Mr.ビーン

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Mr.ビーン - (2017/10/26 (木) 10:48:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/10/26 Thu 02:49:19
更新日:2023/01/11 Wed 08:53:35
所要時間:約 24 分で読めます




Ecce homo~♪ qui est faba.~♪(この男に目を向けよ)

Ecce homo~♪ qui est faba.~♪(ビーンに注目せよ)





【概要】

『Mr.Bean』は、1990年から95年にかけて英国のITVにて不定期放映されたTVコメディシリーズ。
全14回。*1
また、同作内で喜劇俳優のローワン・アトキンソンが演じる、キャラクターの名称でもある。
『Mr.ビーン』は、アトキンソンの長いキャリアの中でも代表作、且つ集大成と呼べるものになった。

制作はタイガー・プロダクション(現:タイガー・アスペクト・プロダクションズ)。

脚本にはアトキンソンの他、長年に渡り彼と活動してきた仲間も多く関わっており、大学時代から温めていたシチュエーションが盛り込まれている場合も多いとのこと。
制作総指揮はピーター・べネット=ジョーンズ。

【作風】

ジャンルはヴィジュアルコメディ。
最低限の台詞、または無声で演じられ、物語については詳細な説明もなく、画面上の情報のみで展開されるヴィジュアルコメディは、TVコントとしては古典的な作風であったが、
その、特別な説明を必要としない単純さは多くの視聴者に受け入れられ、英国国内のみならず、世界中でのヒットにも繋がった。

全ては、演じるアトキンソンの卓越したセンスと、喜劇俳優としてのキャリアから生み出された『Mr.ビーン』と云うキャラクターの面白さと、スケッチの完成度の賜物である。

内容的には、英国らしく社会的マイノリティや階級差別、英国王室をネタにしたブラックジョーク的な物も多い。
これらの内には、日本ではTV放映時にはカットされ、後のソフト化により漸く日の目を見たようなネタも少なくない。

国外への輸出により『Mr.ビーン』の名称とキャラクターは世界中で通じる程のメジャーなものとなっており、
2012年に開催されたロンドンオリンピックの開会式では、ヨーロッパを代表するシンセサイザー奏者、作曲家のヴァンゲリスの代表作『炎のランナー』の演奏隊に交じっているというコントを演じ、大喝采を浴びた。*2

……その直後に、演じたアトキンソンから「50代の男があんなふうに幼稚なキャラクターをやっているのは切ないことだよ」として、事実上の引退宣言とも取れるスピーチがあったものの、
その後もチャリティーやファンサービスの場でアトキンソンはビーンを演じており、放映開始から25周年となる2015年には「#Mr.Bean25」と書かれたミニに乗り、ロンドン市内を巡っているとのこと。

1997年と2007年には、それぞれ米国(一作目)、仏国、独国(二作目)合作で劇場版も作られている他、02年にはアニメ化もしている。
07年には劇場版を記念してか、久々のTVコメディの新作も作られている。

尚、英国という国の雰囲気や古典的なスタイルのコメディということもあってか、実際の制作時期よりも古い時代の作品だと勘違いしている視聴者も少なくないようである。

【日本での展開】

日本では英国産コメディを積極的に字幕放映していたNHK総合で、開始年である1990年から『Mr.ビーンの大騒動』のタイトルで初期作が放送される。
以降、新作が出る度にタイトルを『~大脱線』『~大混乱』と変えつつ、不定期放送や、まとめ放送をしてきた。

放送を繰り返し、放映時間もバラバラでありながら話数が増える度にファンを獲得し、更には97年に日本ポリドールからTVシリーズ全巻がVHSソフト化されたことにより、爆発的な人気を獲得した。

日本でも志村けんや山口智充、木梨憲武、岡村隆史などが『Mr.ビーン』と共演したり、スケッチを元にしたコントや物真似を披露している。

また、96年の大晦日には『朝までMr.ビーン』と題した、一挙まとめ放送までされている。
98年2月には劇場版のプロモーションの為に、Mr.ビーンが来日。
劇場版以前から高まっていた人気が最高潮に達し、多数のファンと報道陣に追われることになった。
この98年には、以前は不定期放送であつた『Mr.ビーン』が初めて順序立てて放送されている。
また、98年の年末には『朝までMr.ビーン』が再放送。
日本を代表する舞台コメディアンのイッセー尾形が本作への思いを語っている。
99年の年末にも『朝までMr.ビーン』は再放送されて視聴者を喜ばせた。

この時の、日本のみならず世界中での歓迎ぶりについて、アトキンソンは後に「マドンナやロックスターになった気分だった」と語っている。

【主な登場人物】


■Mr.ビーン

演:ローワン・アトキンソン
本作の主人公で、演じるアトキンソン曰く、年齢不詳の謎の男。*3
職業や素性が一切不明で、姓名*4すらも明らかになっていない。*5
演じたアトキンソンは「ビーンは高学歴で、悠々自適な生活をしている」と語ったことがある。
自身に重ねた発言であると思われるが、一種の高等遊民的な人物としてイメージされているのだと思われる。
実際、最終学歴は大学以上で、パイロット版では三角法についての試験を受けにいっている様子が描かれている。
手先も器用で、工作が得意と思われる描写もある一方で、機械に嫌われているかのような場面も登場している。

ホテルに宿泊した際には、自身が生まれ育ち、生活しているの英国の名称すら覚束ない程で、OPの様子を含めて宇宙人説すら出されている(アニメ版ではこの説が採用されているらしい)。

基本的には無口で、必要最低限の言葉は発しようとせず、他人とまともなコミュニケーションを取ろうという意識は皆無である。
イルマの様な例外もあるが、基本的にはビーンの、この徹底的な超個人主義が騒動のネタになることもあってか改善されるような場面は殆ど見られなかった。
例外的に、TVシリーズとは作風を大きく変えた劇場版第一作ではビーンが積極的に喋るキャラクターとなっているが、これはアトキンソンにとっても後悔する結果となり、ファンからも不評であった。

ビーンの性格設定の基本は9歳の男子児童であるらしい。
アトキンソン曰く、「好奇心旺盛で、自分が納得しない限りはルールにも従わないアナキズム的な部分もある」との事で、実際に他人に迷惑をかけるのを何とも思っていない自己中心的な行動や、社会的な意味での常識を欠いた行動が目立つ。
全く責任感が無いわけでもなければ、他者への思いやりが無い訳でもないが、基本的には自分だけのルールのみに従って生きており、他者によってその拘りを邪魔されるのを嫌っている。
邪魔をされた場合や、何となく目を付けた相手には酷い報復に出ることもある。

……以上のことから、一筋縄ではいかない、かなり迷惑な人物と言えるのだが、コントの中では最終的にビーンにツケが回ってきたり、エグいネタについては笑いどころでラフトラック*6が入れられ、印象を緩和させる作りがされている。

ロンドン市内の低賃金アパートを転々としているらしく、初期には洗面台があるのみで、ブレーカーにコインを投入して使用するような部屋に住んでいたが、後に台所やベッドルームがある部屋へと越している。

基本的な服装は肘当て付きのツィード・ジャケットに細いネクタイ、寸詰まりのズボンだが、これもアトキンソンの計算によるもので、敢えてサイズの小さな服を着ることで動きのおかしさを際立たせる効果を狙ったものである。

身長は180cm。体重は73kg。
これは、演じるアトキンソンのサイズである。

愛車はミニで、初期作ではオレンジ色の'69年製モーリス Mini MK II(ナンバープレートは「RNT 996H」)に乗っていたが、シリーズ化された第3話からは お馴染みのライムグリーン色の'77年製MKIII ブリティッシュ・レイランド 製Mini 1000(ナンバープレートは「SLW 287R」)が登場している。
ライムグリーンは英国人が最も軽蔑する色とされており、それを踏まえた上での選択であろう。
ビーンは演じるアトキンソンの特技ということもあってか、非常に運転が巧みな設定である一方、ミニはかなり無茶な扱いも受けている。
第9話『Mr.ビーンの日曜大工』での、中に物を一杯に詰め込んだ状態で、屋根の上に括り付けたソファーからモップやロープや煉瓦を駆使して運転する姿は語り種で、アトキンソンは後の09年に、この時の撮影をサーキットで実演している。
その為、運転席側の鍵が破損してからは巨大な南京錠が取り付けられている他、防犯の為に駐車の際にはハンドルを取り外されたりしている。
第11話『Mr.ビーン学校へ行く』で、戦車のデモンストレーションの為に同型のミニが駐車されてたのを特等席と勘違いして入れ換えてしまったことで、オチの部分で戦車に踏み潰されてしまい愛車を失うが、最終話には同型のミニが登場している(入れ換えた方を自分の物にしたと考えられている)。
ライムグリーンのミニはMr.ビーンの代名詞ともなっており、玩具化や後の劇場版での同型車種の登場へと繋がっている。

■テディ

Mr.ビーンの一番の親友であるクマのぬいぐるみ。
やや粗雑な作りで、目がビーズだったりボタンだったりしているのは、密かに代変わりしている為である。
初登場は第5話。
漫画を一緒に読んだり、専用の眼鏡やベッドを作ってやったり、プレゼントを送ったりと、ビーンは非常に大事にしている反面、別の回では洗濯機に放り込んで縮ませてしまったり、ペンキを塗る刷毛換わりにされたり、首チョンパしてしまったりと酷い目に逢わせることもある。
前述のMr.ビーンが大流行していた時には、日本でもテディが売り出されて大ヒットを記録している。

■イルマ・ゴップ

演:マチルダ・ジェグラー
眼鏡をかけたビーンのガールフレンド。
第3話から登場。
イルマは普通にビーンに恋愛感情を抱いているようだが、ビーンには性的な興味がなく、嫌悪すらしているような部分もある為か、そこまでの意識は無いようで、ややチグハグな関係にある。
しかし、第4話でクラブにて他の男性と踊るイルマを見て嫉妬したり、第7話のクリスマスにて自分のせいで失敗を繰り返して彼女に愛想を尽かされて出ていかれた時には、落ち込んだ姿を見せている。
TVシリーズでは、これが最後の登場となりフラれたと思われていたが、後には、またデートをしている場面が演じられているとのこと。

■リライアント・リーガル

日本での通称は被害
パイロット版となる第1話以降、度々登場する青い三輪自動車。
英国では低所得者の車。身障者の車。として蔑視の対象になっているらしく、ビーンのミニには無理な幅寄せやら、駐車スペースから追い出されるやら、と酷い目に逢わせられている。
三輪だけにバランスが悪く、その度に横転させられたりするのが常だが、逆にビーンがちょっかいを出した末に車を大破させる結果になったこともある。
中に誰が乗っているかは不明だが、無視こそされたものの、ヒッチハイクをしているビーンを乗せようとするなど、ビーンに比べて善良さが目立つ見せ方をされている。

【オープニングとエンディング】


オープニングでは、パイロット版となる第1話を除いては天から指すスポットライトの中からうつ伏せのビーンが落ちてくる場面から始まる。
初期はモノクロ。後にはカラーで、背景にリッチモンドの石畳やセント・ポール大聖堂が付け加えられている。
エンディングは逆になっており、スポットライトにビーンが吸い込まれて消えるというものになっている。
こうした描写も宇宙人説の根拠の一つになっていた。

聖歌調の歌はオリジナルで、作曲はハワード・グッドール。
歌っているのは初期はサウスワーク大聖堂聖歌隊。
後期はクライストチャーチ大聖堂聖歌隊。
歌詞はラテン語で、文言は聖書からの引用を捩ったもの(項目の頭と尻の)。
faba=ソラマメ。



Vale homo~♪ qui est faba.~♪(ビーンにお別れせよ)




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