300系新幹線電車

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300系新幹線電車 - (2021/08/14 (土) 22:51:55) の最新版との変更点

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&font(#6495ED){登録日}:2017/08/26 Sat 22:14:45 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- ((出典:Wikipedia URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c1/300_series_J31_Hamamatsu_20050521.jpg 日時:2007/08/04 出展者:DAJF)) #image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c1/300_series_J31_Hamamatsu_20050521.jpg,width=400,height=300) 300系新幹線電車とはJR東海が開発した新幹線電車である。 東海道新幹線の速度向上を目的に開発され、営業列車としては初めてほぼ全区間に渡って270km/h運転を実現した。((実は270km/h運転は300系の登場よりも早く上越新幹線で行っていたが、こちらは大清水トンネルの下り勾配を利用し、新潟行の下り列車の一部に限って行われていた。上下列車で、しかもほぼ全区間で270km/h運転を実現したのは300系が紛れもなく最初である)) そして登場から廃車まで16両編成を保った唯一の車両である。 *概要 300系の原型とも言えるのはJR東海設立から間もない時期に立ち上げられた「スーパーひかり計画」に遡ることができる。 スーパーひかりはハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウを採用した専用車両を使用し、[[100系>100系新幹線電車]]や[[0系>0系新幹線電車]]よりも最高速度を40km/h向上し、東京・新大阪間の所要時間を2時間台中盤にまで縮めるものであった。 スーパーひかりは実物大モックアップも製作され、オレンジカード(JRのプリペイドカード)やプラレールのデザインに採用されたので、名前を聞いてピンとくる人もいるかもしれない。 ハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウは車体強度の問題から実現しなかったものの、新型車両投入による最高速度の向上は引き継がれた。 JR東海が定めた目標所要時間は&bold(){2時間30分}。これは東京大阪間の航空機の所要時間1時間に中心部へのアクセス時間を加味したものである。 この所要時間を達成するため、地上設備との制約などから最高速度は270km/hに決められた。 *徹底した軽量化 新幹線に限らず、どんな乗り物であっても重量が重ければ重いほど通過時に発生する振動も大きくなる。それは勿論速度が高ければ高いほどより大きくなる。 この振動はレールにも影響を及ぼす。東海道新幹線はバラスト軌道であるが故に路床の砂利が振動によって擦れあい、小さくなってしまう。そうなれば嵩が減って沈み、レールが浮いてしまうのだ。 なお、余談ではあるが、このバラスト軌道に用いる砂利は大きさや形状を揃えてはいけない。様々な形状、大きさによりガッチリと組み合うことができるのだが、揃えると簡単に崩壊しやすくなるのだ。 300系開発に際し、270km/hで走行したときの振動が0系が220km/hで走行した時と同レベルにするためには車重45トン、軸重11.3トンに収めることが実車実験と計算によって判明した。 このため、300系では車体の材質にアルミ合金を採用し、座席からネジの1本に至るまで徹底した軽量化を行った。 設計段階で&bold(){おい、お前のとこは後何g削れるだろ}というやり取りが開発チーム内でされたとか何とか。 *仕様 基本仕様 編成 16両(10M6T) 車体 アルミ合金 電気方式 AC25000V 60Hz 制御方式 VVVFインバータ制御 主電動機 T-MT3型・T-MT4型・T-MT5型・W-MT203型 三相交流誘導電動機 定格出力300kw 制動装置 回生ブレーキ・渦電流ブレーキ 保安装置 ATC-1・ATC-NS 駆動方式 WN駆動 歯車比 2.96 起動加速度  最高運転速度 270km/h 速度種別 S57 「設備の制約が厳しい東海道新幹線で270km/h運転」を実現するため、様々な新技術が投入された。 まず車両の軽量化のため、新幹線としては初めてVVVF制御・交流電動機・回生ブレーキ・ボルスタレス台車を採用した。更に車体断面を小さくするため、屋根上に設置していたエアコンを床下設置とした。 これはVVVF制御の採用によって制御装置などの機器類を小型化し、エアコンを床下に収めることができるようになったためである。 しかし300系は薄いアルミシングルスキン構造であったため、床下から天井の送風口へ冷気を送っている間に暖められてしまい、冷房の効きが悪いと悪評が立ってしまった。 また車体を平滑化するため、引戸からプラグドアに変更した。これについてはあまり意味がなかったらしく、後年の増備車では引戸に戻っている。 パンタグラフは16両編成で3基まで削減された。これは電動車ユニット同士を高圧引き通し線で接続したことで実現出来たもので、パンタグラフを6・9・12号車に装備していたが通常は6・12号車の2基だけを上げて運行していた。 当初は下枠交差型パンタグラフと大きなパンタカバーを装備していたが、700系の登場と前後して碍子だけを覆うカバーと衝立にシングルアームパンタグラフの組み合わせに変更された。 高圧引き通し線も当初は全てが大きな碍子と電線の組み合わせだったが、こちらも700系の登場前後に台車検査などで頻繁に切り離しを行う箇所を除いて電線とコネクタの組み合わせの直ジョイントに変更された。 車内設備においては所要時間が従来車に比べて大幅に短くなることからビジネスライクにシフト。 全車両が座席車となり食堂車や個室車が抹消されたが、7号車と11号車には売店スペースが設置された。 普通車は3+2、シートピッチ104cmのリクライニングシート、グリーン車は2+2、シートピッチ116cmのリクライニングシートが並び、全座席が回転可能である。 編成全体の定員は普通車1123人、グリーン車200人の合計1323人となり、これは東海道新幹線の標準となった。 高速運転時の揺れを抑えるため、台車にはヨーダンパ、軸ダンパを装備していたが十分とは言えず、&bold(){「座席前のテーブルに置いたコーヒーがこぼれた」「サンドイッチが手も触れていないのに丸ごと床に転落した」}などの苦情が相次いだという。 多くは後年の乗り心地改善工事によって改善されたが、回生ブレーキ作動時の前後衝動などは解消しきれなかった。 この反省点から、以降東海道新幹線向けの車両は落成から40万kmの長期耐久試験を行ってから量産に臨む体制をとっている。 *編成構成 300系は16両編成で、M1+T+M2の3両で1つのユニットを構成。このユニットを5ユニット連結し、これにユニットを組まない1号車を組み合わせる。これが結果として16両編成のまま引退することに繋がった。 -323 博多向き先頭車の1号車として連結される制御付随車。編成で唯一ユニットを組まない。 -322 東京向き先頭車の16号車として連結される制御電動車。 -325・326 普通席を備える中間電動車。 -328・329 普通席を備える中間付随車。量産車の6・12号車にはパンタグラフを装備。 -315・316 グリーン席を備える中間電動車。10号車に連結される316形には車掌室がある。 -319 グリーン席を備える中間付随車。9号車に連結される。登場時はパンタグラフを装備していたが、後に撤去。 *量産先行車 ((出典:Wikipedia URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/J1_Hamamatsu_20030428.jpg 日時:2003/04/28 出展者:DAJF)) #image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/J1_Hamamatsu_20030428.jpg,width=400,height=300) 300系は新幹線にとって未経験の技術をふんだんに盛り込んだため、実車での長期走り込みを行ってデータを収集する必要があった。そこで量産に先立って試作車を製造することになった。 それがJ0編成である。 J0編成は1990年に落成し、試験走行で最高速度325.7km/hを記録している。 J0編成は量産車と外観が大きく異なり、遠目にも識別できた。以下はその一例 -先頭車両側面の台車近くが膨らんでいる((これは製造中の台車入れの際、台車が入らないことが判明したために急遽叩き出しを行って出来たものである)) -屋根高さが50mm低い -ヘッドライトのガラス形状が角ばっている また登場時には -パンタグラフが5台搭載 -帯の色がブライトブルーではなく水色 という特徴もあったが、パンタグラフは1991年に6・9・12号車のものを残して撤去、帯の色も量産化改造時にブライトブルーに直された。しかし先頭車の膨らみやヘッドライトのガラス形状などは廃車までそのままであった。 量産先行車は後に量産化改造を行って編成番号をJ1へ改めて営業運転で使われたが、信号機器の関係上のぞみ運用は東海道区間で完結するものにしか入れず、ひかり運用でも広島発着が最遠となるなど制約があったためか、2000年に営業運転から離れ、新技術の実地試験車として使われることになった。 2005年に[[N700系>N700系新幹線電車]]の量産先行車であるZ0編成が登場。試験車としての役割をN700系へ譲り、2007年に廃車された。 廃車後は浜松工場で16号車以外を解体した。解体時に得られたデータは量産車の解体にも活用されたという。 *乗り心地改良工事 300系は開発当時に取り組める範囲で車両の揺れを低減するよう配慮していたが、不十分な面も多かった。 そのためJR東海が所有するJ2~J16・J19・J27を除く43編成を対象に2005年3月から定期検査とセットで乗り心地改良工事を実施した。 工事内容は -全車両の台車のヨーダンパ、空気ばねを[[700系>700系新幹線電車]]と同じものに交換 -特に揺れやすい先頭車とパンタグラフ搭載車、快適性を重視するグリーン車の7両を対象に[[N700系>N700系新幹線電車]]Z0編成に搭載された改良型セミアクティブサスペンションを搭載 -上記以外の9両は改良型左右動ダンパを搭載 の3点で、2006年10月までに対象の43編成の工事を完了させた。工事の対象外となった編成は2007年から2008年にかけて廃車されている。 なおJR西日本所有のF編成に乗り心地改良工事は施工されなかった。 *運用 導入当初は早朝・深夜ののぞみ号2往復と日中のひかり号1往復で運用され、のぞみの増発と増備によって博多乗り入れやひかり・こだま運用も増加。 700系の運用開始後はひかり・こだま運用が主体となり、N700系運用開始後はひかり運用からも追われてこだま主体の運用となった。 *去就 300系は最盛期にはJR東海で61本、JR西日本で9本が在籍していたが、車齢13年を超えた2007年頃よりN700系に置き換えられる形で廃車が始まり、J14編成が量産車の廃車第1号となった。 その後も乗り心地改良を受けなかった初期の車両を中心に廃車が進み、JR東海所有分の全般検査は2010年6月を持って終了。2011年11月時点で5編成を残すのみとなった。 一方JR西日本所有分は2011年まで廃車がなかったが、F5編成を皮切りに廃車が始まり((解体作業はJR西日本の博多総合車両所ではなく、JR東海の浜松工場で行われた。))2011年11月では3編成まで数を減らした。 JR西日本では優等運用から退いた車両を短編成化し、山陽新幹線のこだま専用車両に転用するのを得意としていたが300系については短編成化が難しく、16両のまま生涯を終えることになった。 そして2012年3月のダイヤ改正を持って300系の運用終了が決定。 最後まで残ったのはJR東海はJ55・J57の2本、JR西日本はF7・F8・F9の3本で、定期運用は東海道新幹線では2012年2月、山陽新幹線では同年3月を以て終了。 さよなら運転は東海道・山陽新幹線で同日に行われ、東海道では東京発新大阪行の「のぞみ329号」((J57編成))、山陽では「のぞみ609号」((F7編成))で行われ、のぞみ609号は途中岡山駅で100系のさよなら列車と並ぶという心憎い演出が行われた。 その後残っていた全車両が廃車され、300系は形式消滅となった。 *300系が与えた影響 300系は東海道新幹線高速化の立役者として大きな影響を残した。 例えば最高速度270km/hは長年東海道新幹線の最高速度に定められ、編成全体での定員1323人を東海道新幹線のデファクトスタンダードとして確立したのも300系である。 また、「鉄仮面」とも呼ばれるそのイケメンなフェイスから今日の500系やE7/W7系に繋がる人気を博し、「超特急ヒカリアン」や「[[勇者特急マイトガイン]]」では主役のモチーフとなった他、様々なアニメやマンガに登場する。 乗り心地などの面で未成熟な部分はあったものの、300系が無ければ500系・700系・N700系は存在すらしていなかっただろう。 *現存する300系 -322-9001 名古屋市港区のリニア・鉄道館で保存。 -323-45 新幹線の車内清掃作業を担当するJR東海の関連会社で清掃訓練の教材として使用。 非公開だが、極稀に公開されることがあるらしい。 実は量産車である323-20もリニア・鉄道館で保存されていたのだが、700系C1編成の先頭車723-9001と入れ替えられる形で展示を終了。 別の場所へ移されること無く解体されてしまった。700系の廃車が出るまでの繋ぎ展示だったらしいが、何とももったいない話である。 高速運転時の激しい揺れにも耐えられる人は追記・修正をお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 今も一番好きな新幹線 -- 名無しさん (2017-08-26 22:43:19) - ダ・ガーンXの脚部 -- 名無しさん (2017-08-26 23:30:51) - のぞみといえばこれだわ -- 名無しさん (2017-08-27 10:35:09) - 平成一ケタ世代としては「新幹線の中の新幹線」って感じだなあ -- 名無しさん (2017-08-27 11:20:50) - イケメンだよな -- 名無しさん (2017-08-27 15:19:02) - 俺もこの新幹線大好き 20年代にリメイクした感じの新幹線出してくれないかな~ -- 名無しさん (2017-08-28 03:15:39) - 私も東海道・山陽新幹線の車両で好きなのは0系とこの300系、そして500系ですね。 今のN700S系の技術を使ってこれらの車両をリメイクした新幹線が出てきて欲しいと思いました。 -- 名無しさん (2019-01-13 22:05:34) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2017/08/26 Sat 22:14:45 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- ((出典:Wikipedia URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c1/300_series_J31_Hamamatsu_20050521.jpg 日時:2007/08/04 出展者:DAJF)) #image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c1/300_series_J31_Hamamatsu_20050521.jpg,width=400,height=300) 300系新幹線電車とは[[JR東海]]が開発した新幹線電車である。 [[東海道新幹線]]の速度向上を目的に開発され、営業列車としては初めてほぼ全区間に渡って270km/h運転を実現した((実は270km/h運転は300系の登場よりも早く[[上越新幹線]]で行っていたが、こちらは大清水トンネルの下り勾配を利用し、新潟行の下り列車の一部に限って行われていた。上下列車で、しかもほぼ全区間で270km/h運転を実現したのは300系が紛れもなく最初である))。 そして登場から廃車まで16両編成を保った唯一の車両である。 *概要 300系の原型とも言えるのはJR東海設立から間もない時期に立ち上げられた「スーパーひかり計画」に遡ることができる。 スーパーひかりはハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウを採用した専用車両を使用し、[[100系>100系新幹線電車]]や[[0系>0系新幹線電車]]よりも最高速度を40km/h向上し、東京・新大阪間の所要時間を2時間台中盤にまで縮めるものであった。 スーパーひかりは実物大モックアップも製作され、オレンジカード(JRのプリペイドカード)やプラレールのデザインに採用されたので、名前を聞いてピンとくる人もいるかもしれない。 ハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウは車体強度の問題から実現しなかったものの、新型車両投入による最高速度の向上は引き継がれた。 JR東海が定めた目標所要時間は&bold(){2時間30分}。これは東京~大阪間の航空機の所要時間1時間に中心部へのアクセス時間を加味したものである。 この所要時間を達成するため、地上設備との制約などから最高速度は270km/hに決められた。 *徹底した軽量化 新幹線に限らず、どんな乗り物であっても重量が重ければ重いほど通過時に発生する振動も大きくなる。それは勿論速度が高ければ高いほどより大きくなる。 この振動はレールにも影響を及ぼす。東海道新幹線はバラスト軌道であるが故に路床の砂利が振動によって擦れあい、小さくなってしまう。そうなれば嵩が減って沈み、レールが浮いてしまうのだ。 なお、余談ではあるが、このバラスト軌道に用いる砂利は大きさや形状を揃えてはいけない。様々な形状、大きさによりガッチリと組み合うことができるのだが、揃えると簡単に崩壊しやすくなるのだ。 300系開発に際し、270km/hで走行したときの振動が0系が220km/hで走行した時と同レベルにするためには車重45トン、軸重11.3トンに収めることが実車実験と計算によって判明した。 このため、300系では車体の材質にアルミ合金を採用し、座席からネジの1本に至るまで徹底した軽量化を行った。 設計段階で&bold(){おい、お前のとこは後何g削れるだろ}というやり取りが開発チーム内でされたとか何とか。 *仕様 基本仕様 編成 16両(10M6T) 車体 アルミ合金 電気方式 AC25000V 60Hz 制御方式 VVVFインバータ制御 主電動機 T-MT3型・T-MT4型・T-MT5型・W-MT203型 三相交流誘導電動機 定格出力300kw 制動装置 回生ブレーキ・渦電流ブレーキ 保安装置 ATC-1・ATC-NS 駆動方式 WN駆動 歯車比 2.96 起動加速度  最高運転速度 270km/h 速度種別 S57 「設備の制約が厳しい東海道新幹線で270km/h運転」を実現するため、様々な新技術が投入された。 まず車両の軽量化のため、新幹線としては初めてVVVF制御・交流電動機・回生ブレーキ・ボルスタレス台車を採用した。更に車体断面を小さくするため、屋根上に設置していたエアコンを床下設置とした。 これはVVVF制御の採用によって制御装置などの機器類を小型化し、エアコンを床下に収めることができるようになったためである。 しかし、300系は薄いアルミシングルスキン構造であったため、床下から天井の送風口へ冷気を送っている間に暖められてしまい、冷房の効きが悪いと悪評が立ってしまった。 また、車体を平滑化するため引戸からプラグドアに変更した。これについてはあまり意味がなかったらしく、後年の増備車では引戸に戻っている。 パンタグラフは初期車では16両編成で3基に削減された。これは電動車ユニット同士を特高圧引通線で接続したことで実現出来たものである。パンタグラフは6・9・12号車に装備しており、営業開始当初は下り列車が9・12号車、上り列車が6・9号車の2基だけを上げて運行していたが、[[JR西日本]]が[[500系>500系新幹線電車]]開発のために走らせた試験車両・WIN350で収集したデータによって、「パンタグラフ同士は100m以上離した方がいい」ということが判明したため、それを取り入れて中期車からは6・12号車の2基だけに削減され、初期車も同様に9号車のものを撤去した。 当初は下枠交差型パンタグラフと大きなパンタグラフカバーを装備していた。その後、パンタグラフの3基→2基への削減時にパンタグラフカバーの形状の変更が行われ、更に700系の登場と前後して、700系と同じ碍子カバーと遮音板に、シングルアームパンタグラフの組み合わせに変更された。 特高圧引通線も当初は全てが大きな碍子と電線の組み合わせだったが、台車検査などで頻繁に切り離しを行う箇所を除き、シングルアームパンタグラフ化と同時にこちらも700系と同じ、電線とコネクタの組み合わせの直ジョイントに変更された。なお、最終増備車であるJ58~J61編成はパンタグラフとパンタグラフカバーは従来通りの下枠交差型に大型カバーという形態ながら、特高圧引通線は既にシングルアームパンタグラフ化後と同じ形態で落成している。 車内設備においては所要時間が従来車に比べて大幅に短くなることからビジネスライクにシフト。 全車両が座席車となり食堂車や個室車が抹消されたが、7号車と11号車には売店スペースが設置された。 普通車は3+2、シートピッチ104cmのリクライニングシート、グリーン車は2+2、シートピッチ116cmのリクライニングシートが並び、全座席が回転可能である。 編成全体の定員は普通車1123人、グリーン車200人の合計1323人となり、これは東海道新幹線の標準となった。 高速運転時の揺れを抑えるため、台車にはヨーダンパ、軸ダンパを装備していたが十分とは言えず、&bold(){「座席前のテーブルに置いたコーヒーがこぼれた」「サンドイッチが手も触れていないのに丸ごと床に転落した」}などの苦情が相次いだという。 多くは後年の乗り心地改善工事によって改善されたが、回生ブレーキ作動時の前後衝動などは解消しきれなかった。 この反省点から、以降東海道新幹線向けの車両は落成から40万kmの長期耐久試験を行ってから量産に臨む体制をとっている。 *編成構成 300系は16両編成で、M1+T+M2の3両で1つのユニットを構成。このユニットを5ユニット連結し、これにユニットを組まない1号車を組み合わせる。これが結果として16両編成のまま引退することに繋がった。 -323 博多向き先頭車の1号車として連結される制御付随車。編成で唯一ユニットを組まない。 -322 東京向き先頭車の16号車として連結される制御電動車。 -325・326 普通席を備える中間電動車。 -328・329 普通席を備える中間付随車。量産車の6・12号車にはパンタグラフを装備。 -315・316 グリーン席を備える中間電動車。10号車に連結される316形には車掌室がある。 -319 グリーン席を備える中間付随車。9号車に連結される。登場時はパンタグラフを装備していたが、後に撤去。 *量産先行車 ((出典:Wikipedia URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/J1_Hamamatsu_20030428.jpg 日時:2003/04/28 出展者:DAJF)) #image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/J1_Hamamatsu_20030428.jpg,width=400,height=300) 300系は新幹線にとって未経験の技術をふんだんに盛り込んだため、実車での長期走り込みを行ってデータを収集する必要があった。そこで量産に先立って試作車を製造することになった。 それがJ0編成である。 J0編成は1990年に落成し、試験走行で最高速度325.7km/hを記録している。 J0編成は量産車と外観が大きく異なり、遠目にも識別できた。以下はその一例 -先頭車両側面の台車近くが膨らんでいる((これは製造中の台車入れの際、台車が入らないことが判明したために急遽叩き出しを行って出来たものである)) -屋根高さが50mm低い -ヘッドライトのガラス形状が角ばっている また登場時には -パンタグラフが5台搭載 -帯の色がブライトブルーではなく水色 という特徴もあったが、パンタグラフは1991年に6・9・12号車のものを残して撤去、帯の色も量産化改造時にブライトブルーに直された。しかし先頭車の膨らみやヘッドライトのガラス形状などは廃車までそのままであった。 量産先行車は後に量産化改造を行って編成番号をJ1へ改めて営業運転で使われたが、信号機器の関係上のぞみ運用は東海道区間で完結するものにしか入れず、ひかり運用でも広島発着が最遠となるなど制約があったためか、2000年に営業運転から離れ、新技術の実地試験車として使われることになった。 2005年に[[N700系>N700系新幹線電車]]の量産先行車であるZ0編成が登場。試験車としての役割をN700系へ譲り、2007年3月に廃車された。 廃車後は浜松工場で16号車以外を解体した。解体時に得られたデータは量産車の解体にも活用されたという。 *乗り心地改良工事 300系は開発当時に取り組める範囲で車両の揺れを低減するよう配慮していたが、不十分な面も多かった。 そのためJR東海が所有する近年中の廃車が予定されていたJ2~J16・J19・J27を除く43編成を対象に2005年3月から定期検査とセットで乗り心地改良工事を実施した。 工事内容は -全車両の台車のヨーダンパ、空気ばねを[[700系>700系新幹線電車]]と同じものに交換 -特に揺れやすい先頭車とパンタグラフ搭載車、快適性を重視するグリーン車の7両を対象に[[N700系>N700系新幹線電車]]Z0編成に搭載された改良型セミアクティブサスペンションを搭載 -上記以外の9両は改良型左右動ダンパを搭載 の3点で、2006年10月までに対象の43編成の工事を完了させた。工事の対象外となった編成は2007年から2008年にかけて廃車されている。 なおJR西日本所有のF編成に乗り心地改良工事は施工されなかった。 *運用 導入当初は早朝・深夜ののぞみ号2往復と日中のひかり号1往復で運用され、のぞみの増発と増備によって博多乗り入れやひかり・こだま運用も増加。 700系の運用開始後はひかり・こだま運用が主体となり、N700系運用開始後はひかり運用からも追われてこだま主体の運用となった。 *去就 300系は最盛期にはJR東海で61本、JR西日本で9本が在籍していたが、車齢13年を超えた2007年頃よりN700系に置き換えられる形で廃車が始まり、J14編成が量産車の廃車第1号となった。 その後も乗り心地改良を受けなかった初期の車両を中心に廃車が進み、JR東海所有分の全般検査は2010年6月をもって終了。2011年11月時点で5編成を残すのみとなった。 一方JR西日本所有分は2011年まで廃車がなかったが、F5編成を皮切りに廃車が始まり((解体作業はJR西日本の博多総合車両所ではなく、JR東海の浜松工場で行われた。))2011年11月では3編成まで数を減らした。 JR西日本では優等運用から退いた車両を短編成化し、[[山陽新幹線]]のこだま専用車両に転用するのを得意としていたが300系については短編成化が難しく、16両のまま生涯を終えることになった。 そして2012年3月のダイヤ改正をもって300系の運用終了が決定。 最後まで残ったのはJR東海はJ55・J57の2本、JR西日本はF7・F8・F9の3本で、定期運用は東海道新幹線では2012年2月、山陽新幹線では同年3月を以て終了。 さよなら運転は東海道・山陽新幹線で同日に行われ、東海道では東京発新大阪行の「のぞみ329号」((J57編成))、山陽では「のぞみ609号」((F7編成))で行われ、のぞみ609号は途中岡山駅で100系のさよなら列車と並ぶという心憎い演出が行われた。 その後残っていた全車両が廃車され、300系は形式消滅となった。 *300系が与えた影響 300系は東海道新幹線高速化の立役者として大きな影響を残した。 例えば最高速度270km/hは長年東海道新幹線の最高速度に定められ、編成全体での定員1323人を東海道新幹線のデファクトスタンダードとして確立したのも300系である。 また、「鉄仮面」とも呼ばれるそのイケメンなフェイスから今日の500系やE7/W7系に繋がる人気を博し、「超特急ヒカリアン」や「[[勇者特急マイトガイン]]」では主役のモチーフとなった他、様々なアニメやマンガに登場する。 乗り心地などの面で未成熟な部分はあったものの、300系が無ければ500系・700系・N700系は存在すらしていなかっただろう。 *現存する300系 -322-9001 名古屋市港区の[[リニア・鉄道館]]で保存。 -323-45 新幹線の車内清掃作業を担当するJR東海の関連会社で清掃訓練の教材として使用。 原則非公開だが、清掃会社の福利厚生の一環として、社員の家族向けに公開されることがある。 実は量産車である323-20もリニア・鉄道館で保存されていたのだが、700系C1編成の先頭車723-9001と入れ替えられる形で展示を終了。 別の場所へ移されること無く解体されてしまった。700系の廃車が出るまでの繋ぎ展示だったらしいが、何とももったいない話である。 高速運転時の激しい揺れにも耐えられる人は追記・修正をお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 今も一番好きな新幹線 -- 名無しさん (2017-08-26 22:43:19) - ダ・ガーンXの脚部 -- 名無しさん (2017-08-26 23:30:51) - のぞみといえばこれだわ -- 名無しさん (2017-08-27 10:35:09) - 平成一ケタ世代としては「新幹線の中の新幹線」って感じだなあ -- 名無しさん (2017-08-27 11:20:50) - イケメンだよな -- 名無しさん (2017-08-27 15:19:02) - 俺もこの新幹線大好き 20年代にリメイクした感じの新幹線出してくれないかな~ -- 名無しさん (2017-08-28 03:15:39) - 私も東海道・山陽新幹線の車両で好きなのは0系とこの300系、そして500系ですね。 今のN700S系の技術を使ってこれらの車両をリメイクした新幹線が出てきて欲しいと思いました。 -- 名無しさん (2019-01-13 22:05:34) - KATOが今更やってくれるとは…! -- 名無しさん (2022-11-06 14:17:45) - メーカーが狙ったのか知らんがNゲージも明らかに他の新幹線より軽かったなあ。その分速度上げたらすぐ脱線したけど。 -- 名無しさん (2023-11-23 01:43:11) #comment #areaedit(end) }

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