概要
戦闘に至るまでの背景
▲696年10月における勢力図
ラディアの敵討ちというこの戦いに、彼女の愛弟子だった
バイアラスの戦意はこれまでになく高揚し、彼は自軍の旗に「翼」の絵柄を用い、その全てに「舞風の仇討ちを」と書かせた。
バイアラスは、
レザベリアスの戦いの最中、
ラディアに「お守り」と称されたリボンを渡された事があり、そのとき自分が
ラディアの運を吸ってしまったのではないかという迷信めいた負い目を感じていたという。
後継者争いに敗れた
シーヴァスを捨て駒にしたのは誰の目にも明白だが、
シーヴァス自身は、この戦いで
ロードレア国を撃退すれば逆に自分の地位を一気に向上させられると、野望に燃えていた。
両軍の戦力
※実際は、かなりの兵を
ギザイアが引き連れて撤退した為、
ロッド国軍の正確な兵数は不明。
戦闘経緯
グルファ城への攻撃は、先発隊の
バイアラスと
アレスに委ねられた。
まずは
バイアラスが真正面から
グルファ城へ総攻撃を仕掛ける。
これは、
アレスが別働隊を率いて城攻めの策を発動するまでの時間稼ぎではあったが、
バイアラス部隊の士気は高く、策の発動までに城を落とす覚悟での攻撃であった。
アレスは、この城が
ロードレア国領土の時代から、「山を利用して東側を守っている要塞」であることを熟知していた。
だからこそ、断崖絶壁の天然の壁に守られたこの城は、東側の守りは常に手薄であった。
だが、突如として
グルファ城の背後が轟音を立てて崩壊する。
アレス部隊が、山頂から巨大な岩石を次々と落とし、これが勢いをつけて崖の上から城に落下してきたのだ。
一瞬にして城壁が崩壊するが、元々断崖絶壁に守られ、兵を侵入させることのできない東側を破壊されても、
グルファ城そのものの崩壊には繋がらない。
にも関わらずこの手に打って出たということは、城攻めをする切り札となるべき策がもう一つある。
シーヴァスはそれを予期し、
ロードレア国軍がその「第二の策」の準備に取り掛かっている間に先手を打つべく、城を捨てて全軍
バイアラス部隊へと打って出た。
その出陣こそが、
アレスの第二の策であった。
シーヴァスの智謀を決して侮ってはいない
アレスは、
シーヴァスならばそこまで考えて行動するだろうと予期し、
バイアラス部隊に真の布陣を指示した。
城を力攻めしていた
バイアラス部隊は、一旦後退すると素早く陣形を建て直し、城から出てきた
シーヴァス部隊を包囲する形をとった。
シーヴァスは完全に包囲されるが、獅子奮迅の戦いぶりを見せて数十騎に討ち減らされながらもかろうじて陣を突破して生き延びた。
そして、
シーヴァスは軍勢を立て直すと称して、
ギザイアとは合流せず、一旦本国へと退いていく。
この時の彼の脳裏に浮かんだことは、逆転の秘策などではなく、
ギザイアと
ミルナスが、
ロードレア国軍を相手に自分以上に無様に敗れる事で、自分の失態を帳消しにしてもらうという、歪んだ願望だけであった。
戦いの結末
最終更新:2024年08月15日 01:09