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#center(){
&color(purple){……だって、つまらないでしょ? &bold(){ただ殺すだけじゃ!}}
&color(purple){完成されたマジックさながらの、美しく、謎と怪奇に満ちた&bold(){芸術犯罪}を演じ上げ、}
&color(purple){並み居る観客たちをあっと言わせてみたかったんです……}
&color(purple){──そう!!}
&bold(){&sizex(6){&color(red){マジシャン}&color(purple){としてね!!}}}
}
『[[金田一少年の事件簿]]』の登場人物の一人。本作における代表的な悪役にして最大の宿敵。
アニメ・小野健一 / [[阪口大助]](少年時代)
[[ドラマ版>金田一少年の事件簿(テレビドラマ)]]・藤井尚之(2001年 テレビドラマ第3シリーズ)
成宮寛貴(2014年『獄門塾殺人事件』、テレビドラマ第4シリーズ『Neo』)
高遠少年の事件簿PV・下川部吉昭
(以下ネタバレ注意)
◆目次
#contents()
*【概要】
シリーズで最も登場回数の多い犯罪者。
通称は&bold(){「地獄の傀儡師」}。この通り名は最初は本人が名乗っていただけだったが、今や世間でも浸透している。
天才マジシャン・近宮玲子の実の息子。
年齢は23歳(明記はされていないが、18歳の誕生日が5年前だったということから逆算)
体重は50kg(ドラマでは53kg)と成人男性としてはかなり華奢
口癖は&bold(){「&ruby(グッド){Good} &ruby(ラック){Luck}!」}。
&font(red){血のように赤い薔薇}をこよなく愛好しており、これは彼のトレードマークにもなっている。
初登場は『[[魔術列車殺人事件>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』 そして同事件の真犯人。
当初は奇術師の一座「幻想魔術団」のマネージャーで、眼鏡をかけた気弱な青年を演じていたが、[[金田一一>金田一一(金田一少年の事件簿)]]に真相を見破られると眼鏡を外し、その冷酷な本性を現した。
これを機に平時の一人称も「僕」から「私」へと変わる。
かつて生き別れの母に、息子であると同時に一流のマジシャンとしても認めてもらうために海外で修業に精を出していたある日、母の死を知り目的を見失ってしまう。
後日、母の弟子たちのマジックを見た際、それが彼女が作ったマジックの盗用であることに気づき、母は彼らによって殺されたのだという真相を確信。
母を殺した弟子たちに復讐を誓うが、&bold(){「ただ殺すだけではつまらない」}との動機から多くの観客や警察を巻き込むなどして&font(red){芸術犯罪}を計画した。
同事件内で、四人のターゲットのうち三人を殺害するが、残る一人を殺せぬまま金田一らに真相を暴かれ、意味深な言葉を残し逮捕される。
最後の一人を無理にでも殺そうとしなかった理由は、近宮から奪ったトリックノートの最後に書かれていた「燃えさかる岩からの脱出マジック」は盗用への制裁として仕込まれていたデストラップであり、それを実行したマジシャンが確実に死んでしまうことを連行中に見抜いていたためだった。
その目論見通り、最後のターゲットは上述の脱出マジックを我が物顔で披露したがために、生きたまま炎に包まれ焼死。こうして高遠は&bold(){「最後のトリは母に譲る」}という形で復讐を完遂したのだった。
その直後に旭川留置場の独房から脱獄し消息を絶つ。
『魔術列車殺人事件』においては、殺害したターゲットたちに同情の余地が薄かったとはいえ、真相解明時に暴かれた冷酷な本性やこれ以後も続いていく犯行の数々からもわかるように、&bold(){単なる復讐者とは全く異質な行動原理}によって犯罪を行っている。
感情をむき出しにすることはなく、いつも不敵な笑みを浮かべ、紳士的な口調でクールに振舞いつつ、淡々と冷酷で残忍な行為を繰り返している。
明智の言葉通り、その気質は&font(red){&bold(){天性の犯罪者}}そのものと言える。
脱獄後は、「犯罪芸術家」を自称しており、犯罪(殺人)コーディネーター(プランナー)として他人の犯行に手を貸して((直接的にその人物の犯行に加担することはなく、殺害用のトリックなどを伝授して後は本人に委ねるというのが基本方針。計画の途中で不具合が生じた場合にはアドリブで指揮を執ることも。))&font(red){芸術犯罪}を実現するため、自分を負かした金田一の前に幾度となく現れる。
その際は金田一を確実に巻き込むためか、金田一自身や金田一の周囲の人間を利用して彼が現場に来るよう仕向けるのがパターン。
&font(l){[[「名探偵…わざわざ連れて来る必要ある…?」>金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]}
基本的に&font(red){動機なき殺人}は好まず、復讐にしろ制裁にしろ口封じにしろ障害の排除にしろ、まったく無関係の人間に無意味に被害を与えることはないが、例外もある(後述の『黒魔術殺人事件』参照のこと)。
ただし、手を貸した人間(事件の実行犯)が何らかのミスをして、それによって金田一や明智にトリックを見破られてしまった場合(本人曰く"芸術を台無しにした"場合)、本人がその場で死を以て犯人を制裁する((彼の中では「殺害するチャンスは1度きり」としているのか、殺害しようとするも未遂に終わったり、別の人物に阻止されたりした場合は、それ以上その人物の殺害には執着しなくなる。))。
が、最近では謎解きの場に居合わせないケースも増えてきたため、制裁そのものをしない事例も増えている。
というか現時点では『[[獄門塾殺人事件>獄門塾殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』以降、彼は犯人への制裁をしていない。
また、自分を犯罪者と知りながら手を貸してくれた人間にはそれなりに紳士的で義理堅いらしく、ある事件で高遠の協力者が命を落とした際には事件の犯人への制裁を決意した(詳細は後述)。
金田一と明智にとっては生涯の宿敵と言える存在で、金田一が「ジッチャンの名」ではなく、&font(red){&bold(){「自分自身の誇り」にかけて打ち破る}}と誓った唯一の人物。
%%後の事件でかけるものが「ジッチャンの名」に戻っているのは秘密だ!%%
高遠の方でも、金田一との関係について、「平行線」「光と闇の双子」((一見真逆の在り方をしているように見えても日常的に犯罪の方法について考えているという意味では近しい存在であり、交わることこそ永遠に無くとも常に隣に並んでいるという考えの元での表現。))などと喩えており、決して相容れることのない宿敵としているのだが、ごく稀に共闘することがある。
あくまで彼は探偵ではないので純粋な推理力では一歩譲るものの、犯罪者やマジシャンならではの視点で様々な事実を見抜くことも少なくない。
しかも意外なことに、該当する事件で犯人が自殺を図ろうとした時にそれを止めたのは金田一ではなく高遠だったりする。
それに関連して、自分で決めた「約束」は大抵は守る性格で、『[[露西亜人形殺人事件>露西亜人形殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では一との賭けに負けて約束通り犯人の命を助け(しかも自殺を阻止した)、『[[薔薇十字館殺人事件>薔薇十字館殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では当初の一との約束通り妹の生存(ただし殺人犯として逮捕)を見届けた後、警察に出頭した。%%約束の穴を突いてすぐ脱獄したが%%
ちなみに『魔術列車』ではその推理力を危険視して一の命を狙ったことがあるが、以降の事件では一を好敵手と認めたためか命を狙ったことはない。
ただし『[[金田一少年の決死行>金田一少年の決死行(金田一少年の事件簿)]]』では、敗北を認めさせるために彼を殺人犯に仕立て上げるというえげつないことをやったり、『[[黒魔術殺人事件>黒魔術殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』ではたとえ真相を見抜けたとしても彼にとって辛い結末になる様に計画を作り上げたりと、一への並々ならぬ悪意がうかがえる様なことをしている。
他のエピソードにおいても一の親しい知人を何かしらの形で巻き込むように画策することが多い。
宿敵・一の最大のパートナーである[[七瀬美雪>七瀬美雪(金田一少年の事件簿)]]に関しては、一とともに何度も事件に巻き込んでいること((ただし、大半は、美雪自身が勝手に一に同行しているため、高遠が意図して彼女を呼ぶことはほとんど無く、呼ぶとしても一の「ついで」扱いである。))と、『薔薇十字館』で皆に対して&bold(){「金田一君のパートナー的存在」「(一と合わせて)高校生探偵コンビ」}と紹介していることから、一にとっての最大のパートナーであり、彼にとって極めて大事な存在であることは認識している模様。
ただし、彼女が一に同行して事件の舞台に来ることについては何とも思っていない、というか&bold(){全く眼中に無い}ようで、今までに関わった事件において、彼女に何らかの危害を加えたり、そうなるような計画を犯人に授けたことは一度もない。((余談だが、公式スマホゲームである『脱出ゲーム 金田一少年の事件簿R ~謎解遊戯殺人事件 vs地獄の傀儡師~』ではプロローグで彼女を人質に取って、自身の主催する推理ゲームへの参加を一に強要していたりする。公式謎解きイベント『電脳九龍城 傀儡狂騒曲殺人事件』においても同様の展開が見られた。))
『[[亡霊校舎の殺人>亡霊校舎の殺人(金田一少年の事件簿)]]』では、去り際に「お二人とも、グッドラック」と言い残すが、この「二人」とはどう考えても&bold(){一と明智}としか思えず、美雪(と剣持)の存在は&bold(){完全に無視している}様子である。
『[[蟻地獄壕殺人事件>蟻地獄壕殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では、一とともに美雪も呼ばれるよう仕組んでいるが、ただ呼び寄せただけで、何かするでもなく、その扱いはギャラリーと同じである。
まるで、&bold(){「どうせ呼ばなくても一について来るだろうから、それなら最初から一緒に呼んでやれ」}という、&font(red){一と美雪で1セット}といったような扱いをしているようにも思える。
おそらく、一や明智と違い、自分にとって何の因縁もない相手であること、また、彼らのようにずば抜けた推理力と強い意思で自分に対抗しようとするのではなく、第三者の視点で見た&bold(){『気づき』}によって一にちょっとしたヒントを与える程度の役割であることも、少なからず影響しているのではないだろうか。
(おそらく彼にとって[[佐木竜二(アニメ版では竜太)>佐木竜太/竜二]]や[[村上草太>村上草太(金田一少年の事件簿)]]も彼女同様の第三者であるため、剣持・明智・玲香・二三の時と異なり全く危害を加えていない。直接的に危害を加えれば、さすがに一が黙っていないと考えているのかもしれないが)
…と思われていたが、『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』ではとうとう彼女の[[小学校]]時代の親友・星宮つむぎを犯人に仕立てたことが描かれていた((その際、2人の友情を「茶番」と評していた。また「金田一少年の事件簿30thシリーズ」ラストで、金田一サイドでは高遠に対して比較的穏和だった美雪も親友を陥れられたことで彼に強い悪感情を持つようになった。))。
なお、美雪側は彼女の性分故か高遠に対しても大抵は「高遠さん」と敬称を付けて呼ぶ他、会話時の受け答えも敬語で行っており、『薔薇十字館』での二人の息ぴったりな協力態勢を見て「微妙に似た者同士」と感想を述べている。
その上気が合いすぎる(ように見えてしまっていた)せいか、後に明智の部下となった幸村真之助にすらも高遠と同類扱いされる羽目になり、
一は彼から「自分が事件を次々と解決しているかのように見せかけるために犯罪を起こし続ける凶悪な連続殺人犯」だと本気で疑われてしまったことも。
%%まああれだけ行く先々で事件が起きていたらそう思いたくなるのも分からなくはない。%%
海外暮らしが長かった影響もあってか語学に堪能で、少なくとも英語、イタリア語、中国語(広東語)を話せるのは確実という[[明智警視>明智健悟]]も感嘆する程の教養と、[[怪盗紳士>怪盗紳士(金田一少年の事件簿)]]にも引けを取らない変装技術を併せ持つ、ある意味[[チートキャラ]]。
更に格闘術にも秀でており、銃剣や棒などの武器で攻撃してきた相手も容易く制圧することが出来る他、刃物や拳銃にダーツといった様々な凶器の扱いにも手慣れている。
加えてITスキルもそれなりの物らしく、自分の手駒となる素質を持つ人間を探す際にコンピューターウイルスを利用したこともある。
何人もの人間を煽動して犯罪へと駆り立てていることからもうかがえる通り、甘言を用いて他者を懐柔せしめる卓越した話術もまた彼の武器の一つ。カウンセラーに扮して少年院に赴いた際には、当初は全く馴れ合う意思など無かったという受刑者の元少年から重大な頼み事を託されるほどまでに信用を得ることに成功し、そのまま自身の計画に利用している。
また、スピンオフ作品も含めて原作内で彼が殺傷及び殺人教唆をした人数、及び拘置所から脱獄した回数をリストアップすると、(※『金田一37歳の事件簿』でのことについては詳細が判明するまで未集計)
・自らの手による殺害人数…8人&footnote(ただし、事故死した左近寺の場合も、彼が手にしたノートのデストラップに気が付いていながら放置していたことから「未必の故意による殺人」と見ることもできるため、それを含めるとすれば9人を殺害したことになり、『異人館村殺人事件』の犯人(8人殺害)を追い抜いて、歴代の犯人の中でも自分自身で殺害した人数が最多になる)
・自らの手で殺害しようとしたが、未遂に終わった人数・・・3人(内1人は金田一。前述の左近寺も本来計画の途中で逮捕されなければ自身の手で殺す予定であったので、彼を入れるなら4人)
・彼の殺人教唆を受けた犯人の人数・・・10人
・その殺人教唆によって殺害された人数・・・24人
・その殺人教唆によって殺害のターゲットにされたが、生き残った人数・・・3人(内1人は明智。なお高遠が今まで策を授けた実行犯の中の一人は自身の死を計画の最終目標としつつも、金田一の推理によって阻止されたため仮にそれを含めるなら4人となる)
・拘置所から脱走した回数・・・3回
となる。
(アニメやドラマでは、細部が異なったり、未放送回などがあるため、これらの数値が前後している)
&bold(){あと[[強制猥褻>月読ジゼル]]や詐欺行為、そしてストーカー行為も何回かしている。}
尚、[[冥王星>探偵学園Q]]同様、&bold(){相手を脅迫して無理矢理殺人を実行させる}マネは一切していないが、前述のように殺人プランに因縁のある一や明智等を陥れるための計画を織り込んだり、一を苦しめる為だけにわざわざ平穏に暮らしている善良な人物を復讐に駆り立たせる場合もある。
また、明智が塾講師として潜入捜査中に事件を調べながら会話をしている時、以前に高遠が黒幕であった事件における実行犯の動機として復讐以外にも「金、利権、妬み」といった本編中に高遠が教唆した事件では見られなかった動機も挙げていることや
「犯罪ガイドマップ」、そして『[[歌島リゾート殺人事件>歌島リゾート殺人事件(金田一37歳の事件簿)]]』で明らかになった事実なども考えると、作中で描かれなかっただけで他にも多くの人が高遠によって被害を受けているものと思われる。
作中にて「犯罪歴の無い人間がこれほど完璧に近い計画を立てられるはずがない。だから高遠が考案した計画の可能性がある(要約)」とまで一に言われたこともあるが、実は作品全体で見ると犯罪の完成度自体はそれほど高いわけではなく、彼より完成度の高い犯罪を達成した人物自体は結構いる。
というか完全犯罪を狙っている割には、ところどころが[[綱渡り]]だったりお粗末だったりするトリックが大半(本人は「計画は完璧だった」と一貫して言い続けているが)。
更に言えば、高遠が己の手もしくは他者の手を介して起こした10件の事件の内、殺害予定の人物が二人以上いたのは8件だが、その中で予定されていたターゲットを全員殺害することに成功したのは『獄門塾殺人事件』『[[剣持警部の殺人>剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)]]』『亡霊校舎の殺人』『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』の4件しか無い。((『剣持警部の殺人』も本来は実行犯の自殺を以て計画が完成する手筈(=実行犯自身が最後のターゲット)であったことを踏まえると、実質的にノルマを全て達成したと言えるのは3件のみ。))
これは彼がいわゆる&bold(){「劇場型犯罪」}を好み、合理性よりも意外性のあるトリックを選ぶためにこうなるという見方もある。
しかし、彼の最大の武器は犯罪の完成度ではなく、冷酷無比な人格と、短期間で金田一と明智を苦戦させるほどのいくつもの計画犯罪を練り上げる頭脳、そして何より&font(#ff0000){母に認めてもらうために鍛え上げたマジシャンとしての実力}である。
これらを駆使し、ありとあらゆる手段を講じて芸術犯罪を企画立案し、宿敵と認めた金田一に対して執拗にぶつけてくるのだ。
また、自分が黒幕であることを見抜かれた場合もその頭脳とマジックで自分が被るであろう被害を想定・回避するなど、アフターケアにも尋常でないほど力を入れていたりする。
彼より完成度の高い犯罪をなしえた者たちが揃いも揃って、最後に致命的なミスを犯したりアクシデントに見舞われたりして命を一気に縮めたのとは対照的である。
一つ一つの事件の犯人としては強敵とは言えないが、数多の事件を思いついて実行できる残忍さと頭脳、可能な限り自身が直接的なダメージを受けないように立ち回る異常なまでに優れた危機回避能力、犯行や逃亡時に発揮される一流マジシャンとしての側面から、&bold(){作中最強犯罪者}であることは確かなのだ。
その上後述のように剣持や明智、玲香や二三などの一と親しい人間全般にも様々な形で酷い仕打ちを浴びせており、そういった点でも間違いなく一を作中で最も精神的に苦しめた敵だと言える。
一方で一と利害が一致して手を組むと、冷静な振る舞いと優れた知識により一の謎解きを助ける形となり、マジシャンとしての技量を活かした意外性のある立ち回りで犯人の追及に貢献する。
ちなみに「劇場型犯罪」を好むイメージに反し、見立て等の「死体の装飾」についてはさほど拘りは持っていないらしい。
現在彼が主導した事件で見立てがあったのは10話中4話しかなく、そのうち[[見立てが後付けだったケース>獄門塾殺人事件(金田一少年の事件簿)]]と[[殺害手段その物が見立てになっていたケース>剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)]]を除くと、最初から計画の一環として死体の装飾を行っていたのは&bold(){わずか[[2>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]][[話>黒魔術殺人事件(金田一少年の事件簿)]]のみ}と意外なほどに少ない。
しかもその2話のうち1話はトリックの痕跡を装飾という形でまとめたに過ぎない。
同じく「芸術的な殺人」に拘っていた『[[異人館村殺人事件>異人館村殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』の犯人とはこの点が大きく異なる。
なお、逃亡中の仮の姿としてピエロのマスクを付けた大道芸人となって子供達にマリオネットを使った人形劇(おそらく自分と一の対決を元にしたもの)や手品や紙芝居などを見せていることがある。
劇中では殆ど披露されないが、マジシャンであるためかマリオネットの扱いも非常に上手く、『魔術列車』では「生きたマリオネット」なる演目の奇術を、直前に殺害した相手に代わって舞台上で実演して見せている。
このご時世では神出鬼没で身元不詳の大道芸人など&font(#ff0000){傍から見たらやたらと目立つ不審人物}であるが、&bold(){あまりにも飛び抜けて目立ち過ぎる}ので逆に怪しくないと思われているのかもしれない。
大道芸人として振舞っているときは子供の[[ハート]]を鷲掴みにする正統派マジシャンであり、子供からの人気も高い。
警察も手こずる凶悪犯罪者になりつつ、かつて志したマジシャンという夢もしっかりと叶えているあたりは優秀。
彼のマジックは逃亡時にも十二分に活かされており、警察に囲まれても大人しく手錠をかけられたように見せかけることで周囲の人間の隙を作ったことがある。
逃亡生活の中でどうやって生計を立てているのかは不明だが、『露西亜人形殺人事件』の幽月来夢のような協力者から支援を得ていることがうかがえるほか、経歴詐称で職に就いていたこともある。
残忍な[[殺人鬼]]でありながら日頃の口調や態度は冷静で紳士的なので、本性を見せることなく演技するのは彼にとって難しいことではないだろう。
更に博識多才であるため変装して経歴を詐称すれば潜り込める場所は非常に多く、特に苦労はしていないと思われる。実際、作中ではマジシャン以外にも芸能プロの社員や塾講師など必要に応じて様々な職を務め、そつなく業務をこなしていた。
『亡霊校舎の殺人』では莫大な資金源を手にしており、それを元手にしてより大掛かりな舞台装置の準備や、事件関係者に高額な金をポンと手渡して事前の根回しを行う描写があることから、かなり懐は暖かい模様。
(「いつもながら奴の犯罪計画には金と手間がかかってんぜ!」by金田一)
『金田一少年の決死行』『剣持警部の殺人』等ではとある教会の牧師に成り済まし、自分が企てた犯罪計画を実行できる「人形」を捜していた。
彼が主人公の[[スピンオフ]]、『[[高遠少年の事件簿>高遠少年の事件簿(金田一少年の事件簿)]]』では彼の高校時代が描かれ、[[イギリス]]から帰国後、明智と同じ名門校の秀央高校に、これまた明智同様に入試全科目満点で入学したことが語られている。
彼の最初の殺人((ただし殺されかけて反撃したという状況であることを踏まえると、正当防衛となるにせよ過剰防衛となるにせよ殺人罪には当たらないものと思われる。))もこの時だったが、相手が事切れる寸前に「(人を殺して)どんな気分か」との質問に対して&bold(){「別に普通だよ」}と平素と変わらぬ表情で応じるなど、この時点で既に地獄の傀儡師としての片鱗が見え始めていた。
しかしながら、彼の登場が読者にとって絶賛ばかりではないのもまた一つの見方であり、これだけ多くの事件に関わりながら金田一が解き切れなかったトリックが一つもない。
まあメタ的な話をすれば金田一を主人公とする探偵漫画というストーリーの関係上、[[主人公補正]]には絶対勝てないので最終的に全ての謎を解き明かされてしまうのは仕方ないと言えば仕方ないのだが……(ただそういった事情を差し引いても、前述の通りターゲットを全員殺せずに終わるパターンも多々あるのは事実)。
それに加えて、自身も初陣である『魔術列車』ではミス((3人目の殺害対象の人物を殺そうとした際に悲鳴をあげられ、窓から逃げるしか無い状況に追い込まれたため、部屋の中に置かれていた翡翠を重石として利用し、高所から木の枝にかけたロープを伝ってシーソーの原理の応用で降りた。))をしたせいでターゲットを全員殺し終える前に犯行を暴かれたにもかかわらず、
自分が手を貸した人間がたとえターゲットの殺害自体は最後の一人まで完遂した場合であろうとも何かしらミス((中には高遠の采配にも非があったであろう物も少なからず存在する。例えば『速水玲香誘拐殺人事件』にて被害者が軟禁されている間に髭を剃るため使用していたシェーバーを処分しておくよう指示していなかったせいで、シェーバーの中に残った髭の状態からアリバイトリックを見抜かれてしまった一件など。『金田一少年の決死行』も明智の胸の中央を刺すよう指示すれば、トリックに鏡が使われたのがバレにくかっただろう。))をして真相を見抜かれた時には「不出来なマリオネット」「ミスキャスト」などとこき下ろして殺害しようとするなど、
態度の割に作中での行動が好敵手の体を成していないという批判的な意見や、逃亡時に使用するマジックがただの魔法のようになってしまっているなどの否定的な見方も少なくない。
%%そもそも毎度の如く、何かしらしくじるような人材を選んできてしまう御自分にも非があるのでは……?%%
擁護しておくと、彼が自身の敗北を簡単に認められないのは芸術犯罪を紡ぎ出すための研鑽を一切惜しまぬ身であるが故のプライドに起因しているものと見られ、時には己への罰として敢えて我が身に鞭打つような行動を取るストイックな一面も持つ。
また、誰かor何かに責任転嫁して敗北を認めないような振る舞いも物語の途中から鳴りを潜めつつある。
マジシャンは客にマジックを見破られたら速やかに自ら幕を下ろすものとの矜持を持ち、最初の事件では犯行の決定的な証拠にまで言及されていない((前述の翡翠を犯行現場の下の階に置いた一件は本来は彼を犯人として立件する証拠としては弱い。とはいえ仮に高遠がそれを釈明していたとしても、都津根毬夫なる人物に変装した際のゴムマスクや殺害相手の一人の死体を入れていたバッグを隠した沼について言及されれば終わりだったことであろうが。犯行に使われた物を隠す場所として金田一が自身も沈められた沼について思い当たらなかったとは考えにくい。))にもかかわらず己が犯人であると認めるという異様なまでの潔さも見せた。
%%後に自身がプロデュースした事件においては、「巌窟王」と名付けた実行犯に対して心の中でしつこく「まだ言い逃れ出来るはずだ」「認めるな。否定しろ」と言い募っていた。%%
物語が進むにつれ彼の黒星が徐々に積み重なっていくことに関しては、連載が非常に長期化してしまったことで悪役としての役目を中々終えられないが故の悲劇と言っても良い。しかし、それでも心折れる様子など微塵も見受けられず、手を替え品を替え高遠は意気揚々と新たな芸術犯罪に挑み続けるのであった。
簡潔にまとめると彼は
・表面上の振る舞いは紳士的。
・素顔は冷酷非情な犯罪者。
・どんなに敗れたり糾弾されようと良くも悪くも自分の都合のいいように考えられたり、くじけたりすることがない悪い意味でのポジティブさ。
・傲岸不遜で他人を弄ぶ悪辣さ。
・目的達成のための労力と投資は惜しまない。
・身内や恩人もしくはシンパシーを抱いた相手には優しい。
・後、[[忘れん坊さん>金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]。
理不尽かつ極悪非道ながら一握り程度の人間味のある性格の持ち主と言える。
*【関連人物】
・近宮玲子
CV:[[小山茉美]]/演:金久美子
実の母親。故人。
職業は奇術師で、明智が&bold(){「この国で唯一の『本物』」}と認めるほどの天才的な腕前だった。
高遠が7歳のころ、養父に連れられて、近宮が[[イギリス]]で興行した公演を見ている。高遠はその時、彼女の技を見て、ひと目でマジックの虜となった。
その後、高遠が10歳の時、近宮が何らかの理由でイギリスを訪れた際に出会っている。この時、簡単ではあるが、直にマジックの手ほどきをしてもらっている。
この時、3年前の公演に高遠が来ていることを知って、驚いているので、どうやら養父は近宮に知らせていなかったようだ。
高遠が、近宮と接したのはこの2回だけである。
高遠を含め、彼女を知る多くの人間の証言からもわかる通り、善良な人柄であったらしい。
&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){もっとも上記の通り、自分のマジックを盗まれた場合に備えてそのまま実行すると焼死するいくらなんでも強烈過ぎる罠も仕掛けてはいた。&br()ただしその罠マジックは「火元がないのに発火することが売りのマジックなのに密閉するから火元がないことが観客から確認できない」など不自然・お粗末な点が目立つ。&br()素人ならともかく真っ当な奇術師ならすぐ違和感に気づく代物だったので、そこまで本気で騙し殺す気もなかったと考えられる。}}
彼女の才能を妬む弟子たちによって謀殺され、そのことが『魔術列車殺人事件』の発端となった。
かつてファンの間でまことしやかに流れた噂だが、[[金田一耕助]]には正妻(一の母方の祖母)以外にも愛した女性がおり、その娘が近宮である、という[[マンガに関する都市伝説]]がある(耕助は人がバンバン傷ついたり死のうが気にしない性格でマジックの達人であるため)。
もしそれが事実だとしたら一の母と近宮は異母姉妹でそれぞれの息子である一と高遠は従兄弟同士ということになり、美雪や幸村の指摘もその[[伏線]]という説もある。
なお、この母子の名前を見てみると、「近」宮← →高「遠」となっており、さりげなく対比になっている。
・[[月読ジゼル]]
CV:[[沢城みゆき]]/演:藤井美菜
腹違いの妹。現在は刑務所に服役中。
『薔薇十字館殺人事件』にてその存在が明らかになった。
詳細は該当記事にて。
・養父(仮)
CV:木村雅史/演:[[石塚運昇]]
本名不明。故人。高遠との血の繋がりはない。
高遠が物心ついた頃は、イギリスで高遠と二人暮らしをしていた。
自分にも他人にも「完璧」を求める厳格な性分で、職業は貿易会社に勤める商社マンだった(「経営者」と表記されたこともある)。
家族サービスには縁がなかったが、近宮がイギリスで公演した時には、わざわざ高遠を連れて観に行ったことから、全く情が無かったわけでもないらしい。
元妻のことを「玲子」と呼んでいることから、彼女とは親しい関係だったようだが、詳細は不明。
少年だった高遠には「母親は小さい頃に死んだ」と教えていたが、酒に酔った勢いから「お前には腹違いの妹がいる」と高遠に漏らしたことがある。
高遠が高校に入学する前に、日本に戻ってきた。そのため、高遠は私立秀央高校に入学している。
ただ、イギリスでの家を引き払ったわけではなかった(イギリスの家に、近宮のトリックノートが送られていた)ので、またイギリスに戻る予定があったのかもしれない。
&bold(){高遠の実の父親についても、何かを知っているらしく}、高遠の周囲で何か事件が起きるたびに高遠の関与を疑ったり、高遠が[[最初の殺人>高遠少年の事件簿(金田一少年の事件簿)]]を経験した直後にはその面影を高遠に重ねて戦慄していた。
6年前に死去し(高遠17歳時の出来事なので逆算)、それを機に高遠はマジックの修行のためにイタリアに渡る道を選んでいる。
高遠は自宅について監獄のようだったと語っており、酔った八つ当たりでコップを投げ付けるなど虐待に当たるような接し方を時折されていたことも相まって養父のことを好いていなかったが、完璧主義者な面は受け継がれた((実の父親の面影について考えると義父も色々と複雑な心境だったのかもしれない。一応擁護しておくと、彼は実子でない子供の養育を押し付けられた立場なので、息子への非情な振る舞いも仕方無い部分はある。))。
また、回想の中では彼の墓の前で神妙な面持ちを見せていたので、曲がりなりにも自分を育ててくれた存在としてその死に対して何かしら思う所はあったのかもしれない。
・実の父親(仮)
本名を含め全てが謎に包まれている。故人?
高遠が自らのルーツとして追い求めている存在で、現時点でわかっていることは以下の通りである。
(1)&font(red){近宮玲子}と&font(blue){美咲蓮花}という2人の女性の間にそれぞれ子供(高遠とジゼル)をもうけた人物であること
(2)極めて特殊な性質を持つ&font(#87ceed){「&ruby(かげろう){蜉蝣}」}という薔薇を所有していたことから、薔薇に並々ならぬ関心があったこと((アニメ版では薔薇の名前は「&ruby(かげろう){蜉蝣}」から「&ruby(むげん){夢幻}」に変更された。))
(3)薔薇十字館や山中の洋館(仮)などの巨大な館をいくつも所有し、その他にもあちこちの建造物に大規模な改装を施していたことから見て、かなりの資産家であったこと(その改造された建造物の1つについてはある事実から、明智によって「1982年以降に改装がされた」という事が判明している。)
高遠の育ての父はこの人物について&font(red){&bold(){「あの悪魔」}}と呼んで尋常ならざる嫌悪と畏怖を抱いており、少なくともまともな人格ではなかったようだ。
また、高遠自身が己が事件に関与することを&bold(){「宿命」}だと回顧しているため、何らかの犯罪者である可能性が高い。
高遠はマジックの腕前以外は近宮にあまり似ておらず、むしろマジックの腕前以外ほぼすべては実父似であろうことがうかがえる。ただ前述のデストラップのことを考えると、やはり近宮も高遠の母親だけあって一筋縄ではいかぬ人物だったのは間違いないが。
さらに、金田一と明智が関わった『亡霊校舎の殺人』内で使われた大掛かりなトリックについて、&bold(){まるで「完全犯罪の舞台装置に使え」とでも言わんばかりの}仕込みをしたとされる人物の事を&bold(){「高遠とよく似た気質の誰か」}といった旨の推察をしており、これも恐らく高遠の実父を指すものと思われる。
・ナターシャ
高遠邸の家政婦らしい外国人女性。
『高遠少年の事件簿』にて登場。
高遠の育ての父は家をあけることが多かったためその留守を預かる傍ら、少年時代の高遠にピアノを教えた。
柔和な笑みを浮かべる裏で、学校で起きた殺人事件について話す高遠の背中に意味ありげな眼差しを向けるなど、ただの家政婦ではない可能性がある。
初登場以降出番がなく、現在は何処で何をしているのか定かではないが……?
・幽月来夢
CV:松谷彼哉/演:山咲千里
高遠の一時期の協力者。彼の逃亡の手助けをしていた。
そして『露西亜人形殺人事件』で有名ミステリー作家の莫大な金額の遺産を相続する権利を賭けた暗号解読ゲームの助っ人として高遠に協力を求める。
物語中でこの事件の犯人である「コンダクター」に殺害されてしまったものの、彼女の亡骸の目を静かに閉じてやり、(自分が濡れ衣を着せられたこともあるが)彼女を自分の傍で殺した犯人を見つけ出して断罪することを宣言するなど、
高遠側も単なるビジネスパートナーという感覚で接していたわけではなく幾らかの情は持ち合わせていた模様。
・[[明智健悟]]
ご存知イヤミ警視で高遠にとってのもう一人の宿敵。
彼の母親である近宮玲子のファンで彼女とも親しくしていた。
そして『魔術列車』で、彼が今回の事件に巻き込まれた理由は彼女の死に疑問を抱き、真相を追う為で、そこで彼女の息子である高遠の起こした事件に巻き込まれた。
また、高遠の通っていた高校、[[秀央高校>秀央高校(金田一少年の事件簿)]]の出身で、在学期間こそかぶっていないが、彼は高遠の母校の先輩に当たる。
そして高遠が在学している頃にOBとして本校を訪れ、そこで彼とニアミスしていた。
その後、研修先で意外な形で再会を果たすなど、&bold(){&font(#ff0000){ある意味金田一以上に彼と深い因縁で繋がっている}}。
なお、高遠が地獄の傀儡師として活動する前を描いた作品も幾つかあるが、そのすべての作品に明智が登場していたりする。
*【関与した事件について】
高遠が『魔術列車殺人事件』以降に計画を立てた、または意図せず巻き込まれた事件は以下の通りである。
01.『速水玲香誘拐殺人事件』
金田一と親交のあるアイドル・[[速水玲香]]を誘拐し、そのドサクサに紛れてターゲットを殺害する計画を立てる。
犯人との電話の中で「血のように赤い薔薇」というキーワードを含めることで自身の存在を匂わせていた。なお高遠自身は事件の関係者の一人である小渕沢英成(CV:金光宣明)に化けて終始間近から成り行きを見守っていたことがラストで明らかとなった。
最終的には、思いも寄らぬアクシデントが発端の些細なミスから芸術犯罪を台無しにした犯人を毒殺。
大勢の人間がいる中で誰にも気付かれることなく犯人に毒を盛るという大胆な手口を使い、あたかも犯人が自殺したかのように装った。
その後、駅のホームで金田一が黒幕の存在に感付き始めた頃、挑戦状を送り付けるという形で自らの正体を明かした。
アニメ版では、序盤には声優がエンディングのクレジットにて別名義で表記されていたため、キャストというメタ推理で正体がバレることは無かった。番組中での声自体は一切加工されていないので、実際に聞けば大体は察しが付くであろうが。
なお、小渕沢が鏑木プロダクションに就職したのが3か月前という設定があるため、『魔術列車殺人事件』から最低でも3か月は経っていると思われる。((『黒魔術殺人事件』での行動を考えれば、本物の小渕沢英成を殺害して成り代わった可能性も一応ありえなくはない。))
02.『露西亜人形殺人事件』
自身の逃亡生活を手助けしてくれていた女性挿絵画家・幽月来夢からの依頼ということで、偶然にも金田一たちと同じようにある人物の遺産を取り合う暗号解読合戦に参戦。仮面をつけた奇術師「スカーレット・ローゼス」として露西亜館に赴いた。
&bold(){変装があまりにバレバレすぎる}が、単純に&bold(){恩人からの依頼を受けて参加していただけ}である為、芸術犯罪など&bold(){元からやる気もなく}、
金田一に至っては、&bold(){高遠視点で言うなら自分が向かった先に&color(red){なんかいた}}という状況であった事(=金田一がいると思っていないので金田一ではない他の解読合戦参加者さえ騙せれば良かった)も大きい。
&font(l){幽月に「変装必要ないんじゃ?」と言われて「自分を知っている人物がいたので変装して正解だった(意訳)」とボヤいてすらいる。}
そこで発生した連続殺人の中で不覚を取り、幽月が殺されてしまったことで怒りを滲ませ、犯人に制裁を加える(=殺害する)か否かを巡って金田一と推理合戦を演じる。
この時交わした約束は、自分の方が先に真相を突き止めたら犯人に制裁を加え、金田一の方が先に真相を突き止めたら犯人の命を助ける(制裁を加えない)、という内容だった。
最終的には先に真相に辿り着いた金田一と協力する形で犯人を追い詰める。
推理合戦で敗れたため犯人を殺害することはしなかったが、土壇場で自暴自棄となった犯人の自殺をマジックを使って阻止するという挙に出る。
金田一と交わした「犯人の命を助ける」という約束はあくまで&font(red){「高遠が」制裁を実行しない}という受動的な立場であったため、&font(red){自ら命を絶とうとした犯人を救う}という能動的な行動をとったことは金田一や佐木を驚かせた。
その理由について、金田一と美雪は&bold(){「犯人の境遇に[[自分の過去>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]]を重ねて同情したからではないか」}と推察している。
(それを裏付けるように、協力者だった幽月の仇であるはずの犯人に対し、普段の彼からは考えられないほど優しく諭していた)
この時の高遠にはファンが多い。
#center(){&font(red){探偵にちょっと追い詰められたくらいで}}
#center(){&font(red){簡単に自分から死を選ぶようなあなたでは}}
#center(){&font(red){冷徹な犯罪者にはなりえません}}
#center(){&font(red){あなたはたった今、一度死んだ……}}
#center(){&font(red){生まれ変わる気があるなら、次はもう少し}}
#center(){&font(red){自分のあるべき姿を見つめ直してみることですね……}}
ちなみにこの回、長編では高遠が始めから終わりまで一つも犯罪を行わなかった、初にして現時点では唯一の事件である((ただし、ドラマ版では暗号解読ゲームの参加者となった佐木を唆して剣持から拳銃を奪い、それを発砲して剣持を負傷させている(原作では剣持はそもそも現場に同行していない)。))。
ただし、事件後に金田一のもとに現れ、自身が調べた『この事件の本当の黒幕』について陰惨な真相を語ると同時に、&bold(){「人間なら誰でも持っている心の闇」「私と君は決して交わることのない平行線」}との言葉を残して忽然と姿を消した。
金田一が高遠のことを、「&ruby(ジッチャン){金田一耕助}の名」ではなく&font(red){&bold(){「自分自身の誇り」にかけて打ち破るべき宿敵}}であると認識したのはこの時であった。
03.『金田一少年の決死行』
長い年月を地下壕に父親とともに閉じ込められていた犯人を救出後、犯人を閉じ込めた三人への復讐に協力。
その過程で、金田一が明智をナイフで刺したかのように周囲に見せかけ彼を殺人犯に仕立て上げるための謀略を巡らしていた。
途中、金田一を煽って降伏を促すために電話をかけるも揺るがぬ意志を灯した彼は弱音を吐くことなど無く、
「こんなクソガキに連敗しまくってるもっとマヌケな犯罪芸術家気取りはどこのどなたでしたっけ!?」と挑発を返しつつ、ジッチャンの名と自分自身の誇りの両方にかけて必ず謎を全て暴いて見せると宣言する。
それでも計画は順調に進行していたが、金田一を犯人役として罪を着せるのを止めるよう犯人に懇願される(当然拒絶した)など、次第に予定が狂っていく。
その一方で、失っていた人間味を取り戻しつつあった犯人の姿には何処か感慨深げな表情を見せていた。
また地下壕の中にあった金塊の内、今回の計画の財源として消費しなかった残り分を全て犯人に譲ることを約束すると共に、
復讐を終えた犯人が第二の人生を送るために必要な諸々の手配を手伝うことを提案するなど割と面倒見の良い姿も見せる。
最終的に金田一に追い詰められて自供した犯人に見切りを付けて、毒のダーツで殺すべくトリックを用いて急所に命中させるが、結果的にその人物は死なず未遂に終わる。%%確かにもっと確実に殺せる手段を講じなかった高遠にも落ち度は少なからずあるだろうが、それ以上に無事生存した犯人の生命力を賞賛すべきかもしれない。%%
その際、高遠は剣持警部に変装していたが、詰めを誤ったことで金田一と明智に変装を見破られて追い詰められ、呪いの言葉と共に&font(red){投身自殺}。
───が、その自殺すらもフェイクで、再び剣持警部に変装して日本へ戻ろうとしたところ、既に金田一たちによって救出されていた本物の剣持警部に逮捕される。
この時、自分のラストマジックを見破った理由を金田一に訊ねるが、不敵に笑いながら&bold(){「筋金入りの&font(red){マジシャン}であるあんたらしくない」}とした宿敵の答えに満足げな笑みを浮かべた。
そしてついに&font(red){&bold(){敗北}}を認め、その味を噛み締めながら金田一に別れを告げた。((なおドラマ版・アニメ版ではどちらも逮捕されずに逃亡している。))
#center(){&font(red){──らしくない、か!}}
#center(){&font(red){フフフ……確かに少々、演出過剰だったかもしれませんね}}
#center(){&font(red){認めましょう、敗北を}}
#center(){&font(red){……なるほど、これが敗北の味というものか!}}
#center(){&font(red){そう悪くはないな……}}
#center(){&font(red){いずれ味わうメインディッシュの少々苦い前菜だと思えば……ククククク……}}
#center(){&font(red){──いずれまたお会いしましょう、お二人さん}}
#center(){&font(red){その時まで…………}}
#center(){&bold(){&color(red){&sizex(6){Good Luck!}}}}
その後、金田一に犯罪が起きそうな場所(『獄門塾殺人事件』のように自ら犯罪のタネを仕込んだケースもあり)のリストを&bold(){「犯罪ガイドマップ」}として送りつけ((ただし送り付けたのが高遠である事が判明するのは『吸血鬼伝説殺人事件』のラストなのでこの時点では誰が送ったのかは不明であった。))、金田一はそれを受けて全国を旅することになる。
(送られてきたリストの内容を知っているのは金田一と後の明智のみであり、読者にすら明かされていない)
定期連載だったシリーズはここで一旦終了となるため、金田一少年の事件簿の一応の完結に関わったと言えなくもない。
そして『[[オペラ座館・第三の殺人>オペラ座館・第三の殺人(金田一少年の事件簿)]]』のラストにてまた脱獄したことが明智から告げられた。
04.『[[吸血鬼]]伝説殺人事件』
高遠が獄中にいる間に、上記の理由から旅をしている金田一が美雪、剣持を呼んで合流した無蘭村の廃墟風ペンション「ルーウィン」で起こった殺人事件。
ただし、本作中では金田一が旅を始めるきっかけとなった手紙に彼の名前が書かれていたことが判明するという形のみでの登場であり、
高遠が直接関わっているような描写は一切無く、犯人の口からも高遠のことは一言も出て来ないため、何か「種」を仕込んでいたのか、それともたまたま「天性の嗅覚」で嗅ぎ付けた「ルーウィン」をガイドマップに書いただけなのか、不明である。『犯人たちの事件簿』では高遠の存在に触れられていない為、後者の解釈で書かれている模様。
なお、アニメ、ドラマでも放送されたが、原作と違って高遠が逮捕されていないため、このような描写はカットされており、高遠とは無関係の事件になっている。
05.『獄門塾殺人事件』
一の友人である村上草太が通う塾を舞台にした殺人計画を立て、ゴムマスクをかぶっただけの簡単な変装で塾講師・赤尾一葉として塾に潜入、明智にも上記のリストを送り付ける。
『決死行』のラストで一の自宅に届けられた手紙が犯罪ガイドマップだと判明したのはこの時であり、[[自転車]]旅の中で様々な場所に赴いては事件を未然に防げたこともあればそうで無かった時もあったという話が一の口から語られる。
塾の合宿で利用された樹海に一、美雪、明智と共に同行し、そこで実行された連続殺人をすぐ傍から鑑賞。(犯人がミスを犯して助けを求めてきた際には打開策を授けたりもしていた)
一の顔を見て意味ありげに微笑んでみせたり、マザー・グースの詩を引用して『殺人者』の存在を仄めかすなど、&font(red){まるで正体を隠す気のない}挑発を繰り返していた。
最終的に一と明智によって真相を暴かれた際、些細なミスから芸術犯罪を台無しにした犯人二人を、バラの形をした毒矢で殺害しようとするが、犯人の一人がもう一人の方をかばったため片方の殺害には失敗。
そこで明智が発砲してきた(ただし防弾チョッキを着ていたため無傷)ために犯人への制裁を断念して逃走。
追ってきた金田一を待ち伏せし、「君が今回のトリックを見抜けたのは偶然近くのトンネル((この事件のアリバイトリックには低圧ナトリウムランプが使用されており、これはトンネルなどでも照明として一般的に使われている。))を通ったおかげでしかない」と敗北について弁解するも、
「あんたが今回のトリックを思い付いたのも同じトンネルを通っていた時なんだから、これはある意味必然じゃないのか?」と一言であっさり言い負かされてしまう。%%この時の彼は正直かなり情けない。%%
高遠は一瞬表情を固くするものの「減らず口が上手くなりましたね」と苦笑しつつすぐ傍の川へ逃亡。
巻き起こした炎を目くらましにしつつ川へ飛び込むと同時に自分に似せた人形を流し、自身はアクアラングと川底のロープ(事件で使われたトリックの応用)を利用して上流へ逃れるという離れ業を披露。これには&font(#ff0000){明智警視も騙されて}下流を追うように警官隊に指示を出した。
それでも金田一だけは騙せず一対一で対峙することに。とはいえ、激流の中を数百メートル程度は登ったのに全く疲弊した様子を見せないのは流石と言った所か。
「私はプロの殺人者だ。君を殺すことくらい訳などない」という警告を無視し、棒で殴りかかってきた金田一をプロの殺人者と名乗るに値するずば抜けた格闘技能で一蹴。
此度の勝負での敗北、そして先程己が負けた理由について見苦しく自己弁護したことに対する「自分への戒め」として金田一の一撃を敢えて掌で受け止めつつ、彼にボディブローを食らわせて去っていった。
直接的もしくは間接的に多くの人々を傷付けてきた高遠だが、劇中で彼自身が血を流すほどの傷を負ったのはこれが最初である。
終盤でこそ殺人鬼としての冷酷な振る舞いを見せたものの、今回の事件では、&bold(){被害者たちが皆、救いようのない非道な人間かつ、法律で裁けない連中}であり、そいつらに死の制裁を下せたという点と、塾内で起きた1人の青年の死の真相を明るみに出させたという点において、結果として[[ダークヒーロー]]的な立ち位置になっている。
06.『黒魔術殺人事件』
金田一の友人が関わる会社が雇っている、仮面を付けた黒魔術師として登場する。
金田一の友人は過去に家族を失っており、その原因となったのが会社の人間であるということを突き止める。
そこで復讐のためにその会社に近付くのだが、その復讐プランを授けたのが高遠である。
友人が家族を失う原因を知るように仕組んだのも高遠である、という描写がある((アニメ版ではその理由が一と友人の仲を引き裂くためといったタチの悪いものになっている。))。
金田一は黒魔術師が高遠ではないかと考えて仮面を外すように頼むが、既に黒魔術師は高遠によって仕込まれた役者にすり替えられており、金田一は高遠に一歩譲る形となってしまう。
そのまま金田一と高遠は直接対面することなく事件は解決し、高遠は再び闇へと消えて行った。
ちなみに高遠によって仕込まれた役者は、何も知らないまま後日高遠の罠によって殺害されている。
(アニメではこの役者はそもそも登場せず、上記の仮面を外すシーンでも高遠本人が登場し、金田一と直接対面している)
このように今回の高遠は残忍さが目立っているが、謎解きの場にいなかったので真相発覚後も何故か真犯人を殺害しなかった。
なお、この事件での身代わり役者殺しは、一と明智を除けば、犯人にとって全く無関係な人間を巻き込み、挙句に手にかけた、唯一のケースとなっている。
07.『剣持警部の殺人』
牧師になりすまし、心のケアと称して少年院にいた真犯人に接触し、さり気無く嘘を交えながら復讐を行うようにそそのかして剣持警部をスケープゴートに仕立てた殺人計画を立てる。
最後の謎解きの場にいなかったので、真犯人にはなにもしなかった。
これは、真犯人が他ならぬ自分自身も復讐の標的としてカウントしていたという事情もある。
今回も高遠の残忍さが際立っている……のだが、それ以上にこの事件も『獄門塾』と同様に&bold(){被害者が皆(高遠とは別のベクトルで)極めて悪辣な人物}であったことと、真犯人についても特に制裁などはしていないため、こちらも結果として[[ダークヒーロー]]的な立ち位置になっている。
ただし実行犯に偽りの情報を与えてまで剣持に恨みを抱かせて陥れるという悪質な一面も見せていた。
EX.『香港九龍財宝殺人事件』
ドラマ版のみ。ご存じヒロインの七瀬美雪が香港で誘拐され、一がそれを探して行くうちに巻き込まれた殺人事件。
今回の事件の犯人に殺人教唆を行っていたが、それを一に看破されたことにより、彼に興味を持ち、後に彼を自身がプロデュースした事件に巻き込んで行く様になる。
ちなみにキャスト交代と共に設定変更が行われているドラマ版では、彼のポジションは「アジアを股にかける殺人プロデューサーとして指名手配中の存在」となっており、原作よりも明らかに犯罪者としての扱われ方がグレードアップしている。いつの間にそんな大物に……。
08.『薔薇十字館殺人事件』
『魔術列車殺人事件』以来となる、高遠自身の背景について触れられた事件。
&font(red){「ローゼンクロイツ」}と名乗る謎の人物から、自身も存在を知らなかった異母妹の生命を人質にとられ薔薇十字館へ来るように要求される。自分が警察に出頭することと引き換えに異母妹を守るよう金田一に依頼し、金田一らとともに薔薇十字館を訪れる。
因みにその時に『[[金田一少年の決死行>金田一少年の決死行(金田一少年の事件簿)]]』以来の本格的な変装を見せている。
そこで金田一と共に連続殺人事件に巻き込まれた高遠は、状況証拠的に犯人に仕立てられてしまい、隠していた正体も知られてしまう。
(しかし、その時は変装をしておらず、隠したのは本名と職業(?)だけの為、顔を思い出されて正体がバレる可能性は元からあった)
真犯人の罪を着せるためのスケープゴートとして呼ばれたことを悟り、プライドを傷つけられた高遠はローゼンクロイツの正体を突き止めて殺害すると言うが、金田一の説得を受けて(彼を連れて来た負い目もあったため)犯人の炙り出しに協力することに。
普段は金田一のオマケ程度にしか扱っていない美雪に対しても今回は珍しくマトモに話しかけるシーンがある。
そしてついに突き止めた真犯人「ローゼンクロイツ」は[[高遠の異母妹>月読ジゼル]]その人であった。
真相を暴かれ、全員を道連れに館を爆破しようとする犯人の行動を目にもとまらぬナイフ捌きで阻止。
事件後は、金田一との約束通り、抵抗することなく警察に逮捕されていった。……が、すぐに脱獄。%%警察なにやってんだ。%%
薔薇十字館とともに高遠が相続するはずだった&bold(){新たな館}の存在が明らかになったところで物語は終了。更なる事件を予期している。
そしてこの事件を境に、彼は自身の「地獄の傀儡師」としての&bold(){片方のルーツ}、つまり、自分のマジシャンとしての側面を成り立たせた母・近宮玲子とは異なる、&bold(){もう片方のルーツ}として存在する「実父」の詳細について「パズル」に喩えながら調べ始めた。
20周年記念シリーズが終了した時点で、二人が最初から敵対関係でなく(金田一の方は何度か彼を牽制しているが)、高遠が金田一に最初から最後まで全面的に協力した唯一の事件である。
事件の捜査では互いに自分たちの推理を言い合ったり、真相解明の場ではインテリならではの視点から犯人の発言の矛盾点を指摘した他、&color(red){&bold(){彼女のスカートに手を突っ込んで}}証拠を見つけたりと、恐ろしい「地獄の傀儡師」らしからぬユニークで大胆な一面も見せた事件となっている。
09.『亡霊校舎の殺人』
最初の方ではピエロ姿で子供達と戯れつつ、今回の実行犯である「亡霊教頭」と連絡を取っていた。
舞台となった島にはおらず薔薇十字館の最後の方で見つけた謎屋敷(仮)にいて、[[ワイン]]を飲みつつ殺人事件や推理を無線越しに聞いていた。
今回も前回に引き続き、トリックを解き切られても犯人を殺害することもなく話を終えた。(彼がこの事件に関わった真の目的は、事件の舞台に使われた建物に改装を施した&bold(){「高遠とよく似た気質の誰か」=高遠の実父?}について調べるためだったためだと思われる)
また、事件の下準備に際して、島に隠されていた大量の金(きん)の一部を手に入れ、新たな資金源としている。%%うらやましい%%
金田一達とは最後まで顔を合わせることもなかったのと、推理が解かれたとはいえ目的が今回は違っていたので比較的穏便に終わった。現に金田一も普段ほどは彼の計画に対してブチ切れていない。
亡霊教頭を見いだしたときは「完全犯罪への扉」というホームページを立ち上げてウイルスを仕込んでおき、「完全犯罪」を求めてアクセスしてきた者の[[パソコン]]をウイルス感染させて内部を覗くことで、
「本気度」を調べるためのアクションをとったようだが、これが作中において犯罪になるのかは不明。刑法における「不正指令電磁的記録に関する罪」には触れる可能性がある。
それを除けば殺人教唆以外の直接的な犯罪は一応していない。
10.『蟻地獄壕殺人事件』
いつもなら最初ぐらいに高遠の存在が出てくるのだが今回は中盤で「これひょっとして高遠じゃね?」みたいな金田一の指摘によりようやく場面的に登場する。
不幸に次ぐ不幸で絶望しきっていた犯人の心理につけこみ、「力になる」と言いつつ殺人計画を持ちかけた。(この時の高遠はメガネをかけていたが、その雰囲気は「魔術列車」の時の弱気な外面を装っていた彼とはまるで異なる怜悧なものだった)
今回は登場人物の一人に変装していたのだが、根拠の決め手となる事件のポジションやら、色の由来を金田一に言い当てられたことを嬉しく思いながら、自分を捕まえようとするいつきをナイフで牽制しつつさっさと逃げた。いつもに比べて地味な逃げ方である。
作品の途中から高遠はトリックを見破られても真犯人を殺さないことが多くなったが、謎解きの場にいなかった『黒魔術殺人事件』『剣持警部の殺人』『亡霊校舎の殺人』の直近の3件とは違い、今回は珍しく謎解きの場にいたにもかかわらず真犯人を制裁することなく去っていった。
(ただしこれは犯行が発覚するきっかけが「些細なミス」ではなかったため、制裁をするほどのことではないと判断したからではないかという見方もできる)
ただ、真相を暴かれた犯人を殺さないどころか、&color(red){金田一に真相を暴かれることを予定調和のごとく捉えていた}節があり、事件を通じて何かを探していることに変わりはないらしい。
そもそも、この事件の舞台に選ばれた蟻地獄壕は、旧日本軍の施設を買い取った&bold(){とある資産家が改造を施した}らしく、(明言はされていないものの)この場所も高遠が追い求める&bold(){もう片方のルーツ}に関わっていた可能性が高い。
11.『金田一二三誘拐殺人事件』
『金田一フミ誘拐事件』で誘拐された二三がまた誘拐されたり、『速水玲香誘拐殺人事件』みたいじゃねとか言われてたこの事件。
事件は解けたものの、終盤の方で段々と違和感が出て来たため金田一は事件後に犯人と面会して真なる真相を聞いている。犯人の証言から葬式の時にあの男が、高遠が現れたということを。
この時の高遠の服装は喪服であり、高遠は犯人を唆して都内を走る電車を利用した殺人を実行させる。((しかし、犯人ははじめとの面会で自分から人殺しになることを選んだと主張していたが、「『犯罪者』なんて向いていない。」と話すはじめや事件関係者からの励ましのメッセージにより感謝の涙を流す。))
……まあこれで今回のシリーズ終わりだしねとなってはいたが、この後でさらなる真実が明かされる。
このシリーズでたまに出ていたカフェふくろうのマスター。&bold(){彼も高遠の変装だったのだ}。(一部予測していた読者も居たようだが)
なお、「とりあえず高遠にしておけばいいんじゃね説」もあるがとりあえず置いておく。
ちなみにこの回では金田一に対するツッコミがたまに素の口調となっていた。
ただ、彼の発言からして今回の誘拐殺人事件に金田一が関わったのは予想外だった様子だが、彼なりに「そういうこともあるさ」と纏めている。
そして今回の事件の犯人にも死の制裁を加えていないが、金田一が事件を解いたきっかけが偶然起きた事故のせいだったからであろうか。
ちなみに前回の高遠が出た『蟻地獄壕殺人事件』から今回で、リアルタイムで大体二年七ヶ月が経過している。長い。
12.『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』
金田一三十周年記念作品の一つである本エピソードにおいては「魔王」と名乗り登場していた。
やっていることは毎度お馴染みの殺人教唆であり、ネットで見定めた実行犯となる者を遠くの町に呼び出して接触。久々に人形劇を行う様子も見せた。
事件が起きる様は、今回の殺人の舞台である鬼戸村の駐在警官に変装して見ていた模様。金田一らは事件後にその事実を知った。
トリックを暴かれ、犯人は捕まったとはいえその後殺したような描写は無い。犯人の正体を見抜かれたきっかけの内、煙草の臭いに関する物は予め誤魔化す対策を講じていなかった犯人のミスと言えるが、それは咎めていないようだ。
今回の殺人計画は高遠としても悔いの残る出来映えだったのか「金田一くんが来ると分かっていたなら、もう少し考えることも出来たが…」とぼやきつつ「言い訳はよしましょう」と締め括っている。&s(){実際金田一よりも先に事件の真相に気付いてしまった人物も劇中に存在しているし。}
その後は「日本を離れて神々の集う国にでも行くか」と独り言ちていた。この事実は読者にのみ明かされている。
例によってカフェふくろうのマスターとしても変装状態で登場しているのだが、カフェの中で金田一の進路相談を聴いている高遠はどんな気持ちだっただろうか。
また、海外でしばらく旅をするためという理由で店を閉めることを彼に告げたのだった。
そして30th最終話にて金田一が、怪盗紳士と比較した上での高遠の残忍性に対する苦言を美雪らに溢したり、美雪が金田一の二十年後の心配をしたりする中、高遠はギリシャにいた。&s(){「神々の集う国」とは出雲のことでは無かったようだ。}
ギリシャのオリンピアゼウス神殿を訪れながら、「殺人芸術家を極めるならいっそ私は”地獄のゼウス”を目指したい」と言う高遠。&s(){ギリシャ神話を引用するなら、そもそも地獄(冥府)はハデスの管轄なのでは?}
「地獄のオリンポスにも十二神はいるだろう。残り11人は……」という彼の独白で金田一30thは幕を閉じる。
その他にも、彼が「地獄の傀儡師」としての活動を開始する前、つまり彼の過去の一部を知ることができる作品に、
・『高遠少年の事件簿』
・『幽霊ホテル殺人事件』
・『学生明智健悟の事件簿』
がある。
(下2つは明智が主人公の短編で、後者に関しては高遠自身は直接出てはこないが、冒頭の描写が『高遠少年の事件簿』のラストとリンクしている)
・『[[金田一少年の1泊2日小旅行]]』
自身が初登場した「魔術列車殺人事件」を基にした「魔術列車帽子から写真事件」と最終回のみ登場。
本編と異なり良識的なところがある。
・『[[金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]』
BOOK☆WALKERにて行われた、本作で取り上げて欲しい犯人の[[人気投票]]で高遠が1位になったため、連載が決定。
船津先生は今まで忌避していたらしいが、いざ扱うとなると気合を入れており、1話目の扉絵は原作『魔術列車』1話目の見開きを元にしたカラー見開きになっている((原作で地獄の傀儡師がいたところが高遠に置き換わっている。))。
いつものようにしっかりとギャグを折り込んではいるが、マーメイド夕海の殺害以外は難なくこなしているため、トリックの苦労話より一との心理描写に重点が置かれている。
&font(l){なお、夕海を殺した際にミスって舌打ちした件についてはなかった事にされている}
本作オリジナルの設定として、好敵手(一)と対決している時は肌がツヤツヤになり、退屈を感じている時は肌がかさつく&s(){高校時代の彼が見たらぶち殴りそうな}体質となっている。
『魔術列車』後の再登場エピソードでもこの設定は健在。一を毎度呼び付けるのもそれが一因らしい。そのせいで歴代犯人の中から「高遠被害者の会」が結成されている。%%明智の言う私利私欲タイプの事件の被害者遺族や当人の悪事の巻き添えを食った面子などを含めれば3桁超えそうであるが。%%
中には高遠がわざわざ現場に一が来るよう仕向けて犯行達成の難易度を跳ね上げることに対してハッキリと%%至極真っ当な%%ツッコミを入れる者も。
犯人がインタビューで「高遠の金田一に対する執着にも問題あったんじゃないの、私だけのせいじゃないわ」と言ったり、
また別の犯人が高遠に対して「これだから感情でものを言う奴は…!!美しいとか美しくないとか…犯罪は芸術じゃねーんだよ」と言ったのも合理性よりも嗜好を優先する彼への皮肉を込めたものかと思われる。
・『金田一少年の事件簿N 謎解きクイズキャンペーンZIP!殺人事件』
ドラマ第4シリーズに当たる『金田一少年の事件簿Neo』の放送に先駆けて、情報番組『ZIP!』にて行われたコラボ企画。
番組内で放送された事件の真相がクイズ形式で問われ、視聴者は正解を選んで応募することで様々な賞品を獲得することが出来るという仕様であった。
それらの事件は、実は高遠が「コンダクター」という名で黒幕として画策していたという設定である。&s(){思いっきり、露西亜人形殺人事件の怪人名と被っているが気にしてはいけない。}
犯行現場に薔薇の花弁が落ちていたとの情報が明記されているので、金田一ファンなら容易にコンダクターの正体が分かったことだろう。
なお番組内で描かれた犯行方法は、一件目→ダンベルで撲殺、二件目→灰皿で撲殺、三件目→&font(red,b){カマキリ拳法で刺殺}といった凄まじくシュールなもの。……というか人によっては「カマキリ拳法」が出てきた時点で、これを持ちネタとするあの大御所コメディアンが犯人だとすぐに気付けるかもしれない。
*【金田一37歳の事件簿において】
高校二年生だった金田一一が二十年経過して37歳のサラリーマンになったというイブニング連載のシリーズ。
[[歌島>歌島(金田一少年の事件簿)]]で四度目の殺人事件にあい、渋々解決して[[自衛隊]]のお陰で何とか島を脱出した金田一が事件後に違和感を覚え、
(様々なことでまたかよと思うかも知れないがツッコんではいけない)剣持や明智と共に特別留置所に行く。
そこに、高遠は囚われていた。
長髪かつ白髪となって。
読んでいたのは英語版の巌窟王、『[[モンテ・クリスト伯]]』であった。
二十年ぶりと言っていたり、なんでまた留置されているかは今のところ不明であるが、その立ち居振舞いは相変わらずだった。
本人曰く、死刑判決を待つ身らしい。
&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){ちなみに『犯人たちの事件簿』の後で彼のこの状況を目の当たりにした読者からは「20年間一によるスキンケアを怠っていたから白髪になったんじゃないか?」と思われていたりしている。}}
もう40代だが、他の多くのキャラと同様に容貌はあまり変わっていない。
そして金田一が巻き込まれた歌島の殺人事件の犯人に、知恵や活動資金等を与えていた事が判明。ちなみに[[回想シーン]]では黒髪であった。
オリンポス十二神のうち十一神になぞらえ、歌島の殺人事件の犯人に「アルテミス」という名を授ける。(ある意味皮肉で)
「ゼウス」について明智は「高遠ではないか」らしきことは言っていたが、本人がそれを認めたわけではないため真偽は不明。
……だったのだが前述の通り、連載30周年記念として物語が一度『金田一少年の事件簿』の時代に戻った30thシリーズにて高遠は、地獄のゼウスを目指したいものだと言っていたのでどうもゼウスは高遠本人らしい。
そうか……自らゼウスを名乗り出したのか。
そして協力者だの弟子だのが増えたこともあって、自身を指導者とするカルト宗教染みた組織を結成しているらしい。
[[太陽系惑星に入らなくなってしまった星を組織名にしている>探偵学園Q]]とのこと。
高遠は犯罪の素質を見いだした十一人の信徒にそれぞれコードネームを与えて各種援助を行った。
つまり金田一は、その十一人を本人が望む望まないにかかわらず相手しなければならないようだ。
仮にお互いにその気はなくても事件が起きたら解いてしまうしかない金田一と事件を起こす高遠であるので。
特別留置場に居ても外の情報はある程度入ってくる様子。
その一端として彼に差し入れされる全国各地から送られる本を利用し、暗号状態で情報を入手が出来る上に外に居る協力者に指示も送れる。語学堪能で、書物の速読もこなせる彼にとってはもってこいの方法である。
送られてくる本のページを折ったり破ったりした後で捨てるように頼み、捨てさせた後で彼の協力者が拾い上げる……というどこぞの[[探偵学園漫画>探偵学園Q]]に出てくる地獄の番犬が使ったみたいな手を使ったりしていた。
組織の構成員の内、神々の名を冠する者は物語中盤までに「アルテミス」「アポロン」「ヘルメス」までが直接登場しており、金田一の推理によって犯行を暴かれ逮捕されている。
アルテミスは逮捕後、組織に関する余計な情報を口外したとして口封じのため部下に指令を送って抹殺させた。
アポロンに関しては彼が逮捕されたと知るとその芸術犯罪の素質の高さから、逮捕された事を惜しんでいた。
ヘルメスはその手腕の高さを気に入っており、元来ヘルメスが盗みや詐術を司る神でもあることから「[[トリックスター]]」とまで評する程。
今の所アポロン、ヘルメスの方は暗殺したかどうかの言及は無い。
また「ヘラ」という人物が神々の監視役をしているような描写がある。
そこから暫く37歳の方では高遠絡みの事件は起きず&s(){読者も忘れかけていた頃}「アレス」と「ヘーパイストス」が登場した。これで所属者の半分は名前が出たということになる。
アレスの方は催眠術のようなものを使ったり、人工衛星を操作したりすることも出来るので何らかの組織を擁立しているようだが、催眠術に組織……アレ?[[どこかで聞いたような。>ケルベロス(探偵学園Q)]]
ヘーパイストスは金田一の会社に社員として潜伏し動向を監視していた。金田一が37歳になっても事件に巻き込まれやすかったのはヘーパイストスのせいであることも本格的に発覚。
更に高遠自身は、[[正体が明らかとなったアレス>ケルベロス(探偵学園Q)]]の助けを借りて遂に脱獄を果たす。%%何度目だよ…。%%
もっとも過去に何度も高遠によって脱獄されていることから警戒レベルが跳ね上がったのか、本作で高遠が勾留されていた特別留置場は警備が非常に厳重な物であり、高遠ですら何ヶ月も勾留されていたにも関わらずセキュリティの仕様を全く把握出来ていなかった。
アレスも催眠術という超常的な手段を駆使してなお攻略に半年もの月日を費やしており、これは流石に看守を責めるのは酷と言えるだろう。
最終話に当たる132話時点での状況を纏めると、十二神の首魁たる「ゼウス」こと高遠は、依然として配下達の指揮を執り続けながらも、特別留置所から脱して本格的な活動を再開。
逮捕されたり高遠に殺されたりして、事実上無力化された状態なのが「アルテミス」「アポロン」「ヘルメス」の3人。
更に補佐役の「ヘラ」に加えて、「アレス」と「ヘーパイストス」なども合わせた合計7人が物語に関与していることになる。
なお最終話での明智の推測によると、『金田一少年の決死行』で一度完全敗北したことが原因で、金田一を決して幸せにさせないと誓っているとのことらしい。
ちなみにかつてマガジン時代にあった"高遠の父親について"の伏線は未だ全く回収されていない。
30thシリーズが描かれた2023年時点でも父親に関する詳細は不明なままであり、作中に高遠は出たものの父親関連のことは一切合切触れず結局不明だった。
ただし、アレスがかつて在籍していた組織同様ギリシャ神話にちなんだコードネームを付けたり、悪魔のような人種だと養父が恐れたり、事件向きの建築物が沢山あったりするなどから高遠(並びにジゼル)の実父はもしかして…
余談だが、『金田一37歳の事件簿』の番外編である『金田一37歳(サウナ)の事件簿』で明智が一を水風呂に入れた際、
「大丈夫ですよ(君の心臓は)地獄の傀儡師にも止められなかった心臓なんですから…」と彼が高遠によって底無し沼に沈められた時のことを皮肉ったりしている。
*【作者からの言及】
第二期に入ってから高遠は残忍で邪悪な印象がより強まったが、それというのも作者たちが「悪逆非道なキャラクターであるはずの高遠がどんどんヒーロー的な要素を帯びてきている」ことに対して、ある種の危機感を感じたからであったようだ。
(ただし、以前には単行本のコメントで「最近高遠が冷酷な殺人者(の役回り)ばかりやってる」といった趣旨の発言をしていたりと、高遠をどう描写するかについては作者としても複雑な葛藤がある模様)
>~新シリーズでの変更点~
>
>露西亜人形殺人事件とか香港のあの話を読み直して、
>ちょっとこいつ、カッコ良すぎたかな、と思ったんです。
>速水玲香誘拐殺人事件の時は、ちゃんと悪党だったのに、
>どうも[[ダーティヒーロー>ダークヒーロー]]のような描きっぷりがエスカレートしていってるような気がしました。
>
>おかしな人が増えてるこのご時世、
>ああいう殺人を芸術などと言っているある種の快楽殺人者を
>どんどんヒーローっぽいキャラにしていくのはどうか、という反省もあり、
>今回はあえて『地獄の傀儡師』という呼び名に相応しい悪党として描いてみました。
>
>とはいえ、私もさとうさんも、気に入っているキャラではありますので、
>そのうちまた、ついかっこ良く描いてしまうかも知れませんが。
>
>でもここで再確認しておいてくださいね。
>基本的には&font(red){危険きわまりない快楽殺人鬼}ですから、高遠は。
>それを忘れないでください、というメッセージをこめた凶悪犯描写だと思ってください。
>
>天樹征丸
ちなみに作画を担当したさとうふみや氏は「コナン&金田一」という2008年に発刊された「[[名探偵コナン]]」とのコラボ雑誌で「剣持と違って描きづらい」「最悪の犯罪コーディネーターだけど本人はまったく気にしない」と評している。
また、「犯人たちの事件簿」の作画を担当した船津氏は本当は魔術列車を描く気はなかったため、自身のTwitterで高遠関連の事件を描く度にノイローゼになっていたことを冗談めかして告白していた。
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&color(purple){……だって、つまらないでしょ? &bold(){ただ殺すだけじゃ!}}
&color(purple){完成されたマジックさながらの、美しく、謎と怪奇に満ちた&bold(){芸術犯罪}を演じ上げ、}
&color(purple){並み居る観客たちをあっと言わせてみたかったんです……}
&color(purple){──そう!!}
&bold(){&sizex(6){&color(red){マジシャン}&color(purple){としてね!!}}}
}
『[[金田一少年の事件簿]]』の登場人物の一人。本作における代表的な悪役にして最大の宿敵。
アニメ・小野健一 / [[阪口大助]](少年時代)
[[ドラマ版>金田一少年の事件簿(テレビドラマ)]]・藤井尚之(2001年 テレビドラマ第3シリーズ)
成宮寛貴(2014年『獄門塾殺人事件』、テレビドラマ第4シリーズ『Neo』)
高遠少年の事件簿PV・下川部吉昭
(以下ネタバレ注意)
◆目次
#contents()
*【概要】
シリーズで最も登場回数の多い犯罪者。
通称は&bold(){「地獄の傀儡師」}。この通り名は最初は本人が名乗っていただけだったが、今や世間でも浸透している。
天才マジシャン・近宮玲子の実の息子。
年齢は23歳(明記はされていないが、18歳の誕生日が5年前だったということから逆算)
体重は50kg(ドラマでは53kg)と成人男性としてはかなり華奢
口癖は&bold(){「&ruby(グッド){Good} &ruby(ラック){Luck}!」}。
&font(red){血のように赤い薔薇}をこよなく愛好しており、これは彼のトレードマークにもなっている。
初登場は『[[魔術列車殺人事件>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』 そして同事件の真犯人。
当初は奇術師の一座「幻想魔術団」のマネージャーで、眼鏡をかけた気弱な青年を演じていたが、[[金田一一>金田一一(金田一少年の事件簿)]]に真相を見破られると眼鏡を外し、その冷酷な本性を現した。
これを機に平時の一人称も「僕」から「私」へと変わる。
かつて生き別れの母に、息子であると同時に一流のマジシャンとしても認めてもらうために海外で修業に精を出していたある日、母の死を知り目的を見失ってしまう。
後日、母の弟子たちのマジックを見た際、それが彼女が作ったマジックの盗用であることに気づき、母は彼らによって殺されたのだという真相を確信。
母を殺した弟子たちに復讐を誓うが、&bold(){「ただ殺すだけではつまらない」}との動機から多くの観客や警察を巻き込むなどして&font(red){芸術犯罪}を計画した。
同事件内で、四人のターゲットのうち三人を殺害するが、残る一人を殺せぬまま金田一らに真相を暴かれ、意味深な言葉を残し逮捕される。
最後の一人を無理にでも殺そうとしなかった理由は、近宮から奪ったトリックノートの最後に書かれていた「燃えさかる岩からの脱出マジック」は盗用への制裁として仕込まれていたデストラップであり、それを実行したマジシャンが確実に死んでしまうことを連行中に見抜いていたためだった。
その目論見通り、最後のターゲットは上述の脱出マジックを我が物顔で披露したがために、生きたまま炎に包まれ焼死。こうして高遠は&bold(){「最後のトリは母に譲る」}という形で復讐を完遂したのだった。
その直後に旭川留置場の独房から脱獄し消息を絶つ。
『魔術列車殺人事件』においては、殺害したターゲットたちに同情の余地が薄かったとはいえ、真相解明時に暴かれた冷酷な本性やこれ以後も続いていく犯行の数々からもわかるように、&bold(){単なる復讐者とは全く異質な行動原理}によって犯罪を行っている。
感情をむき出しにすることはなく、いつも不敵な笑みを浮かべ、紳士的な口調でクールに振舞いつつ、淡々と冷酷で残忍な行為を繰り返している。
明智の言葉通り、その気質は&font(red){&bold(){天性の犯罪者}}そのものと言える。
脱獄後は、「犯罪芸術家」を自称しており、犯罪(殺人)コーディネーター(プランナー)として他人の犯行に手を貸して((直接的にその人物の犯行に加担することはなく、殺害用のトリックなどを伝授して後は本人に委ねるというのが基本方針。計画の途中で不具合が生じた場合にはアドリブで指揮を執ることも。))&font(red){芸術犯罪}を実現するため、自分を負かした金田一の前に幾度となく現れる。
その際は金田一を確実に巻き込むためか、金田一自身や金田一の周囲の人間を利用して彼が現場に来るよう仕向けるのがパターン。
&font(l){[[「名探偵…わざわざ連れて来る必要ある…?」>金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]}
基本的に&font(red){動機なき殺人}は好まず、復讐にしろ制裁にしろ口封じにしろ障害の排除にしろ、まったく無関係の人間に無意味に被害を与えることはないが、例外もある(後述の『黒魔術殺人事件』参照のこと)。
ただし、手を貸した人間(事件の実行犯)が何らかのミスをして、それによって金田一や明智にトリックを見破られてしまった場合(本人曰く"芸術を台無しにした"場合)、本人がその場で死を以て犯人を制裁する((彼の中では「殺害するチャンスは1度きり」としているのか、殺害しようとするも未遂に終わったり、別の人物に阻止されたりした場合は、それ以上その人物の殺害には執着しなくなる。))。
が、最近では謎解きの場に居合わせないケースも増えてきたため、制裁そのものをしない事例も増えている。
というか現時点では『[[獄門塾殺人事件>獄門塾殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』以降、彼は犯人への制裁をしていない。
また、自分を犯罪者と知りながら手を貸してくれた人間にはそれなりに紳士的で義理堅いらしく、ある事件で高遠の協力者が命を落とした際には事件の犯人への制裁を決意した(詳細は後述)。
金田一と明智にとっては生涯の宿敵と言える存在で、金田一が「ジッチャンの名」ではなく、&font(red){&bold(){「自分自身の誇り」にかけて打ち破る}}と誓った唯一の人物。
%%後の事件でかけるものが「ジッチャンの名」に戻っているのは秘密だ!%%
高遠の方でも、金田一との関係について、「平行線」「光と闇の双子」((一見真逆の在り方をしているように見えても日常的に犯罪の方法について考えているという意味では近しい存在であり、交わることこそ永遠に無くとも常に隣に並んでいるという考えの元での表現。))などと喩えており、決して相容れることのない宿敵としているのだが、ごく稀に共闘することがある。
あくまで彼は探偵ではないので純粋な推理力では一歩譲るものの、犯罪者やマジシャンならではの視点で様々な事実を見抜くことも少なくない。
しかも意外なことに、該当する事件で犯人が自殺を図ろうとした時にそれを止めたのは金田一ではなく高遠だったりする。
それに関連して、自分で決めた「約束」は大抵は守る性格で、『[[露西亜人形殺人事件>露西亜人形殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では一との賭けに負けて約束通り犯人の命を助け(しかも自殺を阻止した)、『[[薔薇十字館殺人事件>薔薇十字館殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では当初の一との約束通り妹の生存(ただし殺人犯として逮捕)を見届けた後、警察に出頭した。%%約束の穴を突いてすぐ脱獄したが%%
ちなみに『魔術列車』ではその推理力を危険視して一の命を狙ったことがあるが、以降の事件では一を好敵手と認めたためか命を狙ったことはない。
ただし『[[金田一少年の決死行>金田一少年の決死行(金田一少年の事件簿)]]』では、敗北を認めさせるために彼を殺人犯に仕立て上げるというえげつないことをやったり、『[[黒魔術殺人事件>黒魔術殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』ではたとえ真相を見抜けたとしても彼にとって辛い結末になる様に計画を作り上げたりと、一への並々ならぬ悪意がうかがえる様なことをしている。
他のエピソードにおいても一の親しい知人を何かしらの形で巻き込むように画策することが多い。
宿敵・一の最大のパートナーである[[七瀬美雪>七瀬美雪(金田一少年の事件簿)]]に関しては、一とともに何度も事件に巻き込んでいること((ただし、大半は、美雪自身が勝手に一に同行しているため、高遠が意図して彼女を呼ぶことはほとんど無く、呼ぶとしても一の「ついで」扱いである。))と、『薔薇十字館』で皆に対して&bold(){「金田一君のパートナー的存在」「(一と合わせて)高校生探偵コンビ」}と紹介していることから、一にとっての最大のパートナーであり、彼にとって極めて大事な存在であることは認識している模様。
ただし、彼女が一に同行して事件の舞台に来ることについては何とも思っていない、というか&bold(){全く眼中に無い}ようで、今までに関わった事件において、彼女に何らかの危害を加えたり、そうなるような計画を犯人に授けたことは一度もない。((余談だが、公式スマホゲームである『脱出ゲーム 金田一少年の事件簿R ~謎解遊戯殺人事件 vs地獄の傀儡師~』ではプロローグで彼女を人質に取って、自身の主催する推理ゲームへの参加を一に強要していたりする。公式謎解きイベント『電脳九龍城 傀儡狂騒曲殺人事件』においても同様の展開が見られた。))
『[[亡霊校舎の殺人>亡霊校舎の殺人(金田一少年の事件簿)]]』では、去り際に「お二人とも、グッドラック」と言い残すが、この「二人」とはどう考えても&bold(){一と明智}としか思えず、美雪(と剣持)の存在は&bold(){完全に無視している}様子である。
『[[蟻地獄壕殺人事件>蟻地獄壕殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』では、一とともに美雪も呼ばれるよう仕組んでいるが、ただ呼び寄せただけで、何かするでもなく、その扱いはギャラリーと同じである。
まるで、&bold(){「どうせ呼ばなくても一について来るだろうから、それなら最初から一緒に呼んでやれ」}という、&font(red){一と美雪で1セット}といったような扱いをしているようにも思える。
おそらく、一や明智と違い、自分にとって何の因縁もない相手であること、また、彼らのようにずば抜けた推理力と強い意思で自分に対抗しようとするのではなく、第三者の視点で見た&bold(){『気づき』}によって一にちょっとしたヒントを与える程度の役割であることも、少なからず影響しているのではないだろうか。
(おそらく彼にとって[[佐木竜二(アニメ版では竜太)>佐木竜太/竜二]]や[[村上草太>村上草太(金田一少年の事件簿)]]も彼女同様の第三者であるため、剣持・明智・玲香・二三の時と異なり全く危害を加えていない。直接的に危害を加えれば、さすがに一が黙っていないと考えているのかもしれないが)
…と思われていたが、『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』ではとうとう彼女の[[小学校]]時代の親友・星宮つむぎを犯人に仕立てたことが描かれていた((その際、2人の友情を「茶番」と評していた。また「金田一少年の事件簿30thシリーズ」ラストで、金田一サイドでは高遠に対して比較的穏和だった美雪も親友を陥れられたことで彼に強い悪感情を持つようになった。))。
なお、美雪側は彼女の性分故か高遠に対しても大抵は「高遠さん」と敬称を付けて呼ぶ他、会話時の受け答えも敬語で行っており、『薔薇十字館』での二人の息ぴったりな協力態勢を見て「微妙に似た者同士」と感想を述べている。
その上気が合いすぎる(ように見えてしまっていた)せいか、後に明智の部下となった幸村真之助にすらも高遠と同類扱いされる羽目になり、
一は彼から「自分が事件を次々と解決しているかのように見せかけるために犯罪を起こし続ける凶悪な連続殺人犯」だと本気で疑われてしまったことも。
%%まああれだけ行く先々で事件が起きていたらそう思いたくなるのも分からなくはない。%%
海外暮らしが長かった影響もあってか語学に堪能で、少なくとも英語、イタリア語、中国語(広東語)を話せるのは確実という[[明智警視>明智健悟]]も感嘆する程の教養と、[[怪盗紳士>怪盗紳士(金田一少年の事件簿)]]にも引けを取らない変装技術を併せ持つ、ある意味[[チートキャラ]]。
更に格闘術にも秀でており、銃剣や棒などの武器で攻撃してきた相手も容易く制圧することが出来る他、刃物や拳銃にダーツといった様々な凶器の扱いにも手慣れている。
加えてITスキルもそれなりの物らしく、自分の手駒となる素質を持つ人間を探す際にコンピューターウイルスを利用したこともある。
何人もの人間を煽動して犯罪へと駆り立てていることからもうかがえる通り、甘言を用いて他者を懐柔せしめる卓越した話術もまた彼の武器の一つ。カウンセラーに扮して少年院に赴いた際には、当初は全く馴れ合う意思など無かったという受刑者の元少年から重大な頼み事を託されるほどまでに信用を得ることに成功し、そのまま自身の計画に利用している。
また、スピンオフ作品も含めて原作内で彼が殺傷及び殺人教唆をした人数、及び拘置所から脱獄した回数をリストアップすると、(※『金田一37歳の事件簿』でのことについては詳細が判明するまで未集計)
・自らの手による殺害人数…8人&footnote(ただし、事故死した左近寺の場合も、彼が手にしたノートのデストラップに気が付いていながら放置していたことから「未必の故意による殺人」と見ることもできるため、それを含めるとすれば9人を殺害したことになり、『異人館村殺人事件』の犯人(8人殺害)を追い抜いて、歴代の犯人の中でも自分自身で殺害した人数が最多になる)
・自らの手で殺害しようとしたが、未遂に終わった人数・・・3人(内1人は金田一。前述の左近寺も本来計画の途中で逮捕されなければ自身の手で殺す予定であったので、彼を入れるなら4人)
・彼の殺人教唆を受けた犯人の人数・・・10人
・その殺人教唆によって殺害された人数・・・24人
・その殺人教唆によって殺害のターゲットにされたが、生き残った人数・・・3人(内1人は明智。なお高遠が今まで策を授けた実行犯の中の一人は自身の死を計画の最終目標としつつも、金田一の推理によって阻止されたため仮にそれを含めるなら4人となる)
・拘置所から脱走した回数・・・3回
となる。
(アニメやドラマでは、細部が異なったり、未放送回などがあるため、これらの数値が前後している)
&bold(){あと[[強制猥褻>月読ジゼル]]や詐欺行為、そしてストーカー行為も何回かしている。}
尚、[[冥王星>探偵学園Q]]同様、&bold(){相手を脅迫して無理矢理殺人を実行させる}マネは一切していないが、前述のように殺人プランに因縁のある一や明智等を陥れるための計画を織り込んだり、一を苦しめる為だけにわざわざ平穏に暮らしている善良な人物を復讐に駆り立たせる場合もある。
また、明智が塾講師として潜入捜査中に事件を調べながら会話をしている時、以前に高遠が黒幕であった事件における実行犯の動機として復讐以外にも「金、利権、妬み」といった本編中に高遠が教唆した事件では見られなかった動機も挙げていることや
「犯罪ガイドマップ」、そして『[[歌島リゾート殺人事件>歌島リゾート殺人事件(金田一37歳の事件簿)]]』で明らかになった事実なども考えると、作中で描かれなかっただけで他にも多くの人が高遠によって被害を受けているものと思われる。
作中にて「犯罪歴の無い人間がこれほど完璧に近い計画を立てられるはずがない。だから高遠が考案した計画の可能性がある(要約)」とまで一に言われたこともあるが、実は作品全体で見ると犯罪の完成度自体はそれほど高いわけではなく、彼より完成度の高い犯罪を達成した人物自体は結構いる。
というか完全犯罪を狙っている割には、ところどころが[[綱渡り]]だったりお粗末だったりするトリックが大半(本人は「計画は完璧だった」と一貫して言い続けているが)。
更に言えば、高遠が己の手もしくは他者の手を介して起こした10件の事件の内、殺害予定の人物が二人以上いたのは8件だが、その中で予定されていたターゲットを全員殺害することに成功したのは『獄門塾殺人事件』『[[剣持警部の殺人>剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)]]』『亡霊校舎の殺人』『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』の4件しか無い。((『剣持警部の殺人』も本来は実行犯の自殺を以て計画が完成する手筈(=実行犯自身が最後のターゲット)であったことを踏まえると、実質的にノルマを全て達成したと言えるのは3件のみ。))
これは彼がいわゆる&bold(){「劇場型犯罪」}を好み、合理性よりも意外性のあるトリックを選ぶためにこうなるという見方もある。
しかし、彼の最大の武器は犯罪の完成度ではなく、冷酷無比な人格と、短期間で金田一と明智を苦戦させるほどのいくつもの計画犯罪を練り上げる頭脳、そして何より&font(#ff0000){母に認めてもらうために鍛え上げたマジシャンとしての実力}である。
これらを駆使し、ありとあらゆる手段を講じて芸術犯罪を企画立案し、宿敵と認めた金田一に対して執拗にぶつけてくるのだ。
また、自分が黒幕であることを見抜かれた場合もその頭脳とマジックで自分が被るであろう被害を想定・回避するなど、アフターケアにも尋常でないほど力を入れていたりする。
彼より完成度の高い犯罪をなしえた者たちが揃いも揃って、最後に致命的なミスを犯したりアクシデントに見舞われたりして命を一気に縮めたのとは対照的である。
一つ一つの事件の犯人としては強敵とは言えないが、数多の事件を思いついて実行できる残忍さと頭脳、可能な限り自身が直接的なダメージを受けないように立ち回る異常なまでに優れた危機回避能力、犯行や逃亡時に発揮される一流マジシャンとしての側面から、&bold(){作中最強犯罪者}であることは確かなのだ。
その上後述のように剣持や明智、玲香や二三などの一と親しい人間全般にも様々な形で酷い仕打ちを浴びせており、そういった点でも間違いなく一を作中で最も精神的に苦しめた敵だと言える。
一方で一と利害が一致して手を組むと、冷静な振る舞いと優れた知識により一の謎解きを助ける形となり、マジシャンとしての技量を活かした意外性のある立ち回りで犯人の追及に貢献する。
ちなみに「劇場型犯罪」を好むイメージに反し、見立て等の「死体の装飾」についてはさほど拘りは持っていないらしい。
現在彼が主導した事件で見立てがあったのは10話中4話しかなく、そのうち[[見立てが後付けだったケース>獄門塾殺人事件(金田一少年の事件簿)]]と[[殺害手段その物が見立てになっていたケース>剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)]]を除くと、最初から計画の一環として死体の装飾を行っていたのは&bold(){わずか[[2>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]][[話>黒魔術殺人事件(金田一少年の事件簿)]]のみ}と意外なほどに少ない。
しかもその2話のうち1話はトリックの痕跡を装飾という形でまとめたに過ぎない。
同じく「芸術的な殺人」に拘っていた『[[異人館村殺人事件>異人館村殺人事件(金田一少年の事件簿)]]』の犯人とはこの点が大きく異なる。
なお、逃亡中の仮の姿としてピエロのマスクを付けた大道芸人となって子供達にマリオネットを使った人形劇(おそらく自分と一の対決を元にしたもの)や手品や紙芝居などを見せていることがある。
劇中では殆ど披露されないが、マジシャンであるためかマリオネットの扱いも非常に上手く、『魔術列車』では「生きたマリオネット」なる演目の奇術を、直前に殺害した相手に代わって舞台上で実演して見せている。
このご時世では神出鬼没で身元不詳の大道芸人など&font(#ff0000){傍から見たらやたらと目立つ不審人物}であるが、&bold(){あまりにも飛び抜けて目立ち過ぎる}ので逆に怪しくないと思われているのかもしれない。
大道芸人として振舞っているときは子供の[[ハート]]を鷲掴みにする正統派マジシャンであり、子供からの人気も高い。
警察も手こずる凶悪犯罪者になりつつ、かつて志したマジシャンという夢もしっかりと叶えているあたりは優秀。
彼のマジックは逃亡時にも十二分に活かされており、警察に囲まれても大人しく手錠をかけられたように見せかけることで周囲の人間の隙を作ったことがある。
逃亡生活の中でどうやって生計を立てているのかは不明だが、『露西亜人形殺人事件』の幽月来夢のような協力者から支援を得ていることがうかがえるほか、経歴詐称で職に就いていたこともある。
残忍な[[殺人鬼]]でありながら日頃の口調や態度は冷静で紳士的なので、本性を見せることなく演技するのは彼にとって難しいことではないだろう。
更に博識多才であるため変装して経歴を詐称すれば潜り込める場所は非常に多く、特に苦労はしていないと思われる。実際、作中ではマジシャン以外にも芸能プロの社員や塾講師など必要に応じて様々な職を務め、そつなく業務をこなしていた。
『亡霊校舎の殺人』では莫大な資金源を手にしており、それを元手にしてより大掛かりな舞台装置の準備や、事件関係者に高額な金をポンと手渡して事前の根回しを行う描写があることから、かなり懐は暖かい模様。
(「いつもながら奴の犯罪計画には金と手間がかかってんぜ!」by金田一)
『金田一少年の決死行』『剣持警部の殺人』等ではとある教会の牧師に成り済まし、自分が企てた犯罪計画を実行できる「人形」を捜していた。
彼が主人公の[[スピンオフ]]、『[[高遠少年の事件簿>高遠少年の事件簿(金田一少年の事件簿)]]』では彼の高校時代が描かれ、[[イギリス]]から帰国後、明智と同じ名門校の秀央高校に、これまた明智同様に入試全科目満点で入学したことが語られている。
彼の最初の殺人((ただし殺されかけて反撃したという状況であることを踏まえると、正当防衛となるにせよ過剰防衛となるにせよ殺人罪には当たらないものと思われる。))もこの時だったが、相手が事切れる寸前に「(人を殺して)どんな気分か」との質問に対して&bold(){「別に普通だよ」}と平素と変わらぬ表情で応じるなど、この時点で既に地獄の傀儡師としての片鱗が見え始めていた。
しかしながら、彼の登場が読者にとって絶賛ばかりではないのもまた一つの見方であり、これだけ多くの事件に関わりながら金田一が解き切れなかったトリックが一つもない。
まあメタ的な話をすれば金田一を主人公とする探偵漫画というストーリーの関係上、[[主人公補正]]には絶対勝てないので最終的に全ての謎を解き明かされてしまうのは仕方ないと言えば仕方ないのだが……(ただそういった事情を差し引いても、前述の通りターゲットを全員殺せずに終わるパターンも多々あるのは事実)。
それに加えて、自身も初陣である『魔術列車』ではミス((3人目の殺害対象の人物を殺そうとした際に悲鳴をあげられ、窓から逃げるしか無い状況に追い込まれたため、部屋の中に置かれていた翡翠を重石として利用し、高所から木の枝にかけたロープを伝ってシーソーの原理の応用で降りた。))をしたせいでターゲットを全員殺し終える前に犯行を暴かれたにもかかわらず、
自分が手を貸した人間がたとえターゲットの殺害自体は最後の一人まで完遂した場合であろうとも何かしらミス((中には高遠の采配にも非があったであろう物も少なからず存在する。例えば『速水玲香誘拐殺人事件』にて被害者が軟禁されている間に髭を剃るため使用していたシェーバーを処分しておくよう指示していなかったせいで、シェーバーの中に残った髭の状態からアリバイトリックを見抜かれてしまった一件など。『金田一少年の決死行』も明智の胸の中央を刺すよう指示すれば、トリックに鏡が使われたのがバレにくかっただろう。))をして真相を見抜かれた時には「不出来なマリオネット」「ミスキャスト」などとこき下ろして殺害しようとするなど、
態度の割に作中での行動が好敵手の体を成していないという批判的な意見や、逃亡時に使用するマジックがただの魔法のようになってしまっているなどの否定的な見方も少なくない。
%%そもそも毎度の如く、何かしらしくじるような人材を選んできてしまう御自分にも非があるのでは……?%%
擁護しておくと、彼が自身の敗北を簡単に認められないのは芸術犯罪を紡ぎ出すための研鑽を一切惜しまぬ身であるが故のプライドに起因しているものと見られ、時には己への罰として敢えて我が身に鞭打つような行動を取るストイックな一面も持つ。
また、誰かor何かに責任転嫁して敗北を認めないような振る舞いも物語の途中から鳴りを潜めつつある。
マジシャンは客にマジックを見破られたら速やかに自ら幕を下ろすものとの矜持を持ち、最初の事件では犯行の決定的な証拠にまで言及されていない((前述の翡翠を犯行現場の下の階に置いた一件は本来は彼を犯人として立件する証拠としては弱い。とはいえ仮に高遠がそれを釈明していたとしても、都津根毬夫なる人物に変装した際のゴムマスクや殺害相手の一人の死体を入れていたバッグを隠した沼について言及されれば終わりだったことであろうが。犯行に使われた物を隠す場所として金田一が自身も沈められた沼について思い当たらなかったとは考えにくい。))にもかかわらず己が犯人であると認めるという異様なまでの潔さも見せた。
%%後に自身がプロデュースした事件においては、「巌窟王」と名付けた実行犯に対して心の中でしつこく「まだ言い逃れ出来るはずだ」「認めるな。否定しろ」と言い募っていた。%%
物語が進むにつれ彼の黒星が徐々に積み重なっていくことに関しては、連載が非常に長期化してしまったことで悪役としての役目を中々終えられないが故の悲劇と言っても良い。しかし、それでも心折れる様子など微塵も見受けられず、手を替え品を替え高遠は意気揚々と新たな芸術犯罪に挑み続けるのであった。
簡潔にまとめると彼は
・表面上の振る舞いは紳士的。
・素顔は冷酷非情な犯罪者。
・どんなに敗れたり糾弾されようと良くも悪くも自分の都合のいいように考えられたり、くじけたりすることがない悪い意味でのポジティブさ。
・傲岸不遜で他人を弄ぶ悪辣さ。
・目的達成のための労力と投資は惜しまない。
・身内や恩人もしくはシンパシーを抱いた相手には優しい。
・後、[[忘れん坊さん>金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]。
理不尽かつ極悪非道ながら一握り程度の人間味のある性格の持ち主と言える。
*【関連人物】
・近宮玲子
CV:[[小山茉美]]/演:金久美子
実の母親。故人。
職業は奇術師で、明智が&bold(){「この国で唯一の『本物』」}と認めるほどの天才的な腕前だった。
高遠が7歳のころ、養父に連れられて、近宮が[[イギリス]]で興行した公演を見ている。高遠はその時、彼女の技を見て、ひと目でマジックの虜となった。
その後、高遠が10歳の時、近宮が何らかの理由でイギリスを訪れた際に出会っている。この時、簡単ではあるが、直にマジックの手ほどきをしてもらっている。
この時、3年前の公演に高遠が来ていることを知って、驚いているので、どうやら養父は近宮に知らせていなかったようだ。
高遠が、近宮と接したのはこの2回だけである。
高遠を含め、彼女を知る多くの人間の証言からもわかる通り、善良な人柄であったらしい。
&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){もっとも上記の通り、自分のマジックを盗まれた場合に備えてそのまま実行すると焼死するいくらなんでも強烈過ぎる罠も仕掛けてはいた。&br()ただしその罠マジックは「火元がないのに発火することが売りのマジックなのに密閉するから火元がないことが観客から確認できない」など不自然・お粗末な点が目立つ。&br()素人ならともかく真っ当な奇術師ならすぐ違和感に気づく代物だったので、そこまで本気で騙し殺す気もなかったと考えられる。}}
彼女の才能を妬む弟子たちによって謀殺され、そのことが『魔術列車殺人事件』の発端となった。
かつてファンの間でまことしやかに流れた噂だが、[[金田一耕助]]には正妻(一の母方の祖母)以外にも愛した女性がおり、その娘が近宮である、という[[マンガに関する都市伝説]]がある(耕助は人がバンバン傷ついたり死のうが気にしない性格でマジックの達人であるため)。
もしそれが事実だとしたら一の母と近宮は異母姉妹でそれぞれの息子である一と高遠は従兄弟同士ということになり、美雪や幸村の指摘もその[[伏線]]という説もある。
なお、この母子の名前を見てみると、「近」宮← →高「遠」となっており、さりげなく対比になっている。
・[[月読ジゼル]]
CV:[[沢城みゆき]]/演:藤井美菜
腹違いの妹。現在は刑務所に服役中。
『薔薇十字館殺人事件』にてその存在が明らかになった。
詳細は該当記事にて。
・養父(仮)
CV:木村雅史/演:[[石塚運昇]]
本名不明。故人。高遠との血の繋がりはない。
高遠が物心ついた頃は、イギリスで高遠と二人暮らしをしていた。
自分にも他人にも「完璧」を求める厳格な性分で、職業は貿易会社に勤める商社マンだった(「経営者」と表記されたこともある)。
家族サービスには縁がなかったが、近宮がイギリスで公演した時には、わざわざ高遠を連れて観に行ったことから、全く情が無かったわけでもないらしい。
元妻のことを「玲子」と呼んでいることから、彼女とは親しい関係だったようだが、詳細は不明。
少年だった高遠には「母親は小さい頃に死んだ」と教えていたが、酒に酔った勢いから「お前には腹違いの妹がいる」と高遠に漏らしたことがある。
高遠が高校に入学する前に、日本に戻ってきた。そのため、高遠は私立秀央高校に入学している。
ただ、イギリスでの家を引き払ったわけではなかった(イギリスの家に、近宮のトリックノートが送られていた)ので、またイギリスに戻る予定があったのかもしれない。
&bold(){高遠の実の父親についても、何かを知っているらしく}、高遠の周囲で何か事件が起きるたびに高遠の関与を疑ったり、高遠が[[最初の殺人>高遠少年の事件簿(金田一少年の事件簿)]]を経験した直後にはその面影を高遠に重ねて戦慄していた。
6年前に死去し(高遠17歳時の出来事なので逆算)、それを機に高遠はマジックの修行のためにイタリアに渡る道を選んでいる。
高遠は自宅について監獄のようだったと語っており、酔った八つ当たりでコップを投げ付けるなど虐待に当たるような接し方を時折されていたことも相まって養父のことを好いていなかったが、完璧主義者な面は受け継がれた((実の父親の面影について考えると義父も色々と複雑な心境だったのかもしれない。一応擁護しておくと、彼は実子でない子供の養育を押し付けられた立場なので、息子への非情な振る舞いも仕方無い部分はある。))。
また、回想の中では彼の墓の前で神妙な面持ちを見せていたので、曲がりなりにも自分を育ててくれた存在としてその死に対して何かしら思う所はあったのかもしれない。
・実の父親(仮)
本名を含め全てが謎に包まれている。故人?
高遠が自らのルーツとして追い求めている存在で、現時点でわかっていることは以下の通りである。
(1)&font(red){近宮玲子}と&font(blue){美咲蓮花}という2人の女性の間にそれぞれ子供(高遠とジゼル)をもうけた人物であること
(2)極めて特殊な性質を持つ&font(#87ceed){「&ruby(かげろう){蜉蝣}」}という薔薇を所有していたことから、薔薇に並々ならぬ関心があったこと((アニメ版では薔薇の名前は「&ruby(かげろう){蜉蝣}」から「&ruby(むげん){夢幻}」に変更された。))
(3)薔薇十字館や山中の洋館(仮)などの巨大な館をいくつも所有し、その他にもあちこちの建造物に大規模な改装を施していたことから見て、かなりの資産家であったこと(その改造された建造物の1つについてはある事実から、明智によって「1982年以降に改装がされた」という事が判明している。)
高遠の育ての父はこの人物について&font(red){&bold(){「あの悪魔」}}と呼んで尋常ならざる嫌悪と畏怖を抱いており、少なくともまともな人格ではなかったようだ。
また、高遠自身が己が事件に関与することを&bold(){「宿命」}だと回顧しているため、何らかの犯罪者である可能性が高い。
高遠はマジックの腕前以外は近宮にあまり似ておらず、むしろマジックの腕前以外ほぼすべては実父似であろうことがうかがえる。ただ前述のデストラップのことを考えると、やはり近宮も高遠の母親だけあって一筋縄ではいかぬ人物だったのは間違いないが。
さらに、金田一と明智が関わった『亡霊校舎の殺人』内で使われた大掛かりなトリックについて、&bold(){まるで「完全犯罪の舞台装置に使え」とでも言わんばかりの}仕込みをしたとされる人物の事を&bold(){「高遠とよく似た気質の誰か」}といった旨の推察をしており、これも恐らく高遠の実父を指すものと思われる。
・ナターシャ
高遠邸の家政婦らしい外国人女性。
『高遠少年の事件簿』にて登場。
高遠の育ての父は家をあけることが多かったためその留守を預かる傍ら、少年時代の高遠にピアノを教えた。
柔和な笑みを浮かべる裏で、学校で起きた殺人事件について話す高遠の背中に意味ありげな眼差しを向けるなど、ただの家政婦ではない可能性がある。
初登場以降出番がなく、現在は何処で何をしているのか定かではないが……?
・幽月来夢
CV:松谷彼哉/演:山咲千里
高遠の一時期の協力者。彼の逃亡の手助けをしていた。
そして『露西亜人形殺人事件』で有名ミステリー作家の莫大な金額の遺産を相続する権利を賭けた暗号解読ゲームの助っ人として高遠に協力を求める。
物語中でこの事件の犯人である「コンダクター」に殺害されてしまったものの、彼女の亡骸の目を静かに閉じてやり、(自分が濡れ衣を着せられたこともあるが)彼女を自分の傍で殺した犯人を見つけ出して断罪することを宣言するなど、
高遠側も単なるビジネスパートナーという感覚で接していたわけではなく幾らかの情は持ち合わせていた模様。
・[[明智健悟]]
ご存知イヤミ警視で高遠にとってのもう一人の宿敵。
彼の母親である近宮玲子のファンで彼女とも親しくしていた。
そして『魔術列車』で、彼が今回の事件に巻き込まれた理由は彼女の死に疑問を抱き、真相を追う為で、そこで彼女の息子である高遠の起こした事件に巻き込まれた。
また、高遠の通っていた高校、[[秀央高校>秀央高校(金田一少年の事件簿)]]の出身で、在学期間こそかぶっていないが、彼は高遠の母校の先輩に当たる。
そして高遠が在学している頃にOBとして本校を訪れ、そこで彼とニアミスしていた。
その後、研修先で意外な形で再会を果たすなど、&bold(){&font(#ff0000){ある意味金田一以上に彼と深い因縁で繋がっている}}。
なお、高遠が地獄の傀儡師として活動する前を描いた作品も幾つかあるが、そのすべての作品に明智が登場していたりする。
*【関与した事件について】
高遠が『魔術列車殺人事件』以降に計画を立てた、または意図せず巻き込まれた事件は以下の通りである。
01.『速水玲香誘拐殺人事件』
金田一と親交のあるアイドル・[[速水玲香]]を誘拐し、そのドサクサに紛れてターゲットを殺害する計画を立てる。
犯人との電話の中で「血のように赤い薔薇」というキーワードを含めることで自身の存在を匂わせていた。なお高遠自身は事件の関係者の一人である小渕沢英成(CV:金光宣明)に化けて終始間近から成り行きを見守っていたことがラストで明らかとなった。
最終的には、思いも寄らぬアクシデントが発端の些細なミスから芸術犯罪を台無しにした犯人を毒殺。
大勢の人間がいる中で誰にも気付かれることなく犯人に毒を盛るという大胆な手口を使い、あたかも犯人が自殺したかのように装った。
その後、駅のホームで金田一が黒幕の存在に感付き始めた頃、挑戦状を送り付けるという形で自らの正体を明かした。
アニメ版では、序盤には声優がエンディングのクレジットにて別名義で表記されていたため、キャストというメタ推理で正体がバレることは無かった。番組中での声自体は一切加工されていないので、実際に聞けば大体は察しが付くであろうが。
なお、小渕沢が鏑木プロダクションに就職したのが3か月前という設定があるため、『魔術列車殺人事件』から最低でも3か月は経っていると思われる。((『黒魔術殺人事件』での行動を考えれば、本物の小渕沢英成を殺害して成り代わった可能性も一応ありえなくはない。))
02.『露西亜人形殺人事件』
自身の逃亡生活を手助けしてくれていた女性挿絵画家・幽月来夢からの依頼ということで、偶然にも金田一たちと同じようにある人物の遺産を取り合う暗号解読合戦に参戦。仮面をつけた奇術師「スカーレット・ローゼス」として露西亜館に赴いた。
&bold(){変装があまりにバレバレすぎる}が、単純に&bold(){恩人からの依頼を受けて参加していただけ}である為、芸術犯罪など&bold(){元からやる気もなく}、
金田一に至っては、&bold(){高遠視点で言うなら自分が向かった先に&color(red){なんかいた}}という状況であった事(=金田一がいると思っていないので金田一ではない他の解読合戦参加者さえ騙せれば良かった)も大きい。
&font(l){幽月に「変装必要ないんじゃ?」と言われて「自分を知っている人物がいたので変装して正解だった(意訳)」とボヤいてすらいる。}
そこで発生した連続殺人の中で不覚を取り、幽月が殺されてしまったことで怒りを滲ませ、犯人に制裁を加える(=殺害する)か否かを巡って金田一と推理合戦を演じる。
この時交わした約束は、自分の方が先に真相を突き止めたら犯人に制裁を加え、金田一の方が先に真相を突き止めたら犯人の命を助ける(制裁を加えない)、という内容だった。
最終的には先に真相に辿り着いた金田一と協力する形で犯人を追い詰める。
推理合戦で敗れたため犯人を殺害することはしなかったが、土壇場で自暴自棄となった犯人の自殺をマジックを使って阻止するという挙に出る。
金田一と交わした「犯人の命を助ける」という約束はあくまで&font(red){「高遠が」制裁を実行しない}という受動的な立場であったため、&font(red){自ら命を絶とうとした犯人を救う}という能動的な行動をとったことは金田一や佐木を驚かせた。
その理由について、金田一と美雪は&bold(){「犯人の境遇に[[自分の過去>魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)]]を重ねて同情したからではないか」}と推察している。
(それを裏付けるように、協力者だった幽月の仇であるはずの犯人に対し、普段の彼からは考えられないほど優しく諭していた)
この時の高遠にはファンが多い。
#center(){&font(red){探偵にちょっと追い詰められたくらいで}}
#center(){&font(red){簡単に自分から死を選ぶようなあなたでは}}
#center(){&font(red){冷徹な犯罪者にはなりえません}}
#center(){&font(red){あなたはたった今、一度死んだ……}}
#center(){&font(red){生まれ変わる気があるなら、次はもう少し}}
#center(){&font(red){自分のあるべき姿を見つめ直してみることですね……}}
ちなみにこの回、長編では高遠が始めから終わりまで一つも犯罪を行わなかった、初にして現時点では唯一の事件である((ただし、ドラマ版では暗号解読ゲームの参加者となった佐木を唆して剣持から拳銃を奪い、それを発砲して剣持を負傷させている(原作では剣持はそもそも現場に同行していない)。))。
ただし、事件後に金田一のもとに現れ、自身が調べた『この事件の本当の黒幕』について陰惨な真相を語ると同時に、&bold(){「人間なら誰でも持っている心の闇」「私と君は決して交わることのない平行線」}との言葉を残して忽然と姿を消した。
金田一が高遠のことを、「&ruby(ジッチャン){金田一耕助}の名」ではなく&font(red){&bold(){「自分自身の誇り」にかけて打ち破るべき宿敵}}であると認識したのはこの時であった。
03.『金田一少年の決死行』
長い年月を地下壕に父親とともに閉じ込められていた犯人を救出後、犯人を閉じ込めた三人への復讐に協力。
その過程で、金田一が明智をナイフで刺したかのように周囲に見せかけ彼を殺人犯に仕立て上げるための謀略を巡らしていた。
途中、金田一を煽って降伏を促すために電話をかけるも揺るがぬ意志を灯した彼は弱音を吐くことなど無く、
「こんなクソガキに連敗しまくってるもっとマヌケな犯罪芸術家気取りはどこのどなたでしたっけ!?」と挑発を返しつつ、ジッチャンの名と自分自身の誇りの両方にかけて必ず謎を全て暴いて見せると宣言する。
それでも計画は順調に進行していたが、金田一を犯人役として罪を着せるのを止めるよう犯人に懇願される(当然拒絶した)など、次第に予定が狂っていく。
その一方で、失っていた人間味を取り戻しつつあった犯人の姿には何処か感慨深げな表情を見せていた。
また地下壕の中にあった金塊の内、今回の計画の財源として消費しなかった残り分を全て犯人に譲ることを約束すると共に、
復讐を終えた犯人が第二の人生を送るために必要な諸々の手配を手伝うことを提案するなど割と面倒見の良い姿も見せる。
最終的に金田一に追い詰められて自供した犯人に見切りを付けて、毒のダーツで殺すべくトリックを用いて急所に命中させるが、結果的にその人物は死なず未遂に終わる。%%確かにもっと確実に殺せる手段を講じなかった高遠にも落ち度は少なからずあるだろうが、それ以上に無事生存した犯人の生命力を賞賛すべきかもしれない。%%
その際、高遠は剣持警部に変装していたが、詰めを誤ったことで金田一と明智に変装を見破られて追い詰められ、呪いの言葉と共に&font(red){投身自殺}。
───が、その自殺すらもフェイクで、再び剣持警部に変装して日本へ戻ろうとしたところ、既に金田一たちによって救出されていた本物の剣持警部に逮捕される。
この時、自分のラストマジックを見破った理由を金田一に訊ねるが、不敵に笑いながら&bold(){「筋金入りの&font(red){マジシャン}であるあんたらしくない」}とした宿敵の答えに満足げな笑みを浮かべた。
そしてついに&font(red){&bold(){敗北}}を認め、その味を噛み締めながら金田一に別れを告げた。((なおドラマ版・アニメ版ではどちらも逮捕されずに逃亡している。))
#center(){&font(red){──らしくない、か!}}
#center(){&font(red){フフフ……確かに少々、演出過剰だったかもしれませんね}}
#center(){&font(red){認めましょう、敗北を}}
#center(){&font(red){……なるほど、これが敗北の味というものか!}}
#center(){&font(red){そう悪くはないな……}}
#center(){&font(red){いずれ味わうメインディッシュの少々苦い前菜だと思えば……ククククク……}}
#center(){&font(red){──いずれまたお会いしましょう、お二人さん}}
#center(){&font(red){その時まで…………}}
#center(){&bold(){&color(red){&sizex(6){Good Luck!}}}}
その後、金田一に犯罪が起きそうな場所(『獄門塾殺人事件』のように自ら犯罪のタネを仕込んだケースもあり)のリストを&bold(){「犯罪ガイドマップ」}として送りつけ((ただし送り付けたのが高遠である事が判明するのは『吸血鬼伝説殺人事件』のラストなのでこの時点では誰が送ったのかは不明であった。))、金田一はそれを受けて全国を旅することになる。
(送られてきたリストの内容を知っているのは金田一と後の明智のみであり、読者にすら明かされていない)
定期連載だったシリーズはここで一旦終了となるため、金田一少年の事件簿の一応の完結に関わったと言えなくもない。
そして『[[オペラ座館・第三の殺人>オペラ座館・第三の殺人(金田一少年の事件簿)]]』のラストにてまた脱獄したことが明智から告げられた。
04.『[[吸血鬼]]伝説殺人事件』
高遠が獄中にいる間に、上記の理由から旅をしている金田一が美雪、剣持を呼んで合流した無蘭村の廃墟風ペンション「ルーウィン」で起こった殺人事件。
ただし、本作中では金田一が旅を始めるきっかけとなった手紙に彼の名前が書かれていたことが判明するという形のみでの登場であり、
高遠が直接関わっているような描写は一切無く、犯人の口からも高遠のことは一言も出て来ないため、何か「種」を仕込んでいたのか、それともたまたま「天性の嗅覚」で嗅ぎ付けた「ルーウィン」をガイドマップに書いただけなのか、不明である。『犯人たちの事件簿』では高遠の存在に触れられていない為、後者の解釈で書かれている模様。
なお、アニメ、ドラマでも放送されたが、原作と違って高遠が逮捕されていないため、このような描写はカットされており、高遠とは無関係の事件になっている。
05.『獄門塾殺人事件』
一の友人である村上草太が通う塾を舞台にした殺人計画を立て、ゴムマスクをかぶっただけの簡単な変装で塾講師・赤尾一葉として塾に潜入、明智にも上記のリストを送り付ける。
『決死行』のラストで一の自宅に届けられた手紙が犯罪ガイドマップだと判明したのはこの時であり、[[自転車]]旅の中で様々な場所に赴いては事件を未然に防げたこともあればそうで無かった時もあったという話が一の口から語られる。
塾の合宿で利用された樹海に一、美雪、明智と共に同行し、そこで実行された連続殺人をすぐ傍から鑑賞。(犯人がミスを犯して助けを求めてきた際には打開策を授けたりもしていた)
一の顔を見て意味ありげに微笑んでみせたり、マザー・グースの詩を引用して『殺人者』の存在を仄めかすなど、&font(red){まるで正体を隠す気のない}挑発を繰り返していた。
最終的に一と明智によって真相を暴かれた際、些細なミスから芸術犯罪を台無しにした犯人二人を、バラの形をした毒矢で殺害しようとするが、犯人の一人がもう一人の方をかばったため片方の殺害には失敗。
そこで明智が発砲してきた(ただし防弾チョッキを着ていたため無傷)ために犯人への制裁を断念して逃走。
追ってきた金田一を待ち伏せし、「君が今回のトリックを見抜けたのは偶然近くのトンネル((この事件のアリバイトリックには低圧ナトリウムランプが使用されており、これはトンネルなどでも照明として一般的に使われている。))を通ったおかげでしかない」と敗北について弁解するも、
「あんたが今回のトリックを思い付いたのも同じトンネルを通っていた時なんだから、これはある意味必然じゃないのか?」と一言であっさり言い負かされてしまう。%%この時の彼は正直かなり情けない。%%
高遠は一瞬表情を固くするものの「減らず口が上手くなりましたね」と苦笑しつつすぐ傍の川へ逃亡。
巻き起こした炎を目くらましにしつつ川へ飛び込むと同時に自分に似せた人形を流し、自身はアクアラングと川底のロープ(事件で使われたトリックの応用)を利用して上流へ逃れるという離れ業を披露。これには&font(#ff0000){明智警視も騙されて}下流を追うように警官隊に指示を出した。
それでも金田一だけは騙せず一対一で対峙することに。とはいえ、激流の中を数百メートル程度は登ったのに全く疲弊した様子を見せないのは流石と言った所か。
「私はプロの殺人者だ。君を殺すことくらい訳などない」という警告を無視し、棒で殴りかかってきた金田一をプロの殺人者と名乗るに値するずば抜けた格闘技能で一蹴。
此度の勝負での敗北、そして先程己が負けた理由について見苦しく自己弁護したことに対する「自分への戒め」として金田一の一撃を敢えて掌で受け止めつつ、彼にボディブローを食らわせて去っていった。
直接的もしくは間接的に多くの人々を傷付けてきた高遠だが、劇中で彼自身が血を流すほどの傷を負ったのはこれが最初である。
終盤でこそ殺人鬼としての冷酷な振る舞いを見せたものの、今回の事件では、&bold(){被害者たちが皆、救いようのない非道な人間かつ、法律で裁けない連中}であり、そいつらに死の制裁を下せたという点と、塾内で起きた1人の青年の死の真相を明るみに出させたという点において、結果として[[ダークヒーロー]]的な立ち位置になっている。
06.『黒魔術殺人事件』
金田一の友人が関わる会社が雇っている、仮面を付けた黒魔術師として登場する。
金田一の友人は過去に家族を失っており、その原因となったのが会社の人間であるということを突き止める。
そこで復讐のためにその会社に近付くのだが、その復讐プランを授けたのが高遠である。
友人が家族を失う原因を知るように仕組んだのも高遠である、という描写がある((アニメ版ではその理由が一と友人の仲を引き裂くためといったタチの悪いものになっている。))。
金田一は黒魔術師が高遠ではないかと考えて仮面を外すように頼むが、既に黒魔術師は高遠によって仕込まれた役者にすり替えられており、金田一は高遠に一歩譲る形となってしまう。
そのまま金田一と高遠は直接対面することなく事件は解決し、高遠は再び闇へと消えて行った。
ちなみに高遠によって仕込まれた役者は、何も知らないまま後日高遠の罠によって殺害されている。
(アニメではこの役者はそもそも登場せず、上記の仮面を外すシーンでも高遠本人が登場し、金田一と直接対面している)
このように今回の高遠は残忍さが目立っているが、謎解きの場にいなかったので真相発覚後も何故か真犯人を殺害しなかった。
なお、この事件での身代わり役者殺しは、一と明智を除けば、犯人にとって全く無関係な人間を巻き込み、挙句に手にかけた、唯一のケースとなっている。
07.『剣持警部の殺人』
牧師になりすまし、心のケアと称して少年院にいた真犯人に接触し、さり気無く嘘を交えながら復讐を行うようにそそのかして剣持警部をスケープゴートに仕立てた殺人計画を立てる。
最後の謎解きの場にいなかったので、真犯人にはなにもしなかった。
これは、真犯人が他ならぬ自分自身も復讐の標的としてカウントしていたという事情もある。
今回も高遠の残忍さが際立っている……のだが、それ以上にこの事件も『獄門塾』と同様に&bold(){被害者が皆(高遠とは別のベクトルで)極めて悪辣な人物}であったことと、真犯人についても特に制裁などはしていないため、こちらも結果として[[ダークヒーロー]]的な立ち位置になっている。
ただし実行犯に偽りの情報を与えてまで剣持に恨みを抱かせて陥れるという悪質な一面も見せていた。
EX.『香港九龍財宝殺人事件』
ドラマ版のみ。ご存じヒロインの七瀬美雪が香港で誘拐され、一がそれを探して行くうちに巻き込まれた殺人事件。
今回の事件の犯人に殺人教唆を行っていたが、それを一に看破されたことにより、彼に興味を持ち、後に彼を自身がプロデュースした事件に巻き込んで行く様になる。
ちなみにキャスト交代と共に設定変更が行われているドラマ版では、彼のポジションは「アジアを股にかける殺人プロデューサーとして指名手配中の存在」となっており、原作よりも明らかに犯罪者としての扱われ方がグレードアップしている。いつの間にそんな大物に……。
08.『薔薇十字館殺人事件』
『魔術列車殺人事件』以来となる、高遠自身の背景について触れられた事件。
&font(red){「ローゼンクロイツ」}と名乗る謎の人物から、自身も存在を知らなかった異母妹の生命を人質にとられ薔薇十字館へ来るように要求される。自分が警察に出頭することと引き換えに異母妹を守るよう金田一に依頼し、金田一らとともに薔薇十字館を訪れる。
因みにその時に『[[金田一少年の決死行>金田一少年の決死行(金田一少年の事件簿)]]』以来の本格的な変装を見せている。
そこで金田一と共に連続殺人事件に巻き込まれた高遠は、状況証拠的に犯人に仕立てられてしまい、隠していた正体も知られてしまう。
(しかし、その時は変装をしておらず、隠したのは本名と職業(?)だけの為、顔を思い出されて正体がバレる可能性は元からあった)
真犯人の罪を着せるためのスケープゴートとして呼ばれたことを悟り、プライドを傷つけられた高遠はローゼンクロイツの正体を突き止めて殺害すると言うが、金田一の説得を受けて(彼を連れて来た負い目もあったため)犯人の炙り出しに協力することに。
普段は金田一のオマケ程度にしか扱っていない美雪に対しても今回は珍しくマトモに話しかけるシーンがある。
そしてついに突き止めた真犯人「ローゼンクロイツ」は[[高遠の異母妹>月読ジゼル]]その人であった。
真相を暴かれ、全員を道連れに館を爆破しようとする犯人の行動を目にもとまらぬナイフ捌きで阻止。
事件後は、金田一との約束通り、抵抗することなく警察に逮捕されていった。……が、すぐに脱獄。%%警察なにやってんだ。%%
薔薇十字館とともに高遠が相続するはずだった&bold(){新たな館}の存在が明らかになったところで物語は終了。更なる事件を予期している。
そしてこの事件を境に、彼は自身の「地獄の傀儡師」としての&bold(){片方のルーツ}、つまり、自分のマジシャンとしての側面を成り立たせた母・近宮玲子とは異なる、&bold(){もう片方のルーツ}として存在する「実父」の詳細について「パズル」に喩えながら調べ始めた。
20周年記念シリーズが終了した時点で、二人が最初から敵対関係でなく(金田一の方は何度か彼を牽制しているが)、高遠が金田一に最初から最後まで全面的に協力した唯一の事件である。
事件の捜査では互いに自分たちの推理を言い合ったり、真相解明の場ではインテリならではの視点から犯人の発言の矛盾点を指摘した他、&color(red){&bold(){彼女のスカートに手を突っ込んで}}証拠を見つけたりと、恐ろしい「地獄の傀儡師」らしからぬユニークで大胆な一面も見せた事件となっている。
09.『亡霊校舎の殺人』
最初の方ではピエロ姿で子供達と戯れつつ、今回の実行犯である「亡霊教頭」と連絡を取っていた。
舞台となった島にはおらず薔薇十字館の最後の方で見つけた謎屋敷(仮)にいて、[[ワイン]]を飲みつつ殺人事件や推理を無線越しに聞いていた。
今回も前回に引き続き、トリックを解き切られても犯人を殺害することもなく話を終えた。(彼がこの事件に関わった真の目的は、事件の舞台に使われた建物に改装を施した&bold(){「高遠とよく似た気質の誰か」=高遠の実父?}について調べるためだったためだと思われる)
また、事件の下準備に際して、島に隠されていた大量の金(きん)の一部を手に入れ、新たな資金源としている。%%うらやましい%%
金田一達とは最後まで顔を合わせることもなかったのと、推理が解かれたとはいえ目的が今回は違っていたので比較的穏便に終わった。現に金田一も普段ほどは彼の計画に対してブチ切れていない。
亡霊教頭を見いだしたときは「完全犯罪への扉」というホームページを立ち上げてウイルスを仕込んでおき、「完全犯罪」を求めてアクセスしてきた者の[[パソコン]]をウイルス感染させて内部を覗くことで、
「本気度」を調べるためのアクションをとったようだが、これが作中において犯罪になるのかは不明。刑法における「不正指令電磁的記録に関する罪」には触れる可能性がある。
それを除けば殺人教唆以外の直接的な犯罪は一応していない。
10.『蟻地獄壕殺人事件』
いつもなら最初ぐらいに高遠の存在が出てくるのだが今回は中盤で「これひょっとして高遠じゃね?」みたいな金田一の指摘によりようやく場面的に登場する。
不幸に次ぐ不幸で絶望しきっていた犯人の心理につけこみ、「力になる」と言いつつ殺人計画を持ちかけた。(この時の高遠はメガネをかけていたが、その雰囲気は「魔術列車」の時の弱気な外面を装っていた彼とはまるで異なる怜悧なものだった)
今回は登場人物の一人に変装していたのだが、根拠の決め手となる事件のポジションやら、色の由来を金田一に言い当てられたことを嬉しく思いながら、自分を捕まえようとするいつきをナイフで牽制しつつさっさと逃げた。いつもに比べて地味な逃げ方である。
作品の途中から高遠はトリックを見破られても真犯人を殺さないことが多くなったが、謎解きの場にいなかった『黒魔術殺人事件』『剣持警部の殺人』『亡霊校舎の殺人』の直近の3件とは違い、今回は珍しく謎解きの場にいたにもかかわらず真犯人を制裁することなく去っていった。
(ただしこれは犯行が発覚するきっかけが「些細なミス」ではなかったため、制裁をするほどのことではないと判断したからではないかという見方もできる)
ただ、真相を暴かれた犯人を殺さないどころか、&color(red){金田一に真相を暴かれることを予定調和のごとく捉えていた}節があり、事件を通じて何かを探していることに変わりはないらしい。
そもそも、この事件の舞台に選ばれた蟻地獄壕は、旧日本軍の施設を買い取った&bold(){とある資産家が改造を施した}らしく、(明言はされていないものの)この場所も高遠が追い求める&bold(){もう片方のルーツ}に関わっていた可能性が高い。
11.『金田一二三誘拐殺人事件』
『金田一フミ誘拐事件』で誘拐された二三がまた誘拐されたり、『速水玲香誘拐殺人事件』みたいじゃねとか言われてたこの事件。
事件は解けたものの、終盤の方で段々と違和感が出て来たため金田一は事件後に犯人と面会して真なる真相を聞いている。犯人の証言から葬式の時にあの男が、高遠が現れたということを。
この時の高遠の服装は喪服であり、高遠は犯人を唆して都内を走る電車を利用した殺人を実行させる。((しかし、犯人ははじめとの面会で自分から人殺しになることを選んだと主張していたが、「『犯罪者』なんて向いていない。」と話すはじめや事件関係者からの励ましのメッセージにより感謝の涙を流す。))
……まあこれで今回のシリーズ終わりだしねとなってはいたが、この後でさらなる真実が明かされる。
このシリーズでたまに出ていたカフェふくろうのマスター。&bold(){彼も高遠の変装だったのだ}。(一部予測していた読者も居たようだが)
なお、「とりあえず高遠にしておけばいいんじゃね説」もあるがとりあえず置いておく。
ちなみにこの回では金田一に対するツッコミがたまに素の口調となっていた。
ただ、彼の発言からして今回の誘拐殺人事件に金田一が関わったのは予想外だった様子だが、彼なりに「そういうこともあるさ」と纏めている。
そして今回の事件の犯人にも死の制裁を加えていないが、金田一が事件を解いたきっかけが偶然起きた事故のせいだったからであろうか。
ちなみに前回の高遠が出た『蟻地獄壕殺人事件』から今回で、リアルタイムで大体二年七ヶ月が経過している。長い。
12.『鬼戸・墓獅子伝説殺人事件』
金田一三十周年記念作品の一つである本エピソードにおいては「魔王」と名乗り登場していた。
やっていることは毎度お馴染みの殺人教唆であり、ネットで見定めた実行犯となる者を遠くの町に呼び出して接触。久々に人形劇を行う様子も見せた。
事件が起きる様は、今回の殺人の舞台である鬼戸村の駐在警官に変装して見ていた模様。金田一らは事件後にその事実を知った。
トリックを暴かれ、犯人は捕まったとはいえその後殺したような描写は無い。犯人の正体を見抜かれたきっかけの内、煙草の臭いに関する物は予め誤魔化す対策を講じていなかった犯人のミスと言えるが、それは咎めていないようだ。
今回の殺人計画は高遠としても悔いの残る出来映えだったのか「金田一くんが来ると分かっていたなら、もう少し考えることも出来たが…」とぼやきつつ「言い訳はよしましょう」と締め括っている。&s(){実際金田一よりも先に事件の真相に気付いてしまった人物も劇中に存在しているし。}
その後は「日本を離れて神々の集う国にでも行くか」と独り言ちていた。この事実は読者にのみ明かされている。
例によってカフェふくろうのマスターとしても変装状態で登場しているのだが、カフェの中で金田一の進路相談を聴いている高遠はどんな気持ちだっただろうか。
また、海外でしばらく旅をするためという理由で店を閉めることを彼に告げたのだった。
そして30th最終話にて金田一が、怪盗紳士と比較した上での高遠の残忍性に対する苦言を美雪らに溢したり、美雪が金田一の二十年後の心配をしたりする中、高遠はギリシャにいた。&s(){「神々の集う国」とは出雲のことでは無かったようだ。}
ギリシャのオリンピアゼウス神殿を訪れながら、「殺人芸術家を極めるならいっそ私は”地獄のゼウス”を目指したい」と言う高遠。&s(){ギリシャ神話を引用するなら、そもそも地獄(冥府)はハデスの管轄なのでは?}
「地獄のオリンポスにも十二神はいるだろう。残り11人は……」という彼の独白で金田一30thは幕を閉じる。
その他にも、彼が「地獄の傀儡師」としての活動を開始する前、つまり彼の過去の一部を知ることができる作品に、
・『高遠少年の事件簿』
・『幽霊ホテル殺人事件』
・『学生明智健悟の事件簿』
がある。
(下2つは明智が主人公の短編で、後者に関しては高遠自身は直接出てはこないが、冒頭の描写が『高遠少年の事件簿』のラストとリンクしている)
・『[[金田一少年の1泊2日小旅行]]』
自身が初登場した「魔術列車殺人事件」を基にした「魔術列車帽子から写真事件」と最終回のみ登場。
本編と異なり良識的なところがある。
・『[[金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿]]』
BOOK☆WALKERにて行われた、本作で取り上げて欲しい犯人の[[人気投票]]で高遠が1位になったため、連載が決定。
船津先生は今まで忌避していたらしいが、いざ扱うとなると気合を入れており、1話目の扉絵は原作『魔術列車』1話目の見開きを元にしたカラー見開きになっている((原作で地獄の傀儡師がいたところが高遠に置き換わっている。))。
いつものようにしっかりとギャグを折り込んではいるが、マーメイド夕海の殺害以外は難なくこなしているため、トリックの苦労話より一との心理描写に重点が置かれている。
&font(l){なお、夕海を殺した際にミスって舌打ちした件についてはなかった事にされている}
本作オリジナルの設定として、好敵手(一)と対決している時は肌がツヤツヤになり、退屈を感じている時は肌がかさつく&s(){高校時代の彼が見たらぶち殴りそうな}体質となっている。
『魔術列車』後の再登場エピソードでもこの設定は健在。一を毎度呼び付けるのもそれが一因らしい。そのせいで歴代犯人の中から「高遠被害者の会」が結成されている。%%明智の言う私利私欲タイプの事件の被害者遺族や当人の悪事の巻き添えを食った面子などを含めれば3桁超えそうであるが。%%
中には高遠がわざわざ現場に一が来るよう仕向けて犯行達成の難易度を跳ね上げることに対してハッキリと%%至極真っ当な%%ツッコミを入れる者も。
犯人がインタビューで「高遠の金田一に対する執着にも問題あったんじゃないの、私だけのせいじゃないわ」と言ったり、
また別の犯人が高遠に対して「これだから感情でものを言う奴は…!!美しいとか美しくないとか…犯罪は芸術じゃねーんだよ」と言ったのも合理性よりも嗜好を優先する彼への皮肉を込めたものかと思われる。
・『金田一少年の事件簿N 謎解きクイズキャンペーンZIP!殺人事件』
ドラマ第4シリーズに当たる『金田一少年の事件簿Neo』の放送に先駆けて、情報番組『ZIP!』にて行われたコラボ企画。
番組内で放送された事件の真相がクイズ形式で問われ、視聴者は正解を選んで応募することで様々な賞品を獲得することが出来るという仕様であった。
それらの事件は、実は高遠が「コンダクター」という名で黒幕として画策していたという設定である。&s(){思いっきり、露西亜人形殺人事件の怪人名と被っているが気にしてはいけない。}
犯行現場に薔薇の花弁が落ちていたとの情報が明記されているので、金田一ファンなら容易にコンダクターの正体が分かったことだろう。
なお番組内で描かれた犯行方法は、一件目→ダンベルで撲殺、二件目→灰皿で撲殺、三件目→&font(red,b){カマキリ拳法で刺殺}といった凄まじくシュールなもの。……というか人によっては「カマキリ拳法」が出てきた時点で、これを持ちネタとするあの大御所コメディアンが犯人だとすぐに気付けるかもしれない。
*【金田一37歳の事件簿において】
高校二年生だった金田一一が二十年経過して37歳のサラリーマンになったというイブニング連載のシリーズ。
[[歌島>歌島(金田一少年の事件簿)]]で四度目の殺人事件にあい、渋々解決して[[自衛隊]]のお陰で何とか島を脱出した金田一が事件後に違和感を覚え、
(様々なことでまたかよと思うかも知れないがツッコんではいけない)剣持や明智と共に特別留置所に行く。
そこに、高遠は囚われていた。
長髪かつ白髪となって。
読んでいたのは英語版の巌窟王、『[[モンテ・クリスト伯]]』であった。
二十年ぶりと言っていたり、なんでまた留置されているかは今のところ不明であるが、その立ち居振舞いは相変わらずだった。
本人曰く、死刑判決を待つ身らしい。
&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){ちなみに『犯人たちの事件簿』の後で彼のこの状況を目の当たりにした読者からは「20年間一によるスキンケアを怠っていたから白髪になったんじゃないか?」と思われていたりしている。}}
もう40代だが、他の多くのキャラと同様に容貌はあまり変わっていない。
そして金田一が巻き込まれた歌島の殺人事件の犯人に、知恵や活動資金等を与えていた事が判明。ちなみに[[回想シーン]]では黒髪であった。
オリンポス十二神のうち十一神になぞらえ、歌島の殺人事件の犯人に「アルテミス」という名を授ける。(ある意味皮肉で)
「ゼウス」について明智は「高遠ではないか」らしきことは言っていたが、本人がそれを認めたわけではないため真偽は不明。
……だったのだが前述の通り、連載30周年記念として物語が一度『金田一少年の事件簿』の時代に戻った30thシリーズにて高遠は、地獄のゼウスを目指したいものだと言っていたのでどうもゼウスは高遠本人らしい。
そうか……自らゼウスを名乗り出したのか。
そして協力者だの弟子だのが増えたこともあって、自身を指導者とするカルト宗教染みた組織を結成しているらしい。
[[太陽系惑星に入らなくなってしまった星を組織名にしている>探偵学園Q]]とのこと。
高遠は犯罪の素質を見いだした十一人の信徒にそれぞれコードネームを与えて各種援助を行った。
つまり金田一は、その十一人を本人が望む望まないにかかわらず相手しなければならないようだ。
仮にお互いにその気はなくても事件が起きたら解いてしまうしかない金田一と事件を起こす高遠であるので。
特別留置場に居ても外の情報はある程度入ってくる様子。
その一端として彼に差し入れされる全国各地から送られる本を利用し、暗号状態で情報を入手が出来る上に外に居る協力者に指示も送れる。語学堪能で、書物の速読もこなせる彼にとってはもってこいの方法である。
送られてくる本のページを折ったり破ったりした後で捨てるように頼み、捨てさせた後で彼の協力者が拾い上げる……というどこぞの[[探偵学園漫画>探偵学園Q]]に出てくる地獄の番犬が使ったみたいな手を使ったりしていた。
組織の構成員の内、神々の名を冠する者は物語中盤までに「アルテミス」「アポロン」「ヘルメス」までが直接登場しており、金田一の推理によって犯行を暴かれ逮捕されている。
アルテミスは逮捕後、組織に関する余計な情報を口外したとして口封じのため部下に指令を送って抹殺させた。
アポロンに関しては彼が逮捕されたと知るとその芸術犯罪の素質の高さから、逮捕された事を惜しんでいた。
ヘルメスはその手腕の高さを気に入っており、元来ヘルメスが盗みや詐術を司る神でもあることから「[[トリックスター]]」とまで評する程。
今の所アポロン、ヘルメスの方は暗殺したかどうかの言及は無い。
また「ヘラ」という人物が神々の監視役をしているような描写がある。
そこから暫く37歳の方では高遠絡みの事件は起きず&s(){読者も忘れかけていた頃}「アレス」と「ヘーパイストス」が登場した。これで所属者の半分は名前が出たということになる。
アレスの方は催眠術のようなものを使ったり、人工衛星を操作したりすることも出来るので何らかの組織を擁立しているようだが、催眠術に組織……アレ?[[どこかで聞いたような。>ケルベロス(探偵学園Q)]]
ヘーパイストスは金田一の会社に社員として潜伏し動向を監視していた。金田一が37歳になっても事件に巻き込まれやすかったのはヘーパイストスのせいであることも本格的に発覚。
更に高遠自身は、[[正体が明らかとなったアレス>ケルベロス(探偵学園Q)]]の助けを借りて遂に脱獄を果たす。%%何度目だよ…。%%
もっとも過去に何度も高遠によって脱獄されていることから警戒レベルが跳ね上がったのか、本作で高遠が勾留されていた特別留置場は警備が非常に厳重な物であり、高遠ですら何ヶ月も勾留されていたにも関わらずセキュリティの仕様を全く把握出来ていなかった。
アレスも催眠術という超常的な手段を駆使してなお攻略に半年もの月日を費やしており、これは流石に看守を責めるのは酷と言えるだろう。
最終話に当たる132話時点での状況を纏めると、十二神の首魁たる「ゼウス」こと高遠は、依然として配下達の指揮を執り続けながらも、特別留置所から脱して本格的な活動を再開。
逮捕されたり高遠に殺されたりして、事実上無力化された状態なのが「アルテミス」「アポロン」「ヘルメス」の3人。
更に補佐役の「ヘラ」に加えて、「アレス」と「ヘーパイストス」なども合わせた合計7人が物語に関与していることになる。
なお最終話での明智の推測によると、『金田一少年の決死行』で一度完全敗北したことが原因で、金田一を決して幸せにさせないと誓っているとのことらしい。
ちなみにかつてマガジン時代にあった"高遠の父親について"の伏線は未だ全く回収されていない。
30thシリーズが描かれた2023年時点でも父親に関する詳細は不明なままであり、作中に高遠は出たものの父親関連のことは一切合切触れず結局不明だった。
ただし、アレスがかつて在籍していた組織同様ギリシャ神話にちなんだコードネームを付けたり、悪魔のような人種だと養父が恐れたり、事件向きの建築物が沢山あったりするなどから高遠(並びにジゼル)の実父はもしかして…
余談だが、『金田一37歳の事件簿』の番外編である『金田一37歳(サウナ)の事件簿』で明智が一を水風呂に入れた際、
「大丈夫ですよ(君の心臓は)地獄の傀儡師にも止められなかった心臓なんですから…」と彼が高遠によって底無し沼に沈められた時のことを皮肉ったりしている。
*【作者からの言及】
第二期に入ってから高遠は残忍で邪悪な印象がより強まったが、それというのも作者たちが「悪逆非道なキャラクターであるはずの高遠がどんどんヒーロー的な要素を帯びてきている」ことに対して、ある種の危機感を感じたからであったようだ。
(ただし、以前には単行本のコメントで「最近高遠が冷酷な殺人者(の役回り)ばかりやってる」といった趣旨の発言をしていたりと、高遠をどう描写するかについては作者としても複雑な葛藤がある模様)
>~新シリーズでの変更点~
>
>露西亜人形殺人事件とか香港のあの話を読み直して、
>ちょっとこいつ、カッコ良すぎたかな、と思ったんです。
>速水玲香誘拐殺人事件の時は、ちゃんと悪党だったのに、
>どうも[[ダーティヒーロー>ダークヒーロー]]のような描きっぷりがエスカレートしていってるような気がしました。
>
>おかしな人が増えてるこのご時世、
>ああいう殺人を芸術などと言っているある種の快楽殺人者を
>どんどんヒーローっぽいキャラにしていくのはどうか、という反省もあり、
>今回はあえて『地獄の傀儡師』という呼び名に相応しい悪党として描いてみました。
>
>とはいえ、私もさとうさんも、気に入っているキャラではありますので、
>そのうちまた、ついかっこ良く描いてしまうかも知れませんが。
>
>でもここで再確認しておいてくださいね。
>基本的には&font(red){危険きわまりない快楽殺人鬼}ですから、高遠は。
>それを忘れないでください、というメッセージをこめた凶悪犯描写だと思ってください。
>
>天樹征丸
ちなみに作画を担当したさとうふみや氏は「コナン&金田一」という2008年に発刊された「[[名探偵コナン]]」とのコラボ雑誌で「剣持と違って描きづらい」「最悪の犯罪コーディネーターだけど本人はまったく気にしない」と評している。
また、「犯人たちの事件簿」の作画を担当した船津氏は本当は魔術列車を描く気はなかったため、自身のTwitterで高遠関連の事件を描く度にノイローゼになっていたことを冗談めかして告白していた。
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