登録日:2011/11/08(火) 00:18:26
更新日:2021/03/06 Sat 21:53:23
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1980年代にイギリスを中心に発生した、世界的なヘヴィメタルブーム。
時は1979年。
世界中で猛威を放ったイギリスのハードロックバンド・
DEEP PURPLEが破滅解散して5年が経ち、アメリカの国民的ヒーローだった
KISSも人気に陰りが見え始めていた。
イギリスはパンクロックブーム、アメリカはディスコブームに支配。
終には“ハードロックは死んだ”とさえ言われてしまう。
そんなことは無い。
1979年の夏にハードロックバンドが集まるクラブ“バンドワゴン”を主催するDJにより無名のバンドが紹介され、クラブシーンで少しずつ注目されていく。
そして翌1980年に
IRON MAIDEN、DEF LEPPARD、SAMSONがデビューし、ここから世界的なヘヴィメタルブームが到来するのだ。
これに勇気付けられたメタラー達も自主制作レコードを次々と売り出し、レコード会社も次々とバンドと契約し、次々とデビューをしていく。
オールド・ウェーブ(時代遅れ)と罵られたハードロックとブリティッシュロックの復興を願って、ハードロックよりもハードな“ヘヴィメタル”という新しい言葉を用いた
“New Wave Of British Heavy Metal (NWOBHM)”
が提唱される。
ハードロックは蘇った!
イギリスではパンクバンドに奪われたシーンの奪還を図り、やがて対立することに。
パンク野郎とメタラーの仲が今でも悪いのは、恐らくこの辺りからだろう。
更にブームはイギリスのみに留まらず、海外にも飛び火していく。
アメリカからはMETALICAが、ドイツからはM.S.Gが、スイスからはKROKUSが、アイルランドからは
ゲイリー・ムーア(ソロ活動)が、そして我が日本からは
LOUDNESSがデビューを果たした。
70年代から売れていた
KISS、
JUDAS PRIEST、SCORPIONSなどのハードロックバンド達も、このブームに乗って再びブレイクや、よりヒートアップしていく。
70年代から人気だったハードロックバンド・
RAINBOWを率いる
リッチー・ブラックモアも、バンドを解散させてまでDEEP PURPLEを再結成させた。
イギリスでは数万人規模の『レディング・フェスティバル』、ドイツでは10万人規模の『モンスターズ・オブ・ロック』、ブラジルでは20万人規模の『ロック・イン・リオ』といった巨大メタルフェスティバルが開催される。
後に大物バンドと化す
X JAPANも、この頃にインディーズシーンで暴れ回っていた。
ところが流行とはそんなに長続きしないものであり、80年代中盤にはブームは収束し始める。同時期にアメリカでLAメタルブームが勃発、ヘヴィメタルブームは継続されたかに見えた。
しかし、湿り気と憂いあるブリティッシュロックを引き継ぐNWOBHMに対して、陽気でキャッチーなLAメタルとでは音楽性が異なり、解散するバンドや活動継続のために音楽性をアメリカ寄りにしてファンが離れていくバンドも現れ始める始末。
やがて、90年代初頭のグランジ/オルタナティブロックブームの到来により、ハードロック/ヘヴィメタルは再びシーンの隅に追いやられ、ブームは消滅してしまった。
実はシングルを1~2枚で解散したバンドも多く、レコード会社の青田買いと言っても良いヘヴィメタルブームは正にバブルだった。
現在でも活動しているバンドこそ多けれど、数万人規模の会場を支配して大活躍する純NWOBHMバンドは
IRON MAIDENのみとなってしまった。
DEF LEPPARD?あいつらは最初からアメリカ狙いだったから…。
尚、ヘヴィメタルの中でもマイナー厨が非常に多いジャンルであり、どマイナーバンドのシングルを多数収録したオムニバスCDが現在まで数多く作られ、CD化されていないレコードは1~数万円というコレクター価格で取引されている。
91年に再結成するまで“アルバム1枚で解散した悲劇のバンド”と言われた
PRAYING MANTISが、その有名な例である。
●アメリカ
MANOWAR
METALLICA
KISS(人気再生)
●ドイツ
M.S.G(マイケル・シェンカー・グループ)
ACCEPT
HELLOWEEN
●日本
LOUDNESS
VOW WOW(BOW WOW改名)
EARTHSHAKER
44MAGNUM
聖飢魔Ⅱ
浜田麻里
●スペイン
BANZAI(シーン屈指のネタ邦題バンド)
伊藤正則執筆のライナーノーツ並みに追記・修正お願いします。