現状について何の理解も得れていない。いきなり知らない場所に連れてこられて殺し合えって言われてもワケわかんないよね、多分私じゃなくても無理になる。
気付いたら野外に放り込まれてた。知らない土地だとかそういうのはどうでもいい、いきなり夜風に吹かれたことが怖くなって、泣きたくなって。外とかいつぶりだろ、最後にお酒をコンビニに買いに行ったのは……ああやだ、思い出したくない。ここでまだ幸いだったのはまずまだ太陽が出てなかったこと、外にすら出れないのに日光に照らされでもしたら私の全部が燃えてなくなってしまいそうで。あとはすぐそばに建物があったこと。埃が被ってる何年も使われてなさそうな場所だったけど私の部屋と同じような雰囲気で、安心と苦味の同時接種。
ほんのちょっと落ち着けたところでやっと自分の身体の異変に気づく。断片的に覚えていた女の人の話から他人と身体が入れ替えられてるってことを思い出した。視界には見られない黒髪、身体も普段より数倍健康のはず。ゲームや漫画じゃあるまいし、なんて思っても事実は事実。なんとか持ち運べていたカバンの中からタブレットを取りだし、唯一ずっと浴びていたブルーライトの光を浴びる。この身体について知っておくべき、そんな考えでタブレットを操作していく。
「秋山……さん、高校3年生…………」
簡素に書かれている私の身体、秋山澪さんのプロフィールを読み進める。でも『ベースを担当』、なんて文字が出てきたところでタブレットを落としてしまった。
一緒じゃん、あの時の私と。
軽音部、放課後ティータイム、ベース担当。ここまで書かれては嫌でもバンドを組んでいた人だとわかる、だけどその『バンド』という単語が私の中で何回も巡って。
『結束バンド』
「ああ、あの頃の私、輝いてたんだなあ」
いつか、ちょっと、ずっと前、私の居場所だったバンド。もう今はない、私の居場所だったバンド。虹夏ちゃん達何してるんだろなあ、きっと、うまくいってるんだろなあ。でももう私頑張れないよ。
たった数行の、一人のベーシストの女の子について知っただけで、勝手に自分と比べて、勝手に落ち込んで。
ああ、忘れたい。でも手元を動かしてもそこにお酒はない。ここは外だった、殺し合いの場所だった。
ああ、忘れたい。でも手元を動かしてもそこにお酒はない。ここは外だった、殺し合いの場所だった。
「あ、うぁ…………」
身体が震える。今すぐにでも消えたい。惨めさだけが積もって積もって。涙まで流れてきて。
ばたん、とその場で寝転がる。このまま意識を失って、通りかかった誰かに殺してほしい。でもそうなったら、秋山さんまで巻き込んでしまうわけで。そんなことはしたくないからこの生き地獄の中ただ涙を流す。
ばたん、とその場で寝転がる。このまま意識を失って、通りかかった誰かに殺してほしい。でもそうなったら、秋山さんまで巻き込んでしまうわけで。そんなことはしたくないからこの生き地獄の中ただ涙を流す。
それで、そんなゴミの気配でも感じたのかな。私の目の前が急に光に照らされて。
「ひぃいあっ」
「あっやっぱり誰か居…………澪?」
「あっやっぱり誰か居…………澪?」
懐中電灯を私に照らした主は不思議そうな顔をして固まる。いや、別にそんなことはどうでもいい。今、ダメなのは、その目の前に居る人が、
「てんちょ……さ、ん?」
店長さん。STARRYの、あの頃の思い出の中そのままの、店長さん。
忘れたかった、忘れられなかった、そんな過去の光に今、思いきり照らされて。
忘れたかった、忘れられなかった、そんな過去の光に今、思いきり照らされて。
「う、あ、あ、あああぁぁぁぁぁぁっっ……ーー」
私の心は限界を迎えた。
◇◇◇◇
いきなり殺し合えなんて言われても断固反対。人間として当然だし、強制されても無理。そんな中でも自分の身体が入れ替わるというのは不謹慎ながら若干楽しくもあって、星歌という名のライブハウスの店長を勤める女性に変わった今をちょっとだけエンジョイしていた。単に身長のお陰で今まで見れない景色が見れるようになったってのが一番面白い。
ここまではよかった。でも、物音がしたからおそるおそるそこに向かえば……親友の姿をした人が居たのだ。それでその人は私が話しかけるや否や泣き出してしまった。
「(ちっちゃい子なのかなー、そうだとしたら多分聡よりも幼いし……)」
あまり見覚えのない顔で泣き出す親友――澪が若干面白いなんて思っても、目の前にいる人はおそらく他人。下手に傷付けるなんてことはしただめだし澪の身体になってる以上仲良くしたい。ちっちゃい子なら尚更怖がらせちゃダメだし、優しく触れる様に会話を試みる。
「あー、えっとさ。大丈夫大丈夫、私は田井中律。普通の高校生だしこんな殺し合いとかもしない、できれば名前を教えてくれないかな?」
その言葉を聞いて澪の身体の人はチラリとコチラを見る。
「あ、っえっ、ぁ……そ、だ。てんちょさんじゃ、ない」
壊れたラジオみたく、途切れ途切れの声。多分店長、なんて事を言ってる所からしてもしかしてこの身体の人の知り合いだったのだろうか。それでこれだけ私に怯えてたのは……この身体、星歌さんに怯えてたってこと?
「あー、うん。知り合いだったらごめん、勝手に身体取っちゃったー!まあ取らされちゃった、だけどさ!」
「ぁ、ひ」
「ぁ、ひ」
いつも通り能天気な態度で接してみる。ちょっとでもこの子に安心しててもらいたい……ああでも名前だけは聞いとかなくちゃ。
「……あ、何回もごめん。名前だけ教えてくれない?なんて呼べば良いかわかんないから……」
そう言った後、澪の人は息を何回か吸って――
「ごっ……後藤……ひとり、です」
死にそうな顔で、名乗ってくれた。
◇◇◇◇
田井中律、そして後藤ひとり。二人は同じ音楽の道を志す者。本来の世界線なら、互いに切磋琢磨し合う良き関係を築く事が出来たかもしれない。ただ、この場に居る後藤ひとりは、ある『可能性』の世界から連れてこられてしまった者。
全部燃え尽きて、全部無くなった、XX年後の後藤ひとり、それが今ここにいる彼女。妄想の中の存在であった彼女だが、ここは何もかもが無法な殺し合い。
終わった彼女と出会ってしまったのは、未だ輝き続ける田井中律。その輝きは終わった後藤ひとりを再び照らすことが出来るのか、それとも燃やし尽くしてしまうのか。あるいは、共々消えてしまうのか。
あらゆる可能性が点在する殺し合い。二人の行方は如何に。
【XX年後の後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:秋山澪@けいおん!
[状態]:精神的疲労(大)、外への恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:怖い、何もわからない、消えたい。
1:田井中さん……店長さんじゃ、ない
2:外が怖い。ここから出たくない。
3:何も思い出したくない。何も考えたくない。お酒で全部消したい……秋山さんの身体だし飲めないんじゃ……。
[備考]
※アニメ第6話にて後藤ひとりの妄想の中に登場した、『XX年後』の姿です。
※ぼっち・ざ・ろっく!本編の出来事をどこまで経験しているかは後続の書き手様にお任せします。
※名簿には『後藤ひとり』とのみ記載されます。
[身体]:秋山澪@けいおん!
[状態]:精神的疲労(大)、外への恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:怖い、何もわからない、消えたい。
1:田井中さん……店長さんじゃ、ない
2:外が怖い。ここから出たくない。
3:何も思い出したくない。何も考えたくない。お酒で全部消したい……秋山さんの身体だし飲めないんじゃ……。
[備考]
※アニメ第6話にて後藤ひとりの妄想の中に登場した、『XX年後』の姿です。
※ぼっち・ざ・ろっく!本編の出来事をどこまで経験しているかは後続の書き手様にお任せします。
※名簿には『後藤ひとり』とのみ記載されます。
【田井中律@けいおん!】
[身体]:伊地知星歌@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:無事に帰る。殺し合いなんてしない。
1:後藤さん……ちゃん?と話す。
2:澪がここまでやばい顔してるの新鮮だけど心配。
[備考]
※参戦時期は中野梓加入後のどこかです。
[身体]:伊地知星歌@ぼっち・ざ・ろっく!
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:無事に帰る。殺し合いなんてしない。
1:後藤さん……ちゃん?と話す。
2:澪がここまでやばい顔してるの新鮮だけど心配。
[備考]
※参戦時期は中野梓加入後のどこかです。
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