フェレンギ人

「フェレンギ人」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

フェレンギ人 - (2022/07/03 (日) 11:46:13) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

&font(#6495ED){登録日}:2022/07/03 (日) 02:35:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&sizex(5){&bold(){&color(#008000){金儲けの秘訣 第一条}}}} #center(){&sizex(5){&bold(){&color(#008000){"もし金目のものを拾ったら、絶対に返さないこと"}}}} フェレンギ人とはアメリカ合衆国制作のSFドラマ、[[スター・トレックシリーズ>スタートレック(ドラマシリーズ)]]に登場する架空の異星人である。 初出は新スター・トレック(STAR TREK THE NEXT GENERATIONS)、S1 Ep5「謎の宇宙生命体("The Last Outpost")」。 ***&font(#008000){⬢概要} 新スター・トレック(TNG)より登場する、アルファ宇宙域における最大の資本主義国家、&bold(){フェレンギ同盟}を構成する知的種族である。 母星は惑星フェレンギナー。 シリーズ中ではディープ・スペース・ナイン(DS9)に多く出演し、ヴォイジャー(VOY)、エンタープライズ(ENT)、にも登場。最新作のディスカバリー(DIS)、ピカード(PIC)にも登場している。 24世紀においては惑星連邦(地球を中心にした恒星間連邦)をはじめとして、多くの種族で貨幣経済が廃止、または縮小されているなか、フェレンギ同盟は依然として利益至上主義を国是とした資本主義経済を維持する、銀河系における商人の国家である。 ***&font(#008000){⬢生態} 総じて背は低く、概ね160cm前後。(&link_anchor(*1){*1}) 一見して最大の特徴といえば、その巨大な耳である。 地球でいうコアラに近いサイズ感であり、見た目通り鋭敏な聴覚を持ち、種族単位で耳を神聖視する文化がある。 ちなみに耳は性感帯でもあり、これを愛撫する行為はウーマックス("Oo-mox")と呼ぶ。 肌の色はくすんだ黄褐色。見ようによっては緑色の皮膚にもとれる。 体毛はなく、シワの多い団子鼻、大きな頭蓋に、尖った歯と、さながらゴブリンのような風貌である。 小脳は4つに分かれており、その複雑な思考は、強力なテレパスであるベタゾイドですら読み取ることは困難である。 高度な(主に損益の)計算に長けている。 小柄だが体力面では地球人を凌ぐものがあり、筋力は意外に強く、また多くの感染症に対して免疫を持っている。 反対に種族特有の感染症も存在する。特に耳は繊細で病気にかかりやすく、悪くすれば死亡することすらある。 ***&font(#008000){⬢国政} フェレンギ同盟は、アルファ宇宙域においても特に突出した、強力な資本主義経済による国家体制をとる。 その歴史は1万年以上にもなる。 その中枢は首都に存在する「商いの塔」という中央官庁で、自国の経済運営を指揮している。 国家というよりは一企業というべき体制であり、国家元首であるグランド・ネーガスはCEOと捉えることができる。 実際、アルファ、ベータ宇宙域において幅広い取引に参入し、フェレンギ政府が直接的に利益をあげ、国家財政を支えている。 グランド・ネーガスは全フェレンギの頂点に立つ最高権力者であり、金儲けの秘訣(後述)を改定する権限すら持つが、同時にフェレンギ経済の運営と発展にも責任を負っている。 その極端な例として、かつてグランド・ネーガス・スミートは、フェレンギ経済の市場を暴落させたとして、唯一在職中に暗殺されている。 政府機関として、フェレンギ同盟の商取引を監督する、フェレンギ会計監査局、通称FCA(&link_anchor(*2){*2})が存在する。(後述) またフェレンギ同盟が発行している独自通貨のラチナム(後述)は、価値が比較的安定しており、フェレンギ人が関与しない取引にも用いられる。アルファ、ベータ宇宙域における基軸通貨の地位を確立している(&link_anchor(*3){*3})ことからも、フェレンギ同盟の経済的影響力が伺える。 意外なことに、これまで税制が存在しなかった。 潤沢な資源があるというわけではなく、自由な商取引を阻害するという理念(&link_anchor(*4){*4})から、税の徴収は長らく行なわれなかった。 そのせいもあってか、公共サービスの類は充実しているとは言えなかった。 適者生存、自主独立の考えから、社会保障などは存在しない。 そもそも商いの塔に赴くにあたっては、入庁→エレベーターの利用→受付→待合の椅子の利用→役人等との面会と、全ての手続き毎に料金がかかる。 事務手続きに手数料がかかるのは現実の役所でも同じであるが、フェレンギ社会の場合はとにかく何をするにも、あるいは何をしてもらうにも金が要る、という徹底したコスト意識が根付いている。 フェレンギ人のクワークも「タダで診る医者なんて信用できない」として、宇宙艦隊の医師の診療を渋っていた。 ***&font(#008000){⬢金儲けの秘訣} 初代グランド・ネーガスのギントが制定した、フェレンギ経済の理念を示した金言集であり、事実上、フェレンギ同盟の憲法のような地位を得ている。(&link_anchor(*5){*5}) 冒頭に記したのは、この金儲けの秘訣の第一条である。 現代的地球人の倫理観からすると、初っ端からとんでもない内容が記されているが、以下に続く条文はと言えば、 #center(){ 第三条 必要以上の費用を費やして、物を買うな 第十七条 契約は絶対に破るなかれ、相手がフェレンギ人である限り 第二十一条 友情を金儲けに優先させてはならない 第三十四条 戦争は商売のチャンス 第三十五条 平和は商売のチャンス 第九十八条 買収できない者はいない 第百六十八条 成功したけりゃ内密に 第二百二十九条 愛は錆びるが金は錆びない } と、フェレンギ社会における商業哲学が、拝金主義的観点から延々と説かれている。 24世紀時点で285条まで存在する。 フェレンギ人&font(b){男性}は、物心つく頃には(&link_anchor(*6){*6})、必ずこの全項目を暗記するよう教えられる。 全てのフェレンギ人はこの国是に基づいて商売を行い、利益を上げなければならない、と社会通念上規定されている。(&link_anchor(*7){*7}) これに反し、人道的に、博愛主義的に行動することは許されず、フェレンギの恥として糾弾されかねない。 フェレンギ人の聖典である。 ***&font(#008000){⬢文化・民族性} 全般的に金儲け至上主義で、欺くこと、人を出し抜くことには抵抗がない。 武器商を営み、敵対する双方の勢力に兵器を売りつけることも、フェレンギの倫理観にはなんら抵触しない。(&link_anchor(*8){*8}) これらは他種族にもよく知られた精神性で、特に名誉を重んじる24世紀のクリンゴンとは、壊滅的に相性が悪い。 物質連続体という概念が存在し、それはあらゆる世界を川のように流れ、必要な場所に必要なものを満たしていく、大宇宙を結びつけるパワーである、とされる。 その流れを読み船を操ることで、船は必要なもので満たされる、というわけだ。 金儲けの秘訣と並んでフェレンギ人がはじめに覚える基本概念である。 実際にフェレンギ人はアルファ、ベータ宇宙域の広域にビジネスネットワークを張り巡らせており、顧客が求める商品を見つけ出すことには天才的な能力を発揮する。 正直ではないし、報酬は概して高額だが、顧客の期待には応える有能な宇宙ディーラー、ともいえるのだ。 フェレンギ人は未知の領域であるガンマ宇宙域にも、積極的に販路を拡大した。未だ連邦がガンマ宇宙域への進出を本格化させていないときから、すでに複数の種族と交易を結んでいた。 デルタ宇宙域において勢力を広げる[[ボーグ集合体>ボーグ(スタートレック)]]とは、かなり早い段階で接触したようで、割り振られた生命体番号はなんと180である。 これは種族名が分かっている中では最も若い番号である。 続いて判明している種族はデルタ宇宙域由来ばかりであり、アルファ宇宙域由来となると、[[バルカン人>バルカン人]]が生命体3259に名を連ねている。 他種族に先んじて、これ程初期にボーグと接触した経緯については分かっていない。 接触したフェレンギ人は一体どこまで商売に行ってたのだろう。 雇用者と労働者の関係性は、完全な雇用者優位社会であり、労働契約を結んだ以上、それがどれだけ非人道的な条件であっても、フェレンギ社会においては全く問題とされない。(&link_anchor(*9){*9}) 労働組合の結成や、労使交渉などはそもそも禁じられており、労働契約にもとる行為は労使いずれの立場においても、FCAの摘発の対象となる。(&link_anchor(*10){*10}) 要するに、使われるのが嫌なら自分で事業を興せ、というわけである。(&link_anchor(*11){*11}) またフェレンギ社会は徹底した男尊女卑社会である。 女性の権利などはこれまで顧みられたことがなく、女性は商売も、旅行も、室内で服を着ることも、公式の場で男性に発言することも許されていなかった。 フェレンギ男性との結婚は原則有期契約であり、さらに女性は「権利放棄証書」に署名し、一切の財産は放棄しなければならないとされる。 しかし、これらの慣習は後に大きく改革されることになる。 食文化はやっぱりゲテモノ寄り。&font(l){スター・トレックの異星人はこんなんばっか。} 昆虫食が主食で、メニューといえば地虫のゼリー寄せ、ナメクジのレバー、蚤のフレーク、カタツムリジュース等々…… 母星フェレンギナーは高温多湿の気候で、登場するたび雷雨というジメジメした(&link_anchor(*12){*12})環境である。 恐らくこの気候故に農業や畜産業が発展せず、また昆虫を噛み砕く牙と、栄養を効率的に消費する小柄な体格に進化したのではないかと思われる。 スラッグ・オ・コーラという飲料もメジャーでよく飲まれている。(&link_anchor(*13){*13}) 嗅ぎタバコとしてヒューパイリアン・ビートル(&link_anchor(*14){*14})の粉末の嗅ぎタバコが有名で、フェレンギ政府も出資している描写がある。 フェレンギの死生観も独特のものがある。 死んだフェレンギの魂は、聖なる宝物殿あるいは永遠なる貧困のいずれかに流れていき、これがいわゆる天国と地獄に相当する。 聖なる宝物殿では生前の利益の会計監査が行われ、来世の命を競り落とすオークションに参加できるとされる。 永遠なる貧困については……敢えて説明する必要ないだろう。 ちなみにその遺体は乾燥処理の上、粉末状にする等して売りに出される。 生前に多く儲けた者ほど高値がつくらしい。 このため遺体は可能な限り損傷させないことが望ましいとされる。 娯楽面においては、ダボ、トンゴ、ホロスイートが有名。 ダボはルーレットに似たギャンブル、トンゴは商取引をモチーフにした対戦ゲーム、ホロスイートはいわゆるホログラムによるVRゲームである。 ちなみにクワークがよく勧めるホロスイートプログラムは、「バルカン 愛の奴隷」シリーズ。曰く、「内容はぶっ飛んでる」。 ***&font(#008000){⬢科学・軍事} 経済面以外において、例えば科学技術については、これも高い水準にあると言える。 ワープ技術そのものは他種族から買い付けたものらしいが、それ以外では超フェイズシールドの開発、プラズマスチー厶の運用など、特徴的で強力な兵器を生みだしている。 フェレンギにも軍が存在するが、その任務は国土の防衛というよりは、宇宙におけるフェレンギ人の商取引の保護、または貿易交渉の使節としての性格が強い。 フェレンギ軍の主たる艦船はマローダー(&link_anchor(*15){*15})と呼ばれ、艦長はデイモンという。階級は金で買われる。 デコラ級マローダーなどは連邦宇宙艦隊の最新鋭艦、[[エンタープライズD(ギャラクシー級)>U.S.S エンタープライズ(スタートレック)]]とも互角に渡り合うなど、その戦闘力も侮れない。 フェレンギの法によれば、難破船を発見した場合、その積荷は救助船に所有権が移ると規定されているらしく、無理矢理にでも難破させて積荷を強奪しようという乱暴なフェレンギ人も存在する。 しかしながら、他国と交戦状態に突入することは回避する傾向にあり、特定の国家・勢力と対立関係になることは基本的にない。 これは平和主義というよりは、自国が交戦当事国となると利益にならない、という原則に基づいている。 戦争はビジネスチャンスではあるが、それは前線に立たないからこそ成立する利益であり、明らかに不利益で、かつ回避できるならば、フェレンギは逃亡や交渉を選択する傾向が強い。 金儲けの秘訣の第百二十五条にある通り、「死んだら儲けようがない」のである。(&link_anchor(*16){*16}) ***&font(#008000){⬢ラチナム} 僅かながらに産出される希少金属の名称で、転じてフェレンギ同盟が発行する通貨の名称。(&link_anchor(*17){*17}) この物質はレプリケーター(物質複製機)による複製が不可能であることから、通常の貨幣や貴金属にはない稀少性を担保でき、アルファ、ベータ宇宙域における通貨として広く普及した。 ラチナムの初言及が、他種族のクリンゴンによるもの(&link_anchor(*18){*18})だったことからも、その公共性が伺える。 後には連邦の士官が、個人的な賭けに利用する描写すらある。 言うなれば現在の米ドルに近い扱いであろうか。 純粋ラチナムは水銀様の液状で、これを無価値な金に懸濁させることで固体状に成形し、流通性を高めている。 成形品の種類はコイン、ストリップ、バーの三種があり、それぞれ2000:20:1のレートで交換できる。 純粋ラチナムの含有量は見た目ほど多くはないようで、ワンショット程度の量でバー100本分の価値とされる。 以前の通貨危機に際しては通貨の切り下げ(&link_anchor(*19){*19})が行なわれたことから、フェレンギ政府が対他種族通貨との為替レートを決定する固定相場制をとっているとも考えられる。 先述のとおり、ラチナムはレプリケーターで複製ができないが、同じ系統の技術である転送装置による再物質化は実現している可能性がある。 手持ちのラチナムを転送とは別便で送っている描写もないため、分子構造の複製は不可能であっても分解・再構成は可能、ということだろうか。 ***&font(#008000){⬢フェレンギ会計監査局(FCA)} フェレンギ同盟における公正取引委員会。 全フェレンギの商取引を監督し、監査し、摘発する組織であり、自由な商人を志すフェレンギ人にとっては嫌悪と恐怖の対象である。 賄賂は通用する。 監査対象が利益をあげていない、フェレンギ的でないとされれば、財産の没収や、最悪の場合は商業ライセンスの剥奪すら執行できる権限を有する。 精算事業委員会は不信任とされたグランド・ネーガスの喚問、解任すら可能としている。 商いの塔の40階に入居している。 ***&font(#008000){⬢主なフェレンギ人} &bold(){クワーク(DS9,PIC)} フェレンギ人代表。 連邦が管理するステーションDS9においてバーを経営している。 危ない金儲けを企んでは騒動の元になる。おかげで保安主任のオドーとは度々反目し合うも、嘘も買収も通用しない彼と、やがて奇妙な友誼を築いていく。(&link_anchor(*20){*20}) とぼけたところもあるが、人生経験の豊富さや男気から、ロマンスは数多い。&font(l){女性に限らず} というかフェレンギ社会で身を持ち崩したのも、権力者の妹と寝たことが原因である。(&link_anchor(*21){*21}) フェレンギの慣習には保守的で、型破りな母、イシュカには頭を痛めている。 同時にフェレンギにしてはお人好しの面もあり、あるときは武器商に転身して莫大な利益を上げながらも、罪悪感に苛まれ、結局元の鞘に収まる。 この性質から、高い商才を持ちながらも非情になりきれず、バーのマスターに身をやつしている。 最新作のPICでは名前だけ言及される。 ネオン街惑星のフリークラウドにも出店している。(&link_anchor(*22){*22}) PICの年代2399年はDS9終了時点から24年後であるため、クワークも老境に入ろうかという時代だが、その商才に衰えはないようだ。 &bold(){ロム(DS9)} クワークの弟。 兄に比べうだつが上がらず、商才は欠片も持っていない。その「持ってなさ」具合と言えば、最初の妻とその父に騙され、財産は持ち逃げされ元妻は金持ちと再婚したという悲惨さ。 父親に似たらしい。 技術肌で機械工学に明るい。 以前はフェレンギ人らしい価値観も持っていたが、次第にフェレンギの慣習よりも、愛情を優先する開明的な面を見せる。 このことが後に彼の運命に巨大な転機をもたらした。 &bold(){ノーグ(DS9)} ロムが前妻との間にもうけた息子。クワークの甥。 父親より利口で、要領のよさは一族でも随一。後に宇宙艦隊初のフェレンギ人士官となる。 &bold(){イシュカ(DS9)} クワークとロムの母。 フェレンギ人女性でありながら男尊女卑社会に立ち向かい、商才にも溢れる女傑。頑固な面があり、その点ではよく似たクワークと対立することもあるが、二人の息子には深い愛情を注ぐ。夫とは死別。 現グランド・ネーガスのゼクと恋仲に到り、フェレンギ社会は大きな変化を迎える。 &bold(){ゼク(DS9)} 現グランド・ネーガス。 類まれな商才で日々フェレンギ経済を発展させている。 後に恋に落ちたイシュカに感化され、フェレンギ女性の権利拡大や社会保障制度の導入等の大改革を実施する。 &bold(){ブラント(DS9)} 「ブラントだ、FCAの」でおなじみ。 とある騒動以来クワークを目の敵にし、ことあるごとにクワークを破滅させる策謀を巡らせる。 一度は本当にクワークの商業ライセンスを剥奪し文字通り破滅させたが、利益になると見ればあっさりと過去の恩讐は放り投げるなど、実にフェレンギ人らしい強かなお役人。 金儲けの秘訣を体現するような性格だが、フェレンギ社会が大改革期を迎えてもこれまたあっさり適応しクワークを諭すなど、普段と逆転現象が生じていた。 &bold(){ゲイラ(DS9)} クワークの従兄弟。 武器商で成功したが、殺し合いに加担し続けることに内心疲れていた。 クワークとは騙し騙されの腐れ縁。 &bold(){ボーク(TNG)} 過去の遺恨から[[ピカード>ジャン・リュック・ピカード]]を付け狙う、フェレンギらしくないフェレンギ人。 未だフェレンギ人の設定が固まっていなかった頃である。 &bold(){アリドール,コル(TNG,VOY)} とあるワームホールの使用権の入札に参加していたが、その際にデルタ宇宙域に飛ばされてしまった。 そのまま消息不明となったのだが、商魂逞しき二人のフェレンギ人はとある未開の惑星で…… 7万光年越しの伏線回収である。 &bold(){レーガ(TNG)} フェレンギには珍しい科学者。 後にエンタープライズDに導入される超フェイズシールドを発明する。 その性能は後にボーグとの戦いで実証される。 &bold(){ユリス,ミュック,クレム,グリシュ(ENT)} 非公式に宇宙艦隊とファーストコンタクトしたフェレンギ人グループ。(&link_anchor(*23){*23}) 公式の接触はこれより200年も先になる。 クレムの中の人はブラントと同じ人。 ***&font(#008000){⬢余談} 「フェレンギ人のモデルは日本人」という説が一部では語られている。 初登場当時の1987年といえば、日本のバブル経済真っ只中である。 日経平均株価は最高値を更新し続け、アメリカ中の企業が買収され、大企業が世界の名画を買い漁る、まさに日本経済の絶頂期である。 日本人に対する好悪入り混じったステレオタイプのイメージとフェレンギ人は、多くの特徴を共有しており、「フェレンギ人=日本人」説は一定の市民権を得てきた。 実際のところ公式にモデルとされたかどうかは判然とせず、また同じくクリンゴン、バルカン等も頻繁に日本人的と称されることからも、現実のあらゆる人種の文化・特徴が、アルファ宇宙域のあらゆる種族に入り混じって創造されている、とするのが自然であろう。 ちなみに、フェレンギ人を最も長く務めたアーミン・シマーマン氏が、クワーク役を演じるにあたって定めた目標の一つが、フェレンギの復権である。 初登場以来のフェレンギ人といえば、極端な拝金主義的思想から、お世辞にも良い印象は持ちづらいキャラクターであった。 意地汚く、金のためならばどんなことでもする卑しい種族として、宇宙艦隊の士官ですら、ファーストコンタクト以来警戒心を持ってきた。 マイナスイメージの強かったTNG初期のフェレンギ人観を、より親しみやすいキャラクターに昇華させようというわけである。 氏の好演により、フェレンギ人は癖も強いながら憎めない種族としての地位を得たと言える。 #center(){&sizex(3){&bold(){&color(#008000){金儲けの秘訣 第二十三条}}}} #center(){&sizex(3){&bold(){&color(#008000){"健康ほど大事なものはない。追記・修正の次に"}}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,0) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() #comment(striction) #areaedit(end) } ⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢ &aname(*1,option=nolink){(*1) ブラント役のジェフリー・コムズは170cm、クワーク役のアーミン・シマーマンも166cmであり、極端に低身長というわけでもないのだが、他のレギュラー陣が総じて180cmを超す長身であるため、身長差が際立っている} &aname(*2,option=nolink){(*2) "Ferengi Commerce Authority"} &aname(*3,option=nolink){(*3) 一応、惑星連邦にも通貨はあるのだが、ほとんど使われない} &aname(*4,option=nolink){(*4) 政府の商取引に対し、納税者からの審判や批判を回避する目的もあると思われる} &aname(*5,option=nolink){(*5) よく金儲けの秘訣=法律と捉えられるが、「憲法」に従属する形での「法律」は別途に制定されており、これは経済顧問議会("Congress of Economic Advisors")により審議される。劇中では商取引法等の言及がある} &aname(*6,option=nolink){(*6) フェレンギ的に言えば「耳が生え揃う頃には」} &aname(*7,option=nolink){(*7) "第十八条 金儲けできないフェレンギ人は、フェレンギ人とは言えない"} &aname(*8,option=nolink){(*8) 一応、惑星連邦領内での兵器売買は規制されているらしく、連邦未加盟のフェレンギ人でも好き勝手に売買出来ないらしい。しかしながら戦時において友好国に供与することは、政治判断で黙認される} &aname(*9,option=nolink){(*9) "第二百二十一条 従業員は成功目指して登るはしごの横木。ためらわず踏み付けるべし"} &aname(*10,option=nolink){(*10) "第十六条 契約は契約だ"} &aname(*11,option=nolink){(*11) ブラック企業もかくや、という感じだが、日本と対比するならば、労働者の権利は労働基準法によって明文化されているなど、少なくとも労使の平等が謳われている点がフェレンギ社会と決定的な差である} &aname(*12,option=nolink){(*12) ちなみにフェレンギ語でジメジメした、という語彙は150種以上もある} &aname(*13,option=nolink){(*13) "スラッグ・オ・コーラ♫ドロっと爽やか、銀河一♫"とは有名なキャッチフレーズ} &aname(*14,option=nolink){(*14) 邦訳ではゴキブリ} &aname(*15,option=nolink){(*15) "Marauder(略奪者)"} &aname(*16,option=nolink){(*16) 一応、歴史上特筆すべき戦闘として、プレクスナックの戦いの記録がある。273人のライタジアンに、勇敢な10人のフェレンギが立ち向かい、10人が殺された} &aname(*17,option=nolink){(*17) "Latinum(ラチナム)"} &aname(*18,option=nolink){(*18) 初出はDS9 S1 Ep3 デュラス姉妹のベトールの言及による} &aname(*19,option=nolink){(*19) いわゆるデノミ} &aname(*20,option=nolink){(*20) オドーの方も、流動体生物という出自から固形種=ヒューマノイドの機微に疎く、クワークから恋愛や対人関係全般に助言を得ている} &aname(*22,option=nolink){(*21) "第百十二条 上司の姉妹とは寝るな"} &aname(*21,option=nolink){(*22) 背景をよく見ると"QUARK BAR"のネオンサインが確認できる} &aname(*23,option=nolink){(*23) 厳密に言えば、時系列上、地球人との最初の接触者はクワークである} #right(){⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢}
&font(#6495ED){登録日}:2022/07/03 (日) 02:35:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&sizex(5){&bold(){&color(#008000){金儲けの秘訣 第一条}}}} #center(){&sizex(5){&bold(){&color(#008000){"もし金目のものを拾ったら、絶対に返さないこと"}}}} フェレンギ人とはアメリカ合衆国制作のSFドラマ、[[スター・トレックシリーズ>スタートレック(ドラマシリーズ)]]に登場する架空の異星人である。 初出は新スター・トレック(STAR TREK THE NEXT GENERATIONS)、S1 Ep5「謎の宇宙生命体("The Last Outpost")」。 ***&font(#008000){⬢概要} 新スター・トレック(TNG)より登場する、アルファ宇宙域における最大の資本主義国家、&bold(){フェレンギ同盟}を構成する知的種族である。 母星は惑星フェレンギナー。 シリーズ中ではディープ・スペース・ナイン(DS9)に多く出演し、ヴォイジャー(VOY)、エンタープライズ(ENT)、にも登場。最新作のディスカバリー(DIS)、ピカード(PIC)にも登場している。 24世紀においては惑星連邦(地球を中心にした恒星間連邦)をはじめとして、多くの種族で貨幣経済が廃止、または縮小されているなか、フェレンギ同盟は依然として利益至上主義を国是とした資本主義経済を維持する、銀河系における商人の国家である。 ***&font(#008000){⬢生態} 総じて背は低く、概ね160cm前後。(&link_anchor(*1){*1}) 一見して最大の特徴といえば、その巨大な耳である。 地球でいうコアラに近いサイズ感であり、見た目通り鋭敏な聴覚を持ち、種族単位で耳を神聖視する文化がある。 ちなみに耳は性感帯でもあり、これを愛撫する行為はウーマックス("Oo-mox")と呼ぶ。 肌の色はくすんだ黄褐色。見ようによっては緑色の皮膚にもとれる。 体毛はなく、シワの多い団子鼻、大きな頭蓋に、尖った歯と、さながらゴブリンのような風貌である。 小脳は4つに分かれており、その複雑な思考は、強力なテレパスであるベタゾイドですら読み取ることは困難である。 高度な(主に損益の)計算に長けている。 小柄だが体力面では地球人を凌ぐものがあり、筋力は意外に強く、また多くの感染症に対して免疫を持っている。 反対に種族特有の感染症も存在する。特に耳は繊細で病気にかかりやすく、悪くすれば死亡することすらある。 ***&font(#008000){⬢国政} フェレンギ同盟は、アルファ宇宙域においても特に突出した、強力な資本主義経済による国家体制をとる。 その歴史は1万年以上にもなる。 その中枢は首都に存在する「商いの塔」という中央官庁で、自国の経済運営を指揮している。 国家というよりは一企業というべき体制であり、国家元首であるグランド・ネーガスはCEOと捉えることができる。 実際、アルファ、ベータ宇宙域において幅広い取引に参入し、フェレンギ政府が直接的に利益をあげ、国家財政を支えている。 グランド・ネーガスは全フェレンギの頂点に立つ最高権力者であり、金儲けの秘訣(後述)を改定する権限すら持つが、同時にフェレンギ経済の運営と発展にも責任を負っている。 その極端な例として、かつてグランド・ネーガス・スミートは、フェレンギ経済の市場を暴落させたとして、唯一在職中に暗殺されている。 政府機関として、フェレンギ同盟の商取引を監督する、フェレンギ会計監査局、通称FCA(&link_anchor(*2){*2})が存在する。(後述) またフェレンギ同盟が発行している独自通貨のラチナム(後述)は、価値が比較的安定しており、フェレンギ人が関与しない取引にも用いられる。アルファ、ベータ宇宙域における基軸通貨の地位を確立している(&link_anchor(*3){*3})ことからも、フェレンギ同盟の経済的影響力が伺える。 意外なことに、これまで税制が存在しなかった。 潤沢な資源があるというわけではなく、自由な商取引を阻害するという理念(&link_anchor(*4){*4})から、税の徴収は長らく行なわれなかった。 そのせいもあってか、公共サービスの類は充実しているとは言えなかった。 適者生存、自主独立の考えから、社会保障などは存在しない。 そもそも商いの塔に赴くにあたっては、入庁→エレベーターの利用→受付→待合の椅子の利用→役人等との面会と、全ての手続き毎に料金がかかる。 事務手続きに手数料がかかるのは現実の役所でも同じであるが、フェレンギ社会の場合はとにかく何をするにも、あるいは何をしてもらうにも金が要る、という徹底したコスト意識が根付いている。 フェレンギ人のクワークも「タダで診る医者なんて信用できない」として、宇宙艦隊の医師の診療を渋っていた。 ***&font(#008000){⬢金儲けの秘訣} 初代グランド・ネーガスのギントが制定した、フェレンギ経済の理念を示した金言集であり、事実上、フェレンギ同盟の憲法のような地位を得ている。(&link_anchor(*5){*5}) 冒頭に記したのは、この金儲けの秘訣の第一条である。 現代的地球人の倫理観からすると、初っ端からとんでもない内容が記されているが、以下に続く条文はと言えば、 #center(){ 第三条 必要以上の費用を費やして、物を買うな 第十七条 契約は絶対に破るなかれ、相手がフェレンギ人である限り 第二十一条 友情を金儲けに優先させてはならない 第三十四条 戦争は商売のチャンス 第三十五条 平和は商売のチャンス 第九十八条 買収できない者はいない 第百六十八条 成功したけりゃ内密に 第二百二十九条 愛は錆びるが金は錆びない } と、フェレンギ社会における商業哲学が、拝金主義的観点から延々と説かれている。 24世紀時点で285条まで存在する。 フェレンギ人&font(b){男性}は、物心つく頃には(&link_anchor(*6){*6})、必ずこの全項目を暗記するよう教えられる。 全てのフェレンギ人はこの国是に基づいて商売を行い、利益を上げなければならない、と社会通念上規定されている。(&link_anchor(*7){*7}) これに反し、人道的に、博愛主義的に行動することは許されず、フェレンギの恥として糾弾されかねない。 フェレンギ人の聖典である。 ***&font(#008000){⬢文化・民族性} 全般的に金儲け至上主義で、欺くこと、人を出し抜くことには抵抗がない。 武器商を営み、敵対する双方の勢力に兵器を売りつけることも、フェレンギの倫理観にはなんら抵触しない。(&link_anchor(*8){*8}) これらは他種族にもよく知られた精神性で、特に名誉を重んじる24世紀のクリンゴンとは、壊滅的に相性が悪い。 物質連続体という概念が存在し、それはあらゆる世界を川のように流れ、必要な場所に必要なものを満たしていく、大宇宙を結びつけるパワーである、とされる。 その流れを読み船を操ることで、船は必要なもので満たされる、というわけだ。 金儲けの秘訣と並んでフェレンギ人がはじめに覚える基本概念である。 実際にフェレンギ人はアルファ、ベータ宇宙域の広域にビジネスネットワークを張り巡らせており、顧客が求める商品を見つけ出すことには天才的な能力を発揮する。 正直ではないし、報酬は概して高額だが、顧客の期待には応える有能な宇宙ディーラー、ともいえるのだ。 フェレンギ人は未知の領域であるガンマ宇宙域にも、積極的に販路を拡大した。未だ連邦がガンマ宇宙域への進出を本格化させていないときから、すでに複数の種族と交易を結んでいた。 デルタ宇宙域において勢力を広げる[[ボーグ集合体>ボーグ(スタートレック)]]とは、かなり早い段階で接触したようで、割り振られた生命体番号はなんと180である。 これは種族名が分かっている中では最も若い番号である。 続いて判明している種族はデルタ宇宙域由来ばかりであり、アルファ宇宙域由来となると、[[バルカン人>バルカン人]]が生命体3259に名を連ねている。 他種族に先んじて、これ程初期にボーグと接触した経緯については分かっていない。 接触したフェレンギ人は一体どこまで商売に行ってたのだろう。 雇用者と労働者の関係性は、完全な雇用者優位社会であり、労働契約を結んだ以上、それがどれだけ非人道的な条件であっても、フェレンギ社会においては全く問題とされない。(&link_anchor(*9){*9}) 労働組合の結成や、労使交渉などはそもそも禁じられており、労働契約にもとる行為は労使いずれの立場においても、FCAの摘発の対象となる。(&link_anchor(*10){*10}) 要するに、使われるのが嫌なら自分で事業を興せ、というわけである。(&link_anchor(*11){*11}) またフェレンギ社会は徹底した男尊女卑社会である。 女性の権利などはこれまで顧みられたことがなく、女性は商売も、旅行も、室内で服を着ることも、公式の場で男性に発言することも許されていなかった。 フェレンギ男性との結婚は原則有期契約であり、さらに女性は「権利放棄証書」に署名し、一切の財産は放棄しなければならないとされる。 しかし、これらの慣習は後に大きく改革されることになる。 食文化はやっぱりゲテモノ寄り。&font(l){スター・トレックの異星人はこんなんばっか。} 昆虫食が主食で、メニューといえば地虫のゼリー寄せ、ナメクジのレバー、蚤のフレーク、カタツムリジュース等々…… 母星フェレンギナーは高温多湿の気候で、登場するたび雷雨というジメジメした(&link_anchor(*12){*12})環境である。 恐らくこの気候故に農業や畜産業が発展せず、また昆虫を噛み砕く牙と、栄養を効率的に消費する小柄な体格に進化したのではないかと思われる。 スラッグ・オ・コーラという飲料もメジャーでよく飲まれている。(&link_anchor(*13){*13}) 嗅ぎタバコとしてヒューパイリアン・ビートル(&link_anchor(*14){*14})の粉末の嗅ぎタバコが有名で、フェレンギ政府も出資している描写がある。 フェレンギの死生観も独特のものがある。 死んだフェレンギの魂は、聖なる宝物殿あるいは永遠なる貧困のいずれかに流れていき、これがいわゆる天国と地獄に相当する。 聖なる宝物殿では生前の利益の会計監査が行われ、来世の命を競り落とすオークションに参加できるとされる。 永遠なる貧困については……敢えて説明する必要ないだろう。 ちなみにその遺体は乾燥処理の上、粉末状にする等して売りに出される。 生前に多く儲けた者ほど高値がつくらしい。 このため遺体は可能な限り損傷させないことが望ましいとされる。 娯楽面においては、ダボ、トンゴ、ホロスイートが有名。 ダボはルーレットに似たギャンブル、トンゴは商取引をモチーフにした対戦ゲーム、ホロスイートはいわゆるホログラムによるVRゲームである。 ちなみにクワークがよく勧めるホロスイートプログラムは、「バルカン 愛の奴隷」シリーズ。曰く、「内容はぶっ飛んでる」。 ***&font(#008000){⬢科学・軍事} 経済面以外において、例えば科学技術については、これも高い水準にあると言える。 ワープ技術そのものは他種族から買い付けたものらしいが、それ以外では超フェイズシールドの開発、プラズマスチー厶の運用など、特徴的で強力な兵器を生みだしている。 フェレンギにも軍が存在するが、その任務は国土の防衛というよりは、宇宙におけるフェレンギ人の商取引の保護、または貿易交渉の使節としての性格が強い。 フェレンギ軍の主たる艦船はマローダー(&link_anchor(*15){*15})と呼ばれ、艦長はデイモンという。階級は金で買われる。 デコラ級マローダーなどは連邦宇宙艦隊の最新鋭艦、[[エンタープライズD(ギャラクシー級)>U.S.S エンタープライズ(スタートレック)]]とも互角に渡り合うなど、その戦闘力も侮れない。 フェレンギの法によれば、難破船を発見した場合、その積荷は救助船に所有権が移ると規定されているらしく、無理矢理にでも難破させて積荷を強奪しようという乱暴なフェレンギ人も存在する。 しかしながら、他国と交戦状態に突入することは回避する傾向にあり、特定の国家・勢力と対立関係になることは基本的にない。 これは平和主義というよりは、自国が交戦当事国となると利益にならない、という原則に基づいている。 戦争はビジネスチャンスではあるが、それは前線に立たないからこそ成立する利益であり、明らかに不利益で、かつ回避できるならば、フェレンギは逃亡や交渉を選択する傾向が強い。 金儲けの秘訣の第百二十五条にある通り、「死んだら儲けようがない」のである。(&link_anchor(*16){*16}) ***&font(#008000){⬢ラチナム} 僅かながらに産出される希少金属の名称で、転じてフェレンギ同盟が発行する通貨の名称。(&link_anchor(*17){*17}) この物質はレプリケーター(物質複製機)による複製が不可能であることから、通常の貨幣や貴金属にはない稀少性を担保でき、アルファ、ベータ宇宙域における通貨として広く普及した。 ラチナムの初言及が、他種族のクリンゴンによるもの(&link_anchor(*18){*18})だったことからも、その公共性が伺える。 後には連邦の士官が、個人的な賭けに利用する描写すらある。 言うなれば現在の米ドルに近い扱いであろうか。 純粋ラチナムは水銀様の液状で、これを無価値な金に懸濁させることで固体状に成形し、流通性を高めている。 成形品の種類はコイン、ストリップ、バーの三種があり、それぞれ2000:20:1のレートで交換できる。 純粋ラチナムの含有量は見た目ほど多くはないようで、ワンショット程度の量でバー100本分の価値とされる。 以前の通貨危機に際しては通貨の切り下げ(&link_anchor(*19){*19})が行なわれたことから、フェレンギ政府が対他種族通貨との為替レートを決定する固定相場制をとっているとも考えられる。 先述のとおり、ラチナムはレプリケーターで複製ができないが、同じ系統の技術である転送装置による再物質化は実現している可能性がある。 手持ちのラチナムを転送とは別便で送っている描写もないため、分子構造の複製は不可能であっても分解・再構成は可能、ということだろうか。 ***&font(#008000){⬢フェレンギ会計監査局(FCA)} フェレンギ同盟における公正取引委員会。 全フェレンギの商取引を監督し、監査し、摘発する組織であり、自由な商人を志すフェレンギ人にとっては嫌悪と恐怖の対象である。 賄賂は通用する。 監査対象が利益をあげていない、フェレンギ的でないとされれば、財産の没収や、最悪の場合は商業ライセンスの剥奪すら執行できる権限を有する。 精算事業委員会は不信任とされたグランド・ネーガスの喚問、解任すら可能としている。 商いの塔の40階に入居している。 ***&font(#008000){⬢主なフェレンギ人} &bold(){クワーク(DS9,PIC)} フェレンギ人代表。 連邦が管理するステーションDS9においてバーを経営している。 危ない金儲けを企んでは騒動の元になる。おかげで保安主任のオドーとは度々反目し合うも、嘘も買収も通用しない彼と、やがて奇妙な友誼を築いていく。(&link_anchor(*20){*20}) とぼけたところもあるが、人生経験の豊富さや男気から、ロマンスは数多い。&font(l){女性に限らず} というかフェレンギ社会で身を持ち崩したのも、権力者の妹と寝たことが原因である。(&link_anchor(*21){*21}) フェレンギの慣習には保守的で、型破りな母、イシュカには頭を痛めている。 同時にフェレンギにしてはお人好しの面もあり、あるときは武器商に転身して莫大な利益を上げながらも、罪悪感に苛まれ、結局元の鞘に収まる。 この性質から、高い商才を持ちながらも非情になりきれず、バーのマスターに身をやつしている。 最新作のPICでは名前だけ言及される。 ネオン街惑星のフリークラウドにも出店している。(&link_anchor(*22){*22}) PICの年代2399年はDS9終了時点から24年後であるため、クワークも老境に入ろうかという時代だが、その商才に衰えはないようだ。 &bold(){ロム(DS9)} クワークの弟。 兄に比べうだつが上がらず、商才は欠片も持っていない。その「持ってなさ」具合と言えば、最初の妻とその父に騙され、財産は持ち逃げされ元妻は金持ちと再婚したという悲惨さ。 父親に似たらしい。 技術肌で機械工学に明るい。 以前はフェレンギ人らしい価値観も持っていたが、次第にフェレンギの慣習よりも、愛情を優先する開明的な面を見せる。 このことが後に彼の運命に巨大な転機をもたらした。 &bold(){ノーグ(DS9)} ロムが前妻との間にもうけた息子。クワークの甥。 父親より利口で、要領のよさは一族でも随一。後に宇宙艦隊初のフェレンギ人士官となる。 &bold(){イシュカ(DS9)} クワークとロムの母。 フェレンギ人女性でありながら男尊女卑社会に立ち向かい、商才にも溢れる女傑。頑固な面があり、その点ではよく似たクワークと対立することもあるが、二人の息子には深い愛情を注ぐ。夫とは死別。 現グランド・ネーガスのゼクと恋仲に到り、フェレンギ社会は大きな変化を迎える。 &bold(){ゼク(DS9)} 現グランド・ネーガス。 類まれな商才で日々フェレンギ経済を発展させている。 後に恋に落ちたイシュカに感化され、フェレンギ女性の権利拡大や社会保障制度の導入等の大改革を実施する。 &bold(){ブラント(DS9)} 「ブラントだ、FCAの」でおなじみ。 とある騒動以来クワークを目の敵にし、ことあるごとにクワークを破滅させる策謀を巡らせる。 一度は本当にクワークの商業ライセンスを剥奪し文字通り破滅させたが、利益になると見ればあっさりと過去の恩讐は放り投げるなど、実にフェレンギ人らしい強かなお役人。 金儲けの秘訣を体現するような性格だが、フェレンギ社会が大改革期を迎えてもこれまたあっさり適応しクワークを諭すなど、普段と逆転現象が生じていた。 &bold(){ゲイラ(DS9)} クワークの従兄弟。 武器商で成功したが、殺し合いに加担し続けることに内心疲れていた。 クワークとは騙し騙されの腐れ縁。 &bold(){ボーク(TNG)} 過去の遺恨から[[ピカード>ジャン・リュック・ピカード]]を付け狙う、フェレンギらしくないフェレンギ人。 未だフェレンギ人の設定が固まっていなかった頃である。 &bold(){アリドール,コル(TNG,VOY)} とあるワームホールの使用権の入札に参加していたが、その際にデルタ宇宙域に飛ばされてしまった。 そのまま消息不明となったのだが、商魂逞しき二人のフェレンギ人はとある未開の惑星で…… 7万光年越しの伏線回収である。 &bold(){レーガ(TNG)} フェレンギには珍しい科学者。 後にエンタープライズDに導入される超フェイズシールドを発明する。 その性能は後にボーグとの戦いで実証される。 &bold(){ユリス,ミュック,クレム,グリシュ(ENT)} 非公式に宇宙艦隊とファーストコンタクトしたフェレンギ人グループ。(&link_anchor(*23){*23}) 公式の接触はこれより200年も先になる。 クレムの中の人はブラントと同じ人。 ***&font(#008000){⬢余談} 「フェレンギ人のモデルは日本人」という説が一部では語られている。 初登場当時の1987年といえば、日本のバブル経済真っ只中である。 日経平均株価は最高値を更新し続け、アメリカ中の企業が買収され、大企業が世界の名画を買い漁る、まさに日本経済の絶頂期である。 日本人に対する好悪入り混じったステレオタイプのイメージとフェレンギ人は、多くの特徴を共有しており、「フェレンギ人=日本人」説は一定の市民権を得てきた。 実際のところ公式にモデルとされたかどうかは判然とせず、また同じくクリンゴン、バルカン等も頻繁に日本人的と称されることからも、現実のあらゆる人種の文化・特徴が、アルファ宇宙域のあらゆる種族に入り混じって創造されている、とするのが自然であろう。 ちなみに、フェレンギ人を最も長く務めたアーミン・シマーマン氏が、クワーク役を演じるにあたって定めた目標の一つが、フェレンギの復権である。 初登場以来のフェレンギ人といえば、極端な拝金主義的思想から、お世辞にも良い印象は持ちづらいキャラクターであった。 意地汚く、金のためならばどんなことでもする卑しい種族として、宇宙艦隊の士官ですら、ファーストコンタクト以来警戒心を持ってきた。 マイナスイメージの強かったTNG初期のフェレンギ人観を、より親しみやすいキャラクターに昇華させようというわけである。 氏の好演により、フェレンギ人は癖も強いながら憎めない種族としての地位を得たと言える。 #center(){&sizex(3){&bold(){&color(#008000){金儲けの秘訣 第二十三条}}}} #center(){&sizex(3){&bold(){&color(#008000){"健康ほど大事なものはない。追記・修正の次に"}}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() #comment(striction) #areaedit(end) } ⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢ &aname(*1,option=nolink){(*1) ブラント役のジェフリー・コムズは170cm、クワーク役のアーミン・シマーマンも166cmであり、極端に低身長というわけでもないのだが、他のレギュラー陣が総じて180cmを超す長身であるため、身長差が際立っている} &aname(*2,option=nolink){(*2) "Ferengi Commerce Authority"} &aname(*3,option=nolink){(*3) 一応、惑星連邦にも通貨はあるのだが、ほとんど使われない} &aname(*4,option=nolink){(*4) 政府の商取引に対し、納税者からの審判や批判を回避する目的もあると思われる} &aname(*5,option=nolink){(*5) よく金儲けの秘訣=法律と捉えられるが、「憲法」に従属する形での「法律」は別途に制定されており、これは経済顧問議会("Congress of Economic Advisors")により審議される。劇中では商取引法等の言及がある} &aname(*6,option=nolink){(*6) フェレンギ的に言えば「耳が生え揃う頃には」} &aname(*7,option=nolink){(*7) "第十八条 金儲けできないフェレンギ人は、フェレンギ人とは言えない"} &aname(*8,option=nolink){(*8) 一応、惑星連邦領内での兵器売買は規制されているらしく、連邦未加盟のフェレンギ人でも好き勝手に売買出来ないらしい。しかしながら戦時において友好国に供与することは、政治判断で黙認される} &aname(*9,option=nolink){(*9) "第二百二十一条 従業員は成功目指して登るはしごの横木。ためらわず踏み付けるべし"} &aname(*10,option=nolink){(*10) "第十六条 契約は契約だ"} &aname(*11,option=nolink){(*11) ブラック企業もかくや、という感じだが、日本と対比するならば、労働者の権利は労働基準法によって明文化されているなど、少なくとも労使の平等が謳われている点がフェレンギ社会と決定的な差である} &aname(*12,option=nolink){(*12) ちなみにフェレンギ語でジメジメした、という語彙は150種以上もある} &aname(*13,option=nolink){(*13) "スラッグ・オ・コーラ♫ドロっと爽やか、銀河一♫"とは有名なキャッチフレーズ} &aname(*14,option=nolink){(*14) 邦訳ではゴキブリ} &aname(*15,option=nolink){(*15) "Marauder(略奪者)"} &aname(*16,option=nolink){(*16) 一応、歴史上特筆すべき戦闘として、プレクスナックの戦いの記録がある。273人のライタジアンに、勇敢な10人のフェレンギが立ち向かい、10人が殺された} &aname(*17,option=nolink){(*17) "Latinum(ラチナム)"} &aname(*18,option=nolink){(*18) 初出はDS9 S1 Ep3 デュラス姉妹のベトールの言及による} &aname(*19,option=nolink){(*19) いわゆるデノミ} &aname(*20,option=nolink){(*20) オドーの方も、流動体生物という出自から固形種=ヒューマノイドの機微に疎く、クワークから恋愛や対人関係全般に助言を得ている} &aname(*22,option=nolink){(*21) "第百十二条 上司の姉妹とは寝るな"} &aname(*21,option=nolink){(*22) 背景をよく見ると"QUARK BAR"のネオンサインが確認できる} &aname(*23,option=nolink){(*23) 厳密に言えば、時系列上、地球人との最初の接触者はクワークである} #right(){⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢⬢}

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: