かがやけ ウルトラの星

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&font(#6495ED){登録日}:2016/07/23 Sat 00:39:10
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 ? 分で読めます

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&b(){かがやけ ウルトラの星}は、内山まもるの漫画版『[[ウルトラマンタロウ]]』のエピソードの一つとして、
1974年発売の『小学二年生 夏の増刊』に掲載された、外伝的な長編作品である。
総ボリュームは94ページを誇り、内山氏が生前手掛けられた読切作品では最長のものとなっている。
作画スタッフには内山氏以下、たくま宏章、森正人、そして後年の『ウルトラ兄弟物語』作者・かたおか徹治が
「ウルトラグループ」名義で記載されている。



◆概要
故・内山まもる氏が小学館の誌面にて手掛けてきた第2期ウルトラシリーズのコミカライズは
『帰マン』から『レオ』まで続き、その後『ザ・ウルトラマン』として知られる[[ジャッカル大魔王]]の物語へと繋がってゆくが、
実は内山氏のウルトラ漫画は、本筋の連載とは別に、&b(){長編}の形式を取った番外編的な内容が幾つか存在する。

当時、『小学二年生』誌は季節の変わり目に、通常のナンバリングとは別に増刊号を刊行しており、
それらに内山まもる氏の手掛けた、ウルトラシリーズ漫画の番外編的な長編が何度か掲載されていたのだ。
具体的には『帰マン』期の『&b(){決戦ウルトラ兄弟対11大怪獣}』、
『A』期の『&b(){ウルトラ5兄弟たいヤプール人}』と、『&b(){怪獣はか場のけっとう}』、
そして今回紹介する、『タロウ』期に発表された『&b(){かがやけ ウルトラの星}』の計4作が該当する。

が、なまじ長編形式だったのが災いしてか、これら作品は書籍収録の機会には全くと言っていいほど恵まれず、
後に内山氏の作品が『ザ・ウルトラマン』として纏められた際に選ばれなかったのは勿論のこと、
2000年代に入って第2期ウルトラシリーズの漫画がコンビニコミックとしてようやく単行本化された際にも除外されてしまい、
2016年時点においても殆どの作品が単行本収録の機会を与えられずにいる、不憫な状況に陥ってしまっているのが実情である。

そんな中、数少ない例外となりえたのが『かがやけ ウルトラの星』である。
2010年9月に、小学館より発売された『&b(){ウルトラコレクションボックス ザ・内山まもる}』収録作の一つとして、
80年代に連載された『ウルトラ戦士 銀河大戦争』共々、ようやく全国の内山ファン待望の書籍化がなされたのである。
しかも、単行本サイズの『銀河大戦争』と異なり、雑誌掲載当時と同寸という大伴振る舞い。
値段こそ他の特典込みで3000円越えと決して安くはないが、ファンなら間違いなく「買い」の逸品である。

完全部数限定という触れ込みゆえに、現在は入手困難……という訳でもなく、
実のところ結構在庫が余ってたのか、発売から数年くらい経っても&b(){Amazonでも新品を取り扱っていたほど。}
流石に現在は売り切れているようだが、2016年3月からは各種電子書籍サイトでも取扱いが開始されており(価格は税込1600円ほど)、
もし値段に見合う価値を作品から見出せるのであれば、手を出してみるのも悪くないかもしれない。
&s(){実のところ2016年時点、Amazonの中古価格も原価からそれほど高騰してないので、物理で欲しい人は急いでチェックしてみよう。}



■登場怪獣紹介

・120匹の怪獣軍団
宇宙より地球に襲来、日本列島全土に侵攻作戦を仕掛けてきた怪獣・宇宙人の勢力。
かつてウルトラ戦士たちが立ち向かった、名だたる強豪怪獣ばかりで構成されている。
120匹の軍勢とは作中の言だが、作中に明確に登場した分だけでは全然足りないため、
恐らくは漫画に描かれた以外にも、裏でウルトラ兄弟に倒された怪獣が相当数いたのだろうと推測される。

&b(){北海道侵略軍}
侵略隊長は[[バルタン星人]]。
[[テロチルス]]、[[サータン>サータン(ウルトラ怪獣)]]、ギガス、[[ベムスター]]、[[ダンカン>ダンカン(ウルトラ怪獣)]]を率いてウルトラマンと戦った。

&b(){東北地方侵略軍}
侵略隊長は[[ゴドラ星人>ゴドラ星人(ウルトラ怪獣)]]。
[[ゴモラ]]、ブラックサタン((漫画作中では「ブラックサターン」表記。『小学二年生』で連載された内山まもるの漫画版『ウルトラマンA』では「ブラックサタン」表記なのが確認できるが、表記ゆれした理由は不明。))を率いてウルトラセブンと戦った。

&b(){東京侵略軍}
侵略隊長はナックル星人。
[[デットン>デットン(ウルトラ怪獣)]]、ハリケーン、モグネズン、ブラックキング、グロンケンを率いてウルトラマンタロウと戦った。

&b(){中部地方侵略軍}
侵略隊長は[[ガッツ星人]]。
[[エレキング]]、ガンダー、ノコギリン、[[アーストロン>凶暴怪獣 アーストロン]]、シーゴラス、スノーゴンを率いて帰ってきたウルトラマンと戦った。

&b(){四国地方侵略軍}
侵略隊長は[[巨大ヤプール>異次元人 ヤプール]]。
ムルチ、マザロン人((漫画作中では「ヤプール」表記。決して間違いではないが……))、ルナチクス、コスモリキッド、ドラキュラス、[[ツインテール]]を率いてウルトラマンエースと戦った。

&b(){九州地方侵略軍}
侵略隊長は[[メトロン星人]]。
ビーコン、プルーマ、[[ジャミラ>故郷は地球]]を率いてゾフィーと戦った。

&b(){その他}
物語終盤では、怪獣軍団の総大将として[[メフィラス星人]]が登場。
その他、九州沖の一大決戦では上記怪獣の他、確認できるだけでも[[テレスドン]]、ダンガー、[[ヒッポリト星人]]の姿が描かれている。


・オクスター
『帰ってきたウルトラマン』の怪獣。
第1話にて海底火山の影響にて復活し、人が住んでいる島に襲撃を仕掛けるも、
駆け付けたZATに島民を逃がされてしまい、劇的なデビューを遂げたウルトラキングの初陣の相手として屠られる。
上記の怪獣軍団の先遣隊だったのか、それとも目覚めさせられた野生の怪獣だったかは不明。


・ウルトラキング
&b(){『かがやけ ウルトラの星』最重要キャラクター。}
「げんすけ」と名乗る青年が変身する、ウルトラ戦士たちとは全く異なる「新たな巨大ヒーロー」。
背丈はウルトラ戦士と大体同じ程度だが、外見は結構相違が大きく、分かりやすく表現するならば
「&b(){DCやマーヴルなどアメコミヒーローの衣装を着込んだ、ウルトラマン系統の宇宙人}」といったところか。
戦闘能力は非常に高く、「キングスパーク」「スター光線」といった光線技を使いこなし、
白兵戦でもその肉体を活かして怪獣相手に果敢に立ち向かう。
無論、空を飛ぶことも可能で、作中では日本列島を縦横無尽に飛び交い、各地で戦うウルトラ兄弟を援護した。

一見すると、ウルトラ兄弟と同様の高潔なヒーローであり、実際作中でも地球人から大きな支持を集めることとなる。
しかし、その正体は……?

言うまでもなく、およそ一年後に映像作品で初登場する&b(){[[別のキング>ウルトラマンキング]]}とは全くの無関係。



◇『かがやけ ウルトラの星』あらすじ

※以下、雑誌掲載当時の柱に書かれていたコメントは&color(blue){青字}で表記。 

#center(){
&font(#B22222,b){突然、地球をおそった怪獣軍団。}
&font(#B22222,b){次から次へと、押しよせる凶悪怪獣のために、町や村は破壊され尽くしてしまう。}
&font(#B22222,b){今までに見たこともない、地球最大のピンチだ。}
&font(#B22222,b){しかし、地球をこのまま滅ぼしてはならない…。}
&font(#B22222,b){そうだ、ウルトラ兄弟たちが、怪獣に血みどろの戦いを挑んだのだ。}
&font(#B22222,b){怪獣軍団を率いるものは誰だ。ウルトラ兄弟はどんな戦いをするだろう。}
}


-第1話 ウルトラキングとうじょう

#center(){
&font(#B22222,b){地球は狙われている。}
&font(#B22222,b){星人に率いられた、怪獣たちは宇宙の果てから、地球侵略のチャンスを狙っていた。}
&font(#B22222,b){そして、行動を開始した。}
&font(#B22222,b){光の国のウルトラ警備隊では、その情報をキャッチした。}
&font(#B22222,b){今までになかった怪獣軍団のすごい攻撃に対抗して、ウルトラ兄弟が戦いの準備を始めた。}
}

ある日、[[ZAT>ZATウルトラマンタロウ]]は完成したばかりの新兵器・&b(){ザットバルーン}なる熱気球の試運転を行っていた。
光太郎も搭乗員に加わり、見晴らしのいい景色を楽しみつつ、このまま無事テストが終わるものと思っていた矢先、
偶々通りがかった海上にて、隊員たちは不審な海底火山の爆発に遭遇。
すぐさま本部に連絡を繋ごうとするが、電波障害によるものか何故か全く繋がる気配がない。

……気付いた時には、ザットバルーンは&b(){正体不明の円盤の大群、およそ数十もの規模}のそれに取り囲まれていた。
無線が通じないのはこれらが原因なのだろうかとZATは勘繰るも、周囲を滞空するだけで全く攻撃する様子を見せない
円盤群に不信感を抱きつつ、一先ず近くの孤島へとザットバルーンを停留させることに。
島に降りた隊員たちを待ち受けていたのは、逃げ惑う島の住民たちと、暴れまわる怪獣&b(){オクスター}。
恐らく、先の海底火山の影響で目を覚ましだのだろう。

パニックに陥った島民たちを避難誘導しようとするZATだが、そこに現れたのは、&b(){精悍な顔立ちの見知らぬ青年}。
青年は、押しよせる群衆を前にしても全く怯むことなく、的確に子供から優先してZATバルーンへと誘導する。
その我が身の危険をも恐れぬ姿勢に、ZATの隊員たちも感心。彼の尽力の甲斐あり、無事島民全員の避難が完了した。
&color(blue){いったいこの青年はなにものだろう。}

全員の避難完了を確認した青年は、離陸し始めたZATバルーンに自身も無事飛び乗り、一安心……と思いきや
追ってきたオクスターがZATバルーンを揺らし、一人の幼い少年がバルーンから投げ出されてしまう。
絶体絶命の危機を前に、東光太郎は他の隊員に気付かれぬよう、混乱に乗じて自身も飛び降り、バッジを翳す……が、
それと同時に、謎の青年も共にバルーンから飛び出し、光太郎の目の前で「&b(){変身}」と叫ぶ――――

変身完了した光太郎……[[ウルトラマンタロウ]]の目の前にいたのは、
謎の青年が変身した、ウルトラ戦士とはまた異なる巨大な超人……&b(){ウルトラキング}であった。
&color(blue){あっ、ウルトラキングとは、いったいなにものだろう。}

ウルトラキングは幼い少年を手で優しく受け止めると、ZATバルーンのもとにまで飛行し、少年を送り届ける。
民衆はウルトラ兄弟とは異なる、未知の戦士の登場に驚くも、一先ずは少年が助かった事に心から安堵するのであった。

一方、地上に降り立ったタロウはオクスターと対峙するも、間髪入れず戻ってきたウルトラキングが乱入。
キングスパーク、スター光線といった多彩な光線技で怪獣を翻弄、あっという間にオクスターを粉砕した。
戦い終わり、ウルトラキングはウルトラマンタロウに目線で挨拶すると、自身の名を告げる。
タロウは、彼がウルトラ族の者ではないことしか察することができなかったものの、恐らく彼は敵ではないと判断。

時を同じくし、ウルトラサインによる連絡がタロウのもとに届く。
その内容とは、怪獣軍団が地球に向かって侵攻、それを追ってウルトラ兄弟も急行しているというものだった……



-第2話 ついに来た怪獣軍団

海底火山の爆発、謎の円盤の襲来…… 地球に次々と起こる異変を前に、ZATは対策を練るべく奮闘していた。
日本各地に舞い降りた円盤は、行動する気配こそ感じられないもの、却ってそれを隊員たちは不気味に感じる。
光太郎は、円盤の目的は先にZATに対して行ったように、電波妨害の網を張ることではないかと推測。

その時、ZAT本部を一人の人物…… 先の事件でウルトラキングに変身した、あの青年が訪れた。
「&b(){げんすけ}」と名乗った青年を、ZATもウルトラキングの変身者と既に掴んでいたようで、彼を歓迎。
ZATはげんすけを是非とも隊員に迎え入れるべく勧誘するが、そんな矢先に通信を担当していた森山隊員から
円盤が発していた電波妨害が消えたとの報告が入る。

時を同じくし、日本最北の地・[[北海道]]。
札幌近郊の山中にて、生息するヒグマたちが何者かにより、山を一斉に追いだされるという怪事件が発生。
山から逃げてきたヒグマは群を成して札幌市街へと追い込まれ、あまりの事態に肝を潰した市民たちであったが、&s(){[[ニヘイゴハン!>ゴールデンカムイ]]}
ヒグマたちはあまりの恐怖に支配されてしまったが故か、人間なぞ目もくれずに街中を駆け抜けていった……

山を占領し、ヒグマたちを追いだした犯人……それは、地球に到達した怪獣軍団の一派であった。
&b(){北海道侵略隊長・[[バルタン星人]]}により率いられる、テロチルス、ベムスター、ギガス、サータン等といった
名だたる凶悪怪獣たちは、群を成して北海道の街々へと襲撃を仕掛ける。
&s(){……テロチルスやベムスターはともかく、ギガスとサータンが普通に空を飛ぶ光景は違和感バリバリだが、気にするな!}

時を同じくし、東北地方・松島湾には&b(){東北地方侵略隊長・[[ゴドラ星人>ゴドラ星人(ウルトラ怪獣)]]}が、
東京市街地の地中からは&b(){東京侵略隊長・ナックル星人}が、
中部地方の山中には&b(){中部地方侵略隊長・[[ガッツ星人]]}が、
四国の海からは&b(){四国侵略隊長・[[ヤプール人>異次元人 ヤプール]]}(見た目は巨大ヤプール)が、
そして九州の長崎港には&b(){九州地方侵略隊長・[[メトロン星人]]}が、それぞれ怪獣軍団を引き連れて出現。
北は北海道、南は九州…… 6人の凶悪な侵略者によって率いられた怪獣軍団、&b(){総勢120匹}による日本総攻撃が遂に開始された。

日本列島6箇所に同時に出現した怪獣軍団の報は、当然のことながらZAT本部にも届く。
円盤群による電波妨害は、怪獣たちの地球侵入をレーダーに悟られないようにするための準備だったのだ。
すぐさまZATは全国に避難勧告を発令、それと時を同じくし、[[ゾフィー]]らウルトラ兄弟も地球に到着する。
&color(blue){光の国でも、怪獣軍団日本しん入を知り、ウルトラ兄弟たちが地球へむかったのだ。}

東光太郎はウルトラマンタロウに変身、ウルトラ兄弟たちと合流。
ゾフィーの指揮の下、6兄弟は日本各地で暴れまわる怪獣軍団を撃滅するため、各星人の指揮する6地方へと飛び散った。
&color(blue){ウルトラ6兄弟がせいぞろいした。怪獣軍団とのたたかいがはじまった。}

かくして、ウルトラ6兄弟と怪獣軍団の戦いの火ぶたは切って落とされることに。
その戦いぶりは、TVニュースのアナウンサーも大興奮で実況するほどの熱狂を催していた。
北海道には[[ウルトラマン]]、東北地方には[[ウルトラセブン]]、中部地方には[[帰ってきたウルトラマン>帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック)]]、
四国には[[ウルトラマンエース]]、九州地方にはゾフィー、そして東京にはウルトラマンタロウ。
襲い来る怪獣軍団を前に、敢然と立ち向かうウルトラ6兄弟だが、怪獣と戦う戦士は彼ら6人だけではなかった。

……そう、げんすけの変身したニューヒーロー・&b(){ウルトラキング}が日本全国を飛び回り、
ウルトラ兄弟と共に怪獣達を迎え撃つ、最強の助っ人として大活躍していたである。
北海道ではウルトラマンの背後に迫った怪獣を蹴散らし、東北ではセブンと共に光線技で敵を薙ぎ払い、
中部では帰マンを助けたかと思いきや、四国では苦境に陥るエースをギリギリのところで援護する奮戦ぶりを見せる。
&color(blue){なんと、ウルトラキングはすごい! 大かつやくだ。}

九州にて、ビーコンを迎え撃つゾフィーを、背後から不意打ちしようと目論んだスノーゴンを
スター光線で倒したウルトラキングは、すぐさま東京に駆け付けるとタロウと合流を果たす。
無数の怪獣軍団すらも、2大ヒーローは得意の格闘技や光線技で果敢に蹴散らし、
あっと言う間に東京の怪獣たちのボス・ナックル星人は追い詰められてしまう。
ウルトラキングは、臆することなくナックル星人に背後から組み付いた。これにて決着――――――



……が、タロウや地球人たちに悟られないよう、顔を近づけたウルトラキングとナックル星人は小声で会話を交わす。

「&b(){おい、このへんでひきあげろ}」「&b(){わかった。うまくやれよキング}」

何と、怪獣軍団のリーダー格の一人ナックル星人と、それを迎え撃つはずのヒーロー・ウルトラキングが
まるで懇意にしているかのごとく、親しげに密約を交わしているではないか。
ナックル星人は周囲に気取られる前にウルトラキングから距離を取ると、残存した怪獣たちを連れて逃亡を図る。
&color(blue){おや、キングとナックル星人が、こそこそと話をしている。これはおかしいぞ。}

かくして、全国に多大な被害を出したものの、ウルトラ兄弟とウルトラキングの活躍により
日本狭しと暴れまわっていた怪獣軍団は撃退され、星人達は恐れをなしたか、次々と逃げ出して行った。
歓声に湧いた国民たちは、地球に現れた新たなる正義の巨人・ウルトラキングを歓迎し、称える。
一方、東光太郎と懇意にしている少年・白鳥健一は、人々の間でキングのブームが巻き起こるのを他所に、
ウルトラ兄弟の方がよっぽど凄いとポツリと漏らすのであった。
&color(blue){ウルトラ兄弟たちをたすけたウルトラキングの人気が人びとの間でたかまってきた。}

ウルトラ戦士と共に怪獣軍団に立ち向かいながらも、明らかに怪しい素振りを見せたウルトラキング。
果たして、その正体は……



-第3話 ウルトラキングの正体

かくして彗星のごとく現れたニューヒーロー・ウルトラキングの日本国内における人気は絶頂に達し、
その正体を知る子供たちはZATの一隊員である東光太郎よりも、げんすけを慕うようになっていった。
彼もまた既にZATの隊員服を身に纏い、栄えある防衛チーム・ZATの隊員としての地位も確立するに至ったのだ。
とはいえ光太郎は別に名誉欲のために戦っている訳でもなし。
特にげんすけに嫉妬することもなく、ただ真摯に姿を消した怪獣軍団の行方を捜索する日々を過ごしていた。

ザットバルーンで周辺の警備を行う光太郎たちZAT一行は、怪獣軍団に荒らされた街の惨状に心を痛めるが
その時、&b(){げんすけが破壊された街を観て、ただニヤニヤ薄笑いを浮かべていた}のを偶然目にした光太郎は、
彼に対して底知れない不信感を抱く。
&color(blue){おかしい、げんすけはどうもおかしい。その正体もじきわかるぞ。}

ザットバルーンが丘に着陸すると、近隣で遊んでいた子供たちが、げんすけが居ると見るや駆け寄ってきた。
バルーンに一緒に乗せてとせがむ子供たちを、げんすけは快く承諾。一緒に遊んでいた健一は顔をしかめる。
光太郎と一緒に同乗していた南原隊員は、げんすけの行きすぎたサービス対応を流石に快く思わなかったらしく、
彼がここ最近、ウルトラキングとしての功績をいい事にまるで隊長気取りではないかと不満を漏らすが、
光太郎はすまし顔で、僻む南原隊員を諫めるのだった。

子供たちを乗せて再び飛びあがったバルーン。
げんすけは、子供たちの「&b(){ウルトラキングなんでしょう}」という問いに、快く「&b(){そうだよ}」と答えて正体を明かす。
無邪気に喜ぶ子供たちに彼は、&b(){光太郎の持っているバッジを握ると、もっと良いことが起きる}と話す。
流石に突然の事態に面くらう光太郎は、タロウに変身するのに必要なウルトラバッジを渡すことは強く反対するも、
子供たちのブーイングを好機を見たか、げんすかは間髪入れず光太郎の手からバッジを弾き飛ばす。
ウルトラバッジはバルーンの外へと飛ばされてゆき、同乗していた健一少年はそれに気付いて受け止めようとするも
空中で揺れたバルーンの壁面に頭をぶつけてしまい、そのまま昏倒してしまう。

バッジを紛失してしまい慌てる光太郎を見て、子供たちも流石に自分達のした事の重大さを理解し、彼に謝るが、
元凶であるげんすけは、まるで反省の色一つ見せず、子供たちの行為を褒め称えるかのような態度を取る。
彼に対する不信がより高まった光太郎の前で、げんすけは既に先ほどまでの好青年の仮面を剥ぎ捨てており、
慇懃無礼な不敵な表情で、&b(){自分がZATに入隊したのは光太郎のバッジを奪うためだった}と暴露。

流石にここまで来て、光太郎も彼が正義の味方などでない「もっと悍ましい邪悪な何か」である事を悟り、その正体を糾弾。
げんすけは口元を歪めると、地球人の姿を捨て、真の姿へと変貌する。
&color(blue){ついに、あらわれたぞ。げんすけの正体がついにわかるぞ。}

げんすけ、そしてウルトラキングの正体…… それは、過去に地球にも現れた侵略者、&b(){[[メフィラス星人]]}だった。
言うまでもなく、彼こそが日本列島を襲った怪獣軍団を統べていた、侵略者たちの真の首領。
人々を怪獣から助け、ウルトラ兄弟と共に怪獣軍団と戦ったのも、全ては邪な目的を果たすための仮面に過ぎず、
その最終目的地球人の信頼を勝ち得てZATの東光太郎に接触し、彼の力の源であるウルトラバッジを奪い取るため。
つまり、最初のオクスター襲撃に際しての勇敢ぶりから今に至るまで、&b(){全てがメフィラス星人の自作自演に過ぎなかったのだ}。

騙されていたことに愕然とし、怒る子供たちだったが、メフィラス星人は先ほどまで優しくしていた子供すらも歯牙にかけず
光太郎もろとも始末する為、巨大化した状態で容赦なくザットバルーンを蹴り飛ばす。
大きな衝撃を受けて、気を失っていた健一が目を覚ます…… その手に握られていたのは、光太郎のウルトラバッジ。
そう、バッジは外に落ちることなく、すんでのところで健一がキャッチしていたのだ。
&color(blue){あっ、バッジは下におちたんじゃないんだ。ケン一くんがしっかりにぎっていたんだ。}

健一からバッジを渡された光太郎は、すぐさまタロウに変身。地面激突ギリギリで健一や南原隊員、その他子供たちを助け出す。
目論見が外れて慌てるメフィラス星人だったが、すぐさまウルトラキングの形態へと変身し、上空でタロウを迎え撃つ。
端正なヒーローの仮面の裏に、ドス黒い醜い本性を隠していた卑劣な侵略者、ウルトラキング……
「ウルトラ」を騙り、その名を汚したメフィラス星人に対し、タロウの怒りは最高潮に燃え上がっていたのも当然と言えよう。

真実を知った子供たちの声援を受け、強敵ウルトラキングをも圧倒するウルトラマンタロウ。
……だが、九州沖の海辺に降り立った彼らを待ち受けていたのは、バルタン星人ら6人の侵略者たちによって率いられた120匹もの怪獣軍団。
タロウを倒すべく、ウルトラキング……否、メフィラス星人が日本中に潜んでいた軍勢を、集結させたのだ。
ブラックキング、シーゴラス、エレキング、テレスドン……かつてウルトラ戦士たちが戦った、そうそうたる凶悪怪獣ばかりだ。
&color(blue){うわあ、すごい怪獣だ。うちゅうの怪獣どもが、日本にあつまったのだ。}
……ちなみにこの見開き、&b(){海の中から}次々と姿を見せる怪獣達の中に、堂々と&b(){ジャミラ}の姿があったりするのは一部で有名。



-第4話 たたかえウルトラ6兄弟

#center(){
&font(#B22222,b){押しよせる怪獣軍団120匹に、戦いを挑んだ6兄弟。}
&font(#B22222,b){血みどろの戦いが始まろうとしている。}
&font(#B22222,b){皆さん、6兄弟を応援してくれっ。}
}

怪獣軍団出撃に際し、ゾフィーらウルトラ5兄弟も九州沖に駆け付け、タロウのもとに合流。
襲い来る凶悪怪獣たちを前に、空で、海上で、海中で、所狭しと大乱戦を繰り広げる。
その光景を遠目に眺めていた南原隊員は、あまりの光景に圧倒される子供たちを尻目に、ZATへの連絡を続けていた。

タロウは兄弟たちを助けるべく、ウルトラキングとの決着は後でつけようと星人に持ちかける。
自分達の勝利を疑って知らないウルトラキング……否、メフィラス星人は申し出を了承。変身を解いて姿を消す。

兄弟たちのもとへ向かうタロウであったが、既に初代ウルトラマンは怪獣軍団との戦いの中で苦境に陥っていた。
テレスドンに羽交い締めにされながら、ツインテールの尻尾に締め付けられる二重苦に苦しめられていたが、
ウルトラマンは意を決すると、全身の力を振るってテレスドンの12万トンもの巨体をツインテールめがけて投げ飛ばす。
(この時、「およよ」と驚き顔のデットンがちょっと可愛いと筆者は思う)

ツインテールはペシャンコに潰されたものの、テレスドンはなおもウルトラマンを離さず、海中へと引きずり込んでしまう。
海中で苦しむウルトラマンを狙って泳いできたのは、かつて帰ってきたウルトラマンすらも苦しめた強豪怪獣シーゴラス。
危機を悟ったウルトラマンは急いで逃れようともがくも、テレスドンの拘束を振りほどく事は敵わず、
結局シーゴラスの鋭い角によってカラータイマーを貫かれ、あえなく絶命してしまった……

ウルトラマンの死を知って高々に笑うメフィラス星人の言葉に、残るウルトラ兄弟たちは戦慄する。
ゾフィーは涙を流すほどの悲しみを覚えながらも、殺されたウルトラマンの敵を討つべく、シーゴラスとテレスドンを倒した。
しかしメフィラス星人は、カラータイマーが鳴ったときこそがウルトラ兄弟最期の時だと余裕を崩さない。
事実、地球上ではわずか3分しか戦えないウルトラ戦士たちにとって、120匹もの怪獣軍団はあまりにも数が多すぎた……

その頃、南原隊員を通じてようやく事態を知ったZATにより、
ウルトラ兄弟が九州沖において死力を尽くして怪獣軍団の日本上陸を食い止めていること、
そして戦いの最中、かつて地球を救った偉大な英雄・ウルトラマンが命を落とした事が、
テレビ・ラジオのニュースを通じて日本全国の人々に伝えられることとなった。
自分達がウルトラキングを持て囃している間に、ウルトラマンが決死の戦いの中で落命した事実を知った国民たちは愕然とする。

……そして、メフィラス星人の思惑通り、ウルトラ兄弟たちのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。
自分達に時間が遺されていない事を悟った帰マンは、奥の手である「ウルトラダブル」を発動すると宣言。
それを聞いたゾフィーは慌てて彼を制止するも、帰マンは構わずに技を発動……そのサイズを2倍の大きさへと変じさせた。
&color(blue){あっ、だめだ、ウルトラマン。ウルトラダブルをつかったらしんでしまうよ。}

「ウルトラダブル」……それは、エネルギーを爆発的に消費する事で、普段より2倍の大きさ、
およそ80メートルの超巨大ウルトラマンとなる事で、一瞬で怪獣を蹴散らす、帰マンの奥の手だ。
巨大化した帰マンは、アーストロン、エレキング、ダンカー、ジャミラといった強豪怪獣を容易く蹴散らしてしまう。
&color(blue){ウルトラダブルはからだの大きさが2ばいになるひっさつわざなのだ。}

……だが、敵を一蹴したと同時に、帰ってきたウルトラマンは残されていた全ての力を使い果たし、
元の姿に戻ったと同時に倒れ、命尽きてしまった。
エースは兄の敵を討つべく、必殺技ウルトラサンダーで空中の怪獣たちを一網打尽にするが、
背後から放たれたバルタン星人の攻撃をまともに食らってしまい、致命傷を負ってしまう。
&color(blue){くそっ、バルタン星人めっ。後ろからやるとはひきょうだぞ。エースしっかりしろ。}

背から不意打ちするという卑劣極まりないやり口に、遂にウルトラセブンの怒りが爆発。
彼の放ったアイスラッガーは中空を縦横無尽に軌道を描き、バルタン星人以下&b(){6人の侵略者全てを一瞬で切り裂く}。
かつて120匹もの怪獣を率いて日本を襲った侵略隊長も、怒りが込められたアイスラッガーの一撃で全滅する最期を迎えてしまったのだ。
&color(blue){おこったセブンのアイスラッガーがとぶ。しねっ、星人ども。}

唯一すんでのところで回避したメフィラス星人は、目から放った光線でセブンを狙撃。
彼もまたエネルギーが尽きる寸前だったか、避けることすらできずにまともに光線を浴び、崩れ落ちてしまう……

……が、気付けば大軍勢の怪獣軍団も、既に生き残ったのはメフィラス星人ただ一人だけ。
兄弟たちを殺され、怒りに燃えるゾフィーとタロウに追い詰められた星人は、
たじろぎながらも二人も道連れにしようと闘志を燃やし、ゾフィーとぶつかり合う。
数度にわたる交錯の末、メフィラス星人はゾフィーに光線を浴びせて致命傷を負わせるも、
その隙に背後からタロウが撃ったストリウム光線により絶命。
偽りの英雄を名乗り、人々の心を持て遊んだ愚劣な侵略者の、呆気ない最期であった。
しかし、それを見届けたゾフィーもまた、力尽きて海中に没してしまう……

ウルトラ兄弟と怪獣軍団の戦いの顛末は、ZATにより日本全国にニュース中継で報じられた。
怪獣軍団の全滅と引き換えに、タロウを除くウルトラ5兄弟が尊い命を落としてしまったこと、
そして自分たちが散々持て囃したウルトラキングは、怪獣軍団の首魁メフィラス星人だったこと……
モニターに映し出されたZATの朝比奈隊長は、ただただ沈痛な表情を浮かべ、項垂れるよりなかった。


かくして、血みどろの戦いは遂に終結を迎えた……が、その中で失われたものは、あまりにも多すぎる代償だった。
ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、そしてゾフィー……
青き星・地球を死力を尽くして守りぬき、そして永遠に喪われてしまった英雄たち。
海原に横たわった兄たちの亡骸を前に、唯一生き残ったタロウは涙を堪え、光の国へと帰還するのだった。

#center(){
&font(#B22222,b){戦いは終わった。}
&font(#B22222,b){しかし、タロウは戦いで失った兄弟たちのことを想うと、悲しかった。}

&font(#B22222,b){タロウ、ありがとう。ウルトラ兄弟よありがとう。}
&font(#B22222,b){ウルトラの父と母の待つ、光の国へ、タロウは一人帰るのだった。}
}

&color(blue){ううっ、ウルトラ兄弟がしぬなんて、しんじられない。}
&color(blue){ウルトラ兄弟がしぬなんて……。でも、また生きかえってみなさんの前にあらわれるでしょう。}


なお、本エピソードが掲載された『小学二年生 夏の増刊』よりも後に発売された、小二本誌の『タロウ』連載では
戦死したウルトラ5兄弟は&b(){しっかり生き返って読者の前に舞い戻っている}のでご安心を。
&s(){ウルトラシリーズではよくあること}




追記・修正は、ジャミラのように弱点を克服してからお願いします。

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#openclose(show=▷ コメント欄){
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- これだけの芝居をタロウからバッジを盗るためだけにやったメフィラス。攻撃隊長の中のゴドラは色仕掛けで一分でダンからウルトラアイを奪ったんだがねえ  -- 名無しさん  (2016-07-23 00:55:20)
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