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オリバー ニューヨーク子猫ものがたり

原題:Oliver & company
公開:1988年11月18日
時間:73分
監督:ジョージ・スクリブナー*
原作:チャールズ・ディケンズ*

1998 2002



  • 目次

ストーリー

オレンジ色の毛のオリバーは、ニューヨークの通りに捨てられた子猫たちの中の1匹だったが、とうとう最後に残されてしまった。空腹のオリバーはルイからホット・ドッグを盗もうとしているところで、犬のドジャーに出会う。

ドジャーは犬のギャングのメンバーであり、盗みを働いて生活していた。オリバーはドジャーをこっそりつけてきて、彼の仲間(チワワのティト、グレートデンのアインシュタイン、アフガンハウンドのリタ、ブルドッグのフランシス)と出会う。犬たちの主人・フェイギンはオリバーを見て一目で気に入り、仲間に迎える。フェイギンは心優しい小悪党で、高利貸しのサイクスに借金をしていた。

仲間たちと共に盗みの仕事を始めることになったオリバー。オリバーとティトが目をつけたのは、大富豪の娘・ジェニー・フォックスワースの執事ウィンストンが運転するリムジンだった。ティトが仕事をしている間、見張り番をしていたオリバーはジェニーに見つかる。迷子だと思われたオリバーは、ジェニーの家に連れて帰られる。ジェニーはオリバーをとても可愛がり、オリバーも幸せだったが、フォックスワース家のプードルのジョルジェットはオリバーを追い出そうと企んでいた。

+ ...
翌日、ドジャーたちは誘拐されたと思い込み、オリバーを助けにやってくる。ジョルジェットは大いに喜び、彼らに手を貸す。オリバーの家が判明したフェイギンは、ジェニーの家の大金に目を付け、オリバーに高額の身代金をかけた狂言誘拐をでっちあげる。ジェニーはオリバーを助けるためにフェイギンのもとを訪れ、お金を出すから大好きなオリバーを返してほしい、と懇願する。根は善人のフェイギンはこれに堪えられず、オリバーを返してしまう。その後、サイクスがジェニーの大金を知り、彼女を誘拐する。

フェイギンと犬たちはジェニーをさらったサイクスを追いかける。ドジャーはサイクスのドーベルマン、デソートロスコーと戦う。フェイギンがジェニーを救いだした時、サイクスの車は電車に衝突され、マンハッタンのブリッジから落下する。

翌朝、ジェニーの誕生会が開かれ、ドジャーやフェイギンたちは招待される。会の最中に、忙しいジェニーの両親から明日帰るといううれしい知らせが届く。ジェニーは野良犬のみんなから心のこもったガラクタをプレゼントされ、喜ぶ。オリバーはジェニーの家で暮らすことになったが、ドジャーは一緒に暮らさなくてもずっと友達だぜ、と言い残し仲間たちと帰っていく。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第27作。チャールズ・ディケンズ*の名作『オリバー・ツイスト*』のメインキャラクターを犬や猫、舞台をロンドンからニューヨークに置き換えて現代風に脚色した作品。

ビリー・ジョエルシェリル・リー・ラルフベット・ミドラーなど音楽界のスターが声優として出演しており、挿入歌も歌唱している。音楽はJ・A・C・レッドフォードが担当している。

ディズニーの日本語版におけるいわゆるタレント吹替が始まったのは本作が始まりで、松崎しげる尾崎亜美木の実ナナが出演し、歌声も披露している。里中茶美は声優のほか、PR用に製作されたオリジナル・ソング「オリバー」(作詞:秋元康、作曲:井上大輔)も歌っている。オープニング曲を歌唱したのは、当時C-C-Bを脱退したばかりの関口誠人

アメリカでは1988年の初公開の後、1996年に再公開。1996年にビデオ化、2002年と2009年にDVD化、2013年に製作25周年を記念してBlu-ray化が実現した。

作中にはオーロラ姫をトレースした女性が登場する。

歴史

本作はマイケル・アイズナー*ジェフリー・カッツェンバーグ*のトップ体制になってから最初に製作が始まった作品である。『コルドロン』(1985年)が不振に終わり、次回作としてジョン・マスカー*ロン・クレメンツ*は『リトル・マーメイド』と『トレジャー・プラネット』を候補に挙げた。ピート・ヤング*は『オリバー・ツイスト*』を挙げた。パラマウント時代に『オリバー!』をヒットさせたカッツェンバーグはヤングの案を選択した。

監督にジョージ・スクリブナー*リチャード・リッチ*が就任し、『Oliver and the Dodger』のタイトルで製作が始まった本作は、サイクスのドーベルマンに両親を殺されたオリバーの復讐劇に焦点が当てられた暗いものだった。6ヶ月でリッチがクビになったために単独監督となったスクリブナーは、オリバーをナイーブな子猫、ドジャー一味を犬に設定し、フェイギンを彼らの世話をする人間とした。製作中、ロイ・E・ディズニー*はフェイギンが動物園からパンダを盗むシナリオを考案したが、スクリブナーはオリバーを人質とする案を選んだ。なお、舞台はロンドン*からニューヨーク*に変更された。

犬の目線を表現するため、ニューヨークのシーンではカメラの高さは18インチ(約45センチ)と設定しており、アニメーターもそうした目線を意識して作業に取り掛かったという。犬たちの視点からアニメーションを描く手法は『わんわん物語』を参考にした。本作のため、ディズニーはCAPS*(コンピュータ・アニメーション・プロダクション・システム)の開発に1,500万ドルを投資した。『オリビアちゃんの大冒険』(1986年)のクライマックスシーンでCGの導入に成功したディズニーは、本作で摩天楼、タクシー、電車、フェイギンのスクーター、ジョルジェットのミュージカル・シーン、クライマックスのブルックリン橋*でのカーチェイスなど11分ものシーンをCGで製作した。CGの導入により背景を3次元に動かす立体的な表現ができるようになっただけでなく、作業時間を削減しスタッフはより構成に集中できるようになった。

アニメーターとしては『きつねと猟犬(1981年)でナイン・オールド・メン*から技術を受け継いだグレン・キーン*ルーベン・アキノ*マイク・ガブリエル*マーク・ヘン*らが参加し、300人のアーティストが集まり、約2年半の製作期間で完成した。彼らが本作の後に続くディズニー・ルネッサンス*の名作を完成させる中心メンバーとして活躍していくこととなる。


キャスト

オリバー ジョーイ・ローレンス 藤田哲也
ドジャー ビリー・ジョエル 松崎しげる
ティト チーチ・マリン 三ツ矢雄二
アインシュタイン リチャード・マリガン 島香裕
フランシス ロスコー・リー・ブラウン 富田耕生
リタ シェリル・リー・ラルフ(台詞)
ルース・ポインター(歌)
尾崎亜美
フェイギン ドム・デルイーズ 池田勝
ロスコー トーリアン・ブラック 小林清志
デソート カール・ワイントローブ 江原正士
サイクス ロバート・ロッジア 石田太郎
ジェニー・フォックスワース ナタリー・グレゴリー(台詞)
マイハン・トラン(歌)
里中茶美
ウィンストン ウィリアム・グローバー 藤本譲
ルイ フランク・ウェルカー* 千葉耕市
ジョルジェット ベット・ミドラー 木の実ナナ
主題歌 ヒューイ・ルイス 関口誠人
ポンゴ -(カメオ出演) -
カップル 大塚芳忠
ならはしみき
運転手 大塚芳忠


楽曲


タグ:

長編映画
最終更新:2023年12月25日 00:38
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