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レーダー全般 - (2011/08/14 (日) 19:01:26) のソース

#CONTENTS

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**光学誘導について教えてください。
光学誘導は画像認識による誘導です。パッシブなので照準レーザーが不要です。
欠点は降雨、曇天などによる影響がレーザーより強いこと、迷彩などに惑わされることです。砲火、フレア、煙幕などで誘導が外れることもあります。
#right(){(6:system)}

**「ロックオン」って具体的にはどういう状況の事?発射前のミサイルのシーカーが敵機を捕らえたらロックオンなの?
指令誘導のミサイルであれば(距離が長いミサイルは初期指令誘導も多い)、発射プラットフォームが策敵レーダーから、
目標を決定して追尾レーダーに切り替えた時点がロックオンと言う事になるでしょう。
被ロックオン機ではレーダーの周波数、パターンが替わるのでロックオンされた事がわかります。イヤですね(笑)。
#right(){(7:145)}

**サーマルセンサーやパッシブソナーを妨害するというのは具体的にどうするのかな?
パッシブソナーに対する妨害は、現在のところ静音化とデコイによる欺瞞、変温層を
利用した待避しかないと思います。

サーマルセンサー(パッシブ)に対しては、冷却やカモフラージュによる、赤外輻射の抑制、
表面赤外パターンの変更あるいはフレア散布や赤外センサーへの攻撃ということになるでしょう。
#right(){(8:system)}

**艦載レーダーを見ていると、マストが同じ高さにあったりして、視界がふさがれていることがありますが、あれって、捜索には問題無いのでしょうか?
意外と邪魔にならないものです。ただマストの反射する電波は
悪影響を及ぼすこともあるので、マストに反射防止材を取り付けたりします。
#right(){(18:595)}

**ドップラーレーダーの機能と用途、現段階の科学レベルでは、どのような所で実用化されているのでしょうか?
それこそいっぱい。K察だって使っています:-)

どんな原理で測定するのかって言うと、速度を持つ物体にある周波数foの電磁波を発射すると、
fo + ( (2.*V*fo)/C )という速度に応じた分だけ周波数(Hz)が変化した電磁波が返ってきます。
(V:物体速度(m/s),fo:発射されるレーダー周波数(Hz),C:光速/約30x10^8(m/s))

で、そのまんまだと正確に計測できないんで、受け取った電磁波信号に(AGCによって自動的に制御された)foに相当する
信号を取得した信号f'に混合することで、周波数の低いビート信号(中間周波数)を取り出し、
その信号をFFT(高速フーリエ変換)等によって、最終的な速度を算出します。場合によっては、
沢山の周波数フィルタ(アナログ回路)をマルチプレクサで高速にスイッチングして周波数分析することもありますが。

K察の場合、HPF(high pass filter)で違反速度域(正確には周波数)を設定し、設定周波数以上の信号が捉えられたらピコピコと点滅
信号を出して速度違反かどうかを特定すると、まぁ、こんな訳です。これから分かるように、このタイプのレーダーは相対的に移動し
ている物体しか検知しえないという性質を有しています。

軍用?航空機用のレーダーとか、対砲レーダーなんかにも用いていますね。

物体速度の符号は、計測方向に近づいて場合を正に、遠ざかる場合は負です。

当然ながらあの式は1次元計測に限られます。
2次元計測では送信機1+受信機2、3次元計測では送信機1+受信機3が最小構成です。

解析の基本は前述式とほぼ同様ですが、2次元、3次元計測の場合は、各送信機間の遅延分析が入ります。
もっとも、対砲レーダーの場合は計測時間の短さから空間スライス式(狭指向性の2次元アレイを多数用いる)を用いて計測しているようです。
少なくとも海外の軍事情報誌を読む限りでは。ですが。
#right(){(21:722)}

**世界ではじめて実用化されたレーダーとその探知距離、二次大戦中のレーダーの探知距離、現代のレーダーの探知距離について教えてください。
恐らく、イギリスが1937年にサーフォークに建設した早期警戒レーダー基地がそれ。
今日のように送信と受信を一つのアンテナで行うモノスタティック・レーダーではなく、
送信と受信アンテナが異なるバイスタティック・レーダー。
波長が10mから15mもある短波を使用しており、探知距離が130km、
測距精度が3000mと現代のレーダーよりも遥かに精度は低い。
勿論、英国本土航空戦では威力を発揮している。 
#right(){(23:ミロシェビッチマニア)}

**鉄パイプで作ったミサイルや対空砲金網で作ったレーダーのダミーは偵察機やスパイ衛星では見分けがつかないのですか?
湾岸以後の技術の進歩を持ってしても、見分けるのは困難だそうです
また、飛来する時間帯が正確に予想できるスパイ衛星は、
もっともだまされやすい偵察手段ですね
#right(){(24:230)}

**ECMを使うと、味方のレーダーにも影響を及ぼしちゃうんでしょうか?
ECMにも物理的な手段によるものと、電波的な手段によるものがあるわけですね。
前者は、ぶっちゃけた話、チャフです。説明の要はありませんね。

一方後者の方はですね。
で、レーダーに使われている電波(=マイクロ波と呼ばれる周波数帯)を打ち消すように、
より強烈なマイクロ波を投射して使い物にならなくします。

ですが、マイクロ波の周波数帯全てでそれをやるわけではないです。
当然に、味方内のレーダーサイトはお互いに電波を干渉させないため、
微妙に周波数を変えていますし、敵味方も、違う周波数で使うことになるでしょう。
で、敵のレーダーサイトが使っている周波数を割り出し、一定の幅内で、
マイクロ波を発信して、敵のレーダーを妨害することになります。
そして、味方の使用している周波数では、できるだけ自軍のECMの干渉が
起きないようにするわけです。
#right(){(35:846)}

**最近の戦争ではまずミサイルでレーダーを潰すみたいですが、防御側はレーダーをどのようにして守るんでしょうか。
走り回る
#right(){(35:956)}
>走り回り逃げ回ってレーダー防衛っていったい・・・
移動式3次元レーダー装置とAEW機。
#right(){(35:959)}
基本はレーダーの発振時間を最低限に留め、相手が対レーダーミサイルを発射したら(通信傍受などでわかれば) 
発振を止める。あるいは敵ミサイルの有効射程内に入ったら発振を止める。ところが最近はレーダーの発振位置を 
記憶して、電波を止めても指向してくる。そこで周波数ホッピングや変調によって、探知しにくいレーダーにする。 
もちろん相手も電子戦機器を更新して探知能力を上げる。そこで対レーダーミサイルに対する対空ミサイルを装備、 
アンテナと制御部分を離してアンテナは見殺しにする、複数のアンテナを交互に使用するなどいろいろ。 
#right(){(170:946)}

 レーダーに「装甲」を施すと電波が遠くに飛ばなくなっちゃうので、装甲のような 
形でレーダーを保護するのは難しい。 
 よくある「レーダードーム」は風雨からレーダーを守るためのもの。 
 防護効果はほとんどない。 

 攻撃に弱いレーダーアンテナを剥き出しにしなくてはいけない、というのは 
昔からずっと解決されていないレーダーの弱点の一つ。 

 で、対レーダーミサイル(ARM)に対しては、自分の発振するレーダー電波の 
周波数を微妙に変える事で対処する。 
 例えば、76Mhz(この数字は説明用のいい加減なもなので当てにしないように)で 
ロックオンされたら、76.5Mhzに変える、とか。 
 究極的にはレーダーの発振を一時的に止めることか。 
 もちろん、レーダー使えなくなるけど。 

 もっともミサイルの方もロックオン時の周波数を幅広くとってたり(76Mhzで 
ロックオンしたら数値の幅を75~77Mhzにとっておくとか)、電波だけでなく目標 
の方位と距離にもロックオンしたり、といった対策法を取ったりもする。 
#right(){(170:935)}
**よく「逆合成開口レーダー」なるギミックを目にしますがこの「逆」ってのはどういう意味なんでしょう?
ギミックではありません。レーダー側の動きを利用して開口径を
大きくするのが合成開口レーダー、目標側の動きを利用して高解像度
を得るのが逆合成開口レーダー。船舶のように常時動揺している
目標を検出するのに有効で、珍しいものではありません。
#right(){(37:121)}

**探信音(ピンガ―) アクティブ・ソナー パッシブ・ソナーの違いがわかりません。
探信音とはピコンピコンいっている音の事です。
アクティブ・ソナーは探信音を発射して、返ってきた反射音で
敵艦を見つけます。
パッシブ・ソナーは自分からは音を出さずに、じっと耳をすませて
敵艦から発生する音を拾う、いわるゆる地獄耳です。
#right(){(37:740)}
何か現代のピンガーはあんな風な「ピコーン」みたいな音はさせないらしいですけどね。
#right(){(37:743)}

**最近のレーダーだと,探知した航空機や艦船についてどのくらいまで分かるんでしょう?航空機だと機種まで分かりますか?
>艦船の場合は何級の何番艦かまで分かるんですか?
>それとレーダーの探知性能は早期警戒機>艦船>戦闘機や攻撃機,これで合ってますか?

 距離とレーダーの種類によります.
 上等なレーダーでご機嫌な距離なら,機体のおおよそのサイズが分かり,うまく行くと垂直尾翼の数がわかり,エンジンのタービンブレードの数がわかるので,機種をかなりの確率で推定することができます.

 艦船の場合,これも同様のやらせ条件だとおおよそのサイズ,マストの数,上部構造の輪郭,敵の艦載レーダーの搭載数,それぞれの回転数などがわかりますので,これまたかなりの確率で艦種の推定が可能です.
 何番艦ってのは特殊仕様でない限りダメでしょ.

 探知性能が探知距離という意味でしたら,当然高空にいる早期警戒機がベストです.
 そこから先はレーダー自身の性能(≒重さ,サイズ,消費電力)と高度のバランスになるので,小型機と艦船ではなんとも言えません.対象が航空機か艦船かでも変わります.
 場合によっては,早期警戒機よりも艦載レーダーの方が艦船に対する探知性能(距離,詳細)に優れることも
あるでしょう.
 特に艦船対象の場合はISAR(逆開口合成レーダー)機能の有無が問題になりますから.

**レーダーを使うと対レーダー・ミサイルで破壊されるそうですが、レーダーはどのようにして保護されているんですか?また安全な運用法はありますか?

 攻撃に弱いレーダーアンテナを剥き出しにしなくてはいけない、というのは昔からずっと解決されていないレーダーの弱点の一つです。
 レーダーに「装甲」を施すと,電波が遠くに飛ばなくなっちゃうので、装甲のような形でレーダーを保護するのは難しいです。
 よくある「レーダー・ドーム」は風雨からレーダーを守るためのもの。防護効果は殆どありません。

 で、対レーダーミサイル(ARM)に対しては、自分の発振するレーダー電波の周波数を微妙に変える事で対処します。
 例えば、76Mhz(この数字は説明用のいい加減なもなので当てにしないように)でロックオンされたら、76.5Mhzに変える、とか。 
 究極的にはレーダーの発振を一時的に止めることか。 もちろん、レーダー使えなくなるけど。 

 もっとも,ミサイルの方もロックオン時の周波数を幅広くとってたり(76Mhzでロックオンしたら,数値の幅を75~77Mhzにとっておくとか)、電波だけでなく目標の方位と距離にもロックオンしたり、といった対策法を取ったりもします.

 このように,電子戦(ハードキルも含む)は狐と狸の化かしあいとなります.
 必然,技術が高く相手の情報を多く持っている方が有利です。 
 対レーダー・ミサイルといえども、相手の知らないバンドを用意する、周波数ホッピング、とりあえず発振中止、間欠発振、複数アンテナ切り替え、ダミー放射源用意と色々対抗手段は考えれます。 
 しかしそれには、相手のシーカーの特性等の知ってる事が大事だったり、高コストだったり、運用に制限があったりします。
 そういう事を含めて、技術と情報と金の優位が重要なのです。

**ECMとは、どのような原理で相手の電子機器を妨害するんでしょうか?
>ECCMに周波数ホッピングなどが使われるということは、ECMは特定の周波数に大出力の電波を流すのですか?それ以外の方法で妨害電波を出す方法はあるのですか? 
>また、もし大出力の電波を出すのなら、ECMとステルスは並立できないのでしょうか。ECMが必要な場合は、すでに相手に発見されているのでステルス性はいらないんですか?

 「ECMとは?」,スゴく荒っぽくまとめます。 

 1.全波長にわたって電波雑音を出す。
 相手が何を使っていようと、とにかくノイズで埋もれさす。
 予備知識なしで使えるが、大電力が必要。 

 2.相手の使っている波長も偏波も変調方式もわかっている場合。 
 それに合わせてバッチリ重ねてつぶす。
 あるいはずらして出して誤った結果を与える。
 小電力で可能。予備知識必須。 

 3.1.と2.の中間。
 ある程度波長がわかっているなどの場合、そこに集中して適当にノイズを流す。 
 どれも結果として画面が濁り(あるいはセンサーの感度が落ち),目標を特定しにくくなる。
 そこに目標がステルス性で最初から小さければ,なおさら見つけにくくなる。

 ECMはステルス性を助ける。
 ただしECM自身は電波発信なので発信源を目標にされる可能性は常にある。
 通常は射程外に発信源を置くが、最近は妨害目標の場所を特定し指向波で妨害することで探知されにくいECMも可能になってきている。

**ロックオン警告用のレーザー検出装置ってレーザーを自分(戦車の車体、戦闘機の機体)のどこに照射されても検出出来るんですか? 
>レーザーって照射した一点でしか検出できないのでは? 

照射されたレーザーは物に当たると拡散するので、その拡散したレーザー波を検出する。

(初心者スレ474:767)

**ステルス機でもRCSはゼロにならないので、レーダーを時速500km以上で移動する物だけを映るようにすれば発見できるような気がするのですがどうでしょうか? 

実際、現代ではそのような原理を使用したドップラーレーダーが普通に使用されています。
しかし、バックにノイズが入ることは避けられず、その際、わずかな反射はノイズに埋もれる。 
レーダーに対して垂直に動いている機体は速度がゼロになるので映らない。 
斜めであっても、そのぶん視線方向の速度が減るから、映らなくなることがある。 

ドップラーレーダーはご存じの通り周波数変化を利用して移動物体のみ捉えます。 
例えば接近してくる物体を捉えようとしたら、周波数100の電波を発射し、110~120の範囲だけフィルターすると 
10~20のドップラー偏位を起こす正の(つまりこちら向きの)視線方向速度をもった反射だけを捉えることができます。 

しかし、敵機の進行方向は未知ですから、たとえ敵機の速度がわかっていても、 
視線方向の速度は、0(敵機が電波に対して垂直)~敵機の速度そのもの(視線方向に運動している)
までさまざまとなります。 

仮にレーダー回路自体のノイズがゼロであっても(熱力学的に不可能ですが)たまたまレーダーが向いた方向に、 
周波数110~120の電波を発信するものがあれば、これがノイズとなる上、レーダーにはサイドローブがありますから、 
レーダーが向いていない方に発信源があっても、同様にノイズ源となり得ます。 
というわけで、速度がわかっていても反射が弱い敵機はとても捉えにくいことになります。

(初心者スレ)

**何故、航空自衛隊の早期警戒機や早期警戒管制機は未だに旧式の回転式レーダーを使用しているのでしょうか? 
>フェーズドアレイレーダーを搭載した新しい早期警戒機や早期警戒管制機を調達したりはしないのでしょうか? 

E-767のレーダーはフェイズドアレイだし

固定したフェイズドアレーレーダーより、回転型のフェイズドアレーの方が素子数が少なくて済む。 
もちろん同時監視はできなくなるが、問題ない速さでスキャンできていれば、わざわざ高価で重いものを 
積む必要はない。 

さらに、固定式フェイズドアレーを機体にどのように搭載するかの問題も起きる。機体の長軸に沿って搭載する方法だと、 
前後に死角ができ、それをカバーするための補助レーダーが要るが、これは機体の幅で長さが限られるため、 
性能が落ちる。 

機体上部に三角形にフェイズドアレーを置くことも考えられるが、回転レドーム(ロートドーム)の直径が同じ場合、 
図を書けばすぐわかるとおり、回転式のフェイズドアレーよりも一辺が短くなり、性能が落ちる。 
斜め方向の分解能も落ちるから、すべての方向で同じ性能にしようとしたらえらくでかいものになってしまい、 
空力的にとても大変なことになってしまう。 
というわけで、ロートドームの中身はフェイズドアレーになりつつあるが、回転させるメリットは大きい。
#right(){(初心者スレ478:67-71)}

**超低空だとレーダーに映らないと聞いたのですが、それなら何故たいていの国ならレーダーを装備している第二次大戦後半でも、爆撃兵団は高高度を飛んでいるのですか? 

超低空でもレーダーに近寄ればは普通に映る 
高空を飛ぶよりも後に発見されるだけ 
レーダーの被覆域は低空では小さくなるのでレーダー網には「穴」が開くことがあり 
そこを通れば映らないが戦略的戦術的に重要な地点では「穴」が開かないように考えて 
レーダーが配置してあるのが当時からの常識 
で、何で高空を侵攻するかっていうと、当時の戦闘機は1万mに登るまでどんなに早くても 
10分ぐらい、普通は30分ぐらい、日本のなんか下手すりゃ1時間ぐらいかかった 
レーダーで見つけてから離陸迎撃したって間に合わないわけよ 
あらかじめ上空で待機していても、ルートが予想からずれたら敵に追いつけない 
結果、石を投げられてもぶつかって墜落する危険がある超低空を通るよりも、敵戦闘機が 
あえぎながら必死で上ってくるのを横目でみてスルーできる超高空をのんびり進んだ方が 
安全なわけ
これ、今でも通用する理屈なんだよ。でもって米軍は超低空侵攻戦術を事実上放棄しちゃった 
#right(){(初心者スレ480:980)}

**AWACSって、大きなレーダーが付いてますが、電磁波が出続けてるんですよね?隊員への身体的影響はないのでしょうか。

・乗員が危険(なくらいの電磁波出す)ってことはAWACS自体が自分の電磁波で墜落しかねないって事だぞ… 
人間に影響が出るくらいの出力では当然、電波・電磁波でAWACS自機の電子機器もぶっ壊れる。 
それを懸念してしっかり機体内部はシールド(遮蔽)されている。 なので乗員も安全。

・ちなみに
イージス艦のレーダーでも実際どんな影響がでるかどうかというのは具体的には不明な点も多い。 
ただ、レーダー作動中は甲板にでるのは禁止されている(ヤバい影響があった時に備えて、一応)
一昔前は電子レンジ状態になって、甲板に出ていた人間が死ぬとか言われたが、 
実際人が死ぬほどの出力は出せないというか、出す必要がない。 
とりあえず、艦内の乗員や他の電子機器に障害が出ない程度には配慮や遮蔽処置がなされている。 

・AWACSにしてもイージス艦にしても、高性能レーダーは高出力だけでなく、高指向性も必要とされる。 
もちろんサイドローブも発生するが、これも最小化された上で遮蔽処置も行われる。 
電子戦機などではキャノピーにも電磁遮蔽コーティングが施されている。
#right(){(初心者スレ485:442,443,459*一部改編)}

**敵機が低空侵攻してきたら水平線以遠の見通しは利かないのに、艦艇や地上設置の対空レーダーが数百kmもの視程をもつのはどういう意味(意義)があるんでしょうか?

低空侵攻はすごく燃料食うし、緊張もするので、遠路はるばるずっと低空侵攻ってのはない。 
その遠路の段階で捉まえてれば対処に余裕ができる。 

低空侵攻やステルス性の高い機体、ミサイルを確実に捉えようとすると、 
レーダーには出力やノイズとの分離機能、分解能などについて高い機能が要求される。 
基本はS/N比であり、S、つまり信号部分の入力を増やす一番確実な方法は出力を上げること。 

だから遠距離探知を目的としていなくても、結果として数百kmの視程を得てしまうことにもなる。
#right(){(初心者スレ489:779)}


**自衛隊のレーダーサイトでは、中の人がレーダーの画面睨んで、国籍不明機とかが接近してきたら上の部隊に報告してるんですか?
>それとも、データは直接上の部隊に送られて、レーダーサイトの中の人は機材の保守整備とかだけをしているんですか?

レーダー員がその場で上官に報告、
「アンノウン」(国籍不明機かもしんない)と判定された時点で「目標番号」が付され、
さらに追跡して、上級部隊で「この目標番号のやつはヤバめの目標」と判定されればスクランブルがかかる。
「アンノウン」の可能性があるのかどうか、素早く判断するのはレーダー員の腕前。

余談だが、古処誠二「アンノウン」文春文庫は、
航空自衛隊レーダーサイトを題材にした本なので一読をお勧めします。
#right{(364:418,422)}
**レーダーやその他のセンサーを被弾から防御する方法が研究されていたら教えてください。 
装甲車両の火器管制用光学装置は、7.62mm弾や榴弾片、衝撃に耐えるよう、カバーや防弾ガラスで防御されています。
同じく、装甲車両のアクティブ防御装置に使われるマイクロ波レーダーなども、同様の防御がされている、
とメーカーは主張しています。 

本当にそこまでの耐弾性があるか疑問視されてはいますが。

航空機や艦船となると、本体の被弾の方が問題になるので、センサーに特別な防御方法は施されていません。 
とはいえ、常識的な強化はなされています。 
#right{(506:94)}

**AWACSは常時空中にいれませんが、気球か飛行船にレーダーを搭載すれば、一年中AWACSの代わりを出来るのでしょうか?
確かに最近、成層圏プラットフォームなどの気球を利用したレーダーシステムは研究されてる。
ただしAWACS/AEWの代わりをする、できるという話は聞かない。
気球は攻撃に対して脆弱で、通信は妨害されると終わり(だからこそAWACSはオペレーターを乗せてる)。
やはりAWACSの代替になるほどの能力は難しいのではないかな。

JLENSやRAIDといった係留気球ならイラクやアフガニスタンで使われていますし、メキシコからカリブまでの密輸、
密入国監視、そしてキューバへの放送中継にも同じく係留気球が使われていたことがあります。

米本土では米空軍と連邦税関が使ってるね>係留飛行船
#right{(353:576,751,752)}
**ヨーロッパの戦闘艦に搭載される対空レーダーって、どうして回転式のレーダーが多いのでしょうか? 
>SPY-1のような固定式のAESAレーダーが少ないようにおもいます。 
>ヴィスビュー級のようなステルス艦にもわざわざ高いところに三角錐のレドームがありますし、 
>ほかにも丸いレドームを配置する防空システムが多いように感じます。 
完全に固定式ですと、同じ規模だと回転式に比べどうしても3・4倍のアンテナが必要になります。 
ちっさい艦じゃ無理でどうしても艦の規模が大きく(そしてコストが高く)なります。 
(大きな固定レーダー4枚も高い位置に置くと重心上昇も甚だしいし) 
でもヨーロッパでも最近固定式MFR結構増えてますよ。(オランダ・ドイツ・スペイン・ノルウェー) 

ちなみにSPY-1はAESAじゃありません。 
#right(){(546:269)}
**レーダーが地上を走るトラックを探知する事って出来るのでしょうか? 
>空中の物体を探知するよう設計されているレーダーが自分より下か同じ高さの物を探知できるとは思えないのですが 
昔はレーダーの性能がよくなかったため、 
地上にいる車輌のような小型目標を捕捉・追尾するのは難しかったが、 
精度の高いビームを発振できるレーダーが実現可能になり、 
さらに、得られた情報を処理する高性能コンピュータが実現したため

一般的には自分より下方の地上物以外の目標を探知する場合は、 
ドップラーフィルターを使い地上物(と同じ動きをするもの)を消去します。(FCSのパルスドップラーレーダー) 
逆に地上物を表示するのは、そのまま生データを表示すればよいのですが(2次大戦時の爆撃レーダー等)、 
通常の機載レーダーですと分解能が悪く、遠距離でトラックなどの小目標を識別するのは難しかったのですが、 
近年では合成開口技術(SA)を使い高解像度の画像を得る事が可能になりました。 
これらの技術を使い、JSTAR機などでは低速の地上目標のみを表示する事なども可能になっています。 

 補足した方が良いかな。物体に当たったレーダー波は当然、車両、航空機を問わ 
ず跳ね返ってきては居るわけだ。つまり、全部見えてる。問題は地面方向だと地面 
の岩と車両を見分ける事が出来ないって事なんだ。 
 ソレをドップラー効果を利用して「動いてるモノ」を選り分けて表示する事で解決してるわけだ。
#right(){(552:953-967)}
**レーダー上に映った機種を判別する手段というのはありますか?
F-15Eに搭載されたAPG-70にはNCTR(非協力的目標識別)と呼ばれる 
肉眼で識別できない距離にある目標のタイプを分類できる能力を持つとされている。 
目標の正面から高解像度のレーダー・ビームを集中させて、相手の機体の 
エンジンのファンもしくはコンプレッサの翼の枚数を数えて 
エンジンの種類によって敵味方を識別する 
またF-22のAGP-77は逆合成開口レーダーというモード処理によって 
敵機の立体的なイメージを作り出し、備蓄された情報と照合することによって 
目標の具体的名機種まで識別することができる、とされている。 

ソースは新潮文庫の 
「トム・クランシーの戦闘航空団解剖」 
ただしこの本でも書いてあるが、この技術はまだまだ極秘扱いなので 
もしかしたら、この本自体が間違っている可能性もある 
#right(){(557:212)}
**レーダーサイト勤務=島流しというのはなぜ?
レーダー基地は大概、辺鄙な所にある。
辺鄙な所=見晴らしがいい=走査範囲が広いだからね。
その為、自衛隊内での別称は「島流し」と言われる位。
暇過ぎる仕事は却って苦痛だよ。
#right(){(346:746)}
**60年代ごろからAAMのシーカーやら弾頭をレーザーで破壊する試みが続いてるけど実用化されないの
最新のレーダーでは、ミサイルの電子装置を破壊する可能性が示唆されてるね。 
また破壊とまでいかなくとも、レーザーで誘導を妨害する装置は一部実用化されている。 

日本における研究 
>http://www.mod.go.jp/j/info/hyouka/15/jigo/youshi/08.pdf
#right(){(562:357)}
**レーダーって鳥とかもうつりますか?
バッチリ。
もちろん反応は小さいけど、群れなんかだと画面に霞がかかることもあり。
#right(){(342:411)}
**レーダーの探知距離はどのようにして決まるのか
>相手がステルスの場合とか
レーダーの最大探知距離はね、十分な送信出力があれば、
レーダーと目標の高度で決まってしまうの。高度の平方根掛ける4(km)が目安。
成層圏を飛ぶAEWが成層圏の目標を捉えるのならば、だいたい800kmになるの。
あとは信号処理で同時多目標とかTWSとかレイドアセスメントとか向上させるだけなの。

上の通りではあり、従って相手のレーダー反射面積と背景雑音で変わるのだけど。
ひとまず一般的な軍用機相手でE-2Cの探知距離は550km以上といわれている。
E-2Dについてはそのような数値がわからないのだけど、一般にESAレーダーは
従来型のレーダーの倍ぐらいの探知距離を持つことが多いから、1000kmかな、ということになる。
この数字は上が計算してくれた、航空機同士がもっとも見つけやすい条件での
見通し線距離を超えているから、結局見通し線の方が探知距離のネックになり、
800kmということになるだろう。

ちなみに従来型レーダーを搭載したF-15の敵軍用機に対する探知距離は50km程度で
レーダー地平線には全然及ばない。

レーダー反射波の強度は標的のレーダー反射面積に比例し、
標的までの距離の四乗に反比例(照射波、反射波ともに距離の自乗で減衰)するから
敵のレーダー反射面積が1/100になると、1/3以下の距離に接近しないと発見できない。

相手がステルスの場合。
正面から見たときのレーダー反射面積は、B-52で1000平方メートル程度、一般的な戦闘機で10~100のオーダー、
ある程度ステルス性を意識したと言われるF/A-18E/Fで1平方メートル程度、F-35で0.001、B-2とF-22は0.0001レベル、
と言われています。

仮にE-2Dの一般的な戦闘機(RCS=10m2)に対する探知距離が1200km(レーダー地平無視)だとすると
F/A-18E/F相手では677kmと十分大きく、レーダー地平と背景雑音(グラウンド/シー・クラッターなど)で有効距離が決まる。
F-35が相手となると有効距離は200km超となり、レーダー地平よりもレーダーの性能の方がネックになる。
もっともこれでも相手のBVRミサイルの射程外であり、空戦管制に多少の制限は生ずるものの、十分使える。
F-22が相手になると有効距離は120km。BVRの射程に捉えられることになる。
#right(){(342:532-545)}

**物体が反射するレーダー波の強度はRCSに比例するわけですよね? 
>これを受信する素子からコンピューターにアウトプットされるシグナルは、入射したレーダー波の強度に比例するのでしょうか? 
>つまりシグナル-RCSでグラフを書く際に、片対数グラフで直線になるのか、普通のグラフで直線関係になるのか、なんですが。 
もちろん、RCSと受信電力は比例関係にある・・・・らしい 
ttp://www.soi.wide.ad.jp/class/20000002/slides/11/9.html
#right(){(580:147)}
**ガメラを見て思ったんですが、早期警戒管制機がガメラやギャオスをUNKNWONとレーダ表示されてました。 
>実際生物を探知できるのですか? 
現実に鳥程度の大きさでさえ探知されます。 
ステルス機の能力を形容する「ウンmの巨体が小鳥程度にしか映らない」なんて解説をご存じありませんか? 
裏を返せば小鳥程度でも探知できる、てことですよ? 

Jane's Avionics 2008-2009 
F-22のレーダーは鳥(RCS=0.02㎡)を75km地点で探知します。 
ちなみにこの資料だとF-22のRCSは鳥よりさらに小さい0.01㎡と推定してる。 

まあもちろん推定値なわけですがソースはちゃんとありますよ。 
ちなみにSu-35系列が搭載してるレーダーは鳥クラスを85km地点で探知できる、と自称しています。 
#right(){(593:ゆうかin職場 ◆u8WC078ef5ch)}
理論上は電波の波長より小さいものでなければ探知できるよ。 
後は出力と距離とRCSの問題。 
虫程度の大きさでも距離が近ければ探知できるのさ。 
#right(){(593:843)}
**「ドップラービームシャープニングを使ってパルス幅以内の複数機を分離・評価する」とはどういう意味?
レーダーというのは波長の関係で、ある程度以上の距離の目標を探知してもそれが密集した編隊で 
ある場合は1個の目標としか認識できない。それをドップラー波を併用することで1機1機を細かく認識 
しようというのがRA(Raid Assessement)モード機能。 
F-14のAPG-71の場合だと約50kmの距離にある目標は通常探知モードでは1個の目標として認識する 
が、RAモードを使うと150m程度の機間距離で飛行する密集編隊の1機1機を識別できるとされている。
#right(){(597:168)}
**ECMっていつ頃からあったんですか?
>デタラメな電波を発信するだけなら簡単だと思うのですが。昔はジャミングって考えが無かっただけですか?
レーダーそのものと同じくらい歴史が古いです。
無線通信の時代にも、妨害電波を発信することは行われています。
世界最初の電子戦は日露戦争中。

デタラメの電波を発信するのは簡単ではありません。
相手のレーダーの周波数を調べて、それに合わせて発信、さらに味方には悪影響が出ないように、
など、かなり手間がかかります。
#right(){(308:684)}
**雲ってレーダーはどんな風に移るんですか?雲に戦闘機が入るとどうなるのでしょうか?
気象レーダーなら雲ははっきり映る
最近の気象レーダーはカラー化されているので雲は白く表示されるのが多いが、雷雲など
危険が予想されるのには色がつくのもある
戦闘機のFCSのレーダーは周波数の関係で雲はあまりよく映らない
それでもはっきり映るような濃密な雲は危険なので避けて飛ぶことになる
#right(){(300:134)}
**太平洋戦争中、日本軍はまともなレーダーを実用化していなかったのですか? 
硫黄島にレーダーが設置されていました。 
そのため、マリアナ諸島から日本本土へ空襲に向かうB-29の編隊を捕らえて、事前に警報を発しています。 
また富士山頂にレーダーを設置していました。 
アメリカ軍は逆にこのレーダーを頼って、富士山頂を目標にして日本へ侵入していました。 
真珠湾攻撃の日本軍機は、ホノルルのラジオ放送局の電波を頼って襲来しまた。 
日本では、空襲警報をラジオで放送しました。 
ドイツでは、空襲が始まると、ラジオ放送を停止したそうです。 
ラジオの電波が敵機の道しるべになることを恐れたためです。 

参考図書。 
大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫) [文庫] 堀 栄三 (著) 

「日本に向かう「超空の要塞」(B-29の事ー回答者注)が硫黄島に近づくと、 
そのレーダー・ステーションは爆撃機の日本到着より二時間前に本土の防衛軍に警報を発した」 

下記、なぜ硫黄島は米軍の攻撃の対象になったのでしょうかを参照ください。 
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa2644384.html 
下記、太平洋戦争で日本軍がまともにレーダーを装備しなかったのはを参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1313328088
#right(){(671:霞ヶ浦の住人 ◆1qAMMeUK0I*加筆修正)}
**戦闘機の先端にレーダーがあり、レドームがありますが、電波は金属のレドームをなぜ貫通できるのですか? 
レドームは金属ではありません。 
電波透過性のFRP等で作られてます。 
#right(){(683:947)}
機首レドーム空力で加熱されるので、戦闘機などの高速機では 
セラミックの類が使用されているようです。 
#right(){(683:system ◆systemVXQ2)}
**マイクロ波って地中や海中には透過できませんよね?
海水を透過しやすいELFなど波長が長い電磁波でも、水深100メートル程度。 
マイクロ波のような波長が比較的短い電磁波なら、あっという間に海水に 
エネルギーを食われて減衰してしまいます。 

地中は海水よりは透過しやすいです。地中レーダーが実用化されています。 
(もちろん透過率は空気よりずっと低いです) 
#right(){(132:386)}
**WW2のころの地上レーダーは、要所要所に複数設置、広範囲に点々と設置、のどちらが主流だったのでしょうか?
ドイツの場合は、広範囲に点々と設置しています。 
後、レーダーだけではなく、従来の聴音機、照空灯を上手く組み合わせて、ノルウェーから 
スイス国境に渡るカムフーバー・ラインを形成し、英国の夜間空襲に対抗しました。 

ちなみに、当時のドイツ軍の遠距離操作レーダーは有効距離200km、近距離精密レーダー 
は60km、機上捜索レーダーが3~4kmです。 

日本の場合は、要所に設置する傾向があり、御前崎とか室戸岬など、米軍機が来るであろう 
地区に重点的に配備されています。 

後、英国の場合は、戦前からレーダー基地を設置していっています。 
これを、Chain Homeと呼び、1940年の段階で、ブリテン島南部から東部に掛けて、長距離 
対空捜索レーダーが26基で、探知距離はドイツと同じく、200km程度。 
これに低空目標捜索レーダー(探知距離80km程度)が加わり、補完します。 
#right(){(231:眠い人 ◆gQikaJHtf2)}
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