42行聖書

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42行聖書 - (2021/09/03 (金) 21:43:42) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/04/22(金) 19:43:18
更新日:2022/10/31 Mon 09:32:24
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世界で初めて「活版印刷」され大量生産された本(修道院で使うウルガータ聖書)である。

ドイツのマインツにてグーテンベルクによって1455年に製作されたものであり、印刷部数は約180部ほどと言われている。

何?少ない?その前は写本と言って一枚一枚書き写していた上に、写本業務にお金を出していたスポンサーを楽しませる意味もあって、
飾り文字やらイラスト、場合によっては表紙を金や宝石で飾りつけたりと、殆ど工芸品と言っても差し支えないものであり、当然生産数も数冊だった。

因みに金や宝石なんか装飾された写本は書物庫ではなく、宝物庫で保管された。
そりゃそーだ。

もっともそういう装飾本は儀礼用の本であり、記録媒体としての「書物」と言えるかは微妙だが。

さて、話を42行聖書に戻そう。
名前の由来は内容が42行しかないから…ではなく、1ページに42行印刷されていたからである。
もっともこの頃は印刷と製本・装飾を行う場所は別であり、グーテンベルクは印刷だけを行い、
印刷されたページは樽に詰められパリやヴェネツィアまで運ばれて製本された。
ゴロゴロと転がして船に載せて運んでいたそうである…

そういう事情もあり、文字部分は印刷されたものでありどれも同じながら、一冊一冊の装飾や造本は写本の伝統や美にならって行われたため、
厳密には一冊一冊が違う本になっている。
印刷した対象も、羊皮紙とがある。

因みにこういう本をインキュナブラ(揺藍期本)と呼ぶ。
中世と近代の合間に現れ、その後印刷技術が広まるにつれ消えていった稀なる本である。

現存するものにはこれまでの所有者の紋章や署名が残され歴史を感じさせるものとなっている。

完全な形で残っているのは世界に12冊。日本では慶應義塾大学図書館が所蔵している。
本としての形は残っているが、落丁が存在するものを含めれば48冊。こちらは関西学院大学東北学院大学などが所蔵している。
他にもページの一部だけというのも存在する。
非常に希少に思えるが、生産されたのが560年前ということを考えれば、1/4も残っているのは驚異的と言える。
まあ、量産されたとはいえ、まだまだ本が貴重品であった(=大切に扱われていた)時代のものだから、後世まで残ったのも当然と見ることもできる。


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