これは証明だ。僕にも世界を救えるってね。
カドック・ゼムルプス
カドック・ゼムルプス
『あんたら……一体何しに行ってたの!?』
凶悪な神将を倒し、無事だった会議室でようやくソウジ、ユメからディーヴァ救援の顛末を聞けた東ゆうはどうにか罵倒の言葉を吐き出しそうになったのを堪えた。
つい数時間前までのゆうであれば絶対に口に出してしまっていただろう。その後の後悔もセットで、だ。
けれど冥黒のディアッカ・エルスマンという強敵に殺されかけ、神将ビルドという反則(ズル)を疑う存在に散々蹂躙された今だからこそ激しやすいゆうでもどうにか自分を律することができた。
ソウジとユメはディーヴァを救出するどころか、位置入れ替えの能力を持つ相手の策に嵌められて逆に殺害してしまった。遺品の一つさえも残らなかった。
この無慈悲なゲームの中でも夢見たゆう、ラクス、ディーヴァによるライブ計画は完膚なきまでに頓挫した。―――でも、あんなのが相手では仕方ないと思わざるを得なかった。
つい数時間前までのゆうであれば絶対に口に出してしまっていただろう。その後の後悔もセットで、だ。
けれど冥黒のディアッカ・エルスマンという強敵に殺されかけ、神将ビルドという反則(ズル)を疑う存在に散々蹂躙された今だからこそ激しやすいゆうでもどうにか自分を律することができた。
ソウジとユメはディーヴァを救出するどころか、位置入れ替えの能力を持つ相手の策に嵌められて逆に殺害してしまった。遺品の一つさえも残らなかった。
この無慈悲なゲームの中でも夢見たゆう、ラクス、ディーヴァによるライブ計画は完膚なきまでに頓挫した。―――でも、あんなのが相手では仕方ないと思わざるを得なかった。
「すまない……」
「ごめんなさい……」
それに謝罪するソウジとユメの表情は悲痛そのもので、ユメに至っては今にも泣きだしそうでさえあった。
ゆうよりもよほど戦える彼らが全力を尽くしてそれでもどうにもならなかったということだ。納得はしきれずとも飲み込む他ない。
ゆうよりもよほど戦える彼らが全力を尽くしてそれでもどうにもならなかったということだ。納得はしきれずとも飲み込む他ない。
「ドラえもん、しっかり!」
一方、右目を損傷し気絶したドラえもんをラクスと一緒に運んできた鈴音がドラえもんのリュックを漁り、懐中電灯のようなものを取り出した。
それが負傷した参加者に効かなかった前例があることはドラえもんとの情報交換で聞いている。
しかし生身の人間ではないロボット、無機物であるドラえもんならあるいは。その想いで復元光線の光をドラえもんの右目に当てた。
するとみるみるうちに痛ましい破壊の痕が消え去り、それならばとボディ全体に光を当てていくと細かな傷や汚れまでもが消えていった。
それが負傷した参加者に効かなかった前例があることはドラえもんとの情報交換で聞いている。
しかし生身の人間ではないロボット、無機物であるドラえもんならあるいは。その想いで復元光線の光をドラえもんの右目に当てた。
するとみるみるうちに痛ましい破壊の痕が消え去り、それならばとボディ全体に光を当てていくと細かな傷や汚れまでもが消えていった。
「…ん。うん……?鈴音さん?」
ドラえもんが目を覚ますと同時に違和感を覚えた。
右目の激痛が消えて、閉じていた右半分の視界がクリアになっている。全身の痛みも消えている。
右目の激痛が消えて、閉じていた右半分の視界がクリアになっている。全身の痛みも消えている。
「い、痛くない!目も見える!」
「良かった……!」
「そうか、復元光線で……本当にありがとう鈴音さん、助かったよ」
壊れた物体を修復するひみつ道具、復元光線。
人間タイプのNPCモンスターや人間の参加者の傷を治すことはできないのはカラレス総督で証明されている。
しかし例外はある。参加者でもロボットであるドラえもんや総司令官は復元光線の恩恵を受けて回復することが可能だった。
抱き合う鈴音とドラえもん。その光景を嬉しそうに見つめるラクス。そんな彼らの前にゼロ、早くも意識を取り戻したマクギリス、ギギストが歩いてきた。
人間タイプのNPCモンスターや人間の参加者の傷を治すことはできないのはカラレス総督で証明されている。
しかし例外はある。参加者でもロボットであるドラえもんや総司令官は復元光線の恩恵を受けて回復することが可能だった。
抱き合う鈴音とドラえもん。その光景を嬉しそうに見つめるラクス。そんな彼らの前にゼロ、早くも意識を取り戻したマクギリス、ギギストが歩いてきた。
「皆、ここにいたか」
ゼロは会議室の机に自身のリュックを置くと、中から破損した何かの起動鍵を三つと大きく破れた布を取り出した。
その破れた布にドラえもんは見覚えがあった。というか、それこそまさにドラえもんが探し求めていた、ひみつ道具博物館に来た理由たるひみつ道具だった。
その破れた布にドラえもんは見覚えがあった。というか、それこそまさにドラえもんが探し求めていた、ひみつ道具博物館に来た理由たるひみつ道具だった。
「こ、これは!タイムふろしきじゃないか!!こ、これをどこで!?」
「先ほどの敵が壊していった設備の中に使えるアイテムが残っているのではと思い探索していた。
もっともこの短時間で探せたのはごく僅かな範囲だが、その範囲だけでもいくらか成果があった。
起動鍵もこのタイムふろしきとやらも破損しているが、君ならどうにかできるか?」
もっともこの短時間で探せたのはごく僅かな範囲だが、その範囲だけでもいくらか成果があった。
起動鍵もこのタイムふろしきとやらも破損しているが、君ならどうにかできるか?」
「もちろん!この復元光線なら!」
復活したドラえもんが意気揚々と復元光線の光を破れたタイムふろしきに当てていった。
すると失われた部分が新しく生えてくるかのように修復され、赤い面と青い面のある、時計が描かれた風呂敷が完全に蘇った。
これこそ綾小路清隆の肉体を蛮野に乗っ取られる前の時間に戻そうと考えたドラえもんが欲していたものだ。
今となっては最優先するわけにいかない目標であるとはいえ、大きく前進できたことに変わりはなく、鈴音もタイムふろしきに興味津々だった。
すると失われた部分が新しく生えてくるかのように修復され、赤い面と青い面のある、時計が描かれた風呂敷が完全に蘇った。
これこそ綾小路清隆の肉体を蛮野に乗っ取られる前の時間に戻そうと考えたドラえもんが欲していたものだ。
今となっては最優先するわけにいかない目標であるとはいえ、大きく前進できたことに変わりはなく、鈴音もタイムふろしきに興味津々だった。
「もしかしてこれなら復元光線を使わなくても、壊れた物の時間を巻き戻すなんてこともできるの?
復元光線も便利だけど見るからにバッテリーの制限とかありそうだし」
復元光線も便利だけど見るからにバッテリーの制限とかありそうだし」
「うん!きっとゲームが始まる前の時間には戻せないぐらいの制限があるんだろうけどね。
とにかく早速この起動鍵の時間を戻してみるよ。赤色の面を表にして……っと」
とにかく早速この起動鍵の時間を戻してみるよ。赤色の面を表にして……っと」
ゼロたちが壊れた館内で見つけてきた起動鍵はどれも先端が欠けていたり、真っ二つに折れていたりとそのままでは使えそうにない状態だった。
しかしドラえもんがタイムふろしきで包めばこれこの通り、一瞬にして三本の起動鍵の時間がゲーム開始時点、壊れる前に遡ったことで復元された。
些か行儀が悪いが時間的余裕があるわけでもないため、早速ゼロ、マクギリス、ギギストがそれぞれ起動鍵を手に取りスイッチを押す。
しかしドラえもんがタイムふろしきで包めばこれこの通り、一瞬にして三本の起動鍵の時間がゲーム開始時点、壊れる前に遡ったことで復元された。
些か行儀が悪いが時間的余裕があるわけでもないため、早速ゼロ、マクギリス、ギギストがそれぞれ起動鍵を手に取りスイッチを押す。
「これは紅蓮の発展型か。紅蓮特式……このタイプの扱いには慣れてきていたからちょうどいいな。
それに追加装備を纏うこともできるらしい。活用させてもらおう」
それに追加装備を纏うこともできるらしい。活用させてもらおう」
マクギリスが変じたパワードスーツは紅蓮特式。
元々は黒の騎士団で開発された紅蓮の後継機にあたるナイトメアフレームで光和の時代における紅月カレンの愛機だ。
紅蓮聖天八極式と比べて正規軍で十分な補給を受けられることを前提とした設計が為されており、武装も全体的に高出力化されている。
更に追加装備としてフレームコート・火焔光背を纏うことで機動性の低下と引き換えに火力と装甲を大幅に向上させた拠点防衛・制圧向きの特性を得ることもできる。
元々は黒の騎士団で開発された紅蓮の後継機にあたるナイトメアフレームで光和の時代における紅月カレンの愛機だ。
紅蓮聖天八極式と比べて正規軍で十分な補給を受けられることを前提とした設計が為されており、武装も全体的に高出力化されている。
更に追加装備としてフレームコート・火焔光背を纏うことで機動性の低下と引き換えに火力と装甲を大幅に向上させた拠点防衛・制圧向きの特性を得ることもできる。
「月虹影帥……蜃気楼の発展型か?」
(このスーパードルイドシステム、使えればガウェイン・リゼロの代わりになりそうなんだけど……総司令官さんはもう……)
ゼロが変じたパワードスーツは月虹影帥。
元々は黒の騎士団で開発された蜃気楼の後継機にあたる月虹影の完成形態。
蜃気楼を大幅に発展させた性能を有し、ガウェイン・リゼロ以上のドルイドシステムも有しているが、シャーリーという少女にそれは扱いきれない。
元々は黒の騎士団で開発された蜃気楼の後継機にあたる月虹影の完成形態。
蜃気楼を大幅に発展させた性能を有し、ガウェイン・リゼロ以上のドルイドシステムも有しているが、シャーリーという少女にそれは扱いきれない。
一度はドルイドシステムを使ってみせ、運営回線へのハッキングを成し遂げた総司令官は先の冥黒のディアッカ・エルスマンとの戦闘で亡くなったとマクギリスから聞いた。
結局シャーリーには総司令官の人類への悪意を払拭することはできなかった。自分が気を失っている間に本性を表し、それをラクスやギギストらに看破され、追い詰められた末に功を焦って殺された。
マクギリスからは「彼の自業自得だから気にするな」と言われたが、生きて彼と本当の協力関係を結べていればと思わずにはいられない。
結局シャーリーには総司令官の人類への悪意を払拭することはできなかった。自分が気を失っている間に本性を表し、それをラクスやギギストらに看破され、追い詰められた末に功を焦って殺された。
マクギリスからは「彼の自業自得だから気にするな」と言われたが、生きて彼と本当の協力関係を結べていればと思わずにはいられない。
「おわっ!?」
「ほう、理解するぞ。これは変身タイプではなく召喚タイプの起動鍵だな?」
ギギストが起動鍵のスイッチを押した時、変身はしなかった。
代わりに出たのは戦車に手足を付け足したような、サザーランド等騎士然とした機体と比べると異質なナイトメアフレーム、カムデン。
光和の時代に北海道を蹂躙したネオ・ブリタニア帝国の主力機であり、安全マージンを度外視する代わりに大出力ドライブを搭載することで暁の改修型をも大きく上回る性能を獲得した高性能機だ。
それが六機編成で収められていたのがこの起動鍵だ。突然室内に六機ものナイトメアフレームが現れればドラえもんでなくとも驚くのは当然だろう。
代わりに出たのは戦車に手足を付け足したような、サザーランド等騎士然とした機体と比べると異質なナイトメアフレーム、カムデン。
光和の時代に北海道を蹂躙したネオ・ブリタニア帝国の主力機であり、安全マージンを度外視する代わりに大出力ドライブを搭載することで暁の改修型をも大きく上回る性能を獲得した高性能機だ。
それが六機編成で収められていたのがこの起動鍵だ。突然室内に六機ものナイトメアフレームが現れればドラえもんでなくとも驚くのは当然だろう。
「これで何とか……なるのかなあ……」
「厳しいだろうな……次またさっきのライダーのような敵が現れたらここももう保たないだろう」
「ですよねー……」
復元光線にタイムふろしきという、ゆうから見ればチートに見えるひみつ道具のおかげで消耗した戦力は大きく補強されはした。
あの三つの起動鍵がさっき使えていればもっと楽に戦えたのに、とさえ思う。
それでもあのズルとしか思えない強さのNPCを相手に楽に勝てるかと言われればノーだろう。
何よりソウジの言う通りこれ以上はひみつ道具博物館そのものが保たない可能性がある。
あの三つの起動鍵がさっき使えていればもっと楽に戦えたのに、とさえ思う。
それでもあのズルとしか思えない強さのNPCを相手に楽に勝てるかと言われればノーだろう。
何よりソウジの言う通りこれ以上はひみつ道具博物館そのものが保たない可能性がある。
「こうなるともうルルーシュを嫌ってる場合じゃないかもな」
「もしかしてあなたたちもルルーシュが信じられないからこっちに来たんですか?実は私たちもなんですよ」
「そうだったのか。だが……もう四の五の言ってられないだろう」
ひみつ道具博物館へ来る直前、ソウジたちは露骨に運営に贔屓されたルルーシュに不信感を募らせていた。
だからこそ鉄華兵団と結ぶことを選んだわけだが、殺し合いに乗った参加者と戦う以前にその配下に過ぎないNPCがあまりにも強すぎる。
勝つには勝ったが施設はボロボロ、非戦闘員のゼロやラクスを除けば誰も彼もが青息吐息という惨状。
この上曲がりなりにも対主催ではあるルルーシュとまでいがみ合っていて脱出などできるのだろうか、と思わざるを得ない。
しかしソウジの傍らにいるユメは首を横に振る。
だからこそ鉄華兵団と結ぶことを選んだわけだが、殺し合いに乗った参加者と戦う以前にその配下に過ぎないNPCがあまりにも強すぎる。
勝つには勝ったが施設はボロボロ、非戦闘員のゼロやラクスを除けば誰も彼もが青息吐息という惨状。
この上曲がりなりにも対主催ではあるルルーシュとまでいがみ合っていて脱出などできるのだろうか、と思わざるを得ない。
しかしソウジの傍らにいるユメは首を横に振る。
「でも、ルルーシュのやり方じゃシロコちゃんと話したり、羂索たちのことをちゃんと知るとかできないと思う。
私がそう思うだけかもしれないけど、ルルーシュは敵を倒すことしか考えてないんじゃないかなって……」
私がそう思うだけかもしれないけど、ルルーシュは敵を倒すことしか考えてないんじゃないかなって……」
「ユメちゃん……」
「皆様、新たな来訪者が来られたのですが送迎用の車が破損しています。
恐縮ですが、どなたか機械を直せる支給品やひみつ道具を持っている方はいらっしゃいませんか?」
恐縮ですが、どなたか機械を直せる支給品やひみつ道具を持っている方はいらっしゃいませんか?」
話し合っている最中にリルルが入ってきた。
最後に見た時より薄汚れているが損傷した様子はなく、上手く先ほどの敵の襲撃から逃れていたらしい。
そしてリルルに頼まれて応えないドラえもんではなく、力強く「もちろん!」と告げてタイムふろしきと復元光線を持って修理に赴いた。
最後に見た時より薄汚れているが損傷した様子はなく、上手く先ほどの敵の襲撃から逃れていたらしい。
そしてリルルに頼まれて応えないドラえもんではなく、力強く「もちろん!」と告げてタイムふろしきと復元光線を持って修理に赴いた。
☆
道外流牙、益子薫と別れてからひみつ道具博物館へは僅か10分で辿り着いた。
必要なことだったとはいえコーカサスカブト城で時間を使いすぎたためかなり飛ばして移動していたのもあるし、道中NPCに出くわさなかったことも大きい。
ともあれ新たに聖園ミカを加えてひみつ道具博物館に辿り着いた藤丸立香たち八人は改めて自分たちが時間を使いすぎたことを痛感していた。
必要なことだったとはいえコーカサスカブト城で時間を使いすぎたためかなり飛ばして移動していたのもあるし、道中NPCに出くわさなかったことも大きい。
ともあれ新たに聖園ミカを加えてひみつ道具博物館に辿り着いた藤丸立香たち八人は改めて自分たちが時間を使いすぎたことを痛感していた。
「これ…明らかに敵に襲われた痕、だよね?既にボロボロじゃんね」
「休憩にはなったが、ちとのんびりしすぎたみたいだな。ゼロが生きてるといいんだがな」
地上から見上げた先にある目的地は外からもわかるほどハッキリと損傷していた。
殺し合いに乗った何者かの襲撃を受けたことは誰の目にも明らかだった。
休戦中とはいえ未だ乗っている側のやみのせんしはさほど慌てていないが立香たちにとってはそうはいかない。
殺し合いに乗った何者かの襲撃を受けたことは誰の目にも明らかだった。
休戦中とはいえ未だ乗っている側のやみのせんしはさほど慌てていないが立香たちにとってはそうはいかない。
「とにかく中に入ろう!確かゼロの話では送迎用の車を出してくれるはずだ!」
「ですが先輩、この様子では施設の設備や道具も無事ではないのでは……?」
「た、確かに……じゃあ俺がウルトロイドゼロで飛んで様子を見てこようか?」
「そういうことなら私もジャスティスで行くよ」
空に浮かぶ施設だけに普通に乗り込むことはできない。
とにかく様子を見てみないことには始まらないと立香とミカが起動鍵を握りしめた時、施設から宙を浮く車が降りてくるのが見えた。
どうやら出迎えが来れないという心配は杞憂に終わったらしい。
とにかく様子を見てみないことには始まらないと立香とミカが起動鍵を握りしめた時、施設から宙を浮く車が降りてくるのが見えた。
どうやら出迎えが来れないという心配は杞憂に終わったらしい。
「皆様、お待たせいたしました。ひみつ道具博物館の案内役、リルルと申します」
地上に降り立った車から一人のNPCが出てきた。
今まで何人もの参加者と出会っただろうに未だに参加者に倒されずに案内役を務めているということはこのNPCは真実無害な類なのだろうと全員が判断した。
では早速車に乗り込もうとしたものの、ここで問題が発生した。
今まで何人もの参加者と出会っただろうに未だに参加者に倒されずに案内役を務めているということはこのNPCは真実無害な類なのだろうと全員が判断した。
では早速車に乗り込もうとしたものの、ここで問題が発生した。
「どう見ても全員は乗れねえだろ、これ」
「少々時間はかかりますが、三人ずつ乗っていただければと思います」
「確かにそれが現実的ですが今は時間が惜しい。ただでさえコーカサスカブト城で時間を取りすぎましたから。
リツカ、ミカ。ウルトロイドゼロとジャスティスに一人ずつ抱えるか、乗せることはできますか?」
リツカ、ミカ。ウルトロイドゼロとジャスティスに一人ずつ抱えるか、乗せることはできますか?」
「わかった。ミカ…さんもそれでいいかな?」
「ミカでいいよ。私も異論なしかな」
結果、やみのせんし、流子、ニコルが車に乗り、立香がマシュを、ミカがピルツを抱えて飛んでいくこととなった。
サーヴァントである英寿は霊体化することによって全員についていきつつ頭数の問題をクリアした。
サーヴァントである英寿は霊体化することによって全員についていきつつ頭数の問題をクリアした。
☆
聖園ミカがひみつ道具博物館内部に到着した時、出迎え、あるいは警戒に出たであろう鉄華兵団側の参加者の一人に目を奪われた。
20歳頃の桃色の髪の女性。ミカがキラ・ヤマトの記憶で見た彼女よりも大人びているが間違いない。
20歳頃の桃色の髪の女性。ミカがキラ・ヤマトの記憶で見た彼女よりも大人びているが間違いない。
「ラクスちゃ……さん?」
「え?貴方は…何故顔を見ただけで私の名を?」
綺麗な人だなあ、というのがミカの率直な感想だった。
キラの記憶で見た姿の時点で十分すぎるほどの片鱗があったが、大人になった彼女の姿は文句なしに美人と言い表せるものだった。
戸惑うラクスの元にニコルが歩み寄った。
キラの記憶で見た姿の時点で十分すぎるほどの片鱗があったが、大人になった彼女の姿は文句なしに美人と言い表せるものだった。
戸惑うラクスの元にニコルが歩み寄った。
「貴方のことはジュール隊長から伺っています。…その、貴方が亡くなられる前後のことを含めて、ではありますが……」
「そのことは気にしないでください。僕自身、地球軍のストライクに討たれた記憶はありますから」
(あー、ニコルくん。その話ラクスさんにするのまずいって!)
ニコルは気づかなかったが、ストライクに討たれたと言った瞬間ラクスの表情が僅かに曇った。
変化が僅かだったのはショックが小さいからではなく、ラクス自身の処世術としてポーカーフェイスを身に着けているからだ。
どうやってこの空気を打破するか、そしてキラの記憶を見たことをどこまでラクスに話すか迷っているミカの視界に因縁のある怪人が映った。
変化が僅かだったのはショックが小さいからではなく、ラクス自身の処世術としてポーカーフェイスを身に着けているからだ。
どうやってこの空気を打破するか、そしてキラの記憶を見たことをどこまでラクスに話すか迷っているミカの視界に因縁のある怪人が映った。
「アンタこんなとこにいたのかよ」
「言うな。我自身、何の因果でここにいるのか理解しきれていないところがある
そう言う貴様は何故この者たちと行動を共にしている?この人数で行動し、ここを訪れた以上対主催側の集団だろう?」
そう言う貴様は何故この者たちと行動を共にしている?この人数で行動し、ここを訪れた以上対主催側の集団だろう?」
「俺は今でも乗ってることには変わりないが、こっちにも色々事情があるんだよ。
まあいい、アンタには聞かなきゃならないこともあるしな」
まあいい、アンタには聞かなきゃならないこともあるしな」
冥黒王ギギスト。後で助けはしたものの、一度はミカやキラたちに攻撃を仕掛けてきた怪人。恨みは決して忘れていない。
やみのせんしと話しているのもお構いなしに拳を握りしめ、ズンズンと近づいていく。
やみのせんしと話しているのもお構いなしに拳を握りしめ、ズンズンと近づいていく。
「わわっ!ちょ、ちょっと待って!ギギストくんのやったことは私も一緒に謝るから!
ほら、ギギストくんも頭下げて!ごめんなさいって!」
ほら、ギギストくんも頭下げて!ごめんなさいって!」
「だからそのギギストくんはやめろと言っている」
ミカが殴ろうとしていることを察したユメが慌てて両手を広げ止めに入る。
ソウジや美嘉と情報交換をしている間にギギストが元々は乗っているに近いスタンスで、何人かの参加者と交戦したことは聞いていたのだ。
不気味な怪人に似つかわしくない「ギギストくん」呼びに思わずミカも毒気を抜かれる格好となった。
ソウジや美嘉と情報交換をしている間にギギストが元々は乗っているに近いスタンスで、何人かの参加者と交戦したことは聞いていたのだ。
不気味な怪人に似つかわしくない「ギギストくん」呼びに思わずミカも毒気を抜かれる格好となった。
「……えーっと、本物の梔子ユメ、だよね?セリカちゃんが言ってた先輩の」
「セリカちゃんに会ったの!?どこで!?無事なの!?」
「さっきまでは一緒にいたんだけど、ジンガやグリオンに襲われて離れ離れになっちゃったの。
それでひとまず鉄華兵団に知らせようって話になってここに来たんだけど……ごめん、もうちょっと急いだ方が良かったかもね」
それでひとまず鉄華兵団に知らせようって話になってここに来たんだけど……ごめん、もうちょっと急いだ方が良かったかもね」
梔子ユメ。羂索にその死体を使われた少女。この真贋交わる殺し合いにおいて主役(メインキャスト)に選ばれた参加者。
当然多くの参加者から認知されており、それは藤丸立香とマシュ・キリエライトも例外ではなかった。
当然多くの参加者から認知されており、それは藤丸立香とマシュ・キリエライトも例外ではなかった。
「藤丸立香です。ホシノからあなたのことは聞いてます」
「わたしはマシュ・キリエライトです。こうしてお会いできて本当に良かった」
「ホシノちゃんに会ってたの!?」
「はい、今は別行動をされていますがお元気ですよ。
最初はユメさんのことで、その…大分ナイーブになっていましたが、先ほど会った時はいくらか落ち着いていました。ただ……」
最初はユメさんのことで、その…大分ナイーブになっていましたが、先ほど会った時はいくらか落ち着いていました。ただ……」
彼女は何かを隠しているような気がする。
何か心当たりがないかユメに聞こうとしたが、その寸前で一同の前に鉄華兵団の代表、ゼロが現れた。
何か心当たりがないかユメに聞こうとしたが、その寸前で一同の前に鉄華兵団の代表、ゼロが現れた。
「ようこそ、ひみつ道具博物館へ。私が鉄華兵団代表をさせてもらっているゼロだ。
もっとも見ての通り、メラの手の者による襲撃で施設はこの有り様だが……。
ともかくここには会議室がある。立ち話も何だ、そこで互いの情報交換をさせてもらっても?」
もっとも見ての通り、メラの手の者による襲撃で施設はこの有り様だが……。
ともかくここには会議室がある。立ち話も何だ、そこで互いの情報交換をさせてもらっても?」
「わかりました。じゃあお言葉に甘えて。
俺は藤丸立香です。俺たちはあなたたち鉄華兵団に伝えなくちゃいけないことがあって来ました」
俺は藤丸立香です。俺たちはあなたたち鉄華兵団に伝えなくちゃいけないことがあって来ました」
ゼロと立香が握手を交わしたちょうどその時、この場にいる、否、この場にいない参加者含め全員のホットラインに通知が入った。
運営による放送の時間ではない。無論ここにいる鉄華兵団による放送でも有り得ない。
運営による放送の時間ではない。無論ここにいる鉄華兵団による放送でも有り得ない。
「まさか……」
マクギリスの脳裏にある者の姿が浮かぶ。
彼なら自分たちと同じく運営の放送用回線にアクセスし、ホットラインを通じた放送ができてもおかしくない。
即座に放送用アプリを開くと画面に映ったのはマクギリスにとっては初見の、そしてラクスをはじめとした幾人かにとっては知った顔だった。
彼なら自分たちと同じく運営の放送用回線にアクセスし、ホットラインを通じた放送ができてもおかしくない。
即座に放送用アプリを開くと画面に映ったのはマクギリスにとっては初見の、そしてラクスをはじめとした幾人かにとっては知った顔だった。
「キラ!?」
『このバトルロワイヤルに巻き込まれたすべてのプレイヤーの皆様、一応はじめましてとさせていただきます。
僕はキラ・ヤマト。
世界平和監視機構コンパスのヤマト隊を率いる准将にして、オーブ首長国連邦代表首長カガリ・ユラ・アスハの双子のきょうだいでもあります。
この放送における僕の言葉は、カガリ・ユラ・アスハの代理としての言葉……つまりオーブという国の総意であるとお考え下さい』
僕はキラ・ヤマト。
世界平和監視機構コンパスのヤマト隊を率いる准将にして、オーブ首長国連邦代表首長カガリ・ユラ・アスハの双子のきょうだいでもあります。
この放送における僕の言葉は、カガリ・ユラ・アスハの代理としての言葉……つまりオーブという国の総意であるとお考え下さい』
時刻は21時30分を過ぎた頃。
この地で結成された王様戦隊による放送が始まった。
この地で結成された王様戦隊による放送が始まった。
☆
「なあ……これ、どう思う?舞衣たちが無事なのは良かったんだけどさ」
「少なくとも富良州高校に急ぐ必要はなくなったと見て良いだろう。
ルルーシュが間に合ったことでグリオン、いや、冥黒王とその配下を退けたからこんな放送ができたのは間違いない。
だがルルーシュはやはりあのことは黙ったままだな。だとすれば俺たちはどう立ち回るべきか……」
ルルーシュが間に合ったことでグリオン、いや、冥黒王とその配下を退けたからこんな放送ができたのは間違いない。
だがルルーシュはやはりあのことは黙ったままだな。だとすれば俺たちはどう立ち回るべきか……」
☆
王様戦隊による放送が終わった後のひみつ道具博物館・会議室。
そこには施設案内役のリルルを除いた参加者十七名、NPC枠のサーヴァント一騎が詰めていた。
鈴音、ソウジ、ユメは疲労の色が強かったが心配する周囲の声を押し切って会議に出席していた。
そこには施設案内役のリルルを除いた参加者十七名、NPC枠のサーヴァント一騎が詰めていた。
鈴音、ソウジ、ユメは疲労の色が強かったが心配する周囲の声を押し切って会議に出席していた。
会議に出席した者の顔色は大別して二種類に分けられる。
ルルーシュがこれまでの過激な言動を一ノ瀬宝太郎の前で謝罪し、新たな対主催チームを立ち上げたことで対立の必要はもうないと安堵する者。
トランクスたちとの情報交換でルルーシュが未だ隠している所業やそれによって生じた二次被害を知るためにより警戒を強める者。
言うまでもなく前者がゼロをはじめとした元々鉄華兵団に身を寄せていた者、後者が今しがた訪れた藤丸立香たちだ。
互いの自己紹介を終えた後、最初に口火を切ったのはゼロだった。
ルルーシュがこれまでの過激な言動を一ノ瀬宝太郎の前で謝罪し、新たな対主催チームを立ち上げたことで対立の必要はもうないと安堵する者。
トランクスたちとの情報交換でルルーシュが未だ隠している所業やそれによって生じた二次被害を知るためにより警戒を強める者。
言うまでもなく前者がゼロをはじめとした元々鉄華兵団に身を寄せていた者、後者が今しがた訪れた藤丸立香たちだ。
互いの自己紹介を終えた後、最初に口火を切ったのはゼロだった。
「マクギリスや鈴音など一部の者には既に伝えているが、我々鉄華兵団はこれからブリタニア・ザフト連合…、いや、王様戦隊との協力を視野に入れて行動したいと思っている。
君たちの中にもルルーシュに思うところがある者はいるかと思うが、どうあれ彼はこれまでの行いを悔い改め、カメラの前で謝罪も行った。
今優先するべきは参加者全体の一致団結とメラを筆頭とするマーダーへの対処だ。故に王様戦隊にこの施設の設備を使わせることも含め彼らと交渉を―――」
君たちの中にもルルーシュに思うところがある者はいるかと思うが、どうあれ彼はこれまでの行いを悔い改め、カメラの前で謝罪も行った。
今優先するべきは参加者全体の一致団結とメラを筆頭とするマーダーへの対処だ。故に王様戦隊にこの施設の設備を使わせることも含め彼らと交渉を―――」
「ダメに決まってんだろうが!!!」
「えっ?」
ゼロの口上を遮り、流子が机を叩きながら立ち上がった。それを隣に座ったピルツが宥めている。
元より鉄華兵団にいた面子もルルーシュに反感を抱く参加者が少なくないことは重々承知しているが、それにしてもここまでの反応はおかしい。
マクギリス、ラクス、ギギストはこの流子の反応だけでルルーシュには他に致命的な何かがあり、立香たちがそれを掴んだことを察した。
元より鉄華兵団にいた面子もルルーシュに反感を抱く参加者が少なくないことは重々承知しているが、それにしてもここまでの反応はおかしい。
マクギリス、ラクス、ギギストはこの流子の反応だけでルルーシュには他に致命的な何かがあり、立香たちがそれを掴んだことを察した。
「…彼は、ルルーシュにはまだ私たち他の参加者に隠している秘密があるのですね?」
ラクスの問いにニコルが答える。
「はい、僕たちがひみつ道具博物館へ着くまでに見聞きしたこと、中でも今別行動している仲間から聞いた事実をお話しします。
皆さん、あの王様戦隊なるチームを組織した彼を、ルルーシュを信用してはいけません。まずホットラインの墓標アプリを見てください。
彼は大道克己を倒すために味方だった松坂さとうを背中から騙し討ちにする間引き行為に手を染めています。綾小路清隆による成見亜理紗の殺害も彼の間引き指示である可能性が高い。
そして今の放送でも触れなかったように、彼はこの事実を徹底的に隠蔽するつもりです」
皆さん、あの王様戦隊なるチームを組織した彼を、ルルーシュを信用してはいけません。まずホットラインの墓標アプリを見てください。
彼は大道克己を倒すために味方だった松坂さとうを背中から騙し討ちにする間引き行為に手を染めています。綾小路清隆による成見亜理紗の殺害も彼の間引き指示である可能性が高い。
そして今の放送でも触れなかったように、彼はこの事実を徹底的に隠蔽するつもりです」
それからは立香たちやニコルたちがそれぞれ経験した出来事、そして先ほどのトランクスたちとの情報交換やコーカサスカブト城で出会った道外流牙、益子薫のことを話した。
合間に鉄華兵団の面々もこれまでに手にした情報を立香たちに伝えた。
ある程度情報交換を進めた時、ドラえもんが我慢の限界と言わんばかりに顔を真っ赤にして立ち上がった。
合間に鉄華兵団の面々もこれまでに手にした情報を立香たちに伝えた。
ある程度情報交換を進めた時、ドラえもんが我慢の限界と言わんばかりに顔を真っ赤にして立ち上がった。
「何てことをしたんだ!ルルーシュくんは!!
乗ってない人を騙し討ちにした上に、その人にとって大事な人だと知りながら、のび太くんぐらいの小さい子に向かって何てことを!!
しかも悪びれもせずに他の人には隠し通そうとしているだって!?彼を信じようとしたぼくが馬鹿だった!!もうどうなっても知るもんか!!!」
乗ってない人を騙し討ちにした上に、その人にとって大事な人だと知りながら、のび太くんぐらいの小さい子に向かって何てことを!!
しかも悪びれもせずに他の人には隠し通そうとしているだって!?彼を信じようとしたぼくが馬鹿だった!!もうどうなっても知るもんか!!!」
(ルルが、そんなことを……)
ゼロという仮面を被るシャーリーを含め、話を聞いた鉄華兵団の面々は皆一様にその表情を険しくした。
ドラえもんが先んじて爆発したことで、彼の怒りようを見た他の者はある程度冷静さを保てているが。
ドラえもんが先んじて爆発したことで、彼の怒りようを見た他の者はある程度冷静さを保てているが。
「そっちもだが、まさかドゴルドが味方とはな……。ウッチーと戦う約束を反故にされたということなら有り得なくもないが、信用して大丈夫なのか?」
「ひとまず怪獣医…もとい、ドクター孔富とトランクスが見張ってくれてる。すぐにどうこうなることはないと思うわ」
立風館ソウジとしては五道化として立ちはだかってきたドゴルドが対主催側に転じたことが俄かに信じ難かった。
四凶以上の実力を誇り、宇蟲王ギラの撃破にも大きく貢献してくれたトランクスが傍で見張っているということだがそれでも懸念は拭いきれない。
四凶以上の実力を誇り、宇蟲王ギラの撃破にも大きく貢献してくれたトランクスが傍で見張っているということだがそれでも懸念は拭いきれない。
「しかし奴は今や乗っている側だとはいえ参加者の柊真昼を乗っ取っている。そこまでやるような奴を好きにさせておくのは―――」
「いやちょっと待って。……今、柊真昼って言った?」
「お、おい。そりゃああのチビの……!」
「君たち、知らずに奴と話してたのか?いや、確かに知らなければ無理もないか」
ソウジは美嘉や今は亡きキズナブラックとともにドゴルドと交戦した時に、同じくマーダーとして対峙していた柊真昼の肉体を乗っ取っていた。
そう、柊真昼だ。NPCモンスターとして生成された柊シノアの姉。ピルツが孔富とともに救済(すく)うと約束した少女の姉だ。
そう、柊真昼だ。NPCモンスターとして生成された柊シノアの姉。ピルツが孔富とともに救済(すく)うと約束した少女の姉だ。
「ドゴルドの野郎、私らに嘘ついてやがったのかよ!?」
「ホシノが隠してたことはこれだったのか……」
立香は思い出す。先ほど話し合いをしている時に妙にドゴルドと目配せをし合っていた様子を。
恐らくあれは柊真昼の妹であるシノアと出会うという想定外の事態を乗り切るために話の一部で嘘をついていたのだ。
ソウジの話によれば元々ドゴルドが憑依していたのは同じ五道化の砂狼シロコ。滅ぼされたキヴォトスの生き残り。
だからその部分だけを誤魔化して話したのだろう。
恐らくあれは柊真昼の妹であるシノアと出会うという想定外の事態を乗り切るために話の一部で嘘をついていたのだ。
ソウジの話によれば元々ドゴルドが憑依していたのは同じ五道化の砂狼シロコ。滅ぼされたキヴォトスの生き残り。
だからその部分だけを誤魔化して話したのだろう。
「しかしホシノさんたちは何故そんな嘘を?」
「恐らくですが、単純にNPCであるシノアのことを軽視していたんだと思います。
彼らはルルーシュやメラを討伐するための準備を急いでいた様子でしたから、その意味で言えば悪気はなかったのかもしれません」
彼らはルルーシュやメラを討伐するための準備を急いでいた様子でしたから、その意味で言えば悪気はなかったのかもしれません」
「向こうから見ればそうなるんだろうけど、こっちからすればあまり良い気はしないわね。
悔しいけど柊姉妹のことは、ちひろとドクター孔富を信じるしかないか……」
悔しいけど柊姉妹のことは、ちひろとドクター孔富を信じるしかないか……」
客観的に見れば元々存在していた一般NPCを連れ歩いていたちひろたちの方が異常なのでシノアを軽視したホシノやドゴルドの考えが殊更冷徹とも言い難い。
それでもピルツとしては歯痒いばかりだった。
それでもピルツとしては歯痒いばかりだった。
「聖園ミカの話では富良州高校で魔王グリオン改め冥黒王がキラ・ヤマト准将や里見セリカを襲っているということだったが、放送を見る限りルルーシュの介入であちらの脅威は退けられたようだな。
もっともやみのせんしの話と総合すると、そもそも富良州高校に冥黒王が現れたのはルルーシュが無用に神戸しおの憎しみを煽り、自身に対抗するよう仕向けたために雄英高校で討ち漏らしたからということになるが……」
もっともやみのせんしの話と総合すると、そもそも富良州高校に冥黒王が現れたのはルルーシュが無用に神戸しおの憎しみを煽り、自身に対抗するよう仕向けたために雄英高校で討ち漏らしたからということになるが……」
「そうだよ。そんでギギスト、アンタに冥黒王のことを聞きたいんだった。
あいつの能力やら性格やら弱点やら、アンタなら詳しく知ってるんじゃないのか?」
あいつの能力やら性格やら弱点やら、アンタなら詳しく知ってるんじゃないのか?」
「亀井美嘉には既に話したがゼロの手前もある、我からもう一度説明しておこう。尤も判明していることは多くないがな。
まず最初に、同じ冥黒王の名を冠してはいるが我とグリオン…彼の冥黒王は世界線を異にする存在だ。
ルルーシュとゼロがそうであるように、何らかの歴史の分岐点から枝分かれしたのが我と彼の冥黒王であろう。
ベースとなったのが我が生み出した錬金人形のグリオンであることは間違いないが、聖園ミカの話を聞くに既に肉体もこの地の者のそれに作り替えているようだ。
我の知るグリオンは呆れるほどの黄金への執着を持っていたが彼の冥黒王にはそうした執着はないようだ。…あるとすれば人間への底知れぬ悪意、というところか。
そして既に知っている者も多いだろうが奴の能力は冥黒の錬金人形を生み出すこと。この地では参加者の死体を使うことに味を占めたと見える」
まず最初に、同じ冥黒王の名を冠してはいるが我とグリオン…彼の冥黒王は世界線を異にする存在だ。
ルルーシュとゼロがそうであるように、何らかの歴史の分岐点から枝分かれしたのが我と彼の冥黒王であろう。
ベースとなったのが我が生み出した錬金人形のグリオンであることは間違いないが、聖園ミカの話を聞くに既に肉体もこの地の者のそれに作り替えているようだ。
我の知るグリオンは呆れるほどの黄金への執着を持っていたが彼の冥黒王にはそうした執着はないようだ。…あるとすれば人間への底知れぬ悪意、というところか。
そして既に知っている者も多いだろうが奴の能力は冥黒の錬金人形を生み出すこと。この地では参加者の死体を使うことに味を占めたと見える」
ギギストの説明に対する反応は様々だった。
納得する者、驚く者、既に知っている者。ただ全員に共通するのは大なり小なり生じた嫌悪感だった。
場が静寂に包まれかけた時、「ハーイ!」と間の抜けた大きな声でユメが手を挙げた。
納得する者、驚く者、既に知っている者。ただ全員に共通するのは大なり小なり生じた嫌悪感だった。
場が静寂に包まれかけた時、「ハーイ!」と間の抜けた大きな声でユメが手を挙げた。
「さっき私たちが戦ったディアッカって人の偽者がとんでもなく強かったんだけど、その前に戦ったシノンちゃんの偽者はそこまでじゃなかったんだよね。
ギギストくん、冥黒王が作った偽者軍団って強さにムラとかそういうのがあるものなのかな?」
ギギストくん、冥黒王が作った偽者軍団って強さにムラとかそういうのがあるものなのかな?」
「ギギストくんはやめろ。それはともかく素体にした者の力量によって個体差は生じるであろうな。
だが話を聞く限り先ほどの者は殺害した参加者から高ランクの装備を多数奪い取って武装していたのが要因として大きいだろう。
あるいはソードスキルまで奪い取って行使していたかもしれん」
だが話を聞く限り先ほどの者は殺害した参加者から高ランクの装備を多数奪い取って武装していたのが要因として大きいだろう。
あるいはソードスキルまで奪い取って行使していたかもしれん」
「墓標アプリを見ただけでもキリトの知り合いとか殺してるみたいだしね」
「撃退できたとはいえ、奴が蒐集した支給品は冥黒王に渡ってしまったと考えるべきだろう。
他のマーダーを捕食したらしいジンガ共々、心意システム実装前の四凶に届くほどの脅威度と見積もっておくべきだな。
メラばかりを警戒していては彼らのようなマーダーに致命的な被害を被りかねない」
他のマーダーを捕食したらしいジンガ共々、心意システム実装前の四凶に届くほどの脅威度と見積もっておくべきだな。
メラばかりを警戒していては彼らのようなマーダーに致命的な被害を被りかねない」
マクギリスが冥黒王やジンガへの警戒を語った時、流子が耐えかねたように発言した。
「警戒って話するんなら、同じ対主催のくせに一ミリも信用できねえルルーシュだろ!!
しかも何だよあの茶番は!?どうせ放送に映った連中も全員騙してんだろ!胸糞悪いったらありゃしねえ!!」
しかも何だよあの茶番は!?どうせ放送に映った連中も全員騙してんだろ!胸糞悪いったらありゃしねえ!!」
「だから今、別行動中のトランクスやホシノたちはルルーシュを倒す…いえ、殺すことを念頭に動いています。
……孔富さんは先にルルーシュが参加者の間引き行為に手を出した以上はこっちに間引かれても文句は言えない、と言ってました」
……孔富さんは先にルルーシュが参加者の間引き行為に手を出した以上はこっちに間引かれても文句は言えない、と言ってました」
ルルーシュ討つべし。その言葉に鉄華兵団の面々はざわついた。
それも当然のこと。参加者を襲うマーダーと戦うのとはわけが違う。
それも当然のこと。参加者を襲うマーダーと戦うのとはわけが違う。
「いや、いくら何でもそれは……」
躊躇するゆうに美嘉も無言で頷いた。
そんな中ユメが勢いよく立ち上がった。
そんな中ユメが勢いよく立ち上がった。
「ホシノちゃんたちを止めなきゃ!乗ってもない人を殺すのはダメ!……私が言っても、説得力はないかもだけど」
反対の意見が続々出てきたことで流子の苛立ちが増しているのが傍目からもわかる。
それを見てマクギリスは意見を出すことにした。
それを見てマクギリスは意見を出すことにした。
「しかしこの極限状況を強いられる環境下で味方殺しを行う男との共闘など現実的ではない。
百歩譲って明確に優勝狙いのステルスマーダーを看破した結果だというならまだしも、神戸しおの保護を求めていた松坂さとうがそれに該当するとは考えられない。
松坂さとうの死後も執拗に彼女を貶めていた事実も到底見過ごせる話ではないだろう。君たちも自分の身に置き換えて考えてみるといい。
実現性はともかくとしても、鉄華兵団の方針として皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの粛清はやむを得ないものと考えるが?」
百歩譲って明確に優勝狙いのステルスマーダーを看破した結果だというならまだしも、神戸しおの保護を求めていた松坂さとうがそれに該当するとは考えられない。
松坂さとうの死後も執拗に彼女を貶めていた事実も到底見過ごせる話ではないだろう。君たちも自分の身に置き換えて考えてみるといい。
実現性はともかくとしても、鉄華兵団の方針として皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの粛清はやむを得ないものと考えるが?」
「反対です。間引き行為に対して同じ行為で報復するべきではありません」
すかさずラクスが反対意見を口にするが、マクギリスは眉一つ動かさない。
「ただの間引きではないから言っているのですよ、クライン総裁。
綾小路清隆に指示したにせよしなかったにせよただルルーシュに不平を漏らしたというだけで善良な対主催の者を暗殺。
危険人物の気があったにせよ、少なくとも一度はルルーシュの臣下になったはずの松坂さとうを戦場での騙し討ちで殺した挙句、死後も幼子への挑発に利用する。
それに彼が放送で見せびらかしていたプロトガシャット、あれも恐らくは松坂さとうから詐取したものでしょう」
綾小路清隆に指示したにせよしなかったにせよただルルーシュに不平を漏らしたというだけで善良な対主催の者を暗殺。
危険人物の気があったにせよ、少なくとも一度はルルーシュの臣下になったはずの松坂さとうを戦場での騙し討ちで殺した挙句、死後も幼子への挑発に利用する。
それに彼が放送で見せびらかしていたプロトガシャット、あれも恐らくは松坂さとうから詐取したものでしょう」
「理解するぞ、マクギリス。プロトガシャットは元々はアリサ・ミハイロヴナ・九条に支給されていたもの。
それを松坂さとうが回収し、ルルーシュに降る際に臣下の証として献上することで神戸しおの保護を約束させようとした。
だがルルーシュは約束を反故にし、松坂さとうを大道克己にぶつけ、策謀を以って諸共に葬り去ることで奴らの持っていた装備全てを総取りした」
それを松坂さとうが回収し、ルルーシュに降る際に臣下の証として献上することで神戸しおの保護を約束させようとした。
だがルルーシュは約束を反故にし、松坂さとうを大道克己にぶつけ、策謀を以って諸共に葬り去ることで奴らの持っていた装備全てを総取りした」
「その通り。参加者同士の殺し合いを強制された状況下において最も信用を失う禁忌肢を彼は選んでしまった。
大道克己やノワル、真人といったマーダーたちを倒してきたという功績がどれほどあろうと生かしてはおけない。その一線を超えている」
大道克己やノワル、真人といったマーダーたちを倒してきたという功績がどれほどあろうと生かしてはおけない。その一線を超えている」
「禁忌肢?」
マクギリスが口にした耳慣れない単語に立香や流子、ゆうなどが頭に疑問符を浮かべる。
そこへマシュがすかさず補足を加えた。
そこへマシュがすかさず補足を加えた。
「医学関連の用語ですね。以前ドクター・ロマンから教わったことがあります。
医師国家試験等で出題される、それ以外のどの設問で加点があってもそれを選んでしまった時点で失格となってしまう、絶対に選んではならない選択肢のことです。
人命に関わる医療現場で明らかに間違った判断をする人を医者にしないために設けられた設問で、禁忌肢を選んでしまうぐらいなら何も選ばない方がまだマシである、という考え方で行われているそうです。
ちなみに禁忌肢の付いた設問をドボン問題、禁忌肢を選んで失格となってしまうことを禁忌肢落ちと呼ぶことがあります」
医師国家試験等で出題される、それ以外のどの設問で加点があってもそれを選んでしまった時点で失格となってしまう、絶対に選んではならない選択肢のことです。
人命に関わる医療現場で明らかに間違った判断をする人を医者にしないために設けられた設問で、禁忌肢を選んでしまうぐらいなら何も選ばない方がまだマシである、という考え方で行われているそうです。
ちなみに禁忌肢の付いた設問をドボン問題、禁忌肢を選んで失格となってしまうことを禁忌肢落ちと呼ぶことがあります」
つまりルルーシュは対主催として一大勢力の結成やマーダーの撃破など、多くの功績があって尚帳消しとできない、取り返しのつかない愚行をしているということだ。
(どうしよう……)
ルルーシュへの対処で会議が紛糾しつつある中、ゼロの仮面の下でシャーリーは苦悩していた。
先ほどの放送を見た時はルルーシュがカメラの前で他人に頭を下げて謝罪してくれたことが我がことのように嬉しく思えたし、これから手を取り合っていけるとさえ思うことができた。
だが蓋を開けてみれば序盤に犯した最大の罪を隠蔽するために認めても痛手にならない罪を公に認めてみせただけだった上に、こうして多くの対主催にその情報が共有される事態にまで発展している。
実際にマクギリスやギギスト、流子などはルルーシュの粛清を主張しており、ルルーシュへの不満と不信が極限まで高まっているのを肌で感じる。
先ほどの放送を見た時はルルーシュがカメラの前で他人に頭を下げて謝罪してくれたことが我がことのように嬉しく思えたし、これから手を取り合っていけるとさえ思うことができた。
だが蓋を開けてみれば序盤に犯した最大の罪を隠蔽するために認めても痛手にならない罪を公に認めてみせただけだった上に、こうして多くの対主催にその情報が共有される事態にまで発展している。
実際にマクギリスやギギスト、流子などはルルーシュの粛清を主張しており、ルルーシュへの不満と不信が極限まで高まっているのを肌で感じる。
(ここで私が素顔を見せて「やめて」と言えば…やめてくれる?
………ダメ、それじゃ何の解決にもならない!)
………ダメ、それじゃ何の解決にもならない!)
ゼロではなくシャーリーとして顔を晒して名乗り出て、ルルーシュの助命を請えばあるいはその流れに持ち込むことはできるかもしれない。
益子薫が流子に言ったことを踏まえ、自分が直接ルルーシュに聞いて確かめるとでも言えば一旦は粛清の流れを堰き止められるかもしれない。
しかしそれで皆から得られるものは妥協や諦めであって、納得でもなければ理解でもない。
根本にあるのがルルーシュによる悪質な味方殺しとその隠蔽にある以上、鉄華兵団(こちら)がただ妥協するだけでは皆の不満や不信が高まることこそあれ逆は起こり得ない。
ラクスやユメなど反対派にしてもあくまで粛清というやり方に異を唱えているだけでルルーシュを信用しているわけでも何でもないのだから。
とにかくここは双方が一旦は納得できる方針を提示してみせなければ。
益子薫が流子に言ったことを踏まえ、自分が直接ルルーシュに聞いて確かめるとでも言えば一旦は粛清の流れを堰き止められるかもしれない。
しかしそれで皆から得られるものは妥協や諦めであって、納得でもなければ理解でもない。
根本にあるのがルルーシュによる悪質な味方殺しとその隠蔽にある以上、鉄華兵団(こちら)がただ妥協するだけでは皆の不満や不信が高まることこそあれ逆は起こり得ない。
ラクスやユメなど反対派にしてもあくまで粛清というやり方に異を唱えているだけでルルーシュを信用しているわけでも何でもないのだから。
とにかくここは双方が一旦は納得できる方針を提示してみせなければ。
「いずれにせよこの期に及んでルルーシュの致命的な罪を隠蔽し続ける王様戦隊に我々が合流するというわけにはいかない。
ここは立香やニコルが進言してくれた通り、彼らが持ち込んでくれたヴィジョンドライバーを使って再度主催者側の放送用回線をジャック。
こちら側の放送で参加者全体にルルーシュの所業を周知、王様戦隊に抗議することこそが―――」
ここは立香やニコルが進言してくれた通り、彼らが持ち込んでくれたヴィジョンドライバーを使って再度主催者側の放送用回線をジャック。
こちら側の放送で参加者全体にルルーシュの所業を周知、王様戦隊に抗議することこそが―――」
「ゼロ、いけません!それはルルーシュの仕掛けた罠です!!」
「えっ?」
ゼロにとってあまりに意外なところから反対された。ラクスだ。
彼女は必至の形相で抗議の放送をしようとしたゼロを制止している。
彼女は必至の形相で抗議の放送をしようとしたゼロを制止している。
「ルルーシュはあの放送を見た他の対主催の参加者からの反感を買うことなど織り込み済みです。
先の放送の目的は王様戦隊という存在の喧伝や、ルルーシュがホウタロウをはじめとする良識的な参加者からの信用を得たことの対外的アピールだけではありません。
彼の目的は王様戦隊に歯向かう対主催勢力の炙り出し、そして―――私たち鉄華兵団を懐柔、ないしは武力制圧することで自身への嫌疑の全てを有耶無耶にすることにあります」
先の放送の目的は王様戦隊という存在の喧伝や、ルルーシュがホウタロウをはじめとする良識的な参加者からの信用を得たことの対外的アピールだけではありません。
彼の目的は王様戦隊に歯向かう対主催勢力の炙り出し、そして―――私たち鉄華兵団を懐柔、ないしは武力制圧することで自身への嫌疑の全てを有耶無耶にすることにあります」
| 201:暗雲来る/つかめ!最悪最低のガッチャ! | 投下順 | 202:私たちで作り出すGenesis! |
| 時系列順 | ||
| 192:博物館事変:無垢で穢れ無き英雄譚 | マクギリス・ファリド | |
| 二代目ゼロ | ||
| ドラえもん | ||
| 立風館ソウジ | ||
| 梔子ユメ | ||
| 冥黒王ギギスト | ||
| 亀井美嘉 | ||
| 東ゆう | ||
| ラクス・クライン | ||
| 堀北鈴音 | ||
| 196:シュゴッダムの秘密 | 藤丸立香 | |
| マシュ・キリエライト | ||
| ニコル・アマルフィ | ||
| 纏流子 | ||
| ピルツ・デュナン | ||
| 浮世英寿 | ||
| やみのせんし | ||
| 聖園ミカ | ||
| 道外流牙 | ||
| 益子薫 |