SCP-398-JP

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SCP-398-JP - (2019/04/15 (月) 18:38:24) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2019/04/15 Mon 01:07:02
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます

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SCP-398-JPは、[[SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]のひとつ。
[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はSafe。
項目名は「久遠の105号室」。


このオブジェクトはというと、とある県に存在するアパートの105号室である。
105号室には時空間的異常があり、1980年代の8月のある1日をずっと繰り返している。
105号室内に元々あったものは、動かしたり持ち出したりしても、深夜0時になった瞬間、その1日の始まった時の状態にリセットされる。
外部から持ち込まれたものはこの効果を受けることはなく、持ち出すことが可能である。

105号室内には、SCP-398-JP-1という50代の日本人女性とみられる人型実体が住んでおり、女性の記憶は深夜0時を境に記憶がリセットされる。
女性は決まった時間に退出するが、外部からそれを観測することはできない。
女性は自身が同じ1日を繰り返していることを知覚できないが、外部から持ち出された時計は異常を受けないため、女性がそれを見て時間の異常を把握することはできるようだ。
もっとも、1日ごとに記憶がリセットされるので、異常に気付いたところでどうにもならないが。

このため、特別収容プロトコルも、アパートを財団が買収して管理し、その105号室内部に監視カメラを設置して、1日のサイクルに変化がないか、常に監視するだけである。女性に対するインタビューは、担当職員の許可を得たうえで行われる。


#openclose(show=これがその女性の1日である。){
・0:00~5:30
女性は自室で眠っている。

・5:30~6:45
5:30に目覚ましのアラームが鳴り、女性が目を覚ます。服を着替えた後に顔を洗い、朝食の準備を始める。メニューは白米、目玉焼き、ソーセージ、わかめと豆腐の味噌汁、青菜のおひたしで固定されている。

・6:45前後
調理を中断し、自室とは異なる別室の前に立ち、「ヨリコ」という人物に起きて朝食を食べるよう催促する。

6:45以降~7:30
女性は朝食を二人分、リビングの食卓に対面になるよう並べ、一人で食べ始める。食べ終わると、食べた食器を下げ、もう一人分の食事を冷蔵庫にしまう。

7:30~8:15
女性は食器を洗浄し、終わると自室に戻り、スーツと思われる服装に着替える

8:15~8:27
机の上に書き置きをおくと、ガスの元栓やコンセントの抜き差しを確認したのち、玄関から退出する。退出の瞬間に女性は消失し、外部からは一切観測されない。

17:32
女性が玄関を開けて帰宅する。この時、玄関の開く様子は外部から観測されない。女性はどこからか買い物してきたのか、食材等の入った袋を持っている。

17:40~18:20
女性は二人分の夕食を作り始める。メニューは白米、空揚げ、ナスと油揚げの味噌汁、中華クラゲの和え物で固定されている。調理した後、一人分の料理を取り分け、冷蔵庫にしまう。

18:30~19:20
女性は食卓を挟むようにテレビに対面して座り、食事を始める。この時、冷蔵庫に朝食が残っていた場合、夕食に加えられる。テレビに映っている番組は、当時、実際に放送されていたものが流れている。

19:20~20:50
食べ終わった食器を片付けた後、リビングで雑誌を読み始める。読み終わった後、風呂に30分ほど入る。

21:00~22:00
女性は家計簿をつけている。

22:00~0:00
女性が自室に戻り、就寝する。
}
記録には書かれていないが、オブジェクトの異常性からして、冷蔵庫内の夕食は消失したと推測できる。
また、上記の記録と105号室に男性が出てくることは一切ないことから、この家庭は母子家庭であることが推測される。

ちなみに女性が残す書き置きは以下の通りである。
> ヨリコへ
>朝ご飯冷蔵庫に入れておきました。
>疲れていると思うけど、休日もちゃんと起きないと、生活リズムが崩れますよ。
>
>██


その後、財団の調査により、「ヨリコ」の部屋のベッドの下から、手書きの書類が複数発見された。
この書類は、日付が変わっても元に戻らないため、外部から持ち込まれたものと推測された。
以下はその一部の内容である。
>日付が変わる度、私とあなたの距離は遠ざかっていきます。私の知るあなたは私の記憶のまま、あなたの知る私はあの時のままで。
>あなたは今の私のことを知らないのでしょう。ただ私だけがあなたから離れていきます。もしくは、私があなたを置き去りにしてしまったのでしょうか。
>
>今も未来もやがて、過去になります。
>私は、あなたが将来きっと先に逝くであろうと言う事実に耐えられませんでした。
>今はもうあなたを失うことはありません。ただ、あなたの未来と、あなたとの未来も、私は奪ってしまいました。こんなつもりではなかったのです。私もあなたと共に、ずっとおなじ日々をおくれると思ったのです。
>きっとこれは、罰なのでしょう。
>
>あなたより先に逝くであろう私を、私の我が儘を許してください。あなたが朝私を起こすときに、どうか、扉を開けてください。

この書類は、「ヨリコ」が書いたものだろう。「ヨリコ」は、SCP-398-JP-1、おそらく「ヨリコ」の母が、いずれ先に逝ってしまうという事実に耐えられなかった。
&bold(){そこで不明の手段を用い、母をあの時の105号室に閉じ込めてしまったのだ。}
これで母が先に逝くことはなくなった。
それは、&bold(){自分が母の未来を、そして母と暮らす未来を奪ってしまった、そしていずれ、自分が先に逝ってしまうことを意味していた。}
「ヨリコ」は母に謝罪するとともに、あの時の「ヨリコ」を起こすとき、扉を開けるように祈ったのだ。

財団の調査の結果、この105号室は、1970年代からある人が借りていた。
この人物の今の所在は不明だが、勤め先の会社には、あの時以降も定年になるまで雇用されていたという記録があった。
そしてこの部屋を借りていた人に、&bold(){「頼子」}という娘の存在が確認された。
&bold(){その「頼子」は、2000年代に50代で病死していることが分かったのだ。}


今日も女性はあの時の1日を繰り返す。
「ヨリコ」の部屋の扉を開けないまま。
彼女が扉を開ける日は来るのだろうか…


追記・修正は今を家族と共に生きる人にお願いします。

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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-398-JP - 久遠の105号室
by  Nimono-oishi
http://ja.scp-wiki.net/scp-398-jp

この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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#openclose(show=▷ コメント欄){
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- 切ねぇ……時間や人の運命をどうにかしようだなんて、おこがましいことだな……  -- 名無しさん  (2019-04-15 09:34:57)
- 仮に成功していたとして望んだとおりの結果になっていたんだろうか?それとも何かしら後悔は生まれるんだろうか?  -- 名無しさん  (2019-04-15 11:19:39)
- 母ちゃんにずっと生きて欲しいから時間止めたけど日々のルーティンまで固定されたでござる  -- 名無しさん  (2019-04-15 12:39:12)
- さらっと時間固定させた頼子はいったい何者なんだ  -- 名無しさん  (2019-04-15 13:32:41)
- インタビューは許可されてるけど、実際にした所でどういう会話が行われたんだろう…  -- 名無しさん  (2019-04-15 13:39:29)
- なんだか「何者かに唆されたのか」という雰囲気を感じるが、そういうわけでもないのかな……如月工務店でも一枚噛んでるのでは、とかついつい邪推してしまう。  -- 名無しさん  (2019-04-15 15:42:17)
- なんだか世にも奇妙な物語な感。  -- 名無しさん  (2019-04-15 18:04:16)
- 工務店よりは酩酊街な感じもするな。寄り添ってしまったからこそすれ違ったみたいな。  -- 名無しさん  (2019-04-15 18:24:05)
- 手紙の内容とかからして引きこもりの娘が自棄起こして固定とかではなくてただ寝坊しただけ感が強いのが切ないな…たまにはこんな日もあるよねで扉開けなかったばかりにヨリコさんを認識できないってのが  -- 名無しさん  (2019-04-15 18:38:24)
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