インカでは、大統領があなたを選ぶ!
インカの内政は小屋スパムを綱領としている。それゆえ奴隷解放の威力はことのほか大きく、1080ADには街を42個所有するに至った。刑務所が全都市に建設され、諜報機関の導入も始まっている。いまや言論の自由こそ最適な公民だろう。インカは国民国家体制を捨て、自由と秘密警察の拠点として世界を導く国を目指す。
産出される諜報ポイントがあまりに多いため、マリの研究が追いつかないという珍事態が発生。他のライバルに余剰ポイントを振り分けて全世界の視界を手に入れた。
マリ・カルタゴ・中国に対し合計2万ポイント弱を蓄積。今後は技術交換を一切せず、必要なものは全て盗む計画。カルタゴ・中国間の技術交換も今では途絶えている。技術同盟は歴史的使命を終えた様だ。
ラッシュバイヤー
この「貯金」があればしばらくは技術入手に困らない。スライダーを金銭100%に切り替え、銀行・市場・雑貨商を購入して回る。切り替え当初の収支は+682。それが8ターン後には+1177へと膨れ上がった。あふれる金銭を使い、今度はクレムリンを購入。約4000ゴールド消費。その後も諜報機関・劇場・ユダヤ寺院・水道・防諜局など購入に購入を重ね、インカの国力は急速に充実した。自由の女神も順当に建造完了。
インカの国土は元々ハンマーの得にくい環境である。地形が平坦で鉱山を掘れる場所が少ない。氾濫原や草原は多いが海産物は少なく、広く浅く食糧が分布しているため鉱夫を養いにくい。小屋スパムには最適だが工業力は伸ばしにくいという土地なのだ。ゆえにクレムリンによる緊急購入費の割引は非常に有用。土地が社会の性格を決めるというのはCiv4においては真実である。
世界共闘
1090AD、暴れ馬モンゴルがマヤに宣戦。マヤの敵はインカ・中国・カルタゴ・モンゴルの4ヶ国になった。まさに四面コロスケ。モンゴルはマヤの都市を電撃的に2つ奪い、1210ADに講和。翌1220AD、マリが自発的に中国の保護国となる。自動的に対マヤ宣戦。世界VSマヤの流れは誰にも止められない。
さてインカの懸念はマリと中国の関係である。マリが信教の自由を採用したことで宗教対立が氷解、共闘ボーナスも加わって両国の関係が「友好」に達してしまう。このまま放置しては大量の技術が交換され、中国が超大国に躍進しかねない。インカの現在の外交方針は「他だけ鎖国」である。他国からインカへの技術移転は認めるが、他国同士の交換は一切認めない。そこでマリへ送り込んだスパイを使い、法制を言論の自由に変更する。官僚制による関係ボーナスが無くなり、中国→マリの態度が「満足」へ後退。他国同士の関係が「友好」にならないよう調整する。
マリ→中国の「友好」は黙認。マンサは誰にでも技術を放流してしまう人なのでどの道同じである。中国→インカが「友好」なのは共闘のおかげ。平和+1・資源+2・通商+2・共闘+4・取引+4・技術+1・国境問題-2・異宗教-2で何とか+10を維持している。カルタゴは平和+1・宗教+5・資源+2・通商+2・共闘+3・公民+3・取引+4・技術+2・投票+2・敵と取引-2・仲間に宣戦-1・スパイ-2・通商停止拒否-1で合計+18。マリは平和+1・資源+2・通商+2・公民+3・共闘+1・取引+1・敵と取引-3・味方に宣戦-1・スパイ-6・イベント-1で合計-1。
交換封殺が功を奏し、インカは史上初めて技術トップに躍り出る。マリ・カルタゴ・中国にそれぞれスパイを派遣して最新技術を窃盗。独占技術こそ無いが寡占技術をかなり抱えている。諜報ポイントは施設産出分だけで375。これはビーカーに直すと1096の価値である。貯金分は残り18386。次の段階が見えてきた。
外交革命
1280AD、中国はマヤと講和。翌1290AD、インカもそれに続いた。この戦争でマヤの勝利の目はほぼ無くなり、中国はスコア首位の大国に。インカは外交政策を組み直す。まず中国を仏教に改宗させ、相互防衛条約を締結する。次にカルタゴのユダヤ改宗を黙認。中国とカルタゴの仲がこじれる方向に持っていく。他宗教の教皇庁もこういう場合は便利である。他国が「放っておくと他宗教に変わる」状態を作り出し、スパイで必要な時だけ自宗教に引き込む作戦が使えるからだ。
1320AD、中国から流れ作業を奪取。1340AD、マリからライフリングを奪取。各都市で工場を購入し、歩兵量産体制に入る。カルタゴとマヤの戦争が終われば必ず次の動乱がある。参戦にせよ介入にせよ、戦力を保有していれば状況の掌握が容易になる。
1350AD、中国が信仰の自由を採用。様子見。今はまだスパイを動かさない。
1380AD、カルタゴとマヤが講和。カルタゴの兵士がマヤの負傷兵を助けたらしい。カルタゴと相互防衛条約を締結しておく。
1390AD、スパイで中国の宗教公民を信教の自由から平和主義へ。カルタゴ・中国間の関係を「満足」以下に保つ。
1420AD、マリ寝返り。中国の保護下を離れ、カルタゴの保護国となる。カルタゴが得点首位に。インカで採鉱会社設立。
1460AD、カルタゴの植民地としてスペインが成立。ヒンディー教国。カルタゴ、信教の自由を採用。
勝利を狙える位置にいるのはインカ・マリ・カルタゴ・中国の4者。モンゴルとマヤも状況をかき回す力は残している。
科学経済始動
インカは再び外交方針を組み直す。現在、中国はモンゴルと、カルタゴはマヤと仲があまり良くない。これを利用して世界を掌握する戦略を制定した。まず中国・カルタゴをそれぞれモンゴル・マヤに宣戦させる。次に戦術核を製造し、潜水艦に搭載してモンゴルとマヤに供与。こうすれば列強は核の雨を浴び、小国は通常戦力の猛攻を受けて壊滅する。そしてインカが唯一無傷の大国として残る。あとは半死人を尻目に宇宙へ飛び立てばよい。
この戦略には核分裂の技術が不可欠。科学系技術を好む指導者はこの惑星にはおらず、自力研究が早道と思われる。そこでインカ全都市で図書館・天文台・大学を購入。首都クスコにはオックスフォードも建設した。1480AD現在、インカのビーカー総出力は約1700。ちなみに諜報の最大出力は2795、技術窃盗に使うと9136ビーカー相当である。
1490AD、ロケット工学奪取。あとは弾頭の技術を待つばかり。
1505AD、核分裂の研究が完了。インカ史上初の独占技術。即座にマンハッタン計画生産開始。完成まで9ターン。現時点でウランを領内に持っているのはインカ・中国・マリの3ヶ国。石油はコモディティ化しており全員に行き渡っている。それにしてもこのインカ、イギリスを併呑していなければ鉄も石油も石炭もウランも無かった。ケンタウリへの宇宙船には今なお残るケチュア戦士を乗せるべきだろう。
1550AD、パンドラの箱開放。全都市フル回転で戦術核を量産。偉大なスパイを消費して黄金期を発動。商業も全て金銭に割り振り最終兵器を全力で購入。税金は有効に使うべし。
1555AD、モンゴルがマヤに宣戦。 予定が狂った。 大国を小国にぶつけて小国に核供与が本来の計画である。小国同士で争われては台無しではないか。戦略を修正。モンゴル軍を壊滅させてマヤに和平介入の方向で進める。アメリカと通商条約を結び、モンゴルとの国境に接する都市へ戦術核を供与。
次のターンで発射され、モンゴルの都市タブリズが焼き尽くされる。世界最初の核戦争がここに勃発。面白いのでもう1発供与。またも即座に発射。再度焼かれるタブリズとその駐留軍。パンドラの箱に残ったものが自制心であることを切に願う。
調子に乗って今度は潜水艦ごと供与する。モンゴル中枢への突撃を期待。 これがまたしても誤算。 まずAIは核搭載潜水艦をうまく扱えない。温存するか海戦に使うかの2択である。次に、この核供与で他国に対マヤ宣戦が要請できなくなった。実は「自国の供与した核が残っている国に対する宣戦は要請できない」というルールがあり、供与分が全て消費されるまでは参戦を求めても「冗談だろう?」と返される。アメリカはマヤの属国なので、対マヤ宣戦は自動的に対アメリカ宣戦を内包する次第。
そして1560AD、マリが動く。カルタゴとの従属関係を破棄して独立を回復。翌1565AD、マリはアポロ計画を完成。宇宙開発競争の先鞭をつけた。
カルタゴも動く。外交画面の宣戦要請が赤字になり、「手一杯だ」とうそぶく。攻めるのはマリか、マヤか、モンゴルか、それともインカか。事態は急速に収拾不能になりつつある。
事ここに至っては是非もなし。1595AD、インカはカルタゴとの防衛条約を破棄。同時に中国と交渉。カルタゴへの宣戦を要請し、見返りに生物学・砲術・ファシズムを供与した。中国とカルタゴ、かつての親友同士による決戦が幕を開ける。モンゴルとマヤは講和。
終末戦争
親友の仲を引き裂くことに成功したインカ。中国との交渉を終えて最初にしたことは、カルタゴへの核供与である。カルタゴ本土の北端に2発、西方の飛び地に2発の計4発。人を屋根に上げてはしごを燃やすような話だが、中国はどうしても弱めておきたいのだ。
目論見通りに発射された戦術核。中国の4都市に炸裂し、市民・施設・ユニットに甚大な被害を与えた。カルタゴ勝利を確信したのか、マリが自発的にカルタゴの保護国となる。瀕死の中国兵に止めをさすべく進軍するカルタゴ軍。だがここからは中国のターンだ。今度は中国に戦術核を供与。先ほど攻撃を受けた4都市に1発ずつ、計4発を譲渡した。
先ほどの復讐とばかりに花火を上げる中国軍。カルタゴの地に死の花が咲いた。核攻撃によりお互い-8の態度ペナルティが付き、紀元前からの友情は破局を迎えた。
「始皇帝ッ!何故俺に核を撃ちこんだッ!!」 「知れた事!ハンニバル、貴様が鏑矢を放ったからよ!」 「だが先に宣戦したのはお前だッ!・・・許さんぞ、始皇帝・・・! フリギアは良馬の産地だったんだ・・・死の灰で埋めやがって・・・!」 「黙れ小僧!貴様のヒゲ面は柱に吊るされるのがお似合いだ!」 「それはお前だ、ナマズ野郎ッ!!」
1605AD、中国はフリギアを占領。新たな前線基地となる。そしてインカの核が運び込まれ・・・
1655ADにアウダゴスト、1670ADにガオ、1675ADにマリの副首都ジェンネが占領された。マリはこの数ターン前から研究を放棄し文化勝利狙いに切り替えていたが、第2文化都市陥落でほぼ不可能になった。
そして1695ADにケルコウアン、1705ADにハドゥルメントゥが落ちる。今や中国はカルタゴ・マリ両国の首都を直接核攻撃できる前線拠点を保有。脚本インカ・主演中国による首都壊滅劇が始まる。カルタゴの首都カルタゴは集中砲火を浴び、地形改善修復に出た労働者さえ狙い撃ちを受けた。マリの首都ティンブクは人口が17から2まで減少するほどの大打撃を受け、生き延びたのは重役ただ一人であった。マリ軍は事実上壊滅。中国の戦車軍団がマリ首都へと迫る。
中国のターンはここまで。これ以上領土を切り取るとマリが寝返りかねない。マリに戦術核を2発供与して中国の侵攻部隊を殲滅させ、戦力均衡に持ち込む。1720AD、講和。かくして一つの戦争が終わった。中国・カルタゴ・マリは核攻撃を受けて国力が減退。相互関係は修復不能なほど悪化した。インカにとり、列強への核供与は賭けであった。裏目に出れば事態が制御不能になりかねない。だが今回の戦争はほぼインカの脚本通りに展開。供与核がその場で発射されたので容易に戦況を制御できた。使用核弾頭数は中国63発、カルタゴ6発、マリ3発。
西で小競り合いが再燃したが大きな動きはなし。マリが事実上脱落。
箱舟
ここからはインカのターン。列強が核戦争に明け暮れている間に着々と技術を開発・窃盗しており、1720AD現在科学で大幅リード。残る宇宙船技術はコンピュータ・光ファイバー・核融合の3つのみである。
アポロ計画の完成こそ1715ADとやや遅れたが、ここからは全力で宇宙船を組み上げる。アルミニウムを中国から輸入、全都市の生産ラインを部品製造に充てる。インカはGNPも工業生産も世界1位。自分が高まったと言うより他が低まったのだが、そもそも競争とは相対的なものである。放射能に苦しむ隣人らを尻目に地球脱出の準備。1725ADにコンピュータを開発。予定通りだ。
それでも足を引っ張っておくに越したことは無い。1725AD、中国に対マヤ宣戦要請。即座にアメリカへ戦術核を供与し、中国軍を削っておく。カルタゴの動きも心配なので1750ADに対モンゴル宣戦を要請。宇宙船完成までの時間を稼ぐ。
1750AD、中国の国連建造により事務総長選挙。中国が当選。だが外交勝利には遠い。
同年、インカは光ファイバー開発。残り技術あと1つ。
この時期、先の核戦争の影響で砂漠化が急速に進行。インカ領内も例外ではなく、氾濫原や草原が次々不毛の土地に変わる。インカは地球脱出船を建造しているのである意味渡りに船とも言えるが、このままでは飢餓で生産人口を維持できなくなる。寿司屋や製粉屋を開こうにも肝心の資源が揃わない。1755AD、インカは国有財産制とカースト制を採用。川沿いの砂漠に水車を置いて食糧を確保する。
1765AD、国境都市ガオがインカに文化転向。ここはマリ→カルタゴ→中国と支配者が次々に入れ替わった因縁の地。ブロードウェイまで手に入った。
1770AD、宇宙船の外殻が1つ完成。
1780AD、2つめの外殻が完成。
1785AD、国連決議。共通通貨により世界の交易路+1。通過。
同年、3つめの外殻が完成。
1790AD、核融合開発。これで宇宙船技術が揃った。商業割り当てを全て金銭に。街を立ち退かせて工房と水車に置き換える。
1795AD、部品3つが完成。
1800AD、部品2つが完成。
1802AD、部品2つが完成。
1804AD、2つ完成。
1806AD、1つ完成。あとはエンジンとコクピットが完成すれば発射できる。
1812AD、エンジン・コクピット・スラスターが完成。
1814AD、宇宙船発射
到着予定は1842AD。ライバルの中国・カルタゴはようやく外殻を完成させた程度。インカ全都市で戦術核量産に入る。
1828AD、カルタゴがモンゴルと講和。カルタゴの態度は度重なるスパイ活動で「苛立」まで悪化しており、軍事力でもインカを大きく上回っている。インカは以夷征夷でこれに対抗。1830AD、中国にマヤとの停戦と対カルタゴ宣戦を依頼。もはや少々技術を渡しても大勢に影響は無い。
中国に戦術核を供与してカルタゴの首都が燃える様を眺める。砂漠化は加速度的に進む。これが業か。
1842AD、宇宙船がアルファケンタウリに到着。インカの宇宙勝利となった。
歴史評価は43886点。謀略の限りを尽くした割には得点が低いようだ。むしろそのせいか。
勝利直前の技術状況。スパイと研究の二頭立て馬車は他国を大きく引き離してゴールに突入した。
おなじみ核戦争前の世界(上)と核戦争後の世界(下)。
今回はプレイヤーが一切手を下さず、AI文明を操る形で最終戦争を展開。このため「ダラダラ続く核戦争」という救いの無い事態になった。今や世界の陸地は砂漠でない部分の方が少なく、生き残りの人間同士は燃え盛る憎悪をぶつけ合っている。これは何かの罰だろうか。諜報経済という魔術に手を染めた者が背負う業なのか。
では最後に一言。
本当にありがとうございました。
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