから、目の前の相手は”怪物„なんだ。
だったら俺が、”勇者„が倒さなければならない。
もし乗っている参加者がいるとするなら、それは人間ではないとしか思えない。
だから、目の前の相手は”怪物„なんだ。
だったら俺が、”勇者„が倒さなければならない。
光輝はそう考えた。考えてしまった。
そんな考えのまま、戦いに突入しようとしていた。
そんな考えのまま、戦いに突入しようとしていた。
◆
良子から勇者みたいと、光輝からは怪物と称された少女の精神は、人間の父と母を持ち、おまけに妹もいる青年の物である。
彼の名前はカゲイ・ソウジ。
彼もまた光輝と同じく、しかし別の世界に勇者として召喚されたのだ。
もっとも、実際の所は敵国を滅ぼし終われば暗殺する使い捨ての兵器程度にしか思われていなかったが。
しかし、それ以前に彼は勇者として、人間としてあまりにも異端だった。
彼の名前はカゲイ・ソウジ。
彼もまた光輝と同じく、しかし別の世界に勇者として召喚されたのだ。
もっとも、実際の所は敵国を滅ぼし終われば暗殺する使い捨ての兵器程度にしか思われていなかったが。
しかし、それ以前に彼は勇者として、人間としてあまりにも異端だった。
ソウジは優秀な人間だった。
大抵のことはこなせ、教えられたことはすぐに覚える。
だが彼には人として足りないものがあった。
それは、欲望。
大抵のことはこなせ、教えられたことはすぐに覚える。
だが彼には人として足りないものがあった。
それは、欲望。
誰かにこれをしろと言われたら実行できるのに、自分からこれがしたいと思えない。
彼はそんな自分に悩んだ。
自分には意志がある筈なのに、外部に出力できなければただの人形ではないのか、と。
そして彼は決断した。
彼はそんな自分に悩んだ。
自分には意志がある筈なのに、外部に出力できなければただの人形ではないのか、と。
そして彼は決断した。
人の欲求を叶えるしかできないのなら、せめてそれを叶えるか逆を成すかを目の前の偶然性の二択に委ねると。
石を投げ、右に落ちたら求められるままに助け、左に落ちたのなら無惨に殺す。
たまたま時計を見て時間が偶数なら求められるまま救い、奇数なら奈落に落とす。
そんな道を、ソウジは選択した。
たまたま時計を見て時間が偶数なら求められるまま救い、奇数なら奈落に落とす。
そんな道を、ソウジは選択した。
裁判官のネクタイが赤色だから、自身に課せられた判決に従わない。
空に雲一つないから、国民を皆殺しにして国を滅ぼす。
石が左に落ちたから、彼に恋する少女を切り捨てる。
空に雲一つないから、国民を皆殺しにして国を滅ぼす。
石が左に落ちたから、彼に恋する少女を切り捨てる。
これがカゲイ・ソウジ。
人の腹から生まれ、勇者として召喚された怪物。
人の腹から生まれ、勇者として召喚された怪物。
そんなソウジは殺し合いに呼ばれる前、勇者になれと言われた。
それも使い捨ての兵器ではなく、おとぎ話にでてくるような本物の勇者に。
彼はそれを引き受けた。
あらゆる理不尽を正し、弱き者を救い、世界から悲劇を取り除く本物になると決めた。
だから彼の中でこの殺し合いの主催者は倒さなければならない。
しかしそこにたどり着くまでの道筋に二択が生まれた。
それも使い捨ての兵器ではなく、おとぎ話にでてくるような本物の勇者に。
彼はそれを引き受けた。
あらゆる理不尽を正し、弱き者を救い、世界から悲劇を取り除く本物になると決めた。
だから彼の中でこの殺し合いの主催者は倒さなければならない。
しかしそこにたどり着くまでの道筋に二択が生まれた。
殺し合いに乗り、優勝することで主催に辿り着くか。
あるいは殺し合いに乗らず、他の参加者と協力して主催と戦うか。
それをソウジは当然、偶然性の二択で決める。
あるいは殺し合いに乗らず、他の参加者と協力して主催と戦うか。
それをソウジは当然、偶然性の二択で決める。
ソウジが使ったのは、基本支給品の中にある手鏡だ。
まず手鏡の鏡がある方を表、反対側を裏とする。
それをコイントスの要領で空に投げ、地面に落とす。
この時表が出たら殺し合いに乗る。裏が出たら参加者と協力する。
まず手鏡の鏡がある方を表、反対側を裏とする。
それをコイントスの要領で空に投げ、地面に落とす。
この時表が出たら殺し合いに乗る。裏が出たら参加者と協力する。
そして出た面など最早、語る必要はない。
彼は殺し合いに乗り、優勝することで主催に辿り着くと決めたのだ。
だから、殺し合いに乗らず自分を止めようとする相手にも何も感じない。
彼は殺し合いに乗り、優勝することで主催に辿り着くと決めたのだ。
だから、殺し合いに乗らず自分を止めようとする相手にも何も感じない。
ただ、決めたことだから排除しようとするだけ。
【天之河光輝@ありふれた職業で世界最強】
[身体]:三ノ輪銀@鷲尾須美は勇者である
[状態]:健康、勇者に変身中、怒り(大)
[装備]:三ノ輪銀のスマホ@鷲尾須美は勇者である
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:勇者として誰も殺さず殺し合いを止め、主催者達を倒す。”怪物„も倒す
1:目の前の”怪物(ソウジ)„を倒す
[備考]
※参戦時期はハジメが奈落に落ちてから再会するまでのどこかです。
※殺し合いに乗っている参加者を”怪物„と認識しています。
[身体]:三ノ輪銀@鷲尾須美は勇者である
[状態]:健康、勇者に変身中、怒り(大)
[装備]:三ノ輪銀のスマホ@鷲尾須美は勇者である
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:勇者として誰も殺さず殺し合いを止め、主催者達を倒す。”怪物„も倒す
1:目の前の”怪物(ソウジ)„を倒す
[備考]
※参戦時期はハジメが奈落に落ちてから再会するまでのどこかです。
※殺し合いに乗っている参加者を”怪物„と認識しています。
【カゲイ・ソウジ@その勇者、虚ろにつき(書籍版)】
[身体]:女勇者@ドラゴンクエスト3
[状態]:健康、返り血を浴びている
[装備]:きせきのつるぎ(血濡れ)@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:勇者として主催者を殺す。その為にまずは優勝する
1:目の前の人(光輝)を殺す
2:逃げた人(良子)は……生きていればそのうち会えるでしょう
[備考]
※参戦時期はエピローグ『勇者は少女を救えない』終了後です。
※元の体で使用した魔術が現在使えるかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。
[身体]:女勇者@ドラゴンクエスト3
[状態]:健康、返り血を浴びている
[装備]:きせきのつるぎ(血濡れ)@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:勇者として主催者を殺す。その為にまずは優勝する
1:目の前の人(光輝)を殺す
2:逃げた人(良子)は……生きていればそのうち会えるでしょう
[備考]
※参戦時期はエピローグ『勇者は少女を救えない』終了後です。
※元の体で使用した魔術が現在使えるかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。
◆
「ハァ……ハァ……」
光輝とソウジの戦いが始まろうとしている一方、少し離れた場所では先程逃げ出した良子が息を荒げていた。
彼女の中にあるのは、強烈な罪悪感。
命がけで庇ってくれた人と、自分を守ろうとした人を見捨てて逃げたことに強い罪悪感を抱いていた。
しかし、彼女はそれを理由にふさぎ込んだり、仕方ないと諦める少女ではなかった。
彼女の中にあるのは、強烈な罪悪感。
命がけで庇ってくれた人と、自分を守ろうとした人を見捨てて逃げたことに強い罪悪感を抱いていた。
しかし、彼女はそれを理由にふさぎ込んだり、仕方ないと諦める少女ではなかった。
「そうだ、支給品の中に何かあるかも!」
今までロクに調べられなかったデイバックの中を慌てて検める良子。
すると最初に出てきたのは、何やら小さな銀色のアタッシュケースだ。
そのアタッシュケースを開けてみると、中にはベルトと携帯電話。それから懐中電灯とカメラに加え、説明書が入っていた。
彼女がすぐさま説明書を読むと、そこにはこれらを使うことでファイズという存在になれると書かれている。
これを彼女は魔法少女のような変身と解釈し、早速実行することにした。
すると最初に出てきたのは、何やら小さな銀色のアタッシュケースだ。
そのアタッシュケースを開けてみると、中にはベルトと携帯電話。それから懐中電灯とカメラに加え、説明書が入っていた。
彼女がすぐさま説明書を読むと、そこにはこれらを使うことでファイズという存在になれると書かれている。
これを彼女は魔法少女のような変身と解釈し、早速実行することにした。
「まずベルトを着けて……」
良子は腰に中に入っているベルト、ファイズドライバーを巻く。
次に携帯電話、ファイズフォンを取り出し、変身コードを打ち込もうとする。
次に携帯電話、ファイズフォンを取り出し、変身コードを打ち込もうとする。
「えっと、5――」
初めて見るガラケーに戸惑いつつ、コードを間違えないようにするため、画面を睨み慎重に打ち込む良子。
しかしそれがいけなかった。
しかしそれがいけなかった。
ヒュンヒュンヒュン
「え――」
唐突に聞こえる風切り音に思わず良子が顔を上げると、眼前には旋回するブーメラン。
それが彼女の見た最期の光景。
次の瞬間、ブーメランは彼女の頭蓋を破壊した。
それが彼女の見た最期の光景。
次の瞬間、ブーメランは彼女の頭蓋を破壊した。
これで吉田良子の生涯はおしまい。
二人の人間に助けられながら、それを繋ぐことなく、彼女は無意味にここで朽ちる。
二人の人間に助けられながら、それを繋ぐことなく、彼女は無意味にここで朽ちる。
【吉田良子@まちカドまぞく(身体:高垣楓@アイドルマスターシンデレラガールズ) 死亡】
そしてブーメランは風切り音を鳴らしながら投げた主の元へと戻って行く。
主の姿は露出度の高い服装をしたピンク髪のツインテールをした美少女だ。
しかしブーメランで人間の頭を破壊できるほどの力の持ち主がただの少女な訳がない。
この体の本来の持ち主の名前はミリム・ナーヴァ。とある世界で魔王を務める存在で、その気になれば集落一つなど容易く滅ぼせる強力な存在だ。
主の姿は露出度の高い服装をしたピンク髪のツインテールをした美少女だ。
しかしブーメランで人間の頭を破壊できるほどの力の持ち主がただの少女な訳がない。
この体の本来の持ち主の名前はミリム・ナーヴァ。とある世界で魔王を務める存在で、その気になれば集落一つなど容易く滅ぼせる強力な存在だ。
そしてそのミリムの体を今操っているのは、とある世界の勇者。
勇者ロトの子孫とされ、竜王を倒せと王様に命じられた男である。
そんな彼がなぜ良子を手に掛けたのか。
それは、彼の直前の選択にある。
勇者ロトの子孫とされ、竜王を倒せと王様に命じられた男である。
そんな彼がなぜ良子を手に掛けたのか。
それは、彼の直前の選択にある。
勇者は殺し合いに呼ばれる直前、宿敵竜王と相対していた。
その時、敵である竜王がこう問いかけてきた。
その時、敵である竜王がこう問いかけてきた。
『もし わしの 味方になれば 世界の半分を やろう。
どうじゃ? わしの 味方に なるか?』
どうじゃ? わしの 味方に なるか?』
この問いに、勇者は頷いてしまった。
なぜ頷いたのかは、彼自身にも分からない。
好奇心だったのかもしれない。
あるいは、根拠も示さず自身を勝手にロトの子孫だと断定し、戦いに駆り立てた王様に対しての苛立ちが無自覚にあったのかもしれない。
はたまた、ここで竜王を倒してしまえば、自身が暴力を振るう機会が大きく減ると考えたからかもしれない。
なぜ頷いたのかは、彼自身にも分からない。
好奇心だったのかもしれない。
あるいは、根拠も示さず自身を勝手にロトの子孫だと断定し、戦いに駆り立てた王様に対しての苛立ちが無自覚にあったのかもしれない。
はたまた、ここで竜王を倒してしまえば、自身が暴力を振るう機会が大きく減ると考えたからかもしれない。
いずれにせよ、この問いに頷き視界が闇に覆われたとき、勇者は直感した。
しくじったと。
自分は取り返しのつかない間違いを犯した、と。
しくじったと。
自分は取り返しのつかない間違いを犯した、と。
そんな時、この殺し合いは最後の希望。
優勝してやり直し、今度は世界を救うと決めたのだ。
だから勇者は戦う。
優勝してやり直し、今度は世界を救うと決めたのだ。
だから勇者は戦う。
それはそれとして、勇者はさっき殺した良子のデイバックを手に取る。
殺し合いを勝ち抜くにあたって、手札を増やすことは必然だ。
しかし、彼は良子が装備しているファイズドライバーを始めとしたファイズギアに手を出そうとはしなかった。
殺し合いを勝ち抜くにあたって、手札を増やすことは必然だ。
しかし、彼は良子が装備しているファイズドライバーを始めとしたファイズギアに手を出そうとはしなかった。
なぜなら、ただでさえ勇者から見てよく分からない代物の上、その内一つは遺体となった良子の腰に装着されている。
それをはぎ取る労力と、得られる対価が釣り合うとは思えなかったのだ。
正直力なら、ブーメランの一投で人の頭を吹き飛ばせる今の体で十分だ。なのでファイズギアは置いていく。
それをはぎ取る労力と、得られる対価が釣り合うとは思えなかったのだ。
正直力なら、ブーメランの一投で人の頭を吹き飛ばせる今の体で十分だ。なのでファイズギアは置いていく。
そして勇者は町から離れようと歩き始めた。
理由はひとえに優勝の為。
さっき殺した女性は誰かから逃げていた。ということは、恐らく殺し合いに乗った誰かがいるのだろう。
ならば、ここで鉢合わせて潰しあう意味もない。
さっさとここから去って、別の場所にいる参加者と戦うのが賢明だ。
理由はひとえに優勝の為。
さっき殺した女性は誰かから逃げていた。ということは、恐らく殺し合いに乗った誰かがいるのだろう。
ならば、ここで鉢合わせて潰しあう意味もない。
さっさとここから去って、別の場所にいる参加者と戦うのが賢明だ。
こうして勇者は歩き始める。
ただ一つの希望の為、罪なき者にだって手を掛ける。
だって、一度闇に落ちた彼からすれば、今更でしかないのだから。
ただ一つの希望の為、罪なき者にだって手を掛ける。
だって、一度闇に落ちた彼からすれば、今更でしかないのだから。
【勇者@ドラゴンクエスト】
[身体]:ミリム・ナーヴァ@転生したらスライムだった件
[状態]:健康
[装備]:ブーメラン@ゼルダの伝説シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、吉田良子のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~2)
[思考・状況]基本方針:優勝してやり直し、今度こそ世界を救う
1:ひとまず町から離れる
[備考]
※参戦時期はりゅうおうの「世界の半分をやろう」に対し「はい」と答えた直後です
[身体]:ミリム・ナーヴァ@転生したらスライムだった件
[状態]:健康
[装備]:ブーメラン@ゼルダの伝説シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、吉田良子のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~2)
[思考・状況]基本方針:優勝してやり直し、今度こそ世界を救う
1:ひとまず町から離れる
[備考]
※参戦時期はりゅうおうの「世界の半分をやろう」に対し「はい」と答えた直後です
※会場のどこかに廣井きくりの遺体と彼女のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~2)とPaB式ウーロン茶入りペットボトル(少量消費)@ぐらんぶる が放置されています。
また違う場所には吉田良子の遺体とファイズギアのセットが放置されています。
また違う場所には吉田良子の遺体とファイズギアのセットが放置されています。
【PaB式ウーロン茶入りペットボトル@ぐらんぶる】
廣井きくりに支給。
ウーロン茶とは名ばかりでその実態は、ウォッカ9:ウイスキー1の比率で入れられたカクテル、と呼ぶのもおぞましい何か、が2リットルのペットボトルに入っている。
火を近づけると燃える。
廣井きくりに支給。
ウーロン茶とは名ばかりでその実態は、ウォッカ9:ウイスキー1の比率で入れられたカクテル、と呼ぶのもおぞましい何か、が2リットルのペットボトルに入っている。
火を近づけると燃える。
【きせきのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ】
カゲイ・ソウジに支給。
相手にダメージを与えると、その四分の一体力が回復する不思議な剣。
シリーズによって攻撃力は異なる。
カゲイ・ソウジに支給。
相手にダメージを与えると、その四分の一体力が回復する不思議な剣。
シリーズによって攻撃力は異なる。
【三ノ輪銀のスマホ@鷲尾須美は勇者である】
天之河光輝に支給。
勇者に変身するためのアプリ『NARUKO』が入っているスマホ。
満開や精霊などは搭載されていない。
天之河光輝に支給。
勇者に変身するためのアプリ『NARUKO』が入っているスマホ。
満開や精霊などは搭載されていない。
それ以外のメールや電話機能も当然ある。ただし、どちらも外部とは接続されていない。
他の参加者に支給されているスマホや携帯、もしくは会場にある電話やパソコンにならつながるかもしれない。
他の参加者に支給されているスマホや携帯、もしくは会場にある電話やパソコンにならつながるかもしれない。
【ファイズギア@仮面ライダー555】
吉田良子に支給。
ファイズドライバー、ファイズフォン、ファイズポインター、ファイズショットが入ったアタッシュケース。
これの内前二つを使うことで仮面ライダーファイズへと変身する。
ファイズフォンは普通の携帯電話としても使用可能。
吉田良子に支給。
ファイズドライバー、ファイズフォン、ファイズポインター、ファイズショットが入ったアタッシュケース。
これの内前二つを使うことで仮面ライダーファイズへと変身する。
ファイズフォンは普通の携帯電話としても使用可能。
本来ならオルフェノクかその記号を持っていないと使用できないが、このロワでは誰でも使用可能となっている。
【ブーメラン@ゼルダの伝説シリーズ】
勇者(DQ1)に支給。
シリーズによってまちまちだが、効果は概ね投げると真っすぐか狙った敵目掛けて飛んでいき、命中するか壁などに阻まれる、もしくは一定距離飛ぶと持ち主の元に戻って来る。
本ロワでは狙った対象に向けて投げるとそこに向かって飛んでいく。何も狙わず投げれば真っすぐ飛んでいくようになっている。
勇者(DQ1)に支給。
シリーズによってまちまちだが、効果は概ね投げると真っすぐか狙った敵目掛けて飛んでいき、命中するか壁などに阻まれる、もしくは一定距離飛ぶと持ち主の元に戻って来る。
本ロワでは狙った対象に向けて投げるとそこに向かって飛んでいく。何も狙わず投げれば真っすぐ飛んでいくようになっている。
| 94:ぶつ切り | 投下順に読む | 96:ちゃいかわさま |