悪魔が来たりてヘヴィメタる(聖飢魔IIの大教典)

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悪魔が来たりてヘヴィメタる(聖飢魔IIの大教典) - (2016/01/03 (日) 10:25:55) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/10/13(木) 02:02:21
更新日:2024/03/12 Tue 17:53:51
所要時間:約 7 分で読めます




今から10万年前、宇宙は神々によって支配されていた。世はまさに平和を絵に描いたようなのどかな時代であった。だが、そのような時代の中に破壊、殺戮、略奪を美徳とする悪魔の軍団、デーモン一族が現われた。彼らは天上天下の万物を粉砕し、神さえも処刑した。それに激怒した全知全能の神ゼウスは、彼らを闇と静寂の国に閉じ込めたのであった。しかし、遥かな時を経過した世紀末の今、神ゼウスの力に翳りが見えはじめ、同時に悪魔の国に異変が生じた。そうなのだ!あのデーモン一族が自らの魔力によって暗闇から脱出し、10万年ぶりに再び蘇ったのだ!そして今、彼らは“聖飢魔II”と名のるロックバンドに姿を変え、ゼウスへの報復と全世界にはびこる「善」を抹殺するために活動を開始した。それによって聖飢魔II現れる所、各地のコンサート会場、ライブハウスは修羅場と化し、人々は断末魔の叫びとともに腹をよじられながら処刑されているのだ。このレコードは彼らの凱旋ののろしをあげる記念すべき悪魔の招待状なのだ。さあ熱心な悪魔教の信者となり、楽しく暮そうではないか。ただし耳が腐っても知らん。
―ライナーノートより抜粋―


◆悪魔が来たりてヘヴィメタる◆
『悪魔が来たりてヘヴィメタる(あくまがきたりて―)』は魔歴紀元前14年(1985年)9月21日に発布された聖飢魔IIの第1教典。
聖飢魔IIはこの作品により地球デビューを果たした。

日本のメタルバンドのレコード史上、初めて10万枚を超える売り上げを記録したヒット作となった一方で、
なんちゃってヘヴィメタル専門雑誌BURRN!誌のアルバムレビューコーナーにおいて、史上初の0点を喰らってしまったアルバムとしても知られる。
0点を付けたのは当時編集長を勤めていた酒井康氏であり、
このアルバムのイメージからか聖飢魔IIは長らく硬派なメタルファンから偏見の目で見られる事となった。
(ただし、タイトルからも窺える様に当時のレコード会社のプロモーション自体が色物路線にあったのは確かであり、閣下も環境が余り良く無かった事を認めている)
元々はアナログ盤での発売であったが、魔歴紀元前11年(1988年)にはCDアルバムとしても発売されている。



【収録曲】

①魔王凱旋(1:41)
作曲:ダミアン浜田
編曲:聖飢魔II
※インストゥルメンタル。
ミサの開幕を告げるオープニング曲と思われるが、後には余り使用されていない。
後の99年解散ミサに於けるダミアン殿下登場の際に、ダミアン殿下自らが演奏して登場すると云う“粋”な演出がなされた。


②地獄の皇太子(3:01)
作詞/作曲:デーモン小暮
編曲:聖飢魔II
※現在も歌われる事の多い、初期聖飢魔IIを代表するメタルの名曲。
悪魔的世界観を鋭いギターの音で描き上げる。
デーモン閣下がダミアン殿下の発生日(誕生日)を祝して作り上げた……とされている。


③ROCK IN THE KINGDOM(4:34)
作詞:デーモン小暮/作曲:ダミアン浜田
編曲:聖飢魔II
※破壊的な世界観を高らかに宣言する、王道的なメタル作品。
当時のテンプレ的な悪魔的な世界観、メタルバンドであった聖飢魔IIを代表する曲の一つであろう。
活動絵巻(プロモーションビデオ)が存在していて結構良い出来だが、残念ながら暫くしてお蔵入りになっている。
※活動絵巻集『BLOOD LIST』には収録されている。


④X・Q・JONAH(5:20)
作詞/作曲:ダミアン浜田
編曲:聖飢魔II
※「エクスキューショナー(処刑人)」と読む。
メロディアスな始まりと、サビ部分の盛り上がりの落差が心地良い。
サビのフレーズがムチャ格好良い。


⑤悪魔組曲 作品666番 ニ短調(13:26)
◆序曲:心の叫び
◆第一楽章:STORMY NIGHT
◆第二楽章:悪魔の穴
◆第三楽章:KILL THE KING GHIDRAH
◆第四楽章:DEAD SYMPHONY
◆終曲:BATTLER
作詞:デーモン小暮、ダミアン浜田/作曲:ダミアン浜田
編曲:聖飢魔II
※聖飢魔IIの地球デビューを決めた、記念的大作。
……記念作としての価値が付加されたのは後の事ではあるが、
歌詞でややウケを狙いながらも、悪魔的世界観を見事に表現した作風は十分に将来を感じさせるものであったのだろう。
初期聖飢魔IIを代表する楽曲として、後々まで演奏し続けられた間違いなく代表曲の一つ。
因みにこの曲は元々別の曲であったが、
ダミアン浜田殿下が新宿の松屋で牛丼を食べていた時に「この曲、組曲としてくっつけてみよう」思い付きでいう天啓を受けて1つの曲になったとの事。
因みに何故松屋で牛丼を食べていた事が関係あるのかは不明。(後半の「作品666番ニ短調」は後にエース清水が追加したもの)
後の95年のサタン・オール・スターズではBATTLERをダミアン浜田殿下が御登場される際に自ら演奏して登場すると云う“粋”な演出がこの時もなされた。
この時の登場シーンはダミアン浜田殿下が10年ぶりに信者のもとに姿を現したことも相まって非常に感動するシーンである。


【伝説の評価】

「面白い、楽しい、笑える
 でも、それは、結局、HMに対する侮辱だと思う。
 完全に色物だが、当然、ファンもつくし、興味を示すプレスもあるだろう。
 しかし、それが一体どれくらい続くのか? もし、洒落でやってるとしたらこれほど人を馬鹿にしていることはない。
 こういう新人を出すレコード会社の人間も最低である。
 奴らはHMのことを真剣に考えてはいない。頭の中は“商売、商売、金、金、金……”。
 頭がいいのに悪事に使ってしまう愚か者と同様、技術はあるのに邪道を走ってしまった。
 このバンドにインテリジェンスを求める僕が悪いのか……。
 真面目にやってるバンドが可哀いそうだ。
 宛名の書き方も知らない不作法なスタッフもバンド以上に情けない。FuckOff!!」



……以上が、当時のBURRN!誌に掲載された酒井康のレビューである。
……が、同じBURRN!編集部の藤木昌生は本作及び聖飢魔IIの音楽性を高く評価しており、
事実、翌年に発売された小教典「蝋人形の館」により聖飢魔IIは大ブレイクを果たす事となる。
まあ、酒井が評価したバンドってみんな馬鹿丸出しの「へびーめたる」バンドばっかしで90年代にみんな消滅しちゃったし…
あのメタル冬の時代である90年代をしたたかに且つ唯一生き残った稀有なバンドである聖飢魔IIの活動を見れば、
酒井が言ったことがいかに時代遅れで見る目が無いかよく分かる。


【余談】

「ヘヴィメタルを馬鹿にした為」とされる、本作の低評価の理由だが、
実は真の「0点」の理由は本作のレコーディングを聖飢魔IIの構成員では無く、
本作のプロデュースを務めた同レーベル所属の渡辺建率いる「PRISM」のメンバーが行った事実を知り、酒井が激怒した為とも言われる。

……これは、実は学生バンドであった当時の聖飢魔IIが本来は半ば解散状態にあり、
デビューまでのメンバーが確定していなかったと云う事情が関係している様である。
聖飢魔IIに目を留めたソニーの丸沢氏の勧めにより「悪魔組曲」を応募しデビューが決定した聖飢魔IIだが、
実はデーモン閣下、エース長官、ゾッド親方は後に聖飢魔IIに合流するルーク参謀と共に「紫馬肥(むらさきうまごやし)」としての活動を開始しており、
デビューが決まった事で慌ててダミアン殿下から閣下への指揮権の移動と聖飢魔IIの再始動が為されたが故の混乱であった様である。


■収録時間 28分09秒
■レーベル FITZBEAT(CBSソニー)
■プロデュース 渡辺健(PRISM)


【参加構成員】

◆デーモン小暮閣下 Vocal, Voices
◆エース清水長官 Guitar, Chorus
◆ジェイル大橋代官 Guitar, Chorus
◆ゾッド星島親方 Bass, Chorus
◆ライデン湯沢殿下 Drums, Chorus








追記・修正したくなるのは我々悪魔の仕業だ!!

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