リリーのアトリエ〜ザールブルグの錬金術士3〜

登録日:2025/07/31 Thu 18:47:30
更新日:2025/08/10 Sun 22:37:28
所要時間:約 8 分で読めます






一人の少女の手による錬金術アカデミー創始の物語-。



2001年6月21日発売。
マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜』『エリーのアトリエ〜ザールブルグの錬金術士2〜』の続編にあたる、『ザールブルグシリーズ』3作目。本作からプラットフォームがPSからPS2に変わっている。
年代設定はマリーのアトリエの20年前、まだザールブルグに錬金術が伝わっていなかった時代が舞台となっている。
翌年には通信対戦要素や追加イベントを収録した『リリーのアトリエプラス 〜ザールブルグの錬金術士3〜』が発売されている。

また本作の6ヶ月後の12月、本作のヘルミーナを主人公にした短編ADV(デジタルノベルぐらいの内容)である『ヘルミーナとクルス 〜リリーのアトリエ もう一つの物語~』が発売された。


あらすじ


ザールブルグに錬金術がまだ伝わってなかった時代。
海を隔てて遠く離れた地、ケントニスの錬金術アカデミーから4人の錬金術士がやって来る。
後のアカデミー校長であるドルニエ。幼いながらも錬金術を修め神童と呼ばれ、後にアカデミー教師となるイングリドとヘルミーナ。そして…


ゲームの流れ


過去2作品の目標がアカデミー卒業だったのに対し、本作の目的は錬金術アカデミーの建設であり、そのための建設資金を稼ぐのが最終的な目標となる。なお目標額を稼いだら即エンディングというわけではなく、お金が貯まってもそのままゲームを続けることも可能。
ただし、目標額をドルニエに渡すと即エンディングとなるのでその辺りは注意。
場合によっては展覧会報酬で加算された分で目標額を超えることがあるので、目的とするエンディングによっては渡す額を加減しておく必要はある。

また上記の建設資金とは別に、追加でお金を出してアカデミーに装飾を追加して外見を変更することが可能となっている。

お金を稼ぐ方法は過去作品と同様に酒場の依頼をこなすのがメインだが、それ以外にも年1回ある展覧会や武闘大会の報酬、交易地でのアイテム取引、貴族(好事家)相手の商談などがある。何なら錬金術そっちのけで雑貨屋のアイテムを貴族相手に転売しまくってクリアすることも可能だったりする(それはそれで違った意味での錬金術ではあるのだが)。

ゲーム期間はデフォルトで9年と過去作品よりも長くなっている*1。そのため一部の登場人物は過去作品よりも登場が遅めに設定されていたりする。

前作同様に恋愛イベントがありエンディングにも若干影響がある…のだが、割と序盤の方にある日常会話で選択肢を間違えるとフラグが折れるので注意が必要。

エンディングはバッドも含め全部で12種類……なのだが、フラグ管理はシリーズでも群を抜いて複雑。
前作と違って申し訳程度のヒントもないため、攻略情報なしではコンプは極めて困難となっている。

+ エンディング概要
大きく分けると王立アカデミー、私立アカデミー、工房ED、特殊系EDの4種類(+バッド)
さらに条件によって細かく分岐が生じている。
  • 王立アカデミー
5回の展覧会に全て合格すると王国が資金を賄うことを確約し、王立アカデミーが誕生する。
なお、この時点でアカデミー建設が確定するので建設資金に関わらず即エンディングに突入。
過去シリーズではアカデミーは王立であったので史実に即した結末といえる。
とはいえ、5回目の展覧会ではが求められるので達成は結構大変。

また、それまでの成績やリリーのパラメータ次第ではリリーが国に雇われることになるEDも。
この場合アカデミーはついで扱いといった感じになるが、目標は達成したのでまぁ良しといったところか。

  • 私立アカデミー
コツコツ建設資金を集めて目標額を達成することで無事アカデミーが建設される。おそらく一番わかりやすい条件。
ただしそれとは別に、一切国の援助を受けずにやっていくことを決断するイベントがあり、そのルートを進むと完全に私立のアカデミーが誕生する。
この場合そもそも展覧会に参加しなくなるので憂いなく9年フルに遊ぶことも可能。
そのイベントを出すためには序盤からフラグ管理する必要があるのでそこは大変だが。

  • 工房ED
アカデミー建設はそれとして、リリーが独立して店を開いたり研究に没頭するエンディング。
こちらも序盤からフラグを積み立てていく必要がある。

  • 特殊系ED
リリー、イングリド、ヘルミーナのレベルをカンストしたり、妖精さんの育成に没頭すると発生する特殊ED。
また、リリーの錬金術レベル、人気、名声を上限近くまで上げると正史EDが発生。
正史EDでは20年後、どこか遠い国で教師をしているリリーの姿が……*2

ちなみに恋愛イベントを最後まで進めるとエンディング前に該当キャラとの告白イベントが発生する。
通常は今後も一緒にいる旨を伝えるプロポーズなのだが、正史EDでは旅に出る都合上リリーの帰りを待つ男達という構図になってしまう。よりによって正史でフラグを折るリリーさんである。


前作からの主な変更点


  • ザールブルグの街のマップが追加され、自由に移動できるようになった。ファストトラベルも可能 。

  • 今作より移動日数を減らすことができるアイテムが登場。作るのは大変だが役に立つのでぜひとも用意したいところ。

  • 戦闘では止めを刺した攻撃の属性によってドロップアイテムが変化するようになった。また、敵の残りHP近くのダメージで倒した場合にはレアドロップを得られる。

  • 妖精さんは前作と基本的に変わらないが、一定確率で★マークのついた子が出現。その色の属性の調合速度が倍となるので見かけたら優先的に雇っておこう。


調合


通常の調合、ブレンド調合に加え、前作のオリジナル調合に変わって【ラフ調合】が追加された。
これは既存のレシピの材料を似た材料に置き換えるというもの。例えばヘーベル湖の水を街の井戸水や川の水に変えることができる。
これによって既存のアイテムの性質や性能を変化させることができる。後のシリーズのカテゴリ調合や従属効果のプロトタイプといえるだろう。
また、素材の変更次第では完全に別物となる新しいアイテムを作製可能。
できるアイテムは事前に示される上(未作製の場合は?だが)、素材の組み合わせ自体で失敗することはないので、ほぼノーヒントだったオリジナル調合に比べるとかなりマイルドに調整されている。


主なイベント


  • 展覧会/特選会
展覧会は王国主催で、年に1回行われる。お題に該当するアイテムを提出し、アイテムの種類と品質、効果によって報酬が得られる。
一定以上の評価を出すとワンランク上の特選会へ参加できる。ただし特選会のお題は展覧会のものとは異なり、また提出までの期間が短いので注意が必要。

  • 武闘大会
過去作品にもあった年末恒例イベント。全5回戦を勝ち抜くと優勝。3回戦以降は味方キャラが敵として立ちふさがってくる。
ちなみにウルリッヒによると武器は大会指定の物を使用しているそうな。
ただし、杖はないのでリリーは自前の装備で出て構わないということに。いいのかそれで。*3


登場人物


CV:那須めぐみ
本作の主人公。
錬金術に対する姿勢や意欲を買われて、ザールブルグへの派遣メンバーに選出された。
実は錬金術に関してはイングリド・ヘルミーナの方が上だったりするが、2人からは「リリー先生」と呼ばれ慕われている。
好物はケントニス名物のお菓子「ペンデル」。手間はかかるが調合が可能。
詳細に関しては個別項目参照。

  • イングリド
CV:白石妙子
過去2作品に登場したイングリド先生その人。本作品では10歳。時の流れは残酷だ。なお、育ち盛りの年頃のはずだが何年経とうと幼いままである。
アカデミーに8歳で入学してわずか2年で錬金術を修め、ヘルミーナと共に『神童』と呼ばれている。一方で年相応の振る舞いを見せることも多い。ヘルミーナとは仲よくしたり喧嘩もしたり…という仲で、喧嘩になると先に手が出る方。

  • ヘルミーナ
CV:釘宮理恵
前作に登場したヘルミーナ先生その人。性格はやや引っ込み思案のおとなしくて可愛らしい少女。どうしてああなった。
まあ作中でも黒魔術とかに興味を示したりとその片鱗を見せている。
こちらも10歳。ちなみに次回作では17歳なので正史では5,6年程でアカデミーを建設したと考えられる。

身体が弱く、体調を崩すイベントもあるが冒険に連れていくことは問題なく可能。
イングリド同様に『神童』と呼ばれている。
喧嘩の際にはイングリドよりも口は達者。
『ヘルミーナとクルス』ではホムンクルスの創生を自ら手掛けるが…。


なお上記の2人に関しては、ドルニエと分担してどちらかの面倒をメインで見る形となり、選んだ方には妖精さん同様に調合を依頼することができる。
賃金はもちろんタダの上、リリーと同じ速度で調合してくれるので非常に重宝する。両方面倒見させてください
なお、地味に妖精さんとは異なり金属性も調合可能。場合によっては賢者の石を作る神童という状況も。

また、調合とは別に冒険者としても雇うことが可能。こちらは担当に関わらず2人とも雇うことができる。
2人揃えると低確率で2人の合体必殺技が発生するので一度は試すのもよいだろう。
なお、連れ出してる最中は当然調合が止まることには注意。


  • ゲルハルト
CV:置鮎龍太郎
黒々とした長髪がトレードマークの豪放な性格の冒険者。武器に対するこだわりを持っており、将来は武器屋になるのが夢。
ちなみにゲルハルトという名前は偽名らしい。
ストーリーが進むと、引退を考えていた武器屋のレオから店を引き継ぎ、冒険者兼武器屋となる。
楽器の演奏は得意だが、歌はかなりの音痴。
戦闘能力は高く、横一列攻撃の必殺技に演奏での補助と頼りになる兄貴分。
必殺技については強化イベントも存在する。

上記の特徴などから、彼は過去2作品に登場した「武器屋のハゲ頭のオヤジ」の若かりし頃の姿ではないか、と言われていた。後に公式からもその旨の言及がなされている。
本作の時点ではまだ名前は決まっていなかったが、後の作品で再登場した際に「ハゲル=ボールドネス」という名前が付けられた。
ちなみに恋愛イベント対象の一人でもある。あのオヤジにもそんな頃があったと思うと感慨深い。

  • テオ・モーンマイヤー
CV:下野紘
冒険者の少年。リリーよりも1つ年下でリリーを姉さんと慕っている。そして恋愛対象の一人。
元々は地方の農家の息子だったが、跡を継ぐのが嫌で街に出て来た。
冒険者としては駆け出しレベルで強さもそこそこだが、賃金もお手頃なので序盤のお金が無い状況だと非常に助かる存在。
なお、駆け出しということだからなのか必殺技を持っていない。
もっとも必殺技があまり強くないキャラも多いので、それほど問題というわけでもないが。
最大近くまでレベルを上げると強力な技を覚えるので頑張ろう。


  • ウルリッヒ・モルゲン
CV:速水奨
王国騎士団の副隊長。隊長になる実力は持っているものの、過去の出来事がきっかけで昇進を拒んでいる。
生真面目だが過去作のエンデルクほどは固くなく、リリーともわりと気安く接してくれる恋愛対象の一人。
武闘大会では当然のごとく決勝の相手。リリーのパラメータが低いと連続攻撃で瞬殺される。
本作の「アインツェルカンプ」枠。イベントを経るとより強力な技へと強化される。
が、そのイベントが6年目以降と遅いのでプレイ次第では見られないことも。


  • ヴェルナー・グレーテンタール
CV:神奈延年
誰が使うともしれない妙な品を揃えた雑貨屋を営む青年。
性格はかなりの気分屋で、お店も突如休業日になったりする。
そのひねくれっぷりがプレイヤーの心をとらえた今作の人気キャラ。そして恋愛対象の一人。
また店にはメイドさんが雇われているが、彼女もヴェルナーのことが気になっているようで恋愛イベントを完遂すると……

商品は一般的な品の他、好事家との取引に使えるアイテムも販売している。中には価値が100倍以上になる品も。
ある程度店に通うと仕入れのためとして冒険者として雇えるようになる。


  • イルマ
CV:中原麻衣
ザールブルグにやって来たキャラバン隊所属の少女。リリーとは「よそから来た者同士」ということで意気投合する。
今作の親友枠であるが賃金はしっかり発生する。まぁ商売中に連れ出してるからね。
街中で出会った際には占いをしてもらうことが可能。
また、キャラバンで仕入れたレアアイテムの売買もしている。

ゲームが進行するとお婆さんが倒れてしまい、治すまで雇用や売買ができなくなる。
ただその治療に使う薬のレシピが記された参考書が予想外の所にあるため、場合によっては長期間手出しができなくなることも。


  • カリン・ファブリック
CV:村井かずさ
製鉄工房の主の娘で、自身も工房で働いている。鬱陶しいという理由で髪をバッサリ切って短髪にしているため、男と間違われることも。
今作では金属のインゴットを作れるので、武具は最終的に買うより彼女に依頼して作ってもらうのがメインになる。
特定のメンバーが仲間にいる際には、必殺技使用時に低確率で仲間をぶん投げて攻撃することがある。


  • シスカ・ヴィラ
CV:夏樹リオ
赤い鎧が特徴の女騎士。王国初の女性聖騎士を目指している。
とはいえその壁は厚く何度も落選しており、諦めかけている部分も。
イベント進行と彼女のレベル次第では見事合格させることができるのでぜひ夢を叶えさせてあげよう。
意外なところでは女性らしくオシャレに興味があり、彼女からアクセサリーや化粧関連の本を貰うイベントがある。

冒険者としてはゲルハルトと並んでバランスの取れた性能。ちなみに楽器の演奏ができるのも一緒。
必殺技は縦一列の火属性攻撃で雑魚散らしの他、火属性でのトドメが条件のドロップアイテム集めに役立つ。
この必殺技はイベントで強化可能。


  • クルト=フローベル
CV:増岡太郎
教会の神父さん。前作に登場したミルカッセの父親。
錬金術に関しては『自然の摂理を歪めるもの』として否定的な考えを持つものの、教会を訪ねてくる人たちには身分や考え方など関係なく平等に接してくれる。リリーが頼めばタダで素材採取にも付いてきてくれる良い人。
ただし基本戦闘能力は低め。一般人だから仕方がないね。


  • エルザ・ヘッセン
CV:笠原留美
リリーが街中で出会う少女。やや世間離れした部分がある。本人曰く「パン屋の娘」とのことだが… 。


  • ヘートヴィッヒ・マクスハイム
CV:岡村明美
貴族であるマクスハイム家の4女。不自由のない生活をしてはいるものの、退屈さも感じている。
登場人物のうちの何人かとは関わりがあり、ストーリー内で関わってくることも。
商談相手の1人。主な金の巻き上げ先


  • カスパール・ザイン
CV:岡田貴之
農家から成りあがった富豪。珍しいものに興味を示す。
商談相手の1人。


  • ドルニエ
CV:菅原正志
後のアカデミー校長。リリーやイングリド、ヘルミーナと共にザールブルグにやってきて一つ屋根の下で生活している。
各方面との交渉を主に担当している…ということで冒険には連れては行けない。
アカデミー建設の資金管理も行っており、彼に建設資金を全て渡すとエンディングとなる。
また、展覧会ではリリーの代わりに出場してもらうことも可能。ただし確実に合格できるとは限らず、特に5回目は確実に失格となる。
まぁ多忙な仕事の片手間に金を作れという方が無理難題か。


  • ヴィント・シグザール
CV:品川徹
シグザール王国の国王様。国の有力な産業が無いのが悩みで、展覧会を実施しているのはその産業を見つける意味合いが強い。
後に悩みの種となる息子はまだ生まれたばかり。
作中触れられることはあまりないが、この後隣国との戦争を控えているわけで何気に苦労の絶えないお方である。


  • ハインツ・マドック
CV:大塚明夫
酒場「金の麦亭」の主人。ゲームを普通にプレイしたら一番多く話しかけることになるであろう人。


  • ヨーゼフ・カロッサ
CV:大川透
雑貨屋の店主。ヴェルナーとは異なり、日用的な品をそろえた一般的な雑貨屋。
愛妻家でノロケ話をしてくる。
ただし彼との会話で適当に答えると後で痛い目を見る…かもしれない。


  • アイオロス
CV:室園丈裕
過去作品で名前だけ出ていた有名な画家。本作ではまだ売れる前で苦しい生活を送っている。


  • レオ・ブランデン
CV:伊井篤史
武器屋の主人。高齢だが後継者がいないのが悩みだった。
ゲームを進めるとゲルハルトに店を譲って引退、故郷のグランビル村で第2の生活を送るようになる。


  • ゲマイナー
CV:竹村拓
ストーリー中盤で登場する胡散臭い男。自称『錬金術士』だが、錬金術は使えない。
仕事を勝手に引き受けてはリリーの前に現れ、その依頼を丸投げする。しかも持ってくる依頼はその段階ではレシピはおろか名前も知らないレベルの高位アイテムばかり…当然断らざるを得ないのだが、街の人たちの評価が下がってしまう。*4
この迷惑行為を止めさせるには、彼に関するイベントを最後まで終わらせる必要がある。


追記・修正よろしくお願いします。

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最終更新:2025年08月10日 22:37

*1 一応エリーのアトリエでは最長9年プレイが可能だが、そのためには試験で落第する等の調整が必要、かつエンディングが固定されてしまう

*2 ちなみにここで留学を薦められている少女はエリーのアトリエのコミカライズ版のキャラであるサライ

*3 2回目以降の出場でも、例え過去にリリーが優勝していようとやはり杖は用意されていない。謎である。

*4 ウルリッヒもとあるイベントでとんでもない依頼をしてくるが街の危機がかかっているし断ってもやむを得ないということで評判は下がらない