ニャルラトホテプ(ペルソナシリーズ)

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&font(#6495ED){登録日}:2012/10/03 Wed 01:29:07 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 45 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){フハハハハハハハハハハハハッ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前たちはひとつ大きな事を学んだぞ。どうにも出来ないこともあるという、世の理をだ!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){私は、お前たち全ての人間の影だ。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){人間に昏き心がある限り、私は消せん。}} &sizex(6){&bold(){&font(#bf9000,#000000){這い寄る混沌の、最後の試練を受取れ!!}}}} &font(#ff0000){&bold(){※以下『ペルソナ2 罪/罰』のネタバレを含みます}} 『ペルソナ2』における全ての元凶にしてラスボス。『ペルソナ2』の過酷な展開は大体コイツのせい。 モチーフは[[クトゥルフ神話]]に登場する同名の邪神[[ニャルラトホテプ>Nyarlathotep]]。 ちなみに初出は前作『[[女神異聞録ペルソナ>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]]』である。 CV:山野井仁 #openclose(show=●目次){ #contents(){} } *【概要】 人類が共有する[[普遍的無意識>集合的無意識]]の&bold(){&font(#bf9000,#000000){ネガティブ}}な領域を司る存在にして、その領域そのものの擬人化。 主人公の導き手を称する&bold(){“人間の&font(#bf9000){&bold(){創造性}}の化身”}フィレモンとは対極にして表裏一体の関係にある&bold(){“人間の&bold(){&font(#bf9000,#000000){破壊性}}の化身”}。 そのフィレモンの言葉を借りるなら&font(#bf9000){&bold(){「悪魔のように&bold(){&font(#bf9000,#000000){残酷}}な自分」}}、登場人物の一人である[[天野舞耶]]曰く&font(#f09199){&bold(){「恐ろしく&bold(){&font(#bf9000,#000000){皮肉屋}}で、&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪意}}に満ちた、とても大きな存在」}}。 即ち人類が等しく共有する&bold(){&font(#bf9000,#000000){最悪}}にして&bold(){&font(#bf9000){必要不可欠}}の「&ruby(ペルソナ){仮面}」である。 劇中でちょっかいを掛けてくる際の姿は、『罪』では[[黒須淳>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]の父・明成。『罰』では七姉妹学園の制服を着た[[周防達哉]]。 ……が、共通して&bold(){&font(#bf9000,#000000){金色}}の瞳を持ち、表情は嘲笑がデフォな、本物とは色々かけ離れた悪人面をしている。 *【人格】 [[善悪問わずあらゆる存在を嘲笑し、他者を上から目線で否定して蹂躙する傲慢で卑劣な性格>ジニス(動物戦隊ジュウオウジャー)]]。 人心を知り尽くしたうえで尚、理想や可能性、絆といったものはおろか現実や妥協、孤独といったものまで、正も邪も誰かが尊んでいるもの尽くを無価値と断じ、その不完全さを証明するがごとき皮肉に満ちた策謀を張り巡らせては人々の営みを嘲笑う、底無しの悪意の権化である。 &bold(){&font(#bf9000,#000000){「日常や現実の破壊」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「革命の煽動」}}といった餌を撒いて人々を誘導し、自らの手で破滅の引き金を引かせるのがニャルラトホテプの常套手段。 [[現実に不満や絶望を抱いている人間達>ルサンチマン]]に「力」を与え、彼らの暴走が人々を感化するよう仕向けて、人類全体が破滅に向かうように促していく。 劇中では、人々の間に流れる「噂」を次々に現実化させることで世間を混乱の渦に陥れ、妄想と現実の境界をあっけなく見失っていく人々を嘲笑いながら、想いを実現させる人間自身の力で世界を滅ぼさせようとしていた。 ニャルラトホテプがクトゥルフ神話上において&bold(){「特定の姿を持たず、関わった者には叡智を授けるがその後確実に破滅をもたらす神」}であることを考えると、その本質をこれ以上なく言い表していると言える。 ちなみに、ニャルラトホテプの存在意義は、あくまでもフィレモンと同じく&bold(){「人の自己確立」}。 #openclose(show=本編での様々な策謀も、全ては人類が真に完全な存在になり得るかを測る「試練」であり、決して滅ぼしたり苦しめることが主目的ではないのである。){ ……こう言うと、あたかも[[人類のためを想うがゆえに敢えて悪役を演じる献身的な求道者>ツンデレ]]のように聞こえるかもしれないが、そんなことは全くない。 大事なことなのでもう一度言います。 #center(){&font(#ff0000){&bold(){そ ん な こ と は 全 く な い。}}} むしろコイツを最悪たらしめる大きな要因の一つがこの存在意義だと言って良い。 そもそもの問題として、コイツらの求める&bold(){「人の自己確立」}、真に完全な存在とは何かが、改めて考えるとものすごく無理難題である。 ざっと少し考えただけでも、善も悪も光も影も全ての価値観を何一つ否定せず統合し、しかもそこに一切の矛盾を生じさせず、更に如何なる変化にも決して揺るがない……現行人類としてはこう言わざるを得ないだろう。&bold(){「無茶振りも大概にしろ」}と。 そして、ネガティブマインドの化身であるコイツがそのために繰り出す「試練」こそが、&font(#bf9000,#000000){&bold(){あらゆる存在を嘲笑し、上から目線で否定して蹂躙する}}ことなのである。 つまり、否定と揚げ足取りをし尽くした果てに、(もしも人類がそんなものになり得るのであれば)真に完全な存在が現れる「はず」という、[[岩の角を削り続けて真球を作らんとする打岩の修行>烈海王(バキシリーズ)]]の如き論理。 または、&font(#bf9000,#000000){&bold(){「お前らのためにダメ出ししてやってるんですけど?」}} 当然のことながら、そんなトライ&エラーはいくらやっても足りる訳がない……即ちコイツの繰り出す試練には&font(#ff0000,#000000){&bold(){「キリがない」}}のだ。 そして、特に性質が悪いのは、この無茶な目的にもえげつない手段にも&font(#ff0000){&bold(){理がある}}ところ。 手段に関して言えば、&bold(){&font(#bf9000){「至らぬところの指摘を受け入れ、それを改めていく」}}こと自体は、確かに人がより良く生きようとするうえで必要なことである。試練こそが人を磨くというのもよく聞く言説であり、頷く人も多いだろう。 ニャルラトホテプの課す試練は、決してそこから外れるものではない。外れて見えるとするならば、悪意に支えられた徹底ぶりがあまりにも極端だからである。 目的に関しては、ポジティブマインドの化身であるフィレモンも同じ存在意義を持つという時点で何をかいわんや。 究極のネガティブとは即ち究極のポジティブとの表裏一体なのである。まさにズバリ言ってしまえば、&bold(){普遍的無意識の裏と表。} もっとも、きっかけを与えた後は人間を見守るというフィレモンとは違い、ニャルラトホテプは&bold(){積極的に人間を悪意に晒し奈落に引きずり込む。} また、ネガティブマインドの化身であるコイツは、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「結果が全て」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「実らない努力は只の徒労」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「頂点以外は底辺と同じ」}}といった、あちこちでよく聞くような意識高い系の論理の如く、過程を一切評価しない。 主人公たちがどのように成長しようとも答えを得ようとも、人類が真に完全な存在になっていないという時点で、コイツにとっては[[等しく無価値>ハートマン軍曹]]な過程に過ぎないのである。 トドメに、&bold(){「人の保全・守護」にも一切興味がない}ので、人々が自己を確立できずに破滅しようとも、それを皮肉って嘲笑う始末。 如何にすれば人の神経を逆撫で、激昂させ、絶望に叩き落とせるかを熟知しているので、[[煽る時のイキイキっぷりは相当なレベル>第六天波旬]]。 } 人の[[心が抱える暗黒面そのもの>ペルフェクティオ]]であるため、完全に消滅させる手立ては&font(#ff0000){&bold(){人の心から影がなくなること}}以外にない。 しかし、光がある限り必ず影は生じるので、こいつが出てきたら片っ端から叩いて引っ込ませるというモグラ叩きをするしかない上に、何度倒しても人が人である限り滅ぼすのは不可能。 #openclose(show=人が人として存在する限りニャルラトホテプもまた文字通り不滅であるため、否応なく共存していかざるを得ないのである。){ と言うか、実際のところはこの表現でもまだ充分ではない。 この説明だけだと、人が人である限りコイツが存在し続けるのは不可避なものの、コイツ自体はひたすら害悪なだけの不要な産廃であり、[[存在してはならないもの>鬼舞辻無惨]]かのようであるが、実はそうではない。 冒頭でも触れたとおり、コイツは人が人であるために&bold(){&font(#bf9000){必要不可欠}}の「&ruby(ペルソナ){仮面}」なのである。 何もかもを破壊し否定するということは、良きものを破壊し否定することであると同時に悪しきものを破壊し否定することでもある。 むしろ、忌み嫌い恥じるべき対象としての"&bold(){&font(#ff0000,#000000){罪}}"、怒り憎み抗うべき対象としての"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"という観念はコイツの存在によって生じていると言っても良い。 "善"そして"[[正義]]"と呼ばれる概念のうち、良いと思うものを尊び肯定する心がフィレモンによるものだとすると、悪いと思うものを忌み否定する心はニャルラトホテプによるものと言える。 平たく言えば、人が持つ正義感や良心の根源(少なくともそのうちの欠かせない一つ)でもあるということ。 コイツの存在が無ければ、人は現在"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"と認知している諸々の事柄も"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"と認知できず全て無批判に受け入れ肯定し、ただ流されるだけの存在になり果ててしまう。 悪だと思うものを否定しなければ人は自ら正しいと思う道に立てないし、[[新たなる創造は既存の何かを破壊しなくては成しえない>芹沢達也]]のだ。 『罰』終盤においてコイツは[[自らを為す三つの毒>仏教]]として「&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}」「&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}」「&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}」を挙げた。 それらこそがニャルラトホテプを織り成す根源であることは紛れもない真実である。 しかし、一方で「&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}」がなければ、人は&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}に対抗できない。 「&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}」を知らなければ人は何も知ろうとはしない。 「&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}」が無ければ人は何事も成そうとはしない。 自らの&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}を知る『罰』の大人たちと[[一人の少年>周防達哉]]は、敢えて&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}と&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}を身に宿したままコイツとの最終決戦に挑み、そして自らと世界の未来を勝ち取った。 その詳しい顛末は後述するとして、この一連の流れを別側面から見ると&bold(){"影、そしてその化身であるニャルラトホテプは、決して光が存在するための代償として受け入れねばならない害悪などではなく、それ自体が人が人であるために必要な存在である"}ということである。 そして、自らをも嘲笑うニャルラトホテプは、自らに抗しようとする者たちに自らの司る負の領域を&bold(){&font(#bf9000,#000000){不要な害悪}}だと認知し断じさせるように、喜悦さえ交えながら精力的に煽動する。 あたかも影の存在を認めて乗り越える「影の受容」を勧めているかのようだが、その実は影の持つ意義を否定させる「影の拒絶」の煽動に他ならない。 コイツとフィレモンが生じた事が人を人たらしめた原因なのか、それとも人が人になった結果としてコイツらが生じたのか、それは分からない。 ただ、確実なのは人が人として紡ぐ営み全てとコイツらの存在及び所業はどこまでも不可分であるということ。 つまり、仮にコイツを完全に滅ぼそうと思うのならば、&bold(){世界から人と呼び得る心の持ち主全てを残らず皆殺しにして消し去る}しかない。%%別に人類全てがあらゆる矛盾を超克した完全な存在になるんでも構わんけどな!なれるもんならな!%% そして、コイツの『罪』『罰』本編での&bold(){&font(#bf9000,#000000){腐ったドブ泥のような所業}}全ては&font(#ff0000){&bold(){この自らの人にとっての&bold(){&font(#bf9000){必要性}}を知りぬいた}}うえで効果的に矛と盾として駆使したものである。 厄介ってレベルじゃねえぞ! } これらの性質故に&font(#ff0000){&bold(){「ペルソナシリーズ最凶最悪の愉快犯」}}とも称される。 *【能力】 作中では[[&bold(){「噂が現実化する」}現象>ワラキアの夜]]を発生させている。 コイツの仕業で、珠閒瑠市は強い想いが実現する普遍的無意識の領域と混ざり合った異界と化した。 その影響範囲及び強制力は凄まじく、どんな荒唐無稽な事象でも珠閒瑠市で噂として広まりさえすれば確率はもちろん因果関係をも無視して具現化し、地球全土はおろか&bold(){天体現象}にさえも干渉可能。 さらに、&bold(){&font(#ff0000){「神話」や「伝説」までも、昔から人間が伝えてきた「噂」として扱っているため、現実化の対象内}}となる。&s(){確かに言われればそのとおりなのだが、その解釈スケールの飛躍はちょっとズルくないです?} 噂は悪魔の間で流れるものでも現実化可能だが、これは『ペルソナ2』における神や悪魔が普遍的無意識(人の心の中)から生み出された存在である事も影響していると考えられる。 化身の一柱である%%ヒトラー%%フューラーは、その絶大な権能を&font(#38761d){&bold(){「運命を嘲笑うニャルラトホテプの力」}}と評した。 #openclose(show=源が「噂」であるが故に『真実から生まれた噂』なのか『噂から生まれた真実』なのかさえも判別が不能。){ 実は、プレイヤーの神の視点で見たプレイ範囲での出来事に限っても、よくよく考えると果たして本当に噂の現実化によるものなのか、そうだとしてどこにどの程度影響を与えたのかはっきりと断言できない事象が幾つかある。 代表的なものは『罰』の中盤、鳴海区壊滅と共にオシャカになった店舗の営業再開。 フランス料理店「クレール・ド・リュンヌ」と宝石店「パパラチャ」の2店舗は、プレイヤーが「それぞれ青葉区と港南区で営業を再開したらしい」という噂を流すことによって本当に営業を再開させることができるのだが、実際には何が起きていたかによってその事象の裏にある真実が変わってくる。 ・①実は、両店舗の店主が鳴海区壊滅に巻き込まれて死亡していた場合→後述のルールにより、&bold(){営業再開後の彼らは物語中盤までの本人ではなくニャルラトホテプの化身}という事になる。要するに伯爵や神取のお仲間。 ・②店主たちがエボニーのバーテンさんのように事前に脱出していた、又は壊滅に巻き込まれはしたものの命だけは助かっていた場合→店主たちは紛れもない本人であり、噂の現実化は「突然現出した新店舗」「店主の大怪我の完全治癒」といった諸々の不思議とそれを不思議と思わせない認知の操作部分に影響したことになる。 ・③店主の生存どころかどう見ても早すぎる営業再開にも噂の効果は関わっていない→勿論のこと可能性としては極めて低いが、実は絶対にあり得ないとは言い切れない。偶々彼らが店舗の移転や2号店の出店を秘密裏に進めており、不屈のバイタリティで以って既に概ね完成していた新店舗で営業を再開した……という可能性である。この場合、プレイヤーが流した噂は只の事実を後追いで流布したに過ぎないことになる。 そして、実際に何が起きたのかはゲーム中では一切語られないので、主人公である[[天野舞耶]]達一行はおろかプレイヤーにも分からない。探すと他にもこういったケースはちょくちょくある。 } 人格や行動などにも影響し、基本的に人類がこの力に抗うことはできない。 加えて、この力の本質は人々の「願う心」よりも「信じる心」の方にあるので、噂の内容に反発心を抱いたりこんな現象の実在を知ったりしたらそれはそれでドツボに嵌まりかねないステキ仕様。 『罪』の終盤に流れる地上滅亡の噂を例にとると、 ・自分らを選ばれし者と称して滅亡の到来を望む連中 ・「何とか地上滅亡を止められないのか」と悩む心ある人たち ・「噂が現実化している」という真実を知る主人公たち の全てが&font(){&bold(){「マイヤの託宣が成就すれば地上が滅亡する」と認知することで、その現実化に加担してしまっている}}。どうしろと言うんだ。 ただし完全無欠の力というわけではなく、ある程度「噂」が拡散しないと効果が発揮されず、荒唐無稽な内容ほど「噂」と呼べる規模まで広めるために周到な下準備が欠かせない。 #openclose(show=即ち、「成立までに時間と手間がかかる」という欠点を抱えている。){ もっともこの欠点にさえも先入観の罠があり、確かに時間も手間もかかるのだが、それは必ずしも「噂として広まっていくのに時間がかかる」ことを意味しない。 つまり、「街で囁かれる噂に対してアンテナを張っておけば事前に察知できる」とは限らないのだ。 作中の例を取ると、『罰』で噂の現実化を利用する敵組織・新世塾は、 ・&bold(){JOKER事件による社会不安の醸成} ・&bold(){カリスマ占い師「ワンロン千鶴」という“インフルエンサー”の創出} といった下準備には月単位の膨大な時間と大量のリソースを費やしているが、両者が揃ってからの&bold(){&font(#ff0000,#000000){「JOKER呪いをした者がJOKERになる」}}という「噂」はワンロン千鶴のTV番組での発言後、ほぼ一瞬で広まりきっている。 ここで言う「噂」の本質は伝言ゲームそのものではなく、それによって生じる各人の認知であるため、ある発信を不特定多数が同時に受け取り認知してしまえばそれで現実化すべき「噂」として成立してしまうのだ。 この瞬間的な情報の拡散は、SNSが発達を遂げた現在の方がむしろイメージしやすいだろう。所謂「バズる」とか「炎上」とかいうやつである。 そして、不安と欲望と混乱の拡散が流れに乗ってしまえば最後、爆発的かつ連鎖的に影響が伝染し続け、妄想による現実の侵食を食い止める事は不可能となる。 } その他の欠点としては、「噂」でさえあれば現実化の対象がほぼ無差別で、敵対者(主人公)にとって有利に働く噂さえも現実化してしまう点が挙げられる。 後述の"伯爵"のような化身を見る限り、そういった影響さえもニャルラトホテプの愉悦のスパイスに過ぎないのだろうが。 ちなみに、フィレモンが弱体化し例え消滅しようとも&bold(){コイツには影響がない}。 何このチート。 **&bold(){&font(#ff0000,#000000){シャドウ}} #center(){&bold(){&font(#ff0000,#000000){感じるぞ…お前と、もう1人のお前を。}} &bold(){&font(#ff0000,#000000){俺はお前の影…見ることはできても消せはしない}}} ニャルラトホテプによって具現化した、主人公勢の多重存在。 邪悪で攻撃的な笑みと&bold(){&font(#ff0000,#000000){怪しく輝く赤い瞳}}が特徴。 『罪』では、&bold(){「周防達哉ら5人は仮面党のテロリスト」}という噂に対抗して&bold(){「周防達哉ら5人はテロを止めようとしている正義の味方」}という噂を流した結果、前者がシャドウとして現実化した。 続編の『罰』では、終盤ニャルラトホテプの仕掛けるゲームの駒として召喚され、パーティメンバーの心を揺さぶってくる。 ついでに、引っ掛け問題でプレイヤーの心も揺さぶる。((それまでのメンバーの発言等をよく鑑み、その心情を慮れば正解出来るようになっている。安易に「お約束の展開」や「その逆張り」で読み解こうとしてしまうと、後になるほど引っ掛かりやすくなるので注意。もっとも正解しなくともボス敵の強化以外にゲーム的なデメリットはなく、また正解にはない味わいがあるので、敢えて選んでみるのも一興かもしれない。)) また、『罪』のシャドウは噂によって「本体の偽物」という設定も与えられているので、本体がシャドウを否定したままでも倒せるが、一方では&bold(){本体不在のまま他者がシャドウを否定し打倒した場合、本体が廃人化する}という特性も持つ。 この特性は、『罰』で折に触れて示唆される&bold(){&font(#bf9000,#000000){「光がそうであるように、影もまた人を人たらしめるうえで必要な概念である」}}ことの一端を示している。「光」が差せば「影」は必ずどこかに生じ、「影」がなければ差す「光」も無いのだから。 ニャルラトホテプの影響をダイレクトに受けているためか、総じて行動がニャルラトホテプらしさ全開。 [[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]達が&bold(){「各人の最も隠したい内面の化身」}であったのに対し、こちらのシャドウは&bold(){&font(#ff0000,#000000){「各人の抱える負い目を冷笑する己の暗黒面の化身」}}である。 隠したがっている本音を巧妙な煽動を交えて暴露するのみならず、本体に&bold(){「自らが犯した過ちの認知と清算」}を迫る彼らは、サブタイトルが示すとおり主人公らの&bold(){「}&bold(){&font(#ff0000){罪}}&bold(){の意識」}や&bold(){「自}&bold(){&font(#ff0000){罰}}&bold(){感情」}の具現化とも言える。 そんな彼らを倒すと、倒された事実に驚愕したり己を倒した本体を称賛(!)しながらも、&bold(){「これで終わったと思うなよ」}という忠告とも脅迫とも取れる捨て台詞を吐きながら消えていく。 如何にも悪辣極まりない歪んだ心の具現といった風情だが、実はこれも[[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]達が倒された後で各人のペルソナに変じる事と示す意味は一緒だったりする。 &font(#000000,#ffdc00){&bold(){「己の影と向き合う強い心がシャドウをペルソナとなす」}}ことの裏を返せば、&bold(){&font(#ff0000,#000000){「己の影と向き合いきれなくなったとしたら影はいつでも再び牙を剥く」}}ということ。 影は、今も変わらずそこにいるのだ。 #center(){&bold(){&color(Deepskyblue,#000000){アンビリーバボー……バット、これでジ・エンドじゃない……ボクはいつでも、キミを見ているぞ……!}}} #center(){&font(#ffdc00,#000000){&bold(){分かってると思うけど、これで終わりじゃないからね。光は影と、影は光と離れられはしないんだ……}}} #center(){&bold(){&font(#ff0000,#000000){俺に勝っても影は消せない。影はどこまでもお前に付き纏う。それを忘れるな。}}} また、「仮面党の幹部」という設定に沿って仮面党の終末思想を礼賛するなど、他人の想念によって人物像を歪められている点も[[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]と共通する。 ただし、なまじ歪められているのが明らかであるからこそ、&bold(){それを拡大解釈させてシャドウの言動の全てを嘘っぱちと片付けさせてしまう}という心理的な罠として利用しているのが、ニャルラトホテプのえげつないところ。 主人公たちがまだシャドウという概念にも明るくない、『罪』『罰』を通して最初のシャドウ戦であるシャドウ舞耶戦では、本人を含めた全員がシャドウの全てを偽物と否定し、強迫的とさえ言える前向きさの裏側にある厭世感から目を逸らしてしまった。 &bold(){「憧れのお姉ちゃんの昏い影」}と&bold(){「彼女だけがそれと向き合えていない」}という見たくもない真実を覆い隠す煙幕として&font(#ff0000){&bold(){「10年前に犯した罪に向き合う決意」}}と&font(#ff0000){&bold(){「大切な絆を取り戻した再会の感動」}}を利用した所業は、「嘲笑う者」の面目躍如と言える。 このように、『ペルソナ2』におけるシャドウの最も厄介な特徴は、&bold(){本体だけでなく本体の親しい関係者を積極的に巻き込んでくる}こと。 これにはペルソナ能力の有無は問われない。 本体が他者と関係を築き上げた後にシャドウが登場することも相まり、巻き込まれた者たちも&bold(){&font(#bf9000,#000000){「親しい者の知りたくなかった影を受け入れられるか否か」}}を否応なしに試され、また暴露されることになる。 『ペルソナ2』における影との対峙は本体だけの問題ではなく、&font(#ff0000){&bold(){その場にいる者全てが試される試練}}なのである。 ・&bold(){&font(#ff0000,#000000){リバース・ペルソナ}} シャドウ達が保持する専用ペルソナ。 皆、本体の後期専用ペルソナに対応した外見を有する……というより本体のペルソナの色違い。 能力も本体の後期専用ペルソナとほぼ同等。 専用ペルソナを降魔した状態で彼らとの戦闘に勝利すると、光陰双方に耐性を持つ完全な姿となる((耐性変化は戦闘終了時に専用ペルソナを降魔していれば発生するが、開始時にも降魔していれば、ペルソナ同士の専用会話も見られる。))。 ***&font(#bf9000,#000000){&bold(){メタル}} シャドウの亜種存在。 登場人物が負の感情を向ける人物の姿を形どった見た目で現れるシャドウで、赤く光り輝く目と全身が黄金色の金属でできている不気味な外見が特徴。 名前は&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・〇〇」}}と付けられる。 登場したメタルは、 ・[[栄吉>三科栄吉]]が抱く強権的かつ暴力的な父親像への恐れが生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・ダディ」}} ・淳が抱く母親に捨てられた過去への悲しみが生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・マム」}} ・達哉が抱く親友たちへの罪悪感が生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・フレンズ」}}((メタル・リサ、メタル・栄吉、メタル・淳の3体セット。))。 の3種。 このメタルは、狭義の設定で言えば「シバルバー(アメノトリフネ)を構成する金属が思考を現実化させる性質によって変形したもの」だが、「自分自身ではなく自分の負の感情を投影した他人の姿をしたシャドウ」という広義の意味合いだと、その類似存在はシリーズを通して散見される。 例えば、『罰』のスマルTVで登場した「ストーカー」と「ピアスの少年」は、それぞれエリーの「一方的で身勝手な好意」を向けられた"恐怖"と自分の恋心も「一方的で身勝手な好意」なのではないかという"不安"から生み出されたもの。 また、漫画版『女神異聞録ペルソナ』において、迷いの森で分断された一行の前に現れた「%%イチャコラしながら%%マークをイイ人()扱いする尚也と麻希」「ブラウンの保身を見透かしてバカにする仲間たち」「南条くんの偏見と孤独感に共感してみせる神取」も、仲間たちや神取の秘めた無意識ではなく、それぞれマーク、ブラウン、南条くんの心が生んだメタルと言える。 *【対抗策】 正真正銘の不死にして不滅という特性、狡猾で悪辣極まりない思考回路、天体の動きさえも意のままに操り得る能力……。 正しく理不尽そのものであるニャルラトホテプを制す方法だが、実はワイルドのような特別な資質も、ペルソナ能力すらも必要ない。 それは&font(#ff0000){&bold(){「辛い現実や真実から逃げず、全てを受け入れた上で、なお諦めない」}}こと。 人であれば誰にでも出来うることであり、それ故にニャルラトホテプ相手には特別な資質や能力は無意味と化す。 もっとも、実際にその境地に辿り着くのは並大抵のことではない。 理想、夢、希望、可能性、絆といった「光」を手に入れて成長することで、「自身は『影』を受け入れ克服できた」と自認する者には打倒は不可能。 #openclose(show=何故ならそれは、打ち克ったのではなく、「影との戦いに終わりはない」という『現実』から目を背けただけだからである。){ もっと言えば理想、希望、絆といった事象を「光」、対して妥協、絶望、孤独といった事象を「影」とする二元論な区分け方自体が、既に&bold(){影からの逃避}とさえ言える。 この世に完全なものなどない以上、例えば絆にも負の側面はあり、孤独にも正の側面はある。絆にも孤独にも等しくニャルラトホテプは潜んでおり、フィレモンは宿っているのだ。 ニャルラトホテプとフィレモンの関係を示す「表裏一体」という言葉においては「表裏」が主に強調されるが、同時に「一体」でもある事を忘れてはならない。 ニャルラトホテプは決して「絆(そして孤独)に敵対するもの」ではなく、むしろ&bold(){「絆(そして孤独)そのものの負の半面」}なのだ。強いて敵対者という観点でコイツを表すのであれば「絆にも孤独にも生にも死にも真実にも隠蔽にも叛逆にも怠惰にも……、とにかく全てに等しく敵対するもの」である。 故に、[[この手の悪役の様式美>魔族(スレイヤーズ)]]とも言える[[&bold(){「負の感情から生まれた闇や影こそが偽りなき真なる存在である」}という様なイデオロギー>漏瑚(呪術廻戦)]]はコイツには存在しない。 コイツにとっては闇や影や虚無(つまりは自分自身)さえも弄び、罵倒し、嘲り、否定する対象でしかないのだ。 低きに流される怠惰さや[[真実を覆い隠さんとする望み>イザナギ(ペルソナ4)]]、[[死へと惹かれる衝動>ニュクス・アバター]]と同様に、理不尽への反骨心や真実を求める使命感に生の意義の証明、それらの根幹を成す人と人とのかけがえない絆の全てを自らの一部とし、&bold(){&font(#bf9000,#000000){それら全てを等しく自らの手管として弄ぶ様}}は、後のペルソナシリーズでのメインテーマたちに対する最悪のアンチテーゼ的存在とも言える。 ニャルラトホテプと対峙する者は、 #center(){&font(#ff0000){&bold(){ニャルラトホテプが紡ぐ悪意が生み出す過酷な『現実』や『真実』から目を背けて都合の良い夢物語に逃げず、}}} #center(){&font(#ff0000){&bold(){過酷な現実や世界の無常さと真正面から向き合った上で、それでもなお現実に立ち向かえるか?}}} という逃げ道のない究極の試練と戦わねばならない。 まとめると、&bold(){コイツが際限なく繰り出す悪意の塊みたいな試練の全てを受け止めて、折れず腐らず抗って生きる}ことが、対抗手段です。 『罰』の最終決戦において、大人たちは「(コイツの説く)運命は後出しの予言と何も変わらない」と諭して達哉をその嘲笑が煽る自己否定から立ち上がらせ、打倒後の&bold(){&font(#bf9000,#000000){「人間がいる限り私は消せん…!」}}という捨て台詞に対しても&font(#ff0000){&b(){「お前の居場所がここ(人々の心の深奥)だってことは覚えていてやるから、さっさと消えろ」}}と返している。 これは単に口喧嘩で勝った等という事では勿論ない。ニャルラトホテプというあまりにも巨大な&bold(){影の存在のみならず、その意義までもを否定せず認め受け入れた}からこそ出せた啖呵である。 真の意味で「自らのシャドウを認めて受け入れる」行為とは即ち、自らを含めた人類全てのシャドウである&bold(){「ニャルラトホテプを認めて受け入れる」}ことに他ならないのだ。 } という訳で、ただの居直りでは影の試練から目を背けて逃げただけにしかならず、その事はニャルラトホテプも熟知しているので、狡猾極まりない策を練ってはあの手この手と搦め手を使って陰湿に揺さぶりをかけてくる。 故に攻略は非常に困難。「試練」の名は伊達ではない。 おまけに、そこまでしてこいつの「試練」を乗り越えても、&bold(){&color(#ff0000){その先に待っているのが明るい大団円とは限らない。}} 繰り返しになるが、&bold(){全てを受け入れた上で諦めない心}とは、その場限りな口先の応酬で示すものではない。 達哉が『罰』のエンディングで滅亡した向こう側に独り帰還したように、例え先に待つのが過酷な宿命であっても目を背けず生涯を掛けて向き合い、前に進んでいくことで示し続けるしかないのだ。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){影は見ている……ずっと。ずうっと……}}} *【各作品での行動】 **◆[[異聞録篇>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){フフフ…道に迷いし愚かな男よ…}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){汝が欲する力とやらをくれてやろう}}} この頃は『ペルソナ2』時のような表立った暗躍は行っておらず、事件の首謀者である神取鷹久が有するペルソナとして登場する。 しかし主人公たちとの決戦の最中に暴走し、逆に宿主である神取を乗っ取ってしまう「危険なペルソナ」として描かれた。 この時の見た目はのっぺらぼうの黒い悪魔のような姿。 神取戦後にドロップされる封神具「無貌の仮面」を使用して召喚すると何とペルソナとして行使できるが、彼の異母兄弟にあたる[[城戸玲司]]しか降魔できないので、それ以外のキャラを5人目のメンバーに選んでいると要らない子になってしまう。 **◆[[罪世界(向こう側)>ペルソナ2 罪 -INNOCENT SIN.-]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クク…誰でも夢を叶える権利があるか…。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){最後まで幻想に縋り、自分と同じ名の女を捧げた。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){これが、この女の夢だ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){それに免じて、お前たち人間が望んだ、滅びの夢を叶えてやろう!!}}} 『罪』における姿は&bold(){「黒須淳の理想とする父親像」}。 ニャルラトホテプは、淳の本物の父親が死んでから『罪』が始まるまでの10年もの間、淳の理想の父親のフリをして彼を養育していたのである。 淳が歪んだ想い出に踊らされていたのも、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶は達哉たちが社に閉じ込め、放火して殺した」}}とコイツが吹き込んだことが原因。 なお、実際の放火犯はみんな大好き電波っぱこと&font(#ff0000){須藤竜也}。 達哉はこいつに刺されて重傷負うわ、舞耶も生きてはいたものの須藤のせいで大火傷を負うわで散々な目に遭っている。 淳の&bold(){「お姉ちゃん(舞耶)のように夢を与える存在になりたい」}という願いを利用し、「他者の理想を叶える存在」[[ジョーカー>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]に仕立てあげる。 そしてジョーカーに率いさせた仮面党を裏から操り、シバルバー浮上と託宣成就に必要とされるイデアルエナジーを収集。 それと並行して、噂によってラスト・バタリオンを自らの化身として具現化させ、混乱をさらに加速させる。 淳が達哉らと激突した際には、力を望む息子に&bold(){&font(#bf9000,#000000){「天使と呼ばれた者にふさわしい力」}}を与えてエンジェルジョーカーに変貌させた。 淳が敗れた後は、自身に反目した彼からジョーカーとしての力と権限・ペルソナ能力を剥奪し、残存する仮面党員と達哉らのシャドウを配下に据えて本格的な暗躍を始める。 特に珠間瑠市地下に埋まるシバルバー(アメノトリフネ)内は独壇場で、&bold(){「この存在の噂を信じていた、珠間瑠市の住人全員が共有する普遍的無意識の世界の一部」}であり、悪い方向性の思考が優先的に現実化するのはニャルラトホテプの性質の具現化か。 舞耶が&font(#f09199){カニ缶}のことを考えた時に一つだけ降らせたのは、恐らくおちょくっていたか遊んでいたかのどっちか。 そして%%ヒトラー%%フューラーが倒されると、シバルバーの果てにある普遍的無意識の世界で対峙。 この時、ようやく自分の両親が死亡していることに気付きショックに打ちひしがれる淳に、ここぞとばかりに淳の願いの矛盾と、彼の願いによって街が大混乱に陥ったことを嘲笑った。 そして淳の両親を惨殺し、PTメンバーの父親をゴタ混ぜにしたような怪物&bold(){&font(#00ff00,#000000){『グレートファーザー』}}として立ち塞がる。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){ここは私の世界だ。私がお前達の存在を抹消しようと思えば、指一つ動かさず、お前達は消え失せる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){勝ち目が無いと知った上で、それでも私に挑むのか?それも矛盾だ…}} &font(#f09199){&bold(){負けることなんて考えてたら、夢も未来も掴めないわ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){よかろう…父の務めとして最後に少し遊んでやる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の持てる全てで、未来とやらを掴んで見せろ!}} &bold(){僕らの未来}&font(#ffdc00){&bold(){は自分で}}&color(Deepskyblue){&bold(){決める!}} &font(#f09199){&bold(){誰の好きにもさせはしない!}}} そして激戦の末にニャルラトホテプは敗北。 #openclose(show= 達哉たちの示した人の可能性を静かに認め、こうして全ての戦いが終わる……){       &sizex(5){&bold(){訳がなかった。}} 直後。 背後から現れた七姉妹学園の教師・岡村真夜がオリジナルの[[聖槍ロンギヌス>ロンギヌスの槍]]を手にとって舞耶の身体を貫き、彼女を&bold(){殺害}。 舞耶の死を以てマイヤの託宣が成就してしまい、彼女の&font(#f09199){&bold(){「誰でも夢を叶える権利がある」}}という言葉を逆手にとって、全人類が無意識に願う破滅願望を叶えることで世界は&bold(){シバルバーに載った珠間瑠市を残して崩壊した。} 崩壊した世界の中で浮島のように孤立した珠間瑠市も、&bold(){ライフラインの寸断等によって遠からず滅ぶ}ことが『罰』で示唆されており、ある意味『[[if>真・女神転生if...]]』から連なる&bold(){「IでICBMが発射されなかった」世界そのものに終止符を打った。} この段階に至ってさえも、あくまで&bold(){&font(#bf9000,#000000){「人の願いを叶えただけ」}}というスタンスを崩さず、敢えて自分で手を下さないあたりはとことん性悪。 絶望に打ちひしがれる達哉たちに、フィレモンは夏祭りでの出会いそのものを回避することでの『達哉たち5人が交わることがなかった世界(パラレルワールド)』の創造を提案し、達哉たちはそれを承諾した。 この時、達哉だけが&font(#ff0000){&bold(){「忘れたくない…忘れられるものか」「行かないでくれ…独りにしないでくれ」}}と忘却を拒んだ結果、『罰』の世界に綻び(特異点)が生じてしまった。 しかし、その拒絶は前述の「まやかしの希望に縋らない」という条件を辛うじて守る形ともなり、ニャルラトホテプに再戦を挑む権利へと繋がった。 物事のポジティブとネガティブは常に表裏一体であり、完全なポジティブも完全なネガティブも存在しないという摂理がここでも働いたと言える。 ちなみに岡村真夜が舞耶を殺したのは&font(#ff0000){&bold(){「元々自分が生贄になる予定だったが、偶然舞耶が同じ名前だったから」}}。 または&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶が同じ名前だからあいつでもいいんじゃね?」}}とでも吹き込まれた可能性もある。 そもそも、岡村真夜の望みは託宣の実現であり、橿原が正しかったことの証明である。が、自分の死によって成就されるとあっては、本当に正しかったかをその目で確かめることができない。 つまり、元々彼女の願望は文字通り致命的な矛盾を抱えていた。その矛盾を解決する手段として、別の「マイヤの乙女」が死ねばいいというプランは自発にせよ吹き込まれたにせよさぞ渡りに船だったと思われる。 ニャルラトホテプはおそらく水晶髑髏争奪戦辺りでこのプランを発想していたと思われる。 どういうことかというと、「1人では相反する願望の解決手段として、別の誰かを用意すればいい」という方法は&bold(){シャドウという形ですでに実施されていた}からである。 そうすると、シャドウたちの出現は「岡村真夜という相反する願望の持ち主の解決手段は、別の人間に代行させることである」というヒントになっていたと考えることができる。 &bold(){絶対に気付かないと分かってただろうがな!} 「やれやれ、折角私が手の込んだヒントをその身に叩きつけてやったというのに、気づかないとは愚かなことだ」とか絶対言ってる。 何よりも空恐ろしいのは彼が世界を滅ぼすツールとして用意したマイヤの託宣の、最後の一節&bold(){「そして、刻は繰り返す」}。 何が恐ろしいかというと、この一節は世界の滅亡を示すくだりである「後に残るは地上の楽園」の&bold(){さらに後}に記されているのである。 つまり、&bold(){託宣が成就して世界が滅び、その上で達哉たちが因果のリセットを選ぶところまで完璧に見透かしていた}ということで、この予測は見事に的中し、結果フィレモンは後手に回る羽目になった。 } **◆[[罰世界(こちら側)>ペルソナ2 罰 -ETERNAL PUNISHMENT.-]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クックックックッ…}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){どうだ、周防達哉!? 罰は気に入ったか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){一緒に戦ってくれなどと、言えるわけがないな?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){この世界が滅びに瀕しているのは、全てお前のせいなのだからな!!}}} 『罪』世界(向こう側)と意図的に分岐させられた『罰』世界(こちら側)とは普遍的無意識の世界を通して繋がり、ニャルラトホテプはこちら側にもちょっかいをかけ始める。 真っ先にちょっかいをかけたのは、相も変わらず森本病院にぶち込まれて強制ヒッキーライフを送っていた&font(#ff0000){須藤竜也}。 こちら側でも父親の英才教育による精神的過負荷ででんぱっぱーとなっていた彼に「電波」として向こう側の存在を囁き始め、結果的に竜也は向こう側の記憶を取り戻すことはなかったものの「こちら側は間違っている」と行動を開始した。 その直後、舞耶との再会によって生まれたデジャ・ヴュから特異点であることを自覚し、ニャルラトホテプの存在と目的を察知した達哉へ名状し難い神話生物を差し向けて弄び始める。 父親の率いる新世塾の噂操作によって[[依頼されて人を殺すJOKER>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]の力を与えられた竜也は、向こう側の展開を再現すべく行動していたが、空の科学館で死亡。 皮肉にも、その最期までも向こう側で辿った末路と酷似していた。 当時拠り所のない達哉にとって数少ない頼れる存在だった宮代詩織も、彼が須藤に与えたJOKERの力によって歯車を狂わされた。 しかも、己の弱さを認めた上で死んだ神取鷹久(&font(#800080){ご丁寧にペルソナはニャルの化身})を蘇らせ、達哉たちにぶつけてくる((ゲーム上では、南条ルートの場合のみ海底遺跡で直接対決する。))など、行動はより陰湿になっている。 神取もそのことを理解しており、海底神殿で[[南条くん>南条圭]]から差し伸べられた手を払い、&bold(){「因果の鎖を断ち切れるかな」}とニャルラトホテプの討伐を遠回しに託した。 本格的に表立って動き出すのは終盤、ラストダンジョンのモナドマンダラ。 こちら側は「達哉たち5人の忘却」((向こう側ではリセット前に死亡していた舞耶は純粋にこちら側の存在なのだが、この条件の趣旨は「向こう側で育んだ仮面党の絆を永遠に手放す」ことなので、舞耶の忘却もカウントされる。))を絶対的な前提として存在する可能性世界。 忘却を誓った4人(と舞耶)の全員が思い出すと前提が成り立たなくなって崩壊してしまうという性質を利用し、栄吉・リサ・淳の3人を人質に取り「ゲーム」を仕掛けてくる。 要約すると&font(#ff0000){&bold(){「各部屋で正しい選択肢を選ばなければシャドウ強化。間違った選択肢を選びすぎると記憶を取り戻す。3人とも思い出すと世界消滅」}}というもの。 うらら&克哉のシャドウが揃って強化されれば栄吉が思い出し、パオフゥ&舞耶のシャドウが強化されればリサが思い出してしまう。 こうして、達哉という特異点によって既に消失寸前まで追い込まれていた世界に止めの一撃を放とうとしていた。 その最終決断をも達哉に投げ渡す当たり、フィレモンの影としての悪辣さがこれでもかと滲み出ている。 なお、全てのシャドウが強化されると最終戦の前座である&bold(){&font(#00ff00,#000000){『月に吼えるもの』}}が最強段階まで強化される。 &font(#ff0000){ハルマゲドンで一発とか言っちゃダメ} 全ての試練を突破し、モナドマンダラ最深部から普遍的無意識の世界に到達した達哉たち一行の前に顕現する。 #center(){ &bold(){&font(#bf9000,#000000){クック…虫のいい話だな?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){辛い事は仲間に押し付け、自分だけは記憶を持ったままでいたいなどと…許しがたい大罪だ}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){罪には罰を下さねばならん。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だから、その女と再び出会う機会を与えてやった。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){仲間達とめぐり合う運命を紡いでやったのだ。}} } プレイヤー視点からも&bold(){&font(#ff0000){「運命」}}的な導きに思えた、『罪』の仲間たちが見守る中で、2人が「再会」する『罪』のエンディングにして『罰』冒頭のシーンさえもが自分の仕込みだったと嘯き、その時の達哉の表情を&bold(){&font(#bf9000,#000000){「最高の見世物だったぞ」}}と嘲笑い、怒りを見せる舞耶にも余裕の表情を崩さない。 #center(){ &bold(){&font(#bf9000,#000000){私が憎いか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){しかし、それもお前達人間が望んだことだ。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の心の底にある滅びの渇望…それが私だ!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){影は、運命に逆らう者を決して許さん。}} } 過去の仲間たちとの絆を利用した策謀の真相を告げながら、「向こう側」での達哉の『罪』を嘲笑い糾弾しながら責めたてる。 達哉が己の罪に苛まれる最中、こちら側で出逢った新たな仲間パオフゥ、克哉、うららは少年を導く「大人」として発破をかけた。 #center(){ &font(#f1c232){&bold(){ああ、うるせえ…}} &font(#f1c232){&bold(){運命運命…同じことしか言えねぇのか…?}} &font(#f1c232){&bold(){いいか、達哉…運命なんてのはな…}} &font(#666666){&bold(){後出しの予言と何も変わらん。}} &font(#666666){&bold(){何かが起こった後で、こう言えばいいんだ…}} &font(#6aa84f){&bold(){「全部運命だった」ってね!}} } 自身の説く『運命』に抗う彼らを滅ぼすべく『月に吠えるもの』の姿へと変貌するが、彼らの発破により達哉はついに真に現実と己の罪に向き合い立ち向かう覚悟と決意を決める。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){[[生に意味などない>ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス]]と知るがいい!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){[[答え>ユニバース(ペルソナ3)]][[など>キミの記憶(川村ゆみ)]]、[[どこにもない>No One is Alone(ペルソナ4)]]と[[泣く>It's Not Empty At All(ペルソナ4)]]がいい!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){ゆえに[[闇>ニュクス・アバター]]があり[[影>“影”(ペルソナ4)]]がある!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){私は、お前たち人間そのものだ!!}} &font(#ff0000){&bold(){俺は、もう二度と背中を見せない…}} &font(#ff0000){&bold(){犯した}}&bold(){[[罪>ペルソナ2 罪 -INNOCENT SIN.-]]}&font(#ff0000){&bold(){にも…}}[[&font(#ff0000){&bold(){自分にも}}>ペルソナ2 罰 -ETERNAL PUNISHMENT.-]]&font(#ff0000){&bold(){だ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){おおおおおおおおおお}&font(#ff0000){おおおおおおおおおおお!!}}} 覚悟を決めた達哉は決意を新たにニャルラトホテプの打倒を誓い、真っ向から対峙したことで、両者は因縁の最終決戦を迎える。 この最終決戦での両者の台詞の応酬は、『ペルソナ2』という作品を締めくくる屈指の名シーンと言って差し支えない。 本来ならば人間の暗黒面の化身故に不滅であるニャルラトホテプが敗北することはない。 しかし「特異点」として自らが嘲笑し弄んでいた達哉らの行動と呼びかけに、己の力の源である(達哉たち自身を含む)街の人々が心を動かされていたことで、死闘の末に有り得ない筈の敗北を喫する。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クッ……クックックック…ハーッハッハッハ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){なんという!矛盾…!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){これが私の運命だと!?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だが…覚えておけ…!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){宇宙の中心で轟く白痴の塊とは、貴様ら自身だということを…!!}} &sizex(6){&bold(){&font(#bf9000,#000000){貴様等ある限り…私は消せんっ…!!}}}} &font(#bf9000){&bold(){「全ての可能性は影という混沌から生まれる」}}というフィレモンの示唆から、自分の執拗な策謀や嘲弄、底無しの悪意こそが達哉という[[「凡人」を人々の希望たる「超人」へと成長させた「試練」>DJサガラ]]であり、己の敗北を決定付けていたという真実に気づいたニャルラトホテプ。 しかし、それでもその在り方は何ら変わる事はなく、&bold(){「人の価値を否定することで人の成長を促す」}という矛盾に満ちた己が運命と、それを与えた人類をなおも嘲笑いながら、影は遂に普遍的無意識の底に沈み、敗北を認めた。 ちなみにどんな選択肢を選んでも淳だけは絶対に「向こう側」のことを思い出さないが、他の二人が思い出すとEDの一部(アラヤ神社の場面)が変化する。 誰か一人だけ思い出すパターンは、非常に後味が悪い上にやるせない。 栄吉のみが思い出すと&color(Deepskyblue){&bold(){「今度こそギンコや淳を守り抜いてみせる」}}、リサのみが思い出すと&font(#ffdc00){&bold(){「今度こそ、絶対に忘れない」}}とそれぞれが涙ながらに誓う。 二人が思い出すか、一人だけが思い出すか、舞耶だけが覚えているか、どれが一番幸福なのかは分からない。 *【劇中での化身】 原典の邪神になぞらえるかの如く劇中では多くの化身が登場する。 その在り方はそれぞれ『罪』『罰』の黒幕である"奴"こと「自称・本体」が%%お色直し%%端末のガワを取り換えてロールプレイをしているに過ぎないものから、独立した自意識と思惑を持って動くもの、更にその中でも自分が化身という自覚すら持たないものまで様々。 また、一つの前提として&bold(){『ペルソナ2』本編で噂により生まれた存在は全てニャルラトホテプの化身}である。 ここで紹介されているのは代表的なもので、これ以上さらに存在する可能性もある。 **◆&bold(){ゴッド神取} #center(){&font(#bf9000){&bold(){我は神取…ゴッド・神取なり…}}} 『女神異聞録』『罰』に登場。 『女神異聞録』では「デヴァ・ユガ」を作りだして世界中の人間を洗脳し、人類抹殺を企てた男「神取鷹久」が降魔させたペルソナが、逆に神取の心の闇に付け込んで神取を支配下に置き、魔人と化したモノ。 &font(#bf9000){&bold(){「頭頂部から神取の上半身が浮かび上がった、頭と両手だけしかない黄金の巨大観音像」}}とも呼ぶべき奇怪な姿を持つ。 &bold(){「衆生を救う」}という神取の意思と願望が観音の姿を象ったペルソナ。 『罰』ではニャルラトホテプの化身となって蘇生させられた神取のペルソナとして登場。 ボスだった頃の見た目から大きく変化し、&font(#bf9000){&bold(){「引き裂かれた金色の観音像の残骸を纏う、黒く奇怪な人型の怪物」}}というペルソナらしいスマートな外見となった。 例えるなら『罰』のJOKER第二形態以降の変化に相当する存在。 ボロボロの観音像は、神取が死亡した後ニャルラトホテプにより生み出された結果ペルソナが形骸化した事を示している。 **◆&bold(){&font(#800080){羅喉}} #center(){&font(#800080){&bold(){私、見ているだけのあなたとは違いますので。}}} 月刊少年ジャンプで連載されたスピンオフのコミカライズ『ペルソナ 罪と罰』に登場。 物語の黒幕「日下耶雲」に仕えるペルソナ使いとして暗躍した化身。 使用ペルソナは「ディアブル・ド・ラプラス(ラプラスの悪魔)」。 人間はおろか悪魔にすら嫌われるほど厭味ったらしい性格で、自我を持たない悪魔しか配下にいない。 基本的に化身らしからぬ小物の道化に徹していたが、物語の終盤に自らの死を以って事態を最悪の状況に追い込んだ。 化身である事が明確になるのは最終回におけるフィレモンとのやり取りでだが、その際には化身らしい傲岸な目を見せている。 常に敬語で話す慇懃無礼の極みな態度は、ストレートに尊大な化身達の中にあっては意外と新鮮……かもしれない。 **◆&bold(){伯爵} #center(){&font(#ff0000){&bold(){明日が"明るい日"とは誰が決めた?}} &font(#ff0000){&bold(){それある限り、人は不安から逃れられん。}} &font(#ff0000){&bold(){安らぎは遠きあの日にこそあると思わんかね?}}} 『罪』『罰』に登場。 蓮華台ロータスの空き店舗に一夜にして現われたという、謎のアンティークショップ「時間城」の店主。 主人公たちの噂操作によって、武器を商い始めたりスキルカードの複製を始めたりする。 『罪』では淳の最強装備「伝説の花」を噂次第で麻希にあげたり、盗られたり、80万円に値を釣り上げたり、お隣でアロマセラピーを営む香さんにあげたりする。 &font(l){&bold(){何がしたいんだコイツは。}} PSP版『罪』の追加シナリオ『暗影』では、あの手この手で人間を陥れようとする他の化身とは一線を画し、矛盾を内包する混沌の一化身として自らをも嘲笑するというスタンスを表明している。 つまりは悪意を嘲笑う悪意の具現。%%おおぉ…ネガティブをネガるネガティブ…決してポジティブではないぃ……%% 外見や立ち居振舞いの雰囲気がどことなくフィレモンに似ているのもそのスタンスに関係があると思われる。 傍観者としての役割に徹しつつも主人公たちの利になる行動を取るのは、調子に乗って暗躍する自分が痛い目に遭うのを期待してのことなのかもしれない。 #openclose(show= つまり……){ここまで読んでお気づきの方もいるだろうが、『罰』のクライマックスの裏ではこの伯爵が、自己矛盾に気づかす敗北する無様を晒した「自称・本体」を指差しながらイキイキと大爆笑していることになる。 &bold(){「ニャルラトホテプがムカつく」}という怒りや&bold(){「ニャルラトホテプをやり込めてスカッとしたい」}という欲求もまた人心の昏き側面、即ちニャルラトホテプの化身に他ならない。 「人が人である限りニャルラトホテプは不滅」とはつまりそういうことなのだ。 #center(){&font(#ff0000){&bold(){願わくば最後まで、君には走り続けて欲しい。}}} #center(){&font(#ff0000){&bold(){私は試したいのだよ。人が持つ可能性とやらをな。}}} } モデルはおそらく原典のクトゥルフ神話における機械の化身『チクタクマン』((時計を模したモノクルは、原典でのチクタクマンの初出作『I Dream of Wires』における「目が時計の文字盤となっている紳士」という外観が由来と思われる。また、”伯爵“という名称も英語では”count“となり、”計数“−時を刻むことに転じる。))。 **◆&bold(){[[聖槍騎士団「ロンギヌス13」>聖槍騎士団ロンギヌス13(ペルソナ2シリーズ)]]} #center(){&font(#999999){&bold(){フロイライン…どうやら、このシバルバーの秘密に気づき始めたようだな}}} 『罪』に登場。 ラスト・バタリオンに所属する13人構成のパワードスーツ部隊。 ロンギヌスの複製品を装備し、ペルソナを封じる攻撃を仕掛けてくる。 なお、おそらく隊長であるロンギヌス1のみ白い機体となっている。 詳しくは個別項目を参照。 **◆&bold(){&font(#38761d){[[アドルフ・ヒトラー]]/フューラー}} #center(){&font(#38761d){&bold(){大衆は、全てを決定してくれる指導者を欲するのが常よ…}} &font(#38761d){&bold(){先を煩い決を下すのは、苦痛だからなぁ!!}}} 『罪』に登場。 ニャルラトホテプが「噂」を利用して作りだした化身。 仮面党に敵対する勢力&bold(){「ラスト・バタリオン」}の総帥だが、当然アドルフ・ヒトラー本人ではない。 ペルソナ使いでもあり、これも化身の一つである&bold(){&font(#00ff00,#000000){「月に吼えるもの」}}をペルソナとして扱う。 さらにオリジナルの聖槍ロンギヌスも所持しており、特定のアイテムを使わない限り解除されない強力なペルソナ封じを仕掛けてくる。 実は、このロンギヌスの槍には&bold(){「刺されたイエスの遺体から止めどなく血と水が溢れ出し続けた」}という、2,000年もの間を一度も途絶えることなく語り継がれた伝説、即ち「噂」が生んだ効果が発現しており、戦闘中ではその効果を発揮しないものの、急所に受けるとペルソナの回復魔法すら効かず確実に致命傷となる。 『罪』において舞耶がこの槍に刺し貫かれた時、リサによる懸命な治癒が効かなかったのはこの噂の力の為。 海外では流石にアウトだったのか、リメイク版の海外販売にあたって名称が「フューラー((総統という意味))」に変更され、サングラスを装備させられた。 ヒトラーが敵キャラとして関わる創作作品は数あれど、ヒトラー自身が槍を振るって前線に立つゲームはこの作品くらいなものであろう。 付け加えると、ラスト・バタリオンはヒトラーと聖槍騎士団のみならず、末端の構成員に至るまで全員がニャルラトホテプの化身である。 下記の神取も『罰』で復活時は同じようにサングラスで顔を隠していることから、リメイク版における規制も実はニャルラトホテプに深く関連する存在であることを示している絶妙な演出となっている。 **◆&bold(){&font(#ff69b4){名無しの少女}} #center(){&font(#ff69b4){&bold(){随分ね、全部あなた達が決めたんじゃない。}} &font(#ff69b4){&bold(){名無しの少女なんて変な名前も、私が何のために何をするかも。}}} PSP版『罪』の追加シナリオ『暗影』に登場。 外見は、高慢そうな顔をした金髪ロールの女生徒。%%モブ用NPCの使い回しなのはナイショ。%% 『罪』本編開始の数か月前、聖エルミン学園に流れた噂によって生じた化身。 自らを「兆し」と称し、[[園村麻希]]の[[かつての行い>>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]]をあげつらうかのように自らをアイドルと崇めさせる異界を作り出して、そこに教師や生徒たちを引き込んでいた。 達哉たちに時を遡らせた伯爵に&bold(){「化身の一つに過ぎないくせに余計な事をする」}と文句を言う一方、伯爵同様に&bold(){「訳知り顔の"奴"もまた化身の一つに過ぎない」}と示唆するような台詞も吐く。 **◆&bold(){橿原明成(偽)} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){父への懺悔、母への断罪、全てお前が望んだことだ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){もっと喜べ!!矛盾しているぞ!!}}} 『罪』に登場。別名「噂パパ」。 橿原明成とは、黒須淳の父であり、岡村真夜と&font(#ff0000){須藤竜也}の2人と共に事件の核心に関わる奇書「イン・ラケチ」を執筆した世界史教師。 本人は本編開始の10年前に死亡しているが、ニャルラトホテプに魂を囚われた結果、数多ある化身の1つに成り果てた。 本編開始の10年前に&bold(){「理想の父親像」}として淳が仲間についた嘘、そして当時の子供たちの噂から「淳の理想とする父親」の姿を取って実体化。 すでに他界していた本物の父と息子を捨てた母の代わりに、10年もの間「理想の父親」として淳を養育しながら、淳に偽りの記憶を吹き込んで歪んだ想い出で踊らせ、『罪』本編における一連の騒動を巻き起こした。 シバルバー内で正体を明かした際は&bold(){&font(#bf9000,#000000){「感動の対面だぞ、泣けよ」}}とばかりに捕らえていた黒須純子と本物の橿原明成の魂を呼び出し、残酷な真実を嘲笑いながら淳に告げ、精神がボロボロになり動けない淳の代わりとばかりに二人を「断罪」と称して魂を完全に抹消。 この心を徹底的に踏みにじる非道極まりない残忍さから舞耶を心底激怒させるも、 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){矛盾だな。何者をも許す広い心がお前の専売特許ではないのか?}}} と返し、逆に彼女を皮肉るなど悪辣さは留まることを知らない。 そして己を&bold(){&font(#00ff00,#000000){「グレートファーザー」}}へと変貌させ、舞耶たちに最終決戦を挑んだ。 なお上述したようにヒトラーとその配下も等しくニャルラトホテプの化身であるというだけでなく、『罪』の劇中で中核を担ったアイテムである水晶髑髏やシバルバーさえも、全てがニャルラトホテプの一部でしかなかった。 イデアルエナジーの収集もマイヤの託宣の成就でさえもそれ自体に大した意味はなく、仮面党の活動もラスト・バタリオンとの闘争も、世界の滅亡というネガティブの極致な誇大妄想を大衆に「噂」させるための&bold(){壮大な三文芝居}だったのだ。 ** ◆&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){ニャルラトホテプ(ペルソナ体)}} #center{&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){忘れるな…お前はジョーカーだ…殺せ…殺せ…殺せ…}}} 『罪』に登場。 ジョーカーである淳のペルソナとして具現化した姿。 劇中ではペルソナとしての名称は出るものの化身とは明言されず、後に関連書籍でニャルラトホテプの化身だと明かされている。 外見は白黒のモノトーンを基調としたスマートなペルソナらしい外見で、体の各部にはニャルラトホテプの化身に見られる青白い斑点模様がある。 目元の血涙や左胸の心臓マークに刺さった無数のナイフが、淳の傷ついた心を表している。 **◆&bold(){神取鷹久} #center(){&bold(){追い掛けたまえと言いたいところだが今は使われる身…このまま返すわけにもいかん。} &bold(){お相手願おう。}} CV:山野井仁 / 小杉十郎太 『罰』に登場。 秘密結社「新世塾」幹部の一人にして、『女神異聞録』で「セベク・スキャンダル」を引き起こした張本人。 ペルソナの知識(人工的なペルソナの付与方法)を欲した竜蔵により、噂の力で復活させられ、表向きは竜蔵の秘書「神条久鷹」として暗躍していた。 また、ほぼ目的通りの機能を持たせて完成した&bold(){「プチ・デヴァシステム」}という転送装置ももたらしている。 ニャルラトホテプに魅入られた者の業なのか、黒いサングラスの下には眼球はなく真っ暗な眼窩があるだけである。 新世塾が傾倒している存在の実態を理解したうえで狂言回しに撤し、南条からの憐れみをも&bold(){「光には光の…影には影の役割がある」}と称して受け止め、敢えて舞耶らと敵対する。 使用するペルソナはニャルラトホテプの化身の一つ&font(#bf9000){&bold(){「ゴッド・神取」}}。 **◆&bold(){御前} #center(){&font(#cc0000){&bold(){我の眠りを覚ます者は、何者ぞぉぉぉぉぉ!?}}} 『罰』に登場。 須藤竜蔵ら新世塾なの古参幹部たちが崇拝していた、戦国武将「澄丸清忠」の首のみの木乃伊の姿をした化身。 竜蔵らに「啓示」を与えて新世塾を凶行に走らせた張本人。 彼らが御前から受ける啓示は、ニャルラトホテプからの「破滅への誘い」である。 御神体という立場を利用して竜蔵らを「啓示」によって巧みに操り、&bold(){「向こう側の歴史をトレースさせる」}ように噂を広めさせ、珠閒瑠市を「アメノトリフネ」として浮上させる。 そして本丸公園に現れた珠閒瑠城で「操龍の神事」を行わせ、珠閒瑠市以外の世界を滅ぼさせようとした。 竜蔵に神事の生贄として彼以外の幹部を斬り殺させた後は、用済みとばかりに彼を自身の眷属「忌まわしき狩人」へと変貌させた。 また、新世塾に幹部として属していた菅原陸将にXシリーズを供給させた後、用済みと見做したのか彼を冒していた末期癌の癌細胞を変異させ、彼の望む不老不死を与えた。 竜蔵が敗れると幹部たちの穢れを取り込み、御前の首から異形の四足獣めいた身体を生やす、甲冑風の甲殻でその身を鎧った怪物となって襲いかかってくる。 この化身に限っては、伝承上の存在を元にしたものであり、&bold(){その伝承を利用することで一撃で滅ぼすことができる}…のだが、条件が非常に面倒くさい((伝承を体現する合体魔法を使用するために特定のペルソナ3体が必要なのだが、そのうち1体の作成条件がひたすら厳しい。まず、序盤のダンジョンである条件を満たしておく必要があり、やり損ねると当然アウト。さらには入手難易度が高いFOOLのタロットを4枚も用意する必要がある。しかも、これだけやって獲得できるペルソナはハッキリ言ってザコ。用が済んだらとっととカルマリングに変えられる運命である。))。 **◆&bold(){周防達哉(偽)} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){どうした?また殻に閉じ籠り逃げるのか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){その女と出会い、記憶を取り戻した時のお前の顔 最高の見ものだったぞ!}}} 『罰』に登場。 御前を倒した後モナドマンダラに送られた達哉一行の前に顕現した、周防達哉の姿を模した化身。 『罰』での達哉が&font(#ff0000){真っ赤な}%%バッテンジャージ%%&font(#ff0000){ライダースーツ}を着用しているのに対してこちらのセブンスの制服を着た姿は『罪』の達哉を意識したものだろうが、悪意に満ちた金色の眼や冷笑を貼り付けた表情など、見た目の印象は本物とは全く別物。 &bold(){&font(#bf9000,#000000){「達哉のことが気に入ったからこんな姿になった」}}とのことだが、ここでの「気に入った」とは、&bold(){「格好の玩具」}としての意味合いであろう。 この姿でも悪意に満ちた本性を存分に発揮しており、罰世界での達哉やその仲間達の姿に変化したり、罪世界の達哉の仲間を利用した悪趣味極まる「ゲーム」を実行したりと、一行を言葉巧みに嘲笑い翻弄した。 **◆&bold(){無貌の神} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){二兎を追うものは一兎を得んと、一度教えたぞ。学習能力のない奴だ}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だが良かろう。それほど返して欲しければ返してやる}}} PSP版『罰』の追加シナリオ『無影無踪』に登場。 普遍的無意識の海へ散ってしまった宮代詩織の精神を取り戻すために向かったカダスマンダラの最終局面にて達哉達の前に立ちはだかる。 その見た目は女神転生シリーズにおいて登場した時と全く同じ黒い体表に赤い翼を生やした悪魔の姿で、ファンにとっては懐かしいものである。 詩織の最後の心の一部を返せと叫ぶ達哉に&bold(){&font(#bf9000,#000000){「あれだけ救いたかった現実の世界がここにいる間にも滅びるぞ? 舞耶さえいれば他はどうでもいいのか?」}}などと責め立てた上で、達哉の望み通りと言わんばかりに詩織の反影を実体化させるのだが…。 #center(){&bold(){「邪魔しないで拓也。外しちゃったじゃない」}} 何と「向こう側」と同じように詩織にも聖槍を持たせて舞耶を不意打ちで殺させようとしたのである。 あわや「向こう側」と同じ悲劇が繰り返されそうになったが、今回は以前の経験が活きたのか間一髪で阻止することができた。 …が、ニャルの悪意と非道さはこれに終わらず「向こう側」の淳の時と同じように&bold(){&font(#bf9000,#000000){「返して欲しいと言ったから返したんだ。喜べよ」}}と嘲笑った挙句、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶かその哀れな女かどちらか好きな方を選べ」}}と達哉の心を徹底的に踏みにじった。((『ペルソナ3』以降のコミュやコープで例えると、「それぞれとの絆がどれぐらい大事かのランキング付けを無理やりハッキリさせた挙句、当人たちの前でそれを発表させる」が如き所業。えげつなさが股がけの修羅場どころではない。)) このあまりにもえげつない行為に舞耶達は激怒し、精神をボロボロにされて動けない達哉抜きで立ち向かうことになる。 しかし、これも化身の一つでしかないため、倒されても余裕の態度を崩さずモナドマンダラで待つと言い残して去っていった。 #center(){#bold(){&font(#bf9000,#000000){クックッ…座興はここまでにしておこう。さあ、早く覚醒の世界へ戻るがいい。早々に化身ではなく私直々に相手をしてやろう} &font(#bf9000,#000000){待っているぞ。待っているぞ…} &font(#bf9000,#000000){フハハハハハハハハ…}}} *【ラスボスとしての形態】 **◆&bold(){&font(#00ff00,#000000){ニャルラトホテプ・月に吼えるもの}} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クックック…ハーハッハッハッ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){人形風情が!過去、私に同じ事を言った者達がどうなったか教えてやろう!!}}} 『罪』『罰』に登場。 自らの本性を剥き出しにした際に姿を現す化身。 『罪』ではヒトラーのペルソナとして、『罰』では最終決戦におけるニャルラトホテプの第一形態として登場した。 元ネタはクトゥルフ神話版ニャルラトホテプの化身の1つ「血塗られた舌」。 ボスとしてはモナドマンダラでシャドウとの会話で選んだ内容次第で、 『罪』のメンバー達が記憶を取り戻した人数によってステータスや使用技が3パターンで変化する。 最弱状態だと使用技も少ないが強化一段階で防御を無視するガードパニッシュを使うようになり、最強状態だと弱点もなくなってしまう。 **◆&bold(){&font(#00ff00,#000000){グレートファーザー}} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){よかろう…父の務めとして最後に少し遊んでやる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の持てる全てで、未来とやらを掴んで見せろ!}}} 『罪』に登場。 ニャルラトホテプの戦闘時における化身の一つであり、『罪』のラスボス。 外見は『月に吠えるもの』の頭部を橿原明成の姿を模したニャルラトホテプ本体が務め、四肢が達哉以外の父親の姿になった異様な外見。 メインキャラクター達が「父親」に対して抱くネガティブなイメージをひとかたまりにした怪物。((淳のみ本物と偽物の両方がいるのは、彼にとってどちらも父親だから。父子として共に過ごした10年間を「化身によるごっこ遊びだった」という真実一つで割り切れないのもまた、絆を尊ぶ人の心の表れである。逆に言うと達哉の父親だけいないのは……)) 由来はユング心理学において「越えるべき壁」の象徴である「原父」の原型であろう。 更には、フランスの心理学者ラカンが提唱した「どうにもならない現実」の象徴である「父の名」の要素までも含んでいると思われる。 イラスト版で見ると、&bold(){いい齢こいた中年のおっさん数人が黒ボンテージファッションを着こんで組体操しているように見え、&font(#ff0000){非常にキモイ}。} ボスとしては本体を含めた5つのパーツと同時に戦うことになる。 1ターンで事実上の5回攻撃を繰り出してくるため、非常に手数が多い。 全員がそれぞれ特殊な専用技を使ってくるのが特徴で、 -本体が使う味方に与えられるHPダメージをしばらく極小SPダメージに変換する『失意の悪夢』 -淳パパが使う、淳のみを魅了する『迷妄のチャネリング』 -舞耶パパが使う、舞耶のみ眠らせる効果がある全体攻撃『追憶の波動』 -栄吉パパが使う単体18連続の極小ダメージ技『マスター18』 -ギンコパパが使う全体即死攻撃の『シールズレイド』 など、実に個性的。 特にギンコパパのシールズレイドは下手すると一気に全滅する可能性もあるので厄介。 反面、本体の失意の悪夢はしばらくの間HPを減らされる機会が減るのでチャンスタイムとなる。 **◆&bold(){&font(#009cff,#000000){ニャルラトホテプ・這いよる混沌}} #center(){&bold(){&font(#009cff,#000000){ふはははは!実に!愉快!!}} &bold(){&font(#009cff,#000000){私にこの姿を晒させたのはお前達が初めてだ…最高の賛辞を抱いて死ねぃ!}}} 『罰』に登場。 ニャルラトホテプの最終形態にして真の姿。 無情な現実と真実全てを真に受け入れ成長し、覚悟を決めた達哉たちの前に立ち塞がった『罰』のラスボス。 その見た目は、自身の顔の代わりに仮面めいた無機質な人面が全身に無数に浮かび、下半身から蛸のように無数の触手を生やした異形の人型の黒い影。 &bold(){「明確な顔が無いからこそ誰にでもなれる」}という『ペルソナ2』におけるニャルラトホテプの性質を体現した姿とされる。 ちなみに&bold(){&font(#00ff00,#000000){『月に吼えるもの』}}や&bold(){&font(#00ff00,#000000){グレートファーザー}}、淳のジョーカーのペルソナや『罰』でのゴッド・神取には共通したデザインとして体のどこかに蛸の吸盤のような青白い斑点模様の列があり、恐らくこの青白い斑点もこの姿の時の無数の人面が簡略化されたものだと思われる。 ボスとしては前作のグレートファーザーと違い、5vs1のバトル。 上記の月に吠えるものからの2連戦であり、回復などもできないので前哨戦で消耗していると戦況にかなり響く。 前作と違って小細工なしの真っ向勝負といった感じの戦いで『拡散閃影殺』『刻の車輪』『カオスエレメント』『這いよる混沌』など、強力な技が目白押し。 他にも全体デバフやペルソナチェンジを封じる『運命の車輪』といった搦め手も時折使ってくる。後者はペルソナチェンジをしない人にとってはラッキータイム。 手数こそ減っているものの単体での攻撃能力はこっちの方が上で、正統派なラスボスに相応しい強さを持つ。 *【余談】 ・上記の通り多種多様な化身がいるが、他にも化身として青葉区ダブルスラッシュで「ワンロン占いをしてくれる女の子」がそれだとする意見がある。&br()誕生月入力時に「イアイアハスタア」と入力するとあからさまに取り乱し、召喚必須マテリアルカード「キングインイエロー」をくれる。&br()だが「キングインイエロー」で召喚できるのはクトゥルフ神話上ニャルラトホテプと敵対関係にある「黄衣の王」ハスターであり、逆にフィレモンの化身ではないかとする説もある。 ・PSP版追加シナリオのアディショナルシナリオにおいて、心が四散してしまった詩織の救出へ向かったカダスマンダラの元ネタは、クトゥルフ神話を作り出したハワード・フィリップス・ラヴクラフト原作の小説『未知なるカダスを夢に求めて』。&br()主人公ランドルフ・カーターが、深い眠りの底にある世界「ドリームランド」へ没入していく物語であり、時系列的に後日譚に当たる「銀の鍵」でカーターは、このドリームランドに深入りしすぎたために現実世界では行方不明となる。&br()&br()カーターが目指し、ドリームランドへ入れる「夢見る人」の中で唯一到達できた最終目的地がタイトルにあるカダスであり、それは&bold(){ニャルラトホテプが治める城}である。&br()カダスとドリームランドが存在する「夢」を本作における「普遍的無意識世界」とすれば、ニャルラトホテプはまさしく人間の意識の底にいるということになる。&br()&br()さらなる余談であるが、カーターに限らずドリームランドを追い求めて深入りしすぎた「夢見る人」は&bold(){全員残らず現実世界で破滅し、ドリームランドの住人に成り果てている}。ギリシア神話では眠り(夢)と死は隣り合わせとされているが、それに引っ掛けているのではないかという考察もある。&br()&bold(){そんな魔境にあるニャルラトホテプの城のど真ん中で支店を開くサトミタダシはどうかしている。} ・ファンの間では、&bold(){「竜蔵が欲した『人工的なペルソナ能力の付与』や『人型戦車の開発』は『ペルソナ3』における桐条グループの持つ技術と同一ものではないか」}、&bold(){「神取が新世塾にもたらしたそれらのデータを竜蔵に協力していた南条コンツェルンが回収し、更に分家として繋がりのある桐条グループへ流したのではないか」}という説があるが、憶測の域を出ていない。&br()&br()ただ、漫画版では同じく破滅への流れの中で生み出されたペルソナを刈り取る力「グリム・リーパー」などに関する技術が南条に流れたことが語られており、その辺のノウハウ自体はあったと思われる。 ・勘違いされがちだが、『罪』世界にて「舞耶を守り切れなかったこと」や「世界の破滅を防げなかったこと」は、あくまでニャルラトホテプからの試練の一環であり、これらを味わったことはニャルラトホテプに対する敗北ではない。&br()真の敗北とは、&b(){「無常な現実(仲間の死、世界の滅亡)を受け入れられず、仲間との再会の約束を言い訳にして『世界のリセット』を選んでしまったこと」}に他ならない。&br()……まあ元々正真正銘普通の高校生だった『罪』世界の面々に、ニャルラトホテプが生み出した過酷な現実から目を背けるなという方が無理ゲーとも言えるのだが。&br()&br()さらに、&b(){「5人全員が記憶を取り戻せば『リセット』は無効となる」}という最重要事項を伏せながらこの「リセット」を唆したのはニャルラトホテプではなく、&font(#ff0000){&b(){立場的に本来味方側であるはずのフィレモン}}である。&br()ニャルラトホテプとフィレモンは、互いに対極に位置する対存在であると同時に、両者共に&b(){人類に試練を与える共犯者}でもあるのだ。&br()&br()そもそも、前述の通りニャルラトホテプの試練に打ち克つ方法は「逃避のための逃避をしないこと」である。にも拘らず、フィレモンは10年前にペルソナ様をやった事実(=ニャルラトホテプに抗う力)ごとなかったことにしようとしており、これは達哉らに対する慈悲などではなく、&bold(){&font(#bf9000){「もうお前らじゃ無理だからいいや」}という見限りに近い扱い}、或いはそこまでは言わずとも&bold(){&font(#bf9000){「君たちのように強い人間ならこんな誘惑に乗らないって、私は信じてるよ!」}というありがた迷惑な信頼に基づく試練}と取ることもできる。 追記・修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,58) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }
&font(#6495ED){登録日}:2012/10/03 Wed 01:29:07 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 45 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){フハハハハハハハハハハハハッ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前たちはひとつ大きな事を学んだぞ。どうにも出来ないこともあるという、世の理をだ!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){私は、お前たち全ての人間の影だ。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){人間に昏き心がある限り、私は消せん。}} &sizex(6){&bold(){&font(#bf9000,#000000){這い寄る混沌の、最後の試練を受取れ!!}}}} &font(#ff0000){&bold(){※以下『ペルソナ2 罪/罰』のネタバレを含みます}} 『ペルソナ2』における全ての元凶にしてラスボス。『ペルソナ2』の過酷な展開は大体コイツのせい。 モチーフは[[クトゥルフ神話]]に登場する同名の邪神[[ニャルラトホテプ>Nyarlathotep]]。 ちなみに初出は前作『[[女神異聞録ペルソナ>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]]』である。 CV:山野井仁 #openclose(show=●目次){ #contents(){} } *【概要】 人類が共有する[[普遍的無意識>集合的無意識]]の&bold(){&font(#bf9000,#000000){ネガティブ}}な領域を司る存在にして、その領域そのものの擬人化。 主人公の導き手を称する&bold(){“人間の&font(#bf9000){&bold(){創造性}}の化身”}フィレモンとは対極にして表裏一体の関係にある&bold(){“人間の&bold(){&font(#bf9000,#000000){破壊性}}の化身”}。 そのフィレモンの言葉を借りるなら&font(#bf9000){&bold(){「悪魔のように&bold(){&font(#bf9000,#000000){残酷}}な自分」}}、登場人物の一人である[[天野舞耶]]曰く&font(#f09199){&bold(){「恐ろしく&bold(){&font(#bf9000,#000000){皮肉屋}}で、&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪意}}に満ちた、とても大きな存在」}}。 即ち人類が等しく共有する&bold(){&font(#bf9000,#000000){最悪}}にして&bold(){&font(#bf9000){必要不可欠}}の「&ruby(ペルソナ){仮面}」である。 劇中でちょっかいを掛けてくる際の姿は、『罪』では[[黒須淳>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]の父・明成。『罰』では七姉妹学園の制服を着た[[周防達哉]]。 ……が、共通して&bold(){&font(#bf9000,#000000){金色}}の瞳を持ち、表情は嘲笑がデフォな、本物とは色々かけ離れた悪人面をしている。 *【人格】 [[善悪問わずあらゆる存在を嘲笑し、他者を上から目線で否定して蹂躙する傲慢で卑劣な性格>ジニス(動物戦隊ジュウオウジャー)]]。 人心を知り尽くしたうえで尚、理想や可能性、絆といったものはおろか現実や妥協、孤独といったものまで、正も邪も誰かが尊んでいるもの尽くを無価値と断じ、その不完全さを証明するがごとき皮肉に満ちた策謀を張り巡らせては人々の営みを嘲笑う、底無しの悪意の権化である。 &bold(){&font(#bf9000,#000000){「日常や現実の破壊」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「革命の煽動」}}といった餌を撒いて人々を誘導し、自らの手で破滅の引き金を引かせるのがニャルラトホテプの常套手段。 [[現実に不満や絶望を抱いている人間達>ルサンチマン]]に「力」を与え、彼らの暴走が人々を感化するよう仕向けて、人類全体が破滅に向かうように促していく。 劇中では、人々の間に流れる「噂」を次々に現実化させることで世間を混乱の渦に陥れ、妄想と現実の境界をあっけなく見失っていく人々を嘲笑いながら、想いを実現させる人間自身の力で世界を滅ぼさせようとしていた。 ニャルラトホテプがクトゥルフ神話上において&bold(){「特定の姿を持たず、関わった者には叡智を授けるがその後確実に破滅をもたらす神」}であることを考えると、その本質をこれ以上なく言い表していると言える。 ちなみに、ニャルラトホテプの存在意義は、あくまでもフィレモンと同じく&bold(){「人の自己確立」}。 #openclose(show=本編での様々な策謀も、全ては人類が真に完全な存在になり得るかを測る「試練」であり、決して滅ぼしたり苦しめることが主目的ではないのである。){ ……こう言うと、あたかも[[人類のためを想うがゆえに敢えて悪役を演じる献身的な求道者>ツンデレ]]のように聞こえるかもしれないが、そんなことは全くない。 大事なことなのでもう一度言います。 #center(){&font(#ff0000){&bold(){そ ん な こ と は 全 く な い。}}} むしろコイツを最悪たらしめる大きな要因の一つがこの存在意義だと言って良い。 そもそもの問題として、コイツらの求める&bold(){「人の自己確立」}、真に完全な存在とは何かが、改めて考えるとものすごく無理難題である。 ざっと少し考えただけでも、善も悪も光も影も全ての価値観を何一つ否定せず統合し、しかもそこに一切の矛盾を生じさせず、更に如何なる変化にも決して揺るがない……現行人類としてはこう言わざるを得ないだろう。&bold(){「無茶振りも大概にしろ」}と。 そして、ネガティブマインドの化身であるコイツがそのために繰り出す「試練」こそが、&font(#bf9000,#000000){&bold(){あらゆる存在を嘲笑し、上から目線で否定して蹂躙する}}ことなのである。 つまり、否定と揚げ足取りをし尽くした果てに、(もしも人類がそんなものになり得るのであれば)真に完全な存在が現れる「はず」という、[[岩の角を削り続けて真球を作らんとする打岩の修行>烈海王(バキシリーズ)]]の如き論理。 または、&font(#bf9000,#000000){&bold(){「お前らのためにダメ出ししてやってるんですけど?」}} 当然のことながら、そんなトライ&エラーはいくらやっても足りる訳がない……即ちコイツの繰り出す試練には&font(#ff0000,#000000){&bold(){「キリがない」}}のだ。 そして、特に性質が悪いのは、この無茶な目的にもえげつない手段にも&font(#ff0000){&bold(){理がある}}ところ。 手段に関して言えば、&bold(){&font(#bf9000){「至らぬところの指摘を受け入れ、それを改めていく」}}こと自体は、確かに人がより良く生きようとするうえで必要なことである。試練こそが人を磨くというのもよく聞く言説であり、頷く人も多いだろう。 ニャルラトホテプの課す試練は、決してそこから外れるものではない。外れて見えるとするならば、悪意に支えられた徹底ぶりがあまりにも極端だからである。 目的に関しては、ポジティブマインドの化身であるフィレモンも同じ存在意義を持つという時点で何をかいわんや。 究極のネガティブとは即ち究極のポジティブとの表裏一体なのである。まさにズバリ言ってしまえば、&bold(){普遍的無意識の裏と表。} もっとも、きっかけを与えた後は人間を見守るというフィレモンとは違い、ニャルラトホテプは&bold(){積極的に人間を悪意に晒し奈落に引きずり込む。} また、ネガティブマインドの化身であるコイツは、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「結果が全て」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「実らない努力は只の徒労」}}&bold(){&font(#bf9000,#000000){「頂点以外は底辺と同じ」}}といった、あちこちでよく聞くような意識高い系の論理の如く、過程を一切評価しない。 主人公たちがどのように成長しようとも答えを得ようとも、人類が真に完全な存在になっていないという時点で、コイツにとっては[[等しく無価値>ハートマン軍曹]]な過程に過ぎないのである。 トドメに、&bold(){「人の保全・守護」にも一切興味がない}ので、人々が自己を確立できずに破滅しようとも、それを皮肉って嘲笑う始末。 如何にすれば人の神経を逆撫で、激昂させ、絶望に叩き落とせるかを熟知しているので、[[煽る時のイキイキっぷりは相当なレベル>第六天波旬]]。 } 人の[[心が抱える暗黒面そのもの>ペルフェクティオ]]であるため、完全に消滅させる手立ては&font(#ff0000){&bold(){人の心から影がなくなること}}以外にない。 しかし、光がある限り必ず影は生じるので、こいつが出てきたら片っ端から叩いて引っ込ませるというモグラ叩きをするしかない上に、何度倒しても人が人である限り滅ぼすのは不可能。 #openclose(show=人が人として存在する限りニャルラトホテプもまた文字通り不滅であるため、否応なく共存していかざるを得ないのである。){ と言うか、実際のところはこの表現でもまだ充分ではない。 この説明だけだと、人が人である限りコイツが存在し続けるのは不可避なものの、コイツ自体はひたすら害悪なだけの不要な産廃であり、[[存在してはならないもの>鬼舞辻無惨]]かのようであるが、実はそうではない。 冒頭でも触れたとおり、コイツは人が人であるために&bold(){&font(#bf9000){必要不可欠}}の「&ruby(ペルソナ){仮面}」なのである。 何もかもを破壊し否定するということは、良きものを破壊し否定することであると同時に悪しきものを破壊し否定することでもある。 むしろ、忌み嫌い恥じるべき対象としての"&bold(){&font(#ff0000,#000000){罪}}"、怒り憎み抗うべき対象としての"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"という観念はコイツの存在によって生じていると言っても良い。 "善"そして"[[正義]]"と呼ばれる概念のうち、良いと思うものを尊び肯定する心がフィレモンによるものだとすると、悪いと思うものを忌み否定する心はニャルラトホテプによるものと言える。 平たく言えば、人が持つ正義感や良心の根源(少なくともそのうちの欠かせない一つ)でもあるということ。 コイツの存在が無ければ、人は現在"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"と認知している諸々の事柄も"&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}"と認知できず全て無批判に受け入れ肯定し、ただ流されるだけの存在になり果ててしまう。 悪だと思うものを否定しなければ人は自ら正しいと思う道に立てないし、[[新たなる創造は既存の何かを破壊しなくては成しえない>芹沢達也]]のだ。 『罰』終盤においてコイツは[[自らを為す三つの毒>仏教]]として「&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}」「&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}」「&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}」を挙げた。 それらこそがニャルラトホテプを織り成す根源であることは紛れもない真実である。 しかし、一方で「&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}」がなければ、人は&bold(){&font(#bf9000,#000000){悪}}に対抗できない。 「&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}」を知らなければ人は何も知ろうとはしない。 「&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}」が無ければ人は何事も成そうとはしない。 自らの&bold(){&font(#bf9000,#000000){無知}}を知る『罰』の大人たちと[[一人の少年>周防達哉]]は、敢えて&bold(){&font(#bf9000,#000000){怒り}}と&bold(){&font(#bf9000,#000000){執着}}を身に宿したままコイツとの最終決戦に挑み、そして自らと世界の未来を勝ち取った。 その詳しい顛末は後述するとして、この一連の流れを別側面から見ると&bold(){"影、そしてその化身であるニャルラトホテプは、決して光が存在するための代償として受け入れねばならない害悪などではなく、それ自体が人が人であるために必要な存在である"}ということである。 そして、自らをも嘲笑うニャルラトホテプは、自らに抗しようとする者たちに自らの司る負の領域を&bold(){&font(#bf9000,#000000){不要な害悪}}だと認知し断じさせるように、喜悦さえ交えながら精力的に煽動する。 あたかも影の存在を認めて乗り越える「影の受容」を勧めているかのようだが、その実は影の持つ意義を否定させる「影の拒絶」の煽動に他ならない。 コイツとフィレモンが生じた事が人を人たらしめた原因なのか、それとも人が人になった結果としてコイツらが生じたのか、それは分からない。 ただ、確実なのは人が人として紡ぐ営み全てとコイツらの存在及び所業はどこまでも不可分であるということ。 つまり、仮にコイツを完全に滅ぼそうと思うのならば、&bold(){世界から人と呼び得る心の持ち主全てを残らず皆殺しにして消し去る}しかない。%%別に人類全てがあらゆる矛盾を超克した完全な存在になるんでも構わんけどな!なれるもんならな!%% そして、コイツの『罪』『罰』本編での&bold(){&font(#bf9000,#000000){腐ったドブ泥のような所業}}全ては&font(#ff0000){&bold(){この自らの人にとっての&bold(){&font(#bf9000){必要性}}を知りぬいた}}うえで効果的に矛と盾として駆使したものである。 厄介ってレベルじゃねえぞ! } これらの性質故に&font(#ff0000){&bold(){「ペルソナシリーズ最凶最悪の愉快犯」}}とも称される。 *【能力】 作中では[[&bold(){「噂が現実化する」}現象>ワラキアの夜]]を発生させている。 コイツの仕業で、珠閒瑠市は強い想いが実現する普遍的無意識の領域と混ざり合った異界と化した。 その影響範囲及び強制力は凄まじく、どんな荒唐無稽な事象でも珠閒瑠市で噂として広まりさえすれば確率はもちろん因果関係をも無視して具現化し、地球全土はおろか&bold(){天体現象}にさえも干渉可能。 さらに、&bold(){&font(#ff0000){「神話」や「伝説」までも、昔から人間が伝えてきた「噂」として扱っているため、現実化の対象内}}となる。&s(){確かに言われればそのとおりなのだが、その解釈スケールの飛躍はちょっとズルくないです?} 噂は悪魔の間で流れるものでも現実化可能だが、これは『ペルソナ2』における神や悪魔が普遍的無意識(人の心の中)から生み出された存在である事も影響していると考えられる。 化身の一柱である%%ヒトラー%%フューラーは、その絶大な権能を&font(#38761d){&bold(){「運命を嘲笑うニャルラトホテプの力」}}と評した。 #openclose(show=源が「噂」であるが故に『真実から生まれた噂』なのか『噂から生まれた真実』なのかさえも判別が不能。){ 実は、プレイヤーの神の視点で見たプレイ範囲での出来事に限っても、よくよく考えると果たして本当に噂の現実化によるものなのか、そうだとしてどこにどの程度影響を与えたのかはっきりと断言できない事象が幾つかある。 代表的なものは『罰』の中盤、鳴海区壊滅と共にオシャカになった店舗の営業再開。 フランス料理店「クレール・ド・リュンヌ」と宝石店「パパラチャ」の2店舗は、プレイヤーが「それぞれ青葉区と港南区で営業を再開したらしい」という噂を流すことによって本当に営業を再開させることができるのだが、実際には何が起きていたかによってその事象の裏にある真実が変わってくる。 ・①実は、両店舗の店主が鳴海区壊滅に巻き込まれて死亡していた場合→後述のルールにより、&bold(){営業再開後の彼らは物語中盤までの本人ではなくニャルラトホテプの化身}という事になる。要するに伯爵や神取のお仲間。 ・②店主たちがエボニーのバーテンさんのように事前に脱出していた、又は壊滅に巻き込まれはしたものの命だけは助かっていた場合→店主たちは紛れもない本人であり、噂の現実化は「突然現出した新店舗」「店主の大怪我の完全治癒」といった諸々の不思議とそれを不思議と思わせない認知の操作部分に影響したことになる。 ・③店主の生存どころかどう見ても早すぎる営業再開にも噂の効果は関わっていない→勿論のこと可能性としては極めて低いが、実は絶対にあり得ないとは言い切れない。偶々彼らが店舗の移転や2号店の出店を秘密裏に進めており、不屈のバイタリティで以って既に概ね完成していた新店舗で営業を再開した……という可能性である。この場合、プレイヤーが流した噂は只の事実を後追いで流布したに過ぎないことになる。 そして、実際に何が起きたのかはゲーム中では一切語られないので、主人公である[[天野舞耶]]達一行はおろかプレイヤーにも分からない。探すと他にもこういったケースはちょくちょくある。 } 人格や行動などにも影響し、基本的に人類がこの力に抗うことはできない。 加えて、この力の本質は人々の「願う心」よりも「信じる心」の方にあるので、噂の内容に反発心を抱いたりこんな現象の実在を知ったりしたらそれはそれでドツボに嵌まりかねないステキ仕様。 『罪』の終盤に流れる地上滅亡の噂を例にとると、 ・自分らを選ばれし者と称して滅亡の到来を望む連中 ・「何とか地上滅亡を止められないのか」と悩む心ある人たち ・「噂が現実化している」という真実を知る主人公たち の全てが&font(){&bold(){「マイヤの託宣が成就すれば地上が滅亡する」と認知することで、その現実化に加担してしまっている}}。どうしろと言うんだ。 ただし完全無欠の力というわけではなく、ある程度「噂」が拡散しないと効果が発揮されず、荒唐無稽な内容ほど「噂」と呼べる規模まで広めるために周到な下準備が欠かせない。 #openclose(show=即ち、「成立までに時間と手間がかかる」という欠点を抱えている。){ もっともこの欠点にさえも先入観の罠があり、確かに時間も手間もかかるのだが、それは必ずしも「噂として広まっていくのに時間がかかる」ことを意味しない。 つまり、「街で囁かれる噂に対してアンテナを張っておけば事前に察知できる」とは限らないのだ。 作中の例を取ると、『罰』で噂の現実化を利用する敵組織・新世塾は、 ・&bold(){JOKER事件による社会不安の醸成} ・&bold(){カリスマ占い師「ワンロン千鶴」という“インフルエンサー”の創出} といった下準備には月単位の膨大な時間と大量のリソースを費やしているが、両者が揃ってからの&bold(){&font(#ff0000,#000000){「JOKER呪いをした者がJOKERになる」}}という「噂」はワンロン千鶴のTV番組での発言後、ほぼ一瞬で広まりきっている。 ここで言う「噂」の本質は伝言ゲームそのものではなく、それによって生じる各人の認知であるため、ある発信を不特定多数が同時に受け取り認知してしまえばそれで現実化すべき「噂」として成立してしまうのだ。 この瞬間的な情報の拡散は、SNSが発達を遂げた現在の方がむしろイメージしやすいだろう。所謂「バズる」とか「炎上」とかいうやつである。 そして、不安と欲望と混乱の拡散が流れに乗ってしまえば最後、爆発的かつ連鎖的に影響が伝染し続け、妄想による現実の侵食を食い止める事は不可能となる。 } その他の欠点としては、「噂」でさえあれば現実化の対象がほぼ無差別で、敵対者(主人公)にとって有利に働く噂さえも現実化してしまう点が挙げられる。 後述の"伯爵"のような化身を見る限り、そういった影響さえもニャルラトホテプの愉悦のスパイスに過ぎないのだろうが。 ちなみに、フィレモンが弱体化し例え消滅しようとも&bold(){コイツには影響がない}。 何このチート。 **&bold(){&font(#ff0000,#000000){シャドウ}} #center(){&bold(){&font(#ff0000,#000000){感じるぞ…お前と、もう1人のお前を。}} &bold(){&font(#ff0000,#000000){俺はお前の影…見ることはできても消せはしない}}} ニャルラトホテプによって具現化した、主人公勢の多重存在。 邪悪で攻撃的な笑みと&bold(){&font(#ff0000,#000000){怪しく輝く赤い瞳}}が特徴。 『罪』では、&bold(){「周防達哉ら5人は仮面党のテロリスト」}という噂に対抗して&bold(){「周防達哉ら5人はテロを止めようとしている正義の味方」}という噂を流した結果、前者がシャドウとして現実化した。 続編の『罰』では、終盤ニャルラトホテプの仕掛けるゲームの駒として召喚され、パーティメンバーの心を揺さぶってくる。 ついでに、引っ掛け問題でプレイヤーの心も揺さぶる。((それまでのメンバーの発言等をよく鑑み、その心情を慮れば正解出来るようになっている。安易に「お約束の展開」や「その逆張り」で読み解こうとしてしまうと、後になるほど引っ掛かりやすくなるので注意。もっとも正解しなくともボス敵の強化以外にゲーム的なデメリットはなく、また正解にはない味わいがあるので、敢えて選んでみるのも一興かもしれない。)) また、『罪』のシャドウは噂によって「本体の偽物」という設定も与えられているので、本体がシャドウを否定したままでも倒せるが、一方では&bold(){本体不在のまま他者がシャドウを否定し打倒した場合、本体が廃人化する}という特性も持つ。 この特性は、『罰』で折に触れて示唆される&bold(){&font(#bf9000,#000000){「光がそうであるように、影もまた人を人たらしめるうえで必要な概念である」}}ことの一端を示している。「光」が差せば「影」は必ずどこかに生じ、「影」がなければ差す「光」も無いのだから。 ニャルラトホテプの影響をダイレクトに受けているためか、総じて行動がニャルラトホテプらしさ全開。 [[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]達が&bold(){「各人の最も隠したい内面の化身」}であったのに対し、こちらのシャドウは&bold(){&font(#ff0000,#000000){「各人の抱える負い目を冷笑する己の暗黒面の化身」}}である。 隠したがっている本音を巧妙な煽動を交えて暴露するのみならず、本体に&bold(){「自らが犯した過ちの認知と清算」}を迫る彼らは、サブタイトルが示すとおり主人公らの&bold(){「}&bold(){&font(#ff0000){罪}}&bold(){の意識」}や&bold(){「自}&bold(){&font(#ff0000){罰}}&bold(){感情」}の具現化とも言える。 そんな彼らを倒すと、倒された事実に驚愕したり己を倒した本体を称賛(!)しながらも、&bold(){「これで終わったと思うなよ」}という忠告とも脅迫とも取れる捨て台詞を吐きながら消えていく。 如何にも悪辣極まりない歪んだ心の具現といった風情だが、実はこれも[[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]達が倒された後で各人のペルソナに変じる事と示す意味は一緒だったりする。 &font(#000000,#ffdc00){&bold(){「己の影と向き合う強い心がシャドウをペルソナとなす」}}ことの裏を返せば、&bold(){&font(#ff0000,#000000){「己の影と向き合いきれなくなったとしたら影はいつでも再び牙を剥く」}}ということ。 影は、今も変わらずそこにいるのだ。 #center(){&bold(){&color(Deepskyblue,#000000){アンビリーバボー……バット、これでジ・エンドじゃない……ボクはいつでも、キミを見ているぞ……!}}} #center(){&font(#ffdc00,#000000){&bold(){分かってると思うけど、これで終わりじゃないからね。光は影と、影は光と離れられはしないんだ……}}} #center(){&bold(){&font(#ff0000,#000000){俺に勝っても影は消せない。影はどこまでもお前に付き纏う。それを忘れるな。}}} また、「仮面党の幹部」という設定に沿って仮面党の終末思想を礼賛するなど、他人の想念によって人物像を歪められている点も[[『ペルソナ4』の影>“影”(ペルソナ4)]]と共通する。 ただし、なまじ歪められているのが明らかであるからこそ、&bold(){それを拡大解釈させてシャドウの言動の全てを嘘っぱちと片付けさせてしまう}という心理的な罠として利用しているのが、ニャルラトホテプのえげつないところ。 主人公たちがまだシャドウという概念にも明るくない、『罪』『罰』を通して最初のシャドウ戦であるシャドウ舞耶戦では、本人を含めた全員がシャドウの全てを偽物と否定し、強迫的とさえ言える前向きさの裏側にある厭世感から目を逸らしてしまった。 &bold(){「憧れのお姉ちゃんの昏い影」}と&bold(){「彼女だけがそれと向き合えていない」}という見たくもない真実を覆い隠す煙幕として&font(#ff0000){&bold(){「10年前に犯した罪に向き合う決意」}}と&font(#ff0000){&bold(){「大切な絆を取り戻した再会の感動」}}を利用した所業は、「嘲笑う者」の面目躍如と言える。 このように、『ペルソナ2』におけるシャドウの最も厄介な特徴は、&bold(){本体だけでなく本体の親しい関係者を積極的に巻き込んでくる}こと。 これにはペルソナ能力の有無は問われない。 本体が他者と関係を築き上げた後にシャドウが登場することも相まり、巻き込まれた者たちも&bold(){&font(#bf9000,#000000){「親しい者の知りたくなかった影を受け入れられるか否か」}}を否応なしに試され、また暴露されることになる。 『ペルソナ2』における影との対峙は本体だけの問題ではなく、&font(#ff0000){&bold(){その場にいる者全てが試される試練}}なのである。 ・&bold(){&font(#ff0000,#000000){リバース・ペルソナ}} シャドウ達が保持する専用ペルソナ。 皆、本体の後期専用ペルソナに対応した外見を有する……というより本体のペルソナの色違い。 能力も本体の後期専用ペルソナとほぼ同等。 専用ペルソナを降魔した状態で彼らとの戦闘に勝利すると、光陰双方に耐性を持つ完全な姿となる((耐性変化は戦闘終了時に専用ペルソナを降魔していれば発生するが、開始時にも降魔していれば、ペルソナ同士の専用会話も見られる。))。 ***&font(#bf9000,#000000){&bold(){メタル}} シャドウの亜種存在。 登場人物が負の感情を向ける人物の姿を形どった見た目で現れるシャドウで、赤く光り輝く目と全身が黄金色の金属でできている不気味な外見が特徴。 名前は&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・〇〇」}}と付けられる。 登場したメタルは、 ・[[栄吉>三科栄吉]]が抱く強権的かつ暴力的な父親像への恐れが生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・ダディ」}} ・淳が抱く母親に捨てられた過去への悲しみが生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・マム」}} ・達哉が抱く親友たちへの罪悪感が生んだ&bold(){&font(#bf9000,#000000){「メタル・フレンズ」}}((メタル・リサ、メタル・栄吉、メタル・淳の3体セット。))。 の3種。 このメタルは、狭義の設定で言えば「シバルバー(アメノトリフネ)を構成する金属が思考を現実化させる性質によって変形したもの」だが、「自分自身ではなく自分の負の感情を投影した他人の姿をしたシャドウ」という広義の意味合いだと、その類似存在はシリーズを通して散見される。 例えば、『罰』のスマルTVで登場した「ストーカー」と「ピアスの少年」は、それぞれエリーの「一方的で身勝手な好意」を向けられた"恐怖"と自分の恋心も「一方的で身勝手な好意」なのではないかという"不安"から生み出されたもの。 また、漫画版『女神異聞録ペルソナ』において、迷いの森で分断された一行の前に現れた「%%イチャコラしながら%%マークをイイ人()扱いする尚也と麻希」「ブラウンの保身を見透かしてバカにする仲間たち」「南条くんの偏見と孤独感に共感してみせる神取」も、仲間たちや神取の秘めた無意識ではなく、それぞれマーク、ブラウン、南条くんの心が生んだメタルと言える。 *【対抗策】 正真正銘の不死にして不滅という特性、狡猾で悪辣極まりない思考回路、天体の動きさえも意のままに操り得る能力……。 正しく理不尽そのものであるニャルラトホテプを制す方法だが、実はワイルドのような特別な資質も、ペルソナ能力すらも必要ない。 それは&font(#ff0000){&bold(){「辛い現実や真実から逃げず、全てを受け入れた上で、なお諦めない」}}こと。 人であれば誰にでも出来うることであり、それ故にニャルラトホテプ相手には特別な資質や能力は無意味と化す。 もっとも、実際にその境地に辿り着くのは並大抵のことではない。 理想、夢、希望、可能性、絆といった「光」を手に入れて成長することで、「自身は『影』を受け入れ克服できた」と自認する者には打倒は不可能。 #openclose(show=何故ならそれは、打ち克ったのではなく、「影との戦いに終わりはない」という『現実』から目を背けただけだからである。){ もっと言えば理想、希望、絆といった事象を「光」、対して妥協、絶望、孤独といった事象を「影」とする二元論な区分け方自体が、既に&bold(){影からの逃避}とさえ言える。 この世に完全なものなどない以上、例えば絆にも負の側面はあり、孤独にも正の側面はある。絆にも孤独にも等しくニャルラトホテプは潜んでおり、フィレモンは宿っているのだ。 ニャルラトホテプとフィレモンの関係を示す「表裏一体」という言葉においては「表裏」が主に強調されるが、同時に「一体」でもある事を忘れてはならない。 ニャルラトホテプは決して「絆(そして孤独)に敵対するもの」ではなく、むしろ&bold(){「絆(そして孤独)そのものの負の半面」}なのだ。強いて敵対者という観点でコイツを表すのであれば「絆にも孤独にも生にも死にも真実にも隠蔽にも叛逆にも怠惰にも……、とにかく全てに等しく敵対するもの」である。 故に、[[この手の悪役の様式美>魔族(スレイヤーズ)]]とも言える[[&bold(){「負の感情から生まれた闇や影こそが偽りなき真なる存在である」}という様なイデオロギー>漏瑚(呪術廻戦)]]はコイツには存在しない。 コイツにとっては闇や影や虚無(つまりは自分自身)さえも弄び、罵倒し、嘲り、否定する対象でしかないのだ。 低きに流される怠惰さや[[真実を覆い隠さんとする望み>イザナギ(ペルソナ4)]]、[[死へと惹かれる衝動>ニュクス・アバター]]と同様に、理不尽への反骨心や真実を求める使命感に生の意義の証明、それらの根幹を成す人と人とのかけがえない絆の全てを自らの一部とし、&bold(){&font(#bf9000,#000000){それら全てを等しく自らの手管として弄ぶ様}}は、後のペルソナシリーズでのメインテーマたちに対する最悪のアンチテーゼ的存在とも言える。 ニャルラトホテプと対峙する者は、 #center(){&font(#ff0000){&bold(){ニャルラトホテプが紡ぐ悪意が生み出す過酷な『現実』や『真実』から目を背けて都合の良い夢物語に逃げず、}}} #center(){&font(#ff0000){&bold(){過酷な現実や世界の無常さと真正面から向き合った上で、それでもなお現実に立ち向かえるか?}}} という逃げ道のない究極の試練と戦わねばならない。 まとめると、&bold(){コイツが際限なく繰り出す悪意の塊みたいな試練の全てを受け止めて、折れず腐らず抗って生きる}ことが、対抗手段です。 『罰』の最終決戦において、大人たちは「(コイツの説く)運命は後出しの予言と何も変わらない」と諭して達哉をその嘲笑が煽る自己否定から立ち上がらせ、打倒後の&bold(){&font(#bf9000,#000000){「人間がいる限り私は消せん…!」}}という捨て台詞に対しても&font(#ff0000){&b(){「お前の居場所がここ(人々の心の深奥)だってことは覚えていてやるから、さっさと消えろ」}}と返している。 これは単に口喧嘩で勝った等という事では勿論ない。ニャルラトホテプというあまりにも巨大な&bold(){影の存在のみならず、その意義までもを否定せず認め受け入れた}からこそ出せた啖呵である。 真の意味で「自らのシャドウを認めて受け入れる」行為とは即ち、自らを含めた人類全てのシャドウである&bold(){「ニャルラトホテプを認めて受け入れる」}ことに他ならないのだ。 } という訳で、ただの居直りでは影の試練から目を背けて逃げただけにしかならず、その事はニャルラトホテプも熟知しているので、狡猾極まりない策を練ってはあの手この手と搦め手を使って陰湿に揺さぶりをかけてくる。 故に攻略は非常に困難。「試練」の名は伊達ではない。 おまけに、そこまでしてこいつの「試練」を乗り越えても、&bold(){&color(#ff0000){その先に待っているのが明るい大団円とは限らない。}} 繰り返しになるが、&bold(){全てを受け入れた上で諦めない心}とは、その場限りな口先の応酬で示すものではない。 達哉が『罰』のエンディングで滅亡した向こう側に独り帰還したように、例え先に待つのが過酷な宿命であっても目を背けず生涯を掛けて向き合い、前に進んでいくことで示し続けるしかないのだ。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){影は見ている……ずっと。ずうっと……}}} *【各作品での行動】 **◆[[異聞録篇>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){フフフ…道に迷いし愚かな男よ…}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){汝が欲する力とやらをくれてやろう}}} この頃は『ペルソナ2』時のような表立った暗躍は行っておらず、事件の首謀者である神取鷹久が有するペルソナとして登場する。 しかし主人公たちとの決戦の最中に暴走し、逆に宿主である神取を乗っ取ってしまう「危険なペルソナ」として描かれた。 この時の見た目はのっぺらぼうの黒い悪魔のような姿。 神取戦後にドロップされる封神具「無貌の仮面」を使用して召喚すると何とペルソナとして行使できるが、彼の異母兄弟にあたる[[城戸玲司]]しか降魔できないので、それ以外のキャラを5人目のメンバーに選んでいると要らない子になってしまう。 **◆[[罪世界(向こう側)>ペルソナ2 罪 -INNOCENT SIN.-]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){全ての人間の自我はここより生まれ、ここに還る。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){つまりは、父たるこの私の中へとな……}}} 『罪』における姿は&bold(){「黒須淳の理想とする父親像」}。 ニャルラトホテプは、淳の本物の父親が死んでから『罪』が始まるまでの10年もの間、淳の理想の父親のフリをして彼を養育していたのである。 淳が歪んだ想い出に踊らされていたのも、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶は達哉たちが社に閉じ込め、放火して殺した」}}とコイツが吹き込んだことが原因。 なお、実際の放火犯はみんな大好き電波っぱこと&font(#ff0000){須藤竜也}。 達哉はこいつに刺されて重傷負うわ、舞耶も生きてはいたものの須藤のせいで大火傷を負うわで散々な目に遭っている。 淳の&bold(){「お姉ちゃん(舞耶)のように夢を与える存在になりたい」}という願いを利用し、「他者の理想を叶える存在」[[ジョーカー>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]に仕立てあげる。 そしてジョーカーに率いさせた仮面党を裏から操り、シバルバー浮上と託宣成就に必要とされるイデアルエナジーを収集。 それと並行して、噂によってラスト・バタリオンを自らの化身として具現化させ、混乱をさらに加速させる。 淳が達哉らと激突した際には、力を望む息子に&bold(){&font(#bf9000,#000000){「天使と呼ばれた者にふさわしい力」}}を与えてエンジェルジョーカーに変貌させた。 淳が敗れた後は、自身に反目した彼からジョーカーとしての力と権限・ペルソナ能力を剥奪し、残存する仮面党員と達哉らのシャドウを配下に据えて本格的な暗躍を始める。 特に珠間瑠市地下に埋まるシバルバー(アメノトリフネ)内は独壇場で、&bold(){「この存在の噂を信じていた、珠間瑠市の住人全員が共有する普遍的無意識の世界の一部」}であり、悪い方向性の思考が優先的に現実化するのはニャルラトホテプの性質の具現化か。 舞耶が&font(#f09199){カニ缶}のことを考えた時に一つだけ降らせたのは、恐らくおちょくっていたか遊んでいたかのどっちか。 そして%%ヒトラー%%フューラーが倒されると、シバルバーの果てにある普遍的無意識の世界で対峙。 この時、ようやく自分の両親が死亡していることに気付きショックに打ちひしがれる淳に、ここぞとばかりに淳の願いの矛盾と、彼の願いによって街が大混乱に陥ったことを嘲笑った。 そして淳の両親を惨殺し、PTメンバーの父親をゴタ混ぜにしたような怪物&bold(){&font(#00ff00,#000000){『グレートファーザー』}}として立ち塞がる。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){ここは私の世界だ。私がお前達の存在を抹消しようと思えば、指一つ動かさず、お前達は消え失せる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){勝ち目が無いと知った上で、それでも私に挑むのか?それも矛盾だ…}} &font(#f09199){&bold(){負けることなんて考えてたら、夢も未来も掴めないわ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){よかろう…父の務めとして最後に少し遊んでやる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の持てる全てで、未来とやらを掴んで見せろ!}} &bold(){僕らの未来}&font(#ffdc00){&bold(){は自分で}}&color(Deepskyblue){&bold(){決める!}} &font(#f09199){&bold(){誰の好きにもさせはしない!}}} そして激戦の末にニャルラトホテプは敗北。 #openclose(show= 達哉たちの示した人の可能性を静かに認め、こうして全ての戦いが終わる……){       &sizex(5){&bold(){訳がなかった。}} 直後。 背後から現れた七姉妹学園の教師・岡村真夜がオリジナルの[[聖槍ロンギヌス>ロンギヌスの槍]]を手にとって舞耶の身体を貫き、彼女を&bold(){殺害}を果たす。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クク…誰でも夢を叶える権利があるか…。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){最後まで幻想に縋り、自分と同じ名の女を捧げた。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){これが、この女の夢だ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){それに免じて、お前たち人間が望んだ、滅びの夢を叶えてやろう!!}}} 舞耶の死を以てマイヤの託宣が成就してしまい、彼女の&font(#f09199){&bold(){「誰でも夢を叶える権利がある」}}という言葉を逆手にとって、全人類が無意識に願う破滅願望を叶えることで世界は&bold(){シバルバーに載った珠間瑠市を残して崩壊した。} 崩壊した世界の中で浮島のように孤立した珠間瑠市も、&bold(){ライフラインの寸断等によって遠からず滅ぶ}ことが『罰』で示唆されており、ある意味『[[if>真・女神転生if...]]』から連なる&bold(){「IでICBMが発射されなかった」世界そのものに終止符を打った。} この段階に至ってさえも、あくまで&bold(){&font(#bf9000,#000000){「人の願いを叶えただけ」}}というスタンスを崩さず、敢えて自分で手を下さないあたりはとことん性悪。 絶望に打ちひしがれる達哉たちに、フィレモンは夏祭りでの出会いそのものを回避することでの『達哉たち5人が交わることがなかった世界(パラレルワールド)』の創造を提案し、達哉たちはそれを承諾した。 この時、達哉だけが&font(#ff0000){&bold(){「忘れたくない…忘れられるものか」「行かないでくれ…独りにしないでくれ」}}と忘却を拒んだ結果、『罰』の世界に綻び(特異点)が生じてしまった。 しかし、その拒絶は前述の「まやかしの希望に縋らない」という条件を辛うじて守る形ともなり、ニャルラトホテプに再戦を挑む権利へと繋がった。 物事のポジティブとネガティブは常に表裏一体であり、完全なポジティブも完全なネガティブも存在しないという摂理がここでも働いたと言える。 ちなみに岡村真夜が舞耶を殺したのは&font(#ff0000){&bold(){「元々自分が生贄になる予定だったが、偶然舞耶が同じ名前だったから」}}。 または&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶が同じ名前だからあいつでもいいんじゃね?」}}とでも吹き込まれた可能性もある。 そもそも、岡村真夜の望みは託宣の実現であり、橿原が正しかったことの証明である。が、自分の死によって成就されるとあっては、本当に正しかったかをその目で確かめることができない。 つまり、元々彼女の願望は文字通り致命的な矛盾を抱えていた。その矛盾を解決する手段として、別の「マイヤの乙女」が死ねばいいというプランは自発にせよ吹き込まれたにせよさぞ渡りに船だったと思われる。 ニャルラトホテプはおそらく水晶髑髏争奪戦辺りでこのプランを発想していたと思われる。 どういうことかというと、「1人では相反する願望の解決手段として、別の誰かを用意すればいい」という方法は&bold(){シャドウという形ですでに実施されていた}からである。 そうすると、シャドウたちの出現は「岡村真夜という相反する願望の持ち主の解決手段は、別の人間に代行させることである」というヒントになっていたと考えることができる。 &bold(){絶対に気付かないと分かってただろうがな!} 「やれやれ、折角私が手の込んだヒントをその身に叩きつけてやったというのに、気づかないとは愚かなことだ」とか絶対言ってる。 何よりも空恐ろしいのは彼が世界を滅ぼすツールとして用意したマイヤの託宣の、最後の一節&bold(){「そして、刻は繰り返す」}。 何が恐ろしいかというと、この一節は世界の滅亡を示すくだりである「後に残るは地上の楽園」の&bold(){さらに後}に記されているのである。 つまり、&bold(){託宣が成就して世界が滅び、その上で達哉たちが因果のリセットを選ぶところまで完璧に見透かしていた}ということで、この予測は見事に的中し、結果フィレモンは後手に回る羽目になった。 } **◆[[罰世界(こちら側)>ペルソナ2 罰 -ETERNAL PUNISHMENT.-]] #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クックックックッ…}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){どうだ、周防達哉!? 罰は気に入ったか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){一緒に戦ってくれなどと、言えるわけがないな?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){この世界が滅びに瀕しているのは、全てお前のせいなのだからな!!}}} 『罪』世界(向こう側)と意図的に分岐させられた『罰』世界(こちら側)とは普遍的無意識の世界を通して繋がり、ニャルラトホテプはこちら側にもちょっかいをかけ始める。 真っ先にちょっかいをかけたのは、相も変わらず森本病院にぶち込まれて強制ヒッキーライフを送っていた&font(#ff0000){須藤竜也}。 こちら側でも父親の英才教育による精神的過負荷ででんぱっぱーとなっていた彼に「電波」として向こう側の存在を囁き始め、結果的に竜也は向こう側の記憶を取り戻すことはなかったものの「こちら側は間違っている」と行動を開始した。 その直後、舞耶との再会によって生まれたデジャ・ヴュから特異点であることを自覚し、ニャルラトホテプの存在と目的を察知した達哉へ名状し難い神話生物を差し向けて弄び始める。 父親の率いる新世塾の噂操作によって[[依頼されて人を殺すJOKER>JOKER(ペルソナ2シリーズ)]]の力を与えられた竜也は、向こう側の展開を再現すべく行動していたが、空の科学館で死亡。 皮肉にも、その最期までも向こう側で辿った末路と酷似していた。 当時拠り所のない達哉にとって数少ない頼れる存在だった宮代詩織も、彼が須藤に与えたJOKERの力によって歯車を狂わされた。 しかも、己の弱さを認めた上で死んだ神取鷹久(&font(#800080){ご丁寧にペルソナはニャルの化身})を蘇らせ、達哉たちにぶつけてくる((ゲーム上では、南条ルートの場合のみ海底遺跡で直接対決する。))など、行動はより陰湿になっている。 神取もそのことを理解しており、海底神殿で[[南条くん>南条圭]]から差し伸べられた手を払い、&bold(){「因果の鎖を断ち切れるかな」}とニャルラトホテプの討伐を遠回しに託した。 本格的に表立って動き出すのは終盤、ラストダンジョンのモナドマンダラ。 こちら側は「達哉たち5人の忘却」((向こう側ではリセット前に死亡していた舞耶は純粋にこちら側の存在なのだが、この条件の趣旨は「向こう側で育んだ仮面党の絆を永遠に手放す」ことなので、舞耶の忘却もカウントされる。))を絶対的な前提として存在する可能性世界。 忘却を誓った4人(と舞耶)の全員が思い出すと前提が成り立たなくなって崩壊してしまうという性質を利用し、栄吉・リサ・淳の3人を人質に取り「ゲーム」を仕掛けてくる。 要約すると&font(#ff0000){&bold(){「各部屋で正しい選択肢を選ばなければシャドウ強化。間違った選択肢を選びすぎると記憶を取り戻す。3人とも思い出すと世界消滅」}}というもの。 うらら&克哉のシャドウが揃って強化されれば栄吉が思い出し、パオフゥ&舞耶のシャドウが強化されればリサが思い出してしまう。 こうして、達哉という特異点によって既に消失寸前まで追い込まれていた世界に止めの一撃を放とうとしていた。 その最終決断をも達哉に投げ渡す当たり、フィレモンの影としての悪辣さがこれでもかと滲み出ている。 なお、全てのシャドウが強化されると最終戦の前座である&bold(){&font(#00ff00,#000000){『月に吼えるもの』}}が最強段階まで強化される。 &font(#ff0000){ハルマゲドンで一発とか言っちゃダメ} 全ての試練を突破し、モナドマンダラ最深部から普遍的無意識の世界に到達した達哉たち一行の前に顕現する。 #center(){ &bold(){&font(#bf9000,#000000){クック…虫のいい話だな?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){辛い事は仲間に押し付け、自分だけは記憶を持ったままでいたいなどと…許しがたい大罪だ}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){罪には罰を下さねばならん。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だから、その女と再び出会う機会を与えてやった。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){仲間達とめぐり合う運命を紡いでやったのだ。}} } プレイヤー視点からも&bold(){&font(#ff0000){「運命」}}的な導きに思えた、『罪』の仲間たちが見守る中で、2人が「再会」する『罪』のエンディングにして『罰』冒頭のシーンさえもが自分の仕込みだったと嘯き、その時の達哉の表情を&bold(){&font(#bf9000,#000000){「最高の見世物だったぞ」}}と嘲笑い、怒りを見せる舞耶にも余裕の表情を崩さない。 #center(){ &bold(){&font(#bf9000,#000000){私が憎いか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){しかし、それもお前達人間が望んだことだ。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の心の底にある滅びの渇望…それが私だ!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){影は、運命に逆らう者を決して許さん。}} } 過去の仲間たちとの絆を利用した策謀の真相を告げながら、「向こう側」での達哉の『罪』を嘲笑い糾弾しながら責めたてる。 達哉が己の罪に苛まれる最中、こちら側で出逢った新たな仲間パオフゥ、克哉、うららは少年を導く「大人」として発破をかけた。 #center(){ &font(#f1c232){&bold(){ああ、うるせえ…}} &font(#f1c232){&bold(){運命運命…同じことしか言えねぇのか…?}} &font(#f1c232){&bold(){いいか、達哉…運命なんてのはな…}} &font(#666666){&bold(){後出しの予言と何も変わらん。}} &font(#666666){&bold(){何かが起こった後で、こう言えばいいんだ…}} &font(#6aa84f){&bold(){「全部運命だった」ってね!}} } 自身の説く『運命』に抗う彼らを滅ぼすべく『月に吠えるもの』の姿へと変貌するが、彼らの発破により達哉はついに真に現実と己の罪に向き合い立ち向かう覚悟と決意を決める。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){[[生に意味などない>ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス]]と知るがいい!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){[[答え>ユニバース(ペルソナ3)]][[など>キミの記憶(川村ゆみ)]]、[[どこにもない>No One is Alone(ペルソナ4)]]と[[泣く>It's Not Empty At All(ペルソナ4)]]がいい!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){ゆえに[[闇>ニュクス・アバター]]があり[[影>“影”(ペルソナ4)]]がある!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){私は、お前たち人間そのものだ!!}} &font(#ff0000){&bold(){俺は、もう二度と背中を見せない…}} &font(#ff0000){&bold(){犯した}}&bold(){[[罪>ペルソナ2 罪 -INNOCENT SIN.-]]}&font(#ff0000){&bold(){にも…}}[[&font(#ff0000){&bold(){自分にも}}>ペルソナ2 罰 -ETERNAL PUNISHMENT.-]]&font(#ff0000){&bold(){だ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){おおおおおおおおおお}&font(#ff0000){おおおおおおおおおおお!!}}} 覚悟を決めた達哉は決意を新たにニャルラトホテプの打倒を誓い、真っ向から対峙したことで、両者は因縁の最終決戦を迎える。 この最終決戦での両者の台詞の応酬は、『ペルソナ2』という作品を締めくくる屈指の名シーンと言って差し支えない。 本来ならば人間の暗黒面の化身故に不滅であるニャルラトホテプが敗北することはない。 しかし「特異点」として自らが嘲笑し弄んでいた達哉らの行動と呼びかけに、己の力の源である(達哉たち自身を含む)街の人々が心を動かされていたことで、死闘の末に有り得ない筈の敗北を喫する。 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クッ……クックックック…ハーッハッハッハ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){なんという!矛盾…!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){これが私の運命だと!?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だが…覚えておけ…!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){宇宙の中心で轟く白痴の塊とは、貴様ら自身だということを…!!}} &sizex(6){&bold(){&font(#bf9000,#000000){貴様等ある限り…私は消せんっ…!!}}}} &font(#bf9000){&bold(){「全ての可能性は影という混沌から生まれる」}}というフィレモンの示唆から、自分の執拗な策謀や嘲弄、底無しの悪意こそが達哉という[[「凡人」を人々の希望たる「超人」へと成長させた「試練」>DJサガラ]]であり、己の敗北を決定付けていたという真実に気づいたニャルラトホテプ。 しかし、それでもその在り方は何ら変わる事はなく、&bold(){「人の価値を否定することで人の成長を促す」}という矛盾に満ちた己が運命と、それを与えた人類をなおも嘲笑いながら、影は遂に普遍的無意識の底に沈み、敗北を認めた。 ちなみにどんな選択肢を選んでも淳だけは絶対に「向こう側」のことを思い出さないが、他の二人が思い出すとEDの一部(アラヤ神社の場面)が変化する。 誰か一人だけ思い出すパターンは、非常に後味が悪い上にやるせない。 栄吉のみが思い出すと&color(Deepskyblue){&bold(){「今度こそギンコや淳を守り抜いてみせる」}}、リサのみが思い出すと&font(#ffdc00){&bold(){「今度こそ、絶対に忘れない」}}とそれぞれが涙ながらに誓う。 二人が思い出すか、一人だけが思い出すか、舞耶だけが覚えているか、どれが一番幸福なのかは分からない。 *【劇中での化身】 原典の邪神になぞらえるかの如く劇中では多くの化身が登場する。 その在り方はそれぞれ『罪』『罰』の黒幕である"奴"こと「自称・本体」が%%お色直し%%端末のガワを取り換えてロールプレイをしているに過ぎないものから、独立した自意識と思惑を持って動くもの、更にその中でも自分が化身という自覚すら持たないものまで様々。 また、一つの前提として&bold(){『ペルソナ2』本編で噂により生まれた存在は全てニャルラトホテプの化身}である。 ここで紹介されているのは代表的なもので、これ以上さらに存在する可能性もある。 **◆&bold(){ゴッド神取} #center(){&font(#bf9000){&bold(){我は神取…ゴッド・神取なり…}}} 『女神異聞録』『罰』に登場。 『女神異聞録』では「デヴァ・ユガ」を作りだして世界中の人間を洗脳し、人類抹殺を企てた男「神取鷹久」が降魔させたペルソナが、逆に神取の心の闇に付け込んで神取を支配下に置き、魔人と化したモノ。 &font(#bf9000){&bold(){「頭頂部から神取の上半身が浮かび上がった、頭と両手だけしかない黄金の巨大観音像」}}とも呼ぶべき奇怪な姿を持つ。 &bold(){「衆生を救う」}という神取の意思と願望が観音の姿を象ったペルソナ。 『罰』ではニャルラトホテプの化身となって蘇生させられた神取のペルソナとして登場。 ボスだった頃の見た目から大きく変化し、&font(#bf9000){&bold(){「引き裂かれた金色の観音像の残骸を纏う、黒く奇怪な人型の怪物」}}というペルソナらしいスマートな外見となった。 例えるなら『罰』のJOKER第二形態以降の変化に相当する存在。 ボロボロの観音像は、神取が死亡した後ニャルラトホテプにより生み出された結果ペルソナが形骸化した事を示している。 **◆&bold(){&font(#800080){羅喉}} #center(){&font(#800080){&bold(){私、見ているだけのあなたとは違いますので。}}} 月刊少年ジャンプで連載されたスピンオフのコミカライズ『ペルソナ 罪と罰』に登場。 物語の黒幕「日下耶雲」に仕えるペルソナ使いとして暗躍した化身。 使用ペルソナは「ディアブル・ド・ラプラス(ラプラスの悪魔)」。 人間はおろか悪魔にすら嫌われるほど厭味ったらしい性格で、自我を持たない悪魔しか配下にいない。 基本的に化身らしからぬ小物の道化に徹していたが、物語の終盤に自らの死を以って事態を最悪の状況に追い込んだ。 化身である事が明確になるのは最終回におけるフィレモンとのやり取りでだが、その際には化身らしい傲岸な目を見せている。 常に敬語で話す慇懃無礼の極みな態度は、ストレートに尊大な化身達の中にあっては意外と新鮮……かもしれない。 **◆&bold(){伯爵} #center(){&font(#ff0000){&bold(){明日が"明るい日"とは誰が決めた?}} &font(#ff0000){&bold(){それある限り、人は不安から逃れられん。}} &font(#ff0000){&bold(){安らぎは遠きあの日にこそあると思わんかね?}}} 『罪』『罰』に登場。 蓮華台ロータスの空き店舗に一夜にして現われたという、謎のアンティークショップ「時間城」の店主。 主人公たちの噂操作によって、武器を商い始めたりスキルカードの複製を始めたりする。 『罪』では淳の最強装備「伝説の花」を噂次第で麻希にあげたり、盗られたり、80万円に値を釣り上げたり、お隣でアロマセラピーを営む香さんにあげたりする。 &font(l){&bold(){何がしたいんだコイツは。}} PSP版『罪』の追加シナリオ『暗影』では、あの手この手で人間を陥れようとする他の化身とは一線を画し、矛盾を内包する混沌の一化身として自らをも嘲笑するというスタンスを表明している。 つまりは悪意を嘲笑う悪意の具現。%%おおぉ…ネガティブをネガるネガティブ…決してポジティブではないぃ……%% 外見や立ち居振舞いの雰囲気がどことなくフィレモンに似ているのもそのスタンスに関係があると思われる。 傍観者としての役割に徹しつつも主人公たちの利になる行動を取るのは、調子に乗って暗躍する自分が痛い目に遭うのを期待してのことなのかもしれない。 #openclose(show= つまり……){ここまで読んでお気づきの方もいるだろうが、『罰』のクライマックスの裏ではこの伯爵が、自己矛盾に気づかす敗北する無様を晒した「自称・本体」を指差しながらイキイキと大爆笑していることになる。 &bold(){「ニャルラトホテプがムカつく」}という怒りや&bold(){「ニャルラトホテプをやり込めてスカッとしたい」}という欲求もまた人心の昏き側面、即ちニャルラトホテプの化身に他ならない。 「人が人である限りニャルラトホテプは不滅」とはつまりそういうことなのだ。 #center(){&font(#ff0000){&bold(){願わくば最後まで、君には走り続けて欲しい。}}} #center(){&font(#ff0000){&bold(){私は試したいのだよ。人が持つ可能性とやらをな。}}} } モデルはおそらく原典のクトゥルフ神話における機械の化身『チクタクマン』((時計を模したモノクルは、原典でのチクタクマンの初出作『I Dream of Wires』における「目が時計の文字盤となっている紳士」という外観が由来と思われる。また、”伯爵“という名称も英語では”count“となり、”計数“−時を刻むことに転じる。))。 **◆&bold(){[[聖槍騎士団「ロンギヌス13」>聖槍騎士団ロンギヌス13(ペルソナ2シリーズ)]]} #center(){&font(#999999){&bold(){フロイライン…どうやら、このシバルバーの秘密に気づき始めたようだな}}} 『罪』に登場。 ラスト・バタリオンに所属する13人構成のパワードスーツ部隊。 ロンギヌスの複製品を装備し、ペルソナを封じる攻撃を仕掛けてくる。 なお、おそらく隊長であるロンギヌス1のみ白い機体となっている。 詳しくは個別項目を参照。 **◆&bold(){&font(#38761d){[[アドルフ・ヒトラー]]/フューラー}} #center(){&font(#38761d){&bold(){大衆は、全てを決定してくれる指導者を欲するのが常よ…}} &font(#38761d){&bold(){先を煩い決を下すのは、苦痛だからなぁ!!}}} 『罪』に登場。 ニャルラトホテプが「噂」を利用して作りだした化身。 仮面党に敵対する勢力&bold(){「ラスト・バタリオン」}の総帥だが、当然アドルフ・ヒトラー本人ではない。 ペルソナ使いでもあり、これも化身の一つである&bold(){&font(#00ff00,#000000){「月に吼えるもの」}}をペルソナとして扱う。 さらにオリジナルの聖槍ロンギヌスも所持しており、特定のアイテムを使わない限り解除されない強力なペルソナ封じを仕掛けてくる。 実は、このロンギヌスの槍には&bold(){「刺されたイエスの遺体から止めどなく血と水が溢れ出し続けた」}という、2,000年もの間を一度も途絶えることなく語り継がれた伝説、即ち「噂」が生んだ効果が発現しており、戦闘中ではその効果を発揮しないものの、急所に受けるとペルソナの回復魔法すら効かず確実に致命傷となる。 『罪』において舞耶がこの槍に刺し貫かれた時、リサによる懸命な治癒が効かなかったのはこの噂の力の為。 海外では流石にアウトだったのか、リメイク版の海外販売にあたって名称が「フューラー((総統という意味))」に変更され、サングラスを装備させられた。 ヒトラーが敵キャラとして関わる創作作品は数あれど、ヒトラー自身が槍を振るって前線に立つゲームはこの作品くらいなものであろう。 付け加えると、ラスト・バタリオンはヒトラーと聖槍騎士団のみならず、末端の構成員に至るまで全員がニャルラトホテプの化身である。 下記の神取も『罰』で復活時は同じようにサングラスで顔を隠していることから、リメイク版における規制も実はニャルラトホテプに深く関連する存在であることを示している絶妙な演出となっている。 **◆&bold(){&font(#ff69b4){名無しの少女}} #center(){&font(#ff69b4){&bold(){随分ね、全部あなた達が決めたんじゃない。}} &font(#ff69b4){&bold(){名無しの少女なんて変な名前も、私が何のために何をするかも。}}} PSP版『罪』の追加シナリオ『暗影』に登場。 外見は、高慢そうな顔をした金髪ロールの女生徒。%%モブ用NPCの使い回しなのはナイショ。%% 『罪』本編開始の数か月前、聖エルミン学園に流れた噂によって生じた化身。 自らを「兆し」と称し、[[園村麻希]]の[[かつての行い>>女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP)]]をあげつらうかのように自らをアイドルと崇めさせる異界を作り出して、そこに教師や生徒たちを引き込んでいた。 達哉たちに時を遡らせた伯爵に&bold(){「化身の一つに過ぎないくせに余計な事をする」}と文句を言う一方、伯爵同様に&bold(){「訳知り顔の"奴"もまた化身の一つに過ぎない」}と示唆するような台詞も吐く。 **◆&bold(){橿原明成(偽)} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){父への懺悔、母への断罪、全てお前が望んだことだ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){もっと喜べ!!矛盾しているぞ!!}}} 『罪』に登場。別名「噂パパ」。 橿原明成とは、黒須淳の父であり、岡村真夜と&font(#ff0000){須藤竜也}の2人と共に事件の核心に関わる奇書「イン・ラケチ」を執筆した世界史教師。 本人は本編開始の10年前に死亡しているが、ニャルラトホテプに魂を囚われた結果、数多ある化身の1つに成り果てた。 本編開始の10年前に&bold(){「理想の父親像」}として淳が仲間についた嘘、そして当時の子供たちの噂から「淳の理想とする父親」の姿を取って実体化。 すでに他界していた本物の父と息子を捨てた母の代わりに、10年もの間「理想の父親」として淳を養育しながら、淳に偽りの記憶を吹き込んで歪んだ想い出で踊らせ、『罪』本編における一連の騒動を巻き起こした。 シバルバー内で正体を明かした際は&bold(){&font(#bf9000,#000000){「感動の対面だぞ、泣けよ」}}とばかりに捕らえていた黒須純子と本物の橿原明成の魂を呼び出し、残酷な真実を嘲笑いながら淳に告げ、精神がボロボロになり動けない淳の代わりとばかりに二人を「断罪」と称して魂を完全に抹消。 この心を徹底的に踏みにじる非道極まりない残忍さから舞耶を心底激怒させるも、 #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){矛盾だな。何者をも許す広い心がお前の専売特許ではないのか?}}} と返し、逆に彼女を皮肉るなど悪辣さは留まることを知らない。 そして己を&bold(){&font(#00ff00,#000000){「グレートファーザー」}}へと変貌させ、舞耶たちに最終決戦を挑んだ。 なお上述したようにヒトラーとその配下も等しくニャルラトホテプの化身であるというだけでなく、『罪』の劇中で中核を担ったアイテムである水晶髑髏やシバルバーさえも、全てがニャルラトホテプの一部でしかなかった。 イデアルエナジーの収集もマイヤの託宣の成就でさえもそれ自体に大した意味はなく、仮面党の活動もラスト・バタリオンとの闘争も、世界の滅亡というネガティブの極致な誇大妄想を大衆に「噂」させるための&bold(){壮大な三文芝居}だったのだ。 ** ◆&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){ニャルラトホテプ(ペルソナ体)}} #center{&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){忘れるな…お前はジョーカーだ…殺せ…殺せ…殺せ…}}} 『罪』に登場。 ジョーカーである淳のペルソナとして具現化した姿。 劇中ではペルソナとしての名称は出るものの化身とは明言されず、後に関連書籍でニャルラトホテプの化身だと明かされている。 外見は白黒のモノトーンを基調としたスマートなペルソナらしい外見で、体の各部にはニャルラトホテプの化身に見られる青白い斑点模様がある。 目元の血涙や左胸の心臓マークに刺さった無数のナイフが、淳の傷ついた心を表している。 **◆&bold(){神取鷹久} #center(){&bold(){追い掛けたまえと言いたいところだが今は使われる身…このまま返すわけにもいかん。} &bold(){お相手願おう。}} CV:山野井仁 / 小杉十郎太 『罰』に登場。 秘密結社「新世塾」幹部の一人にして、『女神異聞録』で「セベク・スキャンダル」を引き起こした張本人。 ペルソナの知識(人工的なペルソナの付与方法)を欲した竜蔵により、噂の力で復活させられ、表向きは竜蔵の秘書「神条久鷹」として暗躍していた。 また、ほぼ目的通りの機能を持たせて完成した&bold(){「プチ・デヴァシステム」}という転送装置ももたらしている。 ニャルラトホテプに魅入られた者の業なのか、黒いサングラスの下には眼球はなく真っ暗な眼窩があるだけである。 新世塾が傾倒している存在の実態を理解したうえで狂言回しに撤し、南条からの憐れみをも&bold(){「光には光の…影には影の役割がある」}と称して受け止め、敢えて舞耶らと敵対する。 使用するペルソナはニャルラトホテプの化身の一つ&font(#bf9000){&bold(){「ゴッド・神取」}}。 **◆&bold(){御前} #center(){&font(#cc0000){&bold(){我の眠りを覚ます者は、何者ぞぉぉぉぉぉ!?}}} 『罰』に登場。 須藤竜蔵ら新世塾なの古参幹部たちが崇拝していた、戦国武将「澄丸清忠」の首のみの木乃伊の姿をした化身。 竜蔵らに「啓示」を与えて新世塾を凶行に走らせた張本人。 彼らが御前から受ける啓示は、ニャルラトホテプからの「破滅への誘い」である。 御神体という立場を利用して竜蔵らを「啓示」によって巧みに操り、&bold(){「向こう側の歴史をトレースさせる」}ように噂を広めさせ、珠閒瑠市を「アメノトリフネ」として浮上させる。 そして本丸公園に現れた珠閒瑠城で「操龍の神事」を行わせ、珠閒瑠市以外の世界を滅ぼさせようとした。 竜蔵に神事の生贄として彼以外の幹部を斬り殺させた後は、用済みとばかりに彼を自身の眷属「忌まわしき狩人」へと変貌させた。 また、新世塾に幹部として属していた菅原陸将にXシリーズを供給させた後、用済みと見做したのか彼を冒していた末期癌の癌細胞を変異させ、彼の望む不老不死を与えた。 竜蔵が敗れると幹部たちの穢れを取り込み、御前の首から異形の四足獣めいた身体を生やす、甲冑風の甲殻でその身を鎧った怪物となって襲いかかってくる。 この化身に限っては、伝承上の存在を元にしたものであり、&bold(){その伝承を利用することで一撃で滅ぼすことができる}…のだが、条件が非常に面倒くさい((伝承を体現する合体魔法を使用するために特定のペルソナ3体が必要なのだが、そのうち1体の作成条件がひたすら厳しい。まず、序盤のダンジョンである条件を満たしておく必要があり、やり損ねると当然アウト。さらには入手難易度が高いFOOLのタロットを4枚も用意する必要がある。しかも、これだけやって獲得できるペルソナはハッキリ言ってザコ。用が済んだらとっととカルマリングに変えられる運命である。))。 **◆&bold(){周防達哉(偽)} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){どうした?また殻に閉じ籠り逃げるのか?}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){その女と出会い、記憶を取り戻した時のお前の顔 最高の見ものだったぞ!}}} 『罰』に登場。 御前を倒した後モナドマンダラに送られた達哉一行の前に顕現した、周防達哉の姿を模した化身。 『罰』での達哉が&font(#ff0000){真っ赤な}%%バッテンジャージ%%&font(#ff0000){ライダースーツ}を着用しているのに対してこちらのセブンスの制服を着た姿は『罪』の達哉を意識したものだろうが、悪意に満ちた金色の眼や冷笑を貼り付けた表情など、見た目の印象は本物とは全く別物。 &bold(){&font(#bf9000,#000000){「達哉のことが気に入ったからこんな姿になった」}}とのことだが、ここでの「気に入った」とは、&bold(){「格好の玩具」}としての意味合いであろう。 この姿でも悪意に満ちた本性を存分に発揮しており、罰世界での達哉やその仲間達の姿に変化したり、罪世界の達哉の仲間を利用した悪趣味極まる「ゲーム」を実行したりと、一行を言葉巧みに嘲笑い翻弄した。 **◆&bold(){無貌の神} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){二兎を追うものは一兎を得んと、一度教えたぞ。学習能力のない奴だ}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){だが良かろう。それほど返して欲しければ返してやる}}} PSP版『罰』の追加シナリオ『無影無踪』に登場。 普遍的無意識の海へ散ってしまった宮代詩織の精神を取り戻すために向かったカダスマンダラの最終局面にて達哉達の前に立ちはだかる。 その見た目は女神転生シリーズにおいて登場した時と全く同じ黒い体表に赤い翼を生やした悪魔の姿で、ファンにとっては懐かしいものである。 詩織の最後の心の一部を返せと叫ぶ達哉に&bold(){&font(#bf9000,#000000){「あれだけ救いたかった現実の世界がここにいる間にも滅びるぞ? 舞耶さえいれば他はどうでもいいのか?」}}などと責め立てた上で、達哉の望み通りと言わんばかりに詩織の反影を実体化させるのだが…。 #center(){&bold(){「邪魔しないで拓也。外しちゃったじゃない」}} 何と「向こう側」と同じように詩織にも聖槍を持たせて舞耶を不意打ちで殺させようとしたのである。 あわや「向こう側」と同じ悲劇が繰り返されそうになったが、今回は以前の経験が活きたのか間一髪で阻止することができた。 …が、ニャルの悪意と非道さはこれに終わらず「向こう側」の淳の時と同じように&bold(){&font(#bf9000,#000000){「返して欲しいと言ったから返したんだ。喜べよ」}}と嘲笑った挙句、&bold(){&font(#bf9000,#000000){「舞耶かその哀れな女かどちらか好きな方を選べ」}}と達哉の心を徹底的に踏みにじった。((『ペルソナ3』以降のコミュやコープで例えると、「それぞれとの絆がどれぐらい大事かのランキング付けを無理やりハッキリさせた挙句、当人たちの前でそれを発表させる」が如き所業。えげつなさが股がけの修羅場どころではない。)) このあまりにもえげつない行為に舞耶達は激怒し、精神をボロボロにされて動けない達哉抜きで立ち向かうことになる。 しかし、これも化身の一つでしかないため、倒されても余裕の態度を崩さずモナドマンダラで待つと言い残して去っていった。 #center(){#bold(){&font(#bf9000,#000000){クックッ…座興はここまでにしておこう。さあ、早く覚醒の世界へ戻るがいい。早々に化身ではなく私直々に相手をしてやろう} &font(#bf9000,#000000){待っているぞ。待っているぞ…} &font(#bf9000,#000000){フハハハハハハハハ…}}} *【ラスボスとしての形態】 **◆&bold(){&font(#00ff00,#000000){ニャルラトホテプ・月に吼えるもの}} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){クックック…ハーハッハッハッ!!}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){人形風情が!過去、私に同じ事を言った者達がどうなったか教えてやろう!!}}} 『罪』『罰』に登場。 自らの本性を剥き出しにした際に姿を現す化身。 『罪』ではヒトラーのペルソナとして、『罰』では最終決戦におけるニャルラトホテプの第一形態として登場した。 元ネタはクトゥルフ神話版ニャルラトホテプの化身の1つ「血塗られた舌」。 ボスとしてはモナドマンダラでシャドウとの会話で選んだ内容次第で、 『罪』のメンバー達が記憶を取り戻した人数によってステータスや使用技が3パターンで変化する。 最弱状態だと使用技も少ないが強化一段階で防御を無視するガードパニッシュを使うようになり、最強状態だと弱点もなくなってしまう。 **◆&bold(){&font(#00ff00,#000000){グレートファーザー}} #center(){&bold(){&font(#bf9000,#000000){よかろう…父の務めとして最後に少し遊んでやる。}} &bold(){&font(#bf9000,#000000){お前達の持てる全てで、未来とやらを掴んで見せろ!}}} 『罪』に登場。 ニャルラトホテプの戦闘時における化身の一つであり、『罪』のラスボス。 外見は『月に吠えるもの』の頭部を橿原明成の姿を模したニャルラトホテプ本体が務め、四肢が達哉以外の父親の姿になった異様な外見。 メインキャラクター達が「父親」に対して抱くネガティブなイメージをひとかたまりにした怪物。((淳のみ本物と偽物の両方がいるのは、彼にとってどちらも父親だから。父子として共に過ごした10年間を「化身によるごっこ遊びだった」という真実一つで割り切れないのもまた、絆を尊ぶ人の心の表れである。逆に言うと達哉の父親だけいないのは……)) 由来はユング心理学において「越えるべき壁」の象徴である「原父」の原型であろう。 更には、フランスの心理学者ラカンが提唱した「どうにもならない現実」の象徴である「父の名」の要素までも含んでいると思われる。 イラスト版で見ると、&bold(){いい齢こいた中年のおっさん数人が黒ボンテージファッションを着こんで組体操しているように見え、&font(#ff0000){非常にキモイ}。} ボスとしては本体を含めた5つのパーツと同時に戦うことになる。 1ターンで事実上の5回攻撃を繰り出してくるため、非常に手数が多い。 全員がそれぞれ特殊な専用技を使ってくるのが特徴で、 -本体が使う味方に与えられるHPダメージをしばらく極小SPダメージに変換する『失意の悪夢』 -淳パパが使う、淳のみを魅了する『迷妄のチャネリング』 -舞耶パパが使う、舞耶のみ眠らせる効果がある全体攻撃『追憶の波動』 -栄吉パパが使う単体18連続の極小ダメージ技『マスター18』 -ギンコパパが使う全体即死攻撃の『シールズレイド』 など、実に個性的。 特にギンコパパのシールズレイドは下手すると一気に全滅する可能性もあるので厄介。 反面、本体の失意の悪夢はしばらくの間HPを減らされる機会が減るのでチャンスタイムとなる。 **◆&bold(){&font(#009cff,#000000){ニャルラトホテプ・這いよる混沌}} #center(){&bold(){&font(#009cff,#000000){ふはははは!実に!愉快!!}} &bold(){&font(#009cff,#000000){私にこの姿を晒させたのはお前達が初めてだ…最高の賛辞を抱いて死ねぃ!}}} 『罰』に登場。 ニャルラトホテプの最終形態にして真の姿。 無情な現実と真実全てを真に受け入れ成長し、覚悟を決めた達哉たちの前に立ち塞がった『罰』のラスボス。 その見た目は、自身の顔の代わりに仮面めいた無機質な人面が全身に無数に浮かび、下半身から蛸のように無数の触手を生やした異形の人型の黒い影。 &bold(){「明確な顔が無いからこそ誰にでもなれる」}という『ペルソナ2』におけるニャルラトホテプの性質を体現した姿とされる。 ちなみに&bold(){&font(#00ff00,#000000){『月に吼えるもの』}}や&bold(){&font(#00ff00,#000000){グレートファーザー}}、淳のジョーカーのペルソナや『罰』でのゴッド・神取には共通したデザインとして体のどこかに蛸の吸盤のような青白い斑点模様の列があり、恐らくこの青白い斑点もこの姿の時の無数の人面が簡略化されたものだと思われる。 ボスとしては前作のグレートファーザーと違い、5vs1のバトル。 上記の月に吠えるものからの2連戦であり、回復などもできないので前哨戦で消耗していると戦況にかなり響く。 前作と違って小細工なしの真っ向勝負といった感じの戦いで『拡散閃影殺』『刻の車輪』『カオスエレメント』『這いよる混沌』など、強力な技が目白押し。 他にも全体デバフやペルソナチェンジを封じる『運命の車輪』といった搦め手も時折使ってくる。後者はペルソナチェンジをしない人にとってはラッキータイム。 手数こそ減っているものの単体での攻撃能力はこっちの方が上で、正統派なラスボスに相応しい強さを持つ。 *【余談】 ・上記の通り多種多様な化身がいるが、他にも化身として青葉区ダブルスラッシュで「ワンロン占いをしてくれる女の子」がそれだとする意見がある。&br()誕生月入力時に「イアイアハスタア」と入力するとあからさまに取り乱し、召喚必須マテリアルカード「キングインイエロー」をくれる。&br()だが「キングインイエロー」で召喚できるのはクトゥルフ神話上ニャルラトホテプと敵対関係にある「黄衣の王」ハスターであり、逆にフィレモンの化身ではないかとする説もある。 ・PSP版追加シナリオのアディショナルシナリオにおいて、心が四散してしまった詩織の救出へ向かったカダスマンダラの元ネタは、クトゥルフ神話を作り出したハワード・フィリップス・ラヴクラフト原作の小説『未知なるカダスを夢に求めて』。&br()主人公ランドルフ・カーターが、深い眠りの底にある世界「ドリームランド」へ没入していく物語であり、時系列的に後日譚に当たる「銀の鍵」でカーターは、このドリームランドに深入りしすぎたために現実世界では行方不明となる。&br()&br()カーターが目指し、ドリームランドへ入れる「夢見る人」の中で唯一到達できた最終目的地がタイトルにあるカダスであり、それは&bold(){ニャルラトホテプが治める城}である。&br()カダスとドリームランドが存在する「夢」を本作における「普遍的無意識世界」とすれば、ニャルラトホテプはまさしく人間の意識の底にいるということになる。&br()&br()さらなる余談であるが、カーターに限らずドリームランドを追い求めて深入りしすぎた「夢見る人」は&bold(){全員残らず現実世界で破滅し、ドリームランドの住人に成り果てている}。ギリシア神話では眠り(夢)と死は隣り合わせとされているが、それに引っ掛けているのではないかという考察もある。&br()&bold(){そんな魔境にあるニャルラトホテプの城のど真ん中で支店を開くサトミタダシはどうかしている。} ・ファンの間では、&bold(){「竜蔵が欲した『人工的なペルソナ能力の付与』や『人型戦車の開発』は『ペルソナ3』における桐条グループの持つ技術と同一ものではないか」}、&bold(){「神取が新世塾にもたらしたそれらのデータを竜蔵に協力していた南条コンツェルンが回収し、更に分家として繋がりのある桐条グループへ流したのではないか」}という説があるが、憶測の域を出ていない。&br()&br()ただ、漫画版では同じく破滅への流れの中で生み出されたペルソナを刈り取る力「グリム・リーパー」などに関する技術が南条に流れたことが語られており、その辺のノウハウ自体はあったと思われる。 ・勘違いされがちだが、『罪』世界にて「舞耶を守り切れなかったこと」や「世界の破滅を防げなかったこと」は、あくまでニャルラトホテプからの試練の一環であり、これらを味わったことはニャルラトホテプに対する敗北ではない。&br()真の敗北とは、&b(){「無常な現実(仲間の死、世界の滅亡)を受け入れられず、仲間との再会の約束を言い訳にして『世界のリセット』を選んでしまったこと」}に他ならない。&br()……まあ元々正真正銘普通の高校生だった『罪』世界の面々に、ニャルラトホテプが生み出した過酷な現実から目を背けるなという方が無理ゲーとも言えるのだが。&br()&br()さらに、&b(){「5人全員が記憶を取り戻せば『リセット』は無効となる」}という最重要事項を伏せながらこの「リセット」を唆したのはニャルラトホテプではなく、&font(#ff0000){&b(){立場的に本来味方側であるはずのフィレモン}}である。&br()ニャルラトホテプとフィレモンは、互いに対極に位置する対存在であると同時に、両者共に&b(){人類に試練を与える共犯者}でもあるのだ。&br()&br()そもそも、前述の通りニャルラトホテプの試練に打ち克つ方法は「逃避のための逃避をしないこと」である。にも拘らず、フィレモンは10年前にペルソナ様をやった事実(=ニャルラトホテプに抗う力)ごとなかったことにしようとしており、これは達哉らに対する慈悲などではなく、&bold(){&font(#bf9000){「もうお前らじゃ無理だからいいや」}という見限りに近い扱い}、或いはそこまでは言わずとも&bold(){&font(#bf9000){「君たちのように強い人間ならこんな誘惑に乗らないって、私は信じてるよ!」}というありがた迷惑な信頼に基づく試練}と取ることもできる。 追記・修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,58) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }

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