225系近郊形直流電車

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225系近郊形直流電車 - (2016/10/12 (水) 10:48:20) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2010/07/18(日) 05:20:11
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JR西日本が保有する鉄道車両。2010年から投入が開始された、JR西日本の最新鋭近郊形電車である。

1993年から2008年の足掛け15年もの間に計926両が製造された[[223系>223系近郊形直流電車]]の後継車であり、125系や321系といった自社の新型車両や他社の新型車両で培われた新技術が多数投入されている。

全車両が近畿車輛・川崎重工で製造・投入された。2016年8月現在、以下の編成が在籍している。

◆網干総合車両所本所
-I編成(8両編成):9本
--うち1次車(0番代)7本、2次車(100番代)2本
-U編成(4両編成):5本
--うち1次車(0番代)3本、2次車(100番代)2本

◆網干総合車両所宮原支所
-ML編成(6両編成):5本
--全編成6000番代
-MY編成(4両編成):3本
--全編成6000番代

◆吹田総合車両所日根野支所
-HF600編成(6両編成):7本
--全編成2次車(5100番代)
-HF400編成(4両編成):37本
--うち1次車(5000番代)29本、2次車(5100番代)8本

また、きのくに線([[紀勢本線]])105系老朽取替用として本形式の投入予定がある。

特徴は以下の通り。

■番台による差異
◆最高速度
0・100番代は223系1000・2000番代に合わせ130km/h、6000番代は「221系性能」のため120km/h、5000・5100番代は223系0・2500番代に合わせ120km/hとなっている。

◆座席配置、シートモケット
接客設備の項で後述。なお、両者とも運転席のシートモケットはブラウンで統一されている。

◆車体
225系のコンセプトの1つである「安全性の向上」を実現するため、車体には様々な改良が加えられた。

先頭部は運転台周りを強化したことで相対的に屋根部分が弱くなり、衝突時にその部分が先に潰れて衝突の威力を減衰する衝撃吸収構造を、JR西日本の車両として初めて採用した。
衝撃吸収構造はJR東日本の車両などで既に採用実績があるが、JR東日本方式では先頭車と中間車でドア位置がズレるという問題があった為、JR西日本は将来的にホームドアを設置することを考慮し前述の方式を新たに開発。この方式は「巴投げ方式」と名付けられた。 
窓は車体強度確保の為、大きな開口部を必要とする連窓をやめ、2枚の小型窓と1枚の大型窓によって構成する方式とした。なお、大型窓はカーテンレール用の柱を取り付けて連窓風としている。また、縦方向の寸法は223系と同じ950mmとしている。

その他では外板厚を2mmと223系よりも厚くした他、接合部分の各所に補強が追加されている。これらにより、225系は223系を上回る車体強度を有する。また、車体妻部には車両同士が衝突した際に相手方車両を外側に逃がすためにガイドが新たに設置されている。

なお、2010年12月17日にJR神戸線舞子駅で発生した先頭車同士の連結部分からの転落事故対策として、1次車の途中から先頭車排障器に新たに放送装置を搭載し、当該先頭車が中間に入っている場合に注意喚起用の音声が流れるようになった。この装置は既に落成していた車両にも搭載する改造が行われている。

2次車では前面デザインの変更が行われ、先行して登場した521系3次車や227系と似通ったデザインに変更された。これにより、0番代の前面帯は1次車の直線的で唐突感のあるデザインから、曲線的で全体的な統一感が増したデザインとなった。ただし、前面窓ガラスに関しては本形式は0番代が最高速度130km/hと在来線トップクラスの高速運転を行うことを考慮し、乗務員保護の観点から縦幅を1次車と同じ高さに縮小している。また、前述の2形式と同様に新たに先頭部にも転落防止幌を設置し、連結面間の隙間を縮小している。前面転落防止幌は形状は異なるものの、221系・223系や本形式1次車、521系1・2次車、207系といった中間に先頭車が入る可能性のある形式への取り付けが行われている。

◆接客設備
225系のコンセプトの1つである「交通弱者への対応」を実現するため、また「安全性の向上」のために、従来の車両とは大きく変化した。
221系や223系では吊り革が白、手摺りが緑または銀で塗装されていたが、これを咄嗟の時に目につきやすくするために全てオレンジ色で塗装し、吊り革については数が大幅に増やされた。また、直径やサイズも大型化されたほか、手摺りは端部を曲線的にして力が一箇所に集中しないように配慮された。
  
座席配置は0番代・6000番代は223系1000・2000番代を踏襲し、横2列+2列、扉間5列でドア脇の座席背面に補助席を設けた配置となった。シートモケットの色も223系1000・2000番代同様ブラウンだが、色調等が変更された。
対する5000番台は223系2500番代を踏襲し、横2列+1列、扉間5列で補助席なしという配置となった。シートモケットの色は223系0・2500番代のライトブルー系から濃紺に変更。

内装の色は先に登場した321系を踏襲しつつ、端部の壁面の色は223系を踏襲して暖かみと明るさを共存させた色調としている。

情報案内装置は321系と同様のLCDを全16面通路上に配置し、映像による旅客案内を可能とした。字幕は日英二ヵ国語表示となっている。
  
その他ではドア化粧板の端部を黄色で塗装し、挟まれ、巻き込まれに対する注意喚起を実施しているほか、乗降口床部に黄色の塗装を施して転落防止や段差に対する注意喚起の実施、ドア開閉表示灯を設置してドアの開閉動作に対する注意喚起を実施している。また、更なるホームと車両間の段差低減のため、床面高さを223系2000番代の1,130mmから1,120mmと10mm低くしている。

2次車では本車両よりも先行して登場した227系に準じ、これまでは幕式だった種別表示器、3色LED式だった行先表示器を一体化し、フルカラーLED化している。ただし、前面の種別・行先表示器はサイズの問題からフルカラーLED化は行われたものの、一体化はされていない。また、室内灯を従来の蛍光灯からLEDに変更し、消費電力の削減と照度の向上を図った。これに伴い、これまでJR西日本の通勤・近郊形電車では標準装備であった前面の運行番号表示器と蛍光灯カバーは廃止されている。

◆走行機器
これまでJR西日本の車両はM車とT車で構成されていたが、225系では125系で構築され、2両以上で運用する321系を製造するに当たって更に進化した0.5Mシステムを踏襲、全ての車両を電動車として車種構成を統一し、コストの削減や保守管理が容易となるように配慮されたばかりではなく、故障時の冗長性も高められている。

制御装置は223系と同じIGBT-VVVFインバータだが、制御群は1C1Mから1C2Mに変更されている。これは0.5Mとなったことや、全電動車となったことで冗長性が高まった為である。
  
モーターは運転性能の向上や寿命の延長を図るために出力が強化され、223系の220kWから270kWとなっている。このモーターは今後の標準と位置付けられており、他形式には制御ソフトやギア比の変更で対応するようになっている。

台車は321系のものを改良した軽量ボルスタレス台車で、軸箱支持方式はJR西日本の電車では標準の軸梁式となっている。先頭車用と一部の中間車の付随台車には駐車ブレーキが取り付けられている。

パンタグラフは時代の変化に合わせ、従来の下枠交差式パンタグラフからシングルアーム式パンタグラフとなった。近年のJR西日本の車両では521系や683系4000番台といった交直流電車で採用実績があるが、京阪神間を走るJR西日本の通勤・近郊形としては初採用である。クモハ225形・モハ225形に各1基ずつ搭載されているが、2次車では走行機器二重系統化の一環として、モハ225形100/400代・モハ225形5100代のパンタグラフを1基増設して2基とし、1基が故障しても運転を継続できるように配慮されている。

223系との併結運用が主体となるため、223系との併結が可能となっている。伝送システムが223系と225系とでは全く違うため、225系側が読替装置搭載で対応する。伝送装置の伝送速度は1次車では10Mbpsだったが、2次車では種別・行先表示器のフルカラーLED化や一部機器の二重系統化に対応するため100Mbpsに強化され、一部の引き通し線が廃止された。この関係で2次車では1次車に比べて1.3~1.5t程度の軽量化が行われている。

2次車ではこの他に、福知山線脱線事故において乗務員がTE装置(ボタン一つで非常ブレーキ動作・周辺1km以内の列車への防護無線発報・主回路遮断・パンタグラフ降下・60秒間の警笛吹鳴・信号炎管点火・スリップ防止の砂撒き・暖房のための蒸気発生装置の停止という列車防護操作を自動的に行う装置。通常は運転台右側にある赤いスイッチを押して作動させる)を作動させることが出来ず、対向から来た特急「北近畿3号」(現:特急「こうのとり3号」)が事故列車とあわや衝突という事態を引き起こしたことから、このTE装置を自動的に作動させる車両異常挙動検知装置が搭載された。これはシステムによって決められた以上の車体上下加速度(脱線)、車体左右加速度(転覆)、車体前後加速度(衝突)を検知した場合には、TE装置を自動的に作動させる装置で、521系3次車および227系、207系体質改善車に搭載されているものを225系用にシステムを書き換えて搭載している。

◆編成表
左側が米原・篠山口・天王寺方、右側が姫路・大阪・関西空港方
<凡例>
●●:動力台車
○○:付随台車
< >、>:パンタグラフ

|>|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:網干総合車両所所属車|
|>|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:1次車|
|I編成|RIGHT:>|||RIGHT:>|||RIGHT:>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-0&br()Mc|CENTER:モハ224&br()-0&br()M'|CENTER:モハ224&br()-0&br()M'|CENTER:モハ225&br()-500&br()M5|CENTER:モハ224&br()-0&br()M'|CENTER:モハ224&br()-0&br()M'|CENTER:モハ225&br()-300&br()M3|CENTER:クモハ224&br()-0&br()M'c|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|
|U編成|RIGHT:>||RIGHT:>||>|>|>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-0&br()Mc|CENTER:モハ224&br()-0&br()M'|CENTER:モハ225&br()-0&br()M|CENTER:クモハ224&br()-0&br()M'c|~|~|~|~|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|~|~|~|~|
|>|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:2次車|
|I編成|RIGHT:>|||RIGHT:>|||CENTER:<   >||
|~|CENTER:クモハ225&br()-100&br()Mc1|CENTER:モハ224&br()-100&br()M'1|CENTER:モハ224&br()-100&br()M'1|CENTER:モハ225&br()-600&br()M6|CENTER:モハ224&br()-100&br()M'1|CENTER:モハ224&br()-100&br()M'1|CENTER:モハ225&br()-400&br()M4|CENTER:クモハ224&br()-100&br()M'c1|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|
|U編成|RIGHT:>||CENTER:<   >||>|>|>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-100&br()Mc1|CENTER:モハ224&br()-100&br()M'1|CENTER:モハ225&br()-100&br()M1|CENTER:クモハ224&br()-100&br()M'c1|~|~|~|~|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|~|~|~|~|

|>|>|>|>|>|>|CENTER:網干総合車両所宮原支所所属車|
|ML編成|RIGHT:>|||RIGHT:>|||
|~|CENTER:クモハ225&br()-6000&br()Mc|CENTER:モハ224&br()-6000&br()M'|CENTER:モハ224&br()-6000&br()M'|CENTER:モハ225&br()-6000&br()M|CENTER:モハ224&br()-6000&br()M'|CENTER:クモハ224&br()-6000&br()M'c|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|
|MY編成|RIGHT:>||RIGHT:>||>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-6000&br()Mc|CENTER:モハ224&br()-6000&br()M'|CENTER:モハ225&br()-6000&br()M|CENTER:クモハ224&br()-6000&br()M'c|~|~|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|~|~|

|>|>|>|>|>|>|CENTER:吹田総合車両所日根野支所所属車|
|>|>|>|>|>|>|CENTER:1次車|
|HF400編成|RIGHT:>||RIGHT:>||>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-5000&br()Mc|CENTER:モハ224&br()-5000&br()M'|CENTER:モハ225&br()-5000&br()M|CENTER:クモハ224&br()-5000&br()M'c|~|~|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|~|~|
|>|>|>|>|>|>|CENTER:2次車|
|HF600編成|RIGHT:>|||CENTER:<   >|||
|~|CENTER:クモハ225&br()-5100&br()Mc1|CENTER:モハ224&br()-5100&br()M'1|CENTER:モハ224&br()-5100&br()M'1|CENTER:モハ225&br()-5100&br()M1|CENTER:モハ224&br()-5100&br()M'1|CENTER:クモハ224&br()-5100&br()M'c1|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:●●   ○○|
|HF400編成|RIGHT:>||CENTER:<   >||>||
|~|CENTER:クモハ225&br()-5100&br()Mc1|CENTER:モハ224&br()-5100&br()M'1|CENTER:モハ225&br()-5100&br()M1|CENTER:クモハ224&br()-5100&br()M'c1|~|~|
|~|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|CENTER:○○   ●●|CENTER:●●   ○○|~|~|

◆現況
●運用路線
-0・100番代:JR神戸・京都線・琵琶湖線・湖西線・草津線・赤穂線
--223系1000・2000番代ととも主に新快速・快速として使用される。一部に区間運転の普通運用もある。

-6000番代:JR宝塚線・福知山線
--223系6000番代(宮原車)とともに、主に丹波路快速・快速として使用される。朝晩には大阪発着の普通運用もある。

-5000・5100番代:阪和線・大阪環状線・関西空港線・きのくに線
--4両編成は223系0・2500番代とともに、主に関空快速・紀州路快速として使用される。6両編成は103・205系に代わって普通運用に就いている。

どの番代も223系や1・2次車間での運用上の区別などはないため、223系とのエース同士での併結運転や225系同士による併結運転が実施されている。このため、
&font(b,#ff0000){「225系が来たと思ったら自分の乗車位置に停まったのは223系だった」}
という事態も起こりうるので、225系に乗りたい場合は要注意。

また、6000番代は近年網干総合車両所の221系に代わって神戸ルミナリエなど、多客期のJR神戸線臨時新快速運用にも就いている。6000番代は全て元々網干総合車両所配置の0番代であったため、ある意味里帰りしてきたとも言える。

兄弟車として広島地区用近郊形電車の227系、大阪環状線用通勤形電車の323系が存在する。
どちらも当初は225系新番代として計画されていた車両である。



223系に代わるエースとして登場した225系。その活躍はまだまだ始まったばかりである。
更に増備され、名実共に223系に代わる新たなアーバンネットワークの顔として活躍する日が待たれる。



追記・修正よろしくお願いします。

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