【剣魔】と斬り合う。
【剣魔】の力に敬意を表し、全力を出すに至った。
勝負の最中、己が放った 絶技『冥皇剣』 により、闘っていたビルが崩壊する。続行したかったが、しばらくすれば人が集まりそうなので、 【剣魔】の【漆桜】の状態もあり手打ちとする。
【闘士儀属】と公園で出会う。
しばらく言葉を交わし、互いに名乗りあってそのまま分かれる。
剣士のようだったが、いつか剣を合わせる事になるのか…それは分からない。
二代目【剣聖】と剣を合わせる。
先代【剣聖】すら凌駕する〝瞬剣〟、しかと見たようだ。
次に手合せする時は、〝修羅〟の業すら使うだろう。そう感じたようだ
機関の任務中、 【真双戒剣】と遭遇。
剣を合わせる事はなかったが、剣を携えていた為、剣の使い手である事は分かったようだ。
任務終了後、記憶を消去した少女を 【真双戒剣】に預ける。
厳密に言えば預けたわけではないが、あの女の性格上、保護するだろうと予測したようだ。
【真双戒剣】と斬り合う。
能力者であることは分かったが、 【真双戒剣】自身に能力があるわけではなく、 【真双戒剣】の持つ剣に能力があることを知ったようだ。
…一人の〝修羅〟の誕生を見た。
あの女が、真に〝修羅〟へと堕ちるのか…それはまだ、分からない。
自身と同じ名を持つ戦士と手合わせする。
剣術も魔術もまだ荒削りだが、その天賦の才を見抜いたようだ。
そしてその娘も同じく、〝修羅〟に落ちようとしていることを知る。
…青年は何を思うのだろうか。それは本人以外、知るはずも無い。
クローサ=セレズニアと三度相見える。
完全な〝修羅〟へと堕ち切ることはできなかったようだ。
…そして、自分が何処へ向かうべきなのか。…その『答え』を見定めることを決めたと見えた。
クローサ=セレズニアが『答え』を見つけた時。
…その時は、もう一度―――――
レオン・ド・サルタナと手合わせする。
その体をあらゆる生物に変化させる能力、驚きを禁じ得なかったようだ。
それと同時に、 レオン・ド・サルタナ本人の強さも垣間見た。
きっとあの男は、例え能力が無くとも強い。…〝修羅〟は、そう感じ取ったようだ。
『ランカーズ』元社長と邂逅する。
異界と思わしき地に誘われ、戦乙女達と戦闘。
その後、自らの『目的』の糧となると判断し、しばらくの間 『ランカーズ』元社長に力を貸すことを承諾、ルーンを刻まれる。
あの『女神』が何を思い、何を成そうとしているのか。
それが何であれ――――〝修羅〟は、己自身の意志で力を貸すと決めた。
『ランカーズ』にてNo.29を獲得した後、 髑髏の仮面を着けた女と戦闘を繰り広げる。
両足のブースターや両腕から爆炎を噴出させる存在が人間の顔をしていたことに驚きつつも、最終的に勝利/敗北を収めた。
…最早、〝修羅〟の道を引き返す事などしない。他の誰でもない、自分自身の意志で決めたからだ。
【カノッサ機関】再興の際、 『盾』の能力者と戦闘。手の平から盾を展開し、更には使用者を覆うようなドーム状の盾まで展開が可能のようだ。
…それとは別に。戦闘の途中、いきなり様子が変わった。
思えば、少しだけ本気の〝殺気〟を放出した直後から様子が変わったようだが…果たして、その真相は?
〝皇帝〟と邂逅する。
今しばらく 『カノッサ』には戻れない旨を伝えた後、 『カノッサ』の在り方、歩む道について問われ、己の考えを告げる。
…『一つの組織による完全な統治』を実現できるならば、〝欺瞞〟は消え去る。それは間違っていない。だが―――――
今、ここでは語るべきことではない。 『カノッサ』の語る目的は決して間違っているとは思わないし、青年自身それに加担していたからだ。
故に〝修羅〟は、己の意志でそれを選び取る。『目的』のために、幾千幾万の血をその身に浴びて。
『ランカーズ』にて アルスと相見える。そして、 髑髏の女と同一人物である事に気付く。
皇帝と同じ黒い軍服を身につけていた。…両者にどのような繋がりがあるのだろうか。
『黒』についての情報は得られなかったが、『獣になりかけた化け物のような身体能力を持つ巨体の剣士』についての情報が得られた。
探している『黒』とは違うが、注意しておく必要があるだろう。
『ランカーズ』にてNo.10に昇格後、 武神 百と剣をあわせる。
音に聞こえし「正心一刀流」の技、しかと見届けたようだ。もっとも万全ではなかったようなので、全てを見るには至らなかったが…かの 【剣聖】に匹敵する神速の刺突、並みの者ならば反応すらできずに喉を穿たれていてもおかしくはない。
武神 百が万全の状態となり再び打ち合う事となった時は、一層気を引き締めなければならいと、そう考えたようだ。
『ランカーズ』にて セレナーデ・ド・サルタナと戦闘。
切れ味鋭い剣技と巧みな体術、その二つが合わさった戦闘スタイルに感心したようだ。
キリのいいところで手打ちとし、その後に レオン・ド・サルタナの娘だと聞き、少しばかり驚愕する。
しかしまぁ、この世界では何があってもおかしくはないということを思い返し、そこまで不思議な事ではないと思ったようだ。
『同胞団』と 『教団』間の戦争の折、廃墟にて カメリア・レイソンと出会う。
カメリア・レイソンは紅き巨竜へと変化し、自身はその背に乗り戦場へと飛び立つ。
戦場に到着後、上空から戦場の様子を眺める。その際、戦争に参加していた能力者を知り、『大聖堂』内部にいた能力者たちの会話を一部始終聴く。
その後、瓦礫の街と化した宗教都市に降り立ち、『大聖堂』内部にいた能力者達の内二人を見に カメリア・レイソンを『大聖堂』に送るも、能力者二人は既に離脱した後だった。
それを確認したあと、自身も宗教都市より出る。 カメリア・レイソン――――――あの『魔女』の本当の顔がどちらなのか、未だ判然とせぬまま別れる。
『ランカーズ』屋外練習場にて、 柳巌と出会う。
『剣士』ではなく『剣術家』ではあったが、見事な腕を持っていた。
打ち合い、その過程で《鬼炎斬》を繰り出し、己の〝修羅〟を垣間見せる。
その結果、 【巌栖剣風】は己が〝至剛〟を完成させ、見事《鬼炎斬》を防いでみせた。
だがその代償だろうか―― 【巌栖剣風】の身体は崩壊し、土くれとなる。
だが完全に土くれと化す間際―― セレナーデに渡してくれと、大太刀『岩霊』を預かる。
彼女の最期を見届け、その場を去った。
――――後には、一陣の風が吹いていた。
とある街角にて、 死体を背負った男と出会う。
『能力者狩り』を目的としているようで、青年を勧誘してきた。
青年はこれを断るが、さして気にしていない――どころか、ニヤニヤと厭な笑みすら浮かべていた。
かつて相対したとある男と同種の雰囲気――〝蛇〟の気配を感じ取る。
アレは正直只者ではないし、『能力者』に対しても只では済まさないのであろう事を予感した。
喫茶店にて 春 綾芽と出会う。
どこか――いや、相当抜けているようで、穴の開いた財布から小銭を落としたり椅子ごとすっ転んだりと、かなりのドジをやっていた。
が、それだけではないようで、しっかりとした一面も持ち合わせていた。……それだけに落差は激しかったが。
見た目は筋肉量が一般人と大差ないため分かり難かったが、格闘家のようだった。
一目見た限りではまだまだ未熟だし、実際に闘ったわけでもないが……その拳には確かに〝活人〟の意志が宿っているように感じられた。
――――遠い存在。そう、思った。
亡びた廃都にて、 クラリッサ・プレアディアと出会う。
彼女は初め、素っ頓狂な態度を取っていたが――。
廃都に巣食う怨念――そして、都を滅ぼした人口能力者の力の残滓。
死して尚贄となり、安らかな眠りを許されなかった少女。
おぞましい変貌を遂げた廃都と滅びた者達の怨念に呑まれた少女の心を救う事によって、彼女は穏やかな表情を見せた。
彼女は黒いコート―― 『機関』の装いを身に纏っていたが……そんなことは、関係がない。
少なくともあの少女を救えるだけ、自分よりもよほど上等な『人間』なのだろう、と。
――そうして青年は、もう訪れないであろう廃都を後にした。
【王国】にて 二刀を佩いた狼の耳を持つ女性に出会う。
彼女は青年に試合を申し込んできた。それを受諾したところで、周辺にあった定食屋を武装した妖魔――ゴブリンの群れが襲撃した。
数は五体。幸いにして人的被害はなかったが、青年と彼女の二人に殲滅されようとする最中――ゴブリンの内一体がスタングレネードと爆発物を使ってその場から逃走する。
知能が低い妖魔がここまで近代的な装備を使いこなすのは通常有り得ないことであり――青年はその背後で何者かが糸を引いているだろうと予想する。
結果としてそれは的中していた。王国近隣の山脈の麓に、一千の武装した妖魔の軍勢が展開されており、その少し奥には巧妙に隠された天然の『要塞』があった。
『要塞』に突入し、妖魔の軍勢を操っている者を仕留めるのは 彼女に任せ、自身は眼下に展開する一千の妖魔軍勢を相手にした。
――結果から言えば、千の武装妖魔集団は青年の敵ではなかった。
縦横無尽に戦場を駆け巡り、片端から斬り捨てる。それを繰り返すだけで瞬く間に妖魔は数を減らしていき、しばらくするとそこにいるのは千体の屍と無傷の青年一人だけになっていた。
そして『要塞』に向かおうとした直後、世界に響き渡るような咆哮が轟き――『銀の巨龍』を先頭に、無数の『龍』が青年に殺到した。
――戦闘を続けているうちに、銀の巨龍が強力な攻撃を繰り出すたびに発光する、額に輝く黄金の宝玉に斬撃を当てた。
他の部位と同じく信じられないほどに堅かったが――攻撃を当てた瞬間、はっきりと銀龍が呻いたのが分かった。
その宝玉こそが弱点と判断した青年は渾身の一撃を叩きこみ、破壊することに成功する。すると銀の龍は正気を取り戻したように理性の色を瞳に宿して青年に語りかけてきた。
曰く、この場にいる無数の『龍』はある科学者に自我を奪われ操られている、とのこと。
そして、自我を奪っている黄金の宝玉さえ破壊してしまえばこのように正気を取り戻すということ――。
それが嘘ではないと判断した青年は銀龍と共に他の龍たちに埋め込まれた宝玉を破壊していった。
全てを破壊した後、首魁の下で二体の龍がまだ操られていることを聞かされる。
銀の龍の背に乗って、青年は首魁の元へ急行。
そこで紅と蒼の二龍と対峙していた彼女とともに宝玉を破壊。
龍を操っていた科学者は金の粒子となってこの世界から消え去った。
三体の龍は彼女にトランクケースと紅い宝玉を託し、無数の龍を伴って空の彼方へ飛び去る。
その直後、『要塞』の自爆システムが起動――彼女に脱出を促す。
彼女が無事脱出した後、青年は《■■■■》を■■。『要塞』を脱出した。
『ランカーズ』にて再び 《剣聖》と仕合う。
相変わらずの剣の冴え――だがしかし、右腕を使えないようだった。
右腕の使用不能という大きなハンデを抱えたままでは、勝ち目は薄い。数回の攻防の後に《鬼炎斬》を放ち――
とっさに刀でそらして直撃は避けたようだが、それでも壁へと吹き飛ばす。
ボロボロになりながらも尚、闘志を失わない 《剣聖》。どちらが勝つにせよ、決着をつけるのは簡単だったが――。
今はまだ、その時ではない。 【診療所】の存在を伝え、立ち去った。
――――次はどちらに軍配が上がるのか。それは誰にも分からない――。
【王国】練兵場にて 小桜将軍と出会う。
彼女の鍛錬を見て腕の立つ剣士だと分かったので、興が乗ったこともあり試合を……申し込もうとしたところで、城下町襲撃の報が入った。
倒しても倒しても蘇る黒装束の戦闘集団。それらはいつのまにか大量に街内に現れ、気配を探ったところ今も増加を続けている。
状況からしてどこかに拠点があることを推測、おそらく街外れに近い場所にあるであろう拠点を探しだす。
少しした後に、仕掛けの施された地面を発見。調べると、その地面がスライドし、地下深くに続く階段が現れた。
階段を下りていくと、とある遺跡が姿を現した。遺跡の機能や仕掛けられた罠の類は全て死んでいたものの、その遺跡は凄まじく広かった。
急いで探索をしていると、行く手に十体ほどの黒装束が立ちふさがった。城下町にも出現したそれらは、普通に倒すだけでは何度やっても復活する。
そこで倒した後に頭上に現れる金色の輪を破壊してみたところ、黒装束は弾けるように金色の光と化して消滅した。倒し方が分かれば後は何も問題ない。数秒で残りの黒装束たちを斬り捨て、先に進む。
しばらくすると広い場所に出て、奥には灰色の巨大な両開きの門があった。
普通に開くことはできなかったため、一旦そこで探索を打ち切り、城下町へ戻る。
『聖堂』前に向かったところ、三十体ほどの黒装束たちと王国軍兵士、そして小桜将軍が黒装束の倒し方を分からないまま戦闘を繰り広げていたため、参戦。倒し方を伝え、間もなく殲滅が完了した。
その後、小桜将軍と共にあの門があった広間まで「跳び下りる」。聖堂前の広場がちょうどあの広間の真上だったため、地面を斬ってくり抜き強引につなげた。
堅く閉ざされ鍵穴もなかった門は、小桜将軍が触れるとあっさり開く。……だが青年は嫌な気配を察知し、先に行かせる。
その瞬間門は閉じ、青年のいる広間に百体ほどの黒装束たちが現れる。凄まじいスピードで増殖するそれらは、最後の一体まで追いつめた途端、その一体から瞬時に百体の黒装束が現れる。
普通に減らしていったのでは終わらないため、一か所に誘導してからまとめて同時に倒す。すると門が開いたので、急いでその先に向かう。
オペラハウスのような場所で、歪な弩弓の矢を今にも小桜将軍に放とうとする「黒き明王」が見えた。
疾駆し、その弩弓を持った腕ごと根元から斬り落とした。だがそれは、噴出した時によって明王に満ちた力と共に、元の肩に戻る。
再び疾走し――迫りくる攻撃を避わしながら、四本の腕を斬り落とす。
苦しむ黒き明王に、巨大な氷刃によって小桜将軍が止めを刺した。
そしてその黒き明王から本来の姿に戻った、今回の黒幕たる金髪碧眼の男は金色の粒子となって消滅。《■■■■》を■■し、突然強い揺れが発生した遺跡を小桜将軍と共に脱出した。
――『王国』には因果が集まっている。またこのような異変が起こる日が来るのだろうか……
とある街にて、高名なマフィアの根城である洋館を襲撃する。
拳銃や剣はおろか、最新式のボディアーマーや重機関銃などで武装した組織員たちを紙屑のように蹴散らし、奥に進んでいった。
その途中で肉体の一部を機械化している者たちがいた。しかし、それさえもさしたる脅威にはならず、通常のマフィアとそれほど変わらない時間で倒される。
洋館最奥――『会長』と呼ばれる首魁の元へたどり着く。短い時間だけ会話を交わし、すぐに戦闘が始まった。
『会長』は瞬く間に己の両腕を大型ガトリングガンへと変化させ、濃密な弾幕を張って応戦。しかし青年は超人的な動体視力で全てを見切り、巧みな体術で背後へと回りこみ、深く斬撃を加えることによって致命傷を与える。
しかし致命傷を与えられたはずの男は《■■■■》の力を暴走させ、全身を機械と化し、巨大な人型機械へと変貌した。
数分の交戦の後、青年は自らの絶技――《冥皇剣》を放つ。
一撃の下に倒れた人型機械は本来の姿に戻るが、その直後に金色の粒子となって消失する。
現れた《■■■■》を■■し――崩壊を始めた洋館で、後ろの廊下からこちらを覗く クローサ=セレズニアを見て――
両者を瓦礫が遮り、青年はその場を後にした。
とあるビルの屋上にて、 黄金の青年と遭遇する。
軽く言葉を交わした後、眼下に広がっていた廃街に無数の怨念が蓄積された掌大のダイアモンドを投げ込み、廃街に眠る『何か』を呼び起こす。
周囲の異常と共に現れた怪物――触れたものを溶解させる黒液を纏った怪物と、それが変化した「腕」と「足」と「顔」の塊を倒す。
しかしそれでも異常は収まらず、根源を叩くべく憎念渦巻く死街と化した廃街へと一気に跳び下りる。
死街に進入した瞬間、亡びていたはずの街は、普遍的な活気を持っていた在りし日の姿へと変貌していた。
探索するうちに、ここはその全てを死者の魂魄で形作られた異界であるということが判明し、そのとき青年の前に姿を現した少女――この異界の『核』に、あえて異界の根源に堕とされることによって、その内部に渦巻く無数の魂魄を滅ぼし続けた。
そして全ての魂を滅ぼし、根源より脱出し――超越者としての人格が覚醒した彼と共に、『核』の少女が構成した獣髑髏の化外と対峙。
超越者がこの異界の理を滅却し……青年が、触媒となっていたダイアモンドを砕いて、事態は収束を見た。
その後、意識のみ別の位相に飛ばされた彼に特殊な効果を持ったアンプルを二本残し――
正常な姿を取り戻したビルの屋上で《■■■■》を回収し、その場を後にした。
『ランカーズ』の仕事で、ある和菓子店に逃げ込んだ発火能力者を捕らえた後。
吹雪 零に手合わせを申し込まれ、承諾。街中で闘うわけにもいかないので、人気がなくそれなりに広さもある森の一角に移動し、戦闘を開始して、結果としては青年の勝利に終わった。
―― 彼は青年と闘うまで、個としての力を求め、半ば執着していた。
だが、 彼は青年との闘いを通じて、自らの望みを叶えるためには仲間の力が必要不可欠だということを悟ったようだ。
ゆえに、最早〝修羅〟に堕ちる心配もないだろう。
『ランカーズ』の仕事――とある組織を拠点の城ごと壊滅させた後、瓦礫の積み重なったその場所でとある異形(【冥血夜話】)と遭遇する。
最初は声だけが聞こえ、そして瓦礫に頭を潰された人間が見え、直後に巻き戻すように再生して金髪紅眼の青年の姿を取ったことから、明らかに人外であることが分かった。
そして、少しばかりの会話の後に――ほんの少しではあるが、自身が探しているモノについて話し、その場を後にした。
『ランカーズ』闘技場にて、 和装の女と出会う。
彼女が自分よりも順位の高いランカーを倒した後、勝てば話を聞くと約束していた為、談話室で会話する。
内容は青年の望みと彼女の目的について。何のために、彼女は青年に力を貸してほしいと思うのか。
その最中、ほんの一端ではあるが彼は自分の目的を明かした。
そして何より―― 以前に一度だけ会った事のある男の似顔絵を渡され、「叩きのめしてほしい」と依頼されたことに、少しではあるが驚愕した。
力を貸すと言ったわけではないので、 その男と戦うかはまだ判らないが――
その男にせよ彼女にせよ、また会った時には色々と話すこともあるだろう。
とある街にて 『ランカーズ』の任務を遂行中、 刀を佩いたおかっぱ頭の娘に出会う。
この街には某国政府が黙認していた秘密研究所から逃げ出した複数の怪物が向かってきており、前もってランカーズからの警告が発されていた。
当該ランカー――レオンハルトが任務を完了するまで一時的に避難するか、そうでなければ絶対に外にでないこと。
このような旨の警告が一週間以上発信されていたにも関わらず、まるで呑気に公園なぞにいた「桜木琴音」と名乗るこの少女は完全にイレギュラーな要素だった。
敵か、それとも単に逃げ遅れた者か。会話の末、有り得ないほど低確率ではあるが、かねてよりの警告をまるで知らなかっただけと判断する。
おそらく戦闘可能な人間とはいえ、見る限りこの娘の力量では巨大な怪物たちが徘徊する今のこの街はあまりに危険すぎた。
ゆえに彼は、この少女を同行させることにした。――もし敵だったとしても、即座に自分が始末できるように。
……だが状況は一変する。某国の研究員を操り意図的に事故を発生させ、秘密研究所から逃げ出した怪物たちがこの街に来襲するように仕向けた張本人が、その異能を発動させたのだ。
その力は“認識操作”――その名の通り、他人の認識を操る能力。
黒幕である女が発動させたのはそれを街の各地に設置した装置で増幅し、結界術を応用して創造した異界を認識の力で満たし、そこに対象を転送することで時間の経過とともに『自分が自分である』という認識を奪い去り、対象の自我と精神を完全に抹消してしまうという凶悪極まりないものだった。
自分が真実、自分であると強く認識しない限り絶対に破れない“認識の海”に、同行していた桜木琴音は成す術なく囚われてしまう。
だが彼は発動する直前にそれを察知し、“認識の海”が創造される際に生じた爆光に紛れ、悟られぬようにその場を離脱する。
急ぎ街中を調査した末に街の各所に仕掛けられた八つの装置を発見する。
そしてその総てを同時に破壊しなければならないことを知った彼は、徘徊している怪物たちを一匹残らず掃討した後に『分け身』を用いて装置の同時破壊に成功した。
だがその瞬間に最後の仕掛けが発動――破壊に成功した直後、“認識の海”とは別の異界に転送されてしまう。
そこには認識の力ではなく、百数十体の怪物で埋め尽くされていた。絶望的な光景、常人では――否、達人ですら抗し得ないほどの圧倒的な物量。
――それも、真の力を解放したレオンハルトの前では所詮、雑兵というのもおこがましい烏合の衆に過ぎなかった。
多少の時間こそ掛ったものの、難なく殲滅し異界より脱出した。そこで街中に響き渡った轟音と夜空に舞い散る桜の花弁を目にした彼は急遽先ほどの場所に向かう。
そこには疲労困憊の様子で立ちつくす琴音と、瀕死になりながらも背後から彼女を突き刺そうとするおぞましき赤薔薇の女王が存在していた。
鋭い触手が琴音の背を貫く前に強襲し、すでに虫の息だった女王の息の根を完全に止める。
五つ目の《■■■■》を回収し――まさかすぎる琴音の宿無し発言に、呆れながらも自分が確保しておいたホテルの一室の鍵を渡して次の任務に向かった。
とある筋から情報を得、自分を探しているという 刀匠の元へ向かう。
紆余曲折を経て、彼女――刀匠・梅澤宗近の導きによって、遥か遠方に存在するという鎖国国家「神河」へと赴くこととなった。
目的は二つ。彼女曰く、自分でも苦戦するほどの強者との闘争……まずそれが一つ。
そしてもう一つは――《■■■■》の探索、である。
聞けば神河は強力な結界に守護・隠蔽されており、どれほど精緻な探知能力をもってしても、発見は愚かその存在を知ることすら不可能という地であるそうだ。
実際、任務で世界各地を回ってきた彼でも、「神河」の名を耳にしたことはなかった。
であれば、そのような地に《■■■■》が存在するとは思えないが……しかし、モノがモノであるだけに断言はできない。
神河へ移動する手段として、古びた脇差を深く心臓に突き刺すことを提示されたが、幾多の修羅場を潜り抜けた彼の嗅覚はこれが罠ではないことを悟っていた。
ゆえに躊躇いなく心の臓腑にその刃を突き立て――どれだけの間かは判然としないが、浮遊感と落下の感覚の後に、「神河」へと辿り着いていた。
そこで彼は二人の人物と出会う。
胴を真一文字に切り裂かれた女性、内海弥生と……流石にそれほどの重体ではないものの、足首を捻挫した少女、黒田卯美。直接の面識はないものの、梅澤はこの二人の事を知っている様子だった。
偶然にも神河に来る際に着替えた着流しの袂に入っていた予備の帯を使って内海の応急処置を行い、彼女たちの住まいである「上野藤堂流剣術指南道場」に運んだ。医術師の腕は良かったようで、命に別状はなかった。
その後――黒田卯美の襲撃に遭う。
いや、襲撃というよりは「試し」だったのだろう。その証に、三点を突いた同時攻撃には“殺気”が決定的に欠けていた。
難なく凌ぎ……暫しの問答。曰く、何故人を斬れるのか、と。
人を斬る際に生じる理由は様々だ。だがその根幹を成す彼の信念はたった一つしかない。
即ち、己が成すべき目的のために。何があろうと誰であろうと、自分の道に立ち塞がる者は自分自身の意志でもって斬り捨てる。
そう、遥か昔に決めている。この決定は覆らないし、覆してはならない。
――そして、彼はこちらを覗く何者かの視線を感知した。
同時にこの神河に訪れたときから感じていた不穏な空気が一層濃くなるのを感じ取る。
早くも、目的の一つを達する時が来た。そう判断した彼は戦闘に支障がないよう外に場所を移し――
霧島千夜――今に至るまで死合った中で、間違いなく最大級の力を有した剣客と対峙を果たした。
男女の区別がつかない中性の剣客は確かに強かったが、しかしいくら探ってもその力の底を見極めることができない。
修羅たるレオンハルトがその全力を解放して、数合の後に彼の剣客に一撃を喰らわせ――そして、〝亜〟修羅が降誕した。
霧島千夜の真の力。それは対敵の力を等倍以上の精度で完全に模倣して、必ず敵手よりも力の勝る剣客へと変生するという悪辣極まりない代物であった。
「自分でも苦戦する戦い」――なるほど、道理だ。地力が上となった自分自身と戦うのだから苦戦は必至。
しかし――全身に傷を負い、満身創痍になりながらも……
己の全身全霊、全力を籠めた絶技、〝鬼炎斬〟を放つことによって、それを模倣する霧島が無理矢理な形で限界を上回り、その末に起きる肉体の自壊を誘発することによって最終的に勝利を収めた。
驚くべきことに……戦いの中で、レオンハルトはまた一歩剣士として成長していた。
最後の一撃、二つの〝鬼炎斬〟がぶつかり合う際に、霧島は確かにレオンハルトのそれを上回っていたが、衝突の刹那――
一瞬にも満たぬその間隙に、レオンハルトの剣圧が一段階引き上げられた。――成長したのだ。
だからこそ致命傷を避けることができた。仮にその成長がなければ、霧島は自壊していただろうが、彼もまた霧島の一撃を喰らって、生存確率は限りなく低かっただろう。
翌日、治療を受け、誰にも告げることなく去ろうとし……何故か追いついてきた黒田としばし語らい、動乱の気配を感じながら神河を後にした。
その後、一度は断った彼の刀匠・梅澤の申し出を受け、自らの得物の更なる強化を依頼する。
完成までの間の得物には苦労したが、その苦労に見合うだけの価値は十二分にあった。
万物を断ち切る理外の魔剣――。
立ち塞がるもの総てを斬り捨てる〝修羅〟にはこの上なく相応しいと言える得物を手にして、一連の騒動はここに一端の終結を見たのだった。
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