300系新幹線電車

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300系新幹線電車」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2017/08/26 Sat 22:14:45
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(※本記事で使用している画像はすべてウィキメディア・コモンズが出典です)
#image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c1/300_series_J31_Hamamatsu_20050521.jpg,width=400,height=300)

300系新幹線電車とはJR東海が開発した新幹線電車である。
東海道新幹線の速度向上を目的に開発され、営業列車としては初めてほぼ全区間に渡って270km/h運転を実現した。((実は270km/h運転は300系の登場よりも早く上越新幹線で行っていたが、こちらは大清水トンネルの下り勾配を利用し、新潟行の下り列車の一部に限って行われていた。上下列車で、しかもほぼ全区間で270km/h運転を実現したのは300系が紛れもなく最初である))
そして登場から廃車まで16両編成を保った唯一の車両である。
*概要
300系の原型とも言えるのはJR東海設立から間もない時期に立ち上げられた「スーパーひかり計画」に遡ることができる。スーパーひかりはハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウを採用した専用車両を使用し、[[100系>100系新幹線電車]]や[[0系>0系新幹線電車]]よりも最高速度を40km/h向上し、東京・新大阪間の所要時間を2時間台中盤にまで縮めるものであった。ハイデッカー・前面展望・大型パノラミックウィンドウは車体強度の問題から実現しなかったものの、新型車両投入による最高速度の向上は引き継がれた。JR東海が定めた目標所要時間は&bold(){2時間30分}。これは東京大阪間の航空機の所要時間1時間に中心部へのアクセス時間を加味したものである。
この所要時間を達成するため、地上設備との制約などから最高速度は270km/hに決められた。

*徹底した軽量化
新幹線に限らず、どんな乗り物であっても重量が重ければ重いほど通過時に発生する振動も大きくなる。それは勿論速度が高ければ高いほどより大きくなる。
この振動はレールにも影響を及ぼす。
東海道新幹線はバラスト軌道であるが故に路床の砂利が振動によって擦れあい、小さくなってしまう。そうなれば嵩が減って沈み、レールが浮いてしまうのだ。
なお、余談ではあるが、このバラスト軌道に用いる砂利は大きさや形状を揃えてはいけない。様々な形状、大きさによりガッチリと組み合うことができるのだが、揃えると簡単に崩壊しやすくなるのだ。
300系開発に際し、270km/hで走行したときの振動が0系が220km/hで走行した時と同レベルにするためには車重45トン、軸重11.3トンに収めることが実車実験と計算によって判明した。このため、300系では車体の材質にアルミ合金を採用し、座席からネジの1本に至るまで徹底した軽量化を行った。設計段階で&bold(){おい、お前のとこは後何g削れるだろ}というやり取りが開発チーム内でされたとか何とか。

*仕様
基本仕様

編成 16両(10M6T)
車体 アルミ合金
電気方式 AC25000V 60Hz
制御方式 VVVFインバータ制御
主電動機 T-MT3型・T-MT4型・T-MT5型・W-MT203型 三相交流誘導電動機 定格出力300kw
制動装置 回生ブレーキ・渦電流ブレーキ
保安装置 ATC-1・ATC-NS
駆動方式 WN駆動
歯車比 2.96
起動加速度 
最高運転速度 270km/h
速度種別 S57

「設備の制約が厳しい東海道新幹線で270km/h運転」を実現するため、様々な新技術が投入された。
まず車両の軽量化のため、新幹線としては初めてVVVF制御・交流電動機・回生ブレーキ・ボルスタレス台車を採用した。更に車体断面を小さくするため、屋根上に設置していたエアコンを床下設置とした。これはVVVF制御の採用によって制御装置などの機器類を小型化し、エアコンを床下に収めることができるようになったためである。
しかし300系は薄いアルミシングルスキン構造であったため、床下から天井の送風口へ冷気を送っている間に暖められてしまい、冷房の効きが悪いと悪評が立ってしまった。

また車体を平滑化するため、引戸からプラグドアに変更した。これについてはあまり意味がなかったらしく、後年の増備車では引戸に戻っている。

パンタグラフは16両編成で3基まで削減された。これは電動車ユニット同士を高圧引き通し線で接続したことで実現出来たもので、通常は2基だけ上げて運行していた。当初は下枠交差型パンタグラフと大きなパンタカバーを装備していたが、700系の登場と前後して碍子だけを覆うカバーと衝立にシングルアームパンタグラフの組み合わせに変更された。高圧引き通し線も当初は全てが大きな碍子と電線の組み合わせだったが、こちらも700系の登場前後に台車検査などで頻繁に切り離しを行う箇所を除いて電線とコネクタの組み合わせの直ジョイントに変更された。

車内設備においては所要時間が従来車に比べて大幅に短くなることからビジネスライクにシフト。全車両が座席車となり食堂車や個室車が抹消されたが、7号車と11号車には売店スペースが設置された。普通車は3+2、シートピッチ104cmのリクライニングシート、グリーン車は2+2、シートピッチ116cmのリクライニングシートが並び、全座席が回転可能である。編成全体の定員は普通車1123人、グリーン車200人の合計1323人となり、これは東海道新幹線の標準となった。

高速運転時の揺れを抑えるため、台車にはヨーダンパ、軸ダンパを装備していたが十分とは言えず、&bold(){「座席前のテーブルに置いたコーヒーがこぼれた」「サンドイッチが手も触れていないのに丸ごと床に転落した」}などの苦情が相次いだという。多くは後年の乗り心地改善工事によって改善されたが、回生ブレーキ作動時の前後衝動などは解消しきれなかった。

*量産先行車
#image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/J1_Hamamatsu_20030428.jpg,width=400,height=300)
300系は新幹線にとって未経験の技術をふんだんに盛り込んだため、実車での長期走り込みを行ってデータを収集する必要があった。そこで量産に先立って試作車を製造することになった。それがJ0編成である。J0編成は1990年に落成し、試験走行で最高速度325.7km/hを記録している。

J0編成は量産車と外観が大きく異なり、遠目にも識別できた。以下はその一例
-先頭車両側面の台車近くが膨らんでいる((これは製造中の台車入れの際、台車が入らないことが判明したために急遽叩き出しを行って出来たものである))
-屋根高さが50mm低い
-ヘッドライトのガラス形状が角ばっている

量産先行車は後に量産化改造を行って編成番号をJ1へ改めて営業運転で使われたが、2000年に営業運転から離れ、新技術の実地試験車として使われることになった。2005年に[[N700系>N700系新幹線電車]]の量産先行車であるZ0編成が登場。試験車としての役割をN700系へ譲り、2007年に廃車された。廃車後は浜松工場で16号車以外を解体した。解体時に得られたデータは量産車の解体にも活用されたという。

*運用
導入当初は早朝・深夜ののぞみ号2往復と日中のひかり号1往復で運用され、のぞみの増発と増備によって博多乗り入れやひかり・こだま運用も増加。700系の運用開始後はひかり・こだま運用が主体となり、N700系運用開始後はひかり運用からも追われてこだま主体の運用となった。

*去就
300系は最盛期にはJR東海で61本、JR西日本で9本が在籍していたが、車齢13年を超えた2007年頃よりN700系に置き換えられる形で廃車が始まり、J14編成が量産車の廃車第1号となった。その後も乗り心地改善工事を施工されなかった初期の車両を中心に廃車が進み、JR東海所有分の全般検査は2010年6月を持って終了。2011年11月時点で5編成を残すのみとなった。

一方JR西日本所有分は2011年まで廃車がなかったが、F5編成を皮切りに廃車が始まり((解体作業はJR西日本の博多総合車両所ではなく、JR東海の浜松工場で行われた。))2011年11月では3編成まで数を減らした。
JR西日本では優等運用から退いた車両を短編成化し、山陽新幹線のこだま専用車両に転用するのを得意としていたが、300系については短編成化が難しく、16両のまま生涯を終えることになった。

そして2012年3月のダイヤ改正を持って300系の運用終了が決定。最後まで残ったのはJR東海はJ55・J57の2本、JR西日本はF7・F8・F9の3本で、定期運用は東海道新幹線では2012年2月、山陽新幹線では同年3月を以て終了。さよなら運転は東海道・山陽新幹線で同日に行われ、東海道では東京発新大阪行の「のぞみ329号」((J57編成))、山陽では「のぞみ609号」((F7編成))で行われ、のぞみ609号は途中岡山駅で100系のさよなら列車と並ぶという心憎い演出が行われた。

その後残っていた全車両が廃車され、300系は形式消滅となった。最後まで残っていた車両はすべて解体され、現存しない。

*300系が与えた影響
300系は東海道新幹線高速化の立役者として大きな影響を残した。例えば最高速度270km/hは長年東海道新幹線の最高速度に定められ、編成全体での定員1323人を東海道新幹線のデファクトスタンダードとして確立したのも300系である。
また、「鉄仮面」とも呼ばれるそのイケメンなフェイスから今日の500系やE7/W7系に繋がる人気を博し、「超特急ヒカリアン」や「勇者特急マイトガイン」では主役のモチーフとなった他、様々なアニメやマンガに登場する。

乗り心地などの面で未成熟な部分はあったものの、300系が無ければ500系・700系・N700系は存在すらしていなかっただろう。


*現存する300系
保存車両は少ない。
-322-9001
名古屋市港区のリニア・鉄道館で保存。

-323-45
JR東海の関連会社で訓練用として使用。非公開。

実は量産車である323-20もリニア・鉄道館で保存されていたのだが、700系C1編成の先頭車723-9001と入れ替えられる形で展示を終了。別の場所へ移されること無く解体されてしまった。何とももったいない話である。

高速運転時の激しい揺れにも耐えられる人は追記・修正をお願いします。


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- 今も一番好きな新幹線  -- 名無しさん  (2017-08-26 22:43:19)
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