誕生した
神世界、その完成を阻むため三次元に帰還したラグナと、その運命に付き合うため
神祖から離反した
リチャードはその帰還を待ち構えていた神の
眷属達によって絶体絶命の窮地に立たされてしまう。
既に瀕死の親友のため、不滅の身体を盾にして戦うリチャードに戦線を支えられながら離脱、あるいは逆襲の機会を。そう狙うラグナであったが。
「――――、ァ」
この時のためにあえて残しておいた裏切り者を主たるイザナは有効活用する。
洗礼解除――不滅の
使徒から只人に堕ちるリチャードが袈裟切りに両断される。そして死にゆく友の姿に生じた動揺を突かれ、ラグナも行動不能の損傷を与えられてしまう。
二つに分かれた友人の亡骸へ、地に堕ちた憐れな邪竜は血濡れの手を伸ばす。千年の経験値から事前に予測し立てられた対抗策を前に、既に見知った奇跡は通用しない。
覚悟による飛翔から絆による共鳴まで、あらゆるすべてに対する理解が彼らの強みで絶対性。だからこそ、新西暦に初めて生じた”
神殺し”は千年初の異常事態、
初見であったからこそ空前絶後の天敵として機能したのだ。
だが、もうその優位性は崩れ去った。一度切った手札は、奴らには二度は通じない。このままあらゆる対策に嵌め殺されて、抵抗虚しく潰えるのみ―――。
+
|
―――ああ、ならば |
「見切ったぞ、こう造るのだな。貴様らは」
血濡れの掌に芽吹く真紅の輝きに神祖の恩恵を一身に受ける使徒たちが瞠目する。
解析完了――いま再び、空前絶後を形にしよう。
ラグナがその手に生み出したのは真紅の翠星晶鋼―――その苗木は対象者に不死を授ける天津神々の改造兵器であり、千年初の神祖以外の眷属を生む邪竜の加護に他ならなかった。
不可能だと?ありえないと?驚くことなど、まったく笑止。
それこそあり得ない、何故なら―――、俺が奴である以上、奴に出来るあらゆる御業で俺に不可能なことなどないのだから。
しかし、ラグナが今まで翠星晶鋼を創造出来ずにもがいていたのは、同一存在であるという自覚の有無が欠けていたのと、参考にすべき設計術式を理解できていなかったためである。
加えて新西暦発祥の新技術、翠星晶鋼の扱いに関して膨大な年月を積み重ねてきた神祖の影さえ踏めなかったが、しかし。
己の真実を知り、受け止めたこと。先ほど迂闊にも友の洗礼を剥奪したこと。二つの要素が組み合わさった果て、思考の枷は砕け散った。
不死者から只人へと生じる肉体変化を逆算して数式を刹那に構築。超高速生体演算装置を超えて駆動する脳細胞が、蒸発しそうな意識の中で製造過程を駆け抜けて、そして―――。
完成した禍津の樹晶を草薙剣の骸へと突き立てた。
「さあ、行こうぜ親友。おまえの運命はここからだ」
そして蘇る草薙剣。邪竜を調伏せし優しい聖騎士は、天を穿つ竜騎士へと飛翔した。
|
- 親友殺された結果、神だろうが知ったことかとブチ切れて別種の覚醒を果たすラグナ君の図w -- 名無しさん (2020-07-14 22:49:14)
- ここは完全に手詰まりだと思ったからマジで「その手があったか」ってなった -- 名無しさん (2020-07-15 12:01:17)
- 千年分のアドバンテージを後追いで追い抜いた主人公の図。いや、十分驚くに値します -- 名無しさん (2020-07-15 18:57:06)
- オルフィレウス「閃いたぞ、こう作る方がより有効的だ」 -- 名無しさん (2020-07-17 22:00:16)
- ↑お前は本当にやりかねないから困る。具体的には翠星晶鋼に刻鋼式心奏永久機関の機能を上乗せして、星辰奏者と刻鋼機人のハイブリットぐらいは作りそうだ。 -- 名無しさん (2020-07-17 22:07:46)
- 見つけたぞ、ここで女神とシているのだな。我が愚息よ。 -- 名無しさん (2020-07-17 22:11:36)
- ↑↑書いた奴だけど、神祖は全員真理到達しそうな気もしないではない。というより到達「してしまう」存在といった方が近いのだろうか。 -- 名無しさん (2020-07-17 22:12:41)
- ↑グレンファルト以外はメンタル真理に行けるぐらい強くないからなぁかと言って振り返るのもできないし -- 名無しさん (2020-07-17 22:35:44)
- (∴)見つけたぞ。こんなところにいたのか、お前 -- 名無しさん (2020-07-17 22:38:21)
- まあ、弱点を潰していくだけでは真理到達は出来んだろうし。 -- 名無しさん (2020-07-17 23:11:06)
- 弱点潰しすぎて影装に至れないオチで頼む -- 名無しさん (2020-07-18 06:58:16)
- コレに限らず作中での神祖って慢心しなさすぎて逆に勝ち確なくしてる節があるよね -- 名無しさん (2024-01-19 16:44:08)
最終更新:2024年01月19日 16:44