医者は有能であっても万能ではない。
天才外科医だ何だと持て囃されたとて、人の身で起こせる奇跡以上の救済は土台無理な話。
知識を吸収し、経験を積み、腕を磨いた所で助けられない患者は存在する。
もし全ての命を一つも取り零さず救えるのなら、それは最早ドクターではなく神と呼ぶべきだ。
現実にそんなものがいれば恋人の消滅を防げただろう。
代償付きの奇跡に縋る必要もない。
生憎と飛彩の知る神は、崇高とは程遠い傲慢と狂気が服を着て歩いているような男だが。
天才外科医だ何だと持て囃されたとて、人の身で起こせる奇跡以上の救済は土台無理な話。
知識を吸収し、経験を積み、腕を磨いた所で助けられない患者は存在する。
もし全ての命を一つも取り零さず救えるのなら、それは最早ドクターではなく神と呼ぶべきだ。
現実にそんなものがいれば恋人の消滅を防げただろう。
代償付きの奇跡に縋る必要もない。
生憎と飛彩の知る神は、崇高とは程遠い傲慢と狂気が服を着て歩いているような男だが。
鏡飛彩はドクターである。
しかし無限に手を伸ばし人々を救える神様ではない。
自分がいながら複数の死者を出してしまった事実、大多数の者は飛彩に責任は無いと口を揃えて言う。
飛彩自身、出来る事と出来ない事の分別は付けられる人間だ。
だから仕方のないとは分かっている。
もし自分がもっと迅速に動いていれば、そう考え込むのを堪えこれからどう動くかに頭を働かせた。
死者は二度と帰って来ない。
ゲーム病で消滅した患者と違い、いずれ復活させられる希望は持たせられない。
取り零した者を取り戻せないなら、もうこれ以上は失わない為に戦うだけだ。
しかし無限に手を伸ばし人々を救える神様ではない。
自分がいながら複数の死者を出してしまった事実、大多数の者は飛彩に責任は無いと口を揃えて言う。
飛彩自身、出来る事と出来ない事の分別は付けられる人間だ。
だから仕方のないとは分かっている。
もし自分がもっと迅速に動いていれば、そう考え込むのを堪えこれからどう動くかに頭を働かせた。
死者は二度と帰って来ない。
ゲーム病で消滅した患者と違い、いずれ復活させられる希望は持たせられない。
取り零した者を取り戻せないなら、もうこれ以上は失わない為に戦うだけだ。
主催者への怒りはあるが放送で伝えられたのは無視出来ない内容ばかり。
まず優先して確認を行うのは新たに見れるようになった名簿。
タブレットを操作し画面に表示、精神・身体・その他を隅々までチェックする。
CRの関係者は自分以外不参加。
残念、とは思わない。
確かに宝生永夢を始めとする仲間達がいれば心強かったが、元々自分達ドクターの戦場は患者の治療を行う病院。
必要な時に必要な医療スタッフがいないせいで、最悪の事態を招く可能性は十二分にある。
むしろ永夢達まで巻き込まれてCRがもぬけの殻とならずに済み、安堵感を抱いたくらいだ。
まず優先して確認を行うのは新たに見れるようになった名簿。
タブレットを操作し画面に表示、精神・身体・その他を隅々までチェックする。
CRの関係者は自分以外不参加。
残念、とは思わない。
確かに宝生永夢を始めとする仲間達がいれば心強かったが、元々自分達ドクターの戦場は患者の治療を行う病院。
必要な時に必要な医療スタッフがいないせいで、最悪の事態を招く可能性は十二分にある。
むしろ永夢達まで巻き込まれてCRがもぬけの殻とならずに済み、安堵感を抱いたくらいだ。
「浅倉だと…?」
ただ知っている名前が一つも見つからなかった訳ではない。
浅倉威、以前戦った凶暴極まりない仮面ライダー。
永夢が散々痛め付けられ、飛彩の助手も襲われたのは覚えている。
レベル4のブレイブで勝利し、浅倉は消滅した筈。
同姓同名の別人という線も無くは無いが、もし飛彩の知る浅倉ならまず間違いなく殺し合いに乗るだろう。
他に知っている名前と言えば、さやかのプロフィールで度々名前が出て来た佐倉杏子か。
尤もこちらは体のみ参加しているので、本人と話す機会はない。
さやか同様、魔法少女の運命に弄ばれた挙句に殺し合いへ利用したのには怒りが湧くが。
浅倉威、以前戦った凶暴極まりない仮面ライダー。
永夢が散々痛め付けられ、飛彩の助手も襲われたのは覚えている。
レベル4のブレイブで勝利し、浅倉は消滅した筈。
同姓同名の別人という線も無くは無いが、もし飛彩の知る浅倉ならまず間違いなく殺し合いに乗るだろう。
他に知っている名前と言えば、さやかのプロフィールで度々名前が出て来た佐倉杏子か。
尤もこちらは体のみ参加しているので、本人と話す機会はない。
さやか同様、魔法少女の運命に弄ばれた挙句に殺し合いへ利用したのには怒りが湧くが。
身体側の名簿でもう一つ無視できない名前があった。
「俺の体もか…」
どうやら殺し合いには精神のみならず、自分の体までもが利用されているらしい。
ふざけた真似をする主催者への苛立ちは後々直接ぶつけるとして。
自分の体が参加者の誰かに与えられたという事は恐らく、ゲーマドライバーとガシャットも所持していると睨む。
殺し合いで飛彩の体になり最も大きなメリット、それは適合手術を受けた肉体故にゲーマドライバーで変身が可能なこと。
飛彩の体を有効活用させる為に、ブレイブへの変身に必要な道具一式も支給された可能性は非常に大きい。
問題はどのような人物が自分の体に入っているかだ。
CRの仲間や以前共闘した仮面ライダーゴースト達のように、人格面で信用できるなら良い。
その反対、ゲーム病患者を治療するブレイブの力を他者の殺害に使う輩ならば蛮行を見過ごせない。
最悪あの浅倉が自分の体で暴れ回っているかもしれないと考えると、のんびり構えてはいられなかった。
ふざけた真似をする主催者への苛立ちは後々直接ぶつけるとして。
自分の体が参加者の誰かに与えられたという事は恐らく、ゲーマドライバーとガシャットも所持していると睨む。
殺し合いで飛彩の体になり最も大きなメリット、それは適合手術を受けた肉体故にゲーマドライバーで変身が可能なこと。
飛彩の体を有効活用させる為に、ブレイブへの変身に必要な道具一式も支給された可能性は非常に大きい。
問題はどのような人物が自分の体に入っているかだ。
CRの仲間や以前共闘した仮面ライダーゴースト達のように、人格面で信用できるなら良い。
その反対、ゲーム病患者を治療するブレイブの力を他者の殺害に使う輩ならば蛮行を見過ごせない。
最悪あの浅倉が自分の体で暴れ回っているかもしれないと考えると、のんびり構えてはいられなかった。
とにかく動き回り他の参加者と接触しなくては始まらない。
地図を見ると、ここから最も近い場所に施設がある。
偶然にもさやかと関係のある場所。
取り敢えずはそこを目指そうと荷物を纏め歩き出す。
周囲への警戒を怠らない、女子中学生に似合わぬ剣呑な気配を纏って。
地図を見ると、ここから最も近い場所に施設がある。
偶然にもさやかと関係のある場所。
取り敢えずはそこを目指そうと荷物を纏め歩き出す。
周囲への警戒を怠らない、女子中学生に似合わぬ剣呑な気配を纏って。
◆◆◆
「ま、そうなるだろうね」
主催者へ憤りを覚える者がいる一方で、その反対もまた存在する。
タブレットに目を落とし何でもないように呟く男、戦極凌馬は正にそれだ。
殺し合いなのだから、積極的に他者を殺す人材を参加させているのは当然の話。
一時間で8人が命を落としたのも、これといった驚きは無し。
知っている者はおらず、どう見ても人間じゃない画像には多少興味があったが、死んでしまっては凌馬の研究に付き合ってもらうのだって不可能。
死んだ連中はご愁傷様だと心にもない言葉一つで済まして、さっさと切り替えるに限る。
タブレットに目を落とし何でもないように呟く男、戦極凌馬は正にそれだ。
殺し合いなのだから、積極的に他者を殺す人材を参加させているのは当然の話。
一時間で8人が命を落としたのも、これといった驚きは無し。
知っている者はおらず、どう見ても人間じゃない画像には多少興味があったが、死んでしまっては凌馬の研究に付き合ってもらうのだって不可能。
死んだ連中はご愁傷様だと心にもない言葉一つで済まして、さっさと切り替えるに限る。
(身体の取り換えが可能、ねぇ…)
魘夢から齎された情報で特に興味を引かれたのは、会場の何処かに設置された特殊な施設。
既に主催者によって別人と取り換えられた体を、更に別の参加者のものへ変える。
「今の自分の身体に不満がある奴」、との言い方からして所謂救済措置。
元の体よりも圧倒的に弱い、使い辛い体となった参加者にも優勝の芽を出す為の調整と言った所か。
既に主催者によって別人と取り換えられた体を、更に別の参加者のものへ変える。
「今の自分の身体に不満がある奴」、との言い方からして所謂救済措置。
元の体よりも圧倒的に弱い、使い辛い体となった参加者にも優勝の芽を出す為の調整と言った所か。
「ニャ…」
自分の肩に乗る小さな同行者を盗み見る。
凌馬と違い死者が出たのに少なからずショックを受けているのか、緊張している様子。
ポケモンなる不思議な生物の体にされ、元の体は凌馬のものとなったのがキャルだ。
彼女のタブレットも確認しニャオハのプロフィールを見たが、戦う為の力は持っているらしい。
が、いきなり人間とはかけ離れた生物の体にされれば何かと不便も多い。
こういった者にとっては新たに体を入れ替える施設は有難いだろう。
凌馬と違い死者が出たのに少なからずショックを受けているのか、緊張している様子。
ポケモンなる不思議な生物の体にされ、元の体は凌馬のものとなったのがキャルだ。
彼女のタブレットも確認しニャオハのプロフィールを見たが、戦う為の力は持っているらしい。
が、いきなり人間とはかけ離れた生物の体にされれば何かと不便も多い。
こういった者にとっては新たに体を入れ替える施設は有難いだろう。
(けどまさか、魘夢直々に元の体に戻るのを問題無しにするとは思わなかったよ)
キャルのように精神・身体両方が参加させられた者は、魘夢の口振りからして一定数いる。
先程放送でも触れたように、場合によっては元の体を取り戻す状況も起こりかねない。
にも関わらず、一応見逃すと主催者側の口から飛び出したのは意外に感じられた。
滅多に起こり得ない事態だからと楽観視しているからか。
それにしたって凌馬には少しばかり奇妙に思えてならない。
先程放送でも触れたように、場合によっては元の体を取り戻す状況も起こりかねない。
にも関わらず、一応見逃すと主催者側の口から飛び出したのは意外に感じられた。
滅多に起こり得ない事態だからと楽観視しているからか。
それにしたって凌馬には少しばかり奇妙に思えてならない。
(わざわざ他人の体に入れ替える手間を挟んだって事は、自分以外の体で殺し合うのがこのゲームの大事な部分だろう?)
だというのに殺し合いの途中で元の体を取り戻しても構わないとは。
主催者の狙いが読めず自然と眉間に皺が寄る。
施設の場所や名前は明かされなかったので、容易く元の体にはなれないと高を括っているだけかもしれないが。
主催者の狙いが読めず自然と眉間に皺が寄る。
施設の場所や名前は明かされなかったので、容易く元の体にはなれないと高を括っているだけかもしれないが。
(まぁ取り敢えず、その施設とやらが見付かってもキャルくんには使わせないようにしないとね)
脱出まで待てずに元の体を取り戻すべく、件の施設で勝手な真似をされたら堪ったものじゃない。
折角ゲネシスドライバーが手元にあっても体がニャオハでは宝の持ち腐れ。
こんなキーボードを打つのにも苦労する体にされるなどお断りだ。
ランドソルという未知の場所の情報と、ポケモンというこれまた興味深い生物の体。
それらを持ち合わせるので手頃な協力関係を結んだが、今後は監視も含めて一緒にいた方が良いだろう。
最悪の場合は始末するのにも躊躇は無いが、現段階でそれは早計。
必要ならば殺しも厭わない、逆に言うと必要が無ければわざわざ手を汚す気は無い。
折角ゲネシスドライバーが手元にあっても体がニャオハでは宝の持ち腐れ。
こんなキーボードを打つのにも苦労する体にされるなどお断りだ。
ランドソルという未知の場所の情報と、ポケモンというこれまた興味深い生物の体。
それらを持ち合わせるので手頃な協力関係を結んだが、今後は監視も含めて一緒にいた方が良いだろう。
最悪の場合は始末するのにも躊躇は無いが、現段階でそれは早計。
必要ならば殺しも厭わない、逆に言うと必要が無ければわざわざ手を汚す気は無い。
極めて利己的な思考は決して面に出さず、名簿の確認に移る。
運が良い事に沢芽市の人間は誰一人としていない。
余計な悪評やら何やらを吹聴される心配は無く、懸念事項が一つ減った。
運が良い事に沢芽市の人間は誰一人としていない。
余計な悪評やら何やらを吹聴される心配は無く、懸念事項が一つ減った。
(彼もいない、か。オーケーオーケー、むしろいたらこっちとしても困るよ)
自分を殺した張本人、チームバロンのリーダー駆紋戒斗も不参加。
憎たらしいあの男へ借りを返してやりたい気持ちは勿論あるが、殺し合いで返すのは凌馬としても不本意だ。
何せ凌馬が屈辱を晴らしたいのは、「自分のゲネシスドライバーを用いずに進化を果たした戒斗」なのだから。
殺し合いでは戒斗も別人の体になり、オーバーロードには変身不可能。
オーバーロードの力を失った戒斗を殺した所で、自分の技術の方が上だという証明にはならない。
戒斗への借りは殺し合いから脱出し、主催者達から手に入れた技術を元に更なる強化を施したデュークの力を以て返す。
憎たらしいあの男へ借りを返してやりたい気持ちは勿論あるが、殺し合いで返すのは凌馬としても不本意だ。
何せ凌馬が屈辱を晴らしたいのは、「自分のゲネシスドライバーを用いずに進化を果たした戒斗」なのだから。
殺し合いでは戒斗も別人の体になり、オーバーロードには変身不可能。
オーバーロードの力を失った戒斗を殺した所で、自分の技術の方が上だという証明にはならない。
戒斗への借りは殺し合いから脱出し、主催者達から手に入れた技術を元に更なる強化を施したデュークの力を以て返す。
『あいつらはいないんだ…』
凌馬の肩に乗り共に名簿を見たキャルも安堵のため息を零す。
美食殿の三人は元より、自分の知るランドソルの住人の名前は無し。
こんな悪趣味極まる催しにユウキ達が巻き込まれてないのは良い事だ。
何で自分だけを参加させたのか、理不尽への憤りはあるが。
美食殿の三人は元より、自分の知るランドソルの住人の名前は無し。
こんな悪趣味極まる催しにユウキ達が巻き込まれてないのは良い事だ。
何で自分だけを参加させたのか、理不尽への憤りはあるが。
『……』
そうだ、美食殿の皆がいないのは良い事に決まっている。
これまで四人で経験してきた冒険とは違う、僅かな間に死者が出るような場所に、あんな能天気でお人好しな連中は似合わない。
分かっていても、不意に心細さを覚えてしまう。
ユウキと、コッコロと、そしてペコリーヌも参加していれば。
勿論心配もしただろうけれど、自分一人ではない事に安心したのかもしれない。
これまで四人で経験してきた冒険とは違う、僅かな間に死者が出るような場所に、あんな能天気でお人好しな連中は似合わない。
分かっていても、不意に心細さを覚えてしまう。
ユウキと、コッコロと、そしてペコリーヌも参加していれば。
勿論心配もしただろうけれど、自分一人ではない事に安心したのかもしれない。
(っ…、最低……)
身勝手な己への嫌悪に苦い味が口内に広がる。
彼女の様子に気付いてか気付かずか、飄々とした声が掛けられた。
彼女の様子に気付いてか気付かずか、飄々とした声が掛けられた。
「さてと。お互い知り合いもいないようだし、これからの事を考えようか」
『そう、ね…。どうするのよ?』
「まっ、初めは情報収集に動くべきかな。我々は魘夢やバックに付いているだろう連中の事をほとんど知らない」
『そう、ね…。どうするのよ?』
「まっ、初めは情報収集に動くべきかな。我々は魘夢やバックに付いているだろう連中の事をほとんど知らない」
それはそうだとキャルも頷く。
魘夢も、その体になっている紅白髪の女も殺し合いで初めて知った存在だ。
殺し合いに乗らず脱出しようにも魘夢達が見逃す訳が無い。
第一脱出とは言うが具体的な方法があるでもない。
その辺りはどうするつもりなのか。
魘夢も、その体になっている紅白髪の女も殺し合いで初めて知った存在だ。
殺し合いに乗らず脱出しようにも魘夢達が見逃す訳が無い。
第一脱出とは言うが具体的な方法があるでもない。
その辺りはどうするつもりなのか。
「そこも含めて足を使っての情報集めさ。私としてはまず…ここを調べておきたい」
画面に地図を映し、凌馬が指を置いた場所には海賊船と表示されていた。
『海から逃げようってこと?でもそれじゃあ…』
「ああ、妨害されるだろうしそもそも船が動くか分からない。ただ情報は拾えるだろう?」
「ああ、妨害されるだろうしそもそも船が動くか分からない。ただ情報は拾えるだろう?」
海賊船は操縦可能なのか。
可能だとすれば動かして海からの脱出が出来るのか。
主催者に妨害されるとして、一体どのような方法を用いて来るのか。
物理的な方法で脱出しようとした場合、どうなるかを知っておくだけでも明確な脱出プランの役には立つ。
可能だとすれば動かして海からの脱出が出来るのか。
主催者に妨害されるとして、一体どのような方法を用いて来るのか。
物理的な方法で脱出しようとした場合、どうなるかを知っておくだけでも明確な脱出プランの役には立つ。
「それと、私としては接触したい参加者がいる」
『…?さっき知り合いはいないって言ったばっかりじゃないのよ』
「知人はいないよ。でも探したいのは我々二人とも知っている人間だ」
『…?さっき知り合いはいないって言ったばっかりじゃないのよ』
「知人はいないよ。でも探したいのは我々二人とも知っている人間だ」
画面を名簿に戻し探したい人物の名に指を当てる。
キャルが目で追った先にあったのは「ウタ」の二文字。
キャルが目で追った先にあったのは「ウタ」の二文字。
『ウタって…あのエンムとかって奴の!?』
「偶然同じ名前って可能性もあるけどね。ただ本人なら会って話を聞く価値は十分あるよ」
「偶然同じ名前って可能性もあるけどね。ただ本人なら会って話を聞く価値は十分あるよ」
主催者に体を奪われた本人も参加させられているならば、確かに凌馬の言う通りだ。
魘夢や殺し合いに関しての情報を持っている可能性はある。
もし魘夢達のことを何も知らなくても、彼女自身の詳細だけでも聞いておいて損は無い。
例えば参加者の精神を別人の体に入れ替えたのは、ウタが持つ何らかの能力によるものだとしたら?
今は仮定の話に過ぎないが、真実なら主催者側の戦力を詳しく知る事が可能。
大掛かりな殺し合いを始めた主催者がわざわざ手に入れた体だ、単に容姿が優れているだとかのつまらない理由だけでは無い筈。
魘夢や殺し合いに関しての情報を持っている可能性はある。
もし魘夢達のことを何も知らなくても、彼女自身の詳細だけでも聞いておいて損は無い。
例えば参加者の精神を別人の体に入れ替えたのは、ウタが持つ何らかの能力によるものだとしたら?
今は仮定の話に過ぎないが、真実なら主催者側の戦力を詳しく知る事が可能。
大掛かりな殺し合いを始めた主催者がわざわざ手に入れた体だ、単に容姿が優れているだとかのつまらない理由だけでは無い筈。
「大まかな動きはこんな感じだよ。何か意見はあるかい?」
『んー…ないわ。あんたの方が頭回りそうだし任せる』
『んー…ないわ。あんたの方が頭回りそうだし任せる』
言って自分の肩から降りようとしないキャルへ、「タクシーじゃないんだけどね」と呆れつつ移動を開始。
彼らがいるのは街であり、設置された街灯のお陰で明かりには困らない。
彼らがいるのは街であり、設置された街灯のお陰で明かりには困らない。
暫く進んだ先で、進行方向に異物を発見し足を止めた。
道路へ無造作に投げ捨てられ、ピクリとも動かないソレ。
青褪めるキャルとは正反対に涼しい顔で、されど警戒は怠らず近付く。
道路へ無造作に投げ捨てられ、ピクリとも動かないソレ。
青褪めるキャルとは正反対に涼しい顔で、されど警戒は怠らず近付く。
『し、死んでるの…?』
「見ての通りだよ」
「見ての通りだよ」
屈みこんで死体を覗き込む。
大きな特徴も無い、平凡な顔付きの日本人男性。
ついさっきの放送で発表された死者の中に、これと同じ顔があったのを思い出す。
大きな特徴も無い、平凡な顔付きの日本人男性。
ついさっきの放送で発表された死者の中に、これと同じ顔があったのを思い出す。
赤く染まった胸以外に外傷は見当たらず、周囲も男の乾いた血以外は綺麗なもの。
状況から察するに背後から心臓を一突きにされ、呆気なく退場となった。
この男の体に入っていた精神は、お世辞にも人が良さそうとは言えない風貌の者だった筈。
堅気でない男だろうと突然の殺し合いに動揺した隙を突かれた、そんなところか。
状況から察するに背後から心臓を一突きにされ、呆気なく退場となった。
この男の体に入っていた精神は、お世辞にも人が良さそうとは言えない風貌の者だった筈。
堅気でない男だろうと突然の殺し合いに動揺した隙を突かれた、そんなところか。
(まぁ運が悪かったね)
どう殺されたかが分かっても興味は無い。
葛葉紘汰のような人間なら殺害者への怒りを燃やすのだろうけれど、凌馬からしたらそんなものに思考を割くだけ時間の無駄。
支給品も持ち去られている以上、長々と留まる理由もない。
移動を再開すべくサッと立ち上がり、
葛葉紘汰のような人間なら殺害者への怒りを燃やすのだろうけれど、凌馬からしたらそんなものに思考を割くだけ時間の無駄。
支給品も持ち去られている以上、長々と留まる理由もない。
移動を再開すべくサッと立ち上がり、
『っ!待って、誰か来る…』
キャルの言葉に動きを止めた。
ポケモン故の探知能力の高さ故か、警戒し一点を睨む彼女と同じ方へと視線をやる。
もしもの事態に備えてドライバーは巻いたままだ。
ポケモン故の探知能力の高さ故か、警戒し一点を睨む彼女と同じ方へと視線をやる。
もしもの事態に備えてドライバーは巻いたままだ。
一人と一匹が見つめる先で姿を見せたのは、水色の髪をした少女。
キャルと同じくらいの年頃だろうか。
但し中身まで年相応とは言えないらしい。
こちらを確認するや否や、目を細め警戒を露わにし纏う空気が鋭さを帯びる。
死体の傍で佇む一人と一匹、成程誤解されても文句は言えない状況だ。
キャルと同じくらいの年頃だろうか。
但し中身まで年相応とは言えないらしい。
こちらを確認するや否や、目を細め警戒を露わにし纏う空気が鋭さを帯びる。
死体の傍で佇む一人と一匹、成程誤解されても文句は言えない状況だ。
「お前達は――」
「おっと、誤解しているようだが先に違うと言わせてもらうよ。我々が来た時には既にこの有様さ」
「おっと、誤解しているようだが先に違うと言わせてもらうよ。我々が来た時には既にこの有様さ」
両手を上げ敵意はないとアピール。
年頃の少女の体だからか、口調も相俟ってどこか小生意気な仕草に見える。
本当に誤解を解く気があるのかとキャルが目で訴えようとし、少女の疑わし気な視線が自分にも向けられているのに気付いた。
年頃の少女の体だからか、口調も相俟ってどこか小生意気な仕草に見える。
本当に誤解を解く気があるのかとキャルが目で訴えようとし、少女の疑わし気な視線が自分にも向けられているのに気付いた。
「ニャ、ニャン!ニャーンニャ!」
首を横に振ってやっていないと伝える。
人語を話せないのが非常にもどかしいが、態度で相手にも意図は伝わったらしい。
警戒は解かないまま次に話すべき言葉を発し、
人語を話せないのが非常にもどかしいが、態度で相手にも意図は伝わったらしい。
警戒は解かないまま次に話すべき言葉を発し、
カランと、何かが転がった。
くすんだ緑の丸い物体。
卵のようにも見えるソレに全員の視線が集中。
卵のようにも見えるソレに全員の視線が集中。
「――――――」
どこから来たのかとか、至極当然の疑問は後回し。
ソレが視界に映った時点で正体を察知、考えるよりも先に体が動き出す。
ソレが視界に映った時点で正体を察知、考えるよりも先に体が動き出す。
「――っ!!」
「変身っ!」
『ロックオン!ソーダ!レモンエナジーアームズ!』
『ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!』
青の少女は指輪を光らせ、猫耳の少女はロックシードを装填。
ソウルジェムに内包された魔力を解放し、ヘルヘイムの果実のパワーを己が身に纏う。
与えられた僅かな猶予で互いに変身を完了。
マリンブルーのスカートにマントを靡かせた、美樹さやかの魔法少女姿。
ライドウェアの上からレモンの装甲を展開した、アーマードライダーデューク。
ソウルジェムに内包された魔力を解放し、ヘルヘイムの果実のパワーを己が身に纏う。
与えられた僅かな猶予で互いに変身を完了。
マリンブルーのスカートにマントを靡かせた、美樹さやかの魔法少女姿。
ライドウェアの上からレモンの装甲を展開した、アーマードライダーデューク。
「ニャーッ!?」
それまで凌馬の肩に乗っていたものの、頭上から落ちて来るレモンに慌てて退避。
地面に下りたキャルを飛彩が引っ掴んで跳躍。
同時にデュークも飛び退いた直後、丸い物体…手榴弾が爆発。
とうに命が失われ、抜け殻と化した男の肉片があちらこちらに散らばった。
腿から上を失くした脚が放り投げられた先で、新たに姿を現わす者が一人。
地面に下りたキャルを飛彩が引っ掴んで跳躍。
同時にデュークも飛び退いた直後、丸い物体…手榴弾が爆発。
とうに命が失われ、抜け殻と化した男の肉片があちらこちらに散らばった。
腿から上を失くした脚が放り投げられた先で、新たに姿を現わす者が一人。
「ちくしょう!しくじった!」
地団太を踏み、苛立たし気に吐き捨てるのは男。
と言っても声の低さから判断出来たのであって、外見だけでは性別も分からない。
装甲服、と言うのだろうか。
四肢と胸部を覆う白に、所々でエメラルドグリーンが鮮やかに光る。
企業のロゴがペイントされた近未来チックな存在は、この場の誰もが初めて見るもの。
ふと、男が手に持った剣へデュークが目を向ける。
刀身には赤い汚れが付着しており、元からあった装飾の類で無いのは誰の目にも明らかだった。
と言っても声の低さから判断出来たのであって、外見だけでは性別も分からない。
装甲服、と言うのだろうか。
四肢と胸部を覆う白に、所々でエメラルドグリーンが鮮やかに光る。
企業のロゴがペイントされた近未来チックな存在は、この場の誰もが初めて見るもの。
ふと、男が手に持った剣へデュークが目を向ける。
刀身には赤い汚れが付着しており、元からあった装飾の類で無いのは誰の目にも明らかだった。
「一応聞いておくけど、ここにあった死体は君の仕業かい?」
「だったらなんだッ」
「だったらなんだッ」
特にシラを切る様子も無く、あっさりと殺害を認めた。
仮面の下で嘲笑を浮かべつつ、誤解を解く手間が省けたのは都合が良い。
仮面の下で嘲笑を浮かべつつ、誤解を解く手間が省けたのは都合が良い。
「とまぁ、真犯人が自ら出てきた訳だし私達は無罪というのが君にも分かっただろう?お互い敵意が無いなら落ち着いて話でも…と行きたいんだけどね」
「奇遇だな、俺もお前達にはその聞きたい事がある。だがまずは…」
「そうだねぇ、まずは邪魔者の掃除が先かな」
「奇遇だな、俺もお前達にはその聞きたい事がある。だがまずは…」
「そうだねぇ、まずは邪魔者の掃除が先かな」
サーベルとソニックアロー、各々専用の武器を突き付ける相手は装甲服の男。
偶然にも体と同じ名前、モモンガと名簿に登録された存在は鼻を鳴らして剣を構える。
最初に一突きで殺した男と違い、今度の相手には避けられてしまった。
爆弾を一つ無駄にされたのもあって余計に苛立つ。
それなら直接剣で斬って殺すだけだ、可愛さの欠片も無い体だけど強さは本物なのだから。
偶然にも体と同じ名前、モモンガと名簿に登録された存在は鼻を鳴らして剣を構える。
最初に一突きで殺した男と違い、今度の相手には避けられてしまった。
爆弾を一つ無駄にされたのもあって余計に苛立つ。
それなら直接剣で斬って殺すだけだ、可愛さの欠片も無い体だけど強さは本物なのだから。
「とっととくたばれッ!」
有無を言わさぬ怒声と共に襲い掛かった。
手にした得物はバロンソード、脳人のリーダー格であるソノイの愛剣。
ドンモモタロウとの死闘で幾度も火花を散らした刃が、此度は信念も何も無い身勝手な欲望を乗せ走る。
最初の標的は水色の髪の少女だ。
手にした得物はバロンソード、脳人のリーダー格であるソノイの愛剣。
ドンモモタロウとの死闘で幾度も火花を散らした刃が、此度は信念も何も無い身勝手な欲望を乗せ走る。
最初の標的は水色の髪の少女だ。
モモンガからの殺意を受け、迎え撃つべく飛彩も武器を振り被る。
ブレイブではない、魔法少女の能力でどこまで戦えるか。
試運転としても丁度良い機会である。
ブレイブではない、魔法少女の能力でどこまで戦えるか。
試運転としても丁度良い機会である。
「どりゃッ!」
バロンソードとサーベルが激突。
少女の細腕で装甲服の男の猛攻を止める、普通では有り得ない光景がそこにはあった。
防いだままの体勢から受け流し、モモンガがよろけた所へ切っ先を突き立てる。
危うげな状態から左腕で防御、白い装甲に阻まれ血の一滴すら流れない。
少女の細腕で装甲服の男の猛攻を止める、普通では有り得ない光景がそこにはあった。
防いだままの体勢から受け流し、モモンガがよろけた所へ切っ先を突き立てる。
危うげな状態から左腕で防御、白い装甲に阻まれ血の一滴すら流れない。
身体能力。生身の時とは比べ物にならない、レベル2のブレイブとほぼ同じ動きが可能。
耐久性。多少打たれ強いがブレイブの時より大幅にダウン。回復魔法とやらが使えるらしいが多用するつもりは無い。
武器。ガシャコンソードとは違うが使い慣れた刀剣類(メス)。
ゲームエリア。当然ながら展開されず。エナジーアイテムを使った戦法は不可能。
耐久性。多少打たれ強いがブレイブの時より大幅にダウン。回復魔法とやらが使えるらしいが多用するつもりは無い。
武器。ガシャコンソードとは違うが使い慣れた刀剣類(メス)。
ゲームエリア。当然ながら展開されず。エナジーアイテムを使った戦法は不可能。
「はっ!」
さやかの体でやれる事と出来ない事を弾き出し、今度はこちらから踏み込む。
真正面から斬り掛かるも防がれた、想定済み。
モモンガが攻撃に移るのを待たず転がるように横へ移動、サーベルを叩きつける。
慌てて防御に動き、危うげながら二撃目も防がれた。
押し返され飛彩の体が後方に倒れる、否、自ら地面に背中から倒れ込みサーベルを向ける。
振り下ろされるバロンソードにも慌てず、サーベルから刀身を射出。
肩を狙った一撃は見事に命中、火花が散らされ痛みに呻く声が飛彩にも届く。
全身を跳ね上げ刀身をキャッチ、グリップ部分へ戻し再び剣の形を取り戻す。
真正面から斬り掛かるも防がれた、想定済み。
モモンガが攻撃に移るのを待たず転がるように横へ移動、サーベルを叩きつける。
慌てて防御に動き、危うげながら二撃目も防がれた。
押し返され飛彩の体が後方に倒れる、否、自ら地面に背中から倒れ込みサーベルを向ける。
振り下ろされるバロンソードにも慌てず、サーベルから刀身を射出。
肩を狙った一撃は見事に命中、火花が散らされ痛みに呻く声が飛彩にも届く。
全身を跳ね上げ刀身をキャッチ、グリップ部分へ戻し再び剣の形を取り戻す。
「ッ!?ぬがッ!」
怒り心頭で飛彩を斬り殺さんとするも叶わない。
バロンソードで飛来する光を防ぐ。
一発で終わってはくれずに二発、三発とモモンガを襲うのはエネルギー矢。
忌々しく睨んでもどこ吹く風で矢を射る騎士、デュークの仕業だ。
一対一の正々堂々としたスポーツでないなら援護射撃に出たって文句は言えないだろう。
何より最初に爆弾で皆殺しにしようとしたのはモモンガの方。
卑怯だ何だと言われようと、デュークは聞く耳持たず。
バロンソードで飛来する光を防ぐ。
一発で終わってはくれずに二発、三発とモモンガを襲うのはエネルギー矢。
忌々しく睨んでもどこ吹く風で矢を射る騎士、デュークの仕業だ。
一対一の正々堂々としたスポーツでないなら援護射撃に出たって文句は言えないだろう。
何より最初に爆弾で皆殺しにしようとしたのはモモンガの方。
卑怯だ何だと言われようと、デュークは聞く耳持たず。
「ズルいぞッ!」
「君が言って良い台詞じゃないよね?」
「君が言って良い台詞じゃないよね?」
モモンガの抗議を鼻で笑い照準を合わせる。
レーザーポインターにより如何なる状況だろうと精度は落ちない。
急所を狙い放った矢はまたしても防がれた。
レーザーポインターにより如何なる状況だろうと精度は落ちない。
急所を狙い放った矢はまたしても防がれた。
「どこを見ている」
だが矢に意識を割き過ぎたのは間違いなく失敗だ。
背後から斬られ悲鳴が出るも相手はお構いなしで追撃を仕掛ける。
背後から斬られ悲鳴が出るも相手はお構いなしで追撃を仕掛ける。
「こんにゃろッ!」
滅茶苦茶に剣が振り回され攻撃を中断、距離を取って躱す。
動きは技術もへったくれも無いが、それだけに少々読み辛い。
とはいえ大きな問題とも言えず、現に剣の合間を縫ってエネルギー矢が胸部へ命中。
出血代わりに火花が散り、ダメージで強制的に動きもストップ。
発射された次弾こそどうにか防いでも、片方へ気を取られれば当然もう片方が動く。
懐へ潜り込み繰り出す斬り上げ、またもやモモンガの悲鳴が上がった。
動きは技術もへったくれも無いが、それだけに少々読み辛い。
とはいえ大きな問題とも言えず、現に剣の合間を縫ってエネルギー矢が胸部へ命中。
出血代わりに火花が散り、ダメージで強制的に動きもストップ。
発射された次弾こそどうにか防いでも、片方へ気を取られれば当然もう片方が動く。
懐へ潜り込み繰り出す斬り上げ、またもやモモンガの悲鳴が上がった。
ここまでの攻防で飛彩と凌馬、それに巻き込まれないよう離れたキャルも気が付いた。
敵は身体能力こそ高いものの戦闘に関しては素人同然。
バグスターの切除や魔物退治、黄金の果実争奪戦など荒事を経験して来た三人からしたら、モモンガの動きはお粗末。
モモンガも元の世界で摩訶不思議な体験をしたとはいえ、戦闘行為はゼロと言っていい。
同郷の参加者であるちいかわのように、討伐で日々の生計を立てているでも無い。
武器を手にして戦うという行為自体これが初めて。
肉体の身体能力を用いたごり押しだけでは勝てない現実が、ここで立ちはだかる。
敵は身体能力こそ高いものの戦闘に関しては素人同然。
バグスターの切除や魔物退治、黄金の果実争奪戦など荒事を経験して来た三人からしたら、モモンガの動きはお粗末。
モモンガも元の世界で摩訶不思議な体験をしたとはいえ、戦闘行為はゼロと言っていい。
同郷の参加者であるちいかわのように、討伐で日々の生計を立てているでも無い。
武器を手にして戦うという行為自体これが初めて。
肉体の身体能力を用いたごり押しだけでは勝てない現実が、ここで立ちはだかる。
しかし飛彩達の方も決定打を与えたとは言い難い。
モモンガが纏った装甲の恩恵か、ダメージこそあっても戦闘は未だ続行可能。
尤も、このまま我武者羅に剣を振り回したとて飛彩達の有利は変わらないが。
モモンガが纏った装甲の恩恵か、ダメージこそあっても戦闘は未だ続行可能。
尤も、このまま我武者羅に剣を振り回したとて飛彩達の有利は変わらないが。
サーベルの突きを防いだ直後にエネルギー矢が飛来。
頭部を掠めるも命中には至らず、モモンガはデューク目掛けて片腕を向けた。
装甲服に搭載された武装、アンカーガンを発射。
常人であれば防ぎようのない勢いであっても、アーマードライダーなら問題無い。
軽く身を捻り躱し、癇癪を起した子供のように地団太を踏むモモンガへエネルギー矢を射る。
頭部を掠めるも命中には至らず、モモンガはデューク目掛けて片腕を向けた。
装甲服に搭載された武装、アンカーガンを発射。
常人であれば防ぎようのない勢いであっても、アーマードライダーなら問題無い。
軽く身を捻り躱し、癇癪を起した子供のように地団太を踏むモモンガへエネルギー矢を射る。
「なっ…」
だがここに来て敵は予想外の動きを見せた。
矢が射抜く正にそのタイミングで、モモンガの姿が消失したのである。
視覚センサー内からロストした敵の発見には数秒と掛らない。
あっちこっちへ視線を向ける必要は無かった。
何故なら消えたと驚愕した直後、モモンガはデュークの目と鼻の先に現れたのだから。
矢が射抜く正にそのタイミングで、モモンガの姿が消失したのである。
視覚センサー内からロストした敵の発見には数秒と掛らない。
あっちこっちへ視線を向ける必要は無かった。
何故なら消えたと驚愕した直後、モモンガはデュークの目と鼻の先に現れたのだから。
「っ!」
振り下ろされる刃を前に、呑気に弦を引いてはいられない。
ソニックアローのシャフト部分で防御。
アークリムとも呼ばれるこの箇所には、近接戦闘用にブレードが備わっている。
至近距離からの斬撃にも破壊されず受け止め鍔迫り合う。
改めて近くで観察、自分の開発したドライバーの類は装着していない。
ソニックアローのシャフト部分で防御。
アークリムとも呼ばれるこの箇所には、近接戦闘用にブレードが備わっている。
至近距離からの斬撃にも破壊されず受け止め鍔迫り合う。
改めて近くで観察、自分の開発したドライバーの類は装着していない。
(やっぱりアーマードライダーとは関係無い装甲服、ってとこかな?)
「抵抗するなッ、早く倒れろッ」
「抵抗するなッ、早く倒れろッ」
好き勝手言うモモンガに冷めた目を向け、肩越しに斬りかかる少女が見えた。
背後からの手痛い一撃を食らう、そんな予想は外れる事となる。
背後からの手痛い一撃を食らう、そんな予想は外れる事となる。
「脱出ッ!」
モモンガの姿が消え、今度は飛彩の背後へと現れたではないか。
刺し貫く敵意へ反射的に防御の構えを取り、サーベルへ衝撃が叩き込まれる。
横薙ぎに振るった剣の威力は馬鹿にならない。
構えた体勢のまま飛彩は宙へと吹き飛ばされた。
刺し貫く敵意へ反射的に防御の構えを取り、サーベルへ衝撃が叩き込まれる。
横薙ぎに振るった剣の威力は馬鹿にならない。
構えた体勢のまま飛彩は宙へと吹き飛ばされた。
「おっと、行かせないよ」
追撃に出ようとしたモモンガを止めるのはデューク。
エネルギー矢を射られ対処に回らざるを得ず、飛彩へ振るう筈の剣で矢を霧散。
苛立ちを籠めた唸り声を発し、デュークへと急速接近。
やはり傍目には瞬間移動したとしか思えない。
バロンソードとアークリムで打ち合っている間に飛彩が復帰を果たす。
柄を操作しモモンガ目掛け刀身を射出した。
エネルギー矢を射られ対処に回らざるを得ず、飛彩へ振るう筈の剣で矢を霧散。
苛立ちを籠めた唸り声を発し、デュークへと急速接近。
やはり傍目には瞬間移動したとしか思えない。
バロンソードとアークリムで打ち合っている間に飛彩が復帰を果たす。
柄を操作しモモンガ目掛け刀身を射出した。
「ふんッ、当たるかッ」
これをモモンガ、跳躍して回避。
しかもただ跳んだだけではなく、何と空中を走り始めた。
まるで見えない足場があるかのような動きに、飛彩達も困惑を隠せない。
しかもただ跳んだだけではなく、何と空中を走り始めた。
まるで見えない足場があるかのような動きに、飛彩達も困惑を隠せない。
「あの装甲服の仕掛けか…?」
「知るかッ、何かやってみたら出来たんだッ!」
「知るかッ、何かやってみたら出来たんだッ!」
装甲服に特殊な機能が備わっているのを疑うが、素直に答えは返って来ない。
代わりに頭上からの斬り落としが繰り出される。
それぞれ飛び退き躱し、剣を叩きつけられたアスファルト部分は見るも無残に破壊。
元より油断するつもりは無かったとはいえ、この威力を見せ付けられては自然と身が引き締まる。
代わりに頭上からの斬り落としが繰り出される。
それぞれ飛び退き躱し、剣を叩きつけられたアスファルト部分は見るも無残に破壊。
元より油断するつもりは無かったとはいえ、この威力を見せ付けられては自然と身が引き締まる。
モモンガが見せた奇怪な動きの正体。
それは装甲服の機能では無く、肉体の持ち主であるモモンガ中将が身に着けた武術。
名を六式。
極限まで鍛え上げ人体を武器に匹敵させる武術の総称。
主にサイファーポールを始めとした、世界政府の直下機関に所属する者が扱う戦闘術である。
それは装甲服の機能では無く、肉体の持ち主であるモモンガ中将が身に着けた武術。
名を六式。
極限まで鍛え上げ人体を武器に匹敵させる武術の総称。
主にサイファーポールを始めとした、世界政府の直下機関に所属する者が扱う戦闘術である。
瞬間移動と見紛う動きは六式の一つ、剃。
地面を10回以上蹴り、反動で高速移動を可能とする移動技。
宙を走り回ったのは月歩、剃と同じく六式の技だ。
跳躍中に空を蹴り落下を防ぐ、強靭な脚力を用いてあたかも空中へ道があるかの動きを見せる。
肉体に焼き付いた記憶の恩恵故か、モモンガ中将が元々得意とするこれらの技をモモンガも使用できた。
地面を10回以上蹴り、反動で高速移動を可能とする移動技。
宙を走り回ったのは月歩、剃と同じく六式の技だ。
跳躍中に空を蹴り落下を防ぐ、強靭な脚力を用いてあたかも空中へ道があるかの動きを見せる。
肉体に焼き付いた記憶の恩恵故か、モモンガ中将が元々得意とするこれらの技をモモンガも使用できた。
「成程ねぇ」
しかしだ、超人的な能力を我が物とするのはモモンガだけの特権に非ず。
モモンガの動きをデータ解析し、デュークが奇妙な動きの正体に当たりを付ける。
剃を行使し剣を突き出すモモンガ、常人ならば一切の反応を許されずに串刺しの末路。
迫り来る死にデュークは余裕を崩さず、リラックスした姿勢のまま。
切っ先は装甲を掠めもせずに外れ、反対にアークリムで斬り付けられた。
モモンガの動きをデータ解析し、デュークが奇妙な動きの正体に当たりを付ける。
剃を行使し剣を突き出すモモンガ、常人ならば一切の反応を許されずに串刺しの末路。
迫り来る死にデュークは余裕を崩さず、リラックスした姿勢のまま。
切っ先は装甲を掠めもせずに外れ、反対にアークリムで斬り付けられた。
一度怯めばどうぞ攻撃してくださいと言っているのと同じ。
流れるようにソニックアローを振るい、モモンガの装甲服にダメージが蓄積されていく。
どうにかバロンソードを翳すが、反撃は許されず防戦一方。
剃で距離を取ろうにも足を斬られて強制的に中断。
種の割れた手品などデュークにとっては恐れる必要も無い。
流れるようにソニックアローを振るい、モモンガの装甲服にダメージが蓄積されていく。
どうにかバロンソードを翳すが、反撃は許されず防戦一方。
剃で距離を取ろうにも足を斬られて強制的に中断。
種の割れた手品などデュークにとっては恐れる必要も無い。
「このッ、痛いんだよッ!」
苦し紛れに跳び上がり、月歩でデュークから逃げようとする。
地上から放たれる矢を防ぎながら安全圏まで離れて行き、
地上から放たれる矢を防ぎながら安全圏まで離れて行き、
「んなッ!?」
青い魔法少女が立ち塞がった。
真正面からの斬撃を防ぎ、反対に斬り付けるも既に姿はない。
真横、頭上、背後、再び真正面と絶えず移動しサーベルの猛攻を繰り出す。
多方向からの攻撃にとうとうモモンガの足が止まる。
空を蹴らねば月歩は発動せず、撃たれた海鳥のように地面へ真っ逆様だ。
真横、頭上、背後、再び真正面と絶えず移動しサーベルの猛攻を繰り出す。
多方向からの攻撃にとうとうモモンガの足が止まる。
空を蹴らねば月歩は発動せず、撃たれた海鳥のように地面へ真っ逆様だ。
「く、くそッ…」
アスファルトへ叩きつけられたモモンガを尻目に、飛彩は涼しい顔で降り立つ。
魔力で足場を作り空中移動を可能としたが、ぶっつけ本番でも案外上手くいくらしい。
モモンガへサーベルを向けると、刀身部分が連結状に変化し射出。
胴体に絡み付き動きを封じる。
魔力で足場を作り空中移動を可能としたが、ぶっつけ本番でも案外上手くいくらしい。
モモンガへサーベルを向けると、刀身部分が連結状に変化し射出。
胴体に絡み付き動きを封じる。
「ニャアアアアアアア!!」
モモンガが拘束を抜け出すのを待たず、これまで静観していた三人目が仕掛けた。
ニャオハのわざを放ったのはキャルだ。
美食殿の一員として様々な冒険に繰り出し、ユウキ達との連携で魔物を退治した経験を持つ。
協力して敵を倒す場面でどう動くかには慣れており、ここぞというタイミングを見極めるのも今に始まった事ではない。
ニャオハのわざを放ったのはキャルだ。
美食殿の一員として様々な冒険に繰り出し、ユウキ達との連携で魔物を退治した経験を持つ。
協力して敵を倒す場面でどう動くかには慣れており、ここぞというタイミングを見極めるのも今に始まった事ではない。
「ウワッ!!視界が乱れる!!!」
キャルが放ったのはニャオハが最も得意とするわざ、このは。
名前の通り木の葉を相手にぶつけて攻撃する、くさタイプのポケモンにとっては基本的なわざだ。
しかし、ニャオハの使うこのはは他のポケモンより規模が大きい特殊なもの。
威力こそ未熟な面が目立つものの、大質量の木の葉を巻き起こす程。
大量に発生した木の葉はモモンガを覆い隠し、視界を完全に眩ませた。
装甲服のお陰でダメージこそ無いとはいえ、突如発生した緑の壁に怯み隙を晒す羽目となる。
名前の通り木の葉を相手にぶつけて攻撃する、くさタイプのポケモンにとっては基本的なわざだ。
しかし、ニャオハの使うこのはは他のポケモンより規模が大きい特殊なもの。
威力こそ未熟な面が目立つものの、大質量の木の葉を巻き起こす程。
大量に発生した木の葉はモモンガを覆い隠し、視界を完全に眩ませた。
装甲服のお陰でダメージこそ無いとはいえ、突如発生した緑の壁に怯み隙を晒す羽目となる。
「良い仕事してくれるね、感謝するよ」
『ロックオン!レモンエナジー!』
絶好のチャンスをみすみす捨てる馬鹿でも、今になって攻撃を躊躇するお人好しでも無い。
ソニックアローにエナジーロックシードを装填、必殺のエネルギーを付与。
弦を引き絞り照準を合わせる、木の葉に覆い隠された標的もデュークのカメラアイの前には丸裸同然。
破壊力を倍に高めたエネルギー矢を発射、木の葉の旋風が晴れた時には既に手遅れ。
ソニックアローにエナジーロックシードを装填、必殺のエネルギーを付与。
弦を引き絞り照準を合わせる、木の葉に覆い隠された標的もデュークのカメラアイの前には丸裸同然。
破壊力を倍に高めたエネルギー矢を発射、木の葉の旋風が晴れた時には既に手遅れ。
「のっぎゃあああ~~~~っ!?」
何とかサーベルを砕いたが、バロンソードの防御だけでは防ぎ切れずに吹き飛ばされる。
これまで以上に散らされる火花、出血だったら致命傷は確実だろう。
地面を転がり呻くモモンガ、装甲服がダメージを抑えたと言っても限度があるのは誰の目にも明らか。
これまで以上に散らされる火花、出血だったら致命傷は確実だろう。
地面を転がり呻くモモンガ、装甲服がダメージを抑えたと言っても限度があるのは誰の目にも明らか。
「この……くらえッ…!」
「ニャッ!?」
「ニャッ!?」
それでもモモンガは自分の事に関して諦めと程遠い性根の持ち主。
手にした物を投げ付ける、対象に選ばれたのは運悪くキャルだ。
もしや最初に使った爆弾かと身構えるが、形状はどう見ても別物。
投げた正体は足、爆弾で四肢が千切れた死体の一部を偶然掴んだのである。
悪趣味な奴だと思うも爆弾に比べたら危険度は低い、必然的にキャルの中で警戒度は低下。
手にした物を投げ付ける、対象に選ばれたのは運悪くキャルだ。
もしや最初に使った爆弾かと身構えるが、形状はどう見ても別物。
投げた正体は足、爆弾で四肢が千切れた死体の一部を偶然掴んだのである。
悪趣味な奴だと思うも爆弾に比べたら危険度は低い、必然的にキャルの中で警戒度は低下。
それは大きな間違いだったが。
散々な目に遭った死体、この人物は精神側の参加者だったジェイク・マルチネスのような超能力の類は持っていない。
身体能力だって平均的な成人男性の範疇に収まる程度。
大騒動に巻き込まれた際には火事場の馬鹿力を発揮するが、大半の理由は家族愛などの正しい心に突き動かされたから。
シュテルンビルトに混乱を巻き起こした犯罪者のジェイクでは、間違いなく出せる筈も無い力だ。
ただもう一つ、他の人間にはない身体的特徴が彼にはある。
身体能力だって平均的な成人男性の範疇に収まる程度。
大騒動に巻き込まれた際には火事場の馬鹿力を発揮するが、大半の理由は家族愛などの正しい心に突き動かされたから。
シュテルンビルトに混乱を巻き起こした犯罪者のジェイクでは、間違いなく出せる筈も無い力だ。
ただもう一つ、他の人間にはない身体的特徴が彼にはある。
状況によっては武器にもなり得るその特異な体質を、不幸な事にキャルは身を以て味わう羽目となった。
くるくる宙を舞う足からすっぽ抜けた靴。
モモンガが意図したので無いが偶然にもキャルの顔へ、ぽすりと履き口が当たる。
ある者は全身を真っ青にして震え上がり、ある者は同情しつつ念仏を唱えるだろう。
ジェイクが終ぞ見る事の無かった体のプロフィール、男が持つ絶対の兵器。
くるくる宙を舞う足からすっぽ抜けた靴。
モモンガが意図したので無いが偶然にもキャルの顔へ、ぽすりと履き口が当たる。
ある者は全身を真っ青にして震え上がり、ある者は同情しつつ念仏を唱えるだろう。
ジェイクが終ぞ見る事の無かった体のプロフィール、男が持つ絶対の兵器。
――野原ひろしは絶望的なまでに足が臭い
「ウ゛ニャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア~~~~!!!??!」
ダミ声を発し引っ繰り返る。
白目を剥き泡を吹いて悶絶する有様は、可愛らしい容姿のポケモンとは思えない。
まるで毒ガスの被害にでも遭ったかのようだ。
ある意味毒に近いが。
白目を剥き泡を吹いて悶絶する有様は、可愛らしい容姿のポケモンとは思えない。
まるで毒ガスの被害にでも遭ったかのようだ。
ある意味毒に近いが。
「っ!どうした…!?」
尋常ではないキャルの様子に飛彩もモモンガから目を離す。
仮面越しとはいえ凌馬もまた、突然の事態には困惑気味。
まさか靴の臭いを嗅いだだけでこうなったとは流石の二人も予想外。
そしてこの状況はモモンガにとっての好都合に他ならない。
仮面越しとはいえ凌馬もまた、突然の事態には困惑気味。
まさか靴の臭いを嗅いだだけでこうなったとは流石の二人も予想外。
そしてこの状況はモモンガにとっての好都合に他ならない。
自分への注意が逸れたのを見逃さず、ひろしの足とは違う物を投擲。
カランと最初の時と同じ音を発し、地面を転がる物体。
緑色をした卵型の手榴弾、ではない。
縦に長く青いペイントが施されたソレが、数秒の間を置いて炸裂。
爆弾にも負けず劣らずの爆音が響き、飛彩達の視界を閃光が奪い去る。
見える景色が真っ白に染まり、聞こえるのは耳鳴りにも似た音一つ。
カランと最初の時と同じ音を発し、地面を転がる物体。
緑色をした卵型の手榴弾、ではない。
縦に長く青いペイントが施されたソレが、数秒の間を置いて炸裂。
爆弾にも負けず劣らずの爆音が響き、飛彩達の視界を閃光が奪い去る。
見える景色が真っ白に染まり、聞こえるのは耳鳴りにも似た音一つ。
視界が鮮明になった時、モモンガの姿は見当たらなかった。
飛彩はふと自分の(というかさやかの)体に目をやり、外傷が一つも無い事に気が付く。
魔法で治療した覚えは無いし、この戦闘で負傷はしていない。
だが爆発を間近で受けたのにも関わらず、僅かな火傷も負っていないのは不自然。
残留する耳鳴りが酷く鬱陶しい、そこへ呆れにも似た声色が届いた。
飛彩はふと自分の(というかさやかの)体に目をやり、外傷が一つも無い事に気が付く。
魔法で治療した覚えは無いし、この戦闘で負傷はしていない。
だが爆発を間近で受けたのにも関わらず、僅かな火傷も負っていないのは不自然。
残留する耳鳴りが酷く鬱陶しい、そこへ呆れにも似た声色が届いた。
「光と音だけの玩具だったようだね。全く小賢しい…」
変身を解除した凌馬はキャルの首根っこを掴み肩を竦める。
モモンガは自分達が怯んだ隙にまんまと逃げたのだろう。
無駄に体力だけを消費させて、ロクな収穫も無いとは何とも腹立たしい。
と言っても今回の戦闘データはデュークにしっかりと保存された。
次に戦う機会があってもまず遅れは取らないし、何ならキッチリ仕留める自信だってある。
モモンガは自分達が怯んだ隙にまんまと逃げたのだろう。
無駄に体力だけを消費させて、ロクな収穫も無いとは何とも腹立たしい。
と言っても今回の戦闘データはデュークにしっかりと保存された。
次に戦う機会があってもまず遅れは取らないし、何ならキッチリ仕留める自信だってある。
(ま、今は彼女との話が先だ)
コスプレのような格好になったと思いきや、アーマードライダーにも引けを取らない戦いをしてみせた少女。
肉体の能力は当然として、精神側が持つ情報も詳しく聞いておきたい。
凌馬から見ても中々に戦い慣れているようだし、単なる一般人ではまずない。
肉体の能力は当然として、精神側が持つ情報も詳しく聞いておきたい。
凌馬から見ても中々に戦い慣れているようだし、単なる一般人ではまずない。
「取り敢えずキャルくんがこの有様だし、中で休みがてら話でもしないかい?私としてもキャルくんの体を酷使して、後で彼女に怒られては困るんだ」
「…良いだろう。あの仮面ライダーの事も含めて聞きたい事は俺の方にもある」
「ふぅん…仮面ライダー、ねぇ」
「…良いだろう。あの仮面ライダーの事も含めて聞きたい事は俺の方にもある」
「ふぅん…仮面ライダー、ねぇ」
アーマードライダーではなく仮面ライダー。
つまり自分が開発したライダーシステムとは別の存在を知っている、或いは元々それに変身していたのか。
益々以て興味が湧き、目を光らせる凌馬と並んで飛彩も歩き出す。
なし崩し的に共闘したのもあって、恐らく積極的に他者を襲うつもりがないのは分かった。
だが信用できるかどうかは別問題。
猫耳の少女、話し方からして中身は男なのだろうが性別はこの際置いておき。
どうにも言動や素振りの一つ一つに、自身の知る男の姿がチラついて離れない。
友好的に振舞いながらも見え隠れする冷酷な本性。
恋人が消滅する根本的な原因を作った、神を名乗るあの男と近しいものを感じるのはきっと気のせいでは無い。
つまり自分が開発したライダーシステムとは別の存在を知っている、或いは元々それに変身していたのか。
益々以て興味が湧き、目を光らせる凌馬と並んで飛彩も歩き出す。
なし崩し的に共闘したのもあって、恐らく積極的に他者を襲うつもりがないのは分かった。
だが信用できるかどうかは別問題。
猫耳の少女、話し方からして中身は男なのだろうが性別はこの際置いておき。
どうにも言動や素振りの一つ一つに、自身の知る男の姿がチラついて離れない。
友好的に振舞いながらも見え隠れする冷酷な本性。
恋人が消滅する根本的な原因を作った、神を名乗るあの男と近しいものを感じるのはきっと気のせいでは無い。
(なら野放しにして余計な被害が広まるのはノーサンキューだ)
おかしな真似に出て参加者に危害が及ばないようにする為に、近くで監視しておく。
それにキャルという、今は猫のような生物の体に入った者も心配だ。
彼女の体でよからぬ行為をするつもりなら、見過ごす訳にはいかない。
それにキャルという、今は猫のような生物の体に入った者も心配だ。
彼女の体でよからぬ行為をするつもりなら、見過ごす訳にはいかない。
肩を並べ、されど互いに決して隙は見せず。
少女の体を手に入れた男達のバトルロワイアルが改めてスタートを切った。
少女の体を手に入れた男達のバトルロワイアルが改めてスタートを切った。
【一日目/深夜/F-8 見滝原中学校】
【鏡飛彩@仮面ライダーエグゼイド】
[身体]:美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]基本方針:さやかが果たせなかった“正義の味方”として、この殺し合いは俺が止める!
1:猫耳の少女(凌馬)と話をする。警戒しておいた方が良いだろう。
2:ドクターが他人の命を奪うなど言語道断だ。だが危険人物は切除しなければ被害が増す。……そういう輩は、俺が切る
3:俺の体に入っている精神が善人なら良いが…。
4:装甲服の男(モモンガ)を警戒。
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編終了後。Vシネ以降かどうかは後続の書き手にお任せします
※ソウルジェムは支給品と扱われません。
※まどか☆マギカシリーズ原作と同じく、ソウルジェムは本体と扱い、一定距離を離されたら体を動かせず、破壊されたら死亡するものとします。
※ゲーマドライバーとガシャットは自分の体を与えられた参加者に支給されていると考えています。
[身体]:美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]基本方針:さやかが果たせなかった“正義の味方”として、この殺し合いは俺が止める!
1:猫耳の少女(凌馬)と話をする。警戒しておいた方が良いだろう。
2:ドクターが他人の命を奪うなど言語道断だ。だが危険人物は切除しなければ被害が増す。……そういう輩は、俺が切る
3:俺の体に入っている精神が善人なら良いが…。
4:装甲服の男(モモンガ)を警戒。
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編終了後。Vシネ以降かどうかは後続の書き手にお任せします
※ソウルジェムは支給品と扱われません。
※まどか☆マギカシリーズ原作と同じく、ソウルジェムは本体と扱い、一定距離を離されたら体を動かせず、破壊されたら死亡するものとします。
※ゲーマドライバーとガシャットは自分の体を与えられた参加者に支給されていると考えています。
【戦極凌馬@仮面ライダー鎧武】
[身体]:キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive
[状態]:疲労(中)、キャルを運んでる
[装備]:ゲネシスドライバー+レモンロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、動物語ヘッドホン@ドラえもん、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:脱出して主催者の力を手に入れる。
1:青髪の少女(飛彩)と話をする。興味深い話が聞けそうだね。
2:生存優先、手段は問わない。
3:キャルと共に行動する。
4:海賊船を調べ海上からの脱出が可能かどうか調べたい。
5:ウタに接触し主催者に関する情報と、彼女自身が持つ力を聞いておく。
6:体を入れ替える施設を見付けてもキャルくんには使わせないようにしよう。
[備考]
仮面ライダー鎧武43話、死亡後からの参戦です。
[身体]:キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive
[状態]:疲労(中)、キャルを運んでる
[装備]:ゲネシスドライバー+レモンロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、動物語ヘッドホン@ドラえもん、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:脱出して主催者の力を手に入れる。
1:青髪の少女(飛彩)と話をする。興味深い話が聞けそうだね。
2:生存優先、手段は問わない。
3:キャルと共に行動する。
4:海賊船を調べ海上からの脱出が可能かどうか調べたい。
5:ウタに接触し主催者に関する情報と、彼女自身が持つ力を聞いておく。
6:体を入れ替える施設を見付けてもキャルくんには使わせないようにしよう。
[備考]
仮面ライダー鎧武43話、死亡後からの参戦です。
【キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[身体]:ニャオハ@ポケットモンスター(アニメ)
[状態]:精神的疲労(小)、悶絶、凌馬に運ばれてる
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:脱出して元の身体を取り戻す。
0:くしゃい~……。
1:戦極凌馬と共に行動する。
2:殺し合いなんて乗りたくない……。
[備考]
参戦時期は少なくとも第一部終了後。
[身体]:ニャオハ@ポケットモンスター(アニメ)
[状態]:精神的疲労(小)、悶絶、凌馬に運ばれてる
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:脱出して元の身体を取り戻す。
0:くしゃい~……。
1:戦極凌馬と共に行動する。
2:殺し合いなんて乗りたくない……。
[備考]
参戦時期は少なくとも第一部終了後。
◆◆◆
「ちくしょうッ!失敗だッ!」
地面を踏み付け、何度剣を振り回しても苛立ちは消えやしない。
最初に殺した男のように簡単にはいかず、無駄に体力と爆弾を減らされただけに終わった。
せめてこの体が可愛らしい見た目なら油断を誘えたかもしれないが、現実はとことん厳しい。
モヒカン頭と髭面のいかつい中年が可愛い子ぶったところで、ただ単に気色悪いだけだ。
最初に殺した男のように簡単にはいかず、無駄に体力と爆弾を減らされただけに終わった。
せめてこの体が可愛らしい見た目なら油断を誘えたかもしれないが、現実はとことん厳しい。
モヒカン頭と髭面のいかつい中年が可愛い子ぶったところで、ただ単に気色悪いだけだ。
普段自分が何かと要求を突き付けている鎧さんとはまた違う装甲。
これを着ていなかったら本当に死んでいたかもしれない。
死ぬのは御免だ。
元の体を取り戻すのは勿論、優勝したら願いを叶えられるとあれば何が何でも生き残ってやる。
巻き込まれた当初は元の体に戻るので頭がいっぱいだったけれど、どんな願いも叶えてくれるというのに魅力を感じない方が無理な話。
これを着ていなかったら本当に死んでいたかもしれない。
死ぬのは御免だ。
元の体を取り戻すのは勿論、優勝したら願いを叶えられるとあれば何が何でも生き残ってやる。
巻き込まれた当初は元の体に戻るので頭がいっぱいだったけれど、どんな願いも叶えてくれるというのに魅力を感じない方が無理な話。
一応名簿を見たが知り合いが巻き込まれているかは不明。
名前で呼び合う習慣が無い故か、当たり前だが。
仮にいたとしても殺さない理由にはならず、自分の願いの為に容赦なく斬るまで。
名前で呼び合う習慣が無い故か、当たり前だが。
仮にいたとしても殺さない理由にはならず、自分の願いの為に容赦なく斬るまで。
「欲しーよなッ、欲しーだろッ、全部全部、何もかも!」
小さくてかわいい体には収まりきらなかった、ドス黒い強欲さは健在。
絶対正義の白コートがこれ程に似合わない生物もいないだろう。
市民を守る海兵とは正反対の、海賊のような邪悪さで次の獲物を探し始めた。
絶対正義の白コートがこれ程に似合わない生物もいないだろう。
市民を守る海兵とは正反対の、海賊のような邪悪さで次の獲物を探し始めた。
【一日目/深夜/F-8】
【モモンガ@なんか小さくてかわいいやつ】
[身体]:モモンガ@ONE PIECE
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:一級剣バロンソード@暴太郎戦隊ドンブラザーズ、ワイルドタイガーのヒーロースーツ@TIGER&BUNNY、手榴弾セット(破片手榴弾×2、閃光手榴弾×2)@バイオハザードRE:2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(ジェイクの支給品)
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の体に戻り、願いも叶える
1:参加者を探して殺す。もし知り合いがいても関係無い
[備考]
※参戦時期は食糧枯渇事件の最中
[身体]:モモンガ@ONE PIECE
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:一級剣バロンソード@暴太郎戦隊ドンブラザーズ、ワイルドタイガーのヒーロースーツ@TIGER&BUNNY、手榴弾セット(破片手榴弾×2、閃光手榴弾×2)@バイオハザードRE:2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(ジェイクの支給品)
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の体に戻り、願いも叶える
1:参加者を探して殺す。もし知り合いがいても関係無い
[備考]
※参戦時期は食糧枯渇事件の最中
【ワイルドタイガーのヒーロースーツ@TIGER&BUNNY】
鏑木・T・虎徹がワイルドタイガーとしての活動時に装着するパワードスーツ。
両手首にアンカーガンが搭載。
非常に高い耐熱性と防弾性の他に、風船並みの柔軟性も併せ持つ。
クソスーツ(斎藤さん命名)の方ではない。
鏑木・T・虎徹がワイルドタイガーとしての活動時に装着するパワードスーツ。
両手首にアンカーガンが搭載。
非常に高い耐熱性と防弾性の他に、風船並みの柔軟性も併せ持つ。
クソスーツ(斎藤さん命名)の方ではない。
【手榴弾セット@バイオハザードRE:2】
ゲーム中に手に入る二種類の手榴弾、それぞれ三個ずつのセット。
破片手榴弾は爆発で敵を攻撃し、閃光手榴弾は爆音と強い光で敵を怯ませる。
ゲーム中に手に入る二種類の手榴弾、それぞれ三個ずつのセット。
破片手榴弾は爆発で敵を攻撃し、閃光手榴弾は爆音と強い光で敵を怯ませる。
19:ミス・コンダクタ | 投下順に読む | 21:I'll Face Myself -孤独の唄- |
18:逃げたい逃げたい | 時系列順に読む | |
登場話115:再起のHERO | 鏡飛彩 | |
登場話14:現代はさながら戦国 | 戦極凌馬 | |
キャル | ||
登場話44:かわいいは正義 | モモンガ |