バックドラフト(映画)

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&font(#6495ED){登録日}:2025/06/25 Wed 13:41:58 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #Center(){ &size(25){&font(b,i){&color(white,red){炎よりも激しく燃える&br()愛と青春に命をかけた兄と弟…}}} &size(30){&b(){&color(Orange,red){BACKDRAFT}}}} &b(){『バックドラフト(原題:Backdraft)』}は、1991年5月24日に公開された米国のヒューマンドラマ/サスペンススリラー/ディザスター映画。 監督は後に『ビューティフル・マインド』や『ダ・ヴィンチ・コード』も手掛けた、俳優出身の名匠ロン・ハワード。 配給はユニヴァーサル・ピクチャーズ。 制作はイマジン・エンターテインメント。特殊効果はILMが務めている。 日本での公開は1991年7月6日。 #openclose(show=▽目次){ #contents()} *【概要】 危険な火災現場に挑む消防士達の姿を追いつつ、本筋として頻発する大規模火災が人為的な犯行であることを突き止めていくという本格派のミステリーとしても構成されている。 タイトルの&b(){“バックドラフト”}とは、劇中にて幾度も言及される火災現場にて特殊な環境化で発生する燃焼現象((狭い空間で酸素を消費して燻っていた炎が新たにドアや窓を開かれることで新鮮な空気(酸素)を供給され、再び爆発的に燃え上がる現象。))のことで、本作のヒット後に一般層にも広く知られるようになった。 特に、特殊効果を用いて再現された火災現場の画面越しにすら伝わってくるような圧倒的な臨場感は凄まじいものがあり、後に多くのジャンルにて多数の火災と消防士を扱ったフォロワー的な作品を生み出すことにも繋がったと考えられる。 骨太の人間ドラマとしても評価が高く、公開後には消防士志望の応募が急増したのだとか。 主役となる互いを愛するが故にすれ違いぶつかり合う兄弟をカート・ラッセルとウィリアム・ボールドウィンが演じている。 この他にも、ロバート・デ・ニーロ、ドナルド・サザーランド、スコット・グレンといった実力派の名優達が印象的な役柄で共演している。 名作曲家ハンス・ジマーによるサウンドトラックも大いに話題を集め、氏の代表作の一つとなっている。 特に、メインテーマとなる『Show Me Your Firetruck』は、日本では『料理の鉄人』([[フジテレビ]])のテーマとして使用されたことでも有名。 同作に限らず、他にも多くの番組で関連楽曲が使用されており耳にする機会も多いはず。 先にも述べた通りで、多くの部分で見所の多い映画なのだが、矢張り特殊効果により再現された&b(){予期せぬ火災現場の危険性と特殊な副次的効果の凄まじさ}は大きなインパクトを与えることになった。 因みに、公開時の時点で殆ど無駄のないと言える程に情報量を詰め込んだ構成なのに137分と充分に長尺であったのだが、 後に発売されたBlu-ray版では、更に&b(){43分にも及ぶ公開時からのカット分}を加えた超長尺版となっている。 %%ちなみに2019年には「バックドラフト2/ファイア・チェイサー」というまさかの続編が%% *【物語】 &b(){&color(white,red){※以下はネタバレを含むので装備無しで視聴に臨場したい新人は引き返すこと。}} ━━1971年。 消防士である父デニスを尊敬するスティーブンとブライアンは、その日も父の職場である消防署へとやって来て将来の夢を語り合っていた。 そんな中で起きた消防隊への出動命令。 現場についていきたいとせがむ息子達の内、デニスはいつも連れていっている兄のスティーブンを「今日は我慢しろ」と残し、初めて弟のブライアンの方を帯同させて火災現場へと急行する。 何でもないアパート火災の案件……。 鮮やかにデニス達が取り残されていた子供を救出する姿を頼もしげに見ていたブライアンだったが、デニス達のいる場所より下の階で炎が噴き上がるような素振りを見せたのを目撃して不安に駆られる。 ━━デニスはまだ火災現場に残っていたものの既に目の前の炎は消えかかっており、既に地上に降りてきていた消防士達も帰り支度をしていた中で……突如として階下から予想外の炎が爆発するように噴き出して、上階毎にデニスを吹き飛ばした。 ……呆然とするブライアンの眼の前に焼け焦げたデニスのヘルメットが落ちてきた。 ━━1991年。 あれから20年が過ぎた。 かつて、卒業間近で逃げ出した消防士訓練学校に故郷へ戻った後に2度目の入学をしたブライアンは恥を忍んで卒業し、今度こそ消防士となることを決意していた。 配属は、今や分署長となって活躍している兄のスティーブンが自分を呼び寄せようとすることを予測して別の分署に回して貰うように工作━━していたつもりだったのだがブライアンの企みは既にお見通し済みだった。 卒業パーティーの最中に偶然にも火災が発生。 酔った勢いのまま仲間と共に現場へと向かったブライアンは、そこで数年ぶりにスティーブンと再会する。 ブライアンは浅はかな工作も空しく、 スティーブン直々に兄の率いる……そして、父の同僚達が今も働く実家近くの17分署に配属されることを伝えられるのだった。 現分署長の弟にして遅咲きの新人、そして未だに語られる使命感に溢れた優秀な消防士であった男の息子として注目を浴び、新人らしい失敗をしつつも周囲に支えられながら現場に出ていたブライアンだったが、スティーブンとの埋められない確執、そして消防士としての圧倒的な実力差に打ちのめされて逃げ出してしまう。 ブライアンは、一度は断った嘗ての恋人であり、現在は市会議員にして次期市長候補のスウェイザクの秘書を務めるジェニファーの誘いに乗り、スウェイザクの為に連続していた犠牲者付きの火災が放火であるとの報告を出させるためにやり手だが変わり者で慎重な放火犯罪捜査官のリムゲイルの助手として働くことに。 リムゲイルは、大規模なコストカットを実行したとして今や全消防士の敵となったスウェイザクから送り込まれたスパイであるとしてブライアンに堂々と嫌味を言いつつも、デニスの息子でもあるとして快く受け入れて共に調査を開始する。 リムゲイルと行動する中で、ブライアンは連続して会計士が犠牲となった奇妙な火災が“バックドラフト”を人為的に引き起こした放火の可能性があることを知る。 そんな中、自分の同期であり新人のティムがスティーブンの失策で危うく命を落としてしまう事案が発生する。 これを機に、自ら志願する形でリムゲイルに本心から協力することを申し出たブライアンは、今回の火災も会計士を狙った放火殺人であることを確信。 更に“事件”を深掘りする中で、リムゲイルの前でスウェイザクが先に火災で死亡した2人に続き、まだ公表していなかった3人目の犠牲者ホルコムの名前を口にしたことで、この事件が&b(){スウェイザクに恨みを持つ者}の犯行であると悟り、その方面で調査を開始。 スウェイザクが先に“殺された”3人と事業を興していたことを突き止めると、ブライアンはその証拠をジェニファーに持ち出してくれるように頼む。 自分のボスの不正を悟ったジェニファーの協力もあり、スウェイザクが殺された3人の会計士と共謀して幽霊会社に偽の収支報告書を提出させ、コストカットとして既存の消防署を取り壊させた跡地に市民センターを作る工事を一手に引き受けることで莫大な利益を得ようとしていたことを突き止めたブライアンとリムゲイルはスウェイザクを詰問する為に自宅に向かうが、そこで運悪く4人目としてスウェイザクを狙って侵入していた犯人とかち合い、立ち回りの末にリムゲイルは負傷。 スウェイザクの命は助かったが追及は有耶無耶となってしまう。 病院のベッドから動けなくなったリムゲイルの指示で、ブライアンは根っからの連続放火殺人犯にして“火を愛する”男であるロナルドからアドバイスを得るために刑務所へ。 ロナルドの話を聞き、一連の事件が自分やリムゲイルに先んじてスウェイザクの企みに気づいていた消防士の犯行……ことに、兄のスティーブンなのではないかと疑いを持ったブライアンだったが、犯人は意外な人物であった。 ブライアンに疑いをかけられたことでスティーブンも犯人を悟る中で発生した出動命令……果たして、事件の行方は━━? *【主要登場人物】 &b(){※吹替はソフト版/フジテレビ版/テレビ朝日版/機内上映版の順番} -&b(){スティーブン・マカフレイ} 演:カート・ラッセル/吹替:石丸博也/谷口節/山路和弘/原康義 キャスト順は一番上だが、役割的には本作の狂言回し。 マカフレイ兄弟の兄で、少年時代に父デニスを失った後は自分なりに弟ブライアンの父親替わりを果たそうと努力しつつ、早くから父親と同じ消防士への道を歩んだ。 父同様に“炎の動きを読める”と豪語し、自らの危険を省みずに火災現場へと突入出来る英雄的人物だが、それ故に独善的で付いていける人間は少ない。 そのため、本来ならばもっと出世していてもおかしくないのに分署長程度に収まっているとして苦言を呈される場面も。 また、直情的で直ぐに手が出るなど、弟ブライアンや離れて暮らすことになった妻子への愛情は確かで、本来は思いやりがある人物なのに周囲からの理解は得られていないと解る場面も。 現在は父デニスのオンボロボートを修繕しながら寂しい寡婦暮らしをしている。 ちなみにカートは本編でデニス役も演じている。 -&b(){ブライアン・マカフレイ} 演:ウィリアム・ボールドウィン/吹替:関俊彦/堀内賢雄/井上和彦 キャスト順は二番手だが、実質的な本作の主人公。 マカフレイ兄弟の弟で、兄と同じく少年時代から父と同じ消防士となることを夢見ていたものの、あの火災にて目の前で父を失い、その後は成長するにつれて顕著となっていった兄スティーブンとの確執もあってか、一度は消防士となる夢も恋人も捨てて町から離れていたことすらあった。 しかし、6年を経て結局は故郷へと帰り今度こそ消防士となることを決意。 自分を手許に置きたがるであろう兄へのせめてもの抵抗としてスティーブンの預かる17分署以外への配属を希望していたものの予測していたスティーブンに潰され、結局は17分署で勤務することになった。 しかし、結局はスティーブンとの埋められない確執から元カノのジェニファーの誘いに乗って放火調査員のリムゲイルの助手に。 ……が、そのことで一連の大規模火災が放火殺人であることを知ることになる。 -&b(){ドナルド・リムゲイル} 演:ロバート・デ・ニーロ/吹替:小林清志/羽佐間道夫/小川真司 火災犯罪捜査官で、鎮火後の火災現場の実地調査を行い、火災が放火によるものではないかを判断する。 リムゲイル自身が元消防士であり、かつて放火魔のロナルドを命がけで救うのと引き換えに大火傷を負っている。 元消防士ともあってか、犯罪とはまた別に失策により隊を危険に晒した消防士をオフィスに呼びつけて叱責する場面もあった。 お仲間の会計士が殺害された事件にて、事態を察したスウェイザクから早くに放火犯による犯行である証拠を出せと迫られているものの自分が納得するまで調査をしたいとして躱し続けていた。 自分でもスウェイザクから送り込まれてきたブライアンの立場を解った上で文句を言いつつも古馴染み(デニス)の息子として受け入れて共に調査を行う中で一連の事件がスウェイザクに恨みを持つ者の犯行だと看破。 重傷で動けなくなったことからブライアンに調査を託す。 -&b(){ジョン・アドコックス} 演:スコット・グレン/吹替:納谷六朗/青野武/田中信夫 デニスの同僚だったベテラン消防士で、マカフレイ兄弟とは幼少期からの知り合いでありオムツまで替えてやったとは本人の弁。 今も現役で、現在はスティーブンの下で働いており、独善的なスティーブンにも意見出来る数少ない存在となっている。 -&b(){ジェニファー・ヴァイトクス} 演:ジェニファー・ジェイソン・リー/吹替:井上喜久子/鈴鹿千春/藤井佳代子 かつてのブライアンの恋人で、現在はスウェイザクの議員秘書を務めている。 しがないレジ打ち兼ウェイトレスの立場から取り上げてくれたスウェイザクには感謝しているものの、ブライアンより一連の放火殺人に絡むスウェイザクの不正の話を聞かされ、職を失うことを覚悟して資料を提供する。 -&b(){ヘレン・マカフレイ} 演:レベッカ・デモーネイ/吹替:深見梨加/高島雅羅/岡本茉利 スティーブンの妻だが、常に危険に身を置き続けるスティーブンについて行けずに離れて暮らしている。 -&b(){ティム・クリズミンスキー} 演:ジェイソン・ゲドリック/吹替:高宮俊介/成田剣/宮本充 ブライアンの同期で親友。 共に17分署に配属され、初陣で躓いたブライアンとは対照的にスティーブンやアドコックスにサポートされたとはいえ成果を出しスティーブンに心酔していたのをブライアンに水を差されていた。 ブライアンが現場から去った後も働いていたが、火災通報のみが鳴り響いている状態の会計士事務所があるオフィスビルへの出動にて、突入が犯人の仕掛けていたバックドラフトを引き起こしてしまい重傷を負ってしまう。 -&b(){マーティン・スウェイザク} 演:J・T・ウォルシュ/吹替:宮田光/仁内建之/仲野裕 有力な市議会議員で次期市長候補。 財政合理化を押し進めて消防署分署の一つを潰してコストカットを進めるなどして、リムゲイル含む消防士達から恨まれている。 オマケにファミリーネームからイングランド系のようで、土地柄なのかアイルランド系移民が多いらしい町では嫌われているのが解る。&s(){よく支持を集められてたな。}((登場人物の特徴的なファミリーネームと、消防隊のセレモニーでアイリッシュダンスが催し物として行われていたことなどから。)) -&b(){ロナルド・バーテル} 演:ドナルド・サザーランド/吹替:池田勝/富田耕生/宮部昭夫 炎を偏愛する生まれついての放火魔。 本心ではこの世の全てを焼き尽くしてやりたいと考えており、自分の火による犠牲者や被害者の存在にも偏執的な執着を見せる異常者。 謂わば、放火魔版のレクター博士である。 かつて、依頼を受けて人為的に連続火災を起こしていた時期があり、ブライアンの手前もあってかリムゲイルはぼやかしたものの、デニスが命を落とした火災もロナルドの犯行であった。 狡猾さと慎重さで犯行を繰り返していたが、ミスから自らの起こした火災に巻き込まれて消防士時代のリムゲイルに救われると共に逮捕される。 ロナルドの危険性を悟っているリムゲイルは、仮審問の度に彼の本性を暴いては仮釈放されるのを防いでいる。 リムゲイル曰く炎を恐れずに立ち向かうスティーブン達のような消防士以上に炎を愛するロナルドのような境地が炎に挑む態度としては上と語り、ブライアンに一連の犯人を知る為のアドバイスを聞くようにとロナルドの下へと向かわせた。 -&b(){病理医} 演:クリント・ハワード/吹替:稲葉実/広瀬正志 リムゲイルと凄惨な遺体を前に呑気なやり取りをしていた検視担当医。 演じているのは監督の実兄。 *【アトラクション】 かつて、いくつかのユニバーサル・スタジオ・テーマパークに、映画と同名のアトラクションが設置されていた。 ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドでは1992年7月1日~2010年7月11日、[[ユニバーサル・スタジオ・ジャパン]]では2001年3月31日(パーク開園と同日)~2020年9月14日((この日を最後に無期限の休業に入っており、2023年5月16日に正式に営業終了が発表された。))まで営業していた。 「火を使うアトラクション」ということで寒い日に暖を取ったり「ジョーズ」「ジュラシックパーク」などで濡れた後服を乾かすのにとても便利だったので営業終了は惜しまれるところである。 ロン・ハワード監督やスコット・グレン、カート・ラッセルによる撮影のプロセスや裏話を語るビデオを見た後、映画終盤の化学工場をイメージしたセットで「バックドラフト現象」を再現したショーを体験することができた。 追記修正を恐れずに進むものが勝利を得られるんだ。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - アトラクションはジョーズその他水物で濡れたのを乾かすのに便利だったとか -- 名無しさん (2025-06-25 18:12:52) - アトラクションが幼少期以来トラウマで、20年以上経てなお、いまだにコンロ以外の炎が怖くて怖くて… -- 名無しさん (2025-06-25 18:19:42) - 主演のウィリアム・ボールドウィンは当時アイドル的な人気を得たが俳優としては評価されず2000年代に入ると人気も失速。 アトラクションでは主演にも拘わらず顔写真がなく代わりにスコット・グレンの写真が展示されていたという残念な扱いだった。 -- 名無しさん (2025-06-25 19:49:07) - 密室の火事では不用意にドアを開けてはいけないことを教えてくれる映画 -- 名無しさん (2025-06-25 20:05:12) - ミニオンに駆逐された悲劇のアトラクション -- 名無しさん (2025-06-25 20:31:24) - なお、USO JAPANによるとバックドラフトのとあるbgmには...「たすけて」という女の人のような謎の声が入ってるらしい...? -- 名無しさん (2025-06-25 20:38:09) - DVDで見たことあるが流石に評価が高いだけあって見ごたえがあった -- 名無しさん (2025-06-25 23:26:16) #comment() #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2025/06/25 Wed 13:41:58 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #Center(){ &size(25){&font(b,i){&color(white,red){炎よりも激しく燃える&br()愛と青春に命をかけた兄と弟…}}} &size(30){&b(){&color(Orange,red){BACKDRAFT}}}} &b(){『バックドラフト(原題:Backdraft)』}は、1991年5月24日に公開された米国のヒューマンドラマ/サスペンススリラー/ディザスター映画。 監督は後に『ビューティフル・マインド』や『ダ・ヴィンチ・コード』も手掛けた、俳優出身の名匠ロン・ハワード。 配給はユニヴァーサル・ピクチャーズ。 制作はイマジン・エンターテインメント。特殊効果はILMが務めている。 日本での公開は1991年7月6日。 #openclose(show=▽目次){ #contents()} *【概要】 危険な火災現場に挑む消防士達の姿を追いつつ、本筋として頻発する大規模火災が人為的な犯行であることを突き止めていくという本格派のミステリーとしても構成されている。 タイトルの&b(){“バックドラフト”}とは、劇中にて幾度も言及される火災現場にて特殊な環境化で発生する燃焼現象((狭い空間で酸素を消費して燻っていた炎が新たにドアや窓を開かれることで新鮮な空気(酸素)を供給され、再び爆発的に燃え上がる現象。))のことで、本作のヒット後に一般層にも広く知られるようになった。 特に、特殊効果を用いて再現された火災現場の画面越しにすら伝わってくるような圧倒的な臨場感は凄まじいものがあり、後に多くのジャンルにて多数の火災と消防士を扱ったフォロワー的な作品を生み出すことにも繋がったと考えられる。 骨太の人間ドラマとしても評価が高く、公開後には消防士志望の応募が急増したのだとか。 主役となる互いを愛するが故にすれ違いぶつかり合う兄弟をカート・ラッセルとウィリアム・ボールドウィンが演じている。 この他にも、ロバート・デ・ニーロ、ドナルド・サザーランド、スコット・グレンといった実力派の名優達が印象的な役柄で共演している。 名作曲家ハンス・ジマーによるサウンドトラックも大いに話題を集め、氏の代表作の一つとなっている。 特に、メインテーマとなる『Show Me Your Firetruck』は、日本では『料理の鉄人』([[フジテレビ]])のテーマとして使用されたことでも有名。 同作に限らず、他にも多くの番組で関連楽曲が使用されており耳にする機会も多いはず。 先にも述べた通りで、多くの部分で見所の多い映画なのだが、矢張り特殊効果により再現された&b(){予期せぬ火災現場の危険性と特殊な副次的効果の凄まじさ}は大きなインパクトを与えることになった。 因みに、公開時の時点で殆ど無駄のないと言える程に情報量を詰め込んだ構成なのに137分と充分に長尺であったのだが、 後に発売されたBlu-ray版では、更に&b(){43分にも及ぶ公開時からのカット分}を加えた超長尺版となっている。 %%ちなみに2019年には「バックドラフト2/ファイア・チェイサー」というまさかの続編が%% *【物語】 &b(){&color(white,red){※以下はネタバレを含むので装備無しで視聴に臨場したい新人は引き返すこと。}} ━━1971年。 消防士である父デニスを尊敬するスティーブンとブライアンは、その日も父の職場である消防署へとやって来て将来の夢を語り合っていた。 そんな中で起きた消防隊への出動命令。 現場についていきたいとせがむ息子達の内、デニスはいつも連れていっている兄のスティーブンを「今日は我慢しろ」と残し、初めて弟のブライアンの方を帯同させて火災現場へと急行する。 何でもないアパート火災の案件……。 鮮やかにデニス達が取り残されていた子供を救出する姿を頼もしげに見ていたブライアンだったが、デニス達のいる場所より下の階で炎が噴き上がるような素振りを見せたのを目撃して不安に駆られる。 ━━デニスはまだ火災現場に残っていたものの既に目の前の炎は消えかかっており、既に地上に降りてきていた消防士達も帰り支度をしていた中で……突如として階下から予想外の炎が爆発するように噴き出して、上階毎にデニスを吹き飛ばした。 ……呆然とするブライアンの眼の前に焼け焦げたデニスのヘルメットが落ちてきた。 ━━1991年。 あれから20年が過ぎた。 かつて、卒業間近で逃げ出した消防士訓練学校に故郷へ戻った後に2度目の入学をしたブライアンは恥を忍んで卒業し、今度こそ消防士となることを決意していた。 配属は、今や分署長となって活躍している兄のスティーブンが自分を呼び寄せようとすることを予測して別の分署に回して貰うように工作━━していたつもりだったのだがブライアンの企みは既にお見通し済みだった。 卒業パーティーの最中に偶然にも火災が発生。 酔った勢いのまま仲間と共に現場へと向かったブライアンは、そこで数年ぶりにスティーブンと再会する。 ブライアンは浅はかな工作も空しく、 スティーブン直々に兄の率いる……そして、父の同僚達が今も働く実家近くの17分署に配属されることを伝えられるのだった。 現分署長の弟にして遅咲きの新人、そして未だに語られる使命感に溢れた優秀な消防士であった男の息子として注目を浴び、新人らしい失敗をしつつも周囲に支えられながら現場に出ていたブライアンだったが、スティーブンとの埋められない確執、そして消防士としての圧倒的な実力差に打ちのめされて逃げ出してしまう。 ブライアンは、一度は断った嘗ての恋人であり、現在は市会議員にして次期市長候補のスウェイザクの秘書を務めるジェニファーの誘いに乗り、スウェイザクの為に連続していた犠牲者付きの火災が放火であるとの報告を出させるためにやり手だが変わり者で慎重な放火犯罪捜査官のリムゲイルの助手として働くことに。 リムゲイルは、大規模なコストカットを実行したとして今や全消防士の敵となったスウェイザクから送り込まれたスパイであるとしてブライアンに堂々と嫌味を言いつつも、デニスの息子でもあるとして快く受け入れて共に調査を開始する。 リムゲイルと行動する中で、ブライアンは連続して会計士が犠牲となった奇妙な火災が“バックドラフト”を人為的に引き起こした放火の可能性があることを知る。 そんな中、自分の同期であり新人のティムがスティーブンの失策で危うく命を落としてしまう事案が発生する。 これを機に、自ら志願する形でリムゲイルに本心から協力することを申し出たブライアンは、今回の火災も会計士を狙った放火殺人であることを確信。 更に“事件”を深掘りする中で、リムゲイルの前でスウェイザクが先に火災で死亡した2人に続き、まだ公表していなかった3人目の犠牲者ホルコムの名前を口にしたことで、この事件が&b(){スウェイザクに恨みを持つ者}の犯行であると悟り、その方面で調査を開始。 スウェイザクが先に“殺された”3人と事業を興していたことを突き止めると、ブライアンはその証拠をジェニファーに持ち出してくれるように頼む。 自分のボスの不正を悟ったジェニファーの協力もあり、スウェイザクが殺された3人の会計士と共謀して幽霊会社に偽の収支報告書を提出させ、コストカットとして既存の消防署を取り壊させた跡地に市民センターを作る工事を一手に引き受けることで莫大な利益を得ようとしていたことを突き止めたブライアンとリムゲイルはスウェイザクを詰問する為に自宅に向かうが、そこで運悪く4人目としてスウェイザクを狙って侵入していた犯人とかち合い、立ち回りの末にリムゲイルは負傷。 スウェイザクの命は助かったが追及は有耶無耶となってしまう。 病院のベッドから動けなくなったリムゲイルの指示で、ブライアンは根っからの連続放火殺人犯にして“火を愛する”男であるロナルドからアドバイスを得るために刑務所へ。 ロナルドの話を聞き、一連の事件が自分やリムゲイルに先んじてスウェイザクの企みに気づいていた消防士の犯行……ことに、兄のスティーブンなのではないかと疑いを持ったブライアンだったが、犯人は意外な人物であった。 ブライアンに疑いをかけられたことでスティーブンも犯人を悟る中で発生した出動命令……果たして、事件の行方は━━? *【主要登場人物】 &b(){※吹替はソフト版/フジテレビ版/テレビ朝日版/機内上映版の順番} -&b(){スティーブン・マカフレイ} 演:カート・ラッセル/吹替:石丸博也/谷口節/山路和弘/原康義 キャスト順は一番上だが、役割的には本作の狂言回し。 マカフレイ兄弟の兄で、少年時代に父デニスを失った後は自分なりに弟ブライアンの父親替わりを果たそうと努力しつつ、早くから父親と同じ消防士への道を歩んだ。 父同様に“炎の動きを読める”と豪語し、自らの危険を省みずに火災現場へと突入出来る英雄的人物だが、それ故に独善的で付いていける人間は少ない。 そのため、本来ならばもっと出世していてもおかしくないのに分署長程度に収まっているとして苦言を呈される場面も。 また、直情的で直ぐに手が出るなど、弟ブライアンや離れて暮らすことになった妻子への愛情は確かで、本来は思いやりがある人物なのに周囲からの理解は得られていないと解る場面も。 現在は父デニスのオンボロボートを修繕しながら寂しい寡婦暮らしをしている。 ちなみにカートは本編でデニス役も演じている。 -&b(){ブライアン・マカフレイ} 演:ウィリアム・ボールドウィン/吹替:関俊彦/堀内賢雄/井上和彦 キャスト順は二番手だが、実質的な本作の主人公。 マカフレイ兄弟の弟で、兄と同じく少年時代から父と同じ消防士となることを夢見ていたものの、あの火災にて目の前で父を失い、その後は成長するにつれて顕著となっていった兄スティーブンとの確執もあってか、一度は消防士となる夢も恋人も捨てて町から離れていたことすらあった。 しかし、6年を経て結局は故郷へと帰り今度こそ消防士となることを決意。 自分を手許に置きたがるであろう兄へのせめてもの抵抗としてスティーブンの預かる17分署以外への配属を希望していたものの予測していたスティーブンに潰され、結局は17分署で勤務することになった。 しかし、結局はスティーブンとの埋められない確執から元カノのジェニファーの誘いに乗って放火調査員のリムゲイルの助手に。 ……が、そのことで一連の大規模火災が放火殺人であることを知ることになる。 -&b(){ドナルド・リムゲイル} 演:ロバート・デ・ニーロ/吹替:小林清志/羽佐間道夫/小川真司 火災犯罪捜査官で、鎮火後の火災現場の実地調査を行い、火災が放火によるものではないかを判断する。 リムゲイル自身が元消防士であり、かつて放火魔のロナルドを命がけで救うのと引き換えに大火傷を負っている。 元消防士ともあってか、犯罪とはまた別に失策により隊を危険に晒した消防士をオフィスに呼びつけて叱責する場面もあった。 お仲間の会計士が殺害された事件にて、事態を察したスウェイザクから早くに放火犯による犯行である証拠を出せと迫られているものの自分が納得するまで調査をしたいとして躱し続けていた。 自分でもスウェイザクから送り込まれてきたブライアンの立場を解った上で文句を言いつつも古馴染み(デニス)の息子として受け入れて共に調査を行う中で一連の事件がスウェイザクに恨みを持つ者の犯行だと看破。 重傷で動けなくなったことからブライアンに調査を託す。 -&b(){ジョン・アドコックス} 演:スコット・グレン/吹替:納谷六朗/青野武/田中信夫 デニスの同僚だったベテラン消防士で、マカフレイ兄弟とは幼少期からの知り合いでありオムツまで替えてやったとは本人の弁。 今も現役で、現在はスティーブンの下で働いており、独善的なスティーブンにも意見出来る数少ない存在となっている。 -&b(){ジェニファー・ヴァイトクス} 演:ジェニファー・ジェイソン・リー/吹替:井上喜久子/鈴鹿千春/藤井佳代子 かつてのブライアンの恋人で、現在はスウェイザクの議員秘書を務めている。 しがないレジ打ち兼ウェイトレスの立場から取り上げてくれたスウェイザクには感謝しているものの、ブライアンより一連の放火殺人に絡むスウェイザクの不正の話を聞かされ、職を失うことを覚悟して資料を提供する。 -&b(){ヘレン・マカフレイ} 演:レベッカ・デモーネイ/吹替:深見梨加/高島雅羅/岡本茉利 スティーブンの妻だが、常に危険に身を置き続けるスティーブンについて行けずに離れて暮らしている。 -&b(){ティム・クリズミンスキー} 演:ジェイソン・ゲドリック/吹替:高宮俊介/成田剣/宮本充 ブライアンの同期で親友。 共に17分署に配属され、初陣で躓いたブライアンとは対照的にスティーブンやアドコックスにサポートされたとはいえ成果を出しスティーブンに心酔していたのをブライアンに水を差されていた。 ブライアンが現場から去った後も働いていたが、火災通報のみが鳴り響いている状態の会計士事務所があるオフィスビルへの出動にて、突入が犯人の仕掛けていたバックドラフトを引き起こしてしまい重傷を負ってしまう。 -&b(){マーティン・スウェイザク} 演:J・T・ウォルシュ/吹替:宮田光/仁内建之/仲野裕 有力な市議会議員で次期市長候補。 財政合理化を押し進めて消防署分署の一つを潰してコストカットを進めるなどして、リムゲイル含む消防士達から恨まれている。 オマケにファミリーネームからイングランド系のようで、土地柄なのかアイルランド系移民が多いらしい町では嫌われているのが解る。&s(){よく支持を集められてたな。}((登場人物の特徴的なファミリーネームと、消防隊のセレモニーでアイリッシュダンスが催し物として行われていたことなどから。)) -&b(){ロナルド・バーテル} 演:ドナルド・サザーランド/吹替:池田勝/富田耕生/宮部昭夫 炎を偏愛する生まれついての放火魔。 本心ではこの世の全てを焼き尽くしてやりたいと考えており、自分の火による犠牲者や被害者の存在にも偏執的な執着を見せる異常者。 謂わば、放火魔版のレクター博士である。 かつて、依頼を受けて人為的に連続火災を起こしていた時期があり、ブライアンの手前もあってかリムゲイルはぼやかしたものの、デニスが命を落とした火災もロナルドの犯行であった。 狡猾さと慎重さで犯行を繰り返していたが、ミスから自らの起こした火災に巻き込まれて消防士時代のリムゲイルに救われると共に逮捕される。 ロナルドの危険性を悟っているリムゲイルは、仮審問の度に彼の本性を暴いては仮釈放されるのを防いでいる。 リムゲイル曰く炎を恐れずに立ち向かうスティーブン達のような消防士以上に炎を愛するロナルドのような境地が炎に挑む態度としては上と語り、ブライアンに一連の犯人を知る為のアドバイスを聞くようにとロナルドの下へと向かわせた。 -&b(){病理医} 演:クリント・ハワード/吹替:稲葉実/広瀬正志 リムゲイルと凄惨な遺体を前に呑気なやり取りをしていた検視担当医。 演じているのは監督の実兄。 *【アトラクション】 かつて、いくつかのユニバーサル・スタジオ・テーマパークに、映画と同名のアトラクションが設置されていた。 ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドでは1992年7月1日~2010年7月11日、[[ユニバーサル・スタジオ・ジャパン]]では2001年3月31日(パーク開園と同日)~2020年9月14日((この日を最後に無期限の休業に入っており、2023年5月16日に正式に営業終了が発表された。))まで営業していた。 「火を使うアトラクション」ということで寒い日に暖を取ったり「ジョーズ」「ジュラシックパーク」などで濡れた後服を乾かすのにとても便利だったので営業終了は惜しまれるところである。 ロン・ハワード監督やスコット・グレン、カート・ラッセルによる撮影のプロセスや裏話を語るビデオを見た後、映画終盤の化学工場をイメージしたセットで「バックドラフト現象」を再現したショーを体験することができた。 追記修正を恐れずに進むものが勝利を得られるんだ。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - アトラクションはジョーズその他水物で濡れたのを乾かすのに便利だったとか -- 名無しさん (2025-06-25 18:12:52) - アトラクションが幼少期以来トラウマで、20年以上経てなお、いまだにコンロ以外の炎が怖くて怖くて… -- 名無しさん (2025-06-25 18:19:42) - 主演のウィリアム・ボールドウィンは当時アイドル的な人気を得たが俳優としては評価されず2000年代に入ると人気も失速。 アトラクションでは主演にも拘わらず顔写真がなく代わりにスコット・グレンの写真が展示されていたという残念な扱いだった。 -- 名無しさん (2025-06-25 19:49:07) - 密室の火事では不用意にドアを開けてはいけないことを教えてくれる映画 -- 名無しさん (2025-06-25 20:05:12) - ミニオンに駆逐された悲劇のアトラクション -- 名無しさん (2025-06-25 20:31:24) - なお、USO JAPANによるとバックドラフトのとあるbgmには...「たすけて」という女の人のような謎の声が入ってるらしい...? -- 名無しさん (2025-06-25 20:38:09) - DVDで見たことあるが流石に評価が高いだけあって見ごたえがあった -- 名無しさん (2025-06-25 23:26:16) - USJでウォーターワールドのショーで最前列に座ってずぶ濡れになったあと、このアトラクションに行って乾かしたのもいい思い出。 -- 名無しさん (2025-06-29 21:03:07) #comment() #areaedit(end) }

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