タマゴタケの仲間

登録日:2017/08/20 (日) 21:47:01
更新日:2021/10/24 Sun 01:21:18
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この項目ではタマゴタケという名前の付いたキノコについて取り扱う。
本家のタマゴタケタマゴテングタケの項目なんかも参照されたし。


◆概要

基本的にはオリジナルたるタマゴタケも含めてテングタケ科テングタケ属に分類されるキノコの仲間。
そこから更に種類ごとにテングタケ亜属とマツカサモドキ亜属にわかれており、
そこから更にそれぞれテングタケ亜属側はタマゴタケ節、マツカサモドキ亜属側はタマゴテングタケ節と派生している。

食用可能なグループに属しているのは本家タマゴタケ含めほぼ全てがタマゴタケ節である。
節全体としての特徴の一つとして「柄の部分に永続性のつば、つぼを形作る」ことが挙げられる。
そのものずばりなネーミングや外観などからやはり一見して毒キノコにしか見えないものも多々。
きちんとプロが選出したものならそのどれもが美味であることが知られている。

……が、厄介なことにもう一つのグループであるタマゴテングタケ節に属している連中は揃いも揃って毒キノコ。
それも、アニヲタWikiのキノコ項目としては頭一つ抜けて有名だろう純白の死天使レベルの猛者どもが連なっている。
(というかそもそも件の死天使自体、タマゴテングタケ節の仲間の1つだったりするし)
間違って食おうものなら下痢や嘔吐などのお馴染みの中毒症状から一旦回復したと見せかけて、
知らぬ間に体内のあらゆる内臓器官をぶち壊されて敢無くご臨終となる。
節全体の特徴の一つとして「傘の部分に条線(何本も走る細い線)」が存在しないというものがあり、
条線が存在するタマゴタケ節と見分けるための最も大きなポイントとされている。

一目見てそうだとわかるような種類ならともかく、食用可能なタマゴタケたちと非常に紛らわしい外見の物もあったりするのが何とも。
美味なるキノコを求めて口にしてみりゃ、体内に猛毒がなんてのは洒落にならない。
そもそもテングタケの仲間に限った話でもないのだが、菌類含めた植物は日夜様々な近種や亜種、そこから伸びた独立種が発見され続けており、
どう見ても同じだろうと思える種でさえ実は全然違うなんてパターンも珍しくない。
それが食用か有毒かどちらか一方に振り切れてるならまだしも、両方が属しているというのだからこれまた難儀なものである。

タマゴタケとその仲間が美味いとされながらなかなか一般流通がされないのは、そういった事情も絡んでいるのだろうか?
(付け加えると一般的な食用キノコと違って養殖方法が確立されていないのもあるのだろうが)



◆タマゴタケ節の仲間

  • タマゴタケ
ご存知タマゴタケ、夏から秋にかけて広葉樹林に姿を現すキノコ界の珍味。
本家項目でも触れているが、柄が黄色く放射状の模様があり全身が真紅に染まっているという、
どう見ても毒だろうとしか思えない外見に仕上がってしまっているが、れっきとした食用キノコ。
しかも、一般的な食用のソレと違って生食まで可能だってんだから驚きである。

  • セイヨウタマゴタケ
日本では極めて発見するのが稀とされているタマゴタケ、北海道では比較的見かけやすいなんて噂もあるが確定ではない。
元は外来種だったものが帰化したのではないかとか言われたりすることも。
外見は上記のタマゴタケと同じく赤色系統でパッと見は区別がつかないのだが、
セイヨウタマゴタケは柄の部分にタマゴタケに見られるだんだら模様が無く、つるつるしているとのこと。
勿論コイツも食用である。

  • キタマゴタケ
長い間タマゴタケの亜種じゃないかと言われていたが、後に全くの別種だと判明したタマゴタケ。
夏から秋にかけてナラやモミの近くに生える。
真紅に染まったタマゴタケと違い、名が体を示すとおりに全身黄色の外見となっている。
その外見から西洋でも人気があるレアなキノコとして知られているとか。
……しかし、食用でありながら後述するある毒キノコと見た目がクリソツな所為で、誤食の危険性が非常に高いタマゴタケとしても有名。

  • チャタマゴタケ
同じく夏から秋にかけてシイやカシの木で発見される茶色いタマゴタケ。
コイツもコイツでキタマゴタケと同じく当初はタマゴタケの亜種と認識されていたらしい。
どう見ても毒にしか見えない連中と違って、茶色主体ということもあってか見た目はそこまで派手じゃない。
本家タマゴタケ以上のレア種らしいのだが、京都なんかだと発見例が多いらしい。

  • ミヤマタマゴタケ
21世紀になってから独立した種として認識されたタマゴタケのニューフェイス。
深山という和名ではあるが別にそこまで奥地じゃないと見られないというわけでもなく、ブナやミズナラの木の近くなどで発見例がある。
物によっては高さ40cmと大型のキノコであり、外見はチャタマゴタケ以上に地味。
成長段階によっては白に茶色とその辺のスーパーに並んでても違和感が無さそうな程。
発見が最近ということもあり食用可能かどうかが明確ではないのだが、一応食べた人もいるらしい。

  • フチドリタマゴタケ
ミヤマタマゴタケと同じく、2004年に発見されたばかりの新種とのこと。
通常のタマゴタケとの違いは傘部分が褐色を帯びていて、ひだに赤色の縁取りがあること。
沖縄県の石垣島、八重山諸島などで見つかっている。
食用可能かどうかは不明。

  • タマゴテングタケモドキ
タマゴタケ節に属していながら有毒種に分類されているイレギュラー。
外見的にはポピュラーなキノコであるツルタケに近いが、サイズが段違いなのと柄につばがあるので判別は容易。
またひだの部分が淡いピンク色をしているところでも見分ける事が出来る。
食後6~10時間で、嘔吐、腹痛、激しい下痢に見舞われて、肝臓・腎臓障害を発症する。
アカハテングタケは本種と同一されているが、別種ではないかとする意見もあるらしい。

◆タマゴテングタケ節の仲間

  • タマゴテングタケ
節名の由来にもなっている代表種であり、猛毒キノコ御三家にも名を連ねるデスキャップ(死の帽子)。
鮮やかなオリーブ色のつばを持つ他、この種の独自要素として濃硫酸を垂らすとひだが淡い赤紫に変色するというものがある。
毒キノコの中でも知名度が高く、西洋貴族はこのキノコを暗殺のために用いていたなんていう歴史もあったりする。
国内では北海道などに頒布しており、中毒例も度々挙がっている。

  • シロタマゴテングタケ
かの死天使に酷似した外見を持つことで有名な猛毒キノコ御三家の一角。
というかその所為で知名度その他諸々で霞んでしまいがちな可哀想なキノコだったりもする。
メジャーな判別方法としては柄の部分にささくれがあるかどうかなのだが、どっちにしたって致死性の猛毒である。
これや死天使の存在もあり、素人は野生の純白キノコには絶対に手を出すなとよく言われる。

  • クロタマゴテングタケ
名前からしてすぐに察しがつくだろう、シロタマゴテングタケとは真逆の外見を持つ漆黒の悪魔。
全身真っ黒……とまでは流石に行かないが、傘の中心部分を主として焦げ付いたかのような黒色をしたキノコ。
詳細情報があまり見られないマイナー種ではあるが、シロタマゴテングタケその他と同じく猛毒なので絶対に食べてはいけない。
一説だと中国でこのキノコによる数百人近い中毒被害が巻き起こったことがあるとか……

  • タマゴタケモドキ
見た目の段階で最早悪意しか感じない、誤食に特に気をつけなくてはいけないキノコ。
キタマゴタケで述べた酷似した外見を持つ毒キノコとは正にコイツのことであり、並べてみると本当によく似たイエローボディ。
何度か述べてきた条線の有無やひだの部分が白色であることなどから、知識さえあれば見分ける方法はいくつか存在するが。
というか見た目的にはタマゴタケモドキというよりキタマゴタケモドキとかタマゴテングタケモドキとか名付けるべきだったんじゃないかと思わなくも無い。

  • アオミドリタマゴテングタケ
……色違い別種もここまでくると何でもアリな気分になってくるタマゴテングタケの一種。
が、名前に反して青と緑の毒々しい外見というわけではなく、全体的には僅かに青みがかった濃灰色の地味なキノコ。
実はコイツも21世紀に入ってから見つかった新種で、東京や千葉などで目撃例があるらしい。
故になのか毒性についても不明。タマゴテングタケ節のキノコを知ってて食そうなんて人間はまずいないだろうが。





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最終更新:2021年10月24日 01:21